JP5560774B2 - 炭化珪素単結晶基板の製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は炭化珪素単結晶基板およびその製造方法に関し、特に、炭化珪素単結晶基板の加工変質層を除去する方法に関する。
炭化珪素(SiC)半導体は、ガリウムヒ素(GaAs)半導体よりもバンドギャップが広く、絶縁破壊電界および熱伝導率の大きい半導体材料である。このため、炭化珪素単結晶基板上にホモエピタキシャル成長によって炭化珪素半導体層を形成し、高温で動作する半導体素子や高耐圧のパワー半導体素子を実現する研究・開発がなされている。なかでも、電動二輪車、電気自動車やハイブリッドカーに使用されるモータは交流駆動あるいはインバータ制御されるため、こうした用途に使用される高効率なスイッチング素子の開発が注目されている。このようなパワーデバイスを実現するためには、高品質な炭化珪素半導体層をエピタキシャル成長させるための炭化珪素単結晶基板が必要である。また、パワーデバイスが縦型構造を採用している場合、炭化珪素半導体層を形成するための炭化珪素単結晶基板に高い導電性が必要となる。このため、高濃度のn型炭化珪素単結晶基板が求められている。このほか、半導体プロセスにおいて、耐熱性、高熱伝導性、高温強度、低熱膨張、耐摩耗性等に優れているという理由からも、炭化珪素からなるダミーウエハが求められている。
こうした用途のための炭化珪素単結晶基板には、基板の平坦性、基板表面の平滑性等において高い加工精度が要求される。しかし、炭化珪素は一般に硬度が高く、かつ、耐腐食性に優れるため、こうした基板を作製する場合の加工性は悪く、加工精度の高い炭化珪素単結晶基板を得ることは難しい。
また、炭化珪素単結晶基板の表面は、炭化珪素半導体層をエピタキシャル成長させるために鏡面である必要がある。これに対し、裏面は、基板表裏の識別、基板自動搬送機構において基板のセンシングを容易にする、基板を水平に設置したときの滑り防止などの目的で、非鏡面であることが好ましい。この場合、基板表裏の面粗度が異なることによって、表面と裏面に残留する加工歪みの量に差異が生じ、残留応力を補償するように基板が反ってしまうという問題が生じる。このような基板の反りを一般的にトワイマン効果と呼ぶ。また、本願明細書において、炭化珪素単結晶基板の加工歪みが生じている部分を加工変質層と呼ぶ。
たとえば、特許文献1に記載されているように、サファイア単結晶のインゴットを切断・ラッピング後、表面に鏡面加工を施した場合、加工歪みが生じている加工変質層が裏面に残るため、トワイマン効果により基板が反ってしまう。このため、このような基板を用いてフォトリソグラフィを行う場合、露光装置などにおいて基板を真空吸着できなかったり、基板の平面度が悪いために露光の精度が悪くなったりするという不具合が生じる。また、このような加工変質層が残っている基板に金属やセラミックス等の薄膜を形成した場合、基板の残留応力に薄膜の持つ応力が加わることによって、基板が割れてしまうという問題が生じる場合がある。このような問題を解決するために、特許文献1は、サファイア単結晶基板を加熱したリン酸または苛性カリ中に浸漬し、基板に残存する加工変質層を溶解することによって除去し、基板の反りを解消する技術を開示している。
また特許文献2は、炭化珪素単結晶基板を1300℃以上2000℃未満の温度でアニールすることによって、加工歪みを除去する方法を開示している。
特許文献3は、炭化珪素単結晶基板の加工変質層を気相エッチングによって除去する方法を開示している。
特開昭55−20262号公報 特開2008−103650号公報 特開2004−168649号公報
しかしながら、特許文献1の方法で用いられる加熱したリン酸または苛性カリは炭化珪素を溶解しない。このため、特許文献1の方法では炭化珪素単結晶基板の加工変質層を除去することはできない。炭化珪素を溶解する溶液としては、300℃以上に過熱された溶融アルカリが知られている。しかし高温の溶融アルカリを安全に取り扱うためには大掛かりな設備が必要となる。また、結晶の転位部分は、高温の溶融アルカリに溶解されやすいため、高温の溶融アルカリで処理した後の炭化珪素単結晶基板には多数の穴が形成され、半導体装置の製造には適さないという問題がある。
特許文献1は、サファイア単結晶基板の加工変質層を除去する他の方法として、イオンスパッタリングおよびイオンエッチングを用いてもよいことを開示している。しかし、これらの方法では、加速されたアルゴンなどのイオンを基板の表面に衝突させることにより、イオンの物理的エネルギを利用して基板表面のエッチングを行う。このため、エッチング速度が遅いという問題がある。
本願発明者が特許文献2に開示された方法で炭化珪素単結晶基板の加工変質層を除去することを試みたところ、1600℃以下のアニール温度では、加工歪みが除去しきれない場合があることが分かった。また、1600℃以上のアニールを行うには大掛かりな装置が必要であるという問題がある。
