JP5560165B2 - タイヤ - Google Patents

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本発明は、薄ゲージ化が可能なインナーライナー層として単層又は多層の熱可塑性フイルムを使用するタイヤであって、前記熱可塑性フイルム層とゴム層とを二層の接着剤層を介して接合一体化させ、前記二層の接着剤層を構成する接着剤組成物が、従来接着剤が含有する有機溶剤を含まないことによる低環境負荷、並びにより高い接着性能、粘着性を有し、接着剤に由来する製造上の不具合点を解消したタイヤに関するものである。
従来、空気入タイヤの内面には、空気漏れを防止しタイヤ空気圧を一定に保つために、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどの低気体透過性ブチル系ゴムを主成分とするインナーライナー層が設けられている。しかし、これらのブチル系ゴムの含有量を多くすれば、未加硫ゴムの強度が低下し、ゴム切れやシート穴空きなどを生じ易く、特にインナーライナーを薄ゲージ化する場合には、タイヤ製造時に内面のコードが露出し易いという問題を生じる。
したがって、前記のブチル系ゴムの配合量は制限され、該ブチル系ゴムを配合したゴム組成物を用いる場合、空気バリア性の点からインナーライナー層の厚さは、1mm前後が必要であった。そのため、タイヤに占めるインナーライナー層の重量は約5%程度となり、タイヤの重量を低減し、自動車燃費を向上するための一つの障害となっていた。
そこで、近年の省エネルギー化の社会的な要請に伴い、自動車タイヤの軽量化を目的として、インナーライナー層を薄ゲージ化するための手法が提案されている。
例えば、ナイロンフイルム層や塩化ビニリデン層をインナーライナー層として従来のブチル系ゴムの代わりに用いる手法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂とエラストマーとのブレンドからなる組成物のフイルムをインナーライナー層に用いることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらのフイルムを用いる方法は、タイヤ軽量化はある程度可能であるとしても、マトリックス材が結晶性の樹脂材料であるために、特に5℃以下の低温での使用時における耐クラック性や耐屈曲疲労性が通常用いられるブチル系ゴム配合組成物層の場合より劣るという欠点があり、また、タイヤ製造も複雑となる。
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある。)はガスバリア性に優れていることが知られている。EVOHは、空気透過量がブチル系ゴムを配合したインナーライナーゴム組成物の100分の1以下であるため、50μm以下の厚さでも、内圧保持性を大幅に向上することができる上、タイヤを重量低減することが可能である。したがって、タイヤの空気透過性を改良するために、EVOHをタイヤインナーライナーに用いることは有効であると言える。例えばEVOHからなるタイヤインナーライナーを有するタイヤが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、上記のような、ゴム組成物とゴム組成物以外の材料、例えば樹脂を複合化させる方法においては、ゴム組成物の部材間で起こるような共加硫による接着性がないため、ゴム組成物層と樹脂層が剥離する場合がある。こうした剥離を防止するためには、ゴム組成物層と樹脂層などとを接着するための適切な接着剤が必要であるが、接着剤を塗工する際には、通常、有機溶媒を含んだ塗工液を用いるため、作業環境の低下問題や、該有機溶媒によりゴムあるいは樹脂組成物が膨潤し、接着面が平滑にならないなど、生産上の問題があった。
特開平7−40702号公報 特開平7−81306号公報 特開平10−264607号公報 特開平6−40207号公報
本発明は、このような状況下になされたものであり、薄ゲージ化が可能なインナーライナー層として単層又は多層の熱可塑性樹脂又はエラストマーを含むフイルムを用いるタイヤであって、前記熱可塑性フイルム層とゴム層とを接着剤層を介して接合一体化させ、接着剤層を構成する接着剤組成物が、従来接着剤組成物が含有する有機溶剤を含まないことによる低環境負荷等の接着剤に由来する製造上の不具合点を解消し、接着剤層が、フイルム層との接着に適した接着剤層及びゴム層との接着に適した接着層とに機能分離された二層の接着剤層を有し、該二層の接着剤層間の接着力を向上させることにより、粘着性及び高い接着性能を有した低燃費性の優れたタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、インナーライナー層を構成するフイルム層とゴム層とが二層の接着剤層を介して接合されるに当たり、前記二層のうち、接着剤層1としてインナーライナー層を構成するフイルム層の表面と特定の化学結合形成が出来る反応性基を有する化合物を含むことにより、上記課題を解決し、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1](A)インナーライナー層を構成する(B)変性又は未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂を含むフイルム層と(C)ゴム層とが、(X)二層の接着剤層を介して接合してなるタイヤであり、前記二層の接着層のうちフイルム層と接着する一層の接着剤層(接着剤層1)を構成するための接着剤組成物が、(D)エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物と(E)水を含み、該(D)成分が(E)水100質量部に対して0.1〜70質量部の範囲で含まれることを特徴とするタイヤ、
]接着剤層1は、(D)エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物と(E)水を含む接着剤組成物である水分散塗工液を前記(B)フイルム層表面に塗布した後、100℃以上で乾燥、熱処理することによって得られる、[1]に記載のタイヤ、
](X)二層の接着剤層の他の一層に(F)熱硬化性樹脂を用いる[1]又は[2]に記載のタイヤ、
](F)成分の熱硬化性樹脂が(C)ゴム層側に設けられる接着剤層2に用いられる、[3]に記載のタイヤ、
](F)成分の熱硬化性樹脂が、フェノール、エポキシ、メラミン、尿素、不飽和ポリエステル、ウレタン、イミド及びレゾルシンのいずれか1種の官能基又はセグメントを含んでなる、[3]又は[4]に記載のタイヤ、
](F)成分の熱硬化性樹脂がレゾルシン系化合物・ホルムアルデヒド系化合物・ラテックス(RFL樹脂)からなる、[3]〜[5]のいずれかに記載のタイヤ、
接着剤層2を構成するための接着剤組成物が、レゾルシン系化合物とホルムアルデヒド系化合物とをレゾール化反応により縮合させて得られる(G)初期縮合物及び(H)水性ラテックス中のゴム成分がラテックス状に(E)水中に分散されている、[3]に記載のタイヤ、
]前記(G)初期縮合物の(E)水100質量部に対する配合割合は0.1〜50質量、(H)水性ラテック中のゴム成分の(E)水100質量部に対する配合割合が10〜90質量の範囲である、[7]に記載のタイヤ、
]接着剤層2は、前記(G)初期縮合物、(H)水性ラテックス及び(E)水を含む接着剤組成物である水分散塗工液を前記接着剤層1の上に塗布し乾燥後、100℃以上で、かつ30秒間以上熱処理を行うことによって得られる、[7]又は[8]のタイヤ、
