JP2016186430A - 原子炉構造部材の防食方法と製造方法、及び原子炉構造部材 - Google Patents

原子炉構造部材の防食方法と製造方法、及び原子炉構造部材 Download PDF

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Abstract

【課題】原子炉構造部材の腐食を効果的に抑制することができる防食方法を提供するとともに、このような防食が施された原子炉構造部材とその製造方法を提供する。
【解決手段】沸騰水型原子炉を構成する金属製の構造部材6の原子炉冷却材と接する表面に、タンタルからなる層14を形成するタンタル富化層形成工程S5と、タンタルからなる層14の表面に、タンタルからなる層14の表面部に存在するタンタルを酸化してTaを含む酸化物15を形成する酸化物形成工程S8とを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、原子炉を構成する構造部材の防食方法と製造方法、及び原子炉を構成する構造部材に関する。
水溶液中に存在する金属部材同士が近接又は接触して隙間を形成する部位(以下、「隙間部」又は「隙間」と称する)では、金属部材に接触する水溶液に含まれる酸素が消費されるため、酸素が豊富に存在する隙間外と酸素が消費される隙間内とで酸素濃淡電池が形成される。このため、隙間内の表面は腐食反応が維持されやすい状態となることがある。原子炉内に配置されたステンレス鋼製の機器や構造部材によって形成された隙間部の近傍において、機器や構造部材が接している原子炉冷却材(以下、「冷却材」と称する)へ放射線が照射されて酸素や過酸化水素などの酸化剤が生成した場合、腐食反応が進行しやすい環境になる。例えば、沸騰水型原子炉(BWR)内に設置され炉心内に挿入されて原子炉の出力を制御する原子炉制御棒は、冷却材である水に接しているとともに隙間部を有する場合があり、かつ、供用中は常に放射線の照射場におかれるので、腐食反応が進行しやすい。
沸騰水型原子炉で用いられる原子炉制御棒として、シース内に中性子吸収部材である管状のハフニウム楕円管を複数配置してブレードを構成し、4枚のブレードをタイロッドを中心に十字形に配置した原子炉制御棒がある。この原子炉制御棒は、横断面形状が十字形になっており、タイロッドに取り付けられたU字状のシースを有する。タイロッドの上端部にはハンドルが取り付けられ、タイロッドの下端部には下部支持部材が取り付けられる。ハンドルには、シースの上端が取り付けられ、下部支持部材には、シースの下端が取り付けられる。上部ハフニウム楕円管及び上部ハフニウム楕円管の下方に配置された下部ハフニウム楕円管が、シース内に配置される。上部ハフニウム楕円管の上端部が、ハンドルに設けられた舌状部に取り付けられる。下部ハフニウム楕円管の下端部が、下部支持部材に設けられた他の舌状部に取り付けられる。各ハフニウム楕円管とシースの内面の間には、隙間部(例えば、間隔が0.1〜0.2mmの隙間)が形成される。
シースには、この隙間と外部とを連結する開口部が複数形成される。原子炉制御棒が炉心に挿入されている原子炉の運転中において、炉心を流れる冷却材が、この開口部を通して各ハフニウム楕円管とシースの内面との間に形成された隙間に導入され、隙間内を上昇して流れる。中性子を吸収して温度が上昇したそれぞれのハフニウム楕円管が、この冷却材によって冷却される。
原子炉の運転中に、シースとハフニウム楕円管との隙間内への腐食生成物の堆積などの理由によって、この隙間の幅が変化し、隙間内での冷却材の流動が妨げられる可能性がある。
原子炉内の冷却材は、核燃料物質の核分裂反応により発生する中性子及びγ線が照射されることによって放射線分解し、酸化剤が生成する。沸騰水型原子炉の炉心近傍では、冷却水の放射線分解により、例えば、酸素及び過酸化水素などの酸化剤が常に生成されるので、冷却水は、酸素及び過酸化水素などの酸化剤を含んでいる。これらの酸化剤は、原子炉制御棒のシース内に形成される隙間内に存在する冷却材にも含まれる。冷却材に含まれる酸化剤は、シース表面から電子を奪い、最終的には水に還元される。
原子炉制御棒の隙間内は、冷却材の量及び冷却材の放射線吸収線量が少なく酸化剤の生成量が少ないために、また、酸化剤が還元反応によって消費されるために、酸化剤の濃度が隙間外(例えば、原子炉制御棒の外側)よりも低い。このため、酸化剤がシース表面から電子を奪う還元反応は、隙間内では少なく、隙間外のバルクの冷却材に接している部位では多くなる。このため、隙間内の腐食電位が隙間外よりも卑になることが知られている。
一方、還元反応の対反応として酸化反応が生じる。主たる酸化反応は、シースを構成する材料がイオン化して溶出する反応である。この酸化反応によりFe、又はFeが生成し、シース表面に酸化皮膜が形成される。前述したように、酸化剤は冷却材の放射線分解によって生成されるので、冷却材の容積が小さい隙間では低酸素濃度になるため、隙間に対向するシース内面では酸化皮膜の成長が妨げられる。一方、隙間部以外の部位では、酸化皮膜が成長して酸化皮膜の厚さが厚くなる。酸化皮膜の形成により溶出速度が低下するため、隙間外よりも隙間内でシースの溶出が容易に生じる状態となる。
これにより隙間内外で酸素濃淡電池が形成され、シースの隙間内の表面がアノードに、隙間外の表面がカソードに固定されて腐食が進行するマクロセルが形成され、アノードとなった隙間内面で優先的にシースの母材が溶出する、すなわち腐食が発生する可能性がある。このように、アノードとカソードが分離して特定部位のみが選択的に腐食される形態の腐食は、「マクロセル腐食」と呼称される。
以上をまとめると、原子炉の起動直後では、原子炉制御棒のシース全表面に酸化皮膜が形成されていないために、シースは全面腐食の形態をとるが、原子炉の定格運転中では、前述した冷却水の放射線分解によって生成される酸素及び過酸化水素などの酸化種が存在する箇所において酸化皮膜が生成される。このため、原子炉の定格運転が継続されると原子炉制御棒のシース表面に酸化皮膜が形成されるが、ハフニウム楕円管(中性子吸収部材)とシースとの間に形成された隙間において冷却水の流動が著しく滞る箇所が生じた場合には、隙間に面するシース内面とそれ以外の部位で酸化皮膜の厚さに差異を生ずる可能性がある。このために、酸化皮膜が薄い隙間に対向するシース内面のみで選択的に溶出する隙間腐食が生じる可能性がある。
