JP6402760B2 - 圧延機における形状制御方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧延機における形状制御方法および装置に関するものである。
今日、冷間圧延機では、圧延スタンド出側に形状検出器を設置し、鋼板幅方向の伸び率分布(形状)を連続測定し、この測定値をもとに所定の演算処理を行い、演算結果と予め与えられる形状に関する目標値とから、ロールベンダー制御、圧下レベリング制御、およびロールシフト制御に代表される、形状制御用のアクチュエータ(以下、形状制御アクチュエータとも呼ぶ)を操作するフィードバック制御(以下、形状フィードバック制御または単にフィードバック制御とも呼ぶ)が行われている。また、前記各アクチュエータが鋼板形状に与える影響の度合を、形状影響係数(以下、略して影響係数とも記載)と呼ぶ。この形状影響係数は、鋼板の鋼種や板幅・板厚によって異なる。このため、一般に、溶接点通過タイミングで鋼板の条件に応じた形状影響係数を変化させる、プリセット方式が採られている。
通常、前記形状フィードバック制御においては、形状影響係数に基づいて制御ゲインが設定される。ところが、形状影響係数は、例えば、作業ロールのクラウンや圧延荷重によっても変化するものであるから、前述した形状影響係数のプリセット値に基づく方式では、形状影響係数の変化を勘案してゲイン設定を安全サイドにせざるをえないという問題点がある。すなわち、形状影響係数が想定される範囲内で変化したとしても、制御系の不安定化(ベンダー動作ハンチングなど)を招かない程度に制御ゲインを下げ、形状制御系の過渡応答特性(速応性)をある程度犠牲にせざるをえないという問題点である。
このような問題点に対して、例えば、特許文献1では、各アクチュエータ操作量に対する形状変化の割合をオンラインで同定しながら、これを用いて検出形状と目標形状の偏差の2乗面積を最小化するアクチュエータ操作量を演算する方法が開示されている。また、特許文献2では、アクチュエータ操作量と、同操作量のもとでの鋼板形状の検出値とに基づき、形状影響係数を学習計算する方法が開示されている。
そして、特許文献3では、アクチュエータ操作量実績と、形状変化量実績とから、各アクチュエータの形状影響係数を演算し、前記実績値測定時における圧延データと予め設定された形状影響係数モデルとから形状影響係数モデル計算値を算出し、両者の差異に基づき形状影響係数モデルを修正する方法が開示されている。
さらに、特許文献4では、アクチュエータの動作前後の実績形状変化と、予め設定された予測形状変化との合致度に基づいて、オンラインデータにより形状影響係数を適応的に修正する量(以下、適応修正量と称する)を変更する方法が開示されている。
特開昭61−78506号公報 特開昭63−256208号公報 特開平1−210109号公報 特開平9−174128号公報
前述した特許文献1 〜3に開示されている方法では、圧延中、すなわち、形状フィードバック制御中の形状影響係数が精度よく同定できることを前提としている。しかしながら、制御系が一旦外乱を受けると、その影響がフィードバックされて操作量に影響を与えるフィードバック制御においては、制御対象の同定が困難であることは一般に知られており、この課題を解決する必要があった。
特許文献4では、この課題に対して、実績形状変化と予め算出した予測形状変化との合致度に基づいて適応修正量の変更(すなわち、同定精度の評価)を行っている。ところが、このような方法では、予め算出した予測形状変化(予測形状影響係数)の予測精度によって同定結果の評価が変化するという問題点がある。いいかえれば、形状影響係数の同定結果自体は良好であるにもかかわらず、予め算出した予測形状変化が外れていたために適応修正量が小さくなる場合があるという問題点である。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、フィードバック制御中の形状影響係数を精度よく同定し、かつ、その同定精度を定量的に評価することにより、形状制御装置の制御ゲインの最適化が可能となり、形状制御の応答性を高めることができる、圧延機における形状制御方法および装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の発明によって解決できる。
[1] 圧延スタンド出側での圧延材の幅方向伸び率分布を検出し、この検出値と予め設定される目標伸び率分布とから形状制御アクチュエータを操作する、圧延機における形状制御方法において、
