JP5717088B2 - 活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂、活性エネルギー線硬化性展色剤、着色剤組成物および硬化物 - Google Patents
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Description
また、活性エネルギー線硬化型のインキや塗料は、硬化時に加熱する必要がないことから、被印刷物や被塗装物が耐熱性の低いプラスチックス等であっても硬化時に被印刷物の変形を生ずることがなく、しかも硬化処理によって塗膜が架橋されるため、硬度や耐溶剤性等に優れるという特徴を有している。
活性エネルギー線硬化型インキや塗料の実用化には、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基を有するモノマー又はオリゴマー、光開始剤等のインキや塗料用の原材自体の開発とともに、アプリケーション、ランプ、ランプハウス、電源等の照射装置の開発が必要となる。
(1)活性エネルギー線硬化性環状イミド基を側鎖に有するジオール化合物(a)をモノマー原料としてウレタン反応させてなる活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂であって、
前記活性エネルギー線硬化性環状イミド基を側鎖に有するジオール化合物(a)が、下記一般式(I)
(但し、R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐構造のアルキル基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R1およびR2が結合して環状構造を成していてもよい。R3は、炭素数1〜22のアルキレン基、R4およびR5は、炭素数0〜22のアルキレン基であって、それぞれ同一であっても異なってもよいが、少なくとも何れか一方の炭素数が1〜22である。)で表わされる化合物、下記一般式(II)
(但し、R6およびR7は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖アルキル基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R6およびR7が結合して環状構造を成していてもよい。R8は、炭素数1〜22のアルキレン基、R9およびR10は炭素数0〜22のアルキレン基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも何れか一方の炭素数が1〜22である。R11およびR12は、炭素数2〜22のポリエステル残基または炭素数2〜6のポリオキシアルキレンエーテル残基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる化合物および下記一般式(III)
(但し、R13およびR14は、炭素数2〜22のアルキレン基、炭素数2〜22のポリエステル残基または炭素数2〜6のポリオキシアルキレンエーテル残基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R15は、炭素数2〜6のアルキレン基である。)で表わされる化合物から選ばれる一種以上であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂、
(2)さらに極性分子鎖を有するジオール化合物(b)として、塩基性官能基を有するジオール化合物(b1)、ノニオン系極性分子鎖を有するジオール化合物(b2)および酸性官能基を有するジオール化合物(b3)から選ばれる一種以上と、
低極性分子鎖を有するジオール化合物(c)として、油脂由来のアルキル基、アルケニル基を有するジオール化合物(c1)、炭素数6以上のアルキル基またはアルケニル基を有するジオール化合物(c2)、炭素数4以上の分子単位を4個以上繰り返し単位として有するジオール化合物(c3)、ロジン骨格又は水添ロジン骨格を有するジオール化合物および下記一般式(VIII)
(但し、R21およびR22は、−Ck’H2k’−OHで表わされる直鎖状または分岐鎖状の基または−Cl’H2l’−COO−Cm’H2m’−OHで表わされる基であり、k’は2〜6の数、l’は2〜3の数、m’は2〜4の数であって、R21およびR22は同一であっても異なっていてもよく、R23は、
(ただし、nは5〜30の数である。)、
(ただし、oは5〜30の数である。)、
(ただし、pは5〜30の数である。)、
(ただし、qは6以下の数であり、rは5〜30の数である。)、
または炭素数4以上の単量体の繰り返し単位が4個以上のポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンからなる分子鎖から選ばれる基である。)
から選ばれる一種以上とをモノマー原料としてウレタン反応させてなる上記(1)に記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂、
(3)ポリウレタン主鎖の末端にさらに活性エネルギー線硬化性二重結合を有するモノオール化合物(e)をウレタン反応させてなる上記(1)または(2)に記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性展色剤、
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂または上記(4)に記載の活性エネルギー線硬化性展色剤に顔料を分散してなることを特徴とする着色剤組成物、
(6)前記着色剤組成物がインクジェットインキ組成物である上記(5)に記載の着色剤組成物、および
(7)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂または上記(5)若しくは(6)に記載の着色剤組成物に活性エネルギー線を照射してなることを特徴とする硬化物、
を提供するものである。
また、本発明によれば、上記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を含む活性エネルギー線硬化性展色剤、着色剤組成物および硬化物を提供することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、活性エネルギー線硬化性環状イミド基を側鎖に有するジオール化合物(a)をモノマー原料としてウレタン反応させてなることを特徴とするものである。