原子炉制御棒内に形成された隙間に面するシース内面に生じる隙間腐食を抑制するための技術として、例えば特開2010−164508号公報には、原子炉制御棒の構造部材の表面に耐食性の皮膜を形成する方法が記載されている。この方法では、原子炉制御棒のシース(ステンレス鋼製)における隙間腐食を防止するために、ハフニウム楕円管に対向するシースの内面に、Cr,Zn,Zr,Ti及びHfのいずれかの皮膜を形成する。また、特開2008−7851号公報には、配管内面に形成された酸化物薄膜上に、TiO,TiO,MoO,Cr,NiO,ZrO,TaO,及びWOのうち少なくとも1つからなる酸化化合物を付着させ、外的要因を付加することで酸化物薄膜上に腐食抑制皮膜を形成する腐食抑制皮膜生成方法が記載されている。
また、特開平6−193781号公報には、油井等において異種金属管材を継ぐ場合に生じる電食および隙間腐食を防止するために、比抵抗が10Ωcm以上の絶縁性セラミックス被膜(Al,Si,Ta,SiO,AlN,BN、ZrO)が形成された電食防止用絶縁管材が記載されている。
特開2010−164508号公報 特開2008−7851号公報 特開平6−193781号公報
原子炉内に配置されて炉心に出し入れされる原子炉制御棒は、上下方向の動作を繰り返すためにブレードに引張応力及び圧縮応力が繰り返し付与され、また、原子炉の起動時にシース内のハフニウム楕円管の表面温度が室温から約300℃の範囲で変動する。さらに、原子炉制御棒には放射線が照射される。このため、例えば、特開2010−164508号公報に記載されたようにシースの内面に皮膜を形成した場合や、特開2008−7851号公報に記載されたように配管内面の酸化物薄膜上に腐食抑制皮膜を形成した場合には、形成された皮膜でのひび割れの発生、及び形成された皮膜の剥離が懸念される。
形成された皮膜にひび割れが発生したり皮膜が剥離したりした場合には、ひび割れや剥離が生じた位置でシースや配管の母材が露出するために、これらの位置において母材の腐食が進行しやすくなったり母材の腐食を防げなかったりする可能性がある。このため、原子炉を構成する構造部材(特に隙間部)での腐食を、より効果的に抑制する方法が望まれている。また、シースそのものにジルコニウム等の耐食性金属を用いると、ジルコニウムはステンレス鋼に比べて密度が大きいため、原子炉制御棒全体の重量が増加する。このため、このような原子炉制御棒は、機器仕様を満足しないことが懸念される。
本発明の目的は、原子炉を構成する構造部材(原子炉構造部材)の腐食を効果的に抑制することができる防食方法を提供するとともに、このような防食方法が施された原子炉構造部材とその製造方法を提供することである。
本発明による原子炉構造部材の防食方法と製造方法は、次のような特徴を備える。沸騰水型原子炉を構成する金属製の構造部材の原子炉冷却材と接する表面に、タンタルからなる層を形成するタンタル富化層形成工程と、タンタルからなる前記層の表面に、タンタルからなる前記層の表面部に存在するタンタルを酸化してTaを含む酸化物を形成する酸化物形成工程とを有する。
本発明によれば、原子炉を構成する構造部材の腐食を効果的に抑制することができる防食方法を提供でき、このような防食方法が施された原子炉構造部材とその製造方法を提供することができる。
本発明の実施例1での原子炉制御棒の構成図である。 図1のA−A’断面図である。 図2の部位Bの断面図である。 原子炉制御棒のシースの内表面にTaを含む酸化物を形成する工程のフローチャートである。 原子炉制御棒の組み立ての工程図である。 SUS304L鋼、SUS316L鋼、タンタル添加ステンレス鋼、及び純タンタルで製作された電極の、模擬水溶液中におけるアノード分極曲線の測定結果である。 実施例1での、タンタル富化層の表面にTaを含む酸化物を形成する酸化物形成装置の構成を示す図である。 図7Aに示した酸化物形成装置を側方から見た図である。 本発明の実施例2での、タンタル富化層の表面にTaを含む酸化物を形成する酸化物形成装置の構成を示す図である。 図8Aに示した酸化物形成装置を側方から見た図である。
本発明では、沸騰水型原子炉(BWR)を構成する金属製の構造部材(原子炉内の機器も含む)の、原子炉冷却材と接する表面の一部又は全面に、タンタルからなる層(以下、「タンタル富化層」と称する)を形成し、さらに、タンタル富化層の表面に、Taを含む酸化物を形成する。Taを含む酸化物と原子炉の構造部材の母材との間にタンタル富化層が形成されているので、Taを含む酸化物の層にひび割れが発生したり、Taを含む酸化物の層の一部が剥離したりしても、タンタル富化層の存在により母材が原子炉冷却材(以下、「冷却材」と称する)に接触することがない。このため、原子炉を構成する構造部材(特に隙間部)において、腐食の発生及び進展を効果的に抑制することができる。なお、Taを含む酸化物は、Taを主成分として含むが、原子炉の構造部材に含まれる成分の酸化物(例えば、原子炉の構造部材がステンレス製の場合はFeやCrの酸化物)を含み、タンタル富化層の表面に分散して存在すると考えられる。
原子炉を構成する構造部材(原子炉構造部材)の隙間腐食は、特に、金属製の構造部材(金属部材)同士の間隔が0.3mm以下の隙間で発生することが知られている。本発明は、このような隙間部での隙間腐食の発生及び進展を抑制する場合にも有効である。原子炉を構成する金属部材とは、例えば、ステンレス鋼、ニッケル基合金、及びジルコニウム合金のうち少なくとも1つからなる構造部材である。なお、「隙間部」とは、金属部材同士が近接又は接触し金属部材同士の間で隙間が形成された部位であり、単に「隙間」とも称する。
初めに、本発明に至る経緯を説明する。発明者らは、特許文献1(特開2010−164508号公報)に記載されたシースの内面に形成された皮膜(Cr等の皮膜)について、この皮膜が不完全に形成される場合及びこの皮膜にひび割れや剥離が発生する場合に、シースの隙間部の母材での腐食の発生及び進展を抑制できる方法について検討した。
この検討に際して発明者らが行った実験について説明する。発明者らは、原子炉内を模擬した温度の水溶液(模擬水溶液)中で、ステンレス鋼、タンタルを微量添加したステンレス鋼、及び純タンタルについてのアノード分極曲線を測定し、それぞれを比較した。原子炉構造部材の隙間や亀裂の内部には硫酸などのアニオンがバルク水の数百倍に濃縮することが知られているため、純水に1ppmの硫酸を添加することで、隙間内の水質を模擬した。隙間内は、前述のように酸化剤濃度が低くなるため、隙間外よりも卑な電位となる。このため、模擬水溶液中で測定したアノード分極曲線のうち、約−0.3〜−0.5Vvs.SHEの低い電位領域における挙動から、隙間内模擬水溶液中における腐食特性を評価した。以下に詳細を述べる。
