JP5557238B2 - 交流パルスアーク溶接制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電極マイナス極性電流比率を大きな値に設定したときに、安定した溶接状態を得ることができる交流パルスアーク溶接制御方法に関するものである。
交流パルスアーク溶接では、電極プラス極性期間中のピーク電流及びベース電流の通電と、電極マイナス極性期間中のベース電流の通電とを1周期として繰り返すことによって溶接が行われる。この交流パルスアーク溶接では、電極マイナス極性期間を調整して電極マイナス極性電流比率を変化させることによって、母材への入熱を調整することができる。このために、低入熱溶接が可能となり、高品質な薄板溶接を行うことができる。また、電極マイナス極性電流比率を変化させることによって、溶け込み深さ、余盛り高さ等のビード形状をワークに合わせて適正化することができる。以下、従来技術の交流パルスアーク溶接について説明する(例えば、特許文献1、2参照)。
図13は、交流パルスアーク溶接における一般的な電流・電圧波形図である。同図(A)は溶接電流Iwを示し、同図(B)は溶接電圧Vwを示す。同図において、0A及び0Vから上側が電極プラス極性EP時であり、下側が電極マイナス極性EN時である。溶接ワイヤは予め定めた送給速度で送給されている。また、極性切換時には、アーク切れを防止するために、数百Vの高電圧(図示は省略)を短時間溶接ワイヤと母材との間に印加している。以下、同図を参照して説明する。
電極マイナス極性期間Ten中は、同図(A)に示すように、予め定めた電極マイナス極性ベース電流Ibnが通電し、同図(B)に示すように、電極マイナス極性ベース電圧Vbnが印加する。この電極マイナス極性ベース電流Ibnは、溶接ワイヤ先端に溶滴を形成しないように臨界値未満の値に設定される。例えば、Ibn=20〜200A程度である。臨界値とは、溶接ワイヤの溶滴移行状態がスプレー移行状態になる溶接電流値のことであり、その値は溶接ワイヤの材質、シールドガスの種類等によって異なる。交流パルスアーク溶接によく使用されるアルミニウムワイヤ(シールドガスはアルゴンガス)の場合では、臨界値は350A程度である。また、鉄鋼ワイヤ(シールドガスはアルゴンガス80%+炭酸ガス20%)の場合では、臨界値は450A程度である。
電極プラス極性期間Tepは、ピーク期間Tpとベース期間Tbとに分かれる。このピーク期間Tp中は、同図(A)に示すように、溶滴移行をさせるために臨界値以上の大電流値に予め定めたピーク電流Ipが通電し、同図(B)に示すように、ピーク電圧Vpが印加する。ここで、ピーク期間Tp及びピーク電流Ipは、いわゆる1パルス1溶滴移行状態になるように設定される。1パルス1溶滴移行状態とは、1回のピーク電流Ipの通電によって1周期中に1回の溶滴が溶融池へと移行する状態であり、安定した溶接状態となる。ベース期間Tb中は、同図(A)に示すように、溶滴を形成しないために臨界値未満の小電流値に予め定めたベース電流Ibが通電し、同図(B)に示すように、ベース電圧Vbが印加する。例えば、Ib=20〜80A程度である。
上記の電極マイナス極性期間Ten、上記のピーク期間Tp及び上記のベース期間Tbを1パルス周期Tfとして繰り返して溶接が行われる。上記の電極マイナス極性期間Ten及び上記のピーク期間Tpは予め定めた期間であり、上記のベース期間Tbはアーク長が適正になるようにフィードバック制御によって定まる期間である。このアーク長制御は、同図(B)に示す溶接電圧Vwの絶対値の平均値Vavが予め定めた電圧設定値Vr(図示は省略)と等しくなるようにベース期間Tbの長さが制御されることによって行われる。
交流パルスアーク溶接における溶滴の形成及び移行についてまとめると以下のようになる。上記のピーク期間Tpの終了近傍(終了直前、終了時又は終了直後)において溶滴が移行する。続くベース期間Tb中は、臨界値未満の小電流値のベース電流Ibが通電するので、溶接ワイヤ先端はあまり溶融せず溶滴は形成されない。続く電極マイナス極性期間Ten中は、臨界値未満の小電流値の電極マイナス極性ベース電流Ibnが通電する。同一値の小電流であっても、電極マイナス極性EN時の方が電極プラス極性EP時よりも溶接ワイヤ先端を溶融する作用が大きくなる。しかし、交流パルスアーク溶接では、電極マイナス極性電流比率が0〜30%程度の範囲で使用されるのが一般的であるので、上記の電極マイナス極性期間Tenは短い期間となる。このために、溶接ワイヤ先端が少し溶融する程度であり、小さな溶滴が形成されることになる。続くピーク期間Tp中は、臨界値以上の大電流値のピーク電流Ipが通電する。このピーク電流Ipの通電に伴って溶接ワイヤ先端が急激に溶融して溶滴が形成される。さらに、ピーク電流Ipの通電によって形成された溶滴上部に電磁的ピンチ力が作用してくびれが形成される。そして、ピーク期間Tpの終了近傍においてくびれが急激に進行して、溶滴が溶融池へと移行する。直流パルスアーク溶接においても、ピーク期間Tp中に溶滴の形成及び移行が行われる。交流パルスアーク溶接では、電極マイナス極性期間Ten中に小さな溶滴が形成される場合があるが、基本的には直流パルスアーク溶接のときと同様に、ピーク期間Tp中に溶滴の形成及び移行が行われると考えて良い。上記のように、1周期で1溶滴移行を行わせる1パルス1溶滴移行状態にすることが、安定した溶接状態にすることになり、良好な溶接品質を得ることになる。
上記の電極マイナス極性電流比率Ren(%)は以下のように定義される。
Ren=((Ten・|Ibn|)/(Ten・|Ibn|+Tp・Ip+Tb・Ib))×100
すなわち、この電極マイナス極性電流比率Renは、溶接電流の絶対値の平均値に占める電極マイナス極性期間中の溶接電流の比率を表している。
上式において、ピーク電流Ip、ベース電流Ibは所定値であり、ピーク期間Tpも所定値である。ベース期間Tbもアーク長が適正値にある定常状態では略所定値と見なせる。したがって、電極マイナス極性期間Ten及び/又は電極マイナス極性ベース電流Ibnを調整することによって電極マイナス極性電流比率Renを調整することができる。この電極マイナス極性電流比率Renを変化させると、溶け込み部及び余盛り部が変化してビード形状が変化することになる。
特開2002−86271号公報 特開2007−283393号公報
上述したように、交流パルスアーク溶接においては、電極マイナス極性電流比率を0〜30%程度の範囲でワークに合わせて適正値に設定して溶接を行うのが一般的である。電極マイナス極性電流比率が0%とは、直流パルスアーク溶接のことになる。この電極マイナス極性電流比率が上記の通常範囲では、電極マイナス極性期間Ten中に溶滴が大きく形成されることがないので、ピーク期間Tpにおいて溶滴の形成及び移行を行わせることができる。
しかし、ワークによっては、溶け込み部を小さくし、余盛り部を大きくした希釈率の小さなビード形状を形成する必要がある場合がある。例えば、鉄鋼材の薄板溶接において、溶接継手部に大きなギャップがあるワークを高速溶接するような場合である。このような場合には、ギャップを溶融金属で埋め、かつ溶け込みを小さくするために、希釈率の小さなビード形状が必要になる。このようなビード形状を形成するためには、電極マイナス極性電流比率を上記の通常範囲よりも大きな値である30%以上に設定する必要がある。ときには50%を超える値に設定する必要がある場合も生じる。従来技術において、電極マイナス極性電流比率を大きな値に設定するには、電極マイナス極性期間Ten及び/又は電極マイナス極性ベース電流Ibnを大きな値に設定することになる。このようにすると、電極マイナス極性期間Ten中において溶接ワイヤ先端が溶融されることになり、大きな溶滴が形成されることになる。この状態でピーク期間Tpに入るので、ピーク期間Tp中に溶滴はさらに巨大になり、ピーク期間Tpが終了しても溶滴が完全には移行することができず、溶接ワイヤ先端に溶滴が残留することになる。この残留溶滴が次の周期の溶滴移行に影響を与えることになり、結果的に1パルス1溶滴移行状態を保つことができなくなり、溶滴移行がランダムに生じる不安定な溶接状態になる。