(但し、R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状及び分岐構造のアルキル基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R1およびR2が結合して環状構造を成していてもよい。R3は、炭素数1〜22のアルキレン基、R4およびR5は、炭素数0〜22のアルキレン基であって、それぞれ同一であっても異なってもよいが、少なくとも何れか一方の炭素数が1〜22である。)で表わされる化合物、下記一般式(II)
(但し、R6およびR7は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖アルキル基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R6およびR7が結合して環状構造を成していてもよい。R8は、炭素数1〜22のアルキレン基、R9およびR10は炭素数0〜22のアルキレン基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも何れか一方の炭素数が1〜22である。R11およびR12は、炭素数2〜22のポリエステル残基または炭素数2〜6のポリオキシアルキレンエーテル残基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる化合物および下記一般式(III)
(但し、R13およびR14は、炭素数2〜22のアルキレン基、炭素数2〜22のポリエステル残基または炭素数2〜6のポリオキシアルキレンエーテル残基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R15は、炭素数2〜6のアルキレン基である。)で表わされる化合物から選ばれる一種以上であることが好ましい。
で表わされる化合物である場合、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜6の直鎖状及び分岐構造のアルキル基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R1およびR2が結合して環状構造を成していてもよい。
上記R1およびR2が直鎖状及び分岐構造のアルキル基である場合、具体的には、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等のアルキルを挙げることができる。
R3で表わされるアルキレン基として、具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン[propane-1,3-diyl]、テトラメチレン[butane-1,4-diyl]、ペンタメチレン[pentane-1,5-diyl]、ヘキサメチレン[hexane-1,6-diyl]、ヘプタメチレン[heptane-1,7-diyl]オクタメチレン[octane-1,8-diyl]、ノナメチレン[nonane-1,9-diyl]、ドデカメチレン[dodecane-1,12-diyl]、オクタデカメチレン[octadecane-1,18-diyl]、ドコサメチレン[docosane-1,22-diyl]等を挙げることができる。
また、R4およびR5で表わされるアルキレン基として、具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン[propane-1,3-diyl]、テトラメチレン[butane-1,4-diyl]、ペンタメチレン[pentane-1,5-diyl]、ヘキサメチレン[hexane-1,6-diyl]、ヘプタメチレン[heptane-1,7-diyl]、オクタメチレン[octane-1,8-diyl]、ノナメチレン[nonane-1,9-diyl]、ドデカメチレン[dodecane-1,12-diyl]等を挙げることができる。
上記反応によって酸無水物が開環し、アミド基とカルボキシル基を有するアミック酸が生成し、生成したアミック酸を脱水閉環することで一般式(I)で表わされる化合物を得ることができる。上記反応時における反応温度は100〜150℃で行うことが好ましく、脱水閉環工程では縮合水を系外に溜去するために有機溶剤を用いることが好ましい。
脱水閉環反応は無触媒で、或いは公知任意の脱水縮合を促すとされるジルコニウム、チタン、錫、アルミ系のポリエステル用触媒を用いることができる。
縮合水溜去に用いる有機溶剤は水に溶けないトルエンなどの溶剤が好ましく、窒素ガス吹き込みをしながら環流温度に保温し、脱水反応を促進させることが好ましい。閉環するとアミック酸のカルボキシル基が減るため酸価を測定することにより反応率を求めることができる。すべてのアミック酸が閉環してイミド基になると酸価が0mgKOH/gになる。
で表わされる化合物である場合、R6およびR7は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖アルキル基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R6およびR7が結合して環状構造を成していてもよい。
R8で表わされるアルキレン基として、具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン[propane-1,3-diyl]、テトラメチレン[butane-1,4-diyl]、ペンタメチレン[pentane-1,5-diyl]、ヘキサメチレン[hexane-1,6-diyl]、ヘプタメチレン[heptane-1,7-diyl]オクタメチレン[octane-1,8-diyl]、ノナメチレン[nonane-1,9-diyl]、ドデカメチレン[dodecane-1,12-diyl]、オクタデカメチレン[octadecane-1,18-diyl]、ドコサメチレン[docosane-1,22-diyl]等を挙げることができる。
また、R9およびR10で表わされるアルキレン基として、具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン[propane-1,3-diyl]、テトラメチレン[butane-1,4-diyl]、ペンタメチレン[pentane-1,5-diyl]、ヘキサメチレン[hexane-1,6-diyl]、ヘプタメチレン[heptane-1,7-diyl]オクタメチレン[octane-1,8-diyl]、ノナメチレン[nonane-1,9-diyl]、ドデカメチレン[dodecane-1,12-diyl]、オクタデカメチレン[octadecane-1,18-diyl]、ドコサメチレン[docosane-1,22-diyl]等を挙げることができる。
