JP5561511B2 - 光硬化性樹脂組成物、光硬化性防湿絶縁塗料及びそれを用いた電子部品、フラットパネルディスプレイ - Google Patents
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Description
本発明は、環境負荷が少なく、高い防湿性能を有する光硬化性樹脂組成物及びそれを用いた光硬化性防湿絶縁塗料、電子部品、フラットパネルディスプレイを提供することを目的とする。
更に、本発明は、上記の光硬化性樹脂組成物又は上記の光硬化性防湿絶縁塗料を用いて防湿絶縁処理された電子部品である。
本発明による光硬化性樹脂組成物は、(A)成分として、(a1)ポリオレフィンポリオール化合物、(a2)ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物及び(a3)1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物を反応させて得られるエチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物と、(B)成分として、多環系脂肪族基を含む光重合性単量体と、(C)成分として、ビニルエーテル基を有する光重合開始剤とを含有する。以下、各成分について説明する。
(a1)成分
(A)成分であるエチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物のうち、(a1)ポリオレフィンポリオール化合物(以下、「(a1)成分」とする)としては、例えば、市販の種々の飽和及び不飽和のアルキル化合物のポリオール化物を使用することができ、これらの具体例としては、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
(a2)ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(以下、「(a2)成分」とする)としては、例えば、アルキル基の炭素数が2〜7であるヒドロキシアルキルアクリレート及びヒドロキシアルキルメタクリレート等が挙げられ、これらの具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びそれらのアクリレートに対応するメタクリレート等が挙げられる。
次に、(a3)1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物(以下、「(a3)成分」とする)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート及びこれらの水素添加物等のジイソシアネート化合物が挙げられる。前記各(a3)成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
反応の際、そして保存の際には、望ましくないラジカル重合を防止するため重合禁止剤を配合することが好ましい。重合禁止剤は、重合禁止効果があればよく、特に制限はないが、例えば、t−ブチルカテコール等のカテコール類、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、及びp−メトキシフェノール等のヒドロキノン類、メトキノン等のアルコキシキノン類、p−ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノン、及びt−ブチル−p−ベンゾキノン等のベンゾキノン類が挙げられる。重合禁止剤の含有量は、組成により異なるが、例えば、全固形分に対して20〜100質量ppmであり、20〜80質量ppmであることが好ましく、20〜65質量ppmであることがより好ましい。
(B)成分である光重合性単量体は、多環系骨格(多環系脂肪族基)を有し、分子内に1個以上、4個以下のエチレン性不飽和二重結合を有する光重合成単量体である光重合性単量体である。
(C)成分は、多環系脂肪族基を有し、分子内に1個以上、4個以下のビニルエーテル基を有する光重合性単量体を含む。
(C)成分である多環系骨格(多環系脂肪族基)を有し、分子内に1個以上、4個以下のビニルエーテル基を有する光重合性単量体として、単官能性又は多官能性の光重合性単量体を単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。ビニルエーテル基と多環系脂肪族基とを有することで、防湿性が向上する傾向がある。
本発明で用いる(D)成分、すなわち光重合開始剤としては、例えば、カルボニル系光重合開始剤、スルフィド系光重合開始剤、キノン系光重合開始剤、アゾ系光重合開始剤、スルホクロリド系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、過酸化物系光重合開始剤等が挙げられる。
キノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾキノン、アントラキノン等が挙げられる。
アゾ系光重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスプロパン、ヒドラジン等が挙げられる。
過酸化物系光重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド等が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中では、得られる光硬化性樹脂組成物における溶解性の点から、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましい。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記のように(A)エチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物と、(B)多環系脂肪族基を含む光重合性単量体と、(C)ビニルエーテル基を有する光重合性単量体と、(D)光重合開始剤とを含有し、これに必要に応じ充填剤、改質剤、消泡剤、着色剤および接着性付与剤などを任意に添加することで光硬化性防湿絶縁塗料とすることができる。
本発明による電子部品は、上述した光硬化性樹脂組成物又は光硬化性防湿絶縁塗料を用いて防湿絶処理縁された電子部品である。このような電子部品としては、マイクロコンピュータ、トランジスタ、コンデンサ、抵抗、リレー、トランス等、及びこれらを搭載した実装回路板などが挙げられ、さらにこれら電子部品に接合されるリード線、ハーネス、フィルム基板等も含むことができる。
本発明によるフラットパネルディスプレイは、上述した光硬化性樹脂組成物又は光硬化性防湿絶縁塗料を用いて防湿絶縁処理されたフラットパネルディスプレイである。このようなフラットパネルディスプレイとしては、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、フィールドエミッションディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイパネルの信号入力部、外縁部も、フラットパネルディスプレイとして挙げられる。
本発明による電子ペーパーはまた、上述した光硬化性樹脂組成物又は光硬化性防湿絶縁塗料を用いて防湿絶縁処理され電子ペーパーであり、信号入力部、外縁部も、電子ペーパーとして挙げられる。
本発明による電子部品、フラットパネルディスプレイ、電子ペーパーは、光硬化性樹脂組成物又は光硬化性防湿絶縁塗料を用いて絶縁することにより製造される。電子部品、フラットパネルディスプレイ、電子ペーパーの製造方法は、一般に知られている浸漬法、ハケ塗り法、スプレー法、線引き塗布法、ディスペンス法等の方法によって上述した光硬化性樹脂組成物又は防湿絶縁塗料を上記電子部品に塗布する。そして、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED等を光源として紫外線を照射することにより、電子部品、フラットパネルディスプレイ、電子ペーパーに塗布した塗膜を硬化することにより、電子部品、フラットパネルディスプレイ、電子ペーパーが得られる。