10着剤層1は、イソシアネート基、水酸基、アミノ基及びカルボニル基の中から選ばれる少なくとも一種を含む[1]〜[9]のいずれかに記載のタイヤ、
11](A)インナーライナーを構成する(B)フイルム層のタイヤ径方向の最表面層が、(I)変性又は未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂を含む熱可塑性樹脂10〜100質量%、(J)エラストマー成分0〜90質量%を含むガスバリア層、もしくは(J)エラストマー成分40〜100質量%を含む保護層からなり、該保護層のタイヤ径方向内側に(I)熱可塑性樹脂成分を含むガスバリア層が熱溶着された(B)フイルム層を含む層からなる[1]〜[10]のいずれかに記載のタイヤ、
12](I)成分の熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である、[11]に記載のタイヤ、
13](J)エラストマー成分が、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、含イオウゴム、フッ素ゴム及び(K)熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[11]に記載のタイヤ、
14](J)成分のエラストマーが、(K)熱可塑性エラストマーである、[13]に記載のタイヤ、
15](K)成分の熱可塑性エラストマーが、(L)ポリウレタン系熱可塑性エラストマーである、[13]又は[14]に記載のタイヤ、
16](B)フイルム層が接着層1と接着する表面層に(L)ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含むと共に、変性又は未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体層を少なくとも一層含む多層フイルムからなる[1]〜[15]のいずれかに記載のタイヤ、
17](A)インナーライナーを構成する(B)フイルム層の厚さが200μm以下、(C)ゴム層の厚さが200μm以上である請求項1〜16のいずれかに記載のタイヤ、
を提供するものである。
本発明は、薄ゲージ化が可能なインナーライナー層として単層又は多層熱可塑性フイルムを使用するタイヤであって、前記熱可塑性フイルム層とゴム層とを二層の接着剤層を介して接合一体化させ、接着剤層を構成する接着剤組成物が、(1)従来接着剤が含有する有機溶剤を含まないことによる低環境負荷、接着剤に由来する製造上の不具合点を解消すると共に、(2)接着剤層1として好ましくは、イソシアネート基や水酸基等の反応性の優れた官能基を有するウレタン系熱可塑性エラストマーあるいは熱可塑性樹脂からなるフイルム層表面に(D)特定の化学結合形成が出来る反応性基を有する化合物、例えばエポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物を反応させ、接着剤層1と(B)フイルム層を含む層との接着性を向上させ、さらにその表面にレゾルシン、ホルムアルデヒド及びゴム成分を含む水性ラテックスの混合水溶液に微量のアルカリ触媒を加え、得られたレゾルシンホルムアルデヒド初期縮合物所謂RFL系樹脂からなる接着剤層2を塗布し、その上に(C)ゴム成分を貼着し、熱処理等により接着剤層2と該(C)ゴム成分間の接着性を確保する。
また、接着剤層1と接着剤層2間においては、を熱処理により、前記RFL樹脂を熱硬化樹脂化(高分子化)する過程で、ウレタン系熱可塑性エラストマーからなるフイルム層表面と化学結合した上記(D)特定の化学結合形成が出来る反応性基を有する化合物の分子鎖とRFL樹脂間での絡み合いにより高い接着力を得ることができる。
上記、絡み合いの他に、フイルム層との水素結合やフイルム層に対するアンカー効果等も接着性能向上の要因と考えられる。
(3)上記(2)項記載のフイルム層との接着に適した接着剤層1と接着剤層に特定の熱硬化性樹脂を用いたゴム層との接着に適した接着剤層2とに機能分離され、上記二層の接着剤層間の接着力が優れる接着剤層を介してフイルム層とゴム層とを接合一体化させることにより、高粘着性及び高接着性能を有した低燃費性の優れたタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤの(X)二層の接着剤層の近傍を拡大した一実施態様を模式的に示す断面図である。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、(A)インナーライナー層を構成する(B)フイルム層を含む層と(C)ゴム層とが、(X)二層の接着剤層を介して接合するに当り、前記二層のうち1層の接着剤層を構成する接着剤組成物が、(D)フイルム層表面と化学結合を形成することができる反応性基を有する化合物を含むことを特徴とする。
先ず、本発明のタイヤについて図1に基づいて説明する。図1は本発明のタイヤの(X)二層の接着剤層の近傍を拡大した一実施態様を模式的に示す断面図である。
1は接着剤層で、5の接着剤層1と4の接着剤層2の二層から構成されている。2はインナーライナーを構成するフイルム層を含む層からなり、本図1の模式図においては6のポリウレタン系熱可塑性エラストマーと7の未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層のそれぞれ二層、合計四層から構成されている。3はゴム層(プライコーテイングゴム)である。
フイルムインナーライナー層を構成する最外層のフイルム層(6)には官能基として水酸基、イソシアネート基、アミノ基、カルボニル基などを含むことが好ましい。例えば、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーフイルムの表面には反応性の高いイソシアネート基や水酸基等の官能基が存在する。前記5の接着剤層1は、上記官能基と化学結合を形成することが出来る反応性基、例えば反応性の高いイソシアネート基及び/又はエポキシ基等を有する化合物の水溶液を塗布し乾燥し、必要に応じて100℃以上で20秒間以上熱処理をおこなうことによって得られる。
また、上記フイルム表面に化合物の水溶液を塗布する前にフイルム表面のコロナ放電処理を行うことが好ましい。
上記フイルム層表面に存在する官能基と化学結合を形成することができる反応性基については化学結合を形成できれば特に制限はなく、上記ポリウレタン系熱可塑性エラストマーフイルム表面の官能基であるイソシアネート基に対しては、−OH基、−COOH基、−C=NH基、−CX基(Xはハロゲン)を官能性基として有する化合物が好ましく、水酸基に対しては、−COOH基、−COOR基、−NCO基及びエポキシ基を官能性基として有する化合物が好ましい。
次に、図1に示すように、上記5の接着剤層1の上に4の接着剤層2のレゾルシン・ホルマリン初期縮合物・ゴムラテックスからなる所謂RFL樹脂の水溶液を塗布し、乾燥後、熱処理を行い、さらにその上に3のゴム層を張り合わせて加硫を行い、上記REL樹脂を熱硬化性樹脂化する。熱硬化樹脂化(高分子化)する過程で、ウレタン系熱可塑性エラストマーからなるフイルム層表面と化学結合した上記(D)特定の化学結合形成が出来る反応性基を有する化合物の分子鎖とRFL樹脂との間で絡み合いアンカー効果等が生じることより高い接着性力、粘着性を得ることができる。
[(A)インナーライナー層を構成する(B)フイルム]
次に、(A)インナーライナー層を構成する(B)フイルムについて説明をする。
(A)インナーライナー層を構成するフイルムとしては、ガスバリア性が良好で、適度の機械的強度を有するものであればよく、特に制限されずに、様々な素材からなるフイルムを用いることができる。このようなフイルムの素材としては、次に詳述する熱可塑性樹脂、エラストマー等を好ましい素材として用いることができる。