前記検出値と前記アクチュエータの操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化の相関係数が最小となるむだ時間を同定し、同定したむだ時間に基づいて形状影響係数を同定し、同定した形状影響係数に基づいて制御ゲインを変更することを特徴とする圧延機における形状制御方法。
[2] 圧延スタンド出側で形状検出器により圧延材の幅方向伸び率分布を検出し、この検出値と予め設定される目標伸び率分布とから形状制御アクチュエータを操作する、圧延機における形状制御装置において、
前記検出値と前記アクチュエータの操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化の相関係数が最小となるむだ時間を同定し、同定したむだ時間に基づいて形状影響係数を同定し、同定した形状影響係数に基づいて制御ゲインを変更する形状影響係数同定装置を具備することを特徴とする圧延機における形状制御装置。
[3]圧延スタンド出側での圧延材の幅方向伸び率分布を検出し、この検出値と予め設定される目標伸び率分布とから形状制御アクチュエータを操作する、圧延機における形状制御方法において、
前記検出値と前記アクチュエータの操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化の相関係数が最小となるむだ時間を同定し、同定したむだ時間に基づいて形状影響係数を同定し、
同定した形状影響係数に対して、前記相関係数、前記アクチュエータ動作量、前記伸び率分布変化、および前記同定したむだ時間のいずれかまたはそれらの組合せのそれぞれに閾値を設けるフィルタ処理を行い、該フィルタ処理によって得た形状影響係数を蓄積し、蓄積した形状影響係数のヒストグラムにおける所定の統計値からの形状影響係数に基づいて制御ゲインを変更することを特徴とする圧延機における形状制御方法。
[4]圧延スタンド出側で形状検出器により圧延材の幅方向伸び率分布を検出し、この検出値と予め設定される目標伸び率分布とから形状制御アクチュエータを操作する、圧延機における形状制御装置において、
前記検出値と前記アクチュエータの操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化の相関係数が最小となるむだ時間を同定し、同定したむだ時間に基づいて形状影響係数を同定し、
同定した形状影響係数に対して、前記相関係数、前記アクチュエータ動作量、前記伸び率分布変化、および前記同定したむだ時間のいずれかまたはそれらの組合せのそれぞれに閾値を設けるフィルタ処理を行い、該フィルタ処理によって得た形状影響係数を蓄積し、蓄積した形状影響係数のヒストグラムにおける所定の統計値からの形状影響係数に基づいて制御ゲインを変更する形状影響係数同定装置を具備することを特徴とする圧延機における形状制御装置。
[5] 上記[1]または[3]に記載の圧延機における形状制御方法を用いて、鋼板を製造することを特徴とする鋼板の製造方法。
本発明によれば、圧延スタンド出側での圧延材の幅方向伸び率分布の変化量と形状制御アクチュエータ操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化のむだ時間および形状影響係数を同定し、前記相関に基づいて形状影響係数の同定結果の信頼性を判定するようにしたので、外乱の影響による同定不良を排除しつつ、信頼性が高い同定結果のみを形状影響係数値として得ることが出来るようになった。これにより、形状制御装置の制御ゲインの最適化が可能となり、形状制御の応答性を高めることができる。
また、本発明における信頼性の判定方法は、同定に用いたデータのみを用いるものであるから、予め予測した形状影響係数と同定結果との差異から信頼性を判定する方法において問題となる、予測精度によって同定精度が影響されるという課題を本質的に解決できるという効果もある。
さらに、本発明では、形状影響係数の同定結果を蓄積した分布に基づいて統計的な見地から形状影響係数を求めることにより、例えば、通板時の蛇行、原板材質や形状のバラツキといった外乱要素の影響を極力排除した形状影響係数の同定が可能となるという効果もある。
本発明に係る装置構成例を示す図である。 本発明の処理手順例を示す図である。 むだ時間の同定について説明する図である。 むだ時間による入力と出力の相互相関係数の一例を示す図である。 むだ時間と相関係数の関係例を示す図である。 本発明に係る形状制御を示すブロック図である。 フィルタ処理して得た影響係数の一例を示す図である。 同定したむだ時間を考慮したベンダー実績と形状2次成分の関係を示す散布図である。 形状影響係数ヒストグラム(その1)を示す図である。 形状影響係数ヒストグラム(その2)を示す図である。
