JP5557554B2 - 原子炉制御棒及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、沸騰水型原子炉に用いられるステンレス鋼の腐食防止に係り、特に、ハフニウム金属を利用した制御棒のステンレス製シースの隙間腐食防止方法に関する。
沸騰水型原子炉は、複数の燃料集合体が装荷された炉心を原子炉圧力容器内に有している。これらの燃料集合体内に存在する核燃料物質に含まれたウラン235が、中性子を吸収して核分裂を起こし、熱を発生する。炉心に供給された炉水(冷却水)は、その熱によって加熱されて沸騰し、一部が蒸気になる。炉心内では、上記の核分裂によって新たに発生する中性子が他のウラン235を分裂させる連鎖反応が起きている。
核分裂の連鎖反応量を制御するため、中性子吸収材を内部に収納する制御棒が用いられている。このうち、沸騰水型原子炉で通常使用される制御棒は、横断面が十字形をしており、4体の燃料集合体のチャンネルボックスの相互間に形成される間隙(飽和水領域)内に挿入される。4体の燃料集合体にて構成される1つのセル当たり1体の制御棒が設けられる。制御棒は、下端部が制御棒駆動機構に連結され、制御棒駆動機構の駆動によって炉心に挿入され、または炉心から引抜かれる。制御棒は、反応度制御及び出力分布の調整に用いられる重要な機器である。
沸騰水型原子炉の制御棒の構成を説明する。制御棒は、十字形の断面形状を有するタイロッドの上端部にハンドルが接合され、タイロッドの下端部には落下速度リミッタ(下部支持部材)が接合されてフレームと呼ばれる骨格形状が形成されている。このフレームは、タイロッドの中心軸に位置するタイロッドから四方に伸びる4枚のブレードを有する。このフレームに、タイロッドの約半分の長さを持ち、楕円形の断面形状を持つハフニウム楕円管を、上部ハフニウムとしてハンドルの舌状部位に取り付け、ピンにて固定する。同様に下部ハフニウムを下部支持部材(または落下速度リミッタ)の舌状部位に取り付け、ピンにて固定する。さらに上記の上部ハフニウム及び下部ハフニウムは、ステンレス鋼製の概略U字形の断面形状を持つシースにより内包され、そのシースの端部をハンドル,タイロッド,下部支持部材(または落下速度リミッタ)に固定することにより、一つのブレードを形成する。同様に、他の3つのブレードを断面形状が概略十字形となるように形成することにより、制御棒が構成される。
中性子吸収材となる管状のハフニウム楕円管2枚をU字形シースに内包することで1枚のブレードを形成し、ブレード4枚を十字形に組み合わせたものがある。例えば、特開平2−10299号公報や特開2002−71868号公報,特開平9−61576号公報に記載のような制御棒である。
制御棒に含まれるハフニウム部材は、中性子を吸収する機能を有すため表面温度が高くなる。ハフニウム部材を冷却するために、シースの内面とハフニウム部材の間に隙間部が形成され、この隙間部に冷却水が導入される。この隙間幅を大きくすることで冷却効果を得ることができるが、隙間幅を大きくすると、シースの厚みが増すことになり制御棒全体を大きくすることになる。炉心部スペースの制約上制御棒の大型化は困難となっていることから、シースの厚みを現在の設計値から大幅に増加することはできない。さらに、この隙間部内では、冷却水に含まれる酸素が消費される。隙間部内に存在して溶存酸素量が少ない冷却水と、隙間部の外部に存在して溶存酸素量が多い冷却水との間に、酸素濃淡電池が形成される。このため、隙間部内では腐食反応が継続しやすい環境が形成される。
また、原子炉で用いられるステンレス鋼による隙間部は、放射線照射,溶接残留応力,隙間構造の3つの要因が重畳するため、更に反応が進みやすい環境になる。
例えば、制御棒は原子炉炉心に設置されることから、ステンレス鋼製のシースには核燃料の核分裂反応により発生する中性子やγ線照射による材料劣化や酸化環境,製造過程でのシースとタイロッド,シースとハンドルとの溶接により発生する引張残留応力、シースとハフニウム楕円管との隙間腐食環境の3つの要因が重なっているため、隙間腐食が発生しやすい環境であることが懸念される。従来、隙間部を回避する設計の採用や、隙間間隔を拡大により隙間腐食に対策することが一般的であった。
