まず、本発明に係る受信機の理解を助けるために、緊急地震速報(以下、「地震動警報」または「地震動警報情報」とする。)の電文情報を、デジタル放送波に多重されるAC信号によって送信側が伝送する情報形態について説明する。特に、上記非特許文献1における社団法人電波産業会、「緊急地震速報の速やかな伝送について検討報告書(詳細)」に関連して、ARIB規格STD−B31の1.8版について簡潔に説明する。
[地震動警報の電文情報]
ARIB規格STD−B31の1.8版によると、地震動警報の電文情報の伝送のためにACが利用されるときには、セグメント番号#0のセグメント内のACを用い、且つ、差動復調の基準(B0)に続く3ビット(B1〜B3)を構成識別とし、この値が「001」あるいは「110」の時としている。それ以外の構成識別が割り当てられているときには、放送事業者が独自に行う「変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送」する場合である。なお、一般の地上デジタルテレビジョン放送の受信機は、ARIB規格STD−B21によると、地震動警報の伝送を目的とした伝送以外でAC信号が用いられているときには、AC信号を復号しないことになっている。表1にAC信号のビット割り当てを示す。
AC信号は、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送波の場合、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control:伝送制御)信号と同様に、その1フレームが204個のOFDMシンボルで構成され、TMCC信号の1フレームと同期して送信される。
AC信号は、地震動警報の伝送には、セグメント番号#0のセグメントが用いられる。モード3の同期変調の場合、セグメント番号#0(または部分受信)のセグメント内では、キャリア番号#7、#89、#206、#209、#226、#244、#377及び#407の8箇所にあるACキャリアが該当し、これら8本のキャリアによって運ばれる信号がAC信号である。
ここで、「差動復調の基準」は、TMCC信号と同様に、キャリア番号kのSP信号に割り当てられるBPSK信号の値Wkと同じ生成多項式(x11+x9+1)に基づく値であり、先に述べた、キャリア番号#7,#89,#206,#209,#226,#244,#377及び#407のACキャリアの場合、差動復調の基準として格納されるWkは、各々0,0,0,0,0,1,1及び0である。
「構成識別」は、その後の200ビット(B4〜B203)が、「変調波の伝送制御に関する付加情報」であるのか「地震動警報情報」であるのかを判別するのに用いる。
表2は、「構成識別」が「地震動警報情報」を示す場合の「地震動警報情報」のビット割り当てを表す。
「同期信号」は、「構成識別」(「001」と「110」)と組み合わせた16ビットが、TMCC信号の同期信号の16ビット「0011010111101110」(w0)及びその反転(w1)と同一の値を取るように設定されたものであり、TMCC信号の同期信号と同じタイミングでフレーム毎にw0とw1を交互に送出する。
「開始/終了フラグ」は、その2ビットの値の遷移により、地震動警報詳細情報の伝送の開始と終了を示すものであり、地震動警報詳細情報の伝送の有無を識別することができる。その値が「11」の場合、平常の状態を表し、後述の「地震動警報詳細情報」がない状態を示す。「開始/終了フラグ」の値が「00」となり、「地震動警報詳細情報あり」となることで、地震動警報情報の送出が開始される。逆に、「11」となり、「地震動警報詳細情報なし」に戻ることで、地震動警報情報の送出が終了する。「開始/終了フラグ」に2ビット割り当てられているのは、フラグの信頼性向上を目的としており、符号間距離の最大となる反転符号を用いている。
従って、「開始/終了フラグ」は、地震動警報の受信に伴う受信機の起動信号として使用することができる。
「更新フラグ」の2ビットは、「開始/終了フラグ」の値の「00」への遷移で始まる一連の地震動警報詳細情報の内容(「信号識別」及び後述の「地震動情報」の内容)に変更が生じるごとに1つずつ増加する。「更新フラグ」は、「00」を開始値とし、「11」の次には「00」に戻り、「開始/終了フラグ」が「11」の時には、「11」となっている。
「信号識別」は、地震動警報詳細情報の種別を識別するために使用する。ARIB規格STD−B31では、以下のように3ビットの値の組合せを定義している。
「000」:地震動警報詳細情報(該当地域あり)
「001」:地震動警報詳細情報(該当地域なし)
「010」:地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域あり)
「011」:地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域なし)
「111」:地震動警報詳細情報なし
なお、括弧「()」内の「該当地域あり」及び「該当地域なし」は、放送区域内に地震動警報の対象地域があること、及び対象地域がないことを各々示している。
「CRC」は、巡回符号による誤り検出(Cyclic Redundancy Check)を行うための10ビットのパリティビットである。AC信号のビット割り当てのうち、B21〜B111の91ビットを対象とし、続く「パリティビット」による誤り訂正後に該対象とするビットに誤りがないかを検証するために用いる。生成多項式は、g(x)=x10+x9+x5+x4+x+1である。
「パリティビット」は、誤り訂正に用いるパリティビットである。「開始/終了フラグ」の1ビット目から「パリティビット」の直前のビットまでの105ビット(B17〜B121)を対象に、誤り訂正を可能とする82ビットのパリティビットが格納される。TMCC信号と同様に、差集合巡回符号(273、191)の短縮符号(187、105)が用いられる。8ビット程度の誤り訂正が可能となるので、情報の信頼度を高め、より確実な伝送を可能とする。
「地震動警報詳細情報」は、地震動警報情報の具体的な情報を伝送する部分である。「開始/終了フラグ」の値により、異なるフォーマットの電文情報が送出される。