そこで、本発明では、電極マイナス極性電流比率を通常範囲よりも大きな値に設定しても安定した溶接状態を得ることができる交流パルスアーク溶接制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤを予め定めた送給速度で送給すると共に、交流溶接電流を通電して溶接する交流パルスアーク溶接制御方法において、
電極マイナス極性ベース期間中は臨界値未満の電極マイナス極性ベース電流を通電し、
続けて電極マイナス極性ピーク期間中は前記電極マイナス極性ベース電流よりも絶対値が大の電極マイナス極性ピーク電流を通電し、
続けて電極プラス極性ピーク期間中は前記電極マイナス極性ベース電流よりも絶対値が大の電極プラス極性ピーク電流を通電し、
これらの通電を1周期として繰り返して溶接を行い、
前記電極マイナス極性ピーク電流は、所定の振幅で所定の振動周波数によって振動する電流である、
ことを特徴とする交流パルスアーク溶接制御方法である。
請求項2の発明は、前記電極プラス極性ピーク期間に続けて、臨界値未満の電極プラス極性ベース電流を通電する電極プラス極性ベース期間を設けて1周期としたことを特徴とする請求項1記載の交流パルスアーク溶接制御方法である。
請求項3の発明は、電極マイナス極性電流比率を入力として予め定めた関数によって前記電極プラス極性ベース期間を設定する、
ことを特徴とする請求項2記載の交流パルスアーク溶接制御方法である。
請求項4の発明は、前記電極マイナス極性ピーク期間及び/又は前記電極マイナス極性ピーク電流を調整することによって前記電極マイナス極性電流比率を変化させる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接制御方法である。
請求項5の発明は、前記電極マイナス極性ピーク電流の振動波形のデューティを調整することによって前記電極マイナス極性電流比率を変化させる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接制御方法である。
本発明によれば、ピーク期間を電極マイナス極性ピーク期間及び電極プラス極性ピーク期間から形成することによって、電極マイナス極性電流比率を大きな値に設定することが可能となり、かつ、電極マイナス極性電流比率が大きな値であるときでも1パルス1溶滴移行状態にすることができる。したがって、希釈率の小さなビード形状を高品質に形成することができる。
さらに、上記の効果に加えて、本発明によれば、電極マイナス極性ピーク電流を振動させることによって、以下のような効果を奏する。(1)アークの硬直性を強くすることができるので、溶接作業性を向上させることができる。(2)溶滴に作用する押上げ力を分散化させて小さくすることができるので、溶滴移行時のスパッタの発生を抑制することができる。(3)溶滴を振動させることができるので、溶滴移行状態を良好にすることができる。
さらに、上記の効果に加えて、請求項3の発明は、電極マイナス極性電流比率に応じて電極プラス極性ベース期間を適正化することができるので、溶接状態の安定性をさらに向上させることができる。
本発明の実施の形態1に係る交流パルスアーク溶接制御方法を示す溶接電流波形図である。 本発明の実施の形態1に係る溶接電源のブロック図である。 図2の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1に係る溶接電源の図2とは別のブロック図である。 図4における電極プラス極性ベース期間設定関数を例示する図である。 図4における電極プラス極性ベース期間設定関数を例示する図である。 図4の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係る交流パルスアーク溶接制御方法を示す溶接電流波形図である。 本発明の実施の形態2に係る溶接電源のブロック図である。 図9の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態3に係る交流パルスアーク溶接制御方法を示す溶接電流波形図である。 本発明の実施の形態3に係る溶接電源のブロック図である。 従来技術の交流パルスアーク溶接における電流・電圧波形図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る交流パルスアーク溶接制御方法を示す溶接電流Iwの波形図である。同図において、0Aから上側が電極プラス極性EPを示し、下側が電極マイナス極性ENを示す。同図は、電極マイナス極性電流比率が通常範囲(0〜30%程度)よりも大きく設定された場合である。同図においても、極性切換時のアーク切れを防止するために、極性切換時に短時間の間高電圧を溶接ワイヤと母材との間に印加している。以下、同図を参照して説明する。
時刻t1〜t2の電極マイナス極性ベース期間Tbn中は、臨界値未満の電極マイナス極性ベース電流Ibnを通電する。時刻t2〜t3の電極マイナス極性ピーク期間Tpn中は、臨界値以上の電極マイナス極性ピーク電流Ipnを通電する。時刻t3において極性を反転する。時刻t3〜t4の電極プラス極性ピーク期間Tp中は、臨界値以上の電極プラス極性ピーク電流Ipを通電する。時刻t4〜t5の電極プラス極性ベース期間Tb中は、臨界値未満の電極プラス極性ベース電流Ibを通電する。時刻t5〜t6は再び上記の電極マイナス極性ベース期間Tbnとなり、時刻t6〜t7は再び上記の電極マイナス極性ピーク期間Tpnとなり、時刻t7〜t8は再び上記の電極プラス極性ピーク期間Tpとなる。時刻t1〜t5の期間が1パルス周期Tfとなる。また、時刻t1〜t3の期間が、電極マイナス極性期間Tenとなる。
上記の電極プラス極性ピーク期間Tp、上記の電極プラス極性ピーク電流Ip、上記の電極マイナス極性ピーク期間Tpn、上記の電極マイナス極性ピーク電流Ipn、上記の電極マイナス極性ベース電流Ibn及び上記の電極プラス極性ベース電流Ibは、予め適正値に設定されている。また、溶接電圧の絶対値の平均値が予め定めた電圧設定値に等しくなるように上記のパルス周期Tfの長さがフィードバック制御(アーク長制御)される。このパルス周期Tfを変化させるために上記の電極プラス極性ベース期間Tb又は上記の電極マイナス極性ベース期間Tbnが上記のフィードバック制御によって変化する。上記の電極プラス極性ベース期間Tbがフィードバック制御によって変化するときは、上記の電極マイナス極性ベース期間Tbnは予め適正値に設定される。逆に、上記の電極マイナス極性ベース期間Tbnがフィードバック制御によって変化するときは、上記の電極プラス極性ベース期間Tbは予め適正値に設定される。同図においては、電極マイナス極性電流比率Renは以下のようになる。
Ren=((Tpn・|Ipn|+Tbn・|Ibn|)/(Tp・Ip+Tpn・|Ipn|+Tbn・|Ibn|+Tb・Ib))×100 …(1)式
同図においては、上記の電極プラス極性ピーク電流Ip及び上記の電極マイナス極性ピーク電流Ipnの立上り及び立下りが急峻であり矩形波となる場合を示している。しかし、これらピーク電流の立上り及び又は立下りに所定の傾斜を持たせるようにして、台形波となるようにしても良い。アルミニウム材に対する交流パルスアーク溶接では、これらピーク電流を台形波にすることで、アーク力を弱くしてスパッタの発生を削減することができる。