また、上記一般式(II)で表わされる化合物は、上記一般式(I)で表わされる化合物の水酸基1当量に対して、酸無水物を1モル以上反応させた後、モノエポキシ化合物、アルキレンオキサイド等のオキシラン環化合物との反応を繰り返すことにより、即ち、酸無水物−オキシラン環化合物の反応を一回以上繰り返すことにより、R11やR12がポリエステル残基である一般式(II)で表わされる化合物を得ることができる。
で表わされる化合物である場合、R13およびR14は、炭素数2〜22、好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基、炭素数2〜22、好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜6のポリエステル残基または炭素数2〜22、好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2 〜6のポリオキシアルキレンエーテル残基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
R13およびR14表わされるアルキレン基として、具体的には、エチレン、トリメチレン[propane-1,3-diyl]、テトラメチレン[butane-1,4-diyl]、ペンタメチレン[pentane-1,5-diyl]、ヘキサメチレン[hexane-1,6-diyl]、ヘプタメチレン[heptane-1,7-diyl]オクタメチレン[octane-1,8-diyl]、ノナメチレン[nonane-1,9-diyl]、ドデカメチレン[dodecane-1,12-diyl]、オクタデカメチレン[octadecane-1,18-diyl]、ドコサメチレン[docosane-1,22-diyl]等を挙げることができる。
R15表わされるアルキレン基として、具体的には、エチレン、イソプロピレン等を挙げることができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、環状イミド基自身が極性の低い構造部分と極性の高い構造部分を有する基であるため、被印刷物、被塗装物に対する接着性や、顔料に対する濡れ性、分散性を向上させることができる。特に、ジオール化合物(a)に由来する活性エネルギー線硬化性環状イミド基が側鎖として櫛の歯状に設けられてなるものであることから、このような櫛の歯状の構造が顔料の分散性を向上させると考えられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、着色剤組成物の調製に用いたときに、上記側鎖に導入した環状イミド基が、通常の末端にのみ不飽和基を導入したウレタンアクリレートに比べて活性エネルギー線硬化性、特に紫外線(UV)硬化性に優れることから、優れた硬化塗膜を発揮することができる。
ノニオン系極性分子鎖を有するジオール化合物(b2)としては、分子鎖の主鎖にノニオン系極性分子鎖を有するものと分子鎖の側鎖にノニオン系極性分子鎖を有するものが挙げられる。
分子鎖の主鎖にノニオン系極性分子鎖を有するジオール化合物(b2)としては、二塩基酸、ジオール類にエチレンオキサイドを付加して分子鎖の主鎖に3以上のポリオキシエチレンエーテル繰り返し単位を有するポリオキシエチレンエーテルジオールや、ポリオキシプロピレンエーテルグリコール、ポリオキシブチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレンエーテルグリコールとポリオキシエチレンエーテルのブロック共重合ジオール、ポリマージオールとポリオキシエチレンエーテルのブロック共重合ジオール等が挙げられる。
(一般式(VI)中、aは1〜4の整数、bは5〜30の整数である。)
で表わされるノニオン系極性分子鎖を含む基であるか、又は下記一般式(VII)
(一般式(VII)中、cは1〜4の整数、dは5〜30の整数、eは正の整数、{e/(e+d)}<0.2である。)
で表わされるノニオン系極性分子鎖を含む基である。
極性の高い酸性官能基を有するジオール化合物(b3)としては、トリメチロールプロパンモノリン酸エステル、トリメチロールプロパンモノ硫酸エステル、二塩基酸成分の少なくとも一部がナトリウムスルホ琥珀酸又はナトリウムスルホイソフタル酸であるポリエステルジオール、リシン、シスチン、3,5−ジアミノカルボン酸等のジアミノカルボン酸類、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、カルボキシ基含有ポリカプロラクトンジオール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸等のジヒドロキシアルカン酸類、ジヒドロキシアルカン酸類のカプロラクトン付加物など、あるいは、これらの化合物の酸性官能基が塩基性化合物で中和された化合物を挙げることできる。
油脂由来のアルキル基、アルケニル基を有するジオール化合物(c1)としては、ひまし油変性ジオール、ひまし油変性ポリオール等の油脂由来の長鎖ポリオール;グリセリンラウリル酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステルなどの、グリセリン脂肪酸モノエステル。
また、炭素数6以上のアルキル基またはアルケニル基を有するジオール化合物(c2)としては、下記一般式
(R19は、炭素数6以上のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
または下記一般式
(R20は、炭素数6以上のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
で表わされる化合物を挙げることができる。
炭素数4以上の分子単位を4個以上繰り返し単位として有するジオール化合物(c3)としては、炭素数4以上の分子単位を4個以上繰り返し単位として有する、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリラクトンジオール、ポリブタジエンジオールなどのポリマージオールが挙げられる。
(ただし、f=0.2、g=0.2,h=0.6で、iは正の整数である。)
で表されるポリブタジエンジオールPoly bdR−15HT、R−45HT(出光興産社製)や、ポリイソプレンジオールPoly ip(出光興産社製)や、下記式:
(式中、jは正の整数を示す。)
で表わされるα、ω―ポリブタジエングリコールG−1000、G−2000、G−3000(日本曹達社製)などが挙げられる。
が挙げられる。
(ただし、nは5〜30の数である。)、
(ただし、oは5〜30の数である。)、
(ただし、pは5〜30の数である。)、
(ただし、qは6以下の数であり、rは5〜30の数である。)、
