JP5561367B2 - アクリレートの製造方法、及び、アクリル酸の回収方法 - Google Patents

アクリレートの製造方法、及び、アクリル酸の回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクリレート、好ましくは高沸点のアクリレートの製造において、反応で生じるアクリル酸の回収・再使用を主目的とするアクリレートの製造方法、及び、アクリル酸の回収方法に関し、アクリレートを製造・使用する技術分野及びアクリル酸を使用する技術分野に属する。
アクリレートは、アクリル酸とアルコールとを、酸触媒の存在下にエステル化反応させて製造されることが多い。
低沸点アクリレートの製造では、反応液を蒸留して精製される。
一方、高沸点アクリレートの製造においては蒸留が容易でないため、反応溶媒を含むエステル化反応液を中和して酸触媒及び未反応アクリル酸を除去し、有機相と水相の2層分離した有機層を分離し、さらに有機層中の反応溶媒を脱溶剤して製造される。この場合、目的物であるアクリレートと原料アルコールの分離が困難なため、アクリル酸を過剰に使用して原料アルコールをなるべく多く反応させ、反応液中にアルコールが残らないようにする方法が一般的に採用されている。
しかしながら、アクリル酸を過剰に用いると、未反応アクリル酸を除去する中和・水洗を行う必要が生じ、その結果、アクリル酸をロスするばかりか、化学的酸素要求量(COD)の値の高い廃水を生じるという問題を含んでいる。
上記の問題を解決するために、エステル化反応液を中和し、アクリル酸又はそのアルカリ金属塩を含有する水性液を酸性化し、有機溶剤によりアクリル酸を抽出回収する方法が提案されている(特許文献1及び2)。
しかし、これらの方法は、有機溶剤で抽出回収するため、抽出を行うための設備、有機溶剤を回収するための設備が必要になること、回収液中のアクリル酸濃度は30重量%以下と低く、回収したアクリル酸を再利用するには蒸留等により精製する必要があること等、十分とはいえない状況にある。
特開2006−213647号公報 特開昭61−243046号公報
本発明の目的は、有機溶剤によるアクリル酸の抽出工程が不要であり、回収液中のアクリル酸濃度を高濃度とし、アクリル酸の回収効率に優れたアクリレートの製造方法、及び、アクリル酸の回収方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す本発明のアクリレートの製造方法、及び、アクリル酸の回収方法を完成した。
下記第1工程〜第5工程を順次実施するアクリレートの製造方法。
第1工程:酸触媒の存在下に、アクリル酸とアルコールを攪拌・混合し、エステル化反応させアクリレートを含む反応液を得る工程
第2工程:第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加して中和した後、有機相と水相の2相に分離させ、有機相を分取し、アクリレートを回収する工程
第3工程:第2工程で得られた水相を分取し、これに硫酸濃度70重量%以上の硫酸水溶液を添加し、pHを4.0以下に調整し、かつ液中のアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合をアクリル酸換算で18重量%以上とする工程
第4工程:第3工程で得られた液を、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程
第5工程:第4工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)を回収する工程
下記第3’工程〜第5’工程を順次実施するアクリル酸の回収方法。
第3’工程:アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、硫酸アルカリ金属塩、並びに、水を含有し、pHが4.0以下であり、かつアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合がアクリル酸換算で18重量%以上である液を調製する工程
第4’工程:第3’工程で得られた液を、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程
第5’工程:第4’工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)を回収する工程
本発明によれば、有機溶剤によるアクリル酸の抽出工程が不要であり、2相分離した下層の液を除去するという簡便な方法で容易にアクリル酸を回収することができ、しかも回収液中のアクリル酸濃度を高濃度とすることができ、回収効率に優れたアクリレートの製造方法、及び、アクリル酸の回収方法を提供することができた。
また、回収されたアクリル酸は、そのまま又は精製して、アクリレートやポリマーの製造に再使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記第1工程〜第5工程を順次実施することを特徴とするアクリレートの製造方法に関する。
第1工程:酸触媒の存在下に、アクリル酸とアルコールを攪拌・混合し、エステル化反応させアクリレートを含む反応液を得る工程
第2工程:第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加して中和した後、有機相と水相の2相に分離させ、有機相を分取し、アクリレートを回収する工程
