JP4565246B1 - 板厚制御方法及び板厚制御状態判定装置 - Google Patents

板厚制御方法及び板厚制御状態判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】BISRA−AGCにおいて、制御の安定性を確保しながら、制御性能を高くする板厚制御方法の提供。
【解決手段】板を目標の板厚に圧延する圧延機において、制御に使用する圧延機の剛性(Kc)、時間(t)、基準状態からの圧延加重の偏差(ΔP(t))、圧延機の圧下位置の偏差(ΔS(t))、推定板厚偏差(Δhe(t))の値の関係から制御の状態が安定しているかどうか判定105し、制御の状態が安定していないと判定したときに、式(1)のG(定数)を小さくすること及びアラームを発生させること107の少なくとも一方を実施する。

Description

本発明は、板を所望の板厚に圧延する圧延機において、基準状態からの圧延荷重の偏差及び圧延機のロールの圧下位置の偏差に基づいて、推定板厚偏差を求めて板厚の制御を行なう、いわゆるBISRA方式の板厚制御方法及び該制御方法に使用される板厚制御状態判定装置に関するものである。
BISRA方式の板厚制御システムは、金属の圧延の分野で広く使用されており、BISRA−AGC(Automatic Gauge Control)システムとも呼称される(たとえば、特許文献1)。BISRA−AGCについては後で詳細に説明する。BISRA−AGCが広く使用されている理由は、圧延中の圧延荷重及び圧延機のロールの圧下位置の情報を使用して、圧延中の推定板厚偏差を迅速に得ることができるからである。一方、このようにして得られた推定板厚偏差に基づいて板厚を制御するために、圧延機のロールの圧下位置が操作される。したがって、BISRA−AGCにおいては、圧下位置を含むフィードバックループが形成される。一般的に、フィードバックループにおいて、制御の安定性と制御の性能は、一方を優先させると他方が犠牲とされる、いわゆる、トレードオフの関係にある。BISRA−AGCを使用した圧延機において、制御が不安定となると大規模な圧延不良が発生する可能性が高い。そこで、従来、BISRA−AGCを使用した圧延機においては、制御の性能をある程度犠牲にして制御の安定性を優先させている。換言すれば、制御の安定性を確保するために、BISRA−AGCの制御性能が十分に発揮されていない。
このように、従来、BISRA−AGCを使用した圧延機において、制御の安定性を確保しながら、制御性能を高くする板厚制御方法は開発されていなかった。
特開2001−179317号公報
そこで、BISRA−AGCにおいて、制御の安定性を確保しながら、制御性能を高くする板厚制御方法に対するニーズがある。
本発明による板厚制御方法は、板を目標の板厚に圧延する圧延機において、制御に使用する圧延機の剛性、時間、基準状態からの圧延加重の偏差、圧延機の圧下位置の偏差、推定板厚偏差を、それぞれ、
Figure 0004565246
とし、Gは、
Figure 0004565246
を満たす定数であるとして、式
Figure 0004565246
によって推定板厚偏差を求めて、板厚を制御する。本方法において、制御中に
Figure 0004565246
の値及び
Figure 0004565246
の値の関係から制御の状態が安定しているかどうか判定し、制御の状態が安定していないと判定したときに、式(1)のGを小さくすること及びアラームを発生させることの少なくとも一方を実施する。
本発明による方法によれば、制御中に
Figure 0004565246
の値及び
Figure 0004565246
の値の関係から制御の状態が安定しているかどうか判定することができる。したがって、BISRA−AGCにおいて、制御の状態が安定していると判定される状態で、式(1)のGを1または1に近い値で推定板厚偏差を求め、板厚制御残差を最小とすることができる。換言すれば、BISRA−AGCにおいて、制御状態が不安定となる場合を考慮して、式(1)のGを低めの固定値に設定する必要がない。
本発明の実施形態によれば、βは、
Figure 0004565246
を満たす定数であるとして、式
Figure 0004565246