または炭素数4以上の単量体の繰り返し単位が4個以上のポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンからなる分子鎖から選ばれる基である。
(ただし、sは5〜30の数であり、tは6〜30の数である。)、
(ただし、u/u+v<0.2、vは5〜30の数であり、wは6〜30の数である。)、
(ただし、xは5〜30の数であり、yは6〜30の数である。)
から選ばれる何れかの基である。
上記活性エネルギー線硬化性二重結合を有するモノオール化合物(e)としては、末端NCO基と反応するヒドロキシビニル化合物を挙げることができ、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシモノ (メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ライトエステルG−201P(共栄社化学製)、ライトエステルG−101(共栄社化学製)などのグリセリンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、活性エネルギー線硬化性環状イミド基を側鎖に有するジオール化合物(a)とともにさらに極性分子鎖を有するジオール化合物(b)と、低極性分子鎖を有するジオール化合物(c)とをモノマー原料として、ポリイソシアネート化合物(d)とウレタン反応させることにより作製することもできる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、活性エネルギー線硬化性環状イミド基を側鎖に有するジオール化合物(a)をポリイソシアネート化合物(d)とウレタン反応させてなるポリウレタン樹脂や、活性エネルギー線硬化性環状イミド基を側鎖に有するジオール化合物(a)とともにさらに極性分子鎖を有するジオール化合物(b)と、低極性分子鎖を有するジオール化合物(c)とをモノマー原料としてポリイソシアネート化合物(d)とウレタン反応させてなるポリウレタン樹脂において、ポリウレタン主鎖の末端のイソシアネート基にさらに活性エネルギー線硬化性二重結合を有するモノオール化合物(e)をウレタン反応させることによっても、作製することができる。
このように、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂は、各化合物を種々の順番で逐次反応させることにより作製することができる。
上記反応において、上記ジオール混合物を構成する全ジオールのモル数をnとした場合、ポリイソシアネート化合物(d)であるジイソシアネート化合物を(n+1)モル加えることにより、両末端にイソシアネート基を有する活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を調製することができる。
上記反応において、活性エネルギー線硬化性二重結合を有するモノオール化合物(e)は、上記中間体の両末端イソシアネート基(NCO基)に対し、2モルで等当量となり、両末端に活性エネルギー線硬化性二重結合を有するモノオール化合物(e)由来の構成単位が導入された活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を調製することができる。
ポリウレタン反応は逐次反応であることから、極性の異なるジオール化合物をポリイソシアネート化合物(d)で繋ぐことにより、ブロック的な構造を有するポリウレタン樹脂を容易に得ることができる。
上述したポリウレタン反応は逐次反応であることから、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂の数平均分子量も、各反応成分(モノマー)の量を調整することにより容易に調整することができる。
また、、ポリイソシアネート化合物(d)として、ジイソシアネート化合物d1とジイソシアネート化合物d2を選定し、それぞれの分子量をD1、D2、それぞれのモル数をd1、d2とした場合に、ポリイソシアネート化合物(d)としてジイソシアネート化合物d1のみ使用する場合には、ポリイソシアネート化合物の数平均分子量Yは、Y=D1で表わされ、ポリイソシアネート化合物(d)としてジイソシアネート化合物d1およびジイソシアネート化合物d2を使用する場合には、ポリイソシアネート化合物の数平均分子量Yは、Y=(d1D1+d2D2)/(d1+d2)で表わされる。
Z=nX+(n+1)Y
(ただし、nはジオ−ル化合物の全モル数であり、Xはジオール化合物の数平均分子量であり、Yはポリイソシアネート化合物の数平均分子量である。)
また、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂が両末端に活性エネルギー線硬化性二重結合を有するものである場合、ポリウレタン樹脂の数平均分子量Z’は、活性エネルギー線硬化性二重結合を有するモノオール化合物(e)の分子量をEとした場合、次式
Z’=Z+2E
により算出ことができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性展色剤は、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とするものである。
また、アクリルモノマーとしては、例えばテクノネット社版「光硬化技術データブック」材料編6〜74頁(整理番号A−101〜A−360,M−101〜M−305、C−01〜C−24)に記載されているモノマーを挙げることができ、アクリルモノマーが重合したオリゴマーとしては、同著84〜118頁に記載されているものを挙げることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性展色剤は、着色剤組成物の作製時における発熱やメカノラジカル重合を抑制するという観点から、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂以外の活性エネルギー線硬化性樹脂を含まないことが好ましい。
本発明着色剤組成物は、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂または本発明の活性エネルギー線硬化性展色剤に顔料を分散してなることを特徴とするものである。
本発明の着色剤組成物としては、種々のものを挙げることができ、紫外線硬化型インクジェットインキ、紫外線硬化型塗料、紫外線硬化型コーティング剤等を調製するための塗布材料予備混合物(ミルベース)であってもよいし、紫外線硬化型インクジェットインキ、紫外線硬化型塗料、紫外線硬化型コーティング剤等の塗布材料自体であってもよい。