第3工程:第2工程で得られた水相を分取し、これに硫酸濃度70重量%以上の硫酸水溶液を添加し、pHを4.0以下に調整し、かつ液中のアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合をアクリル酸換算で18重量%以上とする工程
第4工程:第3工程で得られた液を、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程
第5工程:第4工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)を回収する工程
また、本発明は、下記第3’工程〜第5’工程を順次実施することを特徴とするアクリル酸の回収方法に関する。
第3’工程:アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、硫酸アルカリ金属塩、並びに、水を含有し、pHが4.0以下であり、かつアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合がアクリル酸換算で18重量%以上である液を調製する工程
第4’工程:第3’工程で得られた液を、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程
第5’工程:第4’工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)を回収する工程
1.アクリレートの製造方法
本発明のアクリレートの製造方法によれば、種々のアクリレートを製造することが可能であり、高沸点アクリレートの製造に好ましく適用でき、特に13.3kPaの圧力下の沸点が100℃以上のアクリレートの製造に好ましく適用できる。
13.3kPaの圧力下の沸点が100℃以上のアクリレートとしては、例えば、
フェノールアルキレンオキサイド付加物のアクリレート、ノニルフェノールアルキレンオキサイド付加物のアクリレート及びp−クミルフェノールアルキレンオキサイド付加物のアクリレート等のフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のアクリレート;
2−エチルヘキシルアルコールアルキレンオキサイド付加物のアクリレート;
トリシクロデカンジメチロールのアクリレート等の多環式アルキルアクリレート;
トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等の多環式アルキルジアクリレート;
エチレングリコールのモノ又はジアクリレート、プロピレングリコールのモノ又はジアクリレート、ペンタンジオールのモノ又はジアクリレート及びヘキサンジオールのモノ又はジアクリレート等のアルキレングリコールのモノ又はジアクリレート;
ジエチレングリコールのモノ又はジアクリレート、トリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート、テトラエチレングリコールのモノ又はジアクリレート、ポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート、ジプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート、トリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート等のポリアルキレングリコールのモノ又はジアクリレート;
グリセリンのジ又はトリアクリレート及びジグリセリンのジ又はトリアクリレート等のグリセリン類のジ又はトリアクリレート;グリセリン類のアルキレンオキサイド付加物のジ又はトリアクリレート;
ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のモノ又はジアクリレート及びビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のモノ又はジアクリレート等のビスフェノールアルキレンオキサイド付加物のモノ又はジアクリレート;
トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート;これらポリオールのアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレート;並びにポリエステルアクリレート等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。また、アルキレンオキサイドの付加数としては、1〜20が好ましい。
これらアクリレートの中でも、後記する第1工程で水相側にアクリレートが溶解することを防止できる点で、アルキレングリコールのモノ又はジアクリレート等の親水性アクリレートより、疎水性のアクリレートの製造方法に適するものである。
以下、前記した第1工程〜第5工程について説明する。
1)第1工程
第1工程では、酸触媒の存在下に、アクリル酸とアルコールを攪拌・混合し、エステル化反応させアクリレートを含む反応液を得る。
エステル化反応としては、常法に従えば良く、有機溶媒中、酸触媒の存在下にアクリル酸及び高沸点アルコールを加熱・攪拌する方法等が挙げられる。
アルコールとしては、前記したアクリレートに対応するものを使用すれば良い。
具体的には、