次に、同図において、溶滴の形成及び移行について説明する。時刻t4の電極プラス極性ピーク期間Tpの終了近傍において、溶滴が移行する。時刻t4〜t5の電極プラス極性ベース期間Tb中は、臨界値未満の小電流が通電し、かつ、電極プラス極性EPであるので、溶接ワイヤ先端の溶融は少ししか生じず、溶滴はほとんど形成されない。時刻t5〜t6の電極マイナス極性ベース期間Tbnにおいて、溶滴が形成される。これは、電極マイナス極性電流比率が大きくなるように設定されているために、電極マイナス極性ベース期間Tbnが長くなるように設定されている。このために、電極マイナス極性ベース電流Ibnが臨界値未満の小電流値であっても、電極マイナス極性ENでは溶接ワイヤ先端の溶融が促進されるので溶滴が形成されることになる。時刻t6〜t7の電極マイナス極性ピーク期間Tpn中は、臨界値以上の大電流が通電するために溶滴はさらに大きくなる。この期間の終了近傍において溶滴にくびれが発生するが、溶滴のサイズが大きいために移行させるまでには至らない。時刻t7〜t8の電極プラス極性ピーク期間Tp中は、臨界値以上の第電流が通電するために、溶滴のくびれ部に強い電磁的ピンチ力が作用し、くびれが急速に進行して溶滴が移行する。この移行する溶滴サイズは直流パルスアーク溶接及び通常の電極マイナス電流比率での交流パルスアーク溶接の場合に比べて大きくなる。しかし、この大きなサイズの溶滴は、大電流値の電極プラス極性ピーク電流Ipによる強いアーク力によって溶融池に向けて押されるために、あまりスパッタを発生させずに移行することになる。上述したように、電極マイナス極性電流比率が大きな値に設定されるときは、電極マイナス極性ベース期間Tbn中にも溶滴が形成されることになり、ピーク期間中に移行させるべき溶滴のサイズが大きくなる。このために、ピーク期間を2つ設け、かつ、一方を電極マイナス極性ピーク期間Tpnとし、他方を電極プラス極性ピーク期間Tpとすることによって、大きなサイズの溶滴を確実に移行させるようにしている。さらに、この2つのピーク期間の極性を変えることによって、電極マイナス極性電流比率を大きな値に設定しやすくしている。同図において、上記の電極プラス極性ベース期間Tbがフィードバック制御によって変化する場合に電極マイナス極性電流比率を変化させるときは、、上記の電極マイナス極性ピーク期間Tpn、電極マイナス極性ピーク電流Ipn、電極マイナス極性ベース期間Tbn又は電極マイナス極性ベース電流Ibnの少なくとも1つ以上を変化させることによって行う。上記の電極マイナス極性ベース期間Tbnがフィードバック制御によって変化する場合に電極マイナス極性電流比率を変化させるときは、、上記の電極マイナス極性ピーク期間Tpn、電極マイナス極性ピーク電流Ipn又は電極マイナス極性ベース電流Ibnの少なくとも1つ以上を変化させることによって行う。ここで、電極マイナス極性電流比率を通常範囲よりも大きく設定するためには、上記の電極マイナス極性ピーク期間Tpn又は上記の電極マイナス極性ピーク電流Ipnの少なくとも1つ以上を調整することによって行うことが望ましい。
図2は、上述した本発明の実施の形態1に係る交流パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は、上記の電極プラス極性ベース期間Tbがフィードバック制御によって変化する場合である。同図において、上述した極性切換時の高電圧印加回路については省略している。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
インバータ回路INVは、3相200V等の交流商用電源(図示は省略)を入力として、整流及び平滑した直流電圧を、後述する電流誤差増幅信号Eiによるパルス幅変調制御によりインバータ制御を行い、高周波交流を出力する。インバータトランスINTは、高周波交流電圧をアーク溶接に適した電圧値に降圧する。2次整流器D2a〜D2dは、降圧された高周波交流を直流に整流する。電極プラス極性トランジスタPTRは後述する電極プラス極性駆動信号Pdによってオン状態になり、このときは溶接電源の出力は電極プラス極性EPになる。電極マイナス極性トランジスタNTRは後述する電極マイナス極性駆動信号Ndによってオン状態になり、このときは溶接電源の出力は電極マイナス極性ENになる。リアクトルWLは、リップルのある出力を平滑する。溶接ワイヤ1は、ワイヤ送給モータWMに結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。
電圧検出回路VDは、溶接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。電圧平均化回路VAVは、この電圧検出信号Vdの絶対値を平均化して、電圧平均値信号Vavを出力する。電圧設定回路VRは、予め定めた電圧設定信号Vrを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、上記の電圧設定信号Vrと電圧平均値信号Vavとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。電圧・周波数変換回路VFは、この電圧誤差増幅信号Evに比例した周波数の信号に変換して、この周波数ごとに短時間だけHighレベルになるパルス周期信号Tfを出力する。
電極プラス極性ピーク期間設定回路TPRは、予め定めた電極プラス極性ピーク期間設定信号Tprを出力する。電極マイナス極性ピーク期間設定回路TPNRは、予め定めた電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrを出力する。電極マイナス極性ベース期間設定回路TBNRは、予め定めた電極マイナス極性ベース期間設定信号Tbnrを出力する。タイマ回路TMは、上記のパルス周期信号Tf、上記の電極プラス極性ピーク期間設定信号Tpr、上記の電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnr及び上記の電極マイナス極性ベース期間設定信号Tbnrを入力として、上記のパルス周期信号Tfが短時間Highレベルに変化するごとに、上記の電極マイナス極性ベース期間設定信号Tbnrによって定まる期間中はその値が1となり、続いて上記の電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrによって定まる期間中はその値が2となり、続いて上記の電極プラス極性ピーク期間設定信号Tprによって定まる期間中はその値が3となり、それ以後の電極プラス極性ベース期間中はその値が4となる、タイマ信号Tmを出力する。
