JP2004300388A - ウレタン系樹脂及びこれを用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】実質的に有機溶剤を含まず、ポリオレフィン系基材等の非極性基材に対して優れた粘着性と接着性を発現する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】水添ポリイソプレンポリオール、ジイソシアネート化合物、及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートを反応させてなるウレタン系樹脂。このウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【解決手段】水添ポリイソプレンポリオール、ジイソシアネート化合物、及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートを反応させてなるウレタン系樹脂。このウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線で硬化して粘着性を発現し、特にポリオレフィン系基材に対して優れた粘着性、接着性を発現する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に好適なウレタン系樹脂と、これを用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車部材、建築部材、一般生活用品の部材として用いられてきた塩化ビニルをはじめとする塩素系樹脂に代わり、価格が安く、成型性、耐薬品性、耐熱性、耐水性、電気特性等の多くの優れた性質を有し、かつ環境負荷の小さいポリオレフィン系樹脂が、広く用いられる様になってきている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の極性を有する合成樹脂と異なり、非極性でかつ結晶性を有するため、塗装や接着が困難であるという欠点を有している。このため、ポリオレフィン系基材用の接着性材料としては、従来、ポリオレフィンを塩素化することで極性を付与し、溶剤溶解性やその他の合成樹脂との接着性を高めた塩素化ポリオレフィン系樹脂を溶剤に溶解して用いられてきた。しかしながら、依然として塩素化物を使用しているという事実に変わりはなく、環境負荷の小さい非塩素系の接着性材料が求められていた。
【0003】
このような背景のもとで、非塩素系材料として水添ポリブタジエンポリオールや水添ポリイソプレンポリオールを用いた接着剤が開示されている(特許文献1,2)。しかし、これらの接着剤は、有機溶剤を用いない場合には、粘度が高く作業効率が極端に低下し、また粘度を低減するために有機溶剤を使用した場合には、有機溶剤の乾燥除去設備が必要となり、かつ有機溶剤による環境負荷の問題があった。また、接着強度を向上させるためにポリイソシアネート硬化剤を添加して二液型熱硬化性樹脂として使用する場合には、使用可能時間の制限といった問題があった。更には、熱硬化で接着力を発現するため、貼り付け後すぐには接着力、粘着力が得られず、ゴム同士の張り付け等、歪んだ物を接着させる場合には、硬化反応が起こるまでの間に、歪みによる接着面のずれを生じ易かった。
【0004】
これに対して、環境負荷、作業上の安全面、使用者の健康面の点から問題視されいる有機溶剤を用いず、かつ使用可能時間に制約を受けない硬化系材料として、活性エネルギー線硬化性樹脂が知られている。活性エネルギー線硬化性樹脂であれば、溶剤除去のための乾燥設備を必要とせず、活性エネルギー線の照射によって短時間で硬化するため、近年、広く普及してきている。
【0005】
この様な背景のもと、水添ポリブタジエン骨格を有するポリオールを利用した放射線又は活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が開示されている(特許文献3,4参照)。しかし、これらに用いられている水添ポリブタジエンポリオールは、主として1,2−付加体から構成される液状タイプであり、作業性には優れるものの、ポリオレフィン基材に対する密着性に乏しく、このため、これら1,2−付加体の比率が高い水添ポリブタジエンポリオールから得られる活性エネルギー線硬化型接着剤組成物も、ポリオレフィン糸基材に対しては十分な粘着力、接着力が得られていない。
【0006】
一方、1,4−付加体の比率の高い水添ポリブタジエンポリオールは、結晶性が高くポリオレフィン基材に対して親和性が良好であることから、該水添ポリブタジエンポリオールの誘導体も同様にポリオレフィン基材に対して非常に高い接着力、粘着力を示す(特許文献1参照)。しかしながら、1,4−付加体比率が高い水添ポリブタジエンポリオールは、その結晶性の高さから、誘導体製造時の作業性が悪く、さらには、製造した後の粘度が高粘度であることから、加工適性に問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭54−127939号公報
【特許文献2】
特開昭63―95282号公報
【特許文献3】
特開平4−183770号公報
【特許文献4】
特開2002−309185号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、実質的に有機溶剤を含まず、ポリオレフィン系基材等の非極性基材に対して優れた粘着性と接着性を発現する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物用ウレタン系樹脂とこれを用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリオール成分として水添ポリイソプレンポリオールを用いることにより、液体であるため作業性に優れ、且つポリオレフィン系基材との接着性に優れたウレタン系樹脂を得られることに知見し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明のウレタン系樹脂は、水添ポリイソプレンポリオール、ジイソシアネート化合物、及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートを反応して得られることを特徴とする。
【0011】
この水添ポリイソプレンポリオールは、1,4−付加体の比率が60モル%以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、このような本発明のウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを含有するものであり、ウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとの重量比は、好ましくは90/10〜40/60の範囲である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及び/又はメタクリレート」を、「(メタ)アクリロイルオキシ基」は「アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリルロイルオキシ基」をそれぞれ意味する。
【0015】
まず、本発明のウレタン系樹脂について説明する。
【0016】
(1)<ウレタン系樹脂>
本発明のウレタン系樹脂は、分子内に2個以上のラジカル重合性(メタ)アクリロイルオキシ基と少なくとも2個のウレタン結合を有する化合物であり、該化合物を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させることにより、粘着性、接着性を発現する。
【0017】
該ウレタン系樹脂は、水添ポリイソプレンポリオール(A)と、ジイソシアネート化合物(B)と、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)との反応によって得られる。
【0018】
(A)水添ポリイソプレンポリオール