表3及び表4に各々「開始/終了フラグ」の値が「00」の場合及び「11」の場合の各「地震動警報詳細情報」(「地震動警報詳細情報(地震動警報詳細情報あり)」と「地震動警報詳細情報(地震動警報詳細情報なし)」)のビット割り当てをそれぞれ示す。
「現在時刻」は、地震動警報情報を伝送する現在の時刻情報(年月日時分秒)を伝送するための31ビットであり、基準年月日時分秒からの経過時間を二進数表記したものから下位の31ビットを抜き出して割り当てたものである。
「現在時刻」の送出には、TOT(Time Offset Table)などで受信機に別途届けられる時刻とAC信号により送出された当該時刻情報とを照合することで、受信した地震動警報情報の信頼性を確認することが可能であることが想定されている。
「地震動警報」は、56ビットを2種類の情報に割り当てて、地震動警報の中身を伝えるために使用される部分である。地震動警報の対象地域の情報及び地震動警報の震源などに関する情報がこの2つに該当する。前者の対象地域の情報では、56ビットの各々に、都道府県単位に相当する各地域が割り当てられており、地震動警報の対象となる地域に「0」を割り当てて送出する。なお、平常時には全て「1」とする。震源などの情報では、地震の総数(最大2つの地震の情報を送出)、情報番号(最大2つの地震の何番目かを記載)、地震の識別番号、警報であるかキャンセル報であるかの識別、震源の緯度・経度、震源の深さ、発生時刻の情報が該当する。これらが56ビットに収まるように各ビットを割り振っている。
「ページ種別」は、2種類の「地震動警報」の情報を切り替えて送出する際に、両者を識別するために付加されている情報ビットである。「0」は対象地域の情報であること、「1」は震源などに関する情報であることを示す。
「現在時刻」、「ページ種別」及び「地震動警報」は、「開始/終了フラグ」が「00」となる地震動警報詳細情報が送出されている時に、送出される情報である。
一方、「開始/終了フラグ」が「11」である平常時には、「放送事業者識別」が送出される。「放送事業者識別」は、全国の放送事業者を認識するための識別情報であり、11ビットを用いてユニークに割り付けて使用される。
AC信号で伝送する場合の「放送事業者識別」の11ビットの具体的な中身については、現在運用規定がなく未整備である。そこで、ARIB技術資料TR−B14に記載される「ネットワーク識別」や「サービス識別」と同様に考え、NIT内のサービスリスト記述子と同じ内容の「地域識別」、「県複フラグ」及び「地域事業者識別」を割り当てれば、ちょうど11ビットであり、かつ、全国でユニークとなり、ARIB規格STD−B31の目的を達成することができる。
受信機側では、AC信号で「放送事業者識別」の情報を取得することで、「地域識別」及び「地域事業者識別」に相当する情報を得ることにより、受信機の位置する放送区域並びに受信したデジタル放送波がいずれの放送事業者によるものかを認識することができるようになる。
なお、TR−B14の記載は地上デジタルテレビジョン放送に関するものに限定され、携帯端末向けマルチメディア放送に関しては、「ネットワーク識別」などの詳細は未規定である。地上デジタルテレビジョン放送と同様な規定が作成され、同様に運用されることで、放送区域及び放送事業者を認識するしくみが実現できる。
次に、地上デジタルテレビジョン放送の受信機が作成するサービスリストあるいはチャンネルリストについて説明する。
上述したように、従来の方式では、受信機側でサービスリストやチャンネルリストを作成するにあたり、放送波スキャンの過程で、受信機が認識する物理チャンネル(RF周波数)毎に、NIT内のTS(Transport Stream)ループにあるTS情報記述子やサービスリスト記述子、部分受信記述子を検索し、そこに書き込まれる情報から、「チャンネル番号」、「放送局名」、「サービスタイプ」、「サービス種別」などの情報を入手し、各物理チャンネルとともにリスト化し、保存する。
なお、「チャンネル番号」は、アナログ放送と異なり、デジタル放送では物理チャンネルとは別の3桁表示の番号で設定される。具体的には、次の式で与えられるものである。
チャンネル番号=サービス種別×200
+リモートコントロールキー識別×10
+サービス番号
+1
ここで、この数字は十進数表記とし、「サービス種別」と「サービス番号」は「サービス識別」より入手できる数字であり、「サービス識別」と「リモートコントロールキー識別(remote_control_key_id)」は、いずれもTS情報記述子内に記述される情報である。
「放送局名」は、TS情報記述子に記載の「TS名」とすることができる。
「サービス種別」は、「サービス識別」から得ることができ、「テレビ型」、「データ型」という区別である。「データ型」には、部分受信とそれ以外の分類がある。
「サービスタイプ」は、NIT内のサービスリスト記述子から「サービス識別」との組合せで入手でき、「デジタルTVサービス」や「データサービス」といった対象サービスを示すものである。
そして、「サービス識別」は、「地域識別」や「県複フラグ」、「地域事業者識別」を含む情報であり、上述のように、「サービス識別」からもこれに含まれる「地域識別」などの情報から受信機の位置する放送区域並びに放送事業者を認識することができる。
つまり、「地域識別」や「県複フラグ」、「地域事業者識別」のコード(ビットの組合せ)と、放送区域並びに放送事業者とを一意に認定できる情報ファイルを受信機が有することにより、上記「放送局名」あるいは「TS名」を知らなくても認識することができる。
そこで、本発明に係る受信機では、NITに代わり、AC信号にて伝送される「放送事業者識別」を受信し、受信機が備える全国の放送事業者リストから、放送区域と放送事業者名並びにリモートコントロールキー識別を参照して、サービスリスト或いはチャンネルリストを作成する。
以下、本発明による実施例1の受信機について図1〜図3を参照して説明する。
[実施例1の受信機]