上記カーボンブラックとしては、チャネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラックと呼ばれているコンタクト法で製造されたもの、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラックと呼ばれているファーネスト法で製造されたもの、サーマルブラック、アセチレンブラックと呼ばれているサーマル法で製造されたもの等を挙げることができ、これ等のカーボンブラックのうち、生産性に優れたファーネスブラックが好ましい。
また、本発明の着色剤組成物が、有機溶剤を含まないミルベースである場合、その調製方法としては、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂または本発明の活性エネルギー線硬化性展色剤に対し、揮発性の低いアクリルモノマーなどのビニルモノマーを加えて混合、分散し、有機溶媒を減圧溜去することにより、有機溶媒をビニルモノマーに置換した活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂ビニルモノマーを作製し、得られたモノマーに対し、さらに顔料および重合禁止剤を混合し、分散ミルで分散する方法を挙げることができる。
また、本発明の着色剤組成物が、有機溶剤を含まないミルベースである場合、ビニルモノマー又は(メタ)アクリレートモノマー等の活性エネルギー線硬化性モノマーに、顔料及び本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を加え、更に、必要に応じ、(メタ)アクリレートオリゴマー、公知任意の樹脂、重合禁止剤を加え、公知の分散機を用いて、顔料を活性エネルギー線硬化性モノマーに分散させる方法を挙げることができる。
上記有機溶媒としては、本発明の活性エネルギー線硬化性展色剤に使用し得るものと同様のものを挙げることができる。
上記重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メトキノン、P−メトキシフェノール、ニトロソアミン塩等公知のものを挙げることができる。
上記分散は、いずれも、被処理対象物中の顔料濃度が5〜20%でミル分散に適当な粘度となる顔料濃度下で行うことが好ましい。
また、本発明の着色剤組成物が、紫外線硬化型インクジェットインキ、紫外線硬化型塗料、紫外線硬化型コーティング剤等を調製するためのミルベースである場合、該ミルベースに含まれる本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂の含有割合は、上記顔料の含有割合に応じて適宜選定することができる。
1官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、グリシジル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の置換基を有する(メタ)アクリレートから選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記光重合開始剤としては、活性エネルギー線硬化性化合物への溶解性に優れ、活性エネルギー線の透過性を阻害しないものが好ましい。
本発明の着色剤組成物は、概ね、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を1〜30重量%含むことが好ましく、2〜20重量%含むことがより好ましい。また、顔料を1.5〜30重量%含有することが好ましく、2〜20重量%含有することがより好ましい。
本発明の着色剤組成物は、活性エネルギー線硬化性化合物を20〜95重量%含むことが好ましく、45〜90重量%含むことがより好ましい。
本発明の着色剤組成物は、光重合開始剤を2〜20重量%含むことが好ましく、4〜15重量%含むことがより好ましい。
本発明の着色剤組成物は、重合禁止剤を0.01〜0.5重量%含むことが好ましい。
本発明の着色剤組成物が、紫外線硬化型インクジェットインキである場合、活性エネルギー線硬化性化合物を20〜95重量%含むことが好ましく、45〜90重量%含むことがより好ましい。
本発明の着色剤組成物が、紫外線硬化型インクジェットインキである場合、光重合開始剤を2〜20重量%含むことが好ましく、4〜15重量%含むことがより好ましい。
本発明の着色剤組成物が、紫外線硬化型インクジェットインキである場合、重合禁止剤を0.01〜0.5重量%含むことが好ましい。
上記紫外線硬化型インクジェットインキは、カーボンブラック等の顔料の濃度が所望濃度範囲になるように各成分を順次分散することにより調製してもよいし、顔料を所望濃度の1.5〜4倍程度の濃度で含むミルベースを、(メタ)アクリルモノマー等で希釈して印刷適正粘度とした上で、光重合開始剤、増感剤、消泡剤、表面平滑助剤、シランカップリング剤などの接着性向上助剤、ワックス、樹脂、重合禁止剤など公知任意の成分を必要に応じて添加することにより調製してもよい。
上記紫外線硬化型塗料は、カーボンブラック等の顔料の濃度が所望濃度範囲になるように各成分を順次分散することにより調製してもよいし、顔料を所望濃度の1.5〜4倍程度の濃度で含むミルベースを、(メタ)アクリルモノマー等で希釈して印刷適正粘度とした上で、光重合開始剤、増感剤、消泡剤、表面平滑助剤、シランカップリング剤などの接着性向上助剤、ワックス、樹脂、重合禁止剤など公知任意の成分を必要に応じて添加することにより調製してもよい。
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂または本発明の着色剤組成物に活性エネルギー線を照射してなることを特徴とするものである。
上記硬化物の形成時に照射する活性エネルギー線の照射条件は、硬化対象物の組成や得ようとする硬化物の硬度に応じて適宜選定することができる。
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂に活性エネルギー線を照射して硬化してなるものであることから、優れた硬化塗膜を得ることができる。
(1)イミドジオール化合物の合成
攪拌機、環流管(コンデンサー)、縮合水を分離するデカンターおよび窒素導入管を備えた反応容器に、3,4,5,6−テトラヒドロキシ無水フタル酸(新日本理化社製「リカシッドHT−1A」)433.8重量部と、1−アミノプロパンジオール(ダイセル化学工業(株)製「1APD」)265.2重量部と、トルエン300重量部とを仕込み、90℃まで昇温した。更に1時間かけて115℃まで昇温し、均一に溶解したらテトライソプロポキシチタン(日本曹達社製「A−1」)1.4重量部を加えて環流温度で反応を続けた。脱水縮合水が51重量部に達したところで酸価を測定し、酸価が1.6mgKOH/g以下になったときに反応を終了させた。