成分(A)である水添ポリイソプレンポリオールは、一般に、共役ジエンであるイソプレンを、過酸化水素等の水酸基含有ラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合させることによって、直接末端に水酸基を有する共役ジエン系重合体とし、得られた水酸基含有共役ジエン系重合体を常法により水素添加することにより製造される。アニオン重合によっても条件を選択することにより1,4−付加体の比率を高めることは可能であるが、その選択の幅は狭く、本発明の目的から見た場合には、1,4−付加体の比率が高いものを得易いラジカル重合により作られるものの方が好ましい。水添ポリイソプレンポリオール全量中の1,4−付加体の好ましい比率は、下限が通常60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。この量が少なすぎると接着性が低下する傾向がある。
【0019】
なお、採用する工程、及び得られるウレタン系樹脂の用途によっては、この重合の際に他の共役ジエン、例えばブタジエン等が併用されてもよく、また、スチレン、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニル系単量体、或いはエチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィンが共重合されても、本発明から逸脱するものでは無い。これら、他の共重合成分の量は、全共重合成分中、通常、30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
【0020】
水添ポリイソプレンポリオールの数平均分子量の下限は、好ましくは500、更に好ましくは1,000、より好ましくは2,000である。また、この数平均分子量の上限は、好ましくは20,000以下、更に好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下である。数平均分子量が500より小さい場合には、基材との親和性が劣り、また20,000を超えると、融点が高くなりすぎ、多官能性物質との反応の際に、固体、若しくは高い粘調物となり、反応し難くなる。
【0021】
また、水添ポリイソプレンポリオールの水添率は、耐熱性、耐湿性等の面から、90%以上、更に98%以上であるのが好ましく、100%であるのがより好ましい。水添率が90%に満たないものは、残存する二重結合が活性エネルギー線で硬化する際、及び硬化後に架橋が進むため、機械的強度が経時的に変化し、十分な接着性が得られない可能性がある。
【0022】
なお、本発明のウレタン系樹脂の製造に当っては、水添ポリイソプレンポリオールの他に、本発明の効果を損なわない範囲において他のポリオール成分を併用することが可能である。使用可能な他のポリオール成分としては、例えば、他の水酸基含有共役ジエン系重合体の水素添加誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランのブロック又はランダム共重合体等のポリエーテル系、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエチレンアジペートポリオール、ポリブチレンアジペートポリオール等のポリエステル系、1,6−ヘキサンポリカーボネートポリオール等のポリカーボネート系等のジオール化合物が挙げられる。これら他のポリオール成分の量は、ポリオール成分全量中、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
【0023】
また、ポリオール成分1分子当たりの水酸基の平均官能基数は、1個以上であるのが好ましく、1.5個以上であるのが更に好ましく、1.8個以上であるのが特に好ましい。また、接着性等の面から、この平均官能基数は8個以下であるのが好ましく、2.5個以下であるのが更に好ましい。
【0024】
(B)ジイソシアネート化合物
成分(B)であるジイソシアネート化合物の例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ω,ω′−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。中でも、耐候性を要求される用途で好ましいのはIPDI、H12MDIであり、機械的強度が求められる場合にはTDI、MDIが好ましい。
【0025】
(C)水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート
成分(C)である水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、分子末端の水酸基がジイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応することによってウレタン系樹脂中に組み込まれ、ラジカル重合性二重結合を導入するものである。水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の炭素数1〜10のアルキル又はアリール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物が挙げられ、これらは、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、上記した中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0026】
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートにより導入されるラジカル重合性二重結合のウレタン系樹脂中における含有量は、下限値が、通常1μeq/g以上、好ましくは10μeq/g以上、さらに好ましくは20μeq/g以上であり、上限値が、通常200μeq/g以下、好ましくは150μeq/g以下、更に好ましくは100μeq/g以下である。この二重結合の含有量が少なすぎると活性エネルギー線での硬化が不十分となる場合がある。また、二重結合の含有量が多すぎると得られる硬化塗膜の硬度が硬くなり過ぎる傾向がある。
【0027】
ウレタン化反応時に、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートにより導入されるラジカル重合性二重結合の熱重合を防止するために、重合禁止剤を用いることもできる。この場合、重合禁止剤としてはメチルハイドロキノン、t−ブチルカテコール、クロラニル等のフェノール系化合物、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン等のアミン類、塩化第2鉄、塩化第2銅等の高原子価金属塩等が挙げられる。
【0028】
<ウレタン系樹脂の製造方法>
本発明のウレタン系樹脂の製造方法としては、
(I) 水添ポリイソプレンポリオール(A)を主体とするポリオール成分とジイソシアネート化合物(B)とをNCO過剰の条件下で反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーと、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)とを反応させるプレポリマー法
(II) 全ての構成成分を同時に一括添加して反応させるワンショット法
(III−1) ジイソシアネート化合物(B)と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)とを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、水添ポリイソプレンポリオール(A)を主体とするポリオール成分と反応させる方法
(III−2) ジイソシアネート化合物(B)と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)とを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、水添ポリイソプレンポリオール(A)を主体とするポリオール成分とジイソシアネート化合物(B)とを水酸基過剰の条件下で反応させた水酸基末端ウレタンプレポリマーと反応させる方法
等が挙げられる。これらのうち、得られるウレタン系樹脂の構造、分子量を細かく制御できる点では、(I)又は(III−2)が好ましい。
【0029】