図1は、本発明による実施例1の受信機のブロック図である。図2は、本発明による実施例1の受信機のより詳細なブロック図である。図3は、本発明による実施例1の受信機の動作を示すフローチャートである。尚、実施例1では、「サービス種別」は、主に「部分受信」あるいは「1セグメント」を想定し、一意に定まるものとしてチャンネルリストを作成する。つまり、上記の「サービス種別」の値を常に「11」(=3)であるものとして、チャンネルリストを作成する例である。以下、「チャンネルリストの作成」を基本として説明するが、サービス情報を追加した「サービスリストの作成」を含めた動作を対象とする場合もある。
尚、TMCC情報に記述される「システム識別」と「部分受信フラグ」の組合せを確認することで受信精度を高めることもできるので、この例については実施例2で説明する。
図1に示す本発明による実施例1の受信機10aは、地上デジタルテレビジョン放送のサービスにおいて、地震動警報情報を受信するためにAC信号を受信する機能を有し、地震動警報情報の待受けの状態で、AC信号から「放送事業者識別」を受信するとともに、予め保持される放送区域別の放送事業者参照情報を参照して、受信機が位置する地域において、自動的にチャンネルリストを作成することが可能な装置である。
即ち、実施例1の受信機10aは、デジタル放送波の受信地域の変化に応じて自動的に放送波のチャンネルリストを作成する受信機として構成され、受信部11と、周波数変換部12と、AC抽出部13と、AC復号部14と、チャンネル検出情報生成部15と、チャンネルリスト作成部16と、放送事業者参照情報記憶部17とを備える。
尚、上述したように、デジタル放送波に多重されているAC信号によって地震動警報情報が伝送可能なように構成され、該地震動警報情報は、デジタル放送波の放送事業者を特定する放送事業者識別情報を含んでいる。
受信部11は、デジタル放送波を受信するアンテナとして構成される。
周波数変換部12は、受信部11から出力される受信デジタル放送波信号と、局部発振周波数信号とを混合して中間周波信号を出力する機能を有する。例えば、周波数変換部12は、受信部11(アンテナ)から入力された地上デジタルテレビジョン放送波のうち所定のフィルタにより不要な周波数成分を除去した後、チャンネル検出情報生成部15(後述する局部発振器制御部15−2)により指定されたチャンネルを選択し、中間周波信号に周波数変換するとともに適宜増幅して出力する。
AC抽出部13は、周波数変換部12における局部発振周波数信号により個別に選択された各物理チャンネルの受信デジタル放送波信号に各々対応する中間周波信号から個別にAC信号を抽出する機能を有する。
AC復号部14は、AC抽出部13によって抽出したAC信号から地震動警報詳細情報(地震動警報の電文情報)内の放送事業者識別情報を復号する機能を有する。
チャンネル検出情報生成部15は、デジタル放送波の全物理チャンネルからその各々に対応する中間周波信号が得られるように、周波数変換部12における局部発振周波数信号を変化させ、周波数変換部12から得られる中間周波信号の各電力値を算出し、基準値以上の電力値を有する中間周波信号を検出してチャンネル検出情報として生成する機能を有する。
放送事業者参照情報記憶部17は、各都道府県別の放送事業者情報及びチャンネル番号を関連付けたテーブルを予め保持するデータベースとしての機能を有する。より具体的には、放送事業者参照情報記憶部17は、NITから得られる情報と等価の情報、例えば、各都道府県単位で各放送事業者(「放送局名」)が「チャンネル番号」(3桁の数値)のいくつに登録されているか示す情報を記憶する。より好適には、放送事業者参照情報記憶部17は、「チャンネル番号」と関連して「リモートコントロールキー識別」、つまり、リモコンキー番号も記憶している。尚、本実施例の受信機10aは、例えば、ワンセグ受信機においては、「サービス種別」及び「サービスタイプ」は各々「データ型(部分受信)」及び「データサービス」といったように、予め定めたものを記憶しているものとする。従って、本実施例の受信機10aは、物理チャンネル情報は記憶していないので、その都度物理チャンネル情報を取得して放送事業者参照情報記憶部17を参照し、チャンネルリストを作成することを想定している。
チャンネルリスト作成部16は、放送事業者参照情報記憶部17に保持されている各都道府県別の放送事業者情報を参照して、AC復号部14によって復号した放送事業者識別情報に対応するチャンネル番号を検索し、検索して得られたチャンネル番号とチャンネル検出情報生成部15によって生成したチャンネル検出情報とを関連付け、検出したデジタル放送波のチャンネル検出情報に対するチャンネル番号を示す放送波のチャンネルリストを作成する機能を有する。また、チャンネルリスト作成部16は、デジタル放送波にて伝送される放送番組の視聴を開始するタイミングをトリガとして、チャンネル検出情報生成部15に指示して、デジタル放送波の全物理チャンネルからその各々に対応する中間周波信号が得られるように、周波数変換部12における局部発振周波数信号を変化させ、チャンネル検出情報を生成させる機能を有する。
実施例1の受信機10aについて、より具体的に構成した例を図2に示している。図2に示す受信機10bにおいて、受信部11は、デジタル放送波を受信するアンテナとして構成され、AC抽出部13は、AD変換部13−1と、FFT部13−2と、AC信号抽出部13−3から構成され、AC復号部14は、誤り訂正部14−1と、AC情報復号部14−2から構成され、チャンネル検出情報生成部15は、レベル検出部15−1と、局部発振器制御部15−2から構成される。また、図2に示す受信機10bは、適宜、TSP復調部18と、チャンネル選択部19が設けられる。
AD変換部13−1は、周波数変換部12から出力される中間周波信号をデジタルに変換し、デジタルベースバンド信号を送出する。
FFT部13−2は、OFDMシンボルの有効シンボル期間についてFFT(Fast Fourier Transform)演算を行い、OFDM形式のストリームに復調する。尚、有効シンボル期間は、ガードインターバル相関などによりシンボル同期を行って規定することができ、予め定めた伝送モードに従ったFFTサンプル周波数でFFT演算を行う。