電極プラス極性ピーク電流設定回路IPRは、予め定めた電極プラス極性ピーク電流設定信号Iprを出力する。電極マイナス極性ピーク電流設定回路IPNRは、予め定めた電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrを出力する。電極マイナス極性ベース電流設定回路IBNRは、予め定めた電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrを出力する。電極プラス極性ベース電流設定回路IBRは、予め定めた電極プラス極性ベース電流設定信号Ibrを出力する。切換回路SWは、上記のタイマ信号Tm、上記の電極プラス極性ピーク電流設定信号Ipr、上記の電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnr、上記の電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnr及び上記の電極プラス極性ベース電流設定信号Ibrを入力として、上記のタイマ信号Tm=1のとき上記の電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrを電流設定信号Irとして出力し、タイマ信号Tm=2のとき上記の電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrを電流設定信号Irとして出力し、タイマ信号Tm=3のとき上記の電極プラス極性ピーク電流設定信号Iprを電流設定信号Irとして出力し、タイマ信号Tm=4のとき上記の電極プラス極性ベース電流設定信号Ibrを電流設定信号Irとして出力する。電流検出回路IDは、溶接電流Iwの絶対値を検出して、電流検出信号Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、上記の電流設定信号Irと上記の電流検出信号Idとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。
駆動回路DVは、上記のタイマ信号Tmを入力として、上記のタイマ信号Tm=1又は2のとき上記の電極マイナス極性駆動信号Ndを出力し、タイマ信号Tm=3又は4のとき上記の電極プラス極性駆動信号Pdを出力する。これによって、電極マイナス極性ベース期間及び電極マイナス極性ピーク期間は電極マイナス極性となり、電極プラス極性ピーク期間及び電極プラス極性ベース期間は電極プラス極性となる。送給速度設定回路FRは、予め定めた送給速度設定信号Frを出力する。送給制御回路FCは、この送給速度設定信号Frを入力として、その値に対応した送給速度で溶接ワイヤ1を送給するための送給制御信号Fcを上記のワイヤ送給モータWMに出力する。
図3は、図2で上述した溶接電源の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwを示し、同図(B)はパルス周期信号Tfを示し、同図(C)はタイマ信号Tmを示し、同図(D)は電流設定信号Irを示し、同図(E)は電極プラス極性駆動信号Pdを示し、同図(F)は電極マイナス極性駆動信号Ndを示す。以下、同図を参照して説明する。
同図(A)に示すように、時刻t1以前は電極プラス極性ベース期間Tbとなり、時刻t1〜t2は電極マイナス極性ベース期間Tbnとなり、時刻t2〜t3は電極マイナス極性ピーク期間Tpnとなり、時刻t3〜t4は電極プラス極性ピーク期間Tpとなり、時刻t4〜t5は電極プラス極性ベース期間Tbとなり、時刻t5以後は電極マイナス極性ベース期間Tbnとなる。同図(B)に示すように、パルス周期信号Tfは、時刻t1及び時刻t5において短時間Highレベルになるトリガ信号である。この時刻t1〜t5の周期がパルス周期となる。同図(C)に示すように、タイマ信号Tmは、時刻t1において上記のパルス周期信号TfがHighレベルになった時点から図2の電極マイナス極性ベース期間設定信号Tbnrによって定まる期間(時刻t1〜t2の期間)はその値が1となり、時刻t2から図2の電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrによって定まる期間(時刻t2〜t3の期間)はその値が2となり、時刻t3から図2の電極プラス極性ピーク期間設定信号Tprによって定まる期間(時刻t3〜t4の期間)はその値が3となり、時刻t4から上記のパルス周期信号TfがHighレベルになる時刻t5までの期間はその値が4となり、時刻t5においてその値は1に戻る。したがって、時刻t1以前の電極プラス極性ベース期間中はその値は4となる。同図では、タイマ信号Tmの値の変化を階段状に示している。
同図(D)に示すように、電流設定信号Irは、上記のタイマ信号Tmの値によって変化し、時刻t1以前は電極プラス極性ベース電流設定信号Ibrの値となり、時刻t1〜t2の期間は電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrの値となり、時刻t2〜t3の期間は電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrの値となり、時刻t3〜t4の期間は電極プラス極性ピーク電流設定信号Iprの値となり、時刻t4〜t5の期間は電極プラス極性ベース電流設定信号Ibrの値となり、時刻t5以後の期間は電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrの値となる。電流設定信号Irの値は全て正の値である。同図(E)に示すように、電極プラス極性駆動信号Pdは、時刻t1以前の期間及び時刻t3〜t5の期間中出力されて、図2の電極プラス極性トランジスタPTRをオン状態にする。同図(F)に示すように、電極マイナス極性駆動信号Ndは、時刻t1〜t3の期間及び時刻t5以後の期間中出力されて、図2の電極マイナス極性トランジスタNTRをオン状態にする。
図4は、図1で上述した本発明の実施の形態1に係る交流パルスアーク溶接制御方法を実施するための図2とは別の溶接電源のブロック図である。同図は、図1の電極プラス極性ベース期間Tbが一定値となり、図1の電極マイナス極性ベース期間Tbnがフィードバック制御によって変化する場合である。同図において、図2と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。同図は、破線で示す電極マイナス極性電流比率設定回路RNRを追加し、図2の電極マイナス極性ベース期間設定回路TBNRを破線で示す電極プラス極性ベース期間設定回路TBRに置換し、図2の電極マイナス極性ピーク期間設定回路TPNRを破線で示す第2電極マイナス極性ピーク期間設定回路TPN2に置換し、図2の電極マイナス極性ピーク電流設定回路IPNRを破線で示す第2電極マイナス極性ピーク電流設定回路IPN2に置換し、図2のタイマ回路TMを破線で示す第2タイマ回路TM2に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
電極マイナス極性電流比率設定回路RNRは、予め定めた電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrを出力する。電極プラス極性ベース期間設定回路TBRは、上記の電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrを入力として、後述する予め定めた電極プラス極性ベース期間設定関数によって電極プラス極性ベース期間設定信号Tbrを出力する。第2電極マイナス極性ピーク期間設定回路TPN2は、送給速度設定信号Fr及び上記の電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrを入力として、後述する予め定めた電極マイナス極性ピーク期間設定関数によって電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrを出力する。第2電極マイナス極性ピーク電流設定回路IPN2は、上記の送給速度設定信号Fr及び上記の電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrを入力として、後述する予め定めた電極マイナス極性ピーク電流設定関数によって電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrを出力する。第2タイマ回路TM2は、パルス周期信号Tf、電極プラス極性ピーク期間設定信号Tpr、上記の電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnr及び上記の電極プラス極性ベース期間設定信号Tbrを入力として、上記のパルス周期信号Tfが短時間Highレベルに変化するごとに、上記の電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrによって定まる期間中はその値が2となり、続いて上記の電極プラス極性ピーク期間設定信号Tprによって定まる期間中はその値が3となり、続いて上記の電極プラス極性ベース期間設定信号Tbrによって定まる期間中はその値が4となり、それ以後の電極マイナス極性ベース期間中はその値が1となる、タイマ信号Tmを出力する。