(I)の方法の場合、ジイソシアネート化合物(B)とポリオール成分の反応仕込量はNCO/OHモル比で、下限値が、通常1.01以上、好ましくは1.5以上であり、上限値が、通常10以下、好ましくは5以下である。この比が小さすぎるとハードセグメント量が少なく、耐摩耗性が低い傾向がある。一方、大きすぎると溶解性が乏しく、また粘度も高くなりすぎる傾向にある。この方法の場合、具体的には、ポリオール成分とジイソシアネート化合物とを含む混合物を、通常50〜120℃の温度で1〜24時間程度反応させ、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得、必要に応じて0〜40℃程度の温度で鎖延長を行った後、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートと溶剤を添加し、50〜120℃の温度で1〜24時間程度反応を行い、目的とするウレタン系樹脂を得ることができる。
【0030】
(III−2)の方法の場合、具体的には、ジイソシアネート化合物(B)と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)とを通常0〜80℃の温度で1〜24時間程度先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、水添ポリイソプレンポリオール(A)を主体とするポリオール成分とジイソシアネート化合物(B)とを水酸基過剰の条件下で通常50〜120℃の温度で1〜24時間程度反応させた水酸基末端ウレタンプレポリマーと、通常、0〜80℃の温度で1〜24時間程度反応させることにより、目的とするウレタン系樹脂を得ることができる。
【0031】
上述のようなウレタン系樹脂の製造工程において、必要に応じて有機溶剤で希釈して反応系の粘度を低減することも可能である。この場合、使用される好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を通常、ウレタン系樹脂100重量部に対して200重量部未満の範囲で使用することができる。
【0032】
ウレタンプレポリマーを製造する際の触媒としては通常のウレタン化反応触媒が用いられる。例えばジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン系等が挙げられる。
【0033】
また、(III−2)の方法で水添ポリイソプレンポリオールの水酸基を一部意図的に残存するようにして合成したウレタン系樹脂を含有する該活性エネルギー性硬化組成物は、その上にイソシアネート基の様に、水酸基と反応しうる官能基を有する塗料、接着剤を施す場合において、初期は粘着性を発現し、経時と共にその水酸基がその上層の塗料や接着剤のイソシアネート基等の官能基と反応して接着力を発現するポリオレフィン系基材に対するプライマーとしての使用も可能である。
【0034】
このようにして製造される本発明のウレタン系樹脂の重量平均分子量としては、下限値が、通常1000以上、好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上であり、上限値が、通常20万以下、好ましくは15万以下、さらに好ましくは10万以下である。この重量平均分子量が小さすぎると得られる塗膜が硬くなり過ぎる傾向にある。また、重量平均分子量が大きすぎると溶液性状が低下し、溶液粘度が高くなるため作業性が劣る傾向にある。
【0035】
次に、このような本発明のウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを含有する本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について説明する。
【0036】
(2)<反応性希釈モノマー>
反応性希釈モノマーは、高粘性である前記ウレタン系樹脂をその物性低下を抑えつつ活性エネルギー線硬化樹脂組成物全体の粘度を低下させる目的で使用される。
【0037】
反応性希釈モノマーの具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等のモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n(エチレン基数)=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n(プロピレン基数)=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n(ブチレン基数)=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n(1−メチルブチレングリコール基数)=5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0038】
(3)<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、本発明のウレタン系樹脂を単独で使用しても構わないが、粘度及び粘着性、接着性をコントロールする意味で、ウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとの合計100重量部に対して、ウレタン系樹脂の下限値が通常40重量部以上、好ましくは50重量部以上であり、上限値が通常100重量部以下、好ましくは90重量部以下、より好ましくは70重量部以下の範囲で、ウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを混合して用いる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のウレタン系樹脂成分が少なすぎると硬化不良を生じ、また多すぎると配合物の粘度が高くなり、塗工作業性が低下する傾向がある。
【0039】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を妨げない範囲において、活性エネルギー線による硬化のために光重合開始剤を添加することができる。使用し得る光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類、メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。
【0040】
また、ラジカル重合性化合物であるウレタン系樹脂中の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート又は反応性希釈モノマーとして、ラジカル重合性の基と共にエポキシ基などのカチオン重合性の基を有する化合物を用いる場合は、上記した光ラジカル重合開始剤と共に光カチオン重合開始剤を併用しても良く、その場合の光カチオン重合開始剤の種類も特に制限されず、従来既知のものを使用することができる。
【0041】
これらの光重合開始剤は、1種又は2種以上の併用が可能であり、その使用割合は、ウレタン系樹脂及び反応性希釈モノマーの合計100重量部に対して、下限値が好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上であり、上限値が好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下の範囲である。光重合開始剤の添加量が少なすぎると、活性エネルギー線種によっては光硬化性が極端に低下し、実質的に工業生産に適さない。また、多すぎると照射光量が小さい場合に、硬化膜に臭気が残るおそれがある。
【0042】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化前に、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の光増感剤、炭酸カルシウム、シリカ、雲母等の無機フィラー、鉄、鉛等の金属フィラー、顔料や染料等の着色剤、その他、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤等、公知の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造するにあたって、硬化前の配合物の粘度は、用途や使用態様などに応じて調節し得るが、一般に、回転式E型粘度計を用いて測定したときに、常温(25℃)において、その粘度が10〜100000mPa・s程度であることが、取り扱い性、塗工性、成形性、立体造形性などの点から好ましく、100〜50000mPa・s程度であるのがより好ましい。硬化性樹脂組成物の粘度の調節は、ウレタン系樹脂及び反応性希釈モノマーの種類とそれらの配合割合の調節などによって行うことができる。