AC信号抽出部13−3は、受信信号のOFDM形式のストリームから、例えば、ISDB−T方式のモード3の場合、8本のACキャリアを抽出して復調し、DBPSKされた該ACキャリアを遅延検波した後、又は1のレベル判定を行い、AC信号のビットストリームを得る。
誤り訂正部14−1は、AC信号抽出部13−3が出力するAC信号のビットストリームに対し、差集合巡回符号方式のパリティビットに基づき誤り訂正を行う。尚、誤り訂正部14−1は、誤り訂正ができず、パリティ検査結果が0にならなかった場合、あるいは、CRCの誤り検出により誤りが検出された場合には、後段のAC情報復号部14−2にその旨を通知する。
AC情報復号部14−2は、誤り訂正部14−1が出力した誤り訂正後のAC信号のビットストリームから地震動警報情報の電文情報を復号する。また、AC情報復号部14−2は、AC信号のビットストリームから復号された電文情報において、「開始/終了フラグ」が「11」の場合、平常時であり、地震動警報は待受けとなるが、「放送事業者識別」を取得し、保持する機能を有し、一方で、「開始/終了フラグ」が「00」となった場合には、電文情報を受信機10bの地震動警報情報処理系へ信号を渡す機能を有する。
レベル検出部15−1は、周波数変換部12から出力される中間周波信号の電力を測定する。本実施例では、レベル検出部15−1は、局部発振器制御部15−2が出力する周波数設定情報に対する情報としてチャンネル検出情報をチャンネルリスト作成部16に出力する。なお、レベル検出部15−1は、周波数変換部12から出力される中間周波信号に対して図示しない自動利得制御が施される場合には、この自動利得制御後のレベルを検出するものとして構成することができる。
局部発振器制御部15−2は、取得するチャンネルの放送波信号が中間周波信号の周波数帯内の信号に変換するように、周波数変換部12内の局部発振器(図示せず)の発振周波数を制御する。ここで、「取得するチャンネル」は、チャンネルリスト作成部16へ出力される周波数設定情報に基づくものであり、放送波スキャン時においては、チャンネルリスト作成部16から指示されるタイミングに基づき、例えば最も周波数の低いチャンネル(UHFの場合13ch)から順に設定される。
TSP復調部18は、FFT部13−2によるFFT演算後にTSパケットを復調するために随意設けられる機能部であり、本線信号であるTSパケットを復調し、バックエンド処理系へ受信した番組TS並びにPSI/SIなど番組情報記述子を含む関連情報を受け渡す機能を有する。
チャンネル選択部19は、チャンネルリスト作成部16が作成して保持するチャンネルリストから、ユーザによる操作に基づき、受信機10bが受信する番組のチャンネルを選択するインターフェースとして機能する。
従って、チャンネルリスト作成部16は、レベル検出部15−1、局部発振器制御部15−2、及びAC情報復号部14−2が各々出力する周波数設定情報、チャンネル検出情報、及び「放送事業者識別」の情報を取得することにより、放送事業者参照情報記憶部16が記憶する「放送局名」と「チャンネル番号」、好適には「リモートコントロール識別」とを関連付けて、当該受信エリアにおけるチャンネルリストを作成し、保持することができる。
次に、本発明による実施例1の受信機10bの基本動作について説明する。図3は、本発明における実施例1の受信機10bがチャンネルリストを作成し、保持する処理の基本動作を説明するフローチャートである。
(受信機の動作)
図3では、本発明における実施例1の受信機10bによって放送波の高速スキャンを実施する際の動作例が示されている。
受信機10bは、受信機10bのユーザが、意図したタイミングで、例えば、地上デジタルテレビジョン放送の場合には、当該テレビジョン放送の受信を開始した時点で、放送波スキャンを開始する。
放送波スキャンを開始すると、アンテナを経て受信した信号から放送波信号を受信し、例えば、地上デジタルテレビジョン放送の場合、UHF帯の13chから62ch(V−low地上モバイルマルチメディア放送の場合には、VHFの1chのサブチャンネル1から3chのサブチャンネル42)を順に選択する(ステップS1)。
このため、受信機10bは、放送波スキャンにより探索を行う各物理チャンネルの放送波を抜き出せるように、局部発振器制御部15−2が周波数変換部12の局部発振器の周波数を順次設定し、物理チャンネルの変更を行う(ステップS2)。
周波数変換部12は、局部発振器制御部15−2が出力する周波数設定情報に基づき設定された物理チャンネル内の放送波を中間周波信号として抜き出し、レベル検出部15−1によってそのチャンネル内の電力(以下、「チャンネル電力」と称する)を測定する(ステップS3)。
レベル検出部15−1は、測定したチャンネル電力が基準とする電力、例えば、AC信号が正しく復号できる受信電力値を上回って検出された場合には、チャンネル検出情報を出力する(ステップS4)。レベル検出部15−1は、測定したチャンネル電力が基準電力を満たさない場合には、全ての物理チャンネルの確認が終了するまで、「物理チャンネルの変更」(ステップS1〜S2)の状態に戻り、続くチャンネルの操作を行う。
AC抽出部13は、レベル検出部15−1によってチャンネル検出情報が出力されると、AC信号内の同期情報に基づいて同期確立し、このチャンネル検出情報に従う放送波からAC信号を抽出する(ステップS5)。
AC復号部14は、抽出したAC信号を復号してAC信号が地震動警報情報の伝送に用いられているかを「構成識別」に基づいて確認し(ステップS6)、地震動警報情報の伝送に用いられていることが確認できた場合には、地震動警報詳細情報を抽出すべくAC信号を復号する(ステップS7)。
AC復号部14は、放送波スキャンを行っている場合には、地震動警報が発報されていない平常時であることを想定するが、平常時のAC信号から「放送事業者識別」の情報を得て、放送事業者識別の認識処理を行う(ステップS8)。
チャンネルリスト作成部16は、得られた周波数設定情報、チャンネル検出情報、「放送事業者識別」、及び、放送事業者参照情報記憶部17が記憶する「放送局名」と「チャンネル番号」、好適には「リモートコントロール識別」とを関連付けてチャンネルリストを作成し(チャンネルリスト追加)、保持する(ステップS9からステップS1)。