水溶液に浸漬された金属部材の腐食反応は、金属部材と水溶液に含まれる成分との間での電荷の授受である。腐食とは、式(1)に従って、金属部材に含まれる金属Mが金属イオンMn+となって金属部材に接触する液相に溶出する事象である。
M → Mn+ + ne (1)
よって、金属部材の表面の固液界面における電荷の授受量を電流として評価することにより、金属部材の腐食速度の大小を判断することができる。
そこで、発明者らは、模擬水溶液に浸漬された金属部材に対し、金属部材の表面と水との電荷授受のしやすさが、金属部材を構成する元素によってどのような影響を受けるかについて検討した。具体的には、沸騰水型原子炉(BWR)の炉内を模擬した温度を持ち、原子炉構造部材の隙間内に存在する冷却材を模擬した水溶液中で、アノード分極曲線を測定した。隙間内の冷却材の水質は、脱気した硫酸1ppm水溶液で模擬した。この水溶液に、SUS304L鋼、SUS316L鋼、及びSUS304鋼に約0.6wt%のタンタルを添加した材料(以下、「タンタル添加ステンレス鋼」と称する)の試験片をそれぞれ浸漬させ、これらの試験片のアノード分極曲線を測定した。さらに、タンタル自体の腐食特性を調べるために、純タンタルの試験片のアノード分極曲線を測定した。
アノード分極曲線を測定する実験は、BWRの炉内環境を模擬する条件の下に行った。すなわち、導電率0.1μS・cm−1以下の水を用い、沸騰を防ぐためにこの水を8MPaに加圧し、水の温度を280℃に保持し、隙間内の冷却材の水質を模擬するためにこの水に濃度1ppmとなるよう硫酸を添加して模擬水溶液を作成し、この模擬水溶液を内部に試験片を装荷した高温槽内に導いた。試験片として、上述したように、SUS304L鋼、SUS316L鋼、タンタル添加ステンレス鋼、及び純タンタルのそれぞれで製作された電極を用いた。それぞれの電極を高温槽内で前記の模擬水溶液に浸漬し、前記の条件で実験を行った。アノード分極曲線の測定は、ポテンショスタットを用いてそれぞれの電極に電位を印加し、電位を変化させたときの電流を測定することにより行った。
図6は、SUS304L鋼、SUS316L鋼、タンタル添加ステンレス鋼、及び純タンタルで製作された電極の、模擬水溶液中におけるアノード分極曲線の測定結果である。
アノード分極曲線の電流密度(図6の縦軸)は、式(1)に従って単位時間・単位面積当たりに試験片の表面からイオン化して液相に溶出する金属の量、すなわち単位面積当たりの金属の溶出速度を示している。図6の横軸の電位は、電極の材料内の電子の最大エネルギーを示している。このため、図6に示した各電極の分極曲線は、電極(試験片)内の電子を人工的に出し入れすることで腐食環境強度を変化させた場合の腐食特性を表している。
分極曲線を比較検討した結果、図6に示したタンタル添加ステンレス鋼の模擬水溶液(硫酸1ppm水溶液)中における電流密度は、約−0.4Vvs.SHEの低電位域において、SUS304L鋼とSUS316L鋼よりも少なくとも1桁低くなることが分かった。約−0.4Vvs.SHEの電位におけるSUS304L鋼とSUS316L鋼の電流密度は約2μA・cm−2であるが、この電位におけるタンタル添加ステンレス鋼の電流密度は、検出限界(0.1μA・cm−2)以下であり、SUS304L鋼とSUS316L鋼の電流密度の1/20以下と非常に低い値になる。すなわち、タンタル添加ステンレス鋼は、隙間内の冷却材に晒され、かつ低酸化剤濃度で低電位となる場合の腐食速度が、SUS304L鋼とSUS316L鋼よりも少なくとも1桁遅くなることが示された。
また、タンタル添加ステンレス鋼の模擬水溶液中における電流密度が、純タンタルの分極曲線と類似の挙動を示したことから、タンタル添加ステンレス鋼の腐食特性は、含有元素であるタンタルの分極特性が支配的となって決定され、腐食速度が低くなっているものと推定した。
タンタルは5価が最も安定であり、酸化するとその表面にTaが形成されるため高い耐食性を有する。Taは、幅広い電位条件とpH条件で熱力学的に安定な固体である。このことから、タンタル添加ステンレス鋼では、電位の印可によって表面にTaが形成され、腐食速度が遅くなり、高耐食性が得られると判断した。
このため、発明者らは、原子炉構造部材が原子炉圧力容器内に設置される前に、予め原子炉構造部材の表面にTaを含む酸化物を形成することによって、原子炉構造部材の腐食速度を低減できると考えた。さらに、発明者らは、Taを含む酸化物と原子炉構造部材との間にタンタル富化層を設けておくと、原子炉の供用中に機械的原因等によってTaを含む酸化物が喪失した場合でも、喪失したTaを含む酸化物をタンタル富化層により回復することができると考えた。これは、純タンタルの特性上、BWRの炉内で指示しうる電位範囲(−0.5〜0.2Vvs.SHE)ではTaが安定であるために、酸化反応によってタンタル富化層のタンタルからTaが形成され、Taを含む酸化物を回復(再形成)できるからである。発明者らは、このような、より長期間にわたって原子炉構造部材の耐食性を維持できる方法を見出した。
本発明を適用する原子炉構造部材の一例として、原子炉制御棒を構成する部材を挙げることができる。この場合には、原子炉制御棒が原子炉圧力容器内に設置される前に、中性子吸収部材(例えば、ハフニウム部材)に面するシースの内面に、予めTaを含む酸化物を形成することによって、原子炉の供用中に低電位かつ硫酸イオンが濃縮した隙間環境が形成された場合であっても、−0.4Vvs.SHEの近傍の電位域におけるシース内面の電流密度が、約2μA・cm−2から0.1μA・cm−2以下に減少し、SUS304L鋼とSUS316L鋼の約1/20に低減されるため、シース内面の腐食速度を低減できる。さらに、Taを含む酸化物とシースとの間にタンタル富化層を設けておくと、原子炉の供用中に機械的原因等によってTaを含む酸化物が喪失した場合でも、喪失したTaを含む酸化物をタンタル富化層により回復することができ、より長期間にわたってシースの隙間部の内表面の耐食性を維持できる。
さらに、発明者らは、本発明を適用する原子炉構造部材が原子炉制御棒を構成する部材の場合に、制御棒のシースの内表面に、表面から少なくとも10μmの厚さ(深さ)の範囲内にTaを含む酸化物を形成させると、制御棒の供用期間中にシースの内表面の耐食性を維持できることを見出した。電流密度が0.1μA・cm−2のときのタンタルの腐食速度を求めると約1μm・年−1であり、BWR用制御棒のおおよその使用期間が約3〜4年であることから、Taを含む酸化物の厚さが3〜4μm以上であれば供用期間中に耐食性を維持できる。耐食性を確実に維持するためには、Taを含む酸化物は、厚さが少なくとも10μmの層内に存在するのが好ましい。
