JP5557719B2 - 圧延制御方法 - Google Patents
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Description
例えば、板厚制御を行う場合には、ゲージメータ式といわれる式(0−1)が用いられる。この式から明らかなように、板厚hの精度は、圧下位置(ロールギャップ量)Sの設定に依存しており、圧下位置Sの精度は圧延荷重Pの予測精度に依存している。なお、圧延荷重Pは式(0−2)の関数で表すことができ、圧下位置Sの予測に必要な先進率f2は式(0−3)で関数で表現される。
例えば、特許文献1は、圧延材の変形抵抗及び該圧延材と圧延ロールとの間の摩擦係数を決定するに当り、圧延機入側及び出側における前記圧延材の板厚を夫々検出すると共に、これらの検出値から噛込み角を算出し、また前記圧延ロールの速度及び圧延機出側における前記圧延材の板速度を検出すると共に、これらの検出値から先進率及び中立角を算出し、更に圧延荷重を検出し、これらの検出値及び算出値と、前記圧延ロールのロール径及び前記圧延材の板幅とに基づいて、先後進域圧延荷重誤差及び全圧延荷重誤差を、まず、前記変形抵抗及び摩擦係数の適宜の仮定値を用いて算出した後、両誤差を共に0とするために必要な前記両仮定値の修正量を夫々算出し、次いで、この修正量に基づいて更新された仮定値を用いての前記両誤差及び修正量の算出を、この修正量の絶対値が所定値以下に収束するまで反復して、前記変形抵抗及び摩擦係数を決定することを特徴とする圧延パラメータの決定方法を開示する。
図9には、従来の解法を用いて算出された摩擦係数が示されている。この図から明らかなように、摩擦係数(逆算摩擦係数)が大きな値をとる場合には、その値にバラツキが生じ信頼性の低いものとなっている。このような現象は、高張力鋼である圧延材を圧延する際に顕著となり、摩擦係数が正確に求められない状況下、言い換えれば、現実を正確に反映した先進率モデルの構築がなされていない状況下においては、高張力鋼の圧延をモデル化した圧延モデル(セットアップモデル)の信頼性も低いものとなる。
本発明に係る圧延制御方法は、圧延実施時における先進率の状況を摩擦係数μを用いて表現した先進率モデルを用い、圧延の制御を行う圧延制御方法において、前記先進率モデルを「摩擦係数μ=」の形に変形することで分数形式とすると共に、この分数形式で表現された先進率モデルの分母に補正定数Cを導入し、前記補正定数Cが導入された次式に示す先進率モデルを用い、冷間圧延される圧延材の板厚及び/又は張力を制御するものであって、前記補正定数Cが、圧延荷重の実績値及び/又は先進率の実績値を基に求められたものであることを特徴とする。
図2に示すように、例えば、冷間圧延機1は複数の圧延スタンド2を備えたタンデム型であって、各圧延スタンド2は、上下一対の圧延ロール3と各圧延ロール3をバックアップするバックアップロール4を備える。圧延スタンド2の圧延ロール3は、圧下機構9によりそのギャップ量が変更可能となっている。圧延スタンド2には、圧延荷重を測定する荷重計5が備えられ、出側には圧延材Wの板厚を検出する板厚計6や圧延材Wの速度を計測する板速計7が設けられる構成を有する。
本発明は、この圧延モデル内に存在する先進率モデルの構築方法に関するものであり、本発明の先進率モデルを用いることで、摩擦係数や先進率を正確に予測することができるようになる。
[第1実施形態]
図2は、圧延スタンド2で圧延材Wを圧延する際における、圧延ロール3と圧延材Wとの接触部分を拡大した図である。この図を基に圧延の状況を考える。
このように、後進域の摩擦係数(入側摩擦係数)をμ1と先進域の摩擦係数(出側摩擦係数)をμ2とが異なるという考えは、図3に示す結果から得られる知見である。
まず、塑性域出側での先進率f2を検証してみた。その結果を[数5]に示す。
式(1−6)から明らかなように、μ表現の先進率モデルにおいては、式中の分母に補正定数C(この場合は補正関数C)が導入されているため、分母が「0」又は「0に近い微小値」となることを防げ、式(1−6)で算出される逆算摩擦係数が大きな値でばらついたりすることなく、その値は非常に信頼性の高いものとなる。ひいては、式(1−6)で表現されるμ表現の先進率モデルは、現実の圧延状況を正確に反映し、非常に信頼性の
高いものとなる。
[第2実施形態]
前述した第1実施形態では、圧延時において、入側摩擦係数μ1と出側摩擦係数μ2とが異なる値をとるとして、摩擦係数の表現式に補正定数Cを導入した摩擦係数モデルを述べた。さらに第1実施形態では、μ=(μ1+μ2)/2と仮定することで、補正定数Cを理論的に求めた。
まず、本実施形態では、第1実施形態で得られた知見を基に、μ表現の先進率モデル、中立点位置を式(2−1)〜式(2−3)のように仮定する。
