JP5563339B2 - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents
(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Download PDFInfo
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Description
これらの方法の中で、ショッテンバウマン法は、酸ハロゲン化物の加水分解を抑制するために低温で反応を行ったり、生成物のエステルを分解しない程度の塩基濃度下で反応を行うことにより、エステル化合物を高収率で得られることが知られている(非特許文献1参照)。また、ショッテンバウマン法による(メタ)アクリル酸エステルの製造方法としては、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルイミダゾール、炭酸カリウム、溶媒及び原料であるアルコールの混合液に、メタクリル酸クロライドおよび水酸化カリウム水溶液を、反応系のpHを11.5に制御しながら滴下して反応させる方法(非特許文献2参照)が知られている。
(1)アルコールおよび(メタ)アクリル酸クロライドを含有する有機溶媒溶液と、塩基性物質を含有する水溶液とを、10mm以下の内径を有する管に連続的に送液することにより連続的に混合し反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法;
(2)アルコールが1級または2級アルコールである、(1)に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法;
を提供することにより達成される。
[レイノルズ数の計算式]
Re=連続反応部内の液体の線速度×配管内径/液体の動粘性率
[連続反応部内の動粘性率νの計算方法]
連続反応部内の動粘性率ν=(有機溶媒溶液の粘度/有機溶媒溶液の密度+水溶液の粘度/水溶液の密度)/2
本発明の方法では、連続反応部での混合液のレイノルズ数を、好ましくは50以上1000以下、より好ましくは100以上600以下、最も好ましくは100以上300以下になるように、アルコールおよび(メタ)アクリル酸クロライドを含有する有機溶媒溶液ならびに塩基性物質を含有する水溶液の送液量を適宜調整する。レイノルズ数が50以上1000以下であると連続反応部の流体の流れが安定し、反応収率が良い。
[ガスクロマトグラフィー分析条件]
分析機器:島津製作所社製 GC−14A
検出器:FID
使用カラム:島津製作所社製 CBP−1
分析条件:注入口温度280℃、検出口温度280℃
初期温度100℃(5分保持)、昇温速度10℃/分、最終温度280℃
注入量:0.4μL
[アルコールの転化率の計算式]
収率(%)={(供給したアルコールのモル数)−(残存したアルコールのモル数)}/(供給したアルコールのモル数)×100
[(メタ)アクリル酸クロライドの転化率の計算式]
(メタ)アクリル酸クロライド転化率(%)={(供給した(メタ)アクリル酸クロライドのモル数)−(残存した(メタ)アクリル酸クロライドのモル数)}/(供給した(メタ)アクリル酸クロライドのモル数)×100
[生成した(メタ)アクリル酸エステルの収率の計算式]
収率(%)=(生成した(メタ)アクリル酸エステルのモル数)/(供給したアルコールのモル数)×100
[生成した(メタ)アクリル酸エステルの空時収量の計算式]
空時収量(g/h・L)={(1時間当たり供給したアルコールのモル数)×(生成した(メタ)アクリル酸エステルの分子量)×(収率(%)/100)}/(連続反応部の体積)
5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン7.7g(50mmol)およびアクリル酸クロライド(MEHQ100ppm含有)6.8g(75mmol)を酢酸ブチル95mLに溶解させた溶液1、ならびに水酸化ナトリウム3.0g(75mmol)を水100mLに溶解させた水溶液2を、それぞれシリンジポンプ(kdScientific製)で、混合器(ステンレス鋼(SUS316)のユニオン・ティー、外径4mm、Swagelok社製)に連続反応部としてステンレス鋼(SUS316)の配管(外径4mm×内径3mm×長さ3m)を接続し5℃の水浴で冷却した反応器に、流速10mL/分で送液した。反応混合液は連続反応部の排出口より回収し、水層と有機層とに分離してガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率は79%であった。ここで、5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率はジエチレングリコールジメチルエーテルを内部標準物質として定量した。また、アクリル酸クロライドの転化率は70%、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの転化率は79%であり、5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトン由来の副生物は確認できなかった。レイノルズ数は119であり、空時収量は1730g/h・Lであった。
混合器(ステンレス鋼(SUS316)のユニオン・ティー、外径1/8inch、Swagelok社製)、連続反応部にステンレス鋼(SUS316)の配管(外径1/8inch×内径2.17mm×長さ3m)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率は72%であった。また、アクリル酸クロライドの転化率は50%、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの転化率は72%であった。レイノルズ数は164であり、空時収量は3009g/h・Lであった。