が成立したときに、制御の状態が安定していないと判定する。
本実施形態による方法によれば、式(2)を使用することにより、制御の状態が安定しているかどうかを容易に判定することができる。
本発明の実施形態によれば、制御の状態が安定していないと判定した場合に、γは、
0<γ<1
を満たす定数であるとして、
Figure 0004565246
として式(1)によって推定板厚偏差を求めて、板厚を制御する。
本実施形態による方法によれば、制御状態が安定していないと判定した場合に、γによって、式(1)右辺第2項の大きさ(絶対値)を過小評価することで制御の安定性が改善される。
本発明の実施形態によれば、式(2)による判定を繰り返し行ない、制御の状態が安定していないと判定した場合に、δは
0<δ<1
を満たす定数であるとして、
Figure 0004565246
として、制御の状態が安定していないと判定された状態の持続する時間の経過とともにGが減少するようにして式(1)によって推定板厚偏差を求めて、板厚を制御する。
本実施形態による方法によれば、制御の状態が安定していないと判定された状態の持続する時間の経過とともにGが減少するので、制御の安定性が時間の経過とともに悪化する場合にも対応することができる。他方、板厚制御残差を急激に増加させることがない。
本発明による制御状態判定装置は、板を目標の板厚に圧延する圧延機において、圧延機の剛性、時間、基準状態からの圧延加重の偏差、圧延機の圧下位置の偏差、推定板厚偏差を、それぞれ、
Figure 0004565246
とし、Gは、
Figure 0004565246
を満たす定数であるとして、式
Figure 0004565246
によって推定板厚偏差を求めて、板厚を制御する板厚制御システムにおいて使用される。本発明による制御状態判定装置は、基準状態からの圧延加重の偏差及び圧延機の圧下位置の偏差を受け取り、
Figure 0004565246
の値及び
Figure 0004565246
の値の関係から制御の状態が安定しているかどうか判定し、制御の状態が安定していないと判定したときに信号を出力する
本発明による制御状態判定装置によれば、
Figure 0004565246
の値及び
Figure 0004565246
の値の関係から制御の状態が安定しているかどうか判定することができる。したがって、BISRA−AGCにおいて、制御状態が安定していると判定される状態で、式(1)のGを1または1に近い値で推定板厚偏差を求め、板厚制御残差を最小とすることができる。換言すれば、BISRA−AGCにおいて、制御状態が不安定となる場合を考慮して、式(1)のGを低めの固定値に設定する必要がない。
BISRA−AGCシステムの構成を示す図である。 板厚、圧下位置と圧延荷重との関係を示す図である。 図2の点A及び点Bを含む領域を拡大した図である。 BISRA−AGCの構成を示す図である。 圧延荷重の外乱と板厚との関係を示すブロック図である。 本発明による制御状態判定装置を含む、BISRA−AGCシステムの構成を示す図である。 実施例2の制御方法を説明するための流れ図である。
図1は、BISRA−AGCシステムの構成を示す図である。板301は、圧延機(以下、ミルとも呼称する)によって所望の板厚に圧延される。圧延機は、ワークロールの対201、203及びバックアップロールの対205、207を含む。これらのロール対の圧下位置は、圧下シリンダ113によって操作される。圧下位置は、圧延開始前に、圧下制御装置103によって圧下位置目標値に予め設定される。板301は、所定の圧下位置に設定されたワークロールの対201、203の間を通過することによって圧延される。ミルには、圧延荷重を検出するためのロードセル111が設置されている。ロードセル111によって検出された圧延荷重は、AGC101に送られる。また、ロール対の圧下位置は、圧下シリンダ113の位置検出器115によって検出され、検出された圧下位置は、圧下制御装置103及びAGC101に送られる。AGC101は、検出された圧延荷重及び圧下位置に基づいて、後で詳細に説明するように推定板厚偏差を求め、該推定板厚偏差及び目標板厚偏差に基づいて圧下位置変更量を求め、該変更量を圧下制御装置103に送る。圧下制御装置103は、該変更量に基づいて圧下位置を操作することにより板厚を制御する。