フェノールアルキレンオキサイド付加物、ノニルフェノールアルキレンオキサイド付加物及びp−クミルフェノールアルキレンオキサイド付加物等のフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;
2−エチルヘキシルアルコールアルキレンオキサイド付加物;
トリシクロデカンジメチロール等の多環式アルキルアルコール;
トリシクロデカンジメチロール等の多環式アルキルジアルコール;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール及びヘキサンジオール等のアルキレングリコール;
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;
グリセリン及びジグリセリン等のグリセリン類;
グリセリン類のアルキレンオキサイド付加物;
ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物及びビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノール類アルキレンオキサイド付加物;
トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトール等のポリオール;
これらポリオールのアルキレンオキサイド付加物;
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物;並びにポリエステルポリオール等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。また、アルキレンオキサイドの付加数としては、1〜20が好ましい。
これらアルコールの中でも、前記した通り、得られるアクリレートが疎水性となるアルコールが好ましい。
アクリル酸の使用割合は、目的とするアクリレートに応じて適宜設定すれば良く、高沸点アルコールの全水酸基1モルに対して1.0〜2.0モルが好ましく、より好ましくは1.1〜1.5モルである。
酸触媒としては、硫酸等の鉱酸、並びにp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。
酸触媒の使用割合としては、有機溶媒を含む反応液の重量に対して0.1〜10重量%が好ましい。
エステル化反応は、常法に従い実施すれば良い。
反応温度は、使用する原料及び目的に応じて適宜設定すればよいが、反応時間の短縮と重合防止の観点から65〜140℃が好ましく、75〜120℃がより好ましい。反応温度を65℃以上とすることでエステル化反応を迅速に行い、収率の低下を防止することができ、一方反応温度を140℃以下とすることで、アクリル酸又は生成したアクリレートの熱重合を防止することができる。
反応における圧力としては、常圧でも、減圧でも良い。後記する通り、アクリル酸又は生成したアクリレートの熱重合を防止することを目的としては、減圧状態で行うことが好ましい。
エステル化反応に際しては、エステル化反応で生成する水を有機溶媒と共沸させながら脱水を促進することが好ましい。
好ましい有機溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素並びにシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
有機溶媒の使用量は、前記アルコールとアクリル酸の合計量に対して、10〜75重量%となる割合が好ましく、15〜55重量%となる割合がより好ましい。
エステル化反応は、アクリル酸又は生成したアクリレートの熱重合を防止することを目的とし、好ましくは75〜120℃にて行うことが好ましい。また、重合防止のためにエステル化反応を酸素の存在下で行うことが好ましい。
同様の目的で、反応液に重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、有機化合物及び金属塩等が挙げられる。
有機化合物としては、例えば、ベンゾキノン、ハイドロキノン、カテコール、ジフェニルベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ナフトキノン、t−ブチルカテコール、t−ブチルフェノール、ジメチル−t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾール、ジブチルヒドロキシトルエン及びフェノチアジン等が挙げられる。
金属塩としては、塩化第二銅及び硫酸銅等の金属銅化合物、並びに硫酸第一鉄等の金属鉄化合物等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、原料であるアクリル酸の使用量に対して重量で10〜50,000ppmが好ましく、100〜10,000ppmがより好ましい。100ppm以上とすることで重合防止効果を十分にすることができ、10,000ppm以下とすることで、着色を防止したり、生成物の硬化性低下を防止することができる。
エステル化反応の進行度は、エステル化反応により生成する水の量、すなわち脱水量を監視したり、反応液中の酸分濃度を分析したり、生成物アクリレートの組成を分析し、目的とする組成であるのかを確認して判断する。