ステップS6におけるAC信号の受信後の「構成識別」の確認において、地震動警報情報の伝送ではないと判断した場合には、当該物理チャンネルのチャンネル検出情報のみを、一旦チャンネルリストに追加する。
その後は、全ての物理チャンネルの確認が終了するまで、再び周波数の変更に戻り、同様な操作を繰り返す。
全物理チャンネルにわたる調査が終了したら、チャンネルリストを提示し、ユーザの確認、あるいは所定の時間の後提示を終了し、番組の視聴などの状態に移る。
なお、放送波スキャン時に、地震動警報情報の伝送以外の目的で使用され、放送事業者事業者情報を取得できずにいる物理チャンネルが1つのみであるときには、放送事業者参照情報記憶部17が記憶する放送区域と放送事業者情報とに基づき、該当する事業者がある場合には、その事業者を割り振るように構成することができる。一方、2つ以上の場合は、そのままとし、リモコンキー番号のみ検出順で割り振るように構成することができる。
これにより、受信機10bのユーザは、例えばチャンネル選択部19を介してリモコンキー番号により、作成したチャンネルリストからチャンネルを選択し、番組を視聴することができる。その際、TSP復調部18によってTSパケットを復調し、改めてNITを検出し、各情報に修正する箇所がある場合には、その内容を修正するように構成することができる。
なお、地下街など電波が遮蔽されている環境において自動的に放送波スキャンする場合も想定し、放送波スキャンの結果、何のチャンネルも検出できなかった場合には、前回のチャンネルリストをそのまま保持するものとしてもよい。
以上のように、本発明に係る実施例1の受信機によれば、AC信号に多重された「放送事業者識別」を用いて、NITを用いて行うのと同様に、チャンネルリストを作成できる。このとき、単にNITを用いてチャンネルリストを作成する従来技術のものと比較して、NITが1秒〜3秒の周期で再送されるのに対し、AC信号に多重された「放送事業者識別」は、ISDB−T方式のモード3の場合、そのフレーム周期である0.2秒程度(ガードインターバル比1/8では0.231秒)ごとに再送されるため、NITから情報を得る場合に比べ、4倍以上速く情報を入手することが可能となる。
また、DQPSKで伝送され、同モード3の同期変調部の場合8本あるACキャリアに同じ情報が多重されて送出されるAC信号は、QPSK2/3で伝送されるTSに比べ、10dB程度低い受信電力でも受信することができるため、本発明に係る受信機が移動中の不安定な環境においてもチャンネルリストの作成に必要な情報を確実に入手することができるようになる。
次に、本発明による実施例2の受信機について図4〜図6を参照して説明する。
[実施例2の受信機]
図4は、本発明による実施例2の受信機のブロック図である。図5は、本発明による実施例2の受信機のより詳細なブロック図である。図6は、本発明による実施例1の受信機の動作を示すフローチャートである。
(実施例2)
図4に示す本発明による実施例2の受信機30aは、地上デジタルテレビジョン放送のサービスにおいて、地震動警報情報を受信するためにAC信号を受信する機能を有し、地震動警報情報の待受けの状態で、AC信号から「放送事業者識別」を受信するとともに、予め保持される放送区域別の放送事業者参照情報を参照して、受信機が位置する地域において、自動的にチャンネルリストを作成することが可能な装置である。
即ち、実施例2の受信機30aは、デジタル放送波の受信地域の変化に応じて自動的に放送波のチャンネルリストを作成する受信機として構成され、実施例1と同様に受信部11と、周波数変換部12と、AC抽出部13と、AC復号部14と、チャンネル検出情報生成部15と、チャンネルリスト作成部16と、放送事業者参照情報記憶部17とを備えるが、実施例2では、さらに、TMCC抽出部31と、TMCC復号部32とを備える点で相違する。従って、実施例1と同様な構成要素には同一の参照番号を付して説明する。
尚、上述したように、デジタル放送波に多重されているAC信号によって地震動警報情報が伝送可能なように構成され、該地震動警報情報は、デジタル放送波の放送事業者を特定する放送事業者識別情報を含んでいる。
TMCC抽出部31は、AC信号抽出部13によるAC信号の抽出と並行して、TMCC信号を抽出する機能を有する。
TMCC復号部32は、TMCC抽出部31により抽出されたTMCC信号からTMCC情報を復号し、前記TMCC情報内のシステム識別及び部分受信フラグの情報から、前記チャンネル検出情報に対応する前記放送波のサービス種別及びサービスタイプの情報を抽出する機能を有する。
従って、実施例2のチャンネルリスト作成部16は、当該検出した前記デジタル放送波のチャンネル検出情報に対するチャンネル番号、サービス種別及びサービスタイプの情報を関連付けたチャンネルリストを作成する機能を有する。
実施例2の受信機30aについて、より具体的に構成した例を図5に示している。図5に示す受信機30bにおいて、受信部11は、デジタル放送波を受信するアンテナとして構成され、AC抽出部13は、AD変換部13−1と、FFT部13−2と、AC信号抽出部13−3から構成され、AC復号部14は、誤り訂正部14−1と、AC情報復号部14−2から構成され、チャンネル検出情報生成部15は、レベル検出部15−1と、局部発振器制御部15−2から構成され、TMCC抽出部31は、FFT部13−2とTMCC信号抽出部31−1から構成され、TMCC復号部32は、誤り訂正部32−1と、TMCC情報復号部32−2から構成される。また、図5に示す受信機30bは、適宜、TSP復調部18と、チャンネル選択部19が設けられる。
以下、実施例2の受信機30bについて、実施例1と異なる部分について詳細に説明する。
実施例1の受信機10bでは、放送事業者参照情報記憶部17は、各放送事業者(「放送局名」)、「チャンネル番号」(3桁の数値)、好適には「リモートコントロールキー識別」を記憶する際に、例えば、ワンセグ受信機においては、「サービス種別」及び「サービスタイプ」は各々「データ型(部分受信)」及び「データサービス」といったように、予め定めたものを記憶している例を説明した。