図5及び図6は、上述した電極プラス極性ベース期間設定関数を例示する図である。同図の横軸は電極マイナス極性電流比率設定信号Rnr(%)を示し、縦軸は電極プラス極性ベース期間設定信号Tbr(ms)を示す。図5においては、電極プラス極性ベース期間設定信号Tbrの値は、電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrが大きくなるのに伴い比例して長くなり、電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrが所定値以上になると所定値に固定される。他方、図6においては、電極プラス極性ベース期間設定信号Tbrの値は、電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrが大きくなるのに伴い比例して長くなる。この電極プラス極性ベース期間設定関数は、溶接ワイヤの材質、直径、シールドガスの種類、送給速度等の溶接条件に応じて最適化することが望ましい。
電極マイナス極性電流比率が大きくなるのに伴い、電極プラス極性ベース期間を長くする理由は、以下のとおりである。すなわち、上述した図1において、溶滴は電極プラス極性ピーク期間Tpの終了直後の電極プラス極性ベース期間Tb中に溶融池に移行することが多い。そして、移行する溶滴のサイズは電極マイナス極性電流比率が大きくなるほど大きくなる。溶滴サイズが大きくなるのに伴い、溶滴が溶融池に移行するまでに要する時間が長くなるために、電極プラス極性ベース期間Tbも長くしないと溶滴移行が電極マイナス極性ベース期間Tbnにまで入り込んでしまうことになる。このような状態になると、溶滴移行が不安定になり、スパッタの発生が多くなる。逆に、電極マイナス極性電流比率が小さいときに、電極プラス極性ベース期間Tbが長く設定されるとフィードバック制御によって定まる電極マイナス極性ベース期間Tenも長くなり、電極プラス極性ベース期間Tbが短く設定されたときに比べて溶滴サイズが大きくなりスパッタが増加する。このために、電極プラス極性ベース期間Tbを電極マイナス極性電流比率に応じて適正値に設定することによって、溶接状態の安定性を向上させることができる。
次に、上述した電極マイナス極性ピーク期間設定関数及び電極マイナス極性ピーク電流設定関数の求め方について説明する。実施の形態1において、電極マイナス極性電流比率Renは、上述した(1)式によって以下のようになる。
Ren=((Tpn・|Ipn|+Tbn・|Ibn|)/(Tp・Ip+Tpn・|Ipn|+Tbn・|Ibn|+Tb・Ib))×100
ここで、溶接ワイヤの材質、直径、シールドガスの種類が決まれば、これらの溶接条件に応じて、電極プラス極性ピーク期間Tp、電極プラス極性ピーク電流Ip、電極プラス極性ベース電流Ib及び電極マイナス極性ベース電流Ibnは一定値に設定される。そして、電極マイナス極性電流比率Renの設定値を決めると、上述した電極プラス極性ベース期間設定関数によって電極プラス極性ベース期間Tbも所定値に固定される。この状態で、送給速度(送給速度設定信号Frの値)を設定して溶接を行い、アーク長が適正になるように電圧設定信号Vrの値を調整する。電極マイナス極性ベース期間Tbnは、溶接電圧の平均値が電圧設定信号Vrの値と等しくなるようにフィードバック制御される。したがって、上式において、電極マイナス極性電流比率Renは、電極マイナス極性ピーク期間Tpn及び電極マイナス極性ピーク電流Ipnによって設定されることになる。
上記のことに基づいて、送給速度を設定して溶接を行いながら、電極マイナス極性電流比率Renが例えば10%、20%、…、80%、90%になるように電極マイナス極性ピーク期間Tpn及び電極マイナス極性ピーク電流Ipnを調整して、それらの値を記録する。さらに、送給速度を、例えば3、5、…、13、15、17m/minと変化させて、上記と同様に、各電極マイナス極性電流比率Renに設定したときの電極マイナス極性ピーク期間Tpn及び電極マイナス極性ピーク電流Ipnを記録する。そして、これらの記録データから、送給速度設定信号Fr及び電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrを入力とする電極マイナス極性ピーク期間設定関数及び電極マイナス極性ピーク電流設定関数を求める。
図7は、図4で上述した溶接電源の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwを示し、同図(B)はパルス周期信号Tfを示し、同図(C)はタイマ信号Tmを示し、同図(D)は電流設定信号Irを示し、同図(E)は電極プラス極性駆動信号Pdを示し、同図(F)は電極マイナス極性駆動信号Ndを示す。同図は上述した図3と対応しており、同図(B)に示すパルス周期信号Tfを除き他の信号の動作は同一である。但し、同図では、図3に時刻t5〜t6の電極マイナス極性ベース期間Tbnを追加したものである。したがって、時刻t6からの期間は電極マイナス極性ピーク期間Tpnとなる。
同図(B)に示すように、パルス周期信号Tfは、図3とは異なり、時刻t2及びt
6において短時間だけHighレベルになる。したがって、1周期は、時刻t2〜t6の期間となる。このようになる理由は、電極マイナス極性ベース期間Tbnがフィードバック制御によって定まるので、1周期の最後の期間となるためである。追加された時刻t5〜t6の電極マイナス極性ベース期間Tbnにおける各信号の動作は時刻t1〜t2の動作と同一である。以下、同図を参照して説明する。
同図(A)に示すように、時刻t1以前は電極プラス極性ベース期間Tbとなり、時刻t1〜t2は電極マイナス極性ベース期間Tbnとなり、時刻t2〜t3は電極マイナス極性ピーク期間Tpnとなり、時刻t3〜t4は電極プラス極性ピーク期間Tpとなり、時刻t4〜t5は電極プラス極性ベース期間Tbとなり、時刻t5〜t6は電極マイナス極性ベース期間Tbnとなり、時刻t6以後は電極マイナス極性ピーク期間Tpnとなる。同図(B)に示すように、パルス周期信号Tfは、上述したように、時刻t2及び時刻t6において短時間Highレベルになるトリガ信号である。この時刻t2〜t6の周期がパルス周期となる。同図(C)に示すように、タイマ信号Tmは、時刻t2において上記のパルス周期信号TfがHighレベルになった時点から図4の電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrによって定まる期間(時刻t2〜t3の期間)はその値が2となり、時刻t3から図4の電極プラス極性ピーク期間設定信号Tprによって定まる期間(時刻t3〜t4の期間)はその値が3となり、時刻t4から図4の電極プラス極性ベース期間設定信号Tbrによって定まる期間(時刻t4〜t5の期間)はその値が4となり、時刻t5から上記のパルス周期信号TfがHighレベルになる時刻t6までの期間はその値が1となり、時刻t6においてその値は2に戻る。したがって、時刻t1〜t2の電極マイナス極性ベース期間中はその値は1となり、時刻t1以前の電極プラス極性ベース期間中はその値は4となる。同図では、タイマ信号Tmの値の変化を階段状に示している。
