JP5563331B2 - ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
[1]水分率10〜40質量%のPVA系重合体フィルムに10〜40kGyの電子線を照射することを特徴とする電子線照射されたPVA系重合体フィルムの製造方法、
[2]電子線が照射される前の前記PVA系重合体フィルムが、PVA系重合体100質量部に対して可塑剤を3〜20質量部含有する、上記[1]の製造方法、
[3]電子線を照射する際の加速電圧が100〜500kVである、上記[1]または[2]の製造方法、
[4]偏光フィルム製造用PVA系重合体フィルムの製造方法である、上記[1]〜[3]のいずれか1つの製造方法、
[5]上記[4]の製造方法によって製造された偏光フィルム製造用PVA系重合体フィルムを染色および一軸延伸する、偏光フィルムの製造方法、
に関する。
本発明の電子線照射されたPVA系重合体フィルムの製造方法は水分率10〜40質量%のPVA系重合体フィルムに10〜40kGyの電子線を照射する工程を有する。以下、電子線が照射される前の前記「水分率が10〜40質量%のPVA系重合体フィルム」を「PVA系重合体フィルム(II)」と称する場合があり、当該PVA系重合体フィルム(II)を得るために使用することのできる、水分率が特定されていないPVA系重合体フィルムを「PVA系重合体フィルム(I)」と称する場合がある。PVA系重合体フィルム(I)の水分率がPVA系重合体フィルム(II)の水分率の規定を満たしている場合には、当該PVA系重合体フィルム(I)をPVA系重合体フィルム(II)としてそのまま本発明に使用することができ、PVA系重合体フィルム(I)の水分率がPVA系重合体フィルム(II)の水分率の規定を満たしていない場合には、当該規定を満たすように調湿してPVA系重合体フィルム(II)とした後、それを本発明に使用することができる。また、以下、電子線照射された後のPVA系重合体フィルムを「PVA系重合体フィルム(III)」と称する場合がある。
特に、上記他の単量体が、(メタ)アクリル酸、不飽和スルホン酸などのように、得られるPVA系重合体の水溶解性を促進する単量体単位となり得る単量体である場合には、PVA系重合体フィルムから偏光フィルムを製造する際などにおいて水溶液中での処理時にフィルムが溶解したり溶断したりするのを防止するために、ポリビニルエステル系重合体におけるこれらの単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステル系重合体を構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましい。
これらの界面活性剤は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
PVA系重合体フィルム(I)またはPVA系重合体フィルム(II)における水分以外の部分について、PVA系重合体、可塑剤および界面活性剤の合計の占める割合としては、50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、80〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、95〜100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
PVA系重合体フィルム(I)を適切な状態に調整するためには、熱処理装置;調湿装置;各ロールを駆動するためのモータ;変速機等の速度調整機構などが付設されることが好ましい。
PVA系重合体フィルム(I)の製造工程での乾燥処理における乾燥温度は、偏光フィルムを製造する際の延伸性や染色性に優れ、しかも得られる偏光フィルムの偏光性能や耐久性が良好になるPVA系重合体フィルム(III)が得られることから、50〜150℃の範囲内であることが好ましく、60〜140℃の範囲内であることがより好ましい。
なお、本明細書においてPVA系重合体フィルム(I)およびPVA系重合体フィルム(II)の水分率はこれらのフィルムの乾燥前後の質量から算出することができ、具体的には実施例の項目において後述する方法によって求めることができる。
PVA系重合体フィルム(III)から偏光フィルムを製造するには、例えば、PVA系重合体フィルム(III)を染色および一軸延伸することにより製造することができ、より詳細にはPVA系重合体フィルム(III)の水分調整、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を行うことにより製造することができ、染色、一軸延伸、固定処理等の操作の順序は特に制限されない。また一軸延伸を二段以上の多段で行ってもよいし、染色や固定処理などと同時に行ってもよい。
延伸温度は特に限定されないが、PVA系重合体フィルム(III)を湿式延伸する場合には30〜90℃の範囲内であることが好ましく、乾熱延伸する場合には50〜180℃の範囲内であることが好ましい。
また、一軸延伸の延伸倍率(多段で一軸延伸する場合には合計の延伸倍率)は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から、PVA系重合体フィルム(III)の長さに対して4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、均一延伸の点から8倍以下であることが好ましい。
まず、水分率を求めるPVAフィルムの質量を計量した(質量A)。次に、このPVAフィルムを50℃で4時間真空乾燥した後、再度計量した(質量B)。得られた質量AおよびBを用いて、以下の式により、PVAフィルムの水分率H(質量%)を求めた。