これに対し、実施例2の受信機30bでは、追加して、TMCC信号抽出部31−1、誤り訂正部32−1及びTMCC情報復号部32−2を備え、TMCC情報復号部32−2によって検出されるTMCC情報により認識される「システム識別」及び「部分受信フラグ」の値を基に、「サービス種別」及び「サービスタイプ」の情報をチャンネルリスト作成部16に供給する。
TMCC信号抽出部31−1は、FFT部13−2を経て得られるOFDM形式のストリームから、例えば、ISDB−T方式のモード3の場合、4本のTMCCキャリアを抽出して復調し、DBPSKされた該TMCCキャリアを遅延検波した後、0又は1のレベル判定を行い、TMCC信号のビットストリームを得る。
誤り訂正部32−1は、TMCC信号抽出部31−1が出力するTMCC信号のビットストリームに対し、差集合巡回符号方式のパリティビットに基づき、誤り訂正を行う。尚、誤り訂正部32−1は、誤り訂正ができず、パリティ検査結果が0にならなかった場合には、後段のTMCC情報復号部32−2にその旨を通知する。
ただし、誤り訂正部32−1は、誤り訂正部14−1と同一の機能を有するものとする。
TMCC情報復号部32−2は、誤り訂正部が出力した誤り訂正後のTMCC信号のビットストリームからTMCC情報を復号する。TMCC信号のビットストリームから復号されたTMCC情報は、主として実施例2の受信機1の伝送制御情報処理系へ信号を渡すが、ここでは、「システム識別」及び「部分受信フラグ」の情報をチャンネルリスト作成部16へ受け渡す。
よって、チャンネルリスト作成部16は、TMCC情報復号部32−2から入手した「システム識別」及び「部分受信フラグ」の値を加味してチャンネルリストを作成し、保持することができる。
次に、本発明による実施例2の受信機30bの基本動作について説明する。図6は、本発明における実施例2の受信機30bがチャンネルリストを作成し、保持する処理の基本動作を説明するフローチャートである。
(受信機の動作)
図6では、本発明における実施例2の受信機30bによって放送波の高速スキャンを実施する際の動作例が示されている。
受信機30bは、受信機30bのユーザが、意図したタイミングで、例えば、地上デジタルテレビジョン放送の場合には、当該テレビジョン放送の受信を開始した時点で、放送波スキャンを開始する。
放送波スキャンを開始すると、アンテナを経て受信した信号から放送波信号を受信し、例えば、地上デジタルテレビジョン放送の場合、UHF帯の13chから62ch(V−low地上モバイルマルチメディア放送の場合には、VHFの1chのサブチャンネル1から3chのサブチャンネル42)を順に選択する(ステップS21)。
このため、受信機30bは、放送波スキャンにより探索を行う各物理チャンネルの放送波を抜き出せるように、局部発振器制御部15−2が周波数変換部12の局部発振器の周波数を順次設定し、物理チャンネルの変更を行う(ステップS22)。
周波数変換部12は、局部発振器制御部15−2が出力する周波数設定情報に基づき設定された物理チャンネル内の放送波を中間周波信号として抜き出し、レベル検出部15−1によってそのチャンネル内の電力(以下、「チャンネル電力」と称する)を測定する(ステップS23)。
レベル検出部15−1は、測定したチャンネル電力が基準とする電力、例えば、AC信号が正しく復号できる受信電力値を上回って検出された場合には、チャンネル検出情報を出力する(ステップS24)。レベル検出部15−1は、測定したチャンネル電力が基準電力を満たさない場合には、全ての物理チャンネルの確認が終了するまで、「物理チャンネルの変更」(ステップS21〜S22)の状態に戻り、続くチャンネルの操作を行う。
TMCC抽出部31は、レベル検出部15−1によってチャンネル検出情報が出力されると、TMCC信号内の同期情報に基づいて同期確立し、このチャンネル検出情報に従う放送波からTMCC信号を抽出し、TMCC復号部32によって復号する(ステップS25)。
TMCC復号部32によって検出したTMCC情報から「システム識別」と「部分受信フラグ」の値を読み取り、「サービス種別」と「サービスタイプ」をチャンネルリスト作成部16に供給する。受信機30bが、地上デジタルテレビジョン放送のワンセグ受信機と地上モバイルマルチメディア放送の受信機の共用の受信機であれば、地上デジタルテレビジョン放送のワンセグ受信機であるか、地上モバイルマルチメディア放送の受信機であるかを意識することなく動作する必要がある場合に有効である。例えば、「システム識別」が「00」の場合は地上デジタルテレビジョン放送であるが、信号全体は13セグメントあり、このとき「部分受信フラグ」が「1」であれば、ワンセグサービスが行われていることが明確になる。そこで、実施例1では前提としていた「サービス種別」と「サービスタイプ」を実施例2ではTMCC情報から利用して適用することができる。
地上モバイルマルチメディア放送においても、前述した一部答申の報告にあるように、地上デジタル音声放送の規格が継承されるとすると、例えば、「システム識別」が値を与えられ、「部分受信フラグ」も3セグメントと1セグメントを区別する使い方が予想される。よって、これらの情報に該当する「サービス種別」や「サービスタイプ」も同様に割り当てる。
なお、「サービスタイプ」はある程度設定条件に幅を持たせられる場合も予想されるため、必須とはしない。
ただし、地上モバイルマルチメディア放送の場合、NIT内の「ネットワーク識別」、「放送事業者識別」、「サービス識別」など未定事項であるので、AC信号内の「放送事業者識別」も同様に定まっていない。そのため、本発明における各実施例では、AC信号内の「放送事業者識別」の情報形態をNIT内の「ネットワーク識別」、「放送事業者識別」、「サービス識別」と同等にする例として説明するが、実用においても、各地域において受信するチャンネルの放送波の放送事業者を識別可能な形態となるものと考える。
続いて、AC抽出部13は、レベル検出部15−1によってチャンネル検出情報が出力されると、AC信号内の同期情報に基づいて同期確立し、このチャンネル検出情報に従う放送波からAC信号を抽出する(ステップS26)。