また、特許文献3に開示された方法で用いる気相エッチング装置は高価であり、一度に処理できる基板の処理数は比較的少ない。近年、大口径の炭化珪素単結晶基板も製造されるようになってきたため、大口径の炭化珪素単結晶基板を効率よく大量に処理するためには、高価な気相エッチング装置が多数必要となる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、実用的な条件によって加工変質層が除去された炭化珪素単結晶基板および炭化珪素単結晶基板を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明の炭化珪素単結晶基板の製造方法は、第1および第2の主面を備え、導電性を有する炭化珪素単結晶基板であって、前記第1および前記第2の主面のうち、少なくとも一方に加工変質層を有する炭化珪素単結晶基板を用意する工程(A)と、前記加工変質層の少なくとも一部を電解エッチングによって除去する工程(B)とを包含する。
ある好ましい実施形態において、前記炭化珪素単結晶基板はn型不純物を含む。
ある好ましい実施形態において、前記炭化珪素単結晶基板のn型不純物濃度は、1×1017cm-3以上である。
ある好ましい実施形態において、前記加工変質層は第2の主面に位置しており、前記第2の主面の表面粗さRaは3.0nm以上である。
ある好ましい実施形態において、前記炭化珪素単結晶基板はp型不純物を含む。
ある好ましい実施形態において、前記炭化珪素単結晶基板のp型不純物濃度は、1×1017cm-3以上である。
ある好ましい実施形態において、前記工程(B)において、前記炭化珪素単結晶基板をフッ化水素酸を含む水溶液に浸漬しながら前記電解エッチングを行う。
ある好ましい実施形態において、前記工程(B)において、水素よりもイオン化傾向の小さい金属を負極とし、前記炭化珪素単結晶基板を陽極として、前記電解エッチングを行う。
ある好ましい実施形態において、前記電解エッチングを5V以上の電圧および1μA以上の電流で行う。
ある好ましい実施形態において、前記加工変質層は前記第1の主面および前記第2の主面にそれぞれ位置しており、前記工程(B)において、前記第1の主面の加工変質層の少なくとも一部、および、前記第2の主面の加工変質層の少なくとも一部をそれぞれ除去する。
ある好ましい実施形態において、炭化珪素単結晶基板の製造方法は、前記工程(B)の後、前記第1の主面または前記第2の主面を、面粗度が小さくなるように研磨する工程(C)をさらに包含する。
ある好ましい実施形態において、前記工程(A)において、前記加工変質層は第2の主面に位置しており、前記第1の主面の面粗度は前記第2の主面の面粗度より小さい。
ある好ましい実施形態において、炭化珪素単結晶基板の製造方法は、前記工程(A)の前に、前記第1の主面および前記第2の主面のそれぞれに前記加工変質層を有する炭化珪素単結晶原料基板を用意する工程と、前記炭化珪素単結晶原料基板の前記第1の主面を、面粗度が小さくなるように研磨する工程とをさらに包含し、前記工程(A)の前記炭化珪素単結晶基板は、前記炭化珪素単結晶原料基板である。
ある好ましい実施形態において、炭化珪素単結晶基板の製造方法は、前記工程(A)の前に、第1および第2の主面を有し、前記第1および第2の主面に実質的に加工変質層を有しない炭化珪素単結晶原料基板を用意する工程と、前記第1の主面に炭化珪素半導体層をエピタキシャル成長させる工程と、前記第2の主面を、面粗度が大きくなるように研磨する工程とをさらに包含し、前記工程(A)の前記炭化珪素単結晶基板は、前記炭化珪素単結晶原料基板であり、前記第2の主面を研磨する工程において生成した前記加工変質層を、前記第2の主面に有する。
本発明の炭化珪素単結晶基板は、上記いずれかの製造方法によって製造された炭化珪素単結晶基板である。
本発明によれば、表面粗さを大きく変えることなく炭化珪素単結晶基板の加工変質層を実用的な条件で除去することができる。したがって、表面粗さの異なる2つの主面を有する反りのない炭化珪素単結晶基板を得ることができる。
(a)から(d)はそれぞれ、n型炭化珪素と電解液とを接触させた場合、n型炭化珪素と電解液とを接触させ、順方向にバイアスした場合、n型炭化珪素と電解液とを接触させ、逆方向にバイアスした場合およびn型炭化珪素と電解液とを接触させ、n型炭化珪素に紫外線を照射しながら逆方向にバイアスした場合の模式的なバンドダイアグラムを示している。 本発明の炭化珪素単結晶基板の製造方法による電解エッチングにおけるn型炭化珪素と電解液とを接触させた場合の模式的なバンドダイアグラムを示している。 本発明の炭化珪素単結晶基板の製造方法による電解エッチングにおけるp型炭化珪素と電解液とを接触させた場合の模式的なバンドダイアグラムを示している。 (a)は本発明の炭化珪素単結晶基板の製造方法に用いる炭化珪素単結晶基板の一例を模式的に示しており、(b)は電解エッチングを行わない部分を保護膜で覆った炭化珪素単結晶基板の一例を模式的に示している。 (a)および(b)は、それぞれ、本発明の炭化珪素単結晶基板の製造方法において、電解エッチングに用いる構成を模式的に示している。 (a)から(c)は、本発明の炭化珪素単結晶基板の製造方法により電解エッチング中の炭化珪素単結晶基板の状態を模式的に示す断面図である。 従来のCMPによって炭化珪素単結晶基板を鏡面に加工した場合における炭化珪素単結晶基板を模式的に示す断面図である。 従来の炭化珪素単結晶基板の製造方法を示す模式的な工程断面図である。 本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法の一実施形態を示す模式的な工程断面図である。 本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法の他の実施形態を示す模式的な工程断面図である。 本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法の他の実施形態を示す模式的な工程断面図である。