特開平2−10299号公報 特開2002−71868号公報 特開平9−61576号公報 特開2008−275604号公報
隙間腐食は、照射環境,引張残留応力,隙間腐食環境のどれか1つの要因を除くことにより防ぐことができる。しかし、制御棒は原子炉内で使用されるため、照射環境を除くことは困難である。
引張残留応力については、ハフニウム楕円管を用いた制御棒はシースとハンドル及びシースとタイロッドとの溶接に伴い、シース表面には引張残留応力が発生していると考えられる。残留応力を低減する方法として、溶接後に熱処理する技術が私用されている。しかしながら、制御棒の場合、構造や寸法精度の制約上、溶接後に熱処理を施すことは困難である。
シースの内面とハフニウム部材の間に隙間部が形成され、この隙間部に冷却水が導入されている。冷却材中には、不純物や腐食生成物等が含まれており、狭い隙間部ではこれらが堆積しやすくなるため、初期に確保した隙間幅が時間の経過とともに縮小してしまう可能性がある。この隙間腐食環境は、シースとハフニウム部材との隙間部に、炉心冷却材に含まれる不純物や腐食生成物などが堆積することで、腐食の発生に寄与すると考える。シースとハフニウム部材の隙間は設計値に従って製作されるが、腐食生成物等が堆積すると、隙間幅は縮小することになる。
本発明の目的は、シース内面と中性子吸収材の隙間に不純物や腐食性生物が堆積することを抑制し、シースとハフニウム部材との隙間腐食を抑制する原子炉制御棒を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、横断面が概略十字形のタイロッドと、概略U字形の横断面形状を有し、内部に中性子吸収材を内包するシースを備えた沸騰水型原子炉用制御棒において、シースの内面にフェライト皮膜を設けることにある。
本発明によれば、沸騰水型原子炉の制御棒において、隙間部に腐食生成物の堆積を抑制するために金属酸化物を被覆することで、隙間幅の縮小が防止でき、制御棒の隙間腐食抑制に寄与することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の制御棒の断面図である。 図1のA−A断面図である。 実施例1の制御棒の製造工程の手順を示すステップ図である。 実施例1のフェライト皮膜形成装置の模式図である。 シースを模擬した隙間腐食試験結果の一例を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例2の制御棒の断面図の一部を示す図である。 制御棒のシースの軸方向における中性子照射量の分布を説明するための図であり、(a)制御棒の側面図の一部を示し、(b)制御棒のシースの軸方向における中性子照射量の分布を示す特性図である。 実施例2のフェライト皮膜形成装置の模式図である。 比較例であるシースにフェライト皮膜を形成しない制御棒の製造工程の手順を示すステップ図である。 フェライト皮膜をシースに形成していない制御棒を示す比較例であって、ハフニウム楕円管を用いた制御棒の長手方向軸に垂直な断面のうちタイロッドおよびブレード1枚の部分(シースとハフニウム楕円管)を示す断面図である。
以下に、本発明の実施例の形態について、図面を参照して説明する。
〔実施例1〕
本発明の好適な一実施例である実施例1の、沸騰水型原子炉に用いられる制御棒を、図1及び図2を用いて説明する。本実施例の制御棒100は、沸騰水型原子炉(BWR)で用いられる制御棒である。
この制御棒100は、横断面が十字形をしていて軸心にタイロッド1が配置され、このタイロッド1から四方に伸びる4枚のブレード22を有する。ハンドル2がタイロッド1の上端部に取り付けられ、下部支持部材3がタイロッド1の下端部に取り付けられる。下部支持部材3は、下部支持板または落下速度リミッタである。ローラ14が回転可能に下部支持部材3に取り付けられる。このローラ14は、炉心に装荷されている燃料集合体(図示せず)のチャンネルボックスの外面と接触し、制御棒100を燃料集合体間で円滑に移動させる機能を有する。