BISRA−AGCは、以下のBISRA式で圧延中の推定板厚偏差Δheを求める。
Figure 0004565246
ここで、Sは、圧下位置、Pは圧延荷重、Kcは、制御に使用されるミル剛性、すなわち、単位長さのミルの伸びを生じる圧延荷重である。式(3)は、板厚の変化が圧下位置の変化と圧延荷重によるミルの伸びの変化との和であることを示す。式(3)について、図2及び図3を使用して説明する。
図2は、板厚、圧下位置と圧延荷重との関係を示す図である。図2の横軸は、板厚及び圧下位置を示す。図2の縦軸は、圧延荷重を示す。図2における曲線311及び313は、ミルの剛性を示す曲線である。曲線311の圧下位置は、Sであり、曲線313の圧下位置は、Sである。図2における曲線315は、圧延前の板厚がHである板の塑性曲線である。曲線311と曲線315の交点は、点Aである。点Aの横軸上の値は、hであり、圧延後の板厚を示す。点Aの縦軸上の値は、Pであり、圧延荷重を示す。この場合に、圧延荷重Pによって、板厚は、Hからhまで減少され、ミルの圧下位置は、圧延荷重Pによってミルが伸びることにより、Sからhまで増加される。同様に、曲線313と曲線315の交点は、点Bである。点Bの横軸上の値は、hであり、圧延後の板厚を示す。点Bの縦軸上の値は、Pであり、圧延荷重を示す。この場合に、圧延荷重Pによって、板厚は、Hからhまで減少され、ミルの圧下位置は、圧延荷重Pによってミルが伸びることにより、Sからhまで増加される。
図3は、図2の点A及び点Bを含む領域を拡大した図である。図3において、点Aを通り横軸と平行な直線と曲線313との交点を点Cとする。図3において、曲線313及び315を直線とみなし、その傾きを、それぞれK及び−Mとする。ここで、Kは、ミル剛性、すなわち、単位長さのミルの伸びを生じる圧延荷重、Mは、塑性勾配、すなわち、圧延後の板厚変化に対する圧延荷重の変化率である。符号を考慮すると、以下の式が成立する。
Figure 0004565246
変形すると、
Figure 0004565246
この式は、式(3)に相当する。圧下位置をΔS減少させたときに、圧延荷重が増加するのでミルの伸びは増加する。したがって、圧下位置の減少分とミル伸びの増加分との和が、板厚の減少分となる。
つぎに、圧延荷重の変化について考慮する。図3において、符合を考慮すると、
Figure 0004565246
この式を変形して
Figure 0004565246
が得られる。
図4は、BISRA−AGCの構成を示す図である。図4の符号は、すでに説明したものを含め、以下のとおりである。
Figure 0004565246
図4から明らかなようにBISRA式として、式(3)の代わりに、チューニング率αを含む以下の式が使用される。
Figure 0004565246
ここで、チューニング率αは、1より小さい正の値である。
図4から、目標板厚偏差から実績圧下位置の基準圧下位置からの偏差までの伝達間数は以下の式で表せる。ここでは、k/Aをgとした。
Figure 0004565246
したがって、特性根は、
Figure 0004565246
となる。制御理論によれば、特性根の実部が負であれば、制御系は安定である。特性根の実部が負となる条件は、gが正であるので、
Figure 0004565246
である。
式(8)から、チューニング率αが小さいほど制御系は安定である。たとえば、板厚が薄く、板幅が広い板の場合など、ミル剛性Kが制御に使用するミル剛性Kcよりも大きな場合には、制御系の安定度が低下する。そこで、このような場合にも制御系の安定性を確保するために、チューニング率αは、1より小さな値に設定される。
つぎに、式(5)を使用するBISRA−AGCにおいて、圧延荷重にステップ状の外乱が入った場合の制御残差について説明する。
図5は、圧延荷重の外乱と板厚との関係を示すブロック図である。図5の符号は、以下のとおりである。ただし、図4と同じ符号は説明を省略する。
Figure 0004565246
図5から、圧延荷重の外乱から実績板厚の偏差までの伝達間数は、以下の式で表せる。
Figure 0004565246