本願発明者は、炭化珪素の種々の研磨方法について検討を行い、電解エッチングによって、炭化珪素単結晶基板の加工変質層を除去することを想到した。
炭化珪素を電気化学的にエッチングできることは公知であり、たとえば、「Photoelectrochemical Etching of n-type 4H Silicon Carbide」、Journal of Applied Physics、96巻、2311ページ、2004年に報告されている。この文献には、n型不純物が高濃度で添加された4H炭化珪素単結晶基板および白金をそれぞれ正極および負極とし、5%のフッ化水素酸水溶液とエタノールとを1:1で混合した電解液に浸し、炭化珪素単結晶基板に紫外線を照射しながら、通電することによって、炭化珪素単結晶基板をエッチングできることが報告されている。エッチングの際、正極および負極で生じる反応は以下の通りであると推定されている。
正極: SiC + 4H2O → SiO2 + CO2 + 8H++ 8e-
負極: 8H+ + 8e- → 4H2
反応生成物のうち、二酸化炭素および水素は気体として炭化珪素単結晶基板と電解液の界面から脱離する。一方、二酸化珪素は、正極での反応の進行にしたがって、炭化珪素単結晶基板の表面に形成され、炭化珪素単結晶基板の表面が二酸化珪素で覆われ絶縁される。その結果、炭化珪素単結晶基板と電解液との間で電流が流れなくなり、電解エッチングが妨げられる。このため、電解液に二酸化珪素を溶解する成分、具体的には、フッ化水素酸を添加し、電解液に溶解させることによって生成した二酸化珪素を除去する。
従来技術による炭化珪素の電気化学的エッチング方法では、紫外線を炭化珪素に照射する必要がある。これは、n型炭化珪素と電解液との間にショットキーバリアが形成されるからである。図1(a)はn型炭化珪素と電解液を接触させた場合のバンドダイアグラムを示している。他のn型半導体と金属との接合と同様、導電体である電解液の仕事関数の方がn型炭化珪素の仕事関数よりも大きい。このため、n型炭化珪素と電解液とを接触させると、熱平衡状態において、これらのフェルミ準位2が一致するように、価電子帯1および伝導帯3のエネルギーレベルが変動し、接合界面にショットキーバリア4が形成される。
図1(b)に示すように、n型炭化珪素を負極とし、電解液に浸漬した白金を正極として電圧を印加すると、n型炭化珪素と電解液とで形成されるショットキー接合は順方向にバイアスされるため、容易に電流が流れる。しかし、n型炭化珪素を酸化するには、n型炭化珪素が正極となるように電圧を印加する必要がある。この場合、図1(c)に示すように、ショットキー接合は逆方向にバイアスされ、電流は流れない。このため、図1(d)に示すように、高圧水銀ランプを用いて、n型炭化珪素の表面に紫外線を照射し、正孔−電子対を発生させ、生成した正孔をキャリアとして電流を流している。
炭化珪素を電気化学的にエッチングする従来の方法によれば、紫外線の照射が不可欠である。このため、このような電気化学的方法によって、炭化珪素単結晶基板を研磨するためには、炭化珪素単結晶基板全面を均一に加工する必要があり、このためには、ウェハ全面に紫外線を均一に照射しつつ電流を流す必要がある。この場合、装置が大掛かりになるという、実用上の問題がある。
また、上述の文献によれば、n型炭化珪素は均一にはエッチングされず、選択的であり、エッチングにより自己整合的な微細孔が形成される。このため、従来の電気化学的エッチング方法を用いて、炭化珪素単結晶基板全面を均一に加工するのは困難であるとも考えられる。
本願発明者は、従来の電気化学的エッチング方法におけるエッチングについて詳細に調べるために、鏡面に加工されたn型炭化珪素単結晶基板を上述の文献に開示された方法によってエッチングすることを試みた。その結果、n型炭化珪素単結晶基板に紫外線を照射しない場合には、n型炭化珪素単結晶基板がほとんどエッチングされないことを確認した。また、ショットキーバリアを降伏させるほどの強い電界をn型炭化珪素単結晶基板と電解液との間に印加することによって、無理やりn型炭化珪素単結晶基板と電解液との間で電流を流すことを試みたところ、n型炭化珪素単結晶基板のエッジ部分に電界が集中して絶縁が破壊されるために、エッジにのみ電流が流れ、基板全面に電流を均一に流すことができなかった。