【0044】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、本質的に有機溶剤を含まないものであるが、合成工程、コーティング方式によって有機溶剤の種類により使用が許される場合に、それら有機溶剤を添加することは、本発明から逸脱するものでは無い。
【0045】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特にポリオレフィン系基材に対し優れた粘着性を示すものであるが、このようなポリオレフィン系基材としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等の樹脂、具体的には、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、及び、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂や、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜10程度のα−オレフィンとの二元又は三元以上の共重合体、更にこれらに、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,4−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエンを共重合した三元又は四元以上の共重合体等のゴム、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のゴムが挙げられる。
【0046】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工方法としては、バーコーター法、アプリケーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、グラビアコーター法、コンマコーター法等、公知の方法を適用可能である。
【0047】
また、硬化のために使用される活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能である。装置コストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が適している。
【0048】
電子線照射で硬化させる場合には、光重合開始剤の添加は不要であり、その照射量は1〜10Mradであることが好ましい。また、紫外線照射の場合はその照射量は50〜1000mJ/cm2であることが好ましい。硬化時の雰囲気は、空気、窒素、或いはアルゴン等の不活性ガス中、或いはフィルムやガラスと金属金型との間の密閉空間のいずれでも良い。
【0049】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の実施例によってその範囲を制約されるものではない。
【0050】
実施例1〜3
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ツ口フラスコ中に、イソホロンジイソシアネート144.3重量部、水添ポリイソプレンポリオール(数平均分子量2,800、水酸基価46.8mg−KOH/g、1,2−/1,4−付加体比率=20/80モル比、ヨウ素価4.3g/100g)773.3重量部を仕込み(NCO/OHモル比=2/1)、内温80℃で6時間反応させ、次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート82.4重量部を加えて加熱し、内温70℃で更に8時間反応させた。生成物の赤外線吸収スペクトルの測定により、2260cm−1のイソシアネート基に由来するピークの消失を確認して、本発明のウレタン系樹脂(重量平均分子量:3500,ウレタン系樹脂中のラジカル重合性二重結合の含有量570μeq/g)を製造した。
【0051】
得られたウレタン系樹脂に、反応性希釈モノマーとしてアクリル酸イソアミルを表1に示す割合で配合した(ただし、実施例1では反応性希釈モノマー使用せず。)。このウレタン系樹脂配合液はいずれも透明液体であり、回転式E型粘度計を用いて常温(25℃)で測定した粘度は表1に示す通りであった。これらのウレタン系樹脂配合液について、以下の方法で塗工性及びポリオレフィン系基材に対する接着性を調べ、結果を表1に示した。
【0052】
[塗工性及び接着性の評価]
ポリプロピレン−エチレン共重合体樹脂(230℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート0.7g/10分、日本ポリケム社製「EG8」)40重量%とエチレン−プロピレン共重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕88、ジェーエスアール社製「EP57P」)60重量%の混合物の射出成形シート(厚さ2mm)の表面に各ウレタン系樹脂配合液を約25μmの厚さとなるように塗工した。このときの塗工性を○:非常に良い、△:良い、×:悪いで評価した。また、この塗膜に、アイグラフィックス社製電子線照射装置「CB175」を用い、酸素濃度100ppm以下の雰囲気下にて、加速電圧175KV、照射線量5Mradの条件で電子線を照射して硬化させ粘着シートを得た。得られた粘着シート上にポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚さ75μm)を重ね、3kg/cm2Gで圧着させた。
【0053】
得られた3層積層物について、接着部を10mm幅でサンプリングし、インストロン型引張試験機を用い、JIS K6854に準拠して、23℃において、その一端を予め剥離した後、剥離速度200mm/分で剥離することにより180°剥離強度を測定して接着性を調べた。
【0054】
比較例1
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ツ口フラスコ中に、イソホロンジイソシアネート153.8重量部、水添ポリブタジエンポリオール(数平均分子量2,000、室温で液状、水酸基価50.2mg−KOH/g、1,2−/1,4−付加体比率=90/10モル比、ヨウ素価3.4g/100g)758.2重量部を仕込み(NCO/OHモル比=2/1)、内温80℃で6時間反応させ、次いでヒドロキシエチルアクリレート87.9重量部を加えて加熱し、内温70℃で更に8時間反応させた。生成物の赤外線吸収スペクトルの測定により、2260cm−1のイソシアネート基に由来するピークの消失を確認して、ウレタン系樹脂(重量平均分子量:2680,ウレタン系樹脂中のラジカル重合性二重結合の含有量746μeq/g)を製造した。
【0055】
このウレタン系樹脂について、実施例2と同様に反応性希釈モノマーと混合したところ、得られたウレタン系樹脂配合液は透明液体であり、その粘度は表1に示す通りであった。このウレタン系樹脂配合液について実施例1と同様に塗工性及びポリオレフィン系基材に対する接着性を調べ、結果を表1に示した。
【0056】
比較例2