各ブレード22は、横断面がU字状をしているシース4、扁平な筒、例えば楕円形状の筒であるハフニウム部材3U,3Lを有する。シース4はステンレス鋼(SUS304及びSUS316L等)によって構成される。シース4の上端はハンドル2に溶接され、シース4の下端は下部支持部材3に溶接されている。シース4のU字の両端部には、複数のタブ(突出部)15が軸方向において所定の間隔を置いて形成されている。タブ15は、シース4の一部であるが、タイロッド1側に向かって突出している部分である。タブ15は溶接にてタイロッド1に接合されている。シース4とタイロッド1,ハンドル2及び下部支持部材3との接合は、例えば、レーザ溶接によって行われる。
1つのブレード22のシース4内に形成される空間内に、2つのハフニウム部材5U及び2つのハフニウム部材5Lが配置されている。ハフニウム部材5Uはハフニウム部材5Lの上方に位置しており、これらの軸方向の長さは同じである。ハフニウム部材5Uは、ハンドル2の下端部に形成された舌状部16Uにピン6で取り付けられている。ハフニウム部材5Lは、下部支持部材3の上端部に形成された舌状部16Lにピン6で取り付けられている。ハフニウム部材5Uは上端部がハンドル2に取り付けられ、ハフニウム部材5Lが下部支持部材3に取り付けられている。これらのハフニウム部材は中性子吸収部材である。BWRの運転中においてハフニウム部材5U,5Lが熱膨張してもそれらのハフニウム部材が互いに接触しないように、ハフニウム部材5Uの下端とハフニウム部材5Lの上端との間のギャップが形成されている。図1において、Lsはシース4の軸方向における全長を示している。
制御棒100は、BWRの原子炉圧力容器内に配置され、原子炉出力を制御するために、複数の燃料集合体が装荷された炉心内に制御棒駆動機構(図示せず)によって出し入れされる。制御棒100は、下部支持部材3の下端部に設けられたコネクタ17によって原子炉圧力容器の底部に設けられた制御棒駆動装置に連結される。制御棒駆動装置は、制御棒100の炉心内への挿入操作、及び制御棒100の炉心からの引き抜き操作を行う。原子炉圧力容器内を流れる冷却水(冷却材)は、シース4に形成された一部の開口19及びシース4の最下端部に形成された複数の開口20Lからシース4内に流入し、ハフニウム部材5U,5Lを冷却して他の開口19(特に上端部に位置する開口19)及びシース4の最上端部に形成された複数の開口20Uからシース4の外に流出する。シース4内に流入した冷却水は、ハフニウム部材5Uに設けられた小径の開口18を通ってハフニウム部材5U内に流入し、また、ハフニウム部材5Lに形成された小径の開口21を通ってハフニウム部材5L内に流入する。このように、冷却水がハフニウム部材5U,5L内に流入することによって、これらのハフニウム部材の冷却効果が増大される。
本実施例の制御棒100の断面図を、図2を用いて説明する。図2は、図1に示す制御棒のA−A面での断面図であり、制御棒100の長手方向軸に垂直な断面のうちタイロッド1及び1枚のブレード22の部分を示す。本実施例の制御棒100は、シースの内面4aの全域にわたってフェライト皮膜を形成している。ここで、フェライト皮膜とは、鉄酸化物の積層皮膜を示す。
本実施例のフェライト皮膜を形成した制御棒100の製造方法について、図3を用いて説明する。本実施例のフェライト皮膜の皮膜形成液は、皮膜の主成分となる鉄(II)イオンを有機酸で溶解させた溶液と、酸化剤およびpH調整剤を含む溶液の混合液である。
まず、シース4を構成するステンレス鋼(SUS304及びSUS316L等)の平板を所定の大きさに切り出す(ステップS1)。切り出されたステンレス鋼の平板をU字状に折り曲げて成型加工を実施し、その内部にハフニウム部材を配置するための空間を形成する(ステップ2)。成型加工したステンレス鋼の内面(シース内面となる内壁)にフェライト皮膜を形成する(ステップ3)。具体的には、図10に示すような皮膜形成装置101を使ってシース内面4aにフェライト皮膜を形成する。本実施例の皮膜形成装置101は、回収容器9,被覆材循環器10,温度調節器11,ノズル12及び被覆材配管13を備える。被覆材配管13が、被覆材循環器10とノズル12を接続し、回収容器9と被覆材循環器10を接続する。