図1は、本発明に係る装置構成例を示す図である。図1中、1は鋼板、2は圧延スタンド、3は形状検出器、4は形状制御装置、5は形状制御アクチュエータ、および6は形状影響係数同定装置を、それぞれ表す。
鋼板1を圧延する圧延スタンド2の出側で、形状検出器3により、鋼板1の幅方向伸び率分布(形状)を連続測定する。形状検出器3による測定値と、予め与えられた目標形状と、後述する形状影響係数とから、形状制御装置4において形状制御アクチュエータ5への制御出力を決定する。
形状検出器3による測定値と、形状制御装置4の制御出力とから、形状影響係数の同定を実行する形状影響係数同定装置6を有している。
本発明における形状制御は、形状制御アクチュエータ5の操作量を、形状制御装置4により決定された制御出力に基づいて変更することによって実行する。また、形状影響係数同定装置6によって同定される形状影響係数を、形状制御装置4の演算処理に反映することで、形状制御装置4により決定される制御出力が変化する。
形状影響係数をオンラインで計算するには、圧延作業中のフィードバックループでの閉ループ同定が必要であり、プロセス内のむだ時間を考慮することで閉ループのままで制御対象(影響係数)のみを抽出できると推定して、本発明に想到したものである。
図2は、本発明の処理手順例を示す図である。以下、むだ時間および形状影響係数の同定方法(Step01)から具体的に説明を進める。
形状検出値をもとに鋼板形状を定量的に表現する方法として、以下の(1)式に示す正規直交関数を基底とするN次の直交展開による方法を採る。
そして、アクチュエータ操作による形状成分への形状影響係数は、以下の(2)式のように表現される。
以下、説明の簡単のためにロールベンダー操作に対する形状2次成分への形状影響係数を同定する例について述べる。なお、本発明で形状影響係数を同定するアクチュエータは複数でもかまわない。また、形状表現方法についても、正規直交展開に限るものではなく、例えば、ニューラルネットワークモデルに基づく表現方法を用いてもよい。
ここでは、アクチュエータ操作量uおよび係数A の時系列データu(t)およびA(t)(t:時刻)のみから、むだ時間hおよび形状影響係数を同定する。(2)式で示される、アクチュエータ操作した時の形状成分への形状影響係数は、uとAの散布図における傾きに相当する。ただし、実際にはアクチュエータを動作させてから形状検出値が変化するまでにはむだ時間hが存在するため、u(t)とA(t+h)を比較する必要がある。
具体的には、ベンダー力を上げてロールクラウンをより増大させたとき、それが形状変化として表れるまでには、少なくとも張力分布の変化が整定して形状検出器に検出されるまでにかかる時間分だけの遅れが生じることになる。
一方、形状フィードバック制御系では、形状検出値に相当するAに基づいて(制御装置のアルゴリズムに従って)形状検出を行った時刻以降のアクチュエータの操作量uを決定することになる。このため、フィードバックループのある場合、(フィードバックループのない場合には表れない)制御装置の特性がuとAに表れることに注意しなければならない。
言い換えれば、フィードバックループのない場合には、uとAの関係はベンダー力uを上げることによる形状成分A変化のみであると考えられるが、フィードバックループのある場合には、それに加えて形状成分A変化によるベンダー力u操作(フィードバック制御)による影響も含めて考える必要がある。
そこで、プロセス内のむだ時間を考慮することで、閉ループ(フィードバックループのある場合)のままで制御対象(影響係数)のみを抽出できると推定した。図3は、むだ時間の同定について説明する図である。
図3(a)は、入力u(ベンダー動作)と出力y(形状変化)の時系列生データを模式的に示したものである。出力y(形状変化)から入力u(ベンダー動作)へは、L1のむだ時間を経て伝わり、入力u(ベンダー動作)から出力y(形状変化) へは、L2のむだ時間を経て伝わり、これを繰り返す様子をそれぞれ示している。
