JPH10146673A - 交流セルフシールドアーク溶接方法 - Google Patents

交流セルフシールドアーク溶接方法

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JPH10146673A
JPH10146673A JP30651496A JP30651496A JPH10146673A JP H10146673 A JPH10146673 A JP H10146673A JP 30651496 A JP30651496 A JP 30651496A JP 30651496 A JP30651496 A JP 30651496A JP H10146673 A JPH10146673 A JP H10146673A
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JP
Japan
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welding
wire
current
arc
period
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Withdrawn
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JP30651496A
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English (en)
Inventor
Masaharu Sato
正晴 佐藤
Takaaki Ito
崇明 伊藤
Takeshi Koyama
小山  毅
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 細径のセルフシールド溶接ワイヤを用いた交
流アーク溶接において、ワイヤ先端に大きな溶滴が形成
されるような長いワイヤ突出し長さにおいてもアーク長
変動によるアーク不安定現象を起こすことなくアークを
安定化させ、かつ、スパッタの発生が少なく、また、ワ
イヤ溶着速度が大きい高能率な溶接を行えること。 【解決手段】 交流1周期における正極性期間Tenの時
間比率を50〜80%の範囲で設定し、溶接ワイヤと母
材間に、正極性期間Tenにベース電流Ienb とピーク電
流Ienp とからなる正極性溶接電流を通電し、逆極性期
間Tepにピーク電流Ienp より小なる逆極性溶接電流I
epを通電して溶接を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶接ワイヤとし
て細径のセルフシールドアーク溶接フラックス入りワイ
ヤ(以下、単にセルフシールド溶接ワイヤという)を用
いる交流セルフシールドアーク溶接方法に関し、ワイヤ
突出し長さが長い施工条件であってもアーク長変動によ
るアーク不安定現象を起こすことなくアークを安定化さ
せ、かつ、スパッタの発生が少なく、また、ワイヤ溶着
速度が大きい高能率な溶接を行うことができるようにし
た、交流セルフシールドアーク溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、セルフシールドアーク溶
接法は、大気中の窒素が溶融金属に固溶することによる
溶接金属の性能劣化を防ぐためのシールドガスあるいは
フラックスを外部から供給しなくても溶接が行える溶接
法であり、溶融金属に侵入した窒素を固定する成分やア
ークの周囲にガスを発生させて窒素の侵入を防ぐための
成分を、そのフラックス中に含有させたフラックス入り
ワイヤを消耗電極(セルフシールド溶接ワイヤ)として
用いて溶接を行う溶接法である。
【0003】このセルフシールドアーク溶接法は、鋼管
杭の現場溶接等のように、厚板鋼板を対象として風が強
くてシールドガスが使えない屋外での現場溶接で主とし
て採用されていた。この場合、セルフシールド溶接ワイ
ヤとしては、ワイヤ径(ワイヤ直径)が2.4、3.2
mmのような2mmを超える太径の溶接ワイヤを用い、
溶接電源としては商用周波数の手溶接用交流溶接電源が
用いられていることが多い。
【0004】一方最近になって、自動車、住宅、農機
具、軽量鉄骨などの薄板鋼板分野(板厚が0.6〜3.