以上の検討により、発明者らは、原子炉制御棒の製造工程において、シース内に配置される中性子吸収部材に面しているシースの内面にタンタル富化層を形成し、形成されたタンタル富化層の表面にTaを主成分として含む酸化物を形成することによって、シースの内表面に、タンタル富化層とタンタル富化層上のTaを含む酸化物とを形成することを思い至った。この防食のための構成において、(a)シースの接液面に形成されたTaを含む酸化物は、中性子吸収部材とシース内面との間に形成された隙間を流れる冷却材(冷却水)へのシース内面からの単位時間あたりの金属の溶出量、すなわち、シースの腐食速度を低減させる。また、(b)Taを含む酸化物とシースとの間に形成されたタンタル富化層は、タンタル富化層の上(外側)のTaを含む酸化物が溶解、剥離、又はその他の理由によって喪失しても、タンタル富化層の表面に、タンタル富化層の酸化反応によってTaを含む酸化物を回復(再形成)させる。このため、シースの内表面(特に隙間部での内表面)の耐食性を維持することができ、腐食の抑制及び腐食速度の低減が実現できる。
上記の検討結果を反映した本発明の実施例を、以下に説明する。以下では、本発明を適用する原子炉構造部材(原子炉を構成する構造部材)として、原子炉制御棒を構成する部材を例に挙げて説明する。ただし、本発明は、原子炉構造部材(原子炉内の機器も含む)であれば、原子炉制御棒以外を構成する部材にも適用できる。
本発明の実施例1による原子炉構造部材の防食方法と製造方法を説明する。本実施例は、沸騰水型原子炉(BWR)に用いられる原子炉制御棒に、本発明による原子炉構造部材の防食方法と製造方法を適用する例である。初めに、原子炉制御棒について、図1、図2及び図3を用いて説明する。
図1は、本実施例での原子炉制御棒の構成図である。原子炉制御棒1は、横断面が十字形をしており、軸心に十字型のタイロッド7が配置され、このタイロッド7から四方に伸びる4枚のブレード2を有する。タイロッド7には、上端部にハンドル5が取り付けられ、下端部に下部支持部材8が取り付けられる。下部支持部材8は、下部支持板(又は落下速度リミッタ)である。下部支持部材8には、複数のローラ4が回転可能に取り付けられる。これらのローラ4は、炉心に装荷されている燃料集合体のチャンネルボックスの外面と接触し、原子炉制御棒1を燃料集合体間で円滑に上下移動させる機能を有する。
各ブレード2は、横断面がU字状のステンレス鋼(SUS316L鋼等)製のシース6と、扁平な筒状(例えば横断面が楕円形状の筒)のハフニウム部材3U,3Lを有する。シース6は、上端がハンドル5に溶接され、下端が下部支持部材8に溶接されている。シース6のU字の両端部には、複数のタブ(突出部)13が軸方向において所定の間隔を置いて形成されている。これらのタブ13は、シース6の一部であり、タイロッド7に向かって突出している部分である。これらのタブ13は、溶接によってタイロッド7の側面に接合されている。シース6とハンドル5、下部支持板8、及びタイロッド7は、例えばレーザ溶接によって接合される。
1つのブレード2のシース6内に形成される空間内で原子炉制御棒1の軸方向に、2つのハフニウム部材3U及び2つのハフニウム部材3Lが配置されている。ハフニウム部材3Uはハフニウム部材3Lの上方に位置しており、ハフニウム部材3U,3Lの軸方向の長さは同じである。ハフニウム部材3Uは、ハンドル5の下端部に形成された舌状部10Uにピン11Uで取り付けられている。ハフニウム部材3Lは、下部支持部材8の上端部に形成された舌状部10Lにピン11Lで取り付けられている。このように、ハフニウム部材3Uは、上端部がハンドル5に取り付けられ、ハフニウム部材3Lは、下部支持板8に取り付けられている。これらのハフニウム部材3U,3Lは、中性子吸収部材である。
図2は、図1のA−A’断面図である。1つのブレード2の横断面(図1のA−A’断面)において、2つのハフニウム部材3Uは、シース6内で互いに並列に配置され、かつタイロッド7と並列に配置される。2つのハフニウム部材3Lも、ハフニウム部材3Uと同様に、シース6内で互いに並列に配置され、かつタイロッド7と並列に配置される。
図3は、図2の部位Bの断面図である。図3は、ハフニウム部材3Uを含む部位Bの断面図であるが、ハフニウム部材3Lを含む部位の断面図も、図3と同様である。
ハフニウム部材3U,3Lに対向してハフニウム部材3U,3Lとの間で隙間16を形成するシース6の内表面には、シース6を覆うようにタンタル富化層14が形成される。タンタル富化層14の表面には、Taを含む酸化物15がタンタル富化層14を覆うように形成される。従って、シース6の内面には、タンタル富化層14及びTaを含む酸化物15が、この順番で形成されている。Taを含む酸化物15は、ハフニウム部材3U,3Lに対向し、タンタル富化層14は、Taを含む酸化物15を挟んでハフニウム部材3U,3Lに対向している。シース6の内部、具体的にはTaを含む酸化物15とハフニウム部材3U,3Lとの間に、冷却材(冷却水)が流れる隙間16が形成される。
図1に示すように、複数の開口部9Uがシース6の上部に形成され、複数の開口部9Lがシース6の下部に形成される。また、複数の開口部12Uが各ハフニウム部材3Uに形成され、複数の開口部12Lが各ハフニウム部材3Lに形成される。下部支持部材8の下端部には、原子炉制御棒1を制御棒駆動機構(図示せず)に連結するコネクタ17が備えられる。
本実施例における、タンタル富化層14及びTaを含む酸化物15が形成されたシース6を有する原子炉制御棒1は、例えば、次のようにして製造できる。シース6の母材であるステンレス鋼製の板状部材の一方の表面(片面)に、スパッタリングや蒸着等によってタンタル富化層14を形成する。その後、形成したタンタル富化層14の表面に熱及び酸素を供給することでタンタルを酸化させて、タンタル富化層14の表面にTaを含む酸化物15を形成させる。Taを含む酸化物15が存在する層の厚さは、10μm以上とする。
図4、図5、及び図7を用いて、本実施例での原子炉制御棒1の製造方法を説明する。
図4は、原子炉制御棒1のシース6の内表面にTaを含む酸化物を形成する工程のフローチャートである。
ステップS1では、シース6を加工する。シース6の素材であるステンレス鋼製の板状部材に複数の開口部9U,9Lを設け、その後、この板状部材をU字状に折り曲げてシース6を製作する。