そして、図3(b)または図3(c)は、それぞれ、入力uをL2だけ位相を遅らせる、入力uをL1だけ進めるようにしたものである。これにより、それぞれ、入力uと出力yとの間に負の相関:制御対象側の特性、入力uと出力yとの間に正の相関:制御装置側の特性が得られる。図4は、むだ時間による入力と出力の相互相関係数の一例を示す図である。上述したように、L2:0.16秒の遅れで負の相関、L1:1.0秒の進みで正の相関があることが確認できる。
図5は、むだ時間と相関係数の関係例を示す図である。これは、uとAの負の相関を確かめるべく、時系列データをもとに、むだ時間を変化させて計算した結果の一例を示している。図5から、高々1秒の間でむだ時間をどのように取るかによって、相関係数が大きく異なる結果が得られることが見て取れる。これは、むだ時間の取り方によっては、前述の形状成分A変化によるベンダー力u操作(フィードバック制御)の影響が大きくなることによるものである。
特に、相関係数が著しく低い場合(これは妥当なむだ時間を仮定出来ていないことに相当する)、ロールベンダーを操作しても、形状2次成分はほとんど無相関に変化するという結果を意味することになり、このような場合、妥当な形状影響係数は計算できない。
すなわち、図5は、従来は必ずしも重要視されていなかった、むだ時間の正確な同定が形状影響係数を精度よく同定するためには欠かせないものであり、さらに、ミリ秒オーダーの精度でむだ時間を同定することが必要であることを示唆している。
上記のような課題を考慮に入れた本発明では、まず、図5に相当する、むだ時間によるuおよびAの相関の変化を導出し、相関係数が最小となるむだ時間がアクチュエータ動作から形状成分変化に要するむだ時間hであるとする。そして、u(t)とA(t+h)の散布図の傾きを形状影響係数として求めることになる(上述の(2)式に対応)。なお、本発明では、上記のように求めた相関関係の数値(相関係数)をもとに同定結果の信頼性を判定することができるため、例えば、板の蛇行等により同定精度が悪化した場合でも、形状フィードバック制御システムに悪影響を与えないという効果もある。
本発明で相関の悪い場合、すなわち、形状がベンダーと無相関に決まってしまっている場合には、(むだ時間の同定は可能であるかもしれないものの)形状影響係数の同定結果は信頼できないものと考える。上記「同定結果の信頼性を判定する」という具体的な判定の方法としては、例えば、相関係数のピーク値が-0.7を上回る場合、同定結果を採用しない(前回採用した形状影響係数を保持する)、といった単純なロジックとする。
単に相関係数が最小となるむだ時間を同定し、それに基づいて形状影響係数を連続的に求める方法では、形状がベンダーと無相関に決まっている場合、妥当でない形状影響係数を同定してしまうことになり、これを制御に用いると、制御系に不要な外乱要素を加えることになる。
一方、本発明における同定結果の信頼性を判定する方法では、相関係数の大小により、定量的に“学習に用いて良い値か”の判定を行うため、(形状がベンダーと無相関に決まっている場合の)妥当でない形状影響係数同定結果を無視することができるので、そのような懸念がないという特徴がある。
上述のように、形状影響係数が同定されれば、次に、同定された形状影響係数に基づいて、形状制御装置の制御ゲインが変更される(図2のStep02)。図6は、本発明に係る形状制御を示すブロック図である。
図6のように、制御装置に形状影響係数の逆数を制御ゲインとして組み込めば、圧延対象材料の特性によらない制御が可能となるから、結果的に(例えばPI制御の)制御ゲインをあげても制御系の不安定化が起こりにくくなり、応答性に優れる形状制御系の構築が可能となる。
そして、Step03にて、形状制御アクチュエータの制御出力が決定され(=(形状偏差)÷(形状影響係数)×(制御ゲイン))、最終的にアクチュエータの操作量を調整して形状制御が実行される。さらに、本発明では、制御対象のむだ時間特性も同時に同定するものであるから、これを制御装置に反映した制御系の構築も可能であり、例えばスミス補償に代表されるむだ時間を考慮した制御系を構築することで、さらなる制御特性の向上が期待できる。
以上、本発明は、圧延スタンド出側での圧延材の幅方向伸び率分布の変化量と形状制御アクチュエータ操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化のむだ時間および形状影響係数を同定し、前記相関に基づいて形状影響係数の同定結果の信頼性を判定するようにしたので、信頼性が高い同定結果のみを形状影響係数値として得ることが出来るようになった。これにより、形状制御装置の制御ゲインの最適化が可能となり、形状制御の応答性を高めることができる。