なお、本願明細書では、基板の表面粗さRaが3.0μm以上である面を非鏡面と呼び、表面粗さRaが3.0μmより小さい面を鏡面と呼ぶ。ここで表面粗さRaは、JIS B0601−1994にて定義される算術平均粗さである。ただし、鏡面あるいは非鏡面と呼ぶ面の粗さについての標準的な定義はなく、3.0μm以外の他の値によって鏡面および非鏡面が定義されてもよい。 種々の実験および検討の結果、本願発明者は、従来の電気化学的エッチング方法において紫外線を照射しなくても、n型炭化珪素単結晶基板の表面に加工変質層が存在する場合には、高電界を印加することなく逆バイアス下でn型炭化珪素単結晶基板と電解液との間に電流が流れることを見出した。これは、図2に示すように、n型炭化珪素単結晶基板の表面に加工変質層が存在する場合、加工変質層には、加工歪みなどによって生じた界面準位5が含まるため、加工変質層と電解液とが接触することによりショットキーバリア4が形成されても界面準位5によって電子の移動が可能になるからであると考えられる。鏡面に加工されていないn型炭化珪素単結晶基板の主面にはほぼ均一に加工変質層が生成している。したがって、紫外線を照射しなくても、n型炭化珪素単結晶基板の主面全体に均一に電流が流れ、加工変質層を除去することができることが分かった。
一方、炭化珪素単結晶基板がp型である場合、図3に示すように、炭化珪素単結晶基板を負極とし、電解液あるいは電解液に浸漬する電極を正極として電圧を印加すると、炭化珪素単結晶基板と電解液との間に形成されるショットキーバリアは順方向にバイアスされる。したがって、p型炭化珪素単結晶基板を研磨する場合には、加工変質層が生成しているか否かに関わらず、p型炭化珪素単結晶基板を電気化学的にエッチングすることが可能である。
以下、本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法および炭化珪素単結晶基板の実施形態を詳細に説明する。
まず、n型炭化珪素単結晶基板の製造方法を説明する。図4(a)に示すように、第1の主面10aおよび第2の主面10bを備え、n型の導電性を有する炭化珪素単結晶基板10を用意する。たとえば、第1の主面10aは、炭化珪素エピタキシャル層を形成し、半導体デバイスの主要な構造を形成する面である。炭化珪素単結晶基板10は、第1の主面10aおよび第2の主面10bのうちの少なくとも一方に加工変質層11を有する。図4(a)では、炭化珪素単結晶基板10は、第2の主面10bに加工変質層11を有しているが、第1の主面10aにのみ加工変質層11を有していてもよいし、第1の主面10aおよび第2の主面10bのそれぞれに加工変質層11を有していてもよい。
第1の主面10aおよび第2の主面10bのうち、加工変質層11を有している面の表面粗さRaは、3.0nm以上であることが好ましく、5.0nm以上であることがより好ましい。ここで表面粗さRaとは、上述したように、JIS B0601−1994にて定義される算術平均粗さである。表面粗さが大きいほど、研磨あるいは、切削時における応力によって、加工変質層11に多くの界面準位が形成されていると考えられ、電解エッチング時に電流が流れやすいと考えられるからである。一般的には、表面粗さと加工変質層の厚さとの間には相関があり、表面粗さと同程度の厚さを有する加工変質層11が生成している。第1の主面10aおよび第2の主面10bのうち、加工変質層11が生成していない面は、たとえば、CMP(化学的機械研磨)や、ダイヤモンド砥粒によって研磨された鏡面であり、表面粗さRaは、2.0nm以下である。あるいは、以下において説明する電解エッチングによって、加工変質層が除去された面である。
炭化珪素単結晶基板10の大きさに特に制限はない。ただし、炭化珪素単結晶基板10の直径が大きくなるほど、基板全体にわたって、均一に加工変質層11がエッチングされるように、電源との接続箇所を複数にするなどの配慮が必要である。
炭化珪素単結晶基板10には、窒素やリンなどのn型の不純物が添加されており、導電性を備えている。具体的には、n型不純物が、1×1017cm-3以上の濃度で添加されている。n型不純物の濃度は、より好ましくは、1×1017cm-3以上2×1019cm-3以下である。
炭化珪素単結晶基板は六方晶構造を備えていてもよいし、六方晶構造以外の構造、たとえば、立方晶構造を備えていてもよい。具体的には、炭化珪素単結晶基板は、2H−SiC、4H−SiC、6H−SiC、3C−SiCであってもよい。また、炭化珪素単結晶基板10はいわゆるジャスト基板であってもよいし、オフ基板であってもよい。つまり、第1の主面10aおよび第2の主面10bは、炭化珪素の結晶軸に対して、0度から10度程度の範囲で傾斜していてもよい。
炭化珪素単結晶基板10の2つの主面のうち、一方の主面の加工変質層11のみを除去する場合、他の主面を電解液に溶解しない不導体や絶縁性樹脂などからなる保護膜12で覆ってもよい。具体的には図4(b)に示すように、炭化珪素単結晶基板10のうち、加工変質層11が形成されている第2の主面10bを除く第1の主面10aおよび側面10cを、たとえば、フォトレジストなどの保護膜12で覆っておいてもよい。炭化珪素単結晶基板10において、第1の主面10aにも加工変質層11が形成されているが、第1の主面10aの加工変質層11を除去しない場合には、保護膜12で覆っておくことが好ましい。また、第1の主面10aが鏡面に加工されており、第1の主面10aに加工変質層11がほとんど存在しない場合には、保護膜12で第1の主面10aを覆わなくても、第1の主面10aと電解液との間でほとんど電流は流れない。このため、このような場合には、保護膜12を第1の主面10aに設けなくてもよい。ただし、第1の主面10aを清浄な状態で維持しておくためには、保護膜12で覆っておくことが好ましい。