ステップS2では、シース6の表面に活性化処理を行う。活性化処理は、シース6の表面に形成された不働態皮膜を除去する処理である。シース6の表面に形成された不働態皮膜は、例えば、シュウ酸水溶液及び過マンガン酸カリウム水溶液を用いて除去される。最初に、シュウ酸水溶液を不働態皮膜が形成されたシース6の表面に接触させ、その後、過マンガン酸カリウム水溶液をその表面に接触させて、不働態皮膜を除去する。
ステップS3では、シース6を洗浄する。不働態皮膜を除去したシース6の表面を、純水で洗浄する。
ステップS4では、シース6を乾燥させる。ステップS3で洗浄されたシース6の表面に空気を吹き付けて、シース6を乾燥させる。
ステップS5では、シース6の内表面にタンタル富化層14を形成する。ステップS4で乾燥させたシース6の内面に、スパッタリング法によりタンタルの薄膜を形成し、タンタル富化層14を形成する。図4の右上の図は、表面(内面)にタンタル富化層14が形成されたシース6の一部を示している。形成するタンタル富化層14の厚さは、任意に定めることができるが、後述するステップS8でタンタル富化層14の表面部に存在するタンタルを用いてTaを含む酸化物15を生成することを考慮し、原子炉の供用中に必要なタンタル富化層14の厚さ(例えば10μm)よりも厚くする必要がある。例えば、タンタル富化層14の厚さは、20μmとすることができる。
なお、タンタル富化層14の形成は、スパッタリング法以外の方法を用いてもよく、例えば、物理蒸着法、化学蒸着法、溶射法及びコールドスプレイ法のうちのいずれかの方法によって、シース6の内面にタンタル富化層を形成してもよい。
ステップS6では、タンタル富化層14を形成したシース6を、ステップS3と同様に洗浄する。
ステップS7では、ステップS6で洗浄されたシース6を、ステップS4と同様に乾燥させる。
ステップS8では、タンタル富化層14の表面に、Taを含む酸化物15を形成する。ステップS7でシース6の乾燥が終了した後に、シース6の内面に形成されたタンタル富化層14の表面に、Taを含む酸化物15(Taを含む酸化物の層)を形成する。図4の右中の図は、タンタル富化層14の表面にTaを含む酸化物15が形成されたシース6の一部を示している。このTaを含む酸化物15の形成は、図7A、図7Bを用いて説明する酸化物形成装置30を用いて行われる。
図7Aは、タンタル富化層14の表面にTaを含む酸化物15を形成する酸化物形成装置30の構成を示す図である。図7Bは、図7Aに示した酸化物形成装置30を側方から見た図である。
図7Aに示すように、酸化物形成装置30は、管状ノズル31、ガイドレール33、走行装置34、加熱装置35、及びガスボンベ36を備える。管状ノズル31は、ステンレス鋼製であり、複数の噴出孔32が形成されている。ガイドレール33は、走行装置34を案内する。走行装置34は、ガイドレール33に沿って移動可能であり、管状ノズル31が下方に向かって伸びるように取り付けられている。ガスボンベ36は、加圧された空気を蓄えており、可撓性の流体搬送管37が接続される。加熱装置35は、流体搬送管37に設けられ、ガスボンベ36から流体搬送管37を通って流れてきた空気を加熱する。管状ノズル31は、流体搬送管37が接続され、加熱装置35で加熱された空気を噴出孔32から噴出する。
図7Bは、酸化物形成装置30の管状ノズル31が、U字状のシース6の対向する内面間に挿入されている状態を示している。図7Bに示すように、管状ノズル31の外径は、U字状のシース6の対向する内面間の距離よりも小さい。
図7Bに示すように、内面にタンタル富化層14が形成されたシース6は、保持装置(図示せず)に取り付けられて、U字状の下端部(U字状の底部)が下方になるように設置される。ガイドレール33は、支持装置(図示せず)に取り付けられて、シース6の上端部(U字状の上部にある開放端部)よりも上方に、シース6の上端部と並行して延伸するように配置される。走行装置34に取り付けられた管状ノズル31は、シース6の上端部(開放端部)からシース6の対向する内面間に挿入されている。管状ノズル31に形成された各噴出孔32は、シース6の内面に垂直な方向を向いている。管状ノズル31は、走行装置34をガイドレール33に沿って移動させることにより、シース6の長手方向の一端から他端(図7Aの左から右の方向、又は右から左の方向)に向かってシース6の内部を移動する。
シース6の内面に形成されたタンタル富化層14の表面へのTaを含む酸化物15の形成(図4のステップS8)を開始するとき、管状ノズル31は、シース6の長手方向の一端に位置している。Taを含む酸化物15の形成が開始されると、ガスボンベ36内の加圧された空気は、ガスボンベ36に設けられた弁(図示せず)を開くことによって、流体搬送管37を通って加熱装置35に供給される。加熱装置35は、この空気を100℃〜400℃の範囲内の温度、例えば400℃に加熱する。空気の温度がこの範囲内であれば、タンタル富化層14の表面部に存在するタンタルを酸化してTaを含む酸化物15を形成することができる。加熱装置35で加熱された空気は、加熱装置35から排出され、流体搬送管37により管状ノズル31に供給される。管状ノズル31に供給された空気は、複数の噴出孔32からシース6の内面に形成されたタンタル富化層14に向かって噴出する。なお、ガスボンベ36内の空気は、噴出孔32からシース6に噴出できる程度に加圧される。
噴出した空気は、シース6の内面に形成されたタンタル富化層14の表面に、タンタル富化層14に含まれるタンタルを酸化してTaを含む酸化物15を形成するために必要な熱及び酸素を供給する。加熱された空気が複数の噴出孔32から噴出することにより、タンタル富化層14の表面部のタンタルが酸化され、Taを含む酸化物15がタンタル富化層14の表面に形成される。
このようにしてタンタル富化層14の表面部のタンタルに熱と酸素を供給することにより、Taを含む酸化物15を、タンタル富化層14の表面を覆うように形成することができる。Taを含む酸化物15は、Taを主成分として含むが、シース6の素材であるステンレス鋼板の成分であるFeやCrの酸化物を含む。Taは、タンタル富化層14の表面に分散して存在すると考えられる。
本実施例では、タンタル富化層14に空気を供給したが、20%以上の濃度の酸素を含む気体であれば、空気以外の気体を供給することができる。空気以外の気体も、100℃〜400℃の範囲内の温度に加熱してタンタル富化層14に供給する。