AC復号部14は、抽出したAC信号を復号してAC信号が地震動警報情報の伝送に用いられているかを「構成識別」に基づいて確認し(ステップS27)、地震動警報情報の伝送に用いられていることが確認できた場合には、地震動警報詳細情報を抽出すべくAC信号を復号する(ステップS28)。
AC復号部14は、放送波スキャンを行っている場合には、地震動警報が発報されていない平常時であることを想定するが、平常時のAC信号から「放送事業者識別」の情報を得て、放送事業者識別の認識処理を行う(ステップS29)。
チャンネルリスト作成部16は、得られた周波数設定情報、チャンネル検出情報、「放送事業者識別」、及び、放送事業者参照情報記憶部17が記憶する「放送局名」と「チャンネル番号」、好適には「リモートコントロール識別」とを関連付けてチャンネルリストを作成し(チャンネルリスト追加)、保持する(ステップS30からステップS21)。
ステップS27におけるAC信号の受信後の「構成識別」の確認において、地震動警報情報の伝送ではないと判断された場合には、当該物理チャンネルのチャンネル検出情報のみを、一旦チャンネルリストに追加する。
その後は、全ての物理チャンネルの確認が終了するまで、再び周波数の変更に戻り、同様な操作を繰り返す。
全物理チャンネルにわたる調査が終了したら、チャンネルリストを提示し、ユーザの確認、あるいは所定の時間の後提示を終了し、番組の視聴などの状態に移る。
実施例1と同様に、放送波スキャン時に、地震動警報情報の伝送以外の目的で使用され、放送事業者事業者情報を取得できずにいる物理チャンネルが1つのみであるときには、放送事業者参照情報記憶部17が記憶する放送区域と放送事業者情報とに基づき、該当する事業者がある場合には、その事業者を割り振るように構成することができ、一方、2つ以上の場合は、そのままとし、リモコンキー番号のみ検出順で割り振るように構成することができる。
これにより、受信機30bのユーザは、例えばチャンネル選択部19を介してリモコンキー番号により、作成したチャンネルリストからチャンネルを選択し、番組を視聴することができる。その際、TSP復調部18によってTSパケットを復調し、改めてNITを検出し、各情報に修正する箇所がある場合には、その内容を修正するように構成することができる。
なお、地下街など電波が遮蔽されている環境において自動的に放送波スキャンする場合も想定し、放送波スキャンの結果、何のチャンネルも検出できなかった場合には、前回のチャンネルリストをそのまま保持するものとしてもよい。
以上のように、本発明に係る実施例2の受信機によれば、実施例1の利点を全て包含し、且つTMCC情報から抽出される「サービス種別」と「サービスタイプ」をチャンネルリストに加えることができる。
次に、本発明による実施例3の受信機について図7〜図9を参照して説明する。
[実施例3の受信機]
図7は、本発明による実施例3の受信機のブロック図である。図8は、本発明による実施例3の受信機のより詳細なブロック図である。図9は、本発明による実施例3の受信機の動作を示すフローチャートである。
(実施例3)
図7に示す本発明による実施例3の受信機50aは、地上デジタルテレビジョン放送のサービスにおいて、地震動警報情報を受信するためにAC信号を受信する機能を有し、地震動警報情報の待受けの状態で、AC信号から「放送事業者識別」を受信するとともに、予め保持される放送区域別の放送事業者参照情報を参照して、受信機が位置する地域において、自動的にチャンネルリストを作成することが可能な装置である。特に、実施例3の受信機50aは、例えば携帯端末に備えられている場合、受信機50aのユーザの移動に伴い、放送区域を移動する場合がある。その場合、受信中の放送波を受信できなくなることが想定される。そこで、実施例3の受信機50aは、このような場合にも直ちに放送波スキャンを行い、再び地震動警報情報を待ち受けることが可能となるように構成されたものである。
即ち、実施例3の受信機50aは、デジタル放送波の受信地域の変化に応じて自動的に放送波のチャンネルリストを作成する受信機として構成され、実施例2と同様に受信部11と、周波数変換部12と、AC抽出部13と、AC復号部14と、チャンネル検出情報生成部15と、チャンネルリスト作成部16と、放送事業者参照情報記憶部17と、TMCC抽出部31と、TMCC復号部32とを備えるが、さらに、フラグ監視部51を備える点で相違する。従って、実施例2と同様な構成要素には同一の参照番号を付して説明する。
尚、上述したように、デジタル放送波に多重されているAC信号によって地震動警報情報が伝送可能なように構成され、該地震動警報情報は、デジタル放送波の放送事業者を特定する放送事業者識別情報を含んでいる。
フラグ監視部51は、地震動警報情報の受信のために、AC抽出部13によって抽出したAC信号にて地震動警報情報の伝送の有無を識別するための開始/終了フラグを監視する機能を有し、より具体的には、開始/終了フラグの検出が正常に行われているか否かを判別する受信状態判別機能を有する。
従って、チャンネル検出情報生成部16は、フラグ監視部51による開始/終了フラグの検出が正常に行われていないと判別した場合をトリガとして、チャンネル検出情報生成部15に指示して、デジタル放送波の全物理チャンネルからその各々に対応する中間周波信号が得られるように、周波数変換部12における局部発振周波数信号を変化させ、チャンネル検出情報を生成させる機能を有する。
実施例3の受信機50aについて、より具体的に構成した例を図8に示している。図8に示す受信機50bにおいて、受信部11は、デジタル放送波を受信するアンテナとして構成され、AC抽出部13は、AD変換部13−1と、FFT部13−2と、AC信号抽出部13−3から構成され、AC復号部14は、誤り訂正部14−1と、AC情報復号部14−2から構成され、チャンネル検出情報生成部15は、レベル検出部15−1と、局部発振器制御部15−2から構成され、TMCC抽出部31は、FFT部13−2とTMCC信号抽出部31−1から構成され、TMCC復号部32は、誤り訂正部32−1と、TMCC情報復号部32−2から構成される。また、図8に示す受信機50bは、適宜、TSP復調部18と、チャンネル選択部19が設けられる。実施例2に対して、実施例3では、フラグ監視部51をさらに備えるように構成される。