2mm程度の鋼板が中心)において、セルフシールドア
ーク溶接法の簡便性が注目されており、薄板溶接用のセ
ルフシールド溶接ワイヤも市販されている。このような
薄板のセルフシールドアーク溶接では、電流値が80〜
250A程度の低電流を使用し、かつ、下向き溶接のみ
ならず立向き溶接、横向き溶接などの全姿勢で溶接が行
われるため、ワイヤ径(ワイヤ直径)が2mm以下の細
径(0.9〜2.0mmφ)のセルフシールド溶接ワイ
ヤが用いられている。
【0005】この細径の溶接ワイヤを用いるセルフシー
ルドアーク溶接では、溶接電源としては、一般に、通常
の消耗電極式ガスシールドアーク溶接に用いる定電圧特
性の直流溶接電源が使用されており、その際、溶接電源
との電気的接続は、溶接ワイヤを陰極にし母材を陽極に
するような正極性に接続し、定速度送給されるセルフシ
ールド溶接ワイヤと母材間に正極性アークを発生させて
溶接を行うようになされている。
【0006】ところが、ワイヤ径2mm以下、特にワイ
ヤ径1.4mm以下の細径のセルフシールド溶接ワイヤ
を用いた正極性アークによる直流セルフシールドアーク
溶接を行う場合、ワイヤ突出し長さが長くなると、ワイ
ヤ先端に大きな溶滴が形成されるようになりアーク不安
定現象が発生していた。このアーク不安定現象とは、ワ
イヤ送給速度、ワイヤ突出し長さ(母材表面と溶接チッ
プ先端間距離)を一定に保持したままでも、そのワイヤ
突出し長さが長い場合には、アーク長が周期的に長くな
ったり短くなったりする現象のことであり、著しい場合
にはアーク長が10mm以上も変動することがある。例
えば、ワイヤ径1.2mmの場合、適正ワイヤ突出し長
さは10〜15mmであり、この適正範囲内ではアーク
不安定現象の発生は極めて少ないが、ワイヤ突出し長さ
を30mm程度にすると、アーク長が大きく変動するア
ーク不安定現象が発生し溶接ができなくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなアーク長変
動によるアーク不安定現象が発生すると、溶接ビードの
アンダーカットや溶接ビード幅の不揃いなどの溶接ビー
ド欠陥をもたらす。さらに、溶接ワイヤ中のフラックス
に含まれるガス発生成分や窒素固定成分の働きが弱ま
り、セルフシールドワイヤとしての機能が発揮できず、
気孔欠陥が発生したり溶接金属の靱性が悪くなったりし
て溶接継手部の性能が低下することになる。このため、
人手により溶接トーチを操作することで手振れが生じや
すい半自動溶接では、立向き・横向きなどの難姿勢溶接
や、溶接トーチが入りにくい複雑形状のワーク(被溶接
物)の溶接などにおいてはワイヤ突出し長さが適正値よ
り長くなることが多く、細径セルフシールド溶接ワイヤ
を用いた溶接の薄板溶接への適用に制限があった。ま
た、アーク不安定現象を少しでも緩和・抑制するために
は、ワイヤ送給速度を下げて溶接電流を低くしなければ
ならず、このためワイヤ溶着速度(単位時間当たりのワ
イヤ溶融量)が小さくなり溶接能率が低かった。
【0008】そこでこの発明は、細径のセルフシールド
溶接ワイヤを用いて溶接を行う交流のセルフシールドア
ーク溶接方法において、ワイヤ先端に大きな溶滴が形成
されるような長いワイヤ突出し長さにおいてもアーク長
変動によるアーク不安定現象を起こすことなくアークを
安定化させ、かつ、スパッタの発生が少なく、また、ワ
イヤ溶着速度が大きい高能率な溶接を行うことができ、
これにより細径のセルフシールド溶接ワイヤを用いたセ
ルフシールドアーク溶接の薄板溶接への適用拡大を図る
ことができるようにした、交流セルフシールドアーク溶
接方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本願発明による交流セルフシールドアーク溶接方法