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ツ口フラスコ中に、イソホロンジイソシアネート150重量部、水添ポリブタジエンポリオール(数平均分子量2,800、室温で固体、水酸基価45.4mg−KOH/g、1,2−/1,4−付加体比率=20/80モル比、ヨウ素価1.4g/100g)778.5重量部を仕込み(NCO/OHモル比=2/1)、内温80℃で6時間反応させ、次いでヒドロキシエチルアクリレート80.5重量部を加えて加熱し、内温70℃で8時間反応させた後、赤外線吸収スペクトルの測定により、2260cm−1のイソシアネート基に由来するピークの消失を確認した。しかし、得られた生成物は室温で固体状であり、かつ反応性希釈モノマーを添加しても室温で液状にはならず、目的とする組成物は得られなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、実質的に有機溶剤を含まず、活性エネルギー線で硬化して粘着性を発現し、ポリオレフィン系基材等の非極性基材に対して優れた粘着性と接着性を示す活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線で硬化して粘着性を発現し、特にポリオレフィン系基材に対して優れた粘着性、接着性を発現する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に好適なウレタン系樹脂と、これを用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車部材、建築部材、一般生活用品の部材として用いられてきた塩化ビニルをはじめとする塩素系樹脂に代わり、価格が安く、成型性、耐薬品性、耐熱性、耐水性、電気特性等の多くの優れた性質を有し、かつ環境負荷の小さいポリオレフィン系樹脂が、広く用いられる様になってきている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の極性を有する合成樹脂と異なり、非極性でかつ結晶性を有するため、塗装や接着が困難であるという欠点を有している。このため、ポリオレフィン系基材用の接着性材料としては、従来、ポリオレフィンを塩素化することで極性を付与し、溶剤溶解性やその他の合成樹脂との接着性を高めた塩素化ポリオレフィン系樹脂を溶剤に溶解して用いられてきた。しかしながら、依然として塩素化物を使用しているという事実に変わりはなく、環境負荷の小さい非塩素系の接着性材料が求められていた。
【0003】
このような背景のもとで、非塩素系材料として水添ポリブタジエンポリオールや水添ポリイソプレンポリオールを用いた接着剤が開示されている(特許文献1,2)。しかし、これらの接着剤は、有機溶剤を用いない場合には、粘度が高く作業効率が極端に低下し、また粘度を低減するために有機溶剤を使用した場合には、有機溶剤の乾燥除去設備が必要となり、かつ有機溶剤による環境負荷の問題があった。また、接着強度を向上させるためにポリイソシアネート硬化剤を添加して二液型熱硬化性樹脂として使用する場合には、使用可能時間の制限といった問題があった。更には、熱硬化で接着力を発現するため、貼り付け後すぐには接着力、粘着力が得られず、ゴム同士の張り付け等、歪んだ物を接着させる場合には、硬化反応が起こるまでの間に、歪みによる接着面のずれを生じ易かった。
【0004】
これに対して、環境負荷、作業上の安全面、使用者の健康面の点から問題視されいる有機溶剤を用いず、かつ使用可能時間に制約を受けない硬化系材料として、活性エネルギー線硬化性樹脂が知られている。活性エネルギー線硬化性樹脂であれば、溶剤除去のための乾燥設備を必要とせず、活性エネルギー線の照射によって短時間で硬化するため、近年、広く普及してきている。
【0005】
この様な背景のもと、水添ポリブタジエン骨格を有するポリオールを利用した放射線又は活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が開示されている(特許文献3,4参照)。しかし、これらに用いられている水添ポリブタジエンポリオールは、主として1,2−付加体から構成される液状タイプであり、作業性には優れるものの、ポリオレフィン基材に対する密着性に乏しく、このため、これら1,2−付加体の比率が高い水添ポリブタジエンポリオールから得られる活性エネルギー線硬化型接着剤組成物も、ポリオレフィン糸基材に対しては十分な粘着力、接着力が得られていない。
【0006】
一方、1,4−付加体の比率の高い水添ポリブタジエンポリオールは、結晶性が高くポリオレフィン基材に対して親和性が良好であることから、該水添ポリブタジエンポリオールの誘導体も同様にポリオレフィン基材に対して非常に高い接着力、粘着力を示す(特許文献1参照)。しかしながら、1,4−付加体比率が高い水添ポリブタジエンポリオールは、その結晶性の高さから、誘導体製造時の作業性が悪く、さらには、製造した後の粘度が高粘度であることから、加工適性に問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭54−127939号公報
【特許文献2】
特開昭63―95282号公報
【特許文献3】
特開平4−183770号公報
【特許文献4】
特開2002−309185号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、実質的に有機溶剤を含まず、ポリオレフィン系基材等の非極性基材に対して優れた粘着性と接着性を発現する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物用ウレタン系樹脂とこれを用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリオール成分として水添ポリイソプレンポリオールを用いることにより、液体であるため作業性に優れ、且つポリオレフィン系基材との接着性に優れたウレタン系樹脂を得られることに知見し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明のウレタン系樹脂は、水添ポリイソプレンポリオール、ジイソシアネート化合物、及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートを反応して得られることを特徴とする。
【0011】
この水添ポリイソプレンポリオールは、1,4−付加体の比率が60モル%以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、このような本発明のウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを含有するものであり、ウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとの重量比は、好ましくは90/10〜40/60の範囲である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及び/又はメタクリレート」を、「(メタ)アクリロイルオキシ基」は「アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリルロイルオキシ基」をそれぞれ意味する。
【0015】
まず、本発明のウレタン系樹脂について説明する。
【0016】
(1)<ウレタン系樹脂>
本発明のウレタン系樹脂は、分子内に2個以上のラジカル重合性(メタ)アクリロイルオキシ基と少なくとも2個のウレタン結合を有する化合物であり、該化合物を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させることにより、粘着性、接着性を発現する。
【0017】
該ウレタン系樹脂は、水添ポリイソプレンポリオール(A)と、ジイソシアネート化合物(B)と、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)との反応によって得られる。
【0018】
(A)水添ポリイソプレンポリオール
成分(A)である水添ポリイソプレンポリオールは、一般に、共役ジエンであるイソプレンを、過酸化水素等の水酸基含有ラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合させることによって、直接末端に水酸基を有する共役ジエン系重合体とし、得られた水酸基含有共役ジエン系重合体を常法により水素添加することにより製造される。アニオン重合によっても条件を選択することにより1,4−付加体の比率を高めることは可能であるが、その選択の幅は狭く、本発明の目的から見た場合には、1,4−付加体の比率が高いものを得易いラジカル重合により作られるものの方が好ましい。水添ポリイソプレンポリオール全量中の1,4−付加体の好ましい比率は、下限が通常60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。この量が少なすぎると接着性が低下する傾向がある。
【0019】
なお、採用する工程、及び得られるウレタン系樹脂の用途によっては、この重合の際に他の共役ジエン、例えばブタジエン等が併用されてもよく、また、スチレン、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニル系単量体、或いはエチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィンが共重合されても、本発明から逸脱するものでは無い。これら、他の共重合成分の量は、全共重合成分中、通常、30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