式(9)に最終値の定理を適用すると、単位ステップ外乱に対する制御残差は、
Figure 0004565246
ここで、例として、BISRA−AGCを使用した鋼板のホットストリップミル仕上げ後段の圧延機で、ミル剛性(K, Kc)を 5 [MN/mm]として、圧延中に1[MN]の圧延荷重の外乱が入った場合を考える。AGCが無い場合は、
1[MN] / 5[MN/mm] = 200μm
の板厚制御残差Δheを生じるはずである。
表1は、チューニング率α及び板の塑性勾配を変化させた場合にBISRA−AGCによって生じる単スタンドの板厚制御残差[単位 μm]を示す。
Figure 0004565246
このように、α=1.0であると外乱を完全に吸収できるが、αを小さくすると自動板厚制御性能を特にMの大きな材料(薄物広幅材料など)で劣化させることが分かる。
BISRA−AGCが制御の不安定領域に陥ることは、最悪の場合に圧延機の破壊を伴う非常に危険な事態が生じることを意味する。しかし、従来、BISRA−AGCの制御の安定性を事前に予測することはできなかった。この結果、油圧圧下装置などの高性能なアクチュエータを装備しながら、Mの大きい薄物広幅材料に対しては圧延機の状態にかかわらず、チューニング率αを0.8程度に設定しているのが現状である。表1から分かるように、この場合はBISRA−AGCによる板厚制御がほとんどできていないといっても過言ではない。すなわち、従来においては、いつ発生するか不明な制御の不安定な状態に起因する、圧延機不良を考慮して、圧延機が正常な状態(制御が安定した状態)でも低いチューニング率を使用することにより、BISRA−AGCの機能を低下させている。換言すれば、BISRA−AGCは、Mの小さい材料すなわち厚物材料・幅狭材料の圧延のみに効果を発揮しているのが現状である。
また、チューニング率αを小さくして板厚制御をすることは、目標板厚に製品板厚を設定して制御するいわゆる絶対値AGC機能を利用できないことに相当する。これは歩留まり上で大きな損失である。
発明者は、図4に示すBISRA−AGCの構成を検討した結果、実績圧下位置の基準圧下位置からの偏差とミル伸びによる板厚変化分とを考慮することにより、制御の安定性を判定することができるとの新たな知見を得た。
ここで、図3に示すように、圧下位置の減少(ΔS、ただし、ΔS<0)は、圧延荷重の増加(ΔP、ただし、ΔP>0)、すなわち、ミル伸び変化の増加(ΔP/Kc)をもたらす。そこで、BISRA−AGCで使用する圧下位置変化の絶対値とミル伸び変化の絶対値を比較し、
Figure 0004565246
ならば安定であり、
Figure 0004565246
ならば不安定であると判定する。式(12)は、式(2)と同じである。ここで、Gは、チューニング率であり、
Figure 0004565246
を満たす定数である。βは、特性根の位置に関係する定数であり、式(11)及び式(12)によって特性根の位置が判断される。具体的に、βは、
Figure 0004565246
を満たす定数であり、
Figure 0004565246
が特性根の位置に対応する。すなわち、βの値が大きなほど、特性根が、負の側(制御の安定側)に位置する。式(11)及び式(12)によって、特性根が、
Figure 0004565246
の位置より負側にあるか正側にあるかが判定される。
不安定または不安定に近い状態を安定状態に移行させるためには、ミル伸び変化を過小に評価して推定板厚偏差を求めればよい。このことは、チューニング率を減少させることに相当する。
制御の不安定性は、フィードバック制御の前向き要素すなわちコントローラ部の伝達関数を変更しても防ぎ得ない。
図6は、本発明による制御状態判定装置105を含む、BISRA−AGCシステムの構成を示す図である。図6のAGCシステムの、制御状態判定装置105を除いた部分は図1によって説明したAGCシステムと同じである。制御状態判定装置105は、AGC101に接続され、AGC101から、実績圧下位置の基準圧下位置からの偏差
Figure 0004565246
及び実績圧延荷重の基準圧延荷重からの偏差
Figure 0004565246