次に図5(a)および(b)を参照しながら、電解エッチングの工程を説明する。
上述した炭化珪素単結晶基板10を用意し、表面の汚れや油脂を取り除くために、必要に応じて炭化珪素単結晶基板10を洗浄した後、容器22に満たされた電解液23に炭化珪素単結晶基板10を浸漬する。電源20の陽極に接続された配線24を、クリップ25などを用いて、炭化珪素単結晶基板10と電気的に接続する。炭化珪素単結晶基板10が大きく、1箇所からの給電では基板全体にわたって均一に電流を流すことが困難である場合には、炭化珪素単結晶基板10の複数の箇所において配線24と接続してもよい。また、エッチングを行わない第1の主面10a全体にオーミック電極を形成し、オーミック電極と配線24とを接続してもよい。この場合、オーミック電極が電解液と反応しないように、上述した保護膜12で覆っておくことが好ましい。あるいは、電解液と反応しない金属、たとえば、金や白金をオーミック電極として用いてもよい。
あるいは、図5(b)に示すように、配線24を介して電源20の陽極に導電板26を接続し、導電板26上で炭化珪素単結晶基板10を保持してもよい。これによって、炭化珪素単結晶基板10と導電板26とを広い面積で接触させ、電流をより均一に流れやすくすることができる。この場合、導電板26は、電解液23に溶解しないように白金または金によって構成されていることが好ましい。導電板26のうち基板と接触しない部分がむき出しのままであると、その部分から直接電解液に電流が流れ、基板がエッチングされない可能性がある。このため、基板と接触しない部分は不導体によって覆われていることが好ましい。
負極21は配線24を介して電源20の負極に接続されており、負極21は、電解液23に浸漬される。負極21には、イオン化傾向が水素よりも小さい金属を用いることができる。具体的には、銅、銀、パラジウム、白金、金などの金属を負極として用いることができる。ただし、銅および銀は電解液に溶解する可能性があるため、白金または金を用いることが好ましい。
また、炭化珪素単結晶基板10の第1の主面10aおよび第2の主面10bの両面の加工変質層10を除去する場合、図5(a)に示すように、両面が電解液23に曝されるように配線24は炭化珪素単結晶基板10の上端部と接続してもよい。この場合、図5(a)または(b)に示す構成を用いて、第1の主面10aおよび第2の主面10bのいずれか一方を先に電解エッチングし、その後、他方を電解エッチングしてもよい。
電解液23は導電性を有する。上述したように、陽極酸化によって生成した二酸化珪素などの酸化珪素物を溶解によって除去するためには、電解液23はフッ化水素酸を含む水溶液であることが好ましい。より具体的には、電解液23は、1%以上30%以下の割合でフッ化珪素酸を含む水溶液であることが好ましい。導電性を制御する目的で、塩化ナトリウムなどの電解質がさらに水溶液に溶解されていてもよい。
電解エッチングの条件は、炭化珪素単結晶基板10の大きさや電解液23の組成などによって変化する。炭化珪素単結晶基板10と負極21との間の電位差は、概ね5V以上であることが好ましく、0.01μA/cm2以上の電流を流すことが好ましい。電圧および電流がこれらの値より小さい場合、十分に加工変質層を除去できない可能性がある。また、印加電圧が30Vを越えるとショットキーバリアが降伏を起こし、炭化珪素単結晶基板10のエッジ部分においてのみ、集中的に酸化が進む可能性がある。このため、印加電圧は5V以上30V以下であることが好ましい。
炭化珪素単結晶基板10を上述したように電源20に接続し、電解エッチングを開始した場合、図6(a)に示すように、加工変質層11の最表面において、界面準位を利用した電子の移動が電解液23との間で生じ、下記反応式で示すように、炭化珪素が酸化される。これにもともない、図6(b)に示すように、加工変質層11の最表面で酸化した炭素および珪素がそれぞれ二酸化珪素および二酸化炭素となって生成する。生成した二酸化炭素はガスとして加工変質層11の表面から脱離する。また、二酸化珪素は、二酸化珪素膜13として加工変質層11の表面に形成されるが、電解液23中のフッ化水素酸に溶解され、電解液23中に溶解する。このため、加工変質層11に新たな表面11Sが形成され、新たな表面11Sにおいて、炭化珪素の酸化反応が進む。
SiC + 4H2O → SiO2 + CO2
本願発明者の検討によれば、電解エッチングが進むにつれて、炭化珪素単結晶基板10に流れる電流は増大する。これは、加工変質層11の新たな表面11Sが酸化される際、酸化によって新たな界面準位が形成され、加工変質層11の表面における界面準位が増大し、導電性が高まるためではないかと考えられる。