また、前記した酸素存在下の反応としては、具体的には、酸素含有気体の雰囲気下で反応したり、酸素含有気体を反応液中に導入しながら反応する方法がある。典型的な酸素含有気体は空気であるが、工業的には引火爆発危険を考えて酸素濃度3〜15容量%に下げた気体が好適に使用される。酸素含有気体は、酸素又は空気と、不活性ガスを混合することによって調製できる。不活性ガスとしては窒素やアルゴンが常用される。
2)第2工程
第2工程は、第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加して中和した後、有機相と水相の2相に分離させ有機相を分取し、アクリレートを回収する工程である。
第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液で添加することで、反応液からアクリル酸及び酸触媒等の酸分をアルカリ水溶液で分離・除去することができる。
中和で使用するアルカリ水溶液において、アルカリ成分としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、並びに炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩及び水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物が、中和の効果が高い点で好ましい。
アルカリ水溶液におけるアルカリ成分の量は、反応液の酸分に対してモル比で1倍以上が好ましく、より好ましくは1.0〜1.6倍である。上記範囲であると、酸分の中和が十分行われる。
また、アルカリ水溶液の濃度は、1〜25重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜25重量%であり、特に好ましくは10〜25重量%である。この濃度が1重量%以上とすることで中和処理後の排水量が増大することを防止することができ、25重量%以下とすることで、アクリレートが重合を防止することができる。
第2工程の中和処理は、反応液及びアルカリ水溶液を、槽型装置に供給して攪拌して処理するか、又はスタティックミキサー等を使用して処理する。尚、比重調整等の目的で、中和前に有機溶媒を反応液に加えることもできる。
第2工程では、第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加して中和した後、有機相と水相の2相に分離させる。当該中和処理は、複数回に分けて実施することもできる。
●前処理
中和処理を実施する前において、種々の目的で反応液の水洗処理を行うことができる。
特に、エステル化反応で銅系の重合禁止剤を使用した場合において、効率的に銅系の重合禁止剤を除去することができ、好ましい。
水洗処理の方法としては、常法に従えば良く、具体的には、エステル化反応により得られた反応液に水を添加し、攪拌及び混合する方法等が挙げられる。
水としては、純水を使用することが好ましい。
●アクリレート最終製品
第2工程では、前記中和処理後に、有機相と水相の2相に分離させ、有機相を分取し、アクリレートを回収する。
有機相の分取の方法としては、下層である水相を抜き出せば良い。抜き出した水相は、後記する第3工程を実施する。
前記で水相を分取した後の有機層は、必要に応じて、有機溶媒を除去し最終製品のアクリレートとすることができる。
脱溶剤処理は、常法に従えば良く、例えば脱溶剤槽を減圧にし、有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。脱溶剤槽の真空度としては、使用する原料及び目的に応じて適宜設定すれば良く、好ましくは0.5〜50kPaであり、溶剤の除去程度により徐々に減圧度を増す方法が好ましい。
この脱溶剤処理は、アクリレートの熱重合を抑えるために、酸素を供給したり、重合禁止剤を添加したりするとともに、温度を例えば20℃以上80℃以下に維持して、減圧下に行うことが好ましい。
必要に応じて、前記脱溶剤処理において有機相から有機溶媒を脱溶剤槽で除去するとともに、脱溶剤槽へ濾過助剤を供給し、脱溶剤槽に接続された竪型水平濾板式の濾過器に濾過助剤を堆積させて反応生成物の濾過処理を行うこともできる。
また、有機層は、必要に応じて脱溶剤処理を行う前に、水洗処理を行うこともできる。
3)第3工程
第3工程は、第2工程で得られた水相を分取し〔以下、水相(2)という。〕、これに硫酸濃度70重量%以上の硫酸水溶液を添加し、pHを4.0以下に調整し、かつ液中のアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合をアクリル酸換算で18重量%以上とする工程である。
第3工程で使用する硫酸水溶液の硫酸濃度は、70重量%以上である。70重量%未満のものを使用する場合、第4工程の2相分離が困難となり、アクリル酸(塩)の回収率が低下してしまう。硫酸水溶液の硫酸濃度としては、75重量%以上が好ましく、また、100重量%以下であることが好ましく、99重量%以下であることがより好ましい。
第3工程では、水相(2)に硫酸水溶液を添加して、pHを4.0以下とする。pHが4.0を超過する場合は、第4工程の2相分離が困難となり、アクリル酸(塩)の回収率が低下してしまう。好ましい水相のpHとしては、0〜4.0の範囲であり、より好ましくは1〜3.5の範囲である。
水相(2)に添加する硫酸水溶液の添加量としては、水相のpHが4.0以下となる量であれば任意である。