以上述べた式(2−1)〜式(2−6)を用いて、圧延で得られる実績値と予測値とが一致するように、最小二乗法などを利用してa1〜a8及び補正定数Cの9つのパラメータ
を決定するとよい。
この図からも明らかなように、本実施形態の先進率モデルを用いた場合、摩擦係数(逆算摩擦係数)が大きな値でばらついたりすることなく、その値は非常に信頼性の高いものとなっている。
[第3実施形態]
第3実施形態は、第2実施形態とほぼ同じ手法で、先進率モデルの補正定数などを求めるものであるが、使用する先進率モデルが異なる点に特徴がある。
以上のことより、第3実施形態の先進率モデル(補正定数B,Cあり)を用いることで、摩擦係数は良好な状態(出側板速度と摩擦係数との相関性が良好な状態)を保ったまま、変形抵抗の逆算精度を向上させることが可能となる。
本実施形態では、第2実施形態において規定した補正定数Cが導入されたμ表現の先進率モデル(式(2−1)〜式(2−3))と、べき乗の形式で規定された摩擦係数モデル(式(2−4))と、変形抵抗モデル(式(2−5))と、圧延荷重モデル(式(2−6))を有する圧延モデルを考える。
圧延モデルの逐次学習、詳しくは、摩擦係数モデル及び変形抵抗モデルの逐次学習の具体的な手法は当業者定法のものが採用可能であり、この逐次学習において、過去どれくらいの実績値を学習に反映させるかは、適用する圧延機の状態や圧延材Wの特性により適宜変更可能であるが、過去1〜10個分の実績値を反映させることが好ましい。
このように逐次学習を行うことで、摩擦係数や変形抵抗を正確に且つ信頼性の高いものとして求めることができ、圧延モデル自体の信頼性アップとなる。
例えば、発明を実施するための形態において、複数の圧延スタンド2を備えた冷間タンデム圧延機を例示したが、本願発明は、単一の圧延スタンド2からなる冷間圧延機1にも採用可能である。
2 圧延スタンド
3 圧延ロール
4 バックアップロール
5 荷重計
6 板厚計
7 板速計
8 制御装置
9 圧下機構
W 圧延材
Claims (4)
- 圧延実施時における先進率の状況を摩擦係数μを用いて表現した先進率モデルを用い、圧延の制御を行う圧延制御方法において、
前記先進率モデルを「摩擦係数μ=」の形に変形することで分数形式とすると共に、この分数形式で表現された先進率モデルの分母に補正定数Cを導入し、
前記補正定数Cが導入された次式に示す先進率モデルを用い、冷間圧延される圧延材の板厚及び/又は張力を制御するものであって、
前記補正定数Cが、圧延荷重の実績値及び/又は先進率の実績値を基に求められたものである
ことを特徴とする圧延制御方法。
- 圧延実施時における先進率の状況を摩擦係数μを用いて表現した先進率モデルを用い、圧延の制御を行う圧延制御方法において、
前記先進率モデルを「摩擦係数μ=」の形に変形することで分数形式とすると共に、この分数形式で表現された先進率モデルの分子に補正定数Bを導入し、
前記補正定数Bが導入された次式に示す先進率モデルを用い、冷間圧延される圧延材の板厚及び/又は張力を制御するものであって、
前記補正定数Bが、圧延荷重の実績値及び/又は先進率の実績値を基に求められたものである
ことを特徴とする圧延制御方法。
- 圧延実施時における先進率の状況を摩擦係数μを用いて表現した先進率モデルを用い、圧延の制御を行う圧延制御方法において、
前記先進率モデルを「摩擦係数μ=」の形に変形することで分数形式とすると共に、この分数形式で表現された先進率モデルの分子に補正定数Bを導入し且つ分母に補正定数Cを導入し、
前記補正定数B及び補正定数Cが導入された先進率モデルを用い、冷間圧延される圧延材の板厚及び/又は張力を制御するものであって、
前記補正定数B及び補正定数Cが、圧延荷重の実績値及び/又は先進率の実績値を基に求められたものである
ことを特徴とする圧延制御方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載されている先進率モデルと、摩擦係数モデルと、変形抵抗モデルと、圧延荷重モデルを有する圧延モデルを用い、圧延の制御を行う圧延制御方法であって、
前記摩擦係数モデルと変形抵抗モデルとに対して、圧延実績値を基にした逐次学習を行いつつ、冷間圧延される圧延材の板厚及び/又は張力を制御することを特徴とする圧延制御方法。
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JP2010273655A JP5557719B2 (ja) | 2010-12-08 | 2010-12-08 | 圧延制御方法 |
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