同図(D)に示すように、電流設定信号Irは、上記のタイマ信号Tmの値によって変化し、時刻t1以前は電極プラス極性ベース電流設定信号Ibrの値となり、時刻t1〜t2の期間は電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrの値となり、時刻t2〜t3の期間は電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrの値となり、時刻t3〜t4の期間は電極プラス極性ピーク電流設定信号Iprの値となり、時刻t4〜t5の期間は電極プラス極性ベース電流設定信号Ibrの値となり、時刻t5〜t6の期間は電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrの値となり、時刻t6以後の期間は電極プラス極性ピーク電流設定信号Ipnrの値となる。電流設定信号Irの値は全て正の値である。同図(E)に示すように、電極プラス極性駆動信号Pdは、時刻t1以前の期間及び時刻t3〜t5の期間中出力されて、図4の電極プラス極性トランジスタPTRをオン状態にする。同図(F)に示すように、電極マイナス極性駆動信号Ndは、時刻t1〜t3の期間及び時刻t5以後の期間中出力されて、図4の電極マイナス極性トランジスタNTRをオン状態にする。
上述した図4においては、電極プラス極性ベース期間設定信号Tbrが、電極マイナス極性電流比率設定信号Rnrを入力とする電極プラス極性ベース期間設定関数によって設定される場合を説明した。これ以外の方法として、以下のようにしても良い。交流の溶接電流Iwの検出値を入力とする電極マイナス極性電流比率算出回路を設け、この回路によって実際の溶接電流Iwから電極マイナス極性電流比率を算出する。この算出値を入力として、電極プラス極性ベース期間設定関数によって電極プラス極性ベース期間設定信号Tbrを設定する。
上述した実施の形態1によれば、ピーク期間を電極マイナス極性ピーク期間及び電極プラス極性ピーク期間から形成することによって、電極マイナス極性電流比率を大きな値に設定することが可能となり、かつ、電極マイナス極性電流比率が大きな値であるときでも1パルス1溶滴移行状態にすることができる。したがって、希釈率の小さなビード形状を高品質に形成することができる。
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2に係る交流パルスアーク溶接制御方法を示す溶接電流Iwの波形図である。同図において、0Aから上側が電極プラス極性EPを示し、下側が電極マイナス極性ENを示す。同図は、上述した図1よりもさらに電極マイナス極性電流比率を大きく設定する場合であり、図1の電極プラス極性ベース期間Tbが除去されている。同図において、電極マイナス極性ピーク期間Tpn及び電極プラス極性ピーク期間Tpは図1と同様である。以下、図1とは異なる電極マイナス極性ベース期間Tbnについて説明する。
時刻t1〜t2の電極マイナス極性ベース期間Tbn中は、臨界値未満の電極マイナス極性ベース電流Ibnを通電する。時刻t2〜t3の電極マイナス極性ピーク期間Tpn中は、臨界値以上の電極マイナスピーク電流Ipnを通電する。時刻t3において極性を反転し、時刻t3〜t4の電極プラス極性ピーク期間Tp中は、電極プラス極性ピーク電流Ipを通電する。時刻t4において極性を反転し、時刻t4〜t5は再び電極マイナス極性ベース期間Tpnとなる。時刻t5〜t6の期間は、再び電極マイナス極性ピーク期間Tpnとなる。時刻t6において極性を反転し、時刻t6〜t7は再び電極プラス極性ピーク期間Tpとなる。時刻t2〜t5の期間が1パルス周期Tfとなる。また、時刻t1〜t3の期間が、電極マイナス極性期間Tenとなる。
電極プラス極性ピーク期間Tp、電極プラス極性ピーク電流Ip、電極マイナス極性ピーク期間Tpn、電極マイナス極性ピーク電流Ipn及び電極マイナス極性ベース電流Ibnは、予め適正値に設定される。また、溶接電圧の絶対値の平均値が予め定めた電圧設定値に等しくなるように上記のパルス周期Tfの長さがフィードバック制御(アーク長制御)される。このパルス周期Tfが変化すると上記の電極マイナス極性ベース期間Tbnが変化することになる。同図においては、電極マイナス極性電流比率Renは以下のようになる。
Ren=((Tpn・|Ipn|+Tbn・|Ibn|)/(Tp・Ip+Tpn・|Ipn|+Tbn・|Ibn|))×100
次に、同図において、溶滴の形成及び移行について説明する。時刻t4の電極プラス極性ピーク期間Tpの終了近傍において、溶滴が移行する。時刻t4〜t5の電極マイナス極性ベース期間Tbn中において、溶滴が形成される。これは、電極マイナス極性電流比率が大きくなるように設定されているために、電極マイナス極性ベース期間Tbnが長くなるように設定されている。このために、電極マイナス極性ベース電流Ibnが小電流値であっても、電極マイナス極性ENでは溶接ワイヤ先端の溶融が促進されるので溶滴が形成されることになる。時刻t5〜t6の電極マイナス極性ピーク期間Tpn中は、臨界値以上の大電流が通電するために溶滴はさらに大きくなる。この期間の終了近傍において溶滴にくびれが発生するが、溶滴のサイズが大きいために移行させるまでには至らない。時刻t6〜t7の電極プラス極性ピーク期間Tp中は、臨界値以上の第電流が通電するために、溶滴のくびれ部に強い電磁的ピンチ力が作用し、くびれが急速に進行して溶滴が移行する。この移行する溶滴サイズは直流パルスアーク溶接及び通常の電極マイナス電流比率での交流パルスアーク溶接の場合に比べて大きくなる。しかし、この大きなサイズの溶滴は、大電流値の電極プラス極性ピーク電流Ipによる強いアーク力によって溶融池に向けて押されるために、あまりスパッタを発生させずに移行することになる。上述したように、電極マイナス極性電流比率が大きな値に設定されるときは、電極マイナス極性ベース期間Tbn中にも溶滴が形成されることになり、このためにピーク期間中に移行させるべき溶滴のサイズが大きくなる。このために、ピーク期間を2つ設け、かつ、一方を電極マイナス極性ピーク期間Tpnとし、他方を電極プラス極性ピーク期間Tpとすることによって、大きなサイズの溶滴を確実に移行させるようにしている。さらに、この2つのピーク期間の極性を変えること及び図1の電極プラス極性ベース期間Tbを除去したことによって、電極マイナス極性電流比率を大きな値に設定しやすくしている。同図において、電極マイナス極性電流比率を変化させるときには、上記の電極マイナス極性ピーク期間Tpn、上記の電極マイナス極性ピーク電流Ipn又は電極マイナス極性ベース電流Ibnを変化させることによって行う。ここで、電極マイナス極性電流比率を通常範囲よりも大きく設定するためには、上記の電極マイナス極性ピーク期間Tpn又は上記の電極マイナス極性ピーク電流Ipnの少なくとも1つ以上を調整することによって行うことが望ましい。
図9は上述した、本発明の実施の形態2に係る交流パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図において上述した図2と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。同図は、図2のタイマ回路TMを破線で示す第3タイマ回路TM3に置換し、図2の電極マイナス極性ベース期間設定回路TBNRを削除し、図2の電極プラス極性ベース電流設定回路IBRを削除し、図2の切換回路SWを破線で示す第2切換回路SW2に置換し、図2の駆動回路DVを破線で示す第2駆動回路DV2に置換したものである。以下、同図を参照してこれら図2とは異なるブロックについて説明する。