((I)熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂などの樹脂を挙げることができる。中でもエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂は、空気透過量が極めて低く、ガスバリア性に優れており、好ましい素材である。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、樹脂フイルムとしては、熱可塑性樹脂であるこれらの素材と後述する(J)エラストマー成分とをブレンドしたものを用いることができる。これら樹脂フイルム層は単層であっても良く、二層以上の多層であっても良い。
(エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂)
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂としては、変性又は未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂が用いられる。特にエチレン−ビニルアルコール共重合体にエポキシ化合物を反応させて得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。このように変性することにより、未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体の弾性率を大幅に下げることができ、屈曲時の破断性、クラックの発生度合いを改良することができる。
この変性処理に用いられる未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体においては、エチレン単位含有量は25〜50モル%であることが好ましい。エチレン単位含有量が25モル%以上であると十分な耐屈曲性及び耐疲労性が得られ、かつ、溶融成形性も良好である。一方50モル%以下であると十分なガスバリア性が得られる。より良好な耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、エチレン単位含有量は、30モル%以上がさらに好ましく、35モル%以上が特に好ましい。
一方、ガスバリア性の観点からは、エチレン単位含有量は48モル%以下がより好ましく、45モル%以下が特に好ましい。
さらに、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度は好ましくは90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最適には99モル%以上である。ケン化度が90モル%以上であると、十分なガスバリア性及び積層体作製時の熱安定性が得られる。
変性処理に用いられる未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、21.18N荷重下)は0.1〜30g/10分であり、より好適には0.3〜25g/10分である。但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは21.18N荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
変性処理は、前記の未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物を、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは5〜35質量部を反応させることにより行うことができる。この際、適当な溶媒を用いて、溶液中で反応させるのが有利である。
溶液反応による変性処理法では、エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液に酸触媒あるいはアルカリ触媒存在下でエポキシ化合物を反応させることによって変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が得られる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドン等のエチレン−ビニルアルコール共重合体の良溶媒である極性非プロトン性溶媒が好ましい。反応触媒としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸および三弗化ホウ素等の酸触媒や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキサイド等のアルカリ触媒が挙げられる。これらのうち、酸触媒を用いることが好ましい。触媒量としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部に対し、0.0001〜10質量部程度が適当である。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびエポキシ化合物を反応溶媒に溶解させ、加熱処理を行うことによっても変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を製造することができる。
変性処理に用いられるエポキシ化合物は特に制限はされないが、一価のエポキシ化合物であることが好ましい。二価以上のエポキシ化合物である場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体との架橋反応が生じ、ゲル、ブツ等の発生により積層体の品質が低下するおそれがある。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造の容易性、ガスバリア性、耐屈曲性および耐疲労性の観点から、好ましい一価エポキシ化合物としてグリシドール及びエポキシプロパンが挙げられる。
この変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を素材とする樹脂フイルム層の20℃、65RH%における酸素透過量は、3×10-15cm3・cm/cm2・sec・Pa以下であることが好ましく、7×10-16cm3・cm/cm2・sec・Pa以下であることがより好ましく、3×10-16cm3・cm/cm2・sec・Pa以下であることがさらに好ましい。
本発明において、少なくとも(B)樹脂フイルム層を含む層は、上記変性又は未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体等の樹脂フイルムからなる単層フイルムであってもよいし、樹脂フイルム層として変性又は未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体などの樹脂フイルム層を有するとともに、他の層をも有する多層フイルムであってもよい。
((J)エラストマー成分)
また、樹脂フイルム層としては、上述した熱可塑性樹脂100%で構成されるフイルムでも良いが、以下の(J)エラストマー成分と熱可塑性樹脂とのブレンド系のものも好ましく用いることができる。
(J)エラストマー成分としては、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、含イオウゴム、フッ素ゴム及び(K)熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種が用いられる。