水相(2)に硫酸水溶液を添加する場合における温度としては、25℃以上が好ましく、より好ましくは25〜40℃であり、特に好ましくは30〜40℃である。この温度を25℃以上とすることにより、第3工程において硫酸塩が析出することを防止することができる。
本発明のアクリレートの製造方法では、第3工程において、液中のアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩〔以下、「アクリル酸(塩)」という。〕の含有割合をアクリル酸換算で18重量%以上とし、60重量%以下が好ましい。また、前記含有割合は、20重量%以上が好ましく、特に好ましくは20〜60重量%である。この割合が18重量%より低いと、第4工程において2相分離させることができない。
液中のアクリル酸(塩)の含有割合をアクリル酸換算で18重量%以上とする方法としては、第2工程で使用するアルカリ水溶液の濃度及びアルカリ水溶液の使用量を調整する方法等が挙げられる。また、液中のアクリル酸(塩)の含有割合が18重量%に満たない場合は、水を留去、又は、アクリル酸(塩)を追加して、アクリル酸(塩)の含有割合が前記割合となるようにすることもできる。
尚、液中のアクリル酸(塩)の割合は、液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ及びイオンクロマトグラフィ等の方法で測定することができる。この場合、事前にアクリル酸(塩)を使用して検量線を作成しておき、測定した値を絶対検量線法により補正して割合を決定することができる。アクリル酸塩として測定した場合には、計算によりアクリル酸に換算する。
尚、特許文献1(特開2006−213647号公報)において、実施例に記載された水相中のアクリル酸濃度は16.6重量%であり、特許文献2(特開昭61−243046号公報)において、実施例3に記載された水相中のアクリル酸濃度は15.5重量%であり、いずれも2相分離しているものでなかった。
本発明者らは、前記公知文献で全く開示されていない、液中のアクリル酸(塩)濃度を特定値とすることで、前記公知文献で全く示唆も開示もされていない、後記第4工程における2相分離を達成できることを見出したのである。
4)第4工程
第4工程は、第3工程で得られた液を、アクリル酸(塩)を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程である。
この場合の温度としては、25〜40℃が好ましく、30〜40℃がより好ましい。この温度範囲に維持とすることにより、硫酸塩の析出を防止ができる。
この工程において、アクリル酸(塩)を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する方法としては、特に限定されるものではないが、比重差を利用する方法が好ましく、静置分離する方法、遠心分離による方法等が挙げられる。
静置分離する場合は、第3工程で得られた液を前記した好ましい温度で一定時間静置することで良い。
5)第5工程
第5工程は、第4工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸(塩)を多く含む相(上層)を回収する工程である。
第4工程により、アクリル酸(塩)を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離させる。
その後、第5工程で、下層の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相を処理槽下部から抜き出すことにより、アクリル酸(塩)を多く含む相を回収することができる。
回収された相中のアクリル酸(塩)の割合は、使用する原料や条件により異なるが、25〜60重量%のアクリル酸(塩)を含む水溶液が好適に得られる。
●アクリル酸(塩)の再利用
回収されたアクリル酸(塩)水溶液は、処理条件により変動するが、アクリル酸を主成分とし、アクリル酸のアルカリ金属塩をわずかに含む水溶液として得られる。回収されたアクリル酸(塩)水溶液はそのまま使用することもでき、また、精製して使用することもでき、さらにアクリル酸を分離して使用することもできる。
回収されたアクリル酸(塩)水溶液は、目的とする用途によっては精製することなくそのまま重合することにより、ポリアクリル酸やポリアクリル酸塩の製造に好適に使用することができる。
得られたポリアクリル酸やポリアクリル酸塩(好ましくはナトリウム塩)は、分散剤、増粘剤及び凝集剤等の用途に好適に使用することができる。
尚、純度が要求される用途の場合には、前記重合に先立ってアクリル酸(塩)水溶液の精製を行い、精製後のアクリル酸(塩)水溶液を使用して重合に使用することができる。
回収されたアクリル酸(塩)水溶液からアクリル酸を分離して使用する場合は、回収されたアクリル酸(塩)水溶液にトルエン等の有機溶媒を添加し、加熱して水を共沸留去する方法が挙げられる。
得られたアクリル酸は、ポリマー及びアクリレートの製造原料として使用することができる。又、第一工程における原料アクリル酸としても使用することができる。
●下層の廃棄・処理
下層として処理槽から抜き出した硫酸アルカリ金属塩を多く含む相の処理方法としては特に限定されるものではないが、そのまま燃焼処理することができる。又、該溶液を冷却し、硫酸アルカリ金属塩を結晶として分離することもできる。
又、水を留去した後、析出した硫酸塩を分離することにより、アクリル酸(塩)水溶液として回収することも可能である。
2.アクリル酸の回収方法