は、セルフシールド溶接ワイヤを用い、前記溶接ワイヤ
を陰極とする正極性期間と前記溶接ワイヤを陽極とする
逆極性期間とを交互に繰り返してアーク溶接を行う交流
セルフシールドアーク溶接方法において、交流1周期に
おける正極性期間の時間比率であるEN比率を50〜8
0%の範囲で設定し、前記溶接ワイヤと母材間に、正極
性期間にベース電流とこれより大なるピーク電流とから
なる正極性溶接電流を通電し、逆極性期間に前記ピーク
電流より小なる逆極性溶接電流を通電して溶接を行うこ
とを特徴とするものである。
【0010】そして、前記逆極性溶接電流をIepとし、
前記ピーク電流をIenp とし、前記逆極性期間をTepと
し、前記ピーク電流の期間をTenp とすると、これらを
下記範囲にて設定することがよい。 50A≦Iep≦100A 200A≦Ienp ≦300A 3ms≦Tep≦12ms 3ms≦Tenp ≦8ms
【0011】以下、このような手段により前記目的を達
成しうることについて説明する。本発明者らは、まず、
細径のセルフシールド溶接ワイヤを用いるセルフシール
ドアーク溶接において、ワイヤ突出し長さが長くなると
発生する前述のアーク不安定現象の発生機構について調
査した。代表的ワイヤ径1.2mmのセルフシールド溶
接ワイヤを用いて溶接を行い、そのアーク現象を高速度
カメラで撮影して観察した結果、次のようなことがわか
った。図7〜図9は高速度カメラで撮影したアーク現象
をスケッチした模式図である。
【0012】従来の正極性(溶接ワイヤを陰極、母材を
陽極)によるセルフシールドアーク溶接においてワイヤ
突出し長さが適正な場合(約15mm)には、溶滴は細
かく小粒でいわゆるスプレー状に移行する。陰極点はワ
イヤ先端の未溶融部分に発生し、ワイヤ周方向に不規則
に且つ高速に動きまわるが、ワイヤ先端の未溶融部分
は、溶融池に対してその一定値上方に位置する。このた
め、マクロ的にはアーク長はほぼ一定であり、アークは
安定している(図7参照)。
【0013】一方、従来の正極性によるセルフシールド
アーク溶接においてワイヤ突出し長さが長すぎる場合
(約30mm)には、ワイヤ先端に大きな溶滴が形成さ
れて、溶滴移行形態はいわゆるグロビュラ移行(大粒溶
滴移行)となる。ワイヤ先端の溶滴表面に発生する陰極
点は、溶融池表面に対して最短となる溶滴最下部に常に
発生するのではなく、図8に示すように、溶滴上部にも
発生する。そして、溶滴上部に陰極点が発生すると、こ
れが引き金となってマクロ的なアーク長不安定が引き続
いて発生する。図12の下部に、アーク長変動によるア
ーク不安定現象発生時の溶接電流波形を波形記録計で記
録し、それをトレースしたものを示す。平均溶接電流は
150Aであり、図12に示すように、アーク不安定現
象が発生し、溶接電流は周期的に変動する。アーク不安
定現象は、一度発生するとこのように周期的にその変動
が継続することになる。
【0014】これに対して、極性を逆極性(溶接ワイヤ
を陽極、母材を陰極)にし、逆極性においてワイヤ突出
し長さを長くした場合(約30mm)には、ワイヤ先端
に大きな溶滴が形成されて、グロビュラ移行となるもの
の、図9に示すように、ワイヤ先端の溶滴最下部と溶融
池との間にアークが発生し、マクロ的にはアーク長はほ
ぼ一定である。ただし、スパッタ発生量が非常に多く、
大粒の溶滴がそのままスパッタとなることもあり溶接作
業性は極めて悪い。なお、逆極性においてワイヤ突出し
長さが短い場合(約15mm)にも、同様に、ワイヤ先
端に大きな溶滴が形成されて、スパッタが多発する。
【0015】さて、正極性における前述したワイヤ突出
し長さの長短による溶滴の大きさの違いは、ワイヤ突出