中でもジエン系ゴム、(K)熱可塑性エラストマーが好ましい。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム及びこれらの変性ゴム、IIR,Br−IIR、Cl−IIR及びイソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化ゴム(Br−IPMS)等が挙げられる。
ガスバリア性を考慮するとIIR,Br−IIR、Cl−IIR及びイソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化ゴム(Br−IPMS)が好ましい。
(K)熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックポリマー(SEPS)等のポリスチレン系熱可塑性エラストマー;ハードセグメントにポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのポリオレフィンをソフトセグメントとしてエチレン・プロピレン(EPDM)のようなゴムを用いて両セグメントを単純にブレンドした、又は両セグメントを2段階で重合(インプラント化)したポリオレフィン系熱可塑性エラストマー;シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン等のポリジエン系熱可塑性エラストマー;分子中のハードセグメントとしてポリ塩化ビニルをソフトセグメントとして部分架橋型NBRなどのゴムを用いてアロイ化したブレンド型熱可塑性エラストマーである塩素系熱可塑性エラストマー;分子中のハードセグメントとしてポリエステルを、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)の低いポリエーテルあるいはポリエステルを用いたマルチブロックタイプのポリエステル系熱可塑性エラストマー;分子中のハードセグメントとしてナイロン6、66、610、11、12から選択されるポリアミドを、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)の低いポリエーテルあるいはポリエステルを用いたマルチブロックタイプのポリアミド系熱可塑性エラストマー;ハードセグメントとしてフッ素樹脂を、ソフトセグメントとしてフッ素ゴムからなるA−B−A−タイプのフッ素系熱可塑性エラストマー及び後述するポリウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
中でもポリウレタン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
((L)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)
樹脂フイルム層以外のその他の層としては、これらのうち、耐ゴムとゴムに対する接着性の点から、フイルム表面に水酸基やイソシアネート基等の反応性の高い反応性基を有するポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなる層が好ましく、特に樹脂フイルム層を挟持する形でフイルム層の外層部分にポリウレタン系熱可塑性エラストマー層を配置することが好ましい。
このような多層フイルムの具体例としては、前記の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる樹脂フイルムの両面に、それぞれポリウレタン系熱可塑性エラストマーフイルムが積層された三層構造の多層フイルムを挙げることができる。
前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(以下、TPUと略記することがある。)は、分子中にウレタン結合(−NH−COO−)をもつエラストマーであり、(1)ポリオール(長鎖ジオール)、(2)ジイソシアネート、(3)短鎖ジオールの三成分の分子間反応によって生成する。ポリオールと短鎖ジオールは、ジイソシアネートと付加反応をして線状ポリウレタンを生成する。この中でポリオールはエラストマーの柔軟な部分(ソフトセグメント)になり、ジイソシアネートと短鎖ジオールは硬い部分(ハードセグメント)になる。TPUの性質は、原料の性状、重合条件、配合比によって左右され、この中でポリオールのタイプがTPUの性質に大きく影響する。基本的特性の多くは長鎖ジオールの種類で決定されるが、硬さはハードセグメントの割合で調整される。
種類としては、(イ)カプロラクトン型(カプロラクトンを開環して得られるポリラクトンエステルポリオール)、(ロ)アジピン酸型又はアジペート型(アジピン酸とグリコールとのアジピン酸エステルポリオール)、(ハ)PTMG(ポリテトラメチレングリコール)型又はエーテル型(テトラヒドロフランの開環重合で得られたポリテトラメチレングリコール)などがある。
(L)ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、熱可塑性エラストマーの中では耐摩耗性に優れ、強度が大きくポリウレタンの強靭な性質を有し、低硬度のものが得られ、引っ張り特性もより加硫ゴムに近く、繰り返し疲労特性の優れた数少ない熱可塑性エラストマーであり、耐寒性に優れる特徴を有する。
本発明おいて、樹脂フイルムを構成する(I)成分である熱可塑性樹脂と(J)成分のエラストマーの組成は空気透過性、フイルムの厚さ、樹脂フイルム層の最外層とカーカスゴム等の(C)ゴム層との接着性を考慮して決定される。
ガスバリア層として用いられるポリマーの組成は、(I)熱可塑性樹脂10〜100質量%と(J)エラストマー0〜90質量%を含有していることが好ましい。
(I)熱可塑性樹脂と(J)エラストマーの含有量を上記範囲にすることによってガスバリア性と(C)ゴム層との優れた接着性能を確保することができる。
また、最外層であって保護層として用いられるポリマー組成は、(J)エラストマーを40〜100質量%を含み、該保護層のタイヤ径方向内側に(I)熱可塑性樹脂を含むガスバリア層が熱溶着された樹脂フイルム層からなることが好ましい。
さらに、上記(I)熱可塑性樹脂が、変性又は未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂であることがより好ましい。
また、(A)インナーライナーを構成する樹脂フイルム層が、上述のポリウレタン系熱可塑性エラストマー層を含むと共に、変性又は未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体層を少なくとも1層含む多層フイルムからなることがガスバリア性、疲労性の観点から見て最も好ましい。
本発明において、ガスバリア層を保護するために、保護層をガスバリア層に隣接して配設することが好ましい。保護層は、ガスバリア層の片側のみでもよいが、両側に配設されることが好ましい。保護層の配設により、ガスバリア層のクラックの発生や成長が抑制され、耐屈曲性及び耐疲労性はさらに改良される。
保護層としては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ナイロン6、ナイロン66、エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ハロゲン化ブチルゴム等のブチルゴム、ジエン系エラストマー等が好適なものとして例示される。前記ジエン系エラストマーとしては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム等が好適なものとして例示される。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いられる。