加工変質層11のエッチング速度は電流密度によって制御できる。また、加工変質層11のエッチング量は、エッチング前後の重量差を測定することにより判断することができる。
電解エッチングによる加工変質層11の除去が進むことにより、図6(c)に示すように、厚さが減少した加工変質層11’を有する炭化珪素単結晶基板10’を得ることができる。炭化珪素単結晶基板10の反りをできるだけ小さくするために、残存する加工変質層11’は薄いほうが好ましく、加工変質層11を完全に除去することが好ましい。厚さが減少した加工変質層11’を有する炭化珪素単結晶基板10’または、加工変質層11がほぼ完全に除去された炭化珪素単結晶基板10’において、新たに露出した第2の主面10b’の表面粗さは、電解エッチング前の主面10bの表面粗さとほぼ等しい。これは、加工変質層11の表面において、ほぼ均一に酸化反応が進み、炭化珪素が除去されるからである。ただし、第2の主面10bの凹凸のうち、凸部において電界が比較的集中し易い場合がある。この場合には、加工変質層11の凸部において、よりエッチングが進む。その結果、新たに露出した第2の主面10b’の表面粗さは、電解エッチング前の第2の主面10bの表面粗さよりも少し小さくなっている。また、加工変質層11の厚さが減少することによって、加工変質層による応力が減少する。このため、炭化珪素単結晶基板10’の反りの状態は、炭化珪素単結晶基板10と異なっている。
図7に示すように、CMPやダイヤモンド砥粒による研磨によって、炭化珪素単結晶基板110’の加工変質層を除去する場合、加工変質層の凸部から優先的に炭化珪素が除去される。この際、機械的研磨の応力よって、表面の凹凸の程度に応じた新たな加工変質層が生成する。このため、図7に示すように、加工変質層を有する炭化珪素単結晶基板をCMPやダイヤモンド砥粒によって研磨した場合には、加工変質層11が薄くなるにつれて、主面110’b’の表面の表面粗さが小さくなる。つまり、CMPやダイヤモンド砥粒によって炭化珪素単結晶基板の加工変質層を除去しようとした場合、必然的に表面粗さも小さくなり、主面が鏡面に加工される。
しかし、本発明による電解エッチングによれば、上述したように、炭化珪素単結晶基板10’の表面粗さをほとんど変化させずに、加工変質層11を除去できる。したがって、2つの主面の表面粗さが異なり、かつ、反りのない炭化珪素単結晶基板を実現することができる。特に、従来作製が困難であった、2つの主面のうち一方が鏡面に、他方が非鏡面に加工された、反りの抑制された炭化珪素単結晶基板を実現することができる。また、電解エッチングには一般的な試薬および一般的な陽極酸化などに用いられる設備を用いることができる。このため、実用的な条件で加工変質層を除去することができる。
次に、p型炭化珪素単結晶基板の製造方法を説明する。炭化珪素単結晶基板がp型である場合、上述したように、炭化珪素単結晶基板を負極とし、電解液に浸漬する電極を正極として電圧を印加すれば、炭化珪素単結晶基板と電解液との間に形成されるショットキーバリアは順方向にバイアスされる。したがって、図5(a)または(b)に示す接続とは逆に炭化珪素単結晶基板に電源の負極を接続し、電解液に浸漬する電極に電源の正極を接続し、上述した手順で電解エッチングを行うことにより、加工変質層を除去することができる。
本発明の炭化珪素単結晶基板の製造方法において、上述した電解エッチング工程は、2つの主面が種々の表面粗さを有する状態で用いることができる。
図8に示すように、従来の機械研磨およびCMP研磨のみを用いて炭化珪素単結晶基板を製造する場合、炭化珪素単結晶のインゴットからウェハ状に切断された炭化珪素単結晶基板110は、非鏡面である第1の主面110aおよび第2の主面110bを有する。第1の主面110aおよび第2の主面110bには、切削の際に生じた加工変質層が残存している。この炭化珪素単結晶基板110の片面、たとえば、第1の主面110aに鏡面研磨を施すと、第1の主面110aに残存していた加工変質層が除去され、鏡面に加工された第1の主面110’a’が得られる。しかし第2の主面110bの加工変質層はそのまま残るため、トワイマン効果によって炭化珪素単結晶基板110’は反りを有する。従来の片面が鏡面研磨された炭化珪素単結晶基板には、このような反りが必然的に生じていた。
本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法によれば、このような反りを解消することができる。たとえば、図9に示すように、まず炭化珪素単結晶のインゴットからウェハ状に切断された炭化珪素単結晶基板10を切り出す。第1の主面10aおよび第2の主面10bには、切削の際に生じた加工変質層が残存している。この炭化珪素単結晶基板10の第1の主面10aおよび第2の主面10bからそれぞれ上述した電解エッチングによって加工変質層を除去する。これにより、表面粗さはあまり小さくなっていないが、加工変質層がほぼ除去された第1の主面10a’および第1の主面10b’を有する炭化珪素単結晶基板10’が得られる。炭化珪素単結晶基板10’において、2つの主面から加工変質層がほぼ除去されているため、第1の主面10a’側および第2の主面10b’側の応力はつり合っており、反りはほとんど生じない。その後、炭化珪素単結晶基板10’の第1の主面10a’を、面粗度が小さくなるように研磨する。具体的には、炭化珪素単結晶基板10’の第1の主面10a’に対して鏡面研磨を施す。これにより、鏡面に加工された第1の主面10’a’を有する炭化珪素単結晶基板10’’が得られる。炭化珪素単結晶基板10’’の第2の主面10b’には、加工変質層はほとんど残存しておらず、また、鏡面に加工された第1の主面10’a’にも加工変質層はほとんど残存していない。このため、反りのほとんどない炭化珪素単結晶基板10’’が得られる。