し長さの違いによるワイヤ溶融速度の違いということで
説明できる。図10はワイヤ突出し長さが約15mmに
おける溶接電流とワイヤ溶融速度(ワイヤ送給速度)と
の関係を示す図、図11はワイヤ突出し長さが約30m
mにおける溶接電流とワイヤ溶融速度(ワイヤ送給速
度)との関係を示す図である。両図において「白丸」印
は正極性の場合を示し、「黒丸」印は逆極性の場合を示
す。
【0016】正極性でのセルフシールドアーク溶接にお
いて、ワイヤ突出し長さが短くてワイヤ溶融速度が小さ
い場合には、ワイヤ先端に余分な溶滴が形成されにく
く、陰極点はワイヤ先端の未溶融部分、つまり溶接ワイ
ヤのフープ部分に発生する。そして、陰極点は電離電圧
の低い酸化物が存在するところから優先的に発生するも
のであることから、酸化物で覆われているワイヤフープ
部分は陰極点の安定した発生点となるものと考えられ
る。
【0017】これに対して、ワイヤ突出し長さが長くな
ると、同一溶接電流ではワイヤ溶融速度が大きくなり、
溶融が過剰になってワイヤ先端に大きな溶滴が形成され
るものと考えられる。そして、大きな溶滴が形成されて
しまうと、溶融池に対してワイヤフープ部分が遠ざかる
ことになり、また、溶滴表面に電離電圧の低い酸化物が
少ないことから陰極点は酸化物を求めて溶滴表面を不規
則に動きまわり、その結果、アーク長が不安定になる。
なお、正極性でのワイヤ溶融速度は、図10に示すよう
にワイヤ突出し長さが短い場合には、大きな溶滴が形成
される逆極性のそれに比較して小さく、図11に示すよ
うにワイヤ突出し長さが長くなると、逆極性のワイヤ溶
融速度とほぼ同じとなり、大きな溶滴が形成される点も
逆極性と同じである。
【0018】以上のことから、細径のセルフシールド溶
接ワイヤを用いる正極性でのセルフシールドアーク溶接
では、次のようなプロセスでアーク長変動によるアーク
不安定現象が発生するものと考えられる。図12はアー
ク不安定現象を説明するための説明図である。
【0019】すなわち、ワイヤ突出し長さが長いとワ
イヤ溶融速度が増加し、ワイヤ先端に大きな溶滴が形成
される。陰極点は電離電圧の低い酸化物をさがし求め
て溶滴表面を動き回る。溶滴上部に陰極点が移動する
と、アークは溶融池表面とこれに対して最短となる溶滴
最下部との間に発生せず、アーク長が長くなる。アー
ク長が長くなると、定電圧特性の溶接電源ではアーク長
(アーク電圧)を一定に維持しようとする溶接電源によ
るアーク長の自己制御作用が働き、溶接電流が減少し始
める。そして、溶接ワイヤは一定の速度で送給されてい
るので、ワイヤ先端の溶滴は溶融池に近づいて行く。
【0020】ワイヤ先端の溶滴が離脱すると、陰極点
はワイヤフープ部分に形成されて、短いアーク長とな
る。溶接電源によるアーク長の自己制御作用が働き、
溶接電流が増加する。溶接電流が増加するとさらにワ
イヤ溶融速度も増加し、溶接ワイヤが急激に燃え上が
り、ワイヤ先端に大きな溶滴が形成される。そして前記
のように陰極点が動き回る。
【0021】このようなアーク不安定現象の発生機構か
ら、ワイヤ先端に大きな溶滴が形成されるような長いワ
イヤ突出し長さにおいてアークを安定化するには、溶滴
表面に形成される陰極点の安定化が重要であることがわ
かった。先に述べたように、溶接ワイヤを陽極とする逆
極性では、ワイヤ先端の溶滴最下部と溶融池との間にア
ークが発生し、ワイヤ先端に形成される「陽極点」は溶
滴表面を動き回ることなく安定している。
【0022】そこで、正極性と逆極性の両者の特徴を持
つと考えられる交流溶接(両極性溶接)に着目し、交流
1周期における溶接ワイヤが陰極になる正極性期間の時
間比率をEN比率とし、細径のセルフシールド溶接ワイ
ヤを用い、ワイヤ先端に大きな溶滴が形成されるような