H = [(A−B)/A]×100
上記(1)において得られた質量Bの乾燥後のPVAフィルムを、メタノールで8時間ソックスレー抽出してから105℃で16時間乾燥し、再度計量した(質量C)。上記の質量Bと得られた質量Cを用いて、以下の式により、PVAフィルム中のPVA100質量部に対するグリセリン含有量G(質量部)を求めた。
G = [(B−C)/C]×100
PVAフィルムを95℃の熱水中で2時間撹拌した際にPVAフィルムが完全に溶解した場合には「なし」と評価し、PVAフィルムが完全に溶解せずに不溶物が認められた場合には「あり」と評価した。
PVAフィルムを20℃、65%RHの条件下に24時間放置して調湿した後、幅25mm×長さ10cmの試験片を切り出し、株式会社島津製作所製試験装置「オートグラフAS−100」にチャック間隔20mmで取り付け、引張速度500mm/分で引張試験を行った。得られたフィルムの破断時の伸度を引張破断伸度とした。
(i)透過度(Ts)
偏光フィルムの透過度Ts(%)は日立製作所製の紫外可視分光光度計「U−4100」を用いて以下のようにして測定した。なお、測定にあたっては、日本電子機械工業規格に基づく波長依存の重率関数が乗された380〜780nmにおける積分値(Y値)を測定した。
作製した偏光フィルムの中心部をTD(幅方向)×MD(延伸方向)=4cm×8cmのサイズに切り取り、切り取ったフィルムをMDの中央部でさらに2つに切り、偏光フィルムサンプル2枚(4cm×4cm)を得た。このうちの1枚の偏光フィルムサンプルを用いて、そのMD(延伸方向)が分光器に対して任意の角度に設定したときの透過度と、これを入射光に垂直な平面上で90°回転させたときの透過度とを測定し、これらの平均値を偏光フィルムの透過度(Ts)(単位:%)とした。
上記偏光フィルムの透過度(Ts)の測定において作製した2枚の偏光フィルムサンプルをMDが互いに平行になるように重ねたときの透過度(T‖)(単位:%)を、1枚の偏光フィルムサンプルを用いた上記偏光フィルムの透過度(Ts)の測定と同様にして、任意の角度に設定したときの透過度と90°回転させたときの透過度との平均値として求めた。また、上記2枚の偏光フィルムサンプルをMDが直交するように重ねたときの透過度(T⊥)(単位:%)を、上記と同様にして、任意の角度に設定したときの透過度と90°回転させたときの透過度との平均値として求めた。得られたT‖とT⊥を用いて、以下の式により偏光フィルムの透過度(P)(単位:%)を算出した。
P = [(T‖−T⊥)/(T‖+T⊥)]1/2×100
上記のようにして得られた透過度Ts(%)および偏光度P(%)から、以下の式により二色性比を求めた。
二色性比 = log(Ts/100−Ts/100×P/100)/log(Ts/100+Ts/100×P/100)
重合度2400、けん化度99.92モル%のPVA(酢酸ビニルの単独重合体のけん化物)100質量部と、可塑剤としてグリセリン約12質量部を含む、PVA濃度10質量%の水溶液を60℃の金属ロール上で乾燥した後、得られたフィルムを枠に固定して、120℃で3分間熱処理してPVAフィルム(a)を得た。このときのPVAフィルム(a)の厚みは75μmであった。このPVAフィルム(a)を20℃、65%RHの環境下で24時間保存した。得られたPVAフィルム(b)の水分率を上記した方法により測定したところ11質量%であった。また得られたPVAフィルム(b)のグリセリン含有量を上記した方法により測定したところ、PVA100質量部に対して12.3質量部であった。
このPVAフィルム(c)中のゲルの有無を上記した方法により評価したところ熱水に完全に溶解し、ゲルは認められなかった。また、このPVAフィルム(c)の引張破断伸度を上記した方法により測定したところ560%であった。
この偏光フィルムの透過度(Ts)は44.42%、偏光度(P)は99.71%、二色性比は55.6であり、偏光性能に優れていた。
PVAフィルム(b)を構成するPVAの重合度およびけん化度;PVAフィルム(b)の厚み、水分率およびグリセリン含有量;PVAフィルム(b)に照射した電子線の照射量(但し、比較例1では電子線を照射しなかった)、加速電圧および電子線照射時の雰囲気を表1に示したようにしたこと以外は実施例1と同様にしてPVAフィルム(c)を得た。
これらのPVAフィルム(c)中のゲルの有無およびPVAフィルム(c)の引張破断伸度を上記した方法により測定または評価した。結果を表1に示した。
Claims (4)
- 水分率10〜40質量%のポリビニルアルコール系重合体フィルムに10〜40kGyの電子線を照射することを特徴とする、偏光フィルム製造用の電子線照射されたポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法。
- 電子線が照射される前の前記ポリビニルアルコール系重合体フィルムが、ポリビニルアルコール系重合体100質量部に対して可塑剤を3〜20質量部含有する、請求項1に記載の製造方法。
- 電子線を照射する際の加速電圧が100〜500kVである、請求項1または2に記載の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された偏光フィルム製造用の電子線照射されたポリビニルアルコール系重合体フィルムを染色および一軸延伸する、偏光フィルムの製造方法。
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