なお、本発明では、通板時の蛇行、原板材質や形状のバラツキといった外乱要素の影響を極力排除したより信頼性が高い形状影響係数を得るために、形状影響係数の同定結果に対して、以下に示す種々の変数に対してフィルタ処理を行っている。
フィルタ処理を行う変数
(1)同定したデータの相関があるかを判断するための相関係数
(2)ベンダー動作が十分かを判断するためのベンダー圧力
(3)形状変化(伸び率分布変化)が十分かを判断するための形状2次成分
(4)物理的に妥当なむだ時間かを判断するためのベンダーむだ時間
図7は、フィルタ処理して得た影響係数の一例を示す図である。横軸に60分にわたる時間推移をとり、上図に圧延速度を下図に影響係数をそれぞれ示している。
コイル4本(コイル1〜4)に対して、7秒ごとにデータを蓄積して以下に示す具体的なフィルタ処理を行って、黒抜き○で示す信頼できる影響係数(数回/コイル)を抽出した。
(11)相関係数 > 0.7
(21)1kgf/cm2 < ベンダー圧力標準偏差 < 5kgf/cm2
(31)1×10-5< 形状2次成分標準偏差 < 5×10-5
(41)圧延速度によるむだ時間計算値-0.2sec < むだ時間同定値 < 圧延速度によるむだ時間計算値+0.2sec
図7の下図にみるように、フィルタ処理前の影響係数(実線で示す)は大きくばらついているものの、上記フィルタ処理を行って外乱の影響を除去したため、黒抜き○で示す影響係数のばらつきは大幅に低減しコイルあたり数個の影響係数が安定して得られている。さらに、事前の実験値(-0.63)と比較しても大きく乖離しておらず値の確からしさも見て取れる。
このように、フィルタ処理を行うことによって、原板材質や形状のバラツキといった外乱要素の影響を極力排除したより信頼性が高い形状影響係数を得ることが可能となる。なお、ここでは、上記(11)、(21)、(31)、および(41)のような具体的な閾値を用いた例を示したが、対象によりこれらの閾値は適宜変更して与えるようにすればよい。さらに、フィルタ処理を行う変数についても、上記(1)、(2)、(3)、および(4)の全てでかならずしも行う必要はなく、これらのいずれかまたはこれらの組合せを適宜選択するようにすればよい。
形状フィードバック制御中のデータに対して同定を行った結果を、以下に示す。図8は、同定したむだ時間を考慮したベンダー実績と形状2次成分の関係を示す散布図である。なお、むだ時間h=0.78、このときの相関係数は−0.82であり、形状影響係数は図8の回帰直線の傾きから、−9.3×10−7と計算された。
本発明で得られた形状影響係数の−9.3×10−7という値の精度確認を行なうべく、実験値(前記鋼板に対して形状フィードバック制御を行わず、開ループの状態でロールベンダーをステップ動作させて実験的に形状影響係数を得たもの)との比較を行なった。その結果、実験値は−9.5×10−7であり、本発明で得られた値との相対誤差は2.1%と小さく、良好な結果を確認することができた。
なお、本実施例では鋼板を例にとり説明したが、本発明を適用する金属板は、鋼板に限られたものではなく、銅、アルミニウムなどの金属でもかまわない。また、本発明を適用する圧延設備は、4段圧延機に限られたものではなく、冷間圧延機に限られたものではない。さらに、本発明は形状フィードバック制御を行っていない場合にも効果的に形状影響係数を同定する方法を与えるものである。また、本実施例では、形状影響係数を定数としてモデル化した場合を例にとり説明したが、その他、例えば一次遅れとしてモデル化しても良い。
図9および図10は、形状影響係数ヒストグラム(その1)および(その2)を示す図である。3ヶ月間にわたり板幅800〜1000mmの鋼板に対して、前述したフィルタ処理を行い蓄積した形状影響係数のヒストグラムを表している。なお、図9は、板厚0.15〜0.20mm、図10は、板厚0.20〜0.25mmの鋼板を対象にしている。
形状影響係数のヒストグラムの統計値(計算値)として最頻値をとり、それぞれ−0.73および−0.60cm2kgf-1 ×10-5を得ている。なお、ヒストグラムの形状によっては、統計値として最頻値以外のもの、例えば、中央値などを用いるようにしても良い。
表1は、実験値テーブルとしてこれまで用いていた形状影響係数(cm2kgf-1 ×10-5)の値を示す。
板幅800〜1000mm、板厚0.20〜0.25mmの鋼板には、−0.63cm2kgf-1 ×10-5を用いてきた。
図9および図10で示す本発明では、表2のようにテーブルを更新し、板厚の違いによる最適な形状影響係数(cm2kgf-1 ×10-5)の値を与えることができた。
