JP5557935B2 - 車両のシートベルト装置 - Google Patents
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例えば、軽微な衝突が予測される状況では、制御手段が一つのアクチュエータ要素のみを作動させることにより、比較的短時間の間ウェビングによる乗員拘束が行われる。また、大きな衝突が予測される状況では、制御手段が一つのアクチュエータ要素を作動させた後に、つづけて他のアクチュエータ要素を作動させることにより、ウェビングによる乗員拘束の継続時間が増加する。また、状況によっては、複数のアクチュエータ要素を同時に作動させることにより、ウェビングによる大きな乗員拘束力を得ることも可能になる。
アクチュエータ要素の瞬発的な回転駆動によって慣性質量体が作動すると、そのアクチュエータ要素の駆動力が低下した後にも、慣性質量体がその慣性作動をベルトリールに継続して伝達する。
また、請求項1に記載の発明によれば、複数のアクチュエータ要素を並列に配置したため、装置全体の軸長の短縮化を図ることができる。
最初に、図1〜図6に示す参考例について説明する。
図1は、参考例のシートベルト装置1の概略構成を車両とともに示した図であり、同図中2は、乗員mの着座するシートである。このシートベルト装置1は、リトラクタ3が図示しないセンターピラーに固定され、リトラクタ3から引き出されたウェビング4にタングプレート5が取り付けられるとともに、そのタングプレート5が車体フロア側のバックル6に対して脱着可能となっている。ウェビング4は、初期状態ではリトラクタ3に巻き取られており、乗員mが手で引き出し、タングプレート5をバックル6に固定することによって乗員mの主に胸部と腹部をシート2に対して拘束するようになる。
シートベルト装置1は、ウェビング4の引き出しと巻き取りを行うリトラクタ3に、ウェビング4の急激な引き出しを規制するロック機構7と、緊急時に、ウェビング4の引き込みを行うプリテンショナ8が設けられている。
(a)第1のアクチュエータユニット13Aの単独作動。
(b)第1のアクチュエータユニット13Aと第2のアクチュエータユニット13Bの連続作動(タイムラグを持たせて各ガス発生器20を作動させる)。
(c)第1のアクチュエータユニット13Aと第2のアクチュエータユニット13Bの同時作動。
同図に示すように、各アクチュエータユニット13A,13Bのアクチュエータ本体部16は、コントローラ15からの作動指令を受けて瞬時に反応ガスを発生するガス発生器20と、ハウジング23内に回転可能に設けられ、外周に複数の羽根部24aを有するロータ24と、ガス発生器20からロータ24の羽根部24aに向かう湾曲したガイド通路を形成する誘導パイプ25と、誘導パイプ25に充填された複数のスチールボール26とを備えている。このアクチュエータ本体部16は、誘導パイプ25内の複数のスチールボール26がガス発生器20で発生する反応ガスのガス圧を受けてロータ24の羽根部24aに向かって連続的に打ち出され、このときスチールボール26がロータ24を連続的に回転させる。
また、第2のアクチュエータユニット13Bのアクチュエータ本体部16は、図2,図3に示すように、ガス発生器20に分岐パイプ27を介してアキュムレータ28が接続され、アキュムレータ28の蓄圧機能によってガス圧供給の持続時間の延長が図られている。
ところで、内歯歯車31の連結軸31aはベルトリール11の回転軸P2に対して同軸に配置され、内歯歯車31は、フライホイール21の中空部21a内において、外歯歯車30に噛合されている。したがって、フライホイール21の回転軸P1は、ベルトリール11の回転軸P2に対して径方向にオフセットして配置されている。
遠心クラッチ22は、連結軸31aに設定角度の回動を許容した状態で連結され、複数の連結ピン40を進退可能に保持するピン保持ブロック41と、連結軸31aの先端部に取り付けられてピン保持ブロック41の連結ピン40の進退動作を制御する制御プレート42と、ベルトリール11に一体回転可能に連結されるとともに連結ピン40の嵌合孔43(図6参照)を有するピン受容ブロック44と、を備えている。
上記の(a)の作動が選択された場合には、図5に示すように、コントローラ15から第1のアクチュエータユニット13Aのガス発生器20に作動信号が出力され、そのガス発生器20が瞬時に高圧の反応ガスを発生してロータ24を瞬発的に回転させる。こうしてロータ24が回転すると、その回転は遠心クラッチ17を介してベルトリール11に伝達され、ベルトリール11をウェビング巻き取り方向に回転させる。
したがって、上記の(a)の作動が選択された場合には、比較的軽微な衝突に対応することが可能になる。
