JP2010260067A - 板圧延機及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧延材39に張力変化が生じてその張力変化量が予め定めた変化量許容範囲外となったときは、上駆動用電動機の制御を制御切換装置36によって駆動トルク制御からロール回転速度制御に切換え、該電動機5のロール回転速度を速度維持制御手段によって一定速度に維持制御する一方、圧延材39の張力変化後における上記他方の電動機の駆動トルクを測定して、その測定値を新たな駆動トルク制御目標値として変更した後、該他方の電動機の制御をロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換える。
【選択図】図1
Description
なお、本発明とは目的が全く異なるが、特許文献3と4には本発明と類似の実施形態が開示されている。これらの発明は上下作業ロールの回転速度あるいはトルクに積極的に差をつけて圧延材に付加的なせん断塑性変形を与える、所謂、異周速圧延を実行するための技術である。
(A)反りやうねりが発生する場合は、上下作業ロールの圧延トルクバランスが大きく変化すること。
(B)より具体的には、圧延材が上反りになる場合は下圧延トルクが増加方向、上圧延トルクが減少方向に急激に変化して、圧延材が下反りになる場合はその逆方向のトルク変化が生じること。
(C)うねりを生じる場合は、上下作業ロールの圧延トルクのバランスが連続的かつ周期的に変化すること。
(D)また、圧延トラブルを引き起こすような大きな反りの場合には、例えばロール一本あたりトルクの絶対値の50%を超えるような非常に大きなトルク変化が1秒前後の短時間の間に上下作業ロールで逆方向に生じること。また、このような場合であっても上下作業ロールのトルクの合計値はほぼ一定値を保っていること。
(E)さらには、圧延機の上下作業ロールが圧延材先端を噛み込んだ際あるいは隣接する圧延機が同時に圧延する際等において、圧延材に張力変化が生じる場合、圧延トルクは張力の影響を受けて変動すること。また、圧延材の急激な張力変化によって上下作業ロールが異常回転し、さらに大きく且つ急激な張力変化が発生する場合があること。
(F)以上から、上下作業ロールの圧延トルクバランスの変化を抑制する高応答な駆動制御を行えば、反りあるいは板幅方向に貫通した波形状による平坦度不良を防止できること。
(G)さらに、圧延時において圧延材に急激な張力変化が生じた場合であっても、作業ロールに対して適切な駆動制御を行えば、該作業ロールの異常回転を防止することができ、また張力変化後の圧延トルクバランスの変化を抑制する制御を行えば上述の反りや平坦度不良等を防止することができること。
即ち、本発明の板圧延機は、上下一対の作業ロールと、上記一対の作業ロールをそれぞれ独立に駆動する一対の電動機と、一方の電動機に対し、ロール回転速度を制御目標値として制御する第1の制御手段と、他方の電動機に対し、該電動機によって駆動される作業ロールから圧延材に加えられる圧延トルクが略一定になることを制御目標として駆動トルクを制御量とした制御であって駆動トルク制御目標値に応じて行う駆動トルクの制御、又はロール回転速度を制御目標値とした制御のいずれか一方に切換え可能な第2の制御手段とを備え、上記第2の制御手段は、圧延材に生じる張力変化の変化量が予め定めた変化量許容範囲外となったときに上記他方の電動機の制御を駆動トルク制御からロール回転速度制御に切換える一方、張力変化後にロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換える切換手段と、上記他方の電動機の制御がロール回転速度制御に切り換わったときに該電動機のロール回転速度を一定速度に維持制御する速度維持制御手段と、圧延材の張力変化後であって上記他方の電動機をロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換える前に該電動機の駆動トルクを測定する駆動トルク測定手段と、上記他方の電動機を回転速度制御から駆動トルク制御に切換えるときに該駆動トルク測定手段による測定値を新たな駆動トルク制御目標値として圧延中に変更する変更制御手段とを有していることを特徴とする。