本発明のアクリル酸の回収方法は、下記第3’工程〜第5’工程を順次実施することを特徴とするに関する。
第3’工程:アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、硫酸アルカリ金属塩、並びに、水を含有し、pHが4.0以下であり、かつアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合がアクリル酸換算で18重量%以上である液を調製する工程
第4’工程:第3’工程で得られた液を、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程
第5’工程:第4’工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)を回収する工程
1)第3’工程
第3’工程は、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、硫酸アルカリ金属塩、並びに、水を含有し、pHが4.0以下であり、かつアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合がアクリル酸換算で18重量%以上である液を調製する工程である。
第3’工程で得られる液のpHは、4.0以下の範囲であり、0〜4.0の範囲であることが好ましく、1〜3.5の範囲であることがより好ましい。pHが4.0を超過する場合は、第4工程の2相分離が困難となり、アクリル酸(塩)の回収率が低下してしまう。
第3’工程で得られる液中のアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合は、アクリル酸換算で18重量%以上であり、60重量%以下が好ましい。また、前記含有割合は、20重量%以上が好ましく、20〜60重量%が特に好ましい。前記含有割合が18重量%より低いと、第4’工程において2相分離させることができない。
第3’工程で得られる液中において、アクリル酸のアルカリ金属塩及び硫酸アルカリ金属塩のアルカリ金属塩としては、特に制限はないが、ナトリウム塩、及び、カリウム塩が好ましく挙げられ、ナトリウム塩がより好ましく挙げられる。
また、第3’工程で得られる液は、前記本発明のアクリレートの製造方法における第1工程から第3工程を経て得られる液であることが好ましい。
更に、第3’工程における液の温度としては、25℃以上が好ましく、25〜40℃がより好ましく、30〜40℃が特に好ましい。液の温度を25℃以上とすることにより、第3’工程において硫酸塩が析出することを防止することができる。
2)第4’工程
第4’工程は、第3’工程で得られた液を、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程である。
第4’工程は、第3工程で得られた液の代わりに第3’工程で得られた液を使用する以外は、第4工程と同義であり、好ましい態様も同様である。
3)第5’工程
第5’工程は、第4’工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)を回収する工程である。
第5’工程は、第4工程で得られた液の代わりに第4’工程で得られた液を使用する以外は、第5工程と同義であり、好ましい態様も同様である。
本発明のアクリル酸の回収方法により回収されたアクリル酸(塩)水溶液は、処理条件により変動するが、アクリル酸を主成分とし、アクリル酸のアルカリ金属塩をわずかに含む水溶液として得られる。回収されたアクリル酸(塩)水溶液はそのまま使用することもでき、また、精製して使用することもでき、さらにアクリル酸を分離して使用することもできる。
また、本発明のアクリル酸の回収方法により回収されたアクリル酸(塩)水溶液から、公知の方法により、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を単離及び/又は精製してもよい。
また、前記アクリル酸(塩)の再利用にて述べたように、回収されたアクリル酸(塩)水溶液は、目的とする用途によっては精製することなくそのまま重合することにより、ポリアクリル酸やポリアクリル酸塩の製造に好適に使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。尚、以下において、「%」は重量%を意味する。
(実施例1)
アクリル酸3,000g、ジペンタエリスリトール(以下、「DPET」という。)1,470g、78%硫酸70g、ハイドロキノン(以下、「HQ」という。)10g及びトルエン2,450gを10L反応釜に仕込み、53kPaの圧力下、100℃に設定したオイルバス中で加熱し、縮合水をトルエンとの共沸水として除去しながら、10時間反応させた。このときの反応液重量は6,250gであった。
反応終了後に、トルエン3,500gを追加した。次いで、純水325gを加えて攪拌した後、静置し、上層(有機相)と下層(水相)に分離した。反応釜から下層(水相)を抜き出し、上層(有機相)を回収した。
この上層(有機相)に、20%水酸化ナトリウム水溶液1,700gを加えて攪拌した後、静置し、9,000gの上層(有機相)と2,400gの下層(水相)を得た。
反応釜からこの下層(水相)(以下、「中和廃水」という。)を抜き出した。なお、当該中和廃水は、以下に示す実施例2及び3、並びに、比較例1において使用した。