そして、この直後にスチールボール26の打ち込みの終了によって第2のアクチュエータユニット13Bのアクチュエータ本体部16が減速すると、ワンウェイクラッチ18の機能によって増速機構19からアクチュエータ本体部16が切り離され、フライホイール21がアクチュエータ本体部16の影響を受けずに回転を継続するようになる。これにより、アクチュエータ本体部16の減速後にも、フライホイール21の慣性エネルギーによってベルトリール11によるウェビング4の引き込みが継続される。
したがって、上記の(b)の作動が選択された場合には、大きな衝突時に乗員mの慣性エネルギーを充分な時間をもって効率良く吸収することが可能になる。
したがって、上記の(c)の作動が選択された場合には、緊急時に大きな力で急激に乗員mを拘束することが可能になる。
この実施形態は、上記の参考例と同様にコントローラによって選択的に作動制御される第1のアクチュエータユニット13Aと第2のアクチュエータユニット13Bを備えたものであるが、両アクチュエータユニット13A,13Bがベルトリール11の側部に並列に配置されている点が上記の参考例と異なっている。
この実施形態のシートベルト装置101は、上記の参考例とは両アクチュエータユニット13A,13Bの配置が異なるものの、ほぼ同様の効果を得ることができる。ただし、両アクチュエータユニット13A,13Bが並列に配置されているため、プリテンショナ8の軸長の短縮化を図ることができる。
また、第1のアクチュエータユニットと第2のアクチュエータユニットを設ける場合には、両アクチュエータユニットの出力を異ならせるようにしても良い。この場合には、第1のアクチュエータユニットの単独作動と、第2のアクチュエータユニットの単独作動と、両アクチュエータの同時作動によって出力の異なる3段階の作動を容易に得ることができる。
(A)請求項1または2に記載の車両のシートベルト装置において、前記複数のアクチュエータ要素のいずれか一つの駆動力を前記ベルトリールに伝達する際に、前記残余のアクチュエータ要素と前記ベルトリールの接続を切断状態に維持する断接手段(例えば、実施形態における遠心クラッチ17,117)を設けたことを特徴とする。
これにより、一つのアクチュエータ要素の駆動力がベルトリールに伝達されるときには、残余のアクチュエータ要素が停止、若しくは、減速状態であっても残余のアクチュエータ要素の影響を受けることがなくなる。
そして、この(A)に記載の発明によれば、複数のアクチュエータ要素のいずれか一つの駆動力をベルトリールに伝達する際に、残余のアクチュエータ要素とベルトリールの接続を断接手段によって切断することにより、残余のアクチュエータ要素による回転抵抗の増大を無くすことができるため、アクチュエータ要素の駆動力利用の効率化を図ることが可能になる。
これにより、各アクチュエータ要素を単独で作動させる場合と、両アクチュエータ要素を同時に作動させる場合で、出力の異なる3段階の作動を得ることが可能になる。
そして、この(B)に記載の発明によれば、二つのアクチュエータ要素の出力を異ならせたため、各アクチュエータ要素の作動の有無を組み合わせることによって出力の異なる3段階の作動を容易に得ることができる。
4…ウェビング
11…ベルトリール
13…アクチュエータ
13A…第1のアクチュエータユニット(アクチュエータ要素)
13B…第2のアクチュエータユニット(アクチュエータ要素)
16…ロータ
17,117…遠心クラッチ
20…ガス発生器(推力発生部)
21…フライホイール(慣性質量体)
50…第1のギヤ(出力ギヤ)
51…第2のギヤ(出力ギヤ)
53…入力ギヤ
54,55…伝達ギヤ
Claims (2)
- 乗員を拘束するウェビングが巻回されるベルトリールと、
緊急時に発生ガスによって瞬発的な回転駆動力を発生するアクチュエータを備え、
前記アクチュエータによる回転駆動力によって前記ベルトリールをウェビング引き込み方向に回転させる車両のシートベルト装置であって、
前記アクチュエータを、
反応ガスによる推力発生部を個別に備えた複数のアクチュエータ要素と、
この複数のアクチュエータ要素を選択的に作動制御する制御手段を備えた構成とし、
前記ベルトリールに、当該ベルトリールと一体回転する入力ギヤを設け、
前記入力ギヤの外周側に複数の出力ギヤを配置して、各出力ギヤを、伝達ギヤを介して前記入力ギヤに動力伝達可能に係合し、
前記複数のアクチュエータ要素を、前記複数の出力ギヤのそれぞれに対応させて相互に並列に配置するとともに、前記複数のアクチュエータ要素の出力を異ならせ、
前記アクチュータ要素の各ロータと、対応する前記出力ギヤとの間に、遠心クラッチを介装したことを特徴とする車両のシートベルト装置。 - 前記アクチュエータ要素のうちの少なくとも一つに、当該アクチュエータ要素による駆動力によって作動する慣性質量体を連結し、この慣性質量体の作動を前記ベルトリールに伝達することを特徴とする請求項1に記載の車両のシートベルト装置。
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