得られた反応物は、酸価が1.2mgKOH/gであり、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)ではほぼ単一ピークを示すことを確認した。
上記反応物を60〜70℃の温度条件下、微量の空気を吹き込みながらトルエン残量が2%未満になるまで減圧溜去することにより、120℃で30分加熱したときの不揮発分が98重量%である粘調液体状のイミドジオール化合物IMD−1(1−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド)−2,3ヒドロキシプロパン)を得た。このイミドジオール化合物IMD−1は、室温下で保存したところ数日後に結晶性固体となった。
攪拌機、環流管(コンデンサー)、窒素導入管を備えた反応容器に、上記(1)で得たイミドジオール化合物IMD−1を50.1重量部、ひまし油変性ジオール(豊国製油社製HS−2G−120(Mn928))を101.3重量部、ポリエステルジオール(クラレ社製クラポールP−1050(Mn994))を54.2重量部、ポリオキシプロピレンエーテルジオール(三井化学社製PPG−1000(Mn993))を108.4重量部、イソホロンジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製ディスモジュールI)を133.4重量部、メチルエチルケトン(MEK)を214.2重量部仕込み、攪拌しながら65℃まで昇温し、この温度を維持しつつ6時間反応させた。
その後、ライトエステルG−201P(共栄社化学社製)を62.9重量部、ターシャリー−ブチルハイドロキノンを0.1重量部、オクチル酸第一錫を0.15重量部、メチルエチルケトン(MEK)を285.6重量部加え、窒素吹き込み管に換えて空気吹き込み管を使用し、空気を吹き込みながら反応温度75℃で3時間反応させることにより、固形分が50重量%で、数平均分子量が4700である、淡黄色で液体状の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−1を得た。
(1)イミドジオール化合物の合成
実施例1(1)と同様の方法でイミドジオール化合物IMD−1を作製した。
攪拌機、環流管(コンデンサー)、縮合水を分離するデカンターおよび窒素導入管を備えた反応容器に、3,4,5,6−テトラヒドロキシ無水フタル酸(新日本理化社製「リカシッドHT−1A」)433.8重量部と、3−アミノ−1−プロパノール(広栄化学工業社製)265.2重量部と、トルエン300重量部とを仕込み、90℃まで昇温した。更に1時間かけて115℃まで昇温し、均一に溶解したらテトライソプロポキシチタン(日本曹達社製「A−1」)1.4重量部を加えて環流温度で反応を続けた。脱水縮合水が51重量部に達したところで酸価を測定し、酸価が1.6mgKOH/g以下になったときに反応を終了させた。得られた反応物は、得られた反応物は、酸価が1.0mgKOH/gであり、GPCではほぼ単一ピークを示すことを確認した。
上記反応物を60〜70℃の温度条件下、微量の空気を吹き込みながらトルエン残量が2%未満になるまで減圧溜去することにより、120℃で30分加熱したときの不揮発分が99重量%である粘調液体状のイミドアルコール化合物IMA−1を得た。このイミドアルコール化合物IMA−1は、室温下で保存したところ数日後に結晶性固体となった。
攪拌機、環流管(コンデンサー)および窒素導入管を備えた反応容器に、上記(1)で得たイミドジオール化合物IMD−1を50.7重量部、ひまし油変性ジオール(豊国製油社製HS−2G−120(Mn928))を102.5重量部、ポリエステルジオール(クラレ社製クラポールP−1050(Mn994))を54.9重量部、ポリオキシプロピレンエーテルジオール(三井化学社製PPG−1000(Mn993))を109.7重量部、イソホロンジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製ディスモジュールI)を135重量部、メチルエチルケトン(MEK)を214.2重量部仕込み、攪拌しながら65℃まで昇温し、この温度で6時間反応させた。
その後、上記(2)で得たイミドアルコールIMA−1を47.1重量部、ターシャリー−ブチルハイドロキノンを0.05重量部、オクチル酸第一錫を0.15重量部 メチルエチルケトン(MEK)を285.6重量部加え、窒素吹き込み管に換えて空気吹き込み管を用いて微量の空気を吹き込みながら、反応温度75℃で3時間反応させることにより、固形分が50重量%で、数平均分子量が4700である、淡黄色で液体状の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−2を得た。
実施例1で得られた活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−1を12重量部(固形分換算で6重量部)、ターシャリー−ブチルハイドロキノン0.05重量部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジオールのジアクリレート(共栄社化学社製ライトエステル−HPPA)を63重量部と、フェノキシエチルアクリレート(東亜合成社製アロニックスM−101A)を14重量部、2−メトキシエチルアクリレート(大阪有機社製2−MTA)を7重量部を混合して、展色剤MV−1を得た。
次いで、展色剤MV−1を85.3質量部と酸化カーボンブラックTK−1を8重量部と1φmmジルコニアビーズを200重量部とをガラス瓶に入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製PC−1777)を用いて5時間分散処理した。得られた分散物に微量の空気を吹き込みながら、50℃の温度条件下、30mbarで1時間減圧処理することにより活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−1の製造時に使用した反応溶媒を溜去することにより、顔料含有率が10重量%である、酸化カーボンブラックTK−1を分散させたミルベース組成物(カーボンブラックミルベース1)を得た。
得られたカーボンブラックミルベース1においては、嫌気性重合や、熱重合、或いはメカノラジカル重合による増粘、ゲル化などの発生は観察されなかった。
なお、酸化カーボンブラックTK−1は、未中和の酸化カーボンブラック水分散体(AquaBlack162(東海カーボン株式会社製))をろ過、乾燥して得たもので、該酸性官能基が導入されたカーボンブラックTK−1のカルボキシル基量を以下の方法で測定したところ、124μmol/gであった。
<カルボキシル基量の測定方法>