保護層の薄膜化及びクラックの発生、伸展抑制の観点から、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ナイロン6、ナイロン66、エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましく、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
本発明において、(A)層を構成する樹脂フイルムの成形方法に特に制限はなく、単層フイルムの場合、従来公知の方法、例えば溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法などを採用することができるが、これらの方法の中で、Tダイ法やインフレーションなどの溶融押出法が好適である。また、多層フイルムの場合は、共押出しによるラミネート法が好ましく用いられる。
本発明の積層体の製造方法における(A)樹脂フイルム層を含む層の厚さは、該積層体をインナーライナーとして用いる場合の薄ゲージ化の観点から、200μm以下が好ましい。(A)層の厚さの下限については特に限定されないが、通常1μm程度であり、より好ましい厚さは10〜150μm、さらに好ましい厚さは20〜100μmの範囲である。又ゴム層の厚さは200μm以上が好ましいその上限についてはタイヤサイズによって異なるが通常500μm程度である。
この(A)層少なくとも樹脂フイルム層を含む層は、後述する(C)ゴム層などとの密着性を向上させるために、所望により、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フイルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
[(X)2層接着剤層]
<接着剤層1>
次に、(D)成分としてフイルム層表面と化学結合を形成することができる反応性基を有する化合物を含む接着剤層1を構成する接着剤組成物について説明する。
(D)成分としてフイルム層表面と化学結合を形成することができる反応性基は−COOH基、COOR基、−CX基,−OH基、NH2基、エポキシ基、イソシアネート基が好ましく、中でもエポキシ基、イソシアネート基を有する化合物が特に好ましい。
上記フイルム層としては、上述のように接着性の点から、フイルム表面に水酸基やイソシアネート基等の反応性の高い反応性基を有するポリウレタン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
(反応性基としてエポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物)
反応性基としてエポキシ基有する化合物としては、脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物のいずれも用いることができる。脂肪族エポキシ化合物を用いると反応性が高くなるので好ましく、芳香族エポキシ化合物を用いると反応性は脂肪族エポキシ化合物より低いが、液の安定性が高いので好ましい。
この脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−512」、「デナコール EX−521」(デナコールは登録商標、以下同じ))、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−321」)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−211」)、グリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−313」、「デナコール EX−314」)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−941」、「デナコール EX−920」、「デナコール EX−931」)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−810」、「デナコール EX−811」)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−850」、「デナコール EX−851」、「デナコール EX−821」、「デナコール EX−830」、「デナコール EX−832」、「デナコール EX−841」、「デナコール EX−861」)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−611」、「デナコール EX−612」、「デナコール EX−614」、「デナコール EX−614B」、「デナコール EX−622」)、及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス(株)製の商品名「デナコール EX−411」)等を挙げることができる。
これらの内、グリセロールポリグリシジルエーテルが特に好ましい。
また、芳香族エポキシド化合物としては、多価フェノール類とエピクロルヒドリンのごときハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、例えばレゾルシン、ビス(p−ヒドロキシフエニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフエニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフエニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂等とエピクロルヒドリンとの反応生成物、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物である芳香族エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの中では、フェノール樹脂類のグリシジルエーテルが特に好ましい。
また、イソシアネート化合物としては、通常、イソシアネートの遊離イソシアネート基を熱解離ブロック剤で封鎖したブロックドイソシアネートが使用される。このブロックドイソシアネートは、常温では水とは反応しないが、加熱することによりブロック剤が解離し、活性なイソシアネート基が再生される。
ブロックドイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やトリレンジイソシアネート(TDI)等の有機ポリイソシアネート化合物を、ブロック剤でブロックしたものが、好ましく用いられる。上記ブロック剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、クロルフェノール、クレゾール、レゾルシノール、p−sec−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等のフェノール類;イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等の第2級又は第3級のアルコール;ジフェニルアミン等の芳香族第2級アミン類;フタル酸イミド類;δ−バレロラクタム等のラクタム類;ε−カプロラクタム等のカプロラクタム類;マロン酸ジアルキルエステル、アセチルアセトン、アセト酢酸アルキルエステル等の活性メチレン化合物;アセトキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;3−ヒドロキシピリジン等の塩基性窒素化合物及び酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