また、上記第2の制御手段における切換手段は、圧延機における圧延材の入側と出側の間で生じた張力差の変化に基づいて、上記他方の電動機の制御を駆動トルク制御又はロール回転速度制御に切換える構成であるものとしてよい。
また、上記他方の電動機の駆動トルク制御とロール回転速度制御との切換えを、圧延機における圧延材の入側と出側の間で生じた張力差の変化に基づいて行うようにしてもよい。
さらに、本発明によれば、このように定常的な圧延操業を行っている際に、急激な張力変化という非定常的な状態が生じたとしても、駆動トルク制御を一時的にロール回転速度制御に切換えて制御するため、その前後において反りや平坦度不良を確実に防止することができる。
図1は本発明に係る板圧延機の一実施の形態を本発明の制御情報の流れに基づいて示すものである(ただし、必ずしも装置構成と一致するように図示していない。)。図1の圧延機は、上作業ロール2及び下作業ロール3がそれぞれ独立の上下駆動用電動機5,6によって駆動されるもので、上作業ロール2の上部には上補強ロール1が、下作業ロール3の下部には下補強ロール4が配設されたものとなっている。
そして、下作業ロール3を駆動する下駆動用電動機6はロール回転速度を制御目標値に一致するように制御され、上作業ロール2を駆動する上駆動用電動機5は、該電動機5によって駆動される作業ロールから圧延材39に加えられる圧延トルクが略一定になることを制御目標として駆動トルクを制御量とした制御であって駆動トルク制御目標値に一致するように行う駆動トルクの制御、又はロール回転速度を制御目標値とした制御のいずれか一方に切換自在に制御されるようになっている。
ここで、圧延トルクを略一定にするとは、上下圧延トルク合計値に対するトルク制御側の作業ロールの圧延トルクの割合の時系列的変化を、圧延出側板厚の100倍に相当する長さを圧延する間に合計トルクの10%程度以下にすることとし、好ましくは、5%程度以下にすることとする。
なお、この下駆動制御回路は、下駆動用電動機6に対して下作業ロール回転速度のみを制御するようになっていて、駆動トルクについては制御しない。
そして、上駆動用電動機5の制御が駆動トルク制御である場合は、上駆動トルク制御目標値計算器19によって設定された上記駆動トルク制御目標値7に一致するように上駆動用電動機5の駆動トルクを制御し、一方、ロール回転速度制御である場合は、後述する上作業ロール回転速度目標値37に一致するように上作業ロール2の回転速度を制御する。
ここで、上記張力の変化量の上下限値41は、圧延材の強度や板厚、板幅等の各種条件によって決定される。
なお、上記所定のロール回転速度目標値は、上記上駆動用電動機5の制御をロール回転速度制御に切換える瞬間の上作業ロール回転速度を目標とし決定される。
その一方で、上駆動トルク測定手段は、圧延材39の張力変化後(急激な張力変化が終了して張力が比較的安定した後)であって上駆動用電動機5をロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換える前に、該電動機5の上駆動トルクを測定し、測定値である上駆動トルク測定値8を、制御切換装置36を経由して上記駆動トルク制御装置に出力する。さらに、該上駆動トルク測定装置を通じて、上駆動トルク測定値8を、上記上駆動トルク制御目標値を設定する上駆動トルク制御目標値計算器19に出力するようにしている。
具体的には、上駆動用電動機5が駆動トルク制御されている場合において、上記上駆動トルク測定手段によって測定された駆動トルク制御時の上駆動トルク測定値8’と、上記下駆動用電動機6に設けられた下駆動トルク測定手段によって測定された下駆動トルク測定値18と、現時点の上駆動トルク制御目標値とに基づいて、更新に供する上駆動トルク制御目標値7’を上駆動トルク制御目標値計算器19で演算し、上駆動用電動機5の駆動トルクをその上駆動トルク制御目標値7’に一致させるための上駆動トルク制御量9’を該上駆動用電動機5に出力するようになっている。
初期状態においては、上駆動用電動機5は、上駆動制御回路の制御切換装置36によって駆動トルク制御に切換えられていて、上作業ロール2は、事前に与えられた駆動トルク制御目標値に基づく駆動トルクに制御される。また、下駆動用電動機6に対してはロール回転速度制御のみが行われ、下作業ロール3は、事前に与えられた下作業ロール回転速度目標値10に基づいてロール回転速度が制御される。