管状ノズル31は、ガイドレール33に沿って走行する走行装置34によって、シース6の長手方向の一端から他端に向かって所定の速度で移動しながら、加熱された空気をタンタル富化層14の表面に噴出する。複数の噴出孔32から噴出された加熱された空気の作用によって、シース6に形成されたタンタル富化層14の表面に所望の厚さ(例えば10μm)のTaを含む酸化物15が存在する層が形成される。管状ノズル31が、シース6の他端に到達したとき、管状ノズル31からの加熱された空気の噴出が停止し、管状ノズル31の移動も停止する。この結果、Taを含む酸化物15の生成が終了し、所望の厚さのTaを含む酸化物15が存在する層が、シース6の長手方向の全長に亘って、タンタル富化層14の表面に形成される。
Taを含む酸化物15が存在する層の厚さは、タンタル富化層14に供給する酸素の量(濃度)と温度を定めて、走行装置34の移動速度と形成されるTaを含む酸化物15が存在する層の厚さとの相関関係を予め測定しておき、この相関関係に基づいて走行装置34の移動速度を制御することによって調節することができる。すなわち、予め求めたこの相関関係に基づき、Taを含む酸化物15が所望の厚さ(例えば10μm)の層内に存在するように、走行装置34の移動速度を制御する。このように走行装置34の移動速度を制御すれば、タンタル富化層14の表面に形成されるTaを含む酸化物15が存在する層の厚さは、所望の厚さとなる。
Taを含む酸化物15の形成を行っている間、加熱装置35から管状ノズル31に供給する空気の温度と、この空気が当たっているシース6の内面の温度とが、熱電対などの温度測定装置により測定され、監視される。管状ノズル31に供給する空気の温度が設定温度からずれた場合には、加熱装置35による加熱量を制御する。
図4のステップS5で形成されたタンタル富化層14(厚さを20μmとする)に含まれるタンタル(図4の右上の図を参照)のうち、タンタル富化層14の表面からシース6に向かう所望の厚さ(10μmとする)の領域に存在するタンタルが、ステップS8で酸化されてTaを含む酸化物15になる。このため、Taを含む酸化物15の形成が終了した時点では、シース6の内面に厚さ10μmのタンタル富化層14が形成され、タンタル富化層14の表面に厚さ10μmのTaを含む酸化物15が存在する層が形成されている(図4の右中の図を参照)。
Taを含む酸化物15は、例えば以下の(A)〜(F)のいずれか1つの方法により、タンタル富化層14の表面部に存在するタンタルを酸化して、タンタル富化層14の表面に形成することもできる。方法(A)は、100℃〜400℃の範囲内の温度の水蒸気をタンタル富化層14に吹き付けて、タンタル富化層14の表面部に存在するタンタルを酸化させる水蒸気酸化法である。方法(B)は、100℃〜400℃の範囲内の温度の純水をタンタル富化層14に吹き付けて、タンタル富化層14の表面部に存在するタンタルを酸化させる高温水酸化法である。方法(C)は、常温(例えば、15℃)の液体酸化剤をタンタル富化層14に吹き付けて、タンタル富化層14の表面部に存在するTaを酸化させる化学酸化法である。方法(D)は、常温(例えば、15℃)の導電性水溶液(例えば、100mMol・kg−1の硫酸ナトリウム水溶液)をタンタル富化層14に接触させると共に、シース6の内面の固液界面に電場を印加してタンタル富化層14の表面部に存在するタンタルを酸化させる電気化学酸化法である。方法(E)は、内面にタンタル富化層14を形成したシース6を高周波誘導により加熱する電磁気的酸化法である。方法(F)は、タンタル富化層14にヒータを接触させることにより、タンタル富化層14の表面部に存在するタンタルを酸化させる物理的酸化法である。
ここで、図4に示したフローチャートの説明に戻る。
ステップS9では、原子炉制御棒1を組み立てる。ステップS8でシース6の内面にTaを含む酸化物15を形成した後、原子炉制御棒1の組み立てが開始される。原子炉制御棒1の組み立て工程を、図5を用いて簡単に説明する。
図5は、原子炉制御棒1の組み立ての工程図である。ハンドル5の舌状部10Uに、ハフニウム部材3Uをピン11Uで取り付ける。このハンドル5を、タイロッド7の一端に接合する。ローラ4及びコネクタ17が取り付けられた下部支持部材8の舌状部10Lに、ハフニウム部材3Lをピン11Lで取り付ける。この下部支持部材8が、タイロッド7の他端に接合される。図4のステップS5で内面にタンタル富化層14が形成されステップS8でタンタル富化層14の表面にTaを含む酸化物15が形成されたシース6が、ハンドル5、タイロッド7及び下部支持部材8にレーザ溶接により接合される。ハフニウム部材3U,3Lが、シース6の対向する内面間に配置され、シース6に形成されたTaを含む酸化物15に向き合っている。このようにして、原子炉制御棒1が製造される。
ここで、図4に示したフローチャートの説明に戻る。
ステップS10では、製造された原子炉制御棒1を、沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に装荷する。ステップS10は、原子炉圧力容器内への原子炉制御棒1の装荷時期を明確にするために図4に記載しただけであり、原子炉制御棒1の製造工程には含まれない。
原子炉圧力容器内に装荷された原子炉制御棒1は、下部支持部材8の下端部に設けられたコネクタ17によって、原子炉圧力容器の底部に設けられた制御棒駆動機構に連結される。原子炉制御棒1は、原子炉の出力を制御するために、複数の燃料集合体が装荷された炉心内に制御棒駆動機構によって出し入れされる。制御棒駆動機構は、原子炉制御棒1の炉心内への挿入操作、及び原子炉制御棒1の炉心からの引き抜き操作を行う。
原子炉圧力容器内を流れる炉水(冷却水)は、シース6に形成された開口部9Lからシース6内に流入し、ハフニウム部材3U,3Lを冷却して他の開口部9Uからシース6の外に流出する。シース6内に流入した炉水の一部は、ハフニウム部材3Uに形成された小径の開口部12Uを通ってハフニウム部材3U内に流入し、また、ハフニウム部材3Lに形成された小径の開口部12Lを通ってハフニウム部材3L内に流入する。このように、炉水がハフニウム部材3U,3L内に流入することによって、ハフニウム部材3U,3Lの冷却効果が増大される。シース6内に流入した炉水の一部は、ハフニウム部材3U,3Lのそれぞれとシース6の内面との間、具体的にはハフニウム部材3U,3Lのそれぞれとシース6に形成されたTaを含む酸化物15との間に形成された隙間16を、Taを含む酸化物15に接触しながら流れる(図3と図4の右下の図を参照)。