前記エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物はそれぞれ単独で水に分散され、該水100質量部に対するエポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物の配合割合が、0.1〜70質量%の範囲であることが好ましく、特に0.1〜20質量%の範囲であることが好ましい。エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物の水に対する配合割合を上記範囲にすることによって本発明の目的を奏することができる。
この水分散塗工液を前記フイルム層表面に塗布したのち室温にて乾燥後、必要に応じて、温度100℃以上で20秒間以上、好ましくは130℃〜200℃の範囲で30秒〜5分間熱処理することによってフイルム表面の官能基とエポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物との間に化学結合が形成された接着剤層1を得ることができる。
尚、接着剤層1を構成する前記塗工液を塗布する前にフイルム層表面にコロナ放電による表面処理を行うことが好ましい。
<接着剤層2>
上記接着剤層2のRFL系接着剤は、レゾルシン、ホルムアルデヒド及びゴム成分を含む水性ラテックスの混合水溶液に微量のアルカリ触媒を加え、常温で熟成させた後、レゾルシンとホルムアルデヒドとをレゾール化反応させて得られる所謂レゾルシンホルムアルデヒド初期縮合物を添加して作製される。
上記レゾルシンホルムアルデヒド初期縮合物の水100質量部に対する配合割合は0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲であり、水性ラテックスの配合割合は0.5〜200質量%、好ましくは5〜100質量%の範囲である。レゾルシンホルムアルデヒド初期縮合物及び水性ラテックスの水に対する配合割合を上記範囲にすることによって接着剤組成物の塗布作業性および接着性に優れた接着剤組成物を得ることができる。
該接着剤を上記接着剤層1が形成されているインナーライナー層の最外層を構成するフイルムに塗布し、室温にて乾燥し、必要に応じて更に100℃以上の高温下で30秒から数分間、好ましくは100℃〜200℃の範囲で30秒〜5分間かけて熱処理を行うことによってレゾルシンホルムアルデヒド初期縮合物を熱硬化樹脂化(高分子化)し接着剤層2を形成した後にカーカスコーテイングゴムに代表される(C)ゴム層との加硫による接着処理を行う。
加硫によってさらに熱が加えられることによってRFL樹脂の熱硬化樹脂化(高分子化)がさらに進むことによって(C)ゴム層と接着剤層2との間で接着反応が進むと共に、熱硬化樹脂化(高分子化)する過程で、接着剤層1のフイルム層表面と化学結合した分子鎖とRFL樹脂間での絡み合いにより接着剤層1と接着剤層2の間に高い接着性力及び粘着性を生じ、優れた(X)接着剤層を得ることができる。その結果として(A)樹脂フイルム層または保護層と(C)ゴム層の間に接着剤層1と接着剤層2を介して優れた接着性が付与される。
熱硬化性樹脂として、フェノール、エポキシ、メラミン、尿素、不飽和ポリエステル、ウレタン、イミド及びレゾルシンのいずれか1種の官能基又はセグメントを含婿とが好ましい。
その他の(C)ゴム層としては主にブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムからなるインナーライナーゴムが挙げられる。
<(G)レゾルシン系化合物及びホルムアルデヒド系化合物からなる初期縮合物>
本発明の接着剤組成物が含有するレゾルシン系化合物及びホルムアルデヒド系化合物からなる縮合物は、レゾルシン系化合物とホルムアルデヒド系化合物とを縮合反応させて得られる反応物であり、レゾルシンとホルムアルデヒドとの初期縮合物であるのが好ましい。
該レゾルシンとホルムアルデヒドとの初期縮合物は、ホルムアルデヒド由来の構成単位とレゾルシン由来の構成単位とを含有し、ホルムアルデヒド由来の構成単位が化学量論的に不足する状態を維持することが重要である。即ちこれにより樹脂を低分子量で可溶性に維持することができる。
該縮合物には、上記のホルムアルデヒドと反応して熱硬化性樹脂を与えるレゾルシン以外の化合物としては、メラミン、尿素、フェノール等を挙げることができ、これらの初期縮合物はメラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂といった熱硬化性樹脂を得ることができる。
これらの中でメラミンが好適である。すなわち、メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物を用いることによっても、ゴムとの優れた接着性を得ることができる。その他、エポキシ、不飽和ポリエステル、ウレタン及びイミドのいずれか1種の官能基又はセグメント等を含んでなることが接着性向上のために好ましい。
レゾルシン系化合物以外のフェノール誘導体が第三成分として含まれていてもよく、また、該縮合物は、スルフィメチル化剤等による変性や、カルボキシル化等の変性を受けていてもよい。
上記レゾルシン系化合物は、レゾルシンと、該レゾルシン中の水素原子が置換基で置換された置換レゾルシンとを包含する。該レゾルシン系化合物としては、レゾルシンの他、5-メチルレゾルシン、4,5-ジメチルレゾルシン等のアルキルレゾルシン等が挙げられ、これらの中でも、レゾルシンが好ましい。これらレゾルシン系化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ホルムアルデヒド系化合物は、ホルムアルデヒドと、該ホルムアルデヒド中の水素原子が置換基で置換された置換ホルムアルデヒドと、該ホルムアルデヒドの重合体等を包含する。上記ホルムアルデヒド系化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、へキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキサール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられ、これらの中でも、ホルムアルデヒドが好ましい。これらホルムアルデヒド系化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記レゾルシン系化合物とホルムアルデヒド系化合物とからなる縮合物は、水性ラテックスの存在下でレゾルシン系化合物とホルムアルデヒド系化合物とをレゾール化させて得られたものであるのが好ましい。これは、接着剤組成物の粘着性を下げて、付着処理工程における装置への付着汚れの発生やガムアップ発生の抑止と同時に、接着剤組成物の熟成がほぼ終了した後にpHを低くしても、ゴムラテックスの凝集発生を抑制できるためである。