得られた中和廃水を、液体クロマトグラフィ〔(株)島津製作所製、製品名LC−10A〕を使用して、絶対検量線法にて分析したところ、アクリル酸ナトリウムが32.2%(アクリル酸として、24.7%)含有されていた。
尚、上層(有機相)については、更に20%水酸化ナトリウム水溶液1,360g加えて攪拌した後、静置し、上層(有機相)と下層(水相)に分離した。この上層(有機相)に、純水400gを加えて攪拌した後、静置し、8,660gの上層(有機相)と下層(水相)に分離した。得られた上層(有機相)にハイドロキノンモノメチルエーテル(以下、「MQ」という。)を1.3g添加し、減圧下にトルエンを留去して、2,750gのアクリレート(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートとの混合物)を得た。
上記で得られた中和廃水300gに、98%硫酸をpH3になるまで徐々に加えた。添加した98%硫酸は46.9gであった。なお、硫酸添加時の液の温度は25〜30℃に維持した。
次いで、液温が30〜35℃になるように保温し、静置して、上層(アクリル酸水溶液層)と下層(硫酸ナトリウム水溶液層)に分離した。
2相に分離した液を分液ロートに移し、下層(硫酸ナトリウム水溶液層)を抜き出した。
得られた上層のアクリル酸水溶液層は146.5g、アクリル酸濃度は40.6%であり、中和廃水に含まれていたアクリル酸に対して80.4%のアクリル酸を回収することができた。
尚、下層の硫酸ナトリウム水溶液については、約10℃まで冷却し、析出した結晶を固液分離した結果、硫酸ナトリウム37.7%を含有する結晶122.1gとアクリル酸13.5%、硫酸ナトリウム5.7%を含有する水溶液63.2gが得られた。
(実施例2)
実施例1で得られた中和廃水300gに78%硫酸をpH3になるまで徐々に加えた。なお、硫酸添加時の液の温度は25〜30℃に維持した。また、添加した78%硫酸は59.0gであった。
次いで、液温が30〜35℃になるように保温し、静置して、上層(アクリル酸水溶液層)と下層(硫酸ナトリウム水溶液層)に分離した。
2相に分離した液を分液ロートに移し、下層(硫酸ナトリウム水溶液層)を抜き出した。
得られた上層のアクリル酸水溶液層は151.8g、アクリル酸濃度は37.4%であり、中和廃水に含まれていたアクリル酸に対して76.7%のアクリル酸を回収することができた。
(実施例3)
実施例1で得られた中和廃水300gに98%硫酸をpH2になるまで徐々に加えた。なお、硫酸添加時の液の温度は25〜30℃に維持した。また、添加した98%硫酸は52.1gであった。
次いで、液温が30〜35℃になるように保温し、静置して、上層(アクリル酸水溶液層)と下層(硫酸ナトリウム水溶液層)に分離した。
2相に分離した液を分液ロートに移し、下層(硫酸ナトリウム水溶液層)を抜き出した。
得られた上層のアクリル酸水溶液層は128.4g、アクリル酸濃度は44.6%となり、中和廃水に含まれていたアクリル酸に対して77.4%のアクリル酸を回収することができた。
(比較例1)
実施例1で得られた中和廃水300gに98%硫酸をpH4.2になるまで徐々に加えた。なお、硫酸添加時の液の温度は25〜30℃に維持した。また、添加した98%硫酸は32gであった。
次いで、液温が30〜35℃になるように保温したが、2相に分離しなかったためアクリル酸を分離回収することはできなかった。
(比較例2)
特許文献1における実施例1の追試を実施した。
即ち、アクリル酸2,000g、DPET1,200g、78%硫酸50g、HQ10g、トルエン2,450gを10Lフラスコに仕込み、60kPaの圧力下、120℃に設定したオイルバス中で加熱し、縮合水をトルエンとの共沸水として除去しながら、10時間反応させた。このときの反応液重量は6,900gであった。
得られた反応液に、20%水酸化ナトリウム水溶液2,650gを加えて攪拌した後、静置し、6,250gの上層(有機相)と3,000gの下層(水相)を得た。
フラスコからこの下層(水相)を抜き出し、中和廃水として、以下に示すアクリル酸回収試験を行った。
得られた中和廃水を、液体クロマトグラフィを使用して実施例と同様に分析したところ、アクリル酸ナトリウムを21.7%(アクリル酸として、16.6%)含むものであった。
これから先の操作は、特許文献1の実施例に記載された1/10スケールで実施した。
得られた中和廃水300gに、98%硫酸をpH1.8になるまで徐々に加えた。なお、硫酸添加時の液の温度は25〜30℃に維持した。また、添加した98%硫酸は36gであった。次いで、液温が30〜35℃になるように保温したが、2相に分離しなかったためアクリル酸を分離回収することはできなかった。
(実施例4)
アクリル酸3,000g、ペンタエリスリトール1,600g、78%硫酸70g、MQ7g、トルエン2,000gを10L反応釜に仕込み、50kPaの圧力下、100℃に設定したオイルバス中で加熱し、縮合水を除去しながら、6時間反応させた。このときの反応液重量は6,100gであった。
反応終了後に、トルエン3,500gを追加した。
次いで20%水酸化ナトリウム水溶液を2,950g添加して撹拌した後、静置して上層(有機相)7,650g及び下層(水相)4,900gに分離した。
反応釜から下層(水相)を抜き出し、中和廃水として得た。
得られた中和廃水の組成を実施例1と同様に分析した結果、アクリル酸ナトリウムが29.1%(アクリル酸として、22.3%)含有されていた。