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、(a2)ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名:HEA)53部(ヒドロキシル基:2.0当量)、(a1)ポリオレフィンポリオール化合物として水添ポリブタジエンジオール(日本曹達株式会社製、商品名:GI−1000、数平均分子量:約1,500)600部(ヒドロキシル基:2.0当量)及びハイドロキノンモノメチルエーテル(和光純薬工業株式会社製)0.5部を仕込み、70℃に昇温後、70〜75℃で30分間保温し、これに、(a3)1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物としてトリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネート T−65)70部(イソシアネート基:2.0当量)を3時間で均一滴下し、反応させた。
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、(A)成分として前記で合成したエチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物(R−0)50部、(B)成分としてジシクロペンタニルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA-513A)42部、(C)成分としてトリシクロデカンモノメタノールビニルエーテル(丸善石油化学株式会社製、商品名:TDMMVE)8部を仕込み、90℃に昇温後、85〜90℃で3時間保温し、均一に攪拌・混合させた。さらに、(D)成分としてイルガキュア369(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)4部を加え攪拌・溶解し、光硬化性樹脂組成物(以下、「R−1」とする)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、エチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物(R−0)50部、イソボルニルアクリレート50部を仕込み、90℃に昇温後、85〜90℃で3時間保温し、均一に攪拌・混合させた。さらに、イルガキュア369(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)4部を加え攪拌・溶解し、光硬化性樹脂組成物(以下、「R−2」とする)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、エチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物(R−0)50部、ベンジルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名:V#160)50部を仕込み、90℃に昇温後、85〜90℃で3時間保温し、均一に攪拌・混合させた。さらに、イルガキュア369(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)4部を加え攪拌・溶解し、光硬化性樹脂組成物(以下、「R−3」とする)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、エチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物(R−0)50部、イソオクチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名:IOAA)50部を仕込み、90℃に昇温後、85〜90℃で3時間保温し、均一に攪拌・混合させた。さらに、イルガキュア369(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)4部を加え攪拌・溶解し、光硬化性樹脂組成物(以下、「R−4」とする)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、エチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物(R−0)50部、エチルカルビトールアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名:V#190)50部を仕込み、90℃に昇温後、85〜90℃で3時間保温し、均一に攪拌・混合させた。さらに、イルガキュア369(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)4部を加え攪拌・溶解し、光硬化性樹脂組成物(以下、「R−5」とする)を得た。
撹拌機、温度計、冷却管及び空気ガス導入管を装備した反応容器に空気ガスを導入させた後、エチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物(R−0)50部、テトラヒドロフランアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名:THF-A)50部を仕込み、90℃に昇温後、85〜90℃で3時間保温し、均一に攪拌・混合させた。さらに、イルガキュア369(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)4部を加え攪拌・溶解し、光硬化性樹脂組成物(以下、「R−6」とする)を得た。
水蒸気バリア性の評価は、JIS Z−0208に準じて行った。40℃、相対湿度90%の条件で、24時間で樹脂膜を透過した水分量を測定した。試験片は、光硬化性樹脂組成物(R−1)〜(R−6)を、それぞれPETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、A−53)上に塗工装置(ベーカー式アプリケーター、YBA−4型)で0.1mmの厚みに塗布した。
この試料を、ウシオ電機株式会社製のUV露光装置(プロキシミティ炉光装置、UX−1000SM−XJ01)を用い、酸素雰囲気下、照射強度約20mW/cm2、照射量700mJ/cm2で露光し、試料を硬化させた。この硬化物をPETフィルムから剥がし、透湿度測定用試験片とした。その測定結果を配合とともに纏めて表1に示した。
また、実装回路板用の光硬化性防湿絶縁塗料により絶縁処理された電子部品は信頼性が高く、マイクロコンピュータや各種の部品を搭載した実装回路板にも有用である。
Claims (6)
- (A)(a1)ポリオレフィンポリオール化合物、(a2)ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和化合物及び(a3)1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物、を反応させて得られるエチレン性不飽和二重結合を有するウレタン化合物と、(B)多環系脂肪族基を含む光重合性単量体〔ただし、(C)成分を除く〕と、(C)ビニルエーテル基を有する光重合性単量体と、(D)光重合開始剤とを含有してなる光硬化性樹脂組成物。
- 前記(B)成分の光重合性単量体は、多環系脂肪族基と分子内に1〜4個のエチレン性不飽和二重結合を有し、前記(A)成分に対して、20〜80質量%含有され、前記(C)成分の光重合性単量体は、多環系脂肪族基と分子内に1〜4個のビニルエーテル基を有し、前記(B)成分に対して1〜30質量%含有され、前記(D)成分は、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総和を基準として、1〜10質量%含有する請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1又は請求項2に記載の光硬化性樹脂組成物を防湿絶縁塗料とした光硬化性防湿絶縁塗料。
- 請求項1又は請求項2に記載の光硬化性樹脂組成物又は請求項3に記載の光硬化性防湿絶縁塗料を用いて防湿絶縁処理された電子部品。
- 請求項1又は請求項2に記載の光硬化性樹脂組成物又は請求項3に記載の光硬化性防湿絶縁塗料をシール材として用いたフラットパネルディスプレイ。
- 請求項5に記載のフラットパネルディスプレイが、電子ペーパーであるフラットパネルディスプレイ。
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