本実施例で説明した原子炉制御棒1は、ハフニウム部材3U,3Lとの間で隙間16を形成するシース6の内面に、タンタルを含む複合層(タンタル富化層14とTaを含む酸化物15とからなる複合層)が形成されている。タンタル富化層14は、シース6の内面に形成され、Taを含む酸化物15は、タンタル富化層14の表面に形成されている。タンタル富化層14及びTaを含む酸化物15は、それぞれ防食効果を有するため、シース6と上記の隙間16を流れる炉水との間の電荷授受を抑制でき、シース6が隙間16を流れる炉水によって腐食するのを防止することができる。
原子炉制御棒1では、ハフニウム部材3U,3Lとシース6との間に形成された隙間16に炉水が流れるが、この炉水に含まれる酸化種(酸素及び過酸化水素等)の濃度が低くなることに起因して酸素濃淡電池がシース6に形成されることにより、シース6にマクロセル腐食が生じる可能性がある。本実施例のように、タンタル富化層14及びTaを含む酸化物15がシース6の内面に形成された原子炉制御棒1は、このようなマクロセル腐食を抑制することができ、隙間16でのシース6の腐食をさらに抑制することができる。従って、本実施例による防食方法では、原子炉制御棒1の長寿命化を図ることができる。
また、原子炉制御棒1が原子炉圧力容器内に配置されている間において、何らかの原因によりTaを含む酸化物15にひび割れが発生し、又はTaを含む酸化物15の一部が剥離した場合には、上記の隙間16を流れる炉水がTaを含む酸化物15のひび割れ部又はTaを含む酸化物15の剥離部に浸入したとしても、この炉水は、シース6の内面を覆っているタンタル富化層14に接触するだけであって、シース6の内面に直接接触することはない。このため、Taを含む酸化物15にひび割れが発生し、又はTaを含む酸化物15の一部が剥離した場合でも、シース6における隙間16での腐食の発生を防止することができる。
Taを含む酸化物15のひび割れ又は剥離によりタンタル富化層14が炉水に接触すると、炉水に接触しているタンタル富化層14の表面で、タンタル富化層14のタンタルと炉水に含まれる酸素及び過酸化水素の反応によりTaが生成され、Taを含む酸化物15が再形成される。原子炉制御棒1の装荷前にシース6の内面の全面にTaを含む酸化物15を設けておけば、Taを含む酸化物15がひび割れ又は剥離した局部でのみタンタルを酸化でき、隙間16に僅かな量の酸化剤があればTaを含む酸化物15を再形成できる。従って、本実施例による防食方法では、シース6において隙間16での腐食が生じる確率を著しく低下させることができる。
本実施例では、シース6の内面に形成されたタンタル富化層14の表面部のタンタルを利用してTaを含む酸化物15を生成するので、タンタル富化層14とTaを含む酸化物15との密着性が優れている。
さらに、タンタル富化層14は、スパッタリング法(又は物理蒸着法、化学蒸着法、溶射法、及びコールドスプレイ法のいずれかの方法)を用いて形成するため、短時間で形成することができる。また、Taを含む酸化物15を形成するのに必要なエネルギー及び酸素は、酸化物形成装置30がタンタル富化層14の表面に与える。Taを含む酸化物15は、酸化物形成装置30のような取扱いが容易で簡素な装置を用いて形成するため、効率的にタンタル富化層14の表面に形成することができる。
特許文献2(特開2008−7851号公報)に記載された先行技術は、炭素鋼の腐食を対象としており、原子炉圧力容器内に装荷された状態の原子炉制御棒に酸化化合物を付着させる。本実施例は、ステンレス(又はニッケル基合金、又はジルコニウム合金)製の鋼材を対象とし、原子炉圧力容器内に装荷される前の原子炉制御棒1に施工する点、及びTaを含む酸化物15と防食処理を施す構造部材(シース6)との間にタンタル富化層14を形成する点で、特許文献2に記載の技術と異なる。
本発明の実施例2による原子炉構造部材の防食方法と製造方法を説明する。本実施例も、沸騰水型原子炉(BWR)に用いられる原子炉制御棒1に、本発明による原子炉構造部材の防食方法と製造方法を適用する例である。なお、本実施例で用いる図面において、実施例1で用いた図面の符号と同一の符号は、実施例1と同一又は共通する要素を示し、これらの要素については説明を省略する。
本実施例での原子炉制御棒1は、実施例1の原子炉制御棒1と同じ構成(図1、図2、及び図3を参照)を備え、図4及び図5に示した工程とほぼ同じ工程で製造される。原子炉制御棒1の製造工程において、本実施例と実施例1とで異なる部分は、図4に示したステップS8におけるTaを含む酸化物15の形成工程である。
本実施例では、実施例1で述べた水蒸気酸化法を用いて、シース6の内面に形成されたタンタル富化層14の表面にTaを含む酸化物15を形成する。すなわち、100℃〜400℃の範囲内の温度の水蒸気をタンタル富化層14に吹き付けて、タンタル富化層14の表面部に存在するタンタルを酸化させて、Taを含む酸化物15をタンタル富化層14の表面に形成する。本実施例でTaを含む酸化物15を形成するのには、図8A、図8Bを用いて説明する酸化物形成装置50を用いる。
図8Aは、本実施例での、タンタル富化層14の表面にTaを含む酸化物15を形成する酸化物形成装置50の構成を示す図である。図8Bは、図8Aに示した酸化物形成装置50を側方から見た図である。
本実施例での酸化物形成装置50は、実施例1の酸化物形成装置30と比べ、ガスボンベ36の代わりにタンク39を備える点と、ポンプ38が流体搬送管37に設けられる点が異なる。酸化物形成装置50の他の構成は、実施例1の酸化物形成装置30と同じである。タンク39には、水40が充填され、ポンプ38が設けられた流体搬送管37は、タンク39の底部に接続される。
図4に示したステップS8において、酸化物形成装置50を用いて、タンタル富化層14の表面にTaを含む酸化物15を形成する方法を説明する。
図8Bに示すように、U字状に折り曲げられ内面にタンタル富化層14が形成されたシース6は、保持装置(図示せず)に取り付けられて、U字状の下端部(U字状の底部)が下方になるように設置される。走行装置34に取り付けられた管状ノズル31は、シース6の上端部(開放端部)からシース6の対向する内面間に挿入されている。
図8Aに示したタンク39内の水40は、ポンプ38によって加圧され、流体搬送管37を通って加熱装置35に供給される。加熱装置35は、水40を100℃〜400℃の範囲内の温度、例えば300℃に加熱して水蒸気にする。この水蒸気は、加熱装置35から排出されて流体搬送管37により管状ノズル31に供給される。管状ノズル31に供給された水蒸気は、複数の噴出孔32からシース6の内面に形成されたタンタル富化層14に向かって噴出する。なお、ポンプ38は、水蒸気が噴出孔32からシース6に噴出できる程度に水40を加圧する。