0.976mol/dm3の炭酸水素ナトリウム0.5dm3に、カーボンブラック2gを添加して、6時間振騰した後、カーボンブラックを反応液からろ過分離し、濾液を0.05mol/dm3の水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定し、カルボキシル基量を定量した。
実施例2で得た活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−2を12重量部(固形分換算で6重量部)、ターシャリー−ブチルハイドロキノンを0.05重量部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジオールのジアクリレート(共栄社化学社製ライトエステル−HPPA)を63重量部混合し、50℃の温度条件下、空気を吹き込みながら30mbarで1時間減圧処理することにより、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−2の製造時に使用した反応溶媒を溜去した。これにフェノキシエチルアクリレート(東亜合成社製アロニックス M−101A)を14重量部、2−メトキシエチルアクリレート(大阪有機社製2−MTA)を7重量部加えて展色剤MV−2とした。
次いで、展色剤MV−2を80質量部と酸化カーボンブラックTK−1を8質量部と、1φmmジルコニアビーズ200重量部とをガラス瓶に入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)社製PC−1777)を用いて5時間分散処理することにより、顔料含有率が10重量%である、酸化カーボンブラックTK−1を分散させたミルベース組成物(カーボンブラックミルベース2)を得た。
得られたカーボンブラックミルベース2においては、嫌気性重合や、熱重合、或いはメカノラジカル重合による増粘、ゲル化などの発生は観察されなかった。
実施例2で得た活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−2を12重量部(固形分換算で5重量部)、ターシャリー−ブチルハイドロキノンを0.05重量部、1,9−ノナンジオールアクリレート(共栄社化学社製ライトエステル−)を63重量部混合し、50℃の温度条件下、空気を吹き込みながら30mbarで1時間減圧処理することにより、活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−2の製造時に使用した反応溶媒を溜去した。これにフェノキシエチルアクリレート(東亜合成社製アロニックス M−101A)を14重量部、2−メトキシエチルアクリレート(大阪有機社製2−MTA)を7重量部を加えて展色剤MV−3とした。
展色剤MV−3を80質量部と酸化カーボンブラックTK−1を8質量部と1φmmジルコニアビーズ200重量部とをガラス瓶に入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)社製PC−1777)を用いて5時間分散処理することにより、顔料含有率が10重量%である、酸化カーボンブラックTK−1を分散させたミルベース組成物(カーボンブラックミルベース3)を得た。
得られたカーボンブラックミルベース3においては、嫌気性重合や、熱重合、或いはメカノラジカル重合による増粘、ゲル化などの発生は観察されなかった。
活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂PUV−1に代えて、比較例1では味の素ファインテクノ社製アジスパー−PB821を用い、比較例2ではルーブリゾール社製ソルスパーズ32000を用い、比較例3ではルーブリゾール社製ソルスパーズ39000を用い、反応溶媒を溜去する処理を行わなかったことを除けは、実施例3と同様にして、それぞれ酸化カーボンブラック顔料TK−1を分散させたミルベース組成物(比較カーボンブラックミルベース1〜比較カーボンブラックミルベース3)を得た。
E型粘度計(東機産業製 TVE−20L)を用いて、実施例3〜実施例5および比較例1〜比較例3で得られたカーボンブラックミルベースの25℃における粘度を測定した。結果を表1に示す。
ヘテロダインレーザードップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製UPA model 9340)を用いるとともに、粘度調整用の溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて、実施例3〜実施例5および比較例1〜比較例3で得られたミルベースを構成するカーボンブラック粒子凝集体の粒度分布曲線をそれぞれ求めることにより、体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径を求め、これを平均粒径とした。結果を表1に示す。
表2に示すように、実施例3で得たカーボンブラックミルベース1を35重量部、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亞合成株式会社製アロニックスM−350)を18重量部、1、9−ノナンジオールジアクリレートを32重量部、2−メトキシエチルアクリレート(大阪有機社製2−MTA)を8重量部、メタクリル酸エチルリン酸エステル(日本化薬社製カヤマーPM−21)を2重量部、4,4’−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノンを1重量部、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(CIBA社製光開始剤イルガキュア127)を3重量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(CIBA社製光開始剤イルガキュア369)を1重量部を添加し攪拌することにより、紫外線硬化用インクジェットインキ1を作製した。
表2に示すように、実施例7においては、カーボンブラックミルベース1に代えてカーボンブラックミルベース2を用い、実施例8においては、カーボンブラックミルベース1に代えてカーボンブラックミルベース3を用いた以外は、実施例6と同様にして、それぞれ、紫外線硬化用インクジェットインキ2および紫外線硬化用インクジェットインキ3を作製した。
表2に示すように、比較例4においては、カーボンブラックミルベース1に代えて比較カーボンブラックミルベース1を用い、比較例5においては、カーボンブラックミルベース1に代えて比較カーボンブラックミルベース2を用い、比較例6においては、カーボンブラックミルベース1に代えて比較カーボンブラックミルベース3を用いた以外は、実施例6と同様にして、それぞれ、紫外線硬化用比較インクジェットインキ1、紫外線硬化用比較インクジェットインキ2および紫外線硬化用比較インクジェットインキ3を作製した。