なお、括弧内の値は、表1で示したこれまで用いていた値との相対誤差(例えば、絶対値(‐0.60‐(‐0.63))/ (‐0.63)×100) =4.8%)を示している。本発明で得られた形状影響係数は飛びぬけて異なった形状影響係数の変動は見られず、これまで用いていた値との傾向の一致を確認できた。現状、表2のテーブル値を用いて実機運用しており、良好な形状制御結果を得ている。
1 鋼板
2 圧延スタンド
3 形状検出器
4 形状制御装置
5 形状制御アクチュエータ
6 形状影響係数同定装置

Claims (5)

  1. 圧延スタンド出側での圧延材の幅方向伸び率分布を検出し、この検出値と予め設定される目標伸び率分布とから形状制御アクチュエータを操作する、圧延機における形状制御方法において、
    前記検出値と前記アクチュエータの操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化の相関係数が最小となるむだ時間を同定し、同定したむだ時間に基づいて形状影響係数を同定し、
    同定した形状影響係数に対して、前記相関係数、前記アクチュエータ動作量、前記伸び率分布変化、および前記同定したむだ時間のいずれかまたはそれらの組合せのそれぞれに閾値を設けるフィルタ処理を行い、フィルタ処理して得た形状影響係数に基づいて制御ゲインを変更することを特徴とする圧延機における形状制御方法。
  2. 圧延スタンド出側で形状検出器により圧延材の幅方向伸び率分布を検出し、この検出値と予め設定される目標伸び率分布とから形状制御アクチュエータを操作する、圧延機における形状制御装置において、
    前記検出値と前記アクチュエータの操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化の相関係数が最小となるむだ時間を同定し、同定したむだ時間に基づいて形状影響係数を同定し、同定した形状影響係数に対して、前記相関係数、前記アクチュエータ動作量、前記伸び率分布変化、および前記同定したむだ時間のいずれかまたはそれらの組合せのそれぞれに閾値を設けるフィルタ処理を行い、フィルタ処理して得た形状影響係数に基づいて制御ゲインを変更する形状影響係数同定装置を具備することを特徴とする圧延機における形状制御装置。
  3. 圧延スタンド出側での圧延材の幅方向伸び率分布を検出し、この検出値と予め設定される目標伸び率分布とから形状制御アクチュエータを操作する、圧延機における形状制御方法において、
    前記検出値と前記アクチュエータの操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化の相関係数が最小となるむだ時間を同定し、同定したむだ時間に基づいて形状影響係数を同定し、
    同定した形状影響係数に対して、前記相関係数、前記アクチュエータ動作量、前記伸び率分布変化、および前記同定したむだ時間のいずれかまたはそれらの組合せのそれぞれに閾値を設けるフィルタ処理を行い、該フィルタ処理によって得た形状影響係数を蓄積し、蓄積した形状影響係数のヒストグラムにおける所定の統計値からの形状影響係数に基づいて制御ゲインを変更することを特徴とする圧延機における形状制御方法。
  4. 圧延スタンド出側で形状検出器により圧延材の幅方向伸び率分布を検出し、この検出値と予め設定される目標伸び率分布とから形状制御アクチュエータを操作する、圧延機における形状制御装置において、
    前記検出値と前記アクチュエータの操作量との相関に基づいて、前記アクチュエータ動作に対する伸び率分布変化の相関係数が最小となるむだ時間を同定し、同定したむだ時間に基づいて形状影響係数を同定し、
    同定した形状影響係数に対して、前記相関係数、前記アクチュエータ動作量、前記伸び率分布変化、および前記同定したむだ時間のいずれかまたはそれらの組合せのそれぞれに閾値を設けるフィルタ処理を行い、該フィルタ処理によって得た形状影響係数を蓄積し、蓄積した形状影響係数のヒストグラムにおける所定の統計値からの形状影響係数に基づいて制御ゲインを変更する形状影響係数同定装置を具備することを特徴とする圧延機における形状制御装置。
  5. 請求項1または3に記載の圧延機における形状制御方法を用いて、鋼板を製造することを特徴とする鋼板の製造方法。
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