レゾルシン系化合物とホルムアルデヒド系化合物とをレゾール化させて得られる縮合物を、ゴムラテックスの存在下で得る方法としては、(i)アルカリ性液下で、レゾルシン系化合物及び/又は比較的低分子量のレゾルシン系化合物・ホルムアルデヒド系化合物縮合物とゴムラテックスとを混合し、ホルムアルデヒドを分割添加する方法、(ii)縮合反応開始時にはゴムラテックスを混合せず、アルカリ性液下で、レゾルシン系化合物及び/又は比較的低分子量のレゾルシン系化合物・ホルムアルデヒド系化合物縮合物にホルムアルデヒドを分割添加してレゾール化反応を開始させ、縮合反応初期段階の低縮合度の反応中間体が生成した時点でゴムラテックスを加え混合して反応を続行させる方法等が挙げられるが、いずれの方法においても、レゾール型縮合物の縮合反応が終了する前に、ゴムラテックスを加え混合する必要がある。なお、縮合反応が終了したか否かは、レゾール化反応中は反応中間体のメチロール基等の生成に伴い、pHが一時的に下がり、縮合反応が進むにつれてメチロール基等が消費されて、pHが再び上昇し、反応が終了するとpHがほぼ一定になることで判定でき、本発明においては、pHの変化を指標として、水性ラテックスの添加を行う。
<(H)水性ラテックス>
本発明の接着剤組成物に用いる水性ラテックスは、ゴム成分として共役ジエン系共重合体粒子を含む以外特に制限は無く、ビニルピリジンは必須成分ではないが含むことが好ましい。
更に、共役ジエン系共重合体をカルボキシル基あるいはイソシアネート基等で変性した変性ラテックス、スチレン−ブタジエンラテックス及びその変性ラテックス、天然ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体系ラテックス、ブチルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスの他、被着ゴムに配合されるゴム成分と同種のゴム成分を水又は有機溶媒に分散させて調製したラテックス等を含んでもよい。上記ゴムラテックスは、一種単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。
中でも、水性ラテックスを構成する、ジエン系ゴムの末端又は分子内にイソシアネート基、カルボキシル基及びピリジル基のいずれか一種を含んでいるものを用いることが好ましい。
また、レゾルシン・ホルマリン初期縮合物と反応する官能基を有するジエン系ゴム、または該初期縮合物と縮合重合ができるジエン系ゴムのいずれか1種を含んでいるものを用いることが好ましい。
上記ビニルピリジン−スチレン−共役ジエン系共重合体は、ビニルピリジン系化合物と、スチレン系化合物と、共役ジエン化合物とを三元共重合させたものである。ここで、ビニルピリジン系化合物は、ビニルピリジンと、該ビニルピリジン中の水素原子が置換基で置換された置換ビニルピリジンとを包含する。該ビニルピリジン系化合物としては、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン等が挙げられ、これらの中でも、2-ビニルピリジンが好ましい。これらビニルピリジン系化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記スチレン系化合物は、スチレンと、該スチレン中の水素原子が置換基で置換された置換スチレンとを包含する。該スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2,4-ジイノプロピルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、スチレンが好ましい。これらスチレン系化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン等の脂肪族共役ジエン化合物が挙げられ、これらの中でも、1,3-ブタジエンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1 保護層:フイルム(a)の製造
エラストマーとして熱可塑性ポリウレタン((株)クラレ製、クラミロン9190)100%を使用し樹脂フイルムインナーライナー最外層の保護層として用いられるフイルム(A)を製造した。タッキネス、剥離接着強さの評価に用いられるためフイルムの厚さは1.5mmを製造した。
押出機仕様:
熱可塑性ポリウレタン:25mmφ押出機 P25−18AC(大阪精機工作株式会社製)
Tダイ仕様:500mm幅 (株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度:4m/分
製造例2 ガスバリア層:フイルム(b)の製造
(株)クラレ製「G156B」エチレン−ビニルアルコール共重合体(EV0H、エチレン共重合比率48%)50質量%と、エラストマーの熱可塑性ポリウレタン((株)クラレ製、クラミロン9190)50質量%とを2軸押出機を用いて200℃で溶融混合しペレット化した。製造例2同様押し出し機を用いて樹脂フイルムインナーライナー最外層のガスバリア層として用いられるフイルム(B)を製造した。タッキネス(粘着性)、剥離接着強さの評価のためにフイルムの厚さは1.5mmのものを製造した。
製造例3 ゴム層A カーカスコーテイングゴムの製造
ゴム層Aのカーカスコーテイングゴムは、天然ゴム70質量部及びスチレン・ブタジエン共重合体ゴム[JSR社製,SBR#1712、ゴム分100質量部に対して37.5質量部のアロマオイルで油展]41.25質量部に対して、カーボンブラック(N330)45質量部、ステアリン酸1質量部、亜鉛華5質量部、加硫促進剤DM[大内新興化学社製、ノクセラーDM]1.0質量部及び不溶性硫黄3.5質量部を配合して調整し、タッキネス、剥離接着強さの評価のために厚さ2.0mmの未加硫のゴムシートを製造した。
尚、カーカスプライは、ポリエステル製コードをコーテイングゴム用ゴム組成物で被覆して作製する。
製造例4 ゴム層B ブチルゴムの製造
ブチルゴムは、臭素化ブチルゴム100質量部,GPFカーボブラック60質量部、SUNPAR2280、7質量部、ステアリン酸1質量部、ノクセラーDM1.0質量部、亜鉛華3質量部、硫黄0.5質量部を配合して調整し、タッキネス、剥離接着強さの評価のために厚さ2.0mmの未加硫のゴムシートを製造した。
実施例1〜16、比較例1〜4
1.一層目(接着剤層1)
第1表−1及び第1表−2に記載の一層目接着剤組成(%)に従って、エポキシ基を有する化合物;グリセロールポリグリシジルエーテル[ナガセケムテックス(株)社製、商品名「デナコール EX−313」]と水、及びイソシアネート基を有する化合物:ブロックドイソシアネート[第一工業(株)社製、商品名「エラストロン」]と水をそれぞれ独立に混合した。
2.二層目(接着剤層2)
第1表−1及び第1表−2に記載の二層目接着剤組成(%)に従って、熱硬化性樹脂としてレゾルシン、ホルムアルデヒド、苛性ソーダ、ラテックスとして[ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン共重合ラテックス:日本ゼオン社製、商品名「Nipol2518FS」固形分40.5質量%]、[スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス:日本ゼオン社製、「NipolLX110」固形分40.3質量%]及び水とを混合し、その混合物を25℃で24時間熟成し接着剤液を作製した。
3.熟成した接着剤液を塗布する前に、信光電気計装社製コロナ放電処理装置[コロナマスターPS−1M]を使用して電極間距離1mm、放電電圧7kV、周波数15kHzの条件でコロナ放電処理を実施した。
4.次に一層目(エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物層)をフイルム表面に塗布した。
5.室温で乾燥後、一層目(接着剤層1)に熱処理があると表1に示している場合150℃で5分間熱処理をした。
6.上記一層目(接着剤層1)の上に2項で得られた接着剤液を塗布した。