混合器(ステンレス鋼(SUS316)のユニオン・ティー、外径1/16inch、Swagelok社製)、連続反応部にステンレス鋼(SUS316)の配管(外径1/16inch×内径0.8mm×長さ3m)を用い、シリンジポンプによる送液を1.35mL/分とした以外は実施例1と同様の操作を行った。5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率は66%であった。また、アクリル酸クロライドの転化率は64%、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの転化率は66%であった。レイノルズ数は60であり、空時収量は2825g/h・Lであった。
混合器(ステンレス鋼(SUS316)のユニオン・ティー、外径4mm、Swagelok社製)、連続反応部にステンレス鋼(SUS316)の配管(外径4mm×内径3mm×長さ3m)を用い、シリンジポンプによる送液を19mL/分とした以外は実施例1と同様の操作を行った。5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率は73%であった。また、アクリル酸クロライドの転化率は56%、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの転化率は73%であった。レイノルズ数は226であり、空時収量は3009g/h・Lであった。
混合器(ステンレス鋼(SUS316)のユニオン・ティー、外径1/16inch、Swagelok社製)、連続反応部にステンレス鋼(SUS316)の配管(外径1/16inch×内径0.8mm×長さ3m)を用い、シリンジポンプによる送液を10mL/分とした以外は実施例1と同様の操作を行った。5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率は59%であった。また、アクリル酸クロライドの転化率は49%、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの転化率は59%であった。レイノルズ数は445であり、空時収量は18327g/h・Lであった。
混合器(ステンレス鋼(SUS316)のユニオン・ティー、外径4mm、Swagelok社製)、連続反応部にステンレス鋼(SUS316)の配管(外径4mm×内径3mm×長さ3m)を用い、シリンジポンプによる送液を5mL/分とした以外は実施例1と同様の操作を行った。5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率は79%であった。また、アクリル酸クロライドの転化率は73%、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの転化率は79%であった。レイノルズ数は59であり、空時収量は861g/h・Lであった。
還流管付きの100mL三つ口フラスコに5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン1.5g(10mmol)およびアクリル酸クロライド(MEHQ1000ppm含有)1.35g(15mmol)を溶解した酢酸ブチル溶液20mLを加え、5℃の水浴中で20分攪拌後、0.75M水酸化ナトリウム水溶液20mLを10分かけて滴下した。滴下終了後、直ちに水相および有機相をガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率は18%であった。また、アクリル酸クロライドの転化率は97%、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの転化率は20%であり、5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトン由来の副生物は2%であった。
還流管付きの100mL三つ口フラスコに5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン1.5g(10mmol)およびアクリル酸クロライド(MEHQ1000ppm含有)3.6g(40mmol)を溶解した酢酸ブチル溶液20mLを加え、5℃の水浴中で20分攪拌後、2M水酸化ナトリウム水溶液20mLを10分かけて滴下した。滴下終了後、直ちに水相および有機相をガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトンの収率は40%であった。また、アクリル酸クロライドの転化率は47.5%であった。5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの転化率は50%であり、5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンラクトン由来の副生物は10%であった。
Claims (2)
- アルコールおよび(メタ)アクリル酸クロライドを含有する有機溶媒溶液と、塩基性物質を含有する水溶液とを、10mm以下の内径を有する管に連続的に送液することにより連続的に混合し反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- アルコールが1級または2級アルコールである、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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