噴出した水蒸気は、シース6の内面に形成されたタンタル富化層14の表面に、タンタル富化層14に含まれるタンタルを酸化してTaを含む酸化物15を形成するために必要な熱及び酸素を供給する。300℃の水蒸気が複数の噴出孔32から噴出することにより、タンタル富化層14の表面部のタンタルが酸化され、Taを含む酸化物15がタンタル富化層14の表面に形成される。
管状ノズル31は、水蒸気を噴出孔32から噴出しながら、走行装置34によって、シース6の長手方向の一端から他端に向かって所定の速度で移動する。複数の噴出孔32から噴出される水蒸気の作用によって、所望の厚さ(例えば10μm)のTaを含む酸化物15が存在する層が、実施例1と同様にシース6の長手方向の全長に亘ってタンタル富化層14の表面に形成される。
図4に示したステップS9において、実施例1と同様に、タンタルを含む複合層(タンタル富化層14とTaを含む酸化物15とからなる複合層)が内面に形成されたシース6を用いて、原子炉制御棒1を組み立てる。
ステップS10で、ステップS9で製造した原子炉制御棒1を、沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に装荷する。
本実施例による防食方法を適用した原子炉制御棒1は、実施例1による防食方法を適用した原子炉制御棒1と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
1…原子炉制御棒、2…ブレード、3U,3L…ハフニウム部材、4…ローラ、5…ハンドル、6…シース、7…タイロッド、8…下部支持部材、9U,9L…開口部、10U,10L…舌状部、11U,11L…ピン、12U,12L…開口部、13…タブ、14…タンタル富化層、15…Taを含む酸化物、16…隙間、17…コネクタ、30…酸化物形成装置、31…管状ノズル、32…噴出孔、33…ガイドレール、34…走行装置、35…加熱装置、36…ガスボンベ、37…流体搬送管、38…ポンプ、39…タンク、40…水、50…酸化物形成装置。

Claims (15)

  1. 沸騰水型原子炉を構成する金属製の構造部材の原子炉冷却材と接する表面に、タンタルからなる層を形成するタンタル富化層形成工程と、
    タンタルからなる前記層の表面に、タンタルからなる前記層の表面部に存在するタンタルを酸化してTaを含む酸化物を形成する酸化物形成工程と、
    を有することを特徴とする原子炉構造部材の防食方法。
  2. 前記タンタル富化層形成工程では、前記原子炉を構成する他の部材との間で隙間を形成する前記構造部材の表面に、タンタルからなる前記層を形成する、請求項1に記載の原子炉構造部材の防食方法。
  3. 前記構造部材は、原子炉制御棒を構成する部材であり、
    前記タンタル富化層形成工程では、前記原子炉制御棒を構成する他の部材との間で隙間を形成する前記構造部材の表面に、タンタルからなる前記層を形成する、請求項1に記載の原子炉構造部材の防食方法。
  4. 前記原子炉制御棒は、中性子吸収部材と、前記中性子吸収部材が内部に配置され冷却材が内部を流れるシースとを備え、
    前記構造部材は、前記シースであり、
    前記タンタル富化層形成工程では、前記中性子吸収部材との間で隙間を形成する前記シースの内面に、タンタルからなる前記層を形成する、請求項3に記載の原子炉構造部材の防食方法。
  5. 前記構造部材は、ステンレス鋼製である、請求項1から4のいずれか1項に記載の原子炉構造部材の防食方法。
  6. Taを含む前記酸化物は、厚さが少なくとも10μmの層内に存在する、請求項1から4のいずれか1項に記載の原子炉構造部材の防食方法。
  7. 前記タンタル富化層形成工程と前記酸化物形成工程は、前記構造部材を折り曲げた後で、前記構造部材を前記原子炉に装荷する前に行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の原子炉構造部材の防食方法。
  8. 沸騰水型原子炉を構成する金属製の構造部材の原子炉冷却材と接する表面に、タンタルからなる層を形成するタンタル富化層形成工程と、
    タンタルからなる前記層の表面に、タンタルからなる前記層の表面部に存在するタンタルを酸化してTaを含む酸化物を形成する酸化物形成工程と、
    を有することを特徴とする原子炉構造部材の製造方法。
  9. 前記タンタル富化層形成工程では、前記原子炉を構成する他の部材との間で隙間を形成する前記構造部材の表面に、タンタルからなる前記層を形成する、請求項8に記載の原子炉構造部材の製造方法。
  10. 前記構造部材は、原子炉制御棒を構成する部材であり、
    前記原子炉制御棒を組み立てる組立工程を有し、
    前記タンタル富化層形成工程では、前記原子炉制御棒を構成する他の部材との間で隙間を形成する前記構造部材の表面に、タンタルからなる前記層を形成し、
    前記組立工程では、タンタルからなる前記層とTaを含む前記酸化物とが表面に形成された前記構造部材を用いて、前記原子炉制御棒を組み立てる、請求項8に記載の原子炉構造部材の製造方法。
  11. 前記原子炉制御棒は、中性子吸収部材と、前記中性子吸収部材が内部に配置され冷却材が内部を流れるシースとを備え、
    前記構造部材は、前記シースであり、
    前記タンタル富化層形成工程では、前記中性子吸収部材との間で隙間を形成する前記シースの内面に、タンタルからなる前記層を形成し、
    前記組立工程では、タンタルからなる前記層とTaを含む前記酸化物とが内面に形成された前記シースを用いて、前記原子炉制御棒を組み立てる、請求項10に記載の原子炉構造部材の製造方法。
  12. 前記構造部材は、ステンレス鋼製である、請求項8から11のいずれか1項に記載の原子炉構造部材の製造方法。
  13. Taを含む前記酸化物は、厚さが少なくとも10μmの層内に存在する、請求項8から11のいずれか1項に記載の原子炉構造部材の製造方法。
  14. 前記タンタル富化層形成工程と前記酸化物形成工程は、前記構造部材を折り曲げた後で、前記構造部材を前記原子炉に装荷する前に行う、請求項8から11のいずれか1項に記載の原子炉構造部材の製造方法。
  15. 沸騰水型原子炉を構成する金属製の構造部材であり、
    前記原子炉を構成する他の部材との間で隙間を形成し原子炉冷却材と接する表面に、タンタルからなる層を備え、
    タンタルからなる前記層の表面に、Taを含む酸化物を備える、
    ことを特徴とする原子炉構造部材。
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