第3タイマ回路TM3は、パルス周期信号Tf、電極プラス極性ピーク期間設定信号Tpr及び電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrを入力として、上記のパルス周期信号Tfが短時間Highレベルに変化するごとに、上記の電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrによって定まる期間中はその値が1となり、続いて上記の電極プラス極性ピーク期間設定信号Tprによって定まる期間中はその値が2となり、それ以後の電極マイナス極性ベース期間中はその値が3となる、タイマ信号Tmを出力する。第2切換回路SW2は、上記のタイマ信号Tm、電極プラス極性ピーク電流設定信号Ipr、電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnr及び電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrを入力として、上記のタイマ信号Tm=1のとき上記の電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrを電流設定信号Irとして出力し、タイマ信号Tm=2のとき上記の電極プラス極性ピーク電流設定信号Iprを電流設定信号Irとして出力し、タイマ信号Tm=3のとき上記の電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrを電流設定信号Irとして出力する。第2駆動回路DV2は、上記のタイマ信号Tmを入力として、上記のタイマ信号Tm=1又は3のとき電極マイナス極性駆動信号Ndを出力し、タイマ信号Tm=2のとき電極プラス極性駆動信号Pdを出力する。これによって、電極プラス極性ピーク期間は電極プラス極性となり、電極マイナス極性ピーク期間及び電極マイナス極性ベース期間は電極マイナス極性となる。
図10は、図9で上述した溶接電源の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwを示し、同図(B)はパルス周期信号Tfを示し、同図(C)はタイマ信号Tmを示し、同図(D)は電流設定信号Irを示し、同図(E)は電極プラス極性駆動信号Pdを示し、同図(F)は電極マイナス極性駆動信号Ndを示す。以下、同図を参照して説明する。
同図(A)に示すように、時刻t1以前は電極マイナス極性ベース期間Tbnとなり、時刻t1〜t2は電極マイナス極性ピーク期間Tpnとなり、時刻t2〜t3は電極プラス極性ピーク期間Tpとなり、時刻t3〜t4は電極マイナス極性ベース期間Tbnとなり、時刻t4以後は電極マイナス極性ピーク期間Tpnとなる。同図(B)に示すように、パルス周期信号Tfは、時刻t1及び時刻t4において短時間Highレベルになるトリガ信号である。この時刻t1〜t4の周期がパルス周期となる。同図(C)に示すように、タイマ信号Tmは、時刻t1において上記のパルス周期信号TfがHighレベルになった時点から図9の電極マイナス極性ピーク期間設定信号Tpnrによって定まる期間(時刻t1〜t2の期間)はその値が1となり、時刻t2から図9の電極プラス極性ピーク期間設定信号Tprによって定まる期間(時刻t2〜t3の期間)はその値が2となり、時刻t3から上記のパルス周期信号TfがHighレベルになる時刻t4までの期間はその値が3となり、時刻t4においてその値は1に戻る。したがって、時刻t1以前の電極マイナス極性ベース期間中はその値は3となる。同図では、タイマ信号Tmの値の変化を階段状に示している。
同図(D)に示すように、電流設定信号Irは、上記のタイマ信号Tmの値によって変化し、時刻t1以前は電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrの値となり、時刻t1〜t2の期間は電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrの値となり、時刻t2〜t3の期間は電極プラス極性ピーク電流設定信号Iprの値となり、時刻t3〜t4の期間は電極マイナス極性ベース電流設定信号Ibnrの値となり、時刻t4以後の期間は電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrの値となる。電流設定信号Irの値は全て正の値である。同図(E)に示すように、電極プラス極性駆動信号Pdは、時刻t2〜t3の期間及び時刻t4以後の期間中出力されて、図9の電極プラス極性トランジスタPTRをオン状態にする。同図(F)に示すように、電極マイナス極性駆動信号Ndは、時刻t2以前の期間及び時刻t3〜t4の期間中出力されて、図9の電極マイナス極性トランジスタNTRをオン状態にする。
上述した実施の形態2によれば、実施の形態1の効果に加えて、電極プラス極性ベース期間を除去することによって、実施の形態1よりもさらに電極マイナス極性電流比率を大きな値に設定することが可能となる。したがって、希釈率のさらに小さなビード形状を高品質に形成することができる。
[実施の形態3]
実施の形態3に係る発明は、上述した実施の形態1及び2における電極マイナス極性ピーク電流を振動させるものである。以下、実施の形態1において、電極マイナス極性電流を振動させる場合について説明する。
実施の形態3においても、上述した図1と同様の溶接電流Iwを通電する。但し、時刻t2〜t3の電極マイナス極性ピーク期間Tpn中の電極マイナス極性ピーク電流Ipnは、図11に示すように振動している電流波形となる。図11は、上述した図1において、時刻t2〜t3の電極マイナス極性ピーク期間Tpnのみを取り出して表示した溶接電流波形図である。これ以外の期間の溶接電流波形は、上述した図1と同一である。同図において、時刻t2以前の期間は電極マイナス極性ベース期間Tbnとなり、時刻t3以降の期間は極性が反転して電極プラス極性ピーク期間Tpとなる。以下、同図を参照して説明する。
時刻t2において、電極マイナス極性ベース期間Tbnから電極マイナス極性ピーク期間Tpnに切り換わり、電極マイナス極性ピーク電流Ipnが通電を開始する。この電極マイナス極性ピーク電流Ipnは、同図に示すように、最大値がIpm[A]、振幅がW[A]、振動周期がTs[ms]となる矩形波状に振動する波形となる。時刻t2〜t22の期間が上記の振動周期Tsとなり、その逆数が振動周波数fs=1/Ts[Hz]となる。したがって、時刻t2〜t21の期間中は、上記の最大値Ipmが通電し、時刻t21〜t22の期間は最小値(Ipm−W)が通電する。ここで、デューティを(最大値Ipmの通電期間/振動周期Ts)×100[%]とすると、同図では50%になっている。同図においては、時刻t2〜t3の電極マイナス極性ピーク期間Tpn中に、電極マイナス極性ピーク電流Ipnは3周期にわたり振動している。
電極マイナス極性ピーク電流Ipnを振動させることによって、以下のような効果を奏する。
(1)電極マイナス極性電流比率を通常範囲よりも大きく設定するとアークの硬直性は弱くなる傾向がある。これに対して、電極マイナス極性ピーク電流Ipnを振動させると、アークの硬直性が強くなり、作業性が向上する。
(2)電極マイナス極性ピーク電流Ipnが振動すると、電極マイナス極性ピーク期間Tpn中において、溶滴に作用する押上げ力が分散化されるために小さくなり、溶滴移行時のスパッタ発生が少なくなる。