なお、この場合においては、上述したように、上下作業ロール2,3の圧延トルクバランスをより好適に制御するため、上下作業ロール2,3の駆動トルクの状況によっては、上駆動用電動機5の上駆動トルク制御目標値7を圧延中に更新する制御が行われることがある。
なお、上駆動用電動機5の制御が駆動トルク制御からロール回転速度制御に切換えられた場合には、駆動トルク制御は解除される(図3(c)参照)。
なお、上駆動用電動機5の制御がロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換えられた場合には、ロール回転速度制御は終了し、ロール回転速度の回転速度維持も解除される(図3(b)参照)。
これは、通常の圧延は圧下率がほぼ一定の状態で圧延を実施するので上下作業ロール2,3の圧延トルクを合計した合計トルクはほぼ一定値となるところ、上作業ロール2の圧延トルクを一定に制御すれば必然的に下作業ロール3の圧延トルクもほぼ一定に制御できるので、上下作業ロール2,3の圧延トルクバランスの変化を防止できるからである。即ち、ロール回転速度制御を実施している下作業ロール3の圧延トルクもほぼ一定となり、作業ロールと圧延材39とのスリップが零となる中立点の位置もほぼ一定に保たれるので、圧延材39の速度についてもほぼ一定に保たれるからである。
また、このような制御を板圧延の全長に渡って行えば、特許文献1及び2に挙げられた対症療法的な対応ではなく定常的な制御を行うことができるため、応答も速く、反りや絞りを未然に防止できる。
また、張力変化後に上駆動用電動機5の駆動トルクを測定して、上駆動トルク制御目標値7を、その測定値を新たな上駆動トルク制御目標値7として変更し、その新たな上駆動トルク制御目標値7に基づいて該電動機5の駆動トルク制御を再開するため、圧延材39に急激な張力変化が生じても、上下作業ロール2,3の圧延トルクバランスの急激な変化を抑制し、上述の反りや平坦度不良等を確実に防止することができる。
また、目標値と測定値との差異から制御量を決める際には、例えばPID制御ゲインを介する等、通常用いられる制御技術を適用することは言うまでもなく、上下一対の作業ロールをそれぞれ独立に駆動する一対の電動機に対して、ロール回転速度を制御目標値として制御、又は駆動トルクを制御量として制御する制御手段としては、例えばコンピュータ(電子計算機)を用いることができる。さらに、圧延トルク目標値の設定計算モデルを圧延実績データから学習することで圧延トルク設定値の計算精度を上げることができ、結果として上下作業ロール2,3のトルクの差を小さくすることもできる。
以下、図4及び図5(a)〜(c)を用いて、当該スタンド咬み込みの後の次スタンド咬み込み時に用いられた実施例を説明する。
なお、図4において、図1と同じ構成あるいは機能、値であるものについては、図1と同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
この後、非定常的に変化していた張力測定値40が変化許容範囲の上下限値41内に治まったとき(即ち、張力が安定したとき)、上作業ロール2は制御切換装置36でロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換えられる。
このとき、下駆動トルク測定値18が検出され、上駆動トルク制御目標値計算器19において以前の上駆動トルク制御目標値7と合わせて、すでに新たな上駆動トルク制御目標値7が再計算され、その値に新たな上駆動トルク制御目標値7が変更されている。
制御が切換えられると上作業ロール2の回転速度は微小の変動をするが、トルクが一定に維持され、逸早く、トルクバランスの取れた安定した圧延状況に復帰する。
この結果、圧延時において圧延材に急激な張力変化が生じた場合であっても、本発明のような作業ロールに対して適切な制御を行うことにより、圧延材の反りによる通板トラブル、あるいはうねり、全波、小波等と呼ばれる板幅方向に貫通した波形状による平坦度不良を解消することができることがわかった。
2 上作業ロール