【0020】
水添ポリイソプレンポリオールの数平均分子量の下限は、好ましくは500、更に好ましくは1,000、より好ましくは2,000である。また、この数平均分子量の上限は、好ましくは20,000以下、更に好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下である。数平均分子量が500より小さい場合には、基材との親和性が劣り、また20,000を超えると、融点が高くなりすぎ、多官能性物質との反応の際に、固体、若しくは高い粘調物となり、反応し難くなる。
【0021】
また、水添ポリイソプレンポリオールの水添率は、耐熱性、耐湿性等の面から、90%以上、更に98%以上であるのが好ましく、100%であるのがより好ましい。水添率が90%に満たないものは、残存する二重結合が活性エネルギー線で硬化する際、及び硬化後に架橋が進むため、機械的強度が経時的に変化し、十分な接着性が得られない可能性がある。
【0022】
なお、本発明のウレタン系樹脂の製造に当っては、水添ポリイソプレンポリオールの他に、本発明の効果を損なわない範囲において他のポリオール成分を併用することが可能である。使用可能な他のポリオール成分としては、例えば、他の水酸基含有共役ジエン系重合体の水素添加誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランのブロック又はランダム共重合体等のポリエーテル系、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエチレンアジペートポリオール、ポリブチレンアジペートポリオール等のポリエステル系、1,6−ヘキサンポリカーボネートポリオール等のポリカーボネート系等のジオール化合物が挙げられる。これら他のポリオール成分の量は、ポリオール成分全量中、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
【0023】
また、ポリオール成分1分子当たりの水酸基の平均官能基数は、1個以上であるのが好ましく、1.5個以上であるのが更に好ましく、1.8個以上であるのが特に好ましい。また、接着性等の面から、この平均官能基数は8個以下であるのが好ましく、2.5個以下であるのが更に好ましい。
【0024】
(B)ジイソシアネート化合物
成分(B)であるジイソシアネート化合物の例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ω,ω′−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。中でも、耐候性を要求される用途で好ましいのはIPDI、H12MDIであり、機械的強度が求められる場合にはTDI、MDIが好ましい。
【0025】
(C)水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート
成分(C)である水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、分子末端の水酸基がジイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応することによってウレタン系樹脂中に組み込まれ、ラジカル重合性二重結合を導入するものである。水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の炭素数1〜10のアルキル又はアリール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物が挙げられ、これらは、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、上記した中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0026】
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートにより導入されるラジカル重合性二重結合のウレタン系樹脂中における含有量は、下限値が、通常1μeq/g以上、好ましくは10μeq/g以上、さらに好ましくは20μeq/g以上であり、上限値が、通常200μeq/g以下、好ましくは150μeq/g以下、更に好ましくは100μeq/g以下である。この二重結合の含有量が少なすぎると活性エネルギー線での硬化が不十分となる場合がある。また、二重結合の含有量が多すぎると得られる硬化塗膜の硬度が硬くなり過ぎる傾向がある。
【0027】
ウレタン化反応時に、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートにより導入されるラジカル重合性二重結合の熱重合を防止するために、重合禁止剤を用いることもできる。この場合、重合禁止剤としてはメチルハイドロキノン、t−ブチルカテコール、クロラニル等のフェノール系化合物、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン等のアミン類、塩化第2鉄、塩化第2銅等の高原子価金属塩等が挙げられる。
【0028】
<ウレタン系樹脂の製造方法>
本発明のウレタン系樹脂の製造方法としては、
(I) 水添ポリイソプレンポリオール(A)を主体とするポリオール成分とジイソシアネート化合物(B)とをNCO過剰の条件下で反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーと、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)とを反応させるプレポリマー法
(II) 全ての構成成分を同時に一括添加して反応させるワンショット法
(III−1) ジイソシアネート化合物(B)と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)とを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、水添ポリイソプレンポリオール(A)を主体とするポリオール成分と反応させる方法
(III−2) ジイソシアネート化合物(B)と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)とを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、水添ポリイソプレンポリオール(A)を主体とするポリオール成分とジイソシアネート化合物(B)とを水酸基過剰の条件下で反応させた水酸基末端ウレタンプレポリマーと反応させる方法
等が挙げられる。これらのうち、得られるウレタン系樹脂の構造、分子量を細かく制御できる点では、(I)又は(III−2)が好ましい。
【0029】
(I)の方法の場合、ジイソシアネート化合物(B)とポリオール成分の反応仕込量はNCO/OHモル比で、下限値が、通常1.01以上、好ましくは1.5以上であり、上限値が、通常10以下、好ましくは5以下である。この比が小さすぎるとハードセグメント量が少なく、耐摩耗性が低い傾向がある。一方、大きすぎると溶解性が乏しく、また粘度も高くなりすぎる傾向にある。この方法の場合、具体的には、ポリオール成分とジイソシアネート化合物とを含む混合物を、通常50〜120℃の温度で1〜24時間程度反応させ、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得、必要に応じて0〜40℃程度の温度で鎖延長を行った後、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートと溶剤を添加し、50〜120℃の温度で1〜24時間程度反応を行い、目的とするウレタン系樹脂を得ることができる。
【0030】
(III−2)の方法の場合、具体的には、ジイソシアネート化合物(B)と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート(C)とを通常0〜80℃の温度で1〜24時間程度先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、水添ポリイソプレンポリオール(A)を主体とするポリオール成分とジイソシアネート化合物(B)とを水酸基過剰の条件下で通常50〜120℃の温度で1〜24時間程度反応させた水酸基末端ウレタンプレポリマーと、通常、0〜80℃の温度で1〜24時間程度反応させることにより、目的とするウレタン系樹脂を得ることができる。