尚、上層(有機相)については、純水1,000gを加えて攪拌した後、静置し、7,650gの上層(有機相)と下層(水相)に分離した。得られた上層(有機相)はトルエンを留去して、2,150gのアクリレート(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートとの混合物)を得た。
上記で得られた中和廃水450gに98%硫酸をpH3になるまで徐々に加えた。なお、硫酸添加時の液の温度は25〜30℃に維持した。また、添加した98%硫酸は64.3gであった。
次いで、液温が30〜35℃になるように保温し、静置して、上層(アクリル酸水溶液層)と下層(硫酸ナトリウム水溶液層)に分離した。
2相に分離した液を分液ロートに移し、下層(硫酸ナトリウム水溶液層)を抜き出した。
得られた上層のアクリル酸水溶液層は250.1g、アクリル酸濃度は31.0%であり、中和廃水に含まれていたアクリル酸に対して74.2%のアクリル酸を回収することができた。
尚、下層の硫酸ナトリウム水溶液については、約10℃まで冷却し、析出した結晶を固液分離した結果、硫酸ナトリウム36.8%を含有する結晶228.7gとアクリル酸16.8%、硫酸ナトリウム6.6%を含有する水溶液67.0gが得られた。
(応用例)
反応釜にイオン交換水40gを仕込み、窒素シールしながら80℃まで昇温後、10%過硫酸ナトリウム水溶液1gを添加した。続いて、実施例2で回収したアクリル酸水溶液210gに次亜リン酸ナトリウム5gを溶解したモノマー溶液と10%過硫酸ナトリウム水溶液10gを、重合温度80℃を維持しながら、別々の注入口より反応器に4時間連続的に滴下し、ポリアクリル酸水溶液を得た。
このポリアクリル酸水溶液を48%水酸化ナトリウムにてpH=7.5に中和し、
固形分41.9重量%、粘度264mPa・sのポリアクリル酸ナトリウム水溶液が得られた。
本発明のアクリレートの製造方法によれば、アクリレートの製造に利用することができ、より好ましくは高沸点アクリレートの製造に利用することができ、分離・回収したアクリル酸は、アクリレートやポリマーの製造に再使用することができる。
また、本発明のアクリル酸の回収方法によって分離・回収されたアクリル酸は、アクリレートやポリマーの製造に再使用することができる。

Claims (6)

  1. 下記第1工程〜第5工程を順次実施するアクリレートの製造方法。
    第1工程:酸触媒の存在下に、アクリル酸とアルコールを攪拌・混合し、エステル化反応させアクリレートを含む反応液を得る工程
    第2工程:第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加して中和した後、有機相と水相の2相に分離させ有機相を分取し、アクリレートを回収する工程
    第3工程:第2工程で得られた水相を分取し、これに硫酸濃度70重量%以上の硫酸水溶液を添加し、pHを4.0以下に調整し、かつ液中のアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合をアクリル酸換算で18重量%以上とする工程
    第4工程:第3工程で得られた液を、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程
    第5工程:第4工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)を回収する工程
  2. アクリレートが13.3kPaの圧力下の沸点が100℃以上のアクリレートである請求項1記載のアクリレートの製造方法。
  3. 第3工程において、硫酸水溶液添加後のpHを1〜3.5の範囲とする請求項1又は請求項2記載のアクリレートの製造方法。
  4. 第3工程において、硫酸水溶液の添加を25℃以上の温度で実施し、第4工程を25℃から40℃の温度で実施する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のアクリレートの製造方法。
  5. 下記第3’工程〜第5’工程を順次実施するアクリル酸の回収方法。
    第3’工程:アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、硫酸アルカリ金属塩、並びに、水を含有し、pHが4.0以下であり、かつアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩の含有割合がアクリル酸換算で18重量%以上である液を調製する工程
    第4’工程:第3’工程で得られた液を、アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)と、硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)の2相に分離する工程
    第5’工程:第4’工程で得られた液の硫酸アルカリ金属塩を多く含む相(下層)を分取し、残ったアクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を多く含む相(上層)を回収する工程
  6. 第4’工程を25℃から40℃の温度で実施する請求項5に記載のアクリル酸の回収方法。
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