3 下作業ロール
4 下補強ロール
5 上駆動用電動機
6 下駆動用電動機
7 上駆動トルク制御目標値
8 上駆動トルク測定値
9 上駆動トルク制御量
10 下作業ロール回転速度目標値
11 下作業ロール回転速度測定値
12 下作業ロール回転速度制御量
13 上作業ロール回転速度測定値
18 下駆動トルク測定値
19 上駆動トルク制御目標値計算器
36 制御切換装置
37 上作業ロール回転速度目標値
38 上作業ロール回転速度制御量
39 圧延材
40 圧延材張力測定値
41 張力変化上下限値
Claims (6)
- 上下一対の作業ロールと、
上記一対の作業ロールをそれぞれ独立に駆動する一対の電動機と、
一方の電動機に対し、ロール回転速度を制御目標値として制御する第1の制御手段と、
他方の電動機に対し、該電動機によって駆動される作業ロールから圧延材に加えられる圧延トルクが略一定になることを制御目標として駆動トルクを制御量とした制御であって駆動トルク制御目標値に応じて行う駆動トルクの制御、又はロール回転速度を制御目標値とした制御のいずれか一方に切換え可能な第2の制御手段とを備え、
上記第2の制御手段は、圧延材に生じる張力変化の変化量が予め定めた変化量許容範囲外となったときに上記他方の電動機の制御を駆動トルク制御からロール回転速度制御に切換える一方、張力変化後にロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換える切換手段と、上記他方の電動機の制御がロール回転速度制御に切り換わったときに該電動機のロール回転速度を一定速度に維持制御する速度維持制御手段と、圧延材の張力変化後であって上記他方の電動機をロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換える前に該電動機の駆動トルクを測定する駆動トルク測定手段と、上記他方の電動機を回転速度制御から駆動トルク制御に切換えるときに該駆動トルク測定手段による測定値を新たな駆動トルク制御目標値として圧延中に変更する変更制御手段とを有していることを特徴とする板圧延機。 - 上記第2の制御手段における切換手段は、圧延機における圧延材の入側又は出側のうちのいずれか一方で生じた張力に基づいて、上記他方の電動機の制御を駆動トルク制御又はロール回転速度制御に切換える構成であることを特徴とする請求項1に記載の板圧延機。
- 上記第2の制御手段における切換手段は、圧延機における圧延材の入側と出側の間で生じた張力差の変化に基づいて、上記他方の電動機の制御を駆動トルク制御又はロール回転速度制御に切換える構成であることを特徴とする請求項1に記載の板圧延機。
- 上下一対の作業ロールにそれぞれ独立の電動機によって駆動力を供給して、一方の電動機をロール回転速度を制御目標値として制御すると共に、他方の電動機を、該電動機によって駆動される作業ロールから圧延材に加えられる圧延トルクが略一定になることを制御目標として駆動トルクを制御量とした制御であって駆動トルク制御目標値に応じて行う駆動トルクの制御、又はロール回転速度を制御目標値とした制御のいずれか一方に切換自在に制御し、圧延時において、圧延材に張力変化が生じてその張力変化量が予め定めた変化量許容範囲外となったときは、上記他方の電動機の制御を駆動トルク制御からロール回転速度制御に切換え、該電動機のロール回転速度を一定速度に維持制御する一方、圧延材の張力変化後における上記他方の電動機の駆動トルクを測定して、その測定値を新たな駆動トルク制御目標値として変更した後、該他方の電動機の制御をロール回転速度制御から駆動トルク制御に切換えることを特徴とする板圧延機の制御方法。
- 上記他方の電動機の駆動トルク制御とロール回転速度制御との切換えを、圧延機における圧延材の入側又は出側のうちのいずれか一方で生じた張力に基づいて行うことを特徴とする請求項4に記載の板圧延機の制御方法。
- 上記他方の電動機の駆動トルク制御とロール回転速度制御との切換えを、圧延機における圧延材の入側と出側の間で生じた張力差の変化に基づいて行うことを特徴とする請求項4に記載の板圧延機の制御方法。
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