を受け取る。制御状態判定装置105は、これらの値を使用して、制御の安定性を判定する。制御状態判定装置105は、制御状態が不安定であると判定した場合は、AGC101の制御パラメータを変更する。また、制御状態判定装置105は、制御状態が不安定であると判定した場合は、アラーム出力装置107にアラーム出力指令を送り、アラームを出力させる。
本発明による制御方法の実施例を以下に説明する。
実施例1
AGC101が、
Figure 0004565246
によって推定板厚偏差を求め、フィードバック板厚制御を行う。式(13)は、式(1)においてG=1.0としたものに相当する。フィードバック板厚制御中に、制御状態判定装置105は、式
Figure 0004565246
が成立するかどうか監視する。ここで、
Figure 0004565246
は、1以上の正の定数であり、一例として1.05である。式(14)が成立しなければ、制御状態判定装置105は、制御は安定状態にあると判定して式(13)を使用した制御を継続する。式(14)が成立すれば、制御状態判定装置105は、制御は不安定状態にあると判定して推定板厚偏差を求める式を以下のように変更する。
Figure 0004565246
ここで、
γ
は、1未満の正の定数であり、一例として0.8である。推定板厚偏差を求める式を式(13)から式(15)に変更したことにより、式(7)による特性根の位置が安定側に移動し、フィードバック制御が不安定状態から脱出できる。他方、この状態では、圧延荷重の外乱に対して、表1に示すような板厚の制御残差が生じる。換言すれば、本実施例によれば、制御の安定性を監視しながら、制御が不安定となった場合にのみ制御性能を犠牲にして制御の安定性を確保する。制御が安定な場合には、式(11)を使用することにより、制御性能が十分に発揮される点が従来の制御方法と異なる。
実施例2
AGC101が
Figure 0004565246
によって推定板厚偏差を求め、フィードバック板厚制御を行なう。式(16)は、式(1)と同じである。フィードバック板厚制御中に、制御状態判定装置105は、式
Figure 0004565246
が成立するかどうか判定する。ここで、
Figure 0004565246
の初期値は1.0であり、
Figure 0004565246
は、1以上の正の定数であり、一例として1.05である。
図7は、実施例2の制御方法を説明するための流れ図である。
図7のステップS110において、制御状態判定装置105は、AGC101から、実績圧下位置の基準圧下位置からの偏差
Figure 0004565246
及び実績圧延荷重の基準圧延荷重からの偏差
Figure 0004565246
を受け取る。なお、AGC101は、板の噛み込み時に、実績板厚、実績圧延荷重及び実績圧下位置を基準値として取り込んでおり(ロックオン処理)、これらの基準値から偏差が求められる。
なお、図7の流れ図には示していないが、ノイズによる誤判定を防止するために、実績圧下位置の基準圧下位置からの偏差の絶対値
Figure 0004565246
及び実績圧延荷重の基準圧延荷重からの偏差によるミル伸びの絶対値
Figure 0004565246
が所定の値未満であれば、判定処理を行わずに処理を終了するようにしてもよい。所定の値は、たとえば、0.1mmまたは、目標板厚の3%などとしてもよい。
図7のステップS120において、制御状態判定装置105は、式
Figure 0004565246
が成立するかどうか判定する。式(17)が成立すれば、ステップS130に進む。式(17)が成立しなければ、ステップS140に進む。
図7のステップS130において、制御は不安定状態にあると判定されたので
Figure 0004565246
とする。ここで、
δ
は、1未満の定数であり、一例として0.9である。式(16)のGを式(18)によって変更することにより、式(7)による特性根の位置が安定側に移動する。一定周期ごとにステップS130の処理を繰り返すことにより、制御の安定性が確保されるまで
Figure 0004565246
の値が減少される。他方、式(17)が成立しなければ、制御は安定状態にあると判定されたので、AGC101により、
Figure 0004565246
をそのままとして式(16)を使用した制御が継続される。