電解エッチング工程および片面鏡面研磨工程は順序を逆にして行ってもよい。図10に示すように、まず炭化珪素単結晶のインゴットからウェハ状に切断された炭化珪素単結晶基板10を切り出す。この炭化珪素単結晶基板10の第1の主面10aおよび第2の主面10bには、切削の際に生じた加工変質層が残存している。この炭化珪素単結晶基板10の第1の主面10aを、面粗度が小さくなるように研磨する。具体的には、炭化珪素単結晶基板10の第1の主面10aに鏡面研磨を施す。これにより、鏡面に加工された第1の主面10’a’を有する炭化珪素単結晶基板10’が得られる。炭化珪素単結晶基板10’において、第1の主面10’a’には加工変質層はほとんど残存していないが、第2の主面10bには加工変質層が残存している。このため、加工変質層による応力のバランスが取れず、炭化珪素単結晶基板10’には反りが生じる。
続いて、炭化珪素単結晶基板10’の第2の主面10bに電解エッチングを施し、加工変質層を除去する。この際、鏡面に加工された第1の主面10’a’を保護するために、第1の主面10’a’に保護膜を形成してもよい。電解エッチングにより加工変質層が除去されるにつれて、基板の反りが徐々に小さくなり、加工変質層がほとんど除去されると反りがほぼ解消する。これにより、非鏡面に加工された第2の主面10b’および鏡面に加工された第1の主面10’a’を有する炭化珪素単結晶基板10’’が得られる。第2の主面10b’および第1の主面10’a’には加工変質層がほとんど残存していないため、炭化珪素単結晶基板10’’における反りはほとんど生じない。
電解エッチングによれば、炭化珪素単結晶基板10’が反った状態にあっても、炭化珪素単結晶基板に大きな応力をかけて、反りを強制的に解消させることなく、加工変質層をほぼ均一に除去できる。このため、反りを解消させるためにかけた応力によって炭化珪素単結晶基板が割れたり、欠けやすくなるといった問題が生じることがない。
また、本発明による製造方法によって、エピタキシャル成長した炭化珪素半導体層を有する炭化珪素単結晶基板を製造してもよい。図11に示すように、まず、それぞれ鏡面研磨が施された第1の主面10’a’および第2の主面10’b’を有する炭化珪素単結晶基板10’’’を用意する。第1の主面10’a’および第2の主面10’b’には加工変質層はほとんど残存していない。
次に、第1の主面10’a’に炭化珪素半導体層15をエピタキシャル成長させ、炭化珪素半導体層15が炭化珪素単結晶基板10’’’上に設けられたエピ付き炭化珪素単結晶基板31を得る。続いて第2の主面10’b’を、面粗度が大きくなるように研磨する。具体的には、第2の主面10’b’に非鏡面研磨を施す。これにより、第1の主面10’a’に炭化珪素半導体層15が設けられ、非鏡面に加工された第2の主面10bを有する炭化珪素単結晶基板10’を含むエピ付き炭化珪素単結晶基板31’を得る。非鏡面研磨によって第2の主面10bには加工変質層が生じている。また、これにより、エピ付き炭化珪素単結晶基板31’に反りが生じている。その後、第2の主面10bの加工変質層を電解エッチングによって除去することにより、第2の主面10b’を有し、第1の主面10’a’上に、炭化珪素半導体層15が設けられたエピ付き炭化珪素単結晶基板31’’を得る。図10を参照して説明したように、第2の主面10b’の加工変質層を除去するにつれて、炭化珪素単結晶基板31’の反りは解消し、加工変質層がほぼ除去されることによって、得られたエピ付き炭化珪素単結晶基板31’’において反りはほぼ完全になくなっている。
このように本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法によれば、片面が鏡面に加工され、他の片面は非鏡面に加工された反りのない炭化珪素単結晶基板を得ることができる。また、有害ガスなどを排出せず、取り扱いの難しい化学薬品を使用しないため、環境への負荷も小さい。また、一度に多数枚の炭化珪素単結晶基板を製造することが可能であり、量産性が高い。
n型不純物として、7×1017cm-3の濃度で窒素が添加された、4H−SiCからなる炭化珪素単結晶基板を用意した。炭化珪素単結晶基板の直径は、3インチであり、厚さは300ミクロンであった。この基板の片面をCMPによって鏡面に、他の面を非鏡面に加工した。表面粗さRaはそれぞれ0.1nmおよび10nmであった。SEMI規格の「SORI」を採用し、トロペル社製平面度測定機Flatmasterにて炭化珪素単結晶基板の反りを測定したところ、141ミクロンであった。これは、非鏡面側に生じた加工変質層により、トワイマン効果が生じているからである。