被覆材配管13の先端部にノズル12が設置される。ノズル12はその全域に複数の噴霧部7を備える。被覆材循環器10とノズル12の間に温度調節器11が配置される。ノズル12の下方に回収容器9が配置される。ステップS1でU字に成型加工されたステンレス鋼が、ノズル12を挟むように配置される。被覆材循環器10から送水された皮膜形成液は、被覆材配管13を通過し、温度調整器11でその温度を調整される。温度調整器11は、被覆材配管13を通過する皮膜形成液の温度を調整する機能を有する。温度調節器11を通過した皮膜形成液は、ノズル12に送水されて噴霧部7から噴射される。噴射された皮膜形成液は、U字に成型加工されたステンレス鋼の内面(シースの内面4aとなる内壁)に噴射される。このように噴霧部7を長手方向に複数箇所設けることで、シースの内面4aの全体にフェライト皮膜を形成することができる。余剰の皮膜形成液が回収容器9に回収される。回収された皮膜形成液は、被覆材配管13を通過して再度、被覆材循環器10に送水される。つまり、回収容器9で回収された皮膜形成液を再度利用する。U字のステンレス鋼の内面に十分なフェライト皮膜が形成されると、ノズル12から噴射する皮膜形成液を停止する。フェライト皮膜が形成されたU字のステンレス鋼に対して、必要な開口部(開口18,19,20U,20L,21等)を形成して穴あけ加工し、ハフニウム部材5U,5Lを充填する(ステップ4)。その後、ハフニウム部材5U,5Lを充填したシース4とハンドル2及び下部支持部材3を接合して制御棒100を完成させる(ステップ5)。
比較例として、図9を用いて、シースにフェライト皮膜を形成しない制御棒の製造工程の手順の一例を示す。ステップ1でシース素材を所定の大きさに切り出した後、ステップ2で折り曲げや成型加工を実施する。その後、ステップ4で通水孔の穴あけ加工や中性子吸収材の充填を行い、ステップ5で上部支持部材や下部支持部材(図示しない)を接合して、完成となる。このような製造工程で製造された制御棒を図10に示す。
次に、金属酸化物皮膜としてフェライト皮膜を付与したステンレス鋼を、原子炉運転状態を模擬した水質で腐食変化量を測定したので、その実験結果を図5を用いて説明する。図5(a)は、通常運転時を模擬した条件において、研磨処理のみ(フェライト皮膜の形成なし)を施したステンレス鋼での腐食量とフェライト皮膜を形成したステンレス鋼での腐食量を比較したグラフである。図5(b)は、水素注入時を模擬した条件において、研磨処理のみ(フェライト皮膜の形成なし)を施したステンレス鋼での腐食量とフェライト皮膜を形成したステンレス鋼での腐食量を比較したグラフである。フェライト皮膜の皮膜形成液は、前述したとおり、皮膜の主成分となる鉄(II)イオンを有機酸で溶解させた溶液,酸化剤およびpH調整剤を含む溶液の混合液である。フェライト皮膜を形成したステンレス鋼は、通常の運転状態あるいは水素注入条件のいずれの条件においても、腐食変化量が小さく、表面への腐食生成物の付着量及び腐食溶出量が小さくなることがわかった。この結果は冷却材中の不純物や腐食生成物の付着が抑制されることを示しており、シースと中性子吸収材の隙間内に腐食生成物が堆積することを抑制し、ひいては隙間幅の縮小を抑制することができると考えた。
本実施例によれば、シースの内面4aに均一なフェライト皮膜を形成するため、シースを構成するステンレス鋼の溶出が制御棒を提供できる。さらに、フェライト皮膜は、比較的安定なフェライト酸化物であるため、外部から持ち込まれたクラッド等との反応性が低いと考えられる。このように、本実施例のようにシースの内面にフェライト皮膜を形成することによって、外部からのクラッド等との反応性が低くなり、シースと中性子吸収材の隙間内に腐食生成物が堆積することを抑制できるようになる。その結果、隙間幅の縮小を抑制することができ、制御棒の隙間腐食を抑制することができる。ここで、本実施例のようにシースの表面にフェライト皮膜を形成した場合と、シースの母材であるステンレス鋼を酸化させて酸化皮膜を形成した場合とを比較する。