7.室温にて乾燥後、150℃で5分間熱処理をし、二層目(接着剤層2)を得た。
次に、上記のように接着剤処理されたフイルム(a)及び(b)は該接着剤組成物を介して製造例4で得られたカーカスコーテイングゴムシートA及び製造例5で得られたブチルゴムシートBを貼合し、この時点でフイルム(a),(b)とゴムシートA又はB間の粘着力が測定される。次に該貼合の後に加熱・加硫処理することが好ましい。加熱・加硫処理は、通常120℃以上、好ましくは125〜200℃、より好ましくは130〜180℃の温度で実施される。この加熱処理(加硫)によって始めて優れた接着力を発現し本発明の効果を奏することができる。なお、この積層体がタイヤのインナーライナーとして用いられる場合、この加熱・加硫処理は、通常タイヤの加硫時に行われる。
<粘着力の測定>
上記実施例1〜16、比較例1〜4の試料について、JIS Z0237「粘着テープ・粘着テープ試験方法」に準拠して表1及び表2に記載の被着剤成分のフイルム・ゴム間の粘着力を測定した。評価結果を比較例1の値を100として表1、及び表2に指数で示す。数値の大きいほうが粘着力が優れている。
<剥離接着強さ>
また、実施例1〜16、比較例1〜4で得られた接着剤組成物が塗布されたフイルム(a)又は(b)の試料とカーカスコーテイングゴムシートA又はブチルゴムシート(B)とをそれぞれ貼合し、加熱処理(加硫)を行ったのちJIS K6854「剥離接着強さ試験法」に準拠して、180度剥離接着強さの測定をおこなった。評価結果を比較例1の値を100として表1及び表2に指数で示す。数値の大きいほうが剥離接着力が優れている。
Figure 0005560165
Figure 0005560165
本発明は、このような状況下になされたものであり、薄ゲージ化が可能なインナーライナー層として単層又は多層熱可塑性樹脂又はエラストマーを含むフイルムを使用するタイヤであって、前記熱可塑性フイルム層とゴム層とを接着剤層を介して接合一体化させ、接着剤層を構成する接着剤組成物が、従来接着剤組成物が含有する有機溶剤を含まないことによる低環境負荷等の接着剤に由来する製造上の不具合点を解消し、好ましくは接着剤層がゴム層との接着に適した接着層及びフイルム層との接着に適した接着剤層とに機能分離された二層の接着剤層を有し、該二層間の接着力を向上させることにより、粘着性及び高い接着性能を有した低燃費性の優れたタイヤを提供する。
1.接着剤層(X)(4、5)
2.(A)インナーライナーを構成するフイルム層を含む層(B)(6,7)
3.ゴム層(C)
4.接着剤層2
5.接着剤層1
6.ポリウレタン系熱可塑性エラストマー
7.エチレン−ビニルアルコール共重合体層

Claims (17)

  1. (A)インナーライナー層を構成する(B)変性又は未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂を含むフイルム層と(C)ゴム層とが、(X)二層の接着剤層を介して接合してなるタイヤであり、前記二層の接着層のうちフイルム層と接着する一層の接着剤層(接着剤層1)を構成するための接着剤組成物が、(D)エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物と(E)水を含み、該(D)成分が(E)水100質量部に対して0.1〜70質量部の範囲で含まれることを特徴とするタイヤ。
  2. 接着剤層1は、(D)エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物と(E)水を含む接着剤組成物である水分散塗工液を前記(B)フイルム層表面に塗布した後、100℃以上で乾燥、熱処理することによって得られる請求項に記載のタイヤ。
  3. (X)二層の接着剤層の他の一層に(F)熱硬化性樹脂を用いる請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. (F)成分の熱硬化性樹脂が(C)ゴム層側に設けられる接着剤層2に用いられる請求項に記載のタイヤ。
  5. (F)成分の熱硬化性樹脂が、フェノール、エポキシ、メラミン、尿素、不飽和ポリエステル、ウレタン、イミド及びレゾルシンのいずれか1種の官能基又はセグメントを含んでなる請求項又はに記載のタイヤ。
  6. (F)成分の熱硬化性樹脂がレゾルシン系化合物・ホルムアルデヒド系化合物・ラテックス(RFL樹脂)からなる請求項のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 接着剤層2を構成するための接着剤組成物が、レゾルシン系化合物とホルムアルデヒド系化合物とをレゾール化反応により縮合させて得られる(G)初期縮合物及び(H)水性ラテックス中のゴム成分がラテックス状に(E)水中に分散されている請求項3に記載のタイヤ。
  8. 前記(G)初期縮合物の(E)水100質量部に対する配合割合は0.1〜50質量、(H)水性ラテック中のゴム成分の(E)水100質量部に対する配合割合が10〜90質量の範囲である請求項に記載のタイヤ。
  9. 接着剤層2は、前記(G)初期縮合物、(H)水性ラテックス及び(E)水を含む接着剤組成物である水分散塗工液を前記接着剤層1の上に塗布し乾燥後、100℃以上で、かつ30秒間以上熱処理を行うことによって得られる請求項又はのタイヤ。
  10. 着剤層1は、イソシアネート基、水酸基、アミノ基及びカルボニル基の中から選ばれる少なくとも一種を含む請求項1〜のいずれかに記載のタイヤ。
  11. (A)インナーライナーを構成する(B)フイルム層のタイヤ径方向の最表面層が、(I)変性又は未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂を含む熱可塑性樹脂10〜100質量%、(J)エラストマー成分0〜90質量%を含むガスバリア層、もしくは(J)エラストマー成分40〜100質量%を含む保護層からなり、該保護層のタイヤ径方向内側に(I)熱可塑性樹脂成分を含むガスバリア層が熱溶着された(B)フイルム層を含む層からなる請求項1〜10のいずれかに記載のタイヤ。
  12. (I)成分の熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項11に記載のタイヤ。
  13. (J)エラストマー成分が、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、含イオウゴム、フッ素ゴム及び(K)熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項11に記載のタイヤ。
  14. (J)成分のエラストマーが、(K)熱可塑性エラストマーである請求項13に記載のタイヤ。
  15. (K)成分の熱可塑性エラストマーが、(L)ポリウレタン系熱可塑性エラストマーである請求項13又は14に記載のタイヤ。
  16. (B)フイルム層が接着層1と接着する表面層に(L)ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含むと共に、変性又は未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体層を少なくとも一層含む多層フイルムからなる請求項1〜15のいずれかに記載のタイヤ。
  17. (A)インナーライナーを構成する(B)フイルム層の厚さが200μm以下、(C)ゴム層の厚さが200μm以上である請求項1〜16のいずれかに記載のタイヤ。
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