実施例6〜実施例8で得られた紫外線硬化用インクジェットインキ1〜3および比較例4〜比較例6で得られた紫外線硬化用比較インクジェットインキ1〜3を用い、それぞれ、0.3mm厚の未処理アルミニウム板に対し、No.3ドローダウンロッドにて7μm厚になるように各インクジェットインキを塗布した。
上記インクジェットインキを塗布したアルミニウム板に対し、UV照射試験機(アイグラフィックス社製4kW アイグランテージ(ECS−4011GX))にて、以下の条件で紫外線を照射して、UV硬化塗膜を作製した。
(照射条件)
UVランプ:メタルハライドランプ 一灯、コールドミラー集光
照射距離 :100mm
ランプ出力:4kw−コンベア速度:20m
UVメーター:UVPF−A1
最高照度 :1320mW/cm2
積算光量 :455mJ/cm2
上皿電子天秤に載せた各UV硬化塗膜を有するアルミニウム板に対し、300g程度の荷重が掛かるようにMEKを染み込ませた綿棒を押し当てて2〜3センチ間の同じ箇所往復させて塗膜を擦り(ラビングし)、塗膜が剥がれ下地が見るまでの往復ラビング回数を計測した。
マクベス濃度計(コルモーゲン社製 RD−927)を用いて反射光学的濃度(OD値)測定した。
BYKガードナー社の60度グロスメーターで光沢度を測定した。
また、本発明によれば、上記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を含む活性エネルギー線硬化性展色剤、着色剤組成物および硬化物を提供することができる。
Claims (7)
- 活性エネルギー線硬化性環状イミド基を側鎖に有するジオール化合物(a)をモノマー原料としてウレタン反応させてなる活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂であって、
前記活性エネルギー線硬化性環状イミド基を側鎖に有するジオール化合物(a)が、下記一般式(I)
(但し、R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐構造のアルキル基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R1およびR2が結合して環状構造を成していてもよい。R3は、炭素数1〜22のアルキレン基、R4およびR5は、炭素数0〜22のアルキレン基であって、それぞれ同一であっても異なってもよいが、少なくとも何れか一方の炭素数が1〜22である。)で表わされる化合物、下記一般式(II)
(但し、R6およびR7は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖アルキル基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R6およびR7が結合して環状構造を成していてもよい。R8は、炭素数1〜22のアルキレン基、R9およびR10は炭素数0〜22のアルキレン基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも何れか一方の炭素数が1〜22である。R11およびR12は、炭素数2〜22のポリエステル残基または炭素数2〜6のポリオキシアルキレンエーテル残基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる化合物および下記一般式(III)
(但し、R13およびR14は、炭素数2〜22のアルキレン基、炭素数2〜22のポリエステル残基または炭素数2〜6のポリオキシアルキレンエーテル残基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、R15は、炭素数2〜6のアルキレン基である。)で表わされる化合物から選ばれる一種以上であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂。 - さらに極性分子鎖を有するジオール化合物(b)として、塩基性官能基を有するジオール化合物(b1)、ノニオン系極性分子鎖を有するジオール化合物(b2)および酸性官能基を有するジオール化合物(b3)から選ばれる一種以上と、
低極性分子鎖を有するジオール化合物(c)として、油脂由来のアルキル基、アルケニル基を有するジオール化合物(c1)、炭素数6以上のアルキル基またはアルケニル基を有するジオール化合物(c2)、炭素数4以上の分子単位を4個以上繰り返し単位として有するジオール化合物(c3)、ロジン骨格又は水添ロジン骨格を有するジオール化合物および下記一般式(VIII)
(但し、R21およびR22は、−Ck’H2k’−OHで表わされる直鎖状または分岐鎖状の基または−Cl’H2l’−COO−Cm’H2m’−OHで表わされる基であり、k’は2〜6の数、l’は2〜3の数、m’は2〜4の数であって、R21およびR22は同一であっても異なっていてもよく、R23は、
(ただし、nは5〜30の数である。)、
(ただし、oは5〜30の数である。)、
(ただし、pは5〜30の数である。)、
(ただし、qは6以下の数であり、rは5〜30の数である。)、
または炭素数4以上の単量体の繰り返し単位が4個以上のポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンからなる分子鎖から選ばれる基である。)
から選ばれる一種以上とをモノマー原料としてウレタン反応させてなる請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂。 - ポリウレタン主鎖の末端にさらに活性エネルギー線硬化性二重結合を有するモノオール化合物(e)をウレタン反応させてなる請求項1または請求項2に記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性展色剤。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂または請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性展色剤に顔料を分散してなることを特徴とする着色剤組成物。
- 前記着色剤組成物がインクジェットインキ組成物である請求項5に記載の着色剤組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性ポリウレタン樹脂または請求項5若しくは請求項6に記載の着色剤組成物に活性エネルギー線を照射してなることを特徴とする硬化物。
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