母材であるステンレス鋼を溶出させて酸化皮膜を形成したシースを沸騰水型原子炉の環境下に設置すると、このシースに形成された酸化皮膜の表面に、フェライト,ニッケル及びクロムが複合した酸化物が堆積するものと考えられる。このように、シースの表面に酸化皮膜を形成し、さらにその表面にフェライト,ニッケル及びクロムが複合した酸化物が堆積すると、母材であるステンレス鋼の溶出と酸化のプロセスを繰り返すこととなり、シースの表面が太くなって、シース内面と中性子吸収材との隙間幅が縮小してしまう。その結果、制御棒の隙間腐食が発生する可能性がある。一方で、本実施例のようにシースの内面にフェライト皮膜を形成すると、前述のように、シースを構成するステンレス鋼の溶出を抑制でき、さらに、外部からのクラッド等との反応性が低くなるため、シースと中性子吸収材の隙間内に腐食生成物が堆積することを抑制でき、制御棒の隙間腐食を抑制することができる。
本実施例のフェライト皮膜形成方法によれば、100℃以下の皮膜形成液でステンレス鋼にフェライト皮膜を形成できるため、施工部の熱膨張量は小さく、変形や組織変化を引き起こさないシースを用いた制御棒を提供することができる。仮に、シースの母材であるステンレス鋼が500〜850℃の高温にされると、粒界にクロム炭化物が析出し、その粒界付近のクロムが欠乏することとなり、耐食性が低下する可能性がある。また、ステンレス鋼が500〜850℃の環境にさらされると、クロム炭化物以外の金属化合物が析出し、機械的強度や延性などが変化する可能性がある。本実施例のように、100℃以下の皮膜形成液でステンレス鋼にフェライト皮膜を形成することで、このような組織変化(クロム炭化物と金属化合物の生成)が発生することを抑制できる。
本実施例沸騰水型原子炉の制御棒によれば、予め内面に金属酸化物皮膜を付与したシースを支持部材に接合することで、隙間幅の縮小を抑制することができる。
本実施例では、切り出されたステンレス鋼の平板をU字に折り曲げて成型加工を実施(ステップ2)した後に、被覆処理(ステップ3)を実施した。しかし、この被覆処理の工程(ステップ3)は、成型加工を実施(ステップ2)し、ステップ4の仕上げ後に、上部通水孔から被覆材を通水、下部通水孔から排水することで被覆処理を実施することも可能である。
〔実施例2〕
以下に、本発明の他の実施例である沸騰水型原子炉に用いられる制御棒を、図6を用いて説明する。沸騰水型原子炉(BWR)に用いられる本実施例の制御棒100Aは、実施例1の制御棒100においてシース4の全域にわたってフェライト皮膜の形成する替わりに、シースの内面4aのうち、ハフニウム部材の上端の位置からシース全長の1/10の位置の間の範囲にフェライト皮膜を形成した構成を有する。
ここで、本実施例の制御棒100Aがシースの内面4aのハフニウム部材の上端の位置からシース全長の1/10の位置の間の範囲にフェライト皮膜を形成する理由について、図7を用いて説明する。原子炉の運転中での累積の中性子照射量を、図7(b)に示す。制御棒のシースは、図7(b)に示すように、シース内に配置された中性子吸収部材であるハフニウム部材(例えばハフニウム楕円管)の上端部、すなわち、ハフニウム部材の上端の位置とこの上端から下方に向かってシース全長L0の1/10の位置の間の範囲(図7(a)のLa=L0/10の範囲)において原子炉の運転中での累積の中性子照射量が最も大きくなる。これは、その範囲が中性子の高い領域である炉心の軸方向での中央部に位置する期間が長く、また、炉心から引き抜かれる時期が最も遅いからである。原子炉を起動するときに炉心に挿入されていた多数の制御棒の大部分は、昇温昇圧過程が終了した時点で炉心から全引抜されている。原子炉出力を上昇させる時点では、一部の制御棒のみが炉心に挿入されている。これらの制御棒は出力調節用の制御棒である。この出力調節用の制御棒の、ハフニウム部材の上端の位置とこの上端から下方に向かってシース全長の1/10の位置の間の範囲で、累積の中性子照射量が最も大きくなる。このため、本実施例の制御棒100Aでは、シースの内面4aのうちで中性子照射量が大きいハフニウム部材の上端の位置からシース全長の1/10の位置の間の範囲にフェライト皮膜を形成した。