(3)電極マイナス極性ピーク電流Ipnが振動すると、電極マイナス極性ピーク期間Tpn中の溶滴も振動することになり、溶滴の移行が円滑になる。
上記の振幅W及び上記の振動周波数fsは、上述した(1)〜(3)の作用効果が最大限になるように、溶接ワイヤの材質、直径、シールドガスの種類、送給速度等に応じて適正値に設定される。振幅Wの設定範囲は、30〜200A程度であり、周波数fsの設定範囲は200〜500Hz程度である。同図は、電極マイナス極性ピーク電流Ipnが矩形波状に振動する場合であるが、正弦波、三角波又はノコギリ波状に振動するようにしても良い。
上述した(1)〜(3)の作用効果以外にも以下のような効果も奏する。電極マイナス極性電流比率を調整する場合に、電極マイナス極性ピーク期間Tpn又は電極マイナス極性ピーク電流Ipnを変化させると、アークの硬直性、溶滴移行状態等も同時に変化することになる。このために、アーク状態を所望状態に維持したままで電極マイナス極性電流比率を調整することは、手間のかかる作業となる。このときに、上述したデューティを変化させると、電極マイナス極性ピーク電流Ipnの平均値が変化するために、電極マイナス極性電流比率を細やかに調整することができる。その上で、アーク状態への影響も少ないために、アーク状態を所望状態に容易に維持することができる。
図12は、本発明の実施の形態3に係る交流パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図において、上述した図2と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。同図は、図2の電極マイナス極性ピーク電流設定回路IPNRを破線で示す第3電極マイナス極性ピーク電流設定回路IPN3に置換したものである。この第3電極マイナス極性ピーク電流設定回路IPN3は、予め定めた最大値、振幅及びデューティの矩形波で予め定めた振動周波数によって振動する電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrを出力する。
図12に示す溶接電源における各信号のタイミングチャートは、上述した図3と同一である。但し、図3(D)の時刻t2〜t3に示す電流設定信号Irは、上記の電極マイナス極性ピーク電流設定信号Ipnrの値となるために、振動波形となる。上記においては、実施の形態1を基礎とした場合を説明したが、実施の形態2を基礎とした場合も同様である。すなわち、図8において、時刻t2〜t3の電極マイナス極性ピーク電流Ipnが上述した図11と同様の振動波形になる。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
DV 駆動回路
DV2 第2駆動回路
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EN 電極マイナス極性
EP 電極プラス極性
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
fs 振動周波数
Ib ベース電流
Ib 電極プラス極性ベース電流
Ibn 電極マイナス極性ベース電流
IBNR 電極マイナス極性ベース電流設定回路
Ibnr 電極マイナス極性ベース電流設定信号
IBR 電極プラス極性ベース電流設定回路
Ibr 電極プラス極性ベース電流設定信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
INT インバータトランス
INV インバータ回路
Ip ピーク電流
Ip 電極プラス極性ピーク電流
Ipm (電極マイナス極性ピーク電流の)最大値
Ipn 電極マイナス極性ピーク電流
IPN2 第2電極マイナス極性ピーク電流設定回路
IPN3 第3電極マイナス極性ピーク電流設定回路
IPNR 電極マイナス極性ピーク電流設定回路
Ipnr 電極マイナス極性ピーク電流設定信号
IPR 電極プラス極性ピーク電流設定回路
Ipr 電極プラス極性ピーク電流設定信号
Ir 電流設定信号
Iw 溶接電流
Nd 電極マイナス極性駆動信号
NTR 電極マイナス極性トランジスタ
Pd 電極プラス極性駆動信号
PTR 電極プラス極性トランジスタ
Ren 電極マイナス極性電流比率
RNR 電極マイナス極性電流比率設定回路
Rnr 電極マイナス極性電流比率設定信号
SW 切換回路
SW2第2 切換回路
Tb ベース期間
Tb 電極プラス極性ベース期間
Tbn 電極マイナス極性ベース期間
TBNR 電極マイナス極性ベース期間設定回路
Tbnr 電極マイナス極性ベース期間設定信号
Ten 電極マイナス極性期間
Tep 電極プラス極性期間
Tf パルス周期(信号)
TM タイマ回路
Tm タイマ信号
TM2 第2タイマ回路
TM3 第3タイマ回路
Tp ピーク期間
Tp 電極プラス極性ピーク期間
Tpn 電極マイナス極性ピーク期間
TPN2 第2電極マイナス極性ピーク期間設定回路
TPNR 電極マイナス極性ピーク期間設定回路
Tpnr 電極マイナス極性ピーク期間設定信号
TPR 電極プラス極性ピーク期間設定回路
Tpr 電極プラス極性ピーク期間設定信号
Ts 振動周期
VAV 電圧平均化回路
Vav 溶接電圧平均値/電圧平均値信号
Vb ベース電圧
Vbn 電極マイナス極性ベース電圧
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VF 電圧・周波数変換回路
Vp ピーク電圧
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vw 溶接電圧
W 振幅
WL リアクトル
WM ワイヤ送給モータ

Claims (5)

  1. 溶接ワイヤを予め定めた送給速度で送給すると共に、交流溶接電流を通電して溶接する交流パルスアーク溶接制御方法において、
    電極マイナス極性ベース期間中は臨界値未満の電極マイナス極性ベース電流を通電し、
    続けて電極マイナス極性ピーク期間中は前記電極マイナス極性ベース電流よりも絶対値が大の電極マイナス極性ピーク電流を通電し、
    続けて電極プラス極性ピーク期間中は前記電極マイナス極性ベース電流よりも絶対値が大の電極プラス極性ピーク電流を通電し、
    これらの通電を1周期として繰り返して溶接を行い、
    前記電極マイナス極性ピーク電流は、所定の振幅で所定の振動周波数によって振動する電流である、
    ことを特徴とする交流パルスアーク溶接制御方法。
  2. 前記電極プラス極性ピーク期間に続けて、臨界値未満の電極プラス極性ベース電流を通電する電極プラス極性ベース期間を設けて1周期としたことを特徴とする請求項1記載の交流パルスアーク溶接制御方法。
  3. 電極マイナス極性電流比率を入力として予め定めた関数によって前記電極プラス極性ベース期間を設定する、
    ことを特徴とする請求項2記載の交流パルスアーク溶接制御方法。
  4. 前記電極マイナス極性ピーク期間及び/又は前記電極マイナス極性ピーク電流を調整することによって前記電極マイナス極性電流比率を変化させる、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接制御方法。
  5. 前記電極マイナス極性ピーク電流の振動波形のデューティを調整することによって前記電極マイナス極性電流比率を変化させる、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接制御方法。
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