【0031】
上述のようなウレタン系樹脂の製造工程において、必要に応じて有機溶剤で希釈して反応系の粘度を低減することも可能である。この場合、使用される好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を通常、ウレタン系樹脂100重量部に対して200重量部未満の範囲で使用することができる。
【0032】
ウレタンプレポリマーを製造する際の触媒としては通常のウレタン化反応触媒が用いられる。例えばジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン系等が挙げられる。
【0033】
また、(III−2)の方法で水添ポリイソプレンポリオールの水酸基を一部意図的に残存するようにして合成したウレタン系樹脂を含有する該活性エネルギー性硬化組成物は、その上にイソシアネート基の様に、水酸基と反応しうる官能基を有する塗料、接着剤を施す場合において、初期は粘着性を発現し、経時と共にその水酸基がその上層の塗料や接着剤のイソシアネート基等の官能基と反応して接着力を発現するポリオレフィン系基材に対するプライマーとしての使用も可能である。
【0034】
このようにして製造される本発明のウレタン系樹脂の重量平均分子量としては、下限値が、通常1000以上、好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上であり、上限値が、通常20万以下、好ましくは15万以下、さらに好ましくは10万以下である。この重量平均分子量が小さすぎると得られる塗膜が硬くなり過ぎる傾向にある。また、重量平均分子量が大きすぎると溶液性状が低下し、溶液粘度が高くなるため作業性が劣る傾向にある。
【0035】
次に、このような本発明のウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを含有する本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について説明する。
【0036】
(2)<反応性希釈モノマー>
反応性希釈モノマーは、高粘性である前記ウレタン系樹脂をその物性低下を抑えつつ活性エネルギー線硬化樹脂組成物全体の粘度を低下させる目的で使用される。
【0037】
反応性希釈モノマーの具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等のモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n(エチレン基数)=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n(プロピレン基数)=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n(ブチレン基数)=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n(1−メチルブチレングリコール基数)=5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0038】
(3)<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、本発明のウレタン系樹脂を単独で使用しても構わないが、粘度及び粘着性、接着性をコントロールする意味で、ウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとの合計100重量部に対して、ウレタン系樹脂の下限値が通常40重量部以上、好ましくは50重量部以上であり、上限値が通常100重量部以下、好ましくは90重量部以下、より好ましくは70重量部以下の範囲で、ウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを混合して用いる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のウレタン系樹脂成分が少なすぎると硬化不良を生じ、また多すぎると配合物の粘度が高くなり、塗工作業性が低下する傾向がある。
【0039】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を妨げない範囲において、活性エネルギー線による硬化のために光重合開始剤を添加することができる。使用し得る光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類、メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。
【0040】
また、ラジカル重合性化合物であるウレタン系樹脂中の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート又は反応性希釈モノマーとして、ラジカル重合性の基と共にエポキシ基などのカチオン重合性の基を有する化合物を用いる場合は、上記した光ラジカル重合開始剤と共に光カチオン重合開始剤を併用しても良く、その場合の光カチオン重合開始剤の種類も特に制限されず、従来既知のものを使用することができる。
【0041】
これらの光重合開始剤は、1種又は2種以上の併用が可能であり、その使用割合は、ウレタン系樹脂及び反応性希釈モノマーの合計100重量部に対して、下限値が好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上であり、上限値が好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下の範囲である。光重合開始剤の添加量が少なすぎると、活性エネルギー線種によっては光硬化性が極端に低下し、実質的に工業生産に適さない。また、多すぎると照射光量が小さい場合に、硬化膜に臭気が残るおそれがある。
【0042】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化前に、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の光増感剤、炭酸カルシウム、シリカ、雲母等の無機フィラー、鉄、鉛等の金属フィラー、顔料や染料等の着色剤、その他、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤等、公知の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造するにあたって、硬化前の配合物の粘度は、用途や使用態様などに応じて調節し得るが、一般に、回転式E型粘度計を用いて測定したときに、常温(25℃)において、その粘度が10〜100000mPa・s程度であることが、取り扱い性、塗工性、成形性、立体造形性などの点から好ましく、100〜50000mPa・s程度であるのがより好ましい。硬化性樹脂組成物の粘度の調節は、ウレタン系樹脂及び反応性希釈モノマーの種類とそれらの配合割合の調節などによって行うことができる。
【0044】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、本質的に有機溶剤を含まないものであるが、合成工程、コーティング方式によって有機溶剤の種類により使用が許される場合に、それら有機溶剤を添加することは、本発明から逸脱するものでは無い。