以下、実施例3の受信機50bについて、実施例2と異なる部分について詳細に説明する。
フラグ監視部51は、チャンネルリストが一度確定している状態であり、かつ、AC信号を受信し、「構成識別」が地震動警報情報の伝送であることを確認した条件において、AC信号内に格納される「開始/終了フラグ」を監視する。「開始/終了フラグ」が「11」の場合、平常の場合に相当し、このタイミングで「放送事業者識別」を取得している。一方、「00」となると、地震動警報詳細情報があることを示し、地震動警報が出ているため、AC情報復号部14−2から出力される地震動警報の電文情報に基づき、地震動警報情報処理系を経て、受信機1のユーザに対し警告が行われる。
さらに、フラグ監視部51は、通常「開始/終了フラグ」の値が「11」の状態で、「00」がいつ来てもよいように待受けの動作を行っている。このとき、この監視に先立ちフレーム同期は確立しており、「開始/終了フラグ」のタイミングでのみフラグ監視部51に係わる部分のみ電源を投入し、他の放送波の受信機能の電源はオフとする間欠動作を行っているものとする。
一方、フラグ監視部51は、フレーム同期が安定して確立されているかも合わせて監視している。「開始/終了フラグ」の値が「10」や「01」となったり、「00」となっても、誤り訂正部14−1がパリティチェックエラーを返してきたりする場合がある。その場合には、受信機1のユーザが移動し、放送区域が変わっていることが想定される。フラグ監視部51は、レベル検出部15−1から得られるチャンネル検出情報を失っているかを確認するとともに、その状態が一定時間以上継続する場合には、その旨をチャンネルリスト作成部16に通知し、チャンネルリスト作成部16は、局部発信器制御部15−2に対して指示して放送波スキャンを実施する。
従って、本発明における実施例3の受信機50bは、開始/終了フラグの検出が正常に行われていないと判断される場合に、自動的に放送波スキャンを実施し、必要なチャンネルを選択し、地震動警報情報の「開始/終了フラグ」の監視を継続するように構成されている。
なお、地下街など放送波の遮蔽空間に入った場合にも同様に、放送波スキャンを実施するが、その結果、何も検出できないか、あるいは、チャンネルリスト内の限られたチャンネルのみが検出される場合には、チャンネルリストを更新しない。
次に、本発明による実施例3の受信機50bの基本動作について説明する。図9は、本発明における実施例3の受信機50bがチャンネルリストを作成し、保持する処理の基本動作を説明するフローチャートである。
(受信機の動作)
本発明における実施例3の受信機50bは、AC信号に多重された地震動警報情報を受信し、フラグ監視部にて開始/終了フラグの状態を監視して地震動警報を待ち受け、受信機50bの移動により、フラグ監視部51が異常を検知すると、放送波の高速スキャンを実現する。
放送波スキャンの流れは、実施例2の動作と同じである。すなわち、実施例3における図9に示すステップS31乃至S40は、実施例2における図6に示すステップS21乃至S30と同様に動作し、実施例3の受信機50bは、チャンネルリストを一旦作成して保持しているものとする(ステップS41)。
チャンネルリストの作成後、実施例3の受信機50bは、チャンネルリストに従って現在受信機50bが位置する地域に合致した放送チャンネルで地震動警報を受信することができ、チャンネルを選択し、フラグ監視部にて、地震動警報を待ち受けるところである。
すなわち、受信機50bは、チャンネルリストが全物理チャンネルについて作成された時点から、地震動警報情報の待受けを行うチャンネルを自動的に選択する(ステップS42)。
この選択は、受信機50bのユーザの視聴傾向、即ちユーザの操作を元に行うこともできる。また、受信機50bのユーザが予め選択した条件に基づいて行うこともできる。あるいはまたこれまで監視していたチャンネルと同じ系列の放送事業者を選択することもできる。
受信機50bは、チャンネルの選択が終了すると、フラグ監視部51により、AC信号の「開始/終了フラグ」を監視する(ステップS43)。
なお、受信機1のユーザの操作によりこの監視は終了することができる(ステップS43のYes)。
フラグ監視部51は、「開始/終了フラグ」を監視するとともに、AC信号が正しく伝送されているか否かも合わせて監視する(ステップS44)。
フラグ監視部51によって異常が検知されると、受信機50bは、再び放送波スキャンを開始する(ステップS45)。一方、安定して、フラグ監視部51によってAC信号を受信していると判断される間は監視を継続する。
フラグ監視部51によって「開始/終了フラグ」が地震動警報詳細情報ありの「00」を検知すると(ステップS46)、受信機50bは、地震動警報情報の処理動作(例えば、表示)を行い、必要な警報(例えば、ブザー)を出力する(ステップS47)。警報処理が終了すると、再び監視ループに戻る。
なお、上記説明では、実施例2の受信機の基本動作に従う事例を示したが、実施例1の受信機の基本動作でも同様な放送波スキャンの開始をトリガする動作を実現できる。
以上のように、本発明に係る実施例3の受信機によれば、実施例1及び2の利点を全て包含し、且つフラグ監視部51における「開始/終了フラグ」の監視によって、チャンネルリストの作成のトリガを決定することができ、放送エリアをまたがる受信状態へと遷移した場合でも直ちにチャンネルリストの作成及び更新が可能となる。
上述の実施例については特定の符号化方式を代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変形及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、本発明に係る受信機は、例えば携帯端末に具備させることが可能であるが、当該携帯端末が予め有する復調及び復号機能に本発明に係る受信機の機能を統合させることもできる。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。