炭化珪素単結晶基板を以下の条件で電解エッチングした。
電解液:3%フッ化水素酸水溶液
電圧:10V
電流密度:0.01A/cm2
時間:10分間
正極:SiC
負極:白金
電解エッチング後、Flatmasterにて同様に反りを測定したところ、46ミクロンであった。
この結果から、電解エッチングによって加工変質層が除去され、反りが小さくなったと考えられる。このように比較的に短い時間で炭化珪素単結晶基板の反りが小さくなったということは、電解エッチングによるエッチング速度が比較的速いものと考えられる。
本発明は、種々の半導体素子を作製するための炭化珪素単結晶基板の製造に好適に用いられる。
1 価電子帯
2 フェルミ準位
3 伝導帯
4 ショットキーバリア
5 界面準位
10、10’、10’’、10’’’ 炭化珪素単結晶基板
11 加工変質層
10a、10a’10’a’ 第1の主面
10b、10b’10’b’ 第2の主面
15 炭化珪素半導体層
20 電源
21 負極
22 容器
23 電解液
24 配線
25 クリップ
26 導電板

Claims (9)

  1. n型不純物を含み、第1および第2の主面を備え、導電性を有する炭化珪素単結晶基板であって、前記第1の主面および前記第2の主面にそれぞれ加工変質層を有する炭化珪素単結晶基板を用意する工程と
    前記第1の主面の加工変質層の少なくとも一部、および、前記第2の主面の加工変質層の少なくとも一部を電解エッチングによってそれぞれ除去する工程と
    を包含する炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  2. n型不純物を含み、第1および第2の主面を備え、導電性を有する炭化珪素単結晶原料基板であって、前記第1の主面および前記第2の主面のそれぞれに前記加工変質層を有する炭化珪素単結晶原料基板を用意する工程と、
    前記炭化珪素単結晶原料基板の前記第1の主面から前記加工変質層を研磨によって除去し、前記第1の主面の面粗度が前記第2の主面の面粗度より小さい炭化珪素単結晶基板を用意する工程と、
    前記第2の主面の前記加工変質層の少なくとも一部を電解エッチングによって除去する工程と
    を包含する炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  3. n型不純物を含み、第1および第2の主面を備え、導電性を有する炭化珪素単結晶原料基板であって、前記第1および第2の主面に実質的に加工変質層を有しない炭化珪素単結晶原料基板を用意する工程と、
    前記第1の主面に炭化珪素半導体層をエピタキシャル成長させる工程と、
    前記第2の主面を、面粗度が大きくなるように研磨することにより、前記第2の主面に加工変質層を生成させ、前記第1の主面および前記第2の主面に前記炭化珪素半導体層および前記加工変質層をそれぞれ有する炭化珪素単結晶基板を用意する工程と、
    前記第2の主面の前記加工変質層の少なくとも一部を電解エッチングによって除去する工程と
    を包含する炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  4. 前記炭化珪素単結晶基板のn型不純物濃度は、1×1017cm-3以上である、請求項1から3のいずれかに記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  5. 前記炭化珪素単結晶基板を用意する工程において用意される前記炭化珪素単結晶基板の前記第2の主面の表面粗さRaは3.0nm以上である、請求項4に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  6. 前記電解エッチングによって除去する工程において、前記炭化珪素単結晶基板をフッ化水素酸を含む水溶液に浸漬しながら前記電解エッチングを行う請求項1からのいずれかに記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  7. 前記電解エッチングによって除去する工程において、水素よりもイオン化傾向の小さい金属を負極とし、前記炭化珪素単結晶基板を陽極として、前記電解エッチングを行う請求項に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  8. 前記電解エッチングを5V以上の電圧および1μA以上の電流で行う請求項1からのいずれかに記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  9. 前記電解エッチングによって除去する工程の後、前記第1の主面または前記第2の主面を、面粗度が小さくなるように研磨する工程をさらに包含する請求項に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
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