【0045】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特にポリオレフィン系基材に対し優れた粘着性を示すものであるが、このようなポリオレフィン系基材としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等の樹脂、具体的には、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、及び、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂や、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜10程度のα−オレフィンとの二元又は三元以上の共重合体、更にこれらに、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,4−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエンを共重合した三元又は四元以上の共重合体等のゴム、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のゴムが挙げられる。
【0046】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工方法としては、バーコーター法、アプリケーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、グラビアコーター法、コンマコーター法等、公知の方法を適用可能である。
【0047】
また、硬化のために使用される活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能である。装置コストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が適している。
【0048】
電子線照射で硬化させる場合には、光重合開始剤の添加は不要であり、その照射量は1〜10Mradであることが好ましい。また、紫外線照射の場合はその照射量は50〜1000mJ/cm2であることが好ましい。硬化時の雰囲気は、空気、窒素、或いはアルゴン等の不活性ガス中、或いはフィルムやガラスと金属金型との間の密閉空間のいずれでも良い。
【0049】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の実施例によってその範囲を制約されるものではない。
【0050】
実施例1〜3
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ツ口フラスコ中に、イソホロンジイソシアネート144.3重量部、水添ポリイソプレンポリオール(数平均分子量2,800、水酸基価46.8mg−KOH/g、1,2−/1,4−付加体比率=20/80モル比、ヨウ素価4.3g/100g)773.3重量部を仕込み(NCO/OHモル比=2/1)、内温80℃で6時間反応させ、次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート82.4重量部を加えて加熱し、内温70℃で更に8時間反応させた。生成物の赤外線吸収スペクトルの測定により、2260cm−1のイソシアネート基に由来するピークの消失を確認して、本発明のウレタン系樹脂(重量平均分子量:3500,ウレタン系樹脂中のラジカル重合性二重結合の含有量570μeq/g)を製造した。
【0051】
得られたウレタン系樹脂に、反応性希釈モノマーとしてアクリル酸イソアミルを表1に示す割合で配合した(ただし、実施例1では反応性希釈モノマー使用せず。)。このウレタン系樹脂配合液はいずれも透明液体であり、回転式E型粘度計を用いて常温(25℃)で測定した粘度は表1に示す通りであった。これらのウレタン系樹脂配合液について、以下の方法で塗工性及びポリオレフィン系基材に対する接着性を調べ、結果を表1に示した。
【0052】
[塗工性及び接着性の評価]
ポリプロピレン−エチレン共重合体樹脂(230℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート0.7g/10分、日本ポリケム社製「EG8」)40重量%とエチレン−プロピレン共重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕88、ジェーエスアール社製「EP57P」)60重量%の混合物の射出成形シート(厚さ2mm)の表面に各ウレタン系樹脂配合液を約25μmの厚さとなるように塗工した。このときの塗工性を○:非常に良い、△:良い、×:悪いで評価した。また、この塗膜に、アイグラフィックス社製電子線照射装置「CB175」を用い、酸素濃度100ppm以下の雰囲気下にて、加速電圧175KV、照射線量5Mradの条件で電子線を照射して硬化させ粘着シートを得た。得られた粘着シート上にポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚さ75μm)を重ね、3kg/cm2Gで圧着させた。
【0053】
得られた3層積層物について、接着部を10mm幅でサンプリングし、インストロン型引張試験機を用い、JIS K6854に準拠して、23℃において、その一端を予め剥離した後、剥離速度200mm/分で剥離することにより180°剥離強度を測定して接着性を調べた。
【0054】
比較例1
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ツ口フラスコ中に、イソホロンジイソシアネート153.8重量部、水添ポリブタジエンポリオール(数平均分子量2,000、室温で液状、水酸基価50.2mg−KOH/g、1,2−/1,4−付加体比率=90/10モル比、ヨウ素価3.4g/100g)758.2重量部を仕込み(NCO/OHモル比=2/1)、内温80℃で6時間反応させ、次いでヒドロキシエチルアクリレート87.9重量部を加えて加熱し、内温70℃で更に8時間反応させた。生成物の赤外線吸収スペクトルの測定により、2260cm−1のイソシアネート基に由来するピークの消失を確認して、ウレタン系樹脂(重量平均分子量:2680,ウレタン系樹脂中のラジカル重合性二重結合の含有量746μeq/g)を製造した。
【0055】
このウレタン系樹脂について、実施例2と同様に反応性希釈モノマーと混合したところ、得られたウレタン系樹脂配合液は透明液体であり、その粘度は表1に示す通りであった。このウレタン系樹脂配合液について実施例1と同様に塗工性及びポリオレフィン系基材に対する接着性を調べ、結果を表1に示した。
【0056】
比較例2
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ツ口フラスコ中に、イソホロンジイソシアネート150重量部、水添ポリブタジエンポリオール(数平均分子量2,800、室温で固体、水酸基価45.4mg−KOH/g、1,2−/1,4−付加体比率=20/80モル比、ヨウ素価1.4g/100g)778.5重量部を仕込み(NCO/OHモル比=2/1)、内温80℃で6時間反応させ、次いでヒドロキシエチルアクリレート80.5重量部を加えて加熱し、内温70℃で8時間反応させた後、赤外線吸収スペクトルの測定により、2260cm−1のイソシアネート基に由来するピークの消失を確認した。しかし、得られた生成物は室温で固体状であり、かつ反応性希釈モノマーを添加しても室温で液状にはならず、目的とする組成物は得られなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、実質的に有機溶剤を含まず、活性エネルギー線で硬化して粘着性を発現し、ポリオレフィン系基材等の非極性基材に対して優れた粘着性と接着性を示す活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提供される。
Claims (4)
- 水添ポリイソプレンポリオール、ジイソシアネート化合物、及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートを反応させてなることを特徴とするウレタン系樹脂。
- 該水添ポリイソプレンポリオール全量中の1,4−付加体の含有割合が60モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載のウレタン系樹脂。
- 請求項1又は2に記載のウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 該ウレタン系樹脂と反応性希釈モノマーとの合計100重量部に対するウレタン系樹脂の含有量が、40重量部以上、90重量部以下であることを特徴とする請求項3に記載の活性エネルギー線硬化樹脂組成物。
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