本実施例のフェライト皮膜を形成した制御棒100Aは、実施例1と同様、図3に示す手順で製造される。本実施例では、実施例1の被覆処理(ステップ3)で用いた皮膜形成装置101を、図8に示す皮膜形成装置101Aに替えて、シースの内面4aにフェライト皮膜を形成する。本実施例の皮膜形成液も、実施例1と同様、フェライト皮膜の主成分となる鉄(II)イオンを有機酸で溶解させた溶液と、酸化剤およびpH調整剤を含む溶液の混合液である。
本実施例の皮膜形成装置101Aは、回収容器9,被覆材循環器10,温度調節器11,ノズル12A及び被覆材配管13を備える。被覆材配管13が、被覆材循環器10とノズル12Aを接続し、回収容器9と被覆材循環器10を接続する。被覆材配管13の先端部にノズル12Aが設置される。ノズル12Aは、その全長のうち、下部のLa=L0/10に相当する範囲(シースの内面4aのうちで中性子照射量が大きいハフニウム部材の上端の位置からシース全長の1/10の位置に相当する領域)に、複数の噴霧部7を備える。被覆材循環器10とノズル12の間に温度調節器11が配置される。ノズル12の下方に被覆材回収容器9が配置される。
本実施例では、ノズル12Aの全長のうちで下部のLa=L0/10に相当する範囲にのみ噴霧部7を備えているため、シースの内面4aのうちで所望の領域のみにフェライト皮膜を形成することが可能である。
本実施例の沸騰水型原子炉の制御棒によれば、シースの内面4aのうち、原子炉の運転中で累積の中性子照射量が多い範囲(La=L0/10の範囲)にフェライト皮膜を形成するため、その領域のシース内面と中性子吸収材との隙間部に腐食生成物が堆積することを抑制できるため、隙間幅の縮小が防止でき、制御棒の隙間腐食を抑制することができる。
本実施例のフェライト皮膜形成方法によれば、100℃以下の皮膜形成液でステンレス鋼にフェライト皮膜を形成できるため、施工部の熱膨張量は小さく、変形や組織変化を引き起こさないシースを用いた制御棒を提供することができる。
本実施例沸騰水型原子炉の制御棒によれば、予め内面に金属酸化物皮膜を付与したシースを支持部材に接合することで、隙間幅の縮小を抑制することができる。
さらに、本実施例によれば、シースの内面4aのうちで累積の中性子照射量が最も大きくなる領域のみにフェライト皮膜を形成するため、コストを低減することができる。
1 タイロッド
2 ハンドル
2a ハンドル上部タブ
3 下部支持部材(落下速度リミッタ)
4 シース
4a シース内面
5U,5L ハフニウム部材
6 ピン
7 噴霧部
8 ステンレス鋼板材
9 回収容器
9a 被覆材充填容器
10 被覆材循環器
11 温度調節器
12 ノズル
13 被覆材配管
14 ローラ
15 タブ(突出部)
17 コネクタ
22 ブレード
100,100A 制御棒
101,101A 皮膜形成装置

Claims (5)

  1. 横断面が概略十字形のタイロッドと、概略U字形の横断面形状を有し、内部に中性子吸収材を内包するシースを備えた沸騰水型原子炉用制御棒において、
    中性子吸収材上端から全長の10分の1の範囲のシースの内面にフェライト皮膜を形成することを特徴とする原子炉制御棒。
  2. 前記フェライト皮膜は、鉄を含むフェライト皮膜であることを特徴とする請求項1に記載の原子炉制御棒。
  3. 横断面が概略十字形のタイロッドと、概略U字形の横断面形状を有し、上部及び下部を支持部材で接合されたシース内部に中性子吸収材を備えた沸騰水型原子炉用制御棒の製造方法において、
    中性子吸収材上端から全長の10分の1の範囲のシース内面に、前記フェライト皮膜を形成しシースを支持部材に接合することを特徴とする原子炉制御棒の製造方法。
  4. 前記フェライト皮膜は、鉄を含むフェライト皮膜であることを特徴とする請求項3に記載の原子炉制御棒の製造方法。
  5. 前記フェライト皮膜は、施工部表面温度が100℃以下で施工された皮膜であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の原子炉制御棒の製造方法。
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