図7のステップS140において、制御状態判定装置105は、AGC制御中であるかどうか判定する。AGC制御中であれば、ステップS110に戻る。AGC制御中でなければ、処理を終了する。
本実施例によれば、制御の安定性を監視しながら、制御が不安定となった場合にのみ制御性能を犠牲にして制御の安定性を確保する。制御が安定な場合には、式(16)において
Figure 0004565246
とすることにより、制御性能が十分に発揮される点が従来の制御方法と異なる。
たとえば、厚さ1.6mm、幅1200mmの鋼板(M=30[MN/mm])のホットストリップミルの圧延において、圧延前の加熱炉で生じるスキッドマークなどにより0.5MNの圧延荷重外乱が生じるとする。チューニング係数α=0.8とすると、表1から、該圧延荷重外乱によって生じる板厚変動は、
Figure 0004565246
である。本発明により、制御の安定性を確保することにより、チューニング係数α=1.0とすることができれば、
Figure 0004565246
の歩留まりを向上することができる。
本発明について、ホットストリップミルを例として説明したが、BISRA−AGCを使用するミルであれば、本発明は、コールドストリップミル、厚板ミルなど他の圧延機にも適用することができる。

Claims (5)

  1. 板を目標の板厚に圧延する圧延機において、制御に使用する圧延機の剛性、時間、基準状態からの圧延加重の偏差、圧延機の圧下位置の偏差、推定板厚偏差を、それぞれ、
    Figure 0004565246
    とし、Gは、
    Figure 0004565246
    を満たす定数であるとして、式
    Figure 0004565246
    によって推定板厚偏差を求めて、板厚を制御する板厚制御方法であって、
    制御中に
    Figure 0004565246
    の値及び
    Figure 0004565246
    の値の関係から制御の状態が安定しているかどうか判定し、制御の状態が安定していないと判定したときに、式(1)のGを小さくすること及びアラームを発生させることの少なくとも一方を実施する板厚制御方法。
  2. βは、
    Figure 0004565246
    を満たす定数であるとして、式
    Figure 0004565246
    が成立したときに、制御の状態が安定していないと判定する請求項1に記載の板厚制御方法。
  3. 制御の状態が安定していないと判定した場合に、γは、
    0<γ<1
    を満たす定数であるとして、
    Figure 0004565246
    として式(1)によって推定板厚偏差を求めて、板厚を制御する請求項1または2に記載の板厚制御方法。
  4. 式(2)による判定を繰り返し行ない、制御の状態が安定していないと判定した場合に、δは
    0<δ<1
    を満たす定数であるとして、
    Figure 0004565246
    として、制御の状態が安定していないと判定された状態の持続する時間の経過とともにGが減少するようにして式(1)によって推定板厚偏差を求めて、板厚を制御する請求項1または2に記載の板厚制御方法。
  5. 板を目標の板厚に圧延する圧延機において、圧延機の剛性、時間、基準状態からの圧延加重の偏差、圧延機の圧下位置の偏差、推定板厚偏差を、それぞれ、
    Figure 0004565246
    とし、Gは、
    Figure 0004565246
    を満たす定数であるとして、式
    Figure 0004565246
    によって推定板厚偏差を求めて、板厚を制御する板厚制御システムにおける制御状態判定装置であって、基準状態からの圧延加重の偏差及び圧延機の圧下位置の偏差を受け取り、
    制御中に
    Figure 0004565246
    の値及び
    Figure 0004565246
    の値の関係から制御の状態が安定しているかどうか判定し、制御の状態が安定していないと判定したときに信号を出力する制御状態判定装置。
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