長いワイヤ突出し長さにおいてEN比率を変化させ、交
流セルフシールドアーク溶接を実施した。図4に示すよ
うに、交流1周期における溶接ワイヤを陰極とする正極
性期間をTenとし、溶接ワイヤを陽極とする逆極性期間
をTepとすると、EN比率=〔Ten/(Ten+Tep)〕
×100%である。Ienは正極性溶接電流を示し、Iep
は逆極性溶接電流を示す。
【0023】図5は細径の代表的ワイヤ径1.2mmの
溶接ワイヤを用いた交流セルフシールドアーク溶接にお
いて、ワイヤ突出し長さとEN比率とを変化させた場合
におけるアーク安定領域を示す図である。この場合、交
流周波数は約50Hzであり、Iep=Ienとなるように
溶接電流を設定した。
【0024】図5に示されるように、ワイヤ突出し長さ
の増加につれてEN比率を低下させると、ワイヤ突出し
長さが適正長さ(ワイヤ径1.2mmの場合:10〜1
5mm)よりも長い場合においても、正極性アークのみ
におけるアーク不安定現象の発生をなくして、アークの
安定化した交流セルフシールドアーク溶接を行うことが
できる。ワイヤ径1.2mmの場合、EN比率は、ワイ
ヤ先端に大きな溶滴が形成されはじめるワイヤ突出し長
さが20mmのときには90%以下に設定し、実用的な
限界突出し長さである30mmのときには80%以下に
設定すればよいことがわかる。なお、このEN比率は、
50〜80%の範囲で設定されるものであり、その理由
についてはスパッタ発生量にも関係するので後述する。
【0025】図6はワイヤ径1.2mmのセルフシール
ド溶接ワイヤを用い、前記図4に示す溶接電流波形によ
る交流セルフシールドアーク溶接において、ワイヤ突出
し長さとEN比率とを変化させた場合におけるスパッタ
漸増領域及びスパッタ多発領域を示す図である。この場
合、交流周波数は約50Hzであり、Iep=Ienとなる
ように溶接電流を設定した。
【0026】図6からわかるように、EN比率を小さく
設定するに従って、アーク長変動によるアーク不安定現
象の発生をより確実になくすことができるものの(図5
参照)、逆にスパッタの発生が徐々に多くなる。そし
て、このスパッタ漸増領域を経てスパッタ多発領域にい
たり、図6に示す「黒丸」印を結ぶ境界線を超えたスパ
ッタ多発領域では、逆極性の影響が強すぎて溶滴がスパ
ッタとなって飛散してしまうため、溶接ビードが著しく
不良となってしまう。
【0027】この図6及び図5から、細径の代表的ワイ
ヤ径1.2mmのセルフシールド溶接ワイヤの場合、E
N比率を50〜80%の範囲内に設定しておけば、ワイ
ヤ突出し長さが10〜30mmの範囲で変動しても、E
N比率の値をワイヤ突出し長さの変動に応じて特に調整
することなく、アークが安定し、かつスパッタの比較的
少ない溶接を行えることがわかる。
【0028】そして、スパッタの発生をより低減すべ
く、前記スパッタ漸増領域におけるアーク現象を観察し
た結果、溶接ワイヤが陽極となる逆極性期間にて、ワイ
ヤ先端に大きく溶滴が成長し、かつ、この溶滴が溶接電
流によるアーク力で吹き飛ばされて大粒のスパッタにな
ることがわかった。すなわち、交流セルフシールドアー
ク溶接における逆極性期間の存在はアーク安定化に有効
であるものの、逆極性溶接電流値が高すぎるとスパッタ
発生を招くので、逆極性溶接電流値には適正範囲が存在
することがわかった。この適正範囲の値については後述
する。
【0029】さて更に本発明者らは、ワイヤ溶着速度向
上による高能率化についても検討した。細径のセルフシ
ールド溶接ワイヤを用いた薄板ワークの溶接では、溶接
電流が高すぎると薄板のため溶落ちで穴があくなどの溶
接欠陥が発生しやすくなる一方、溶落ちを恐れて逆に溶
接電流を下げすぎるとワイヤ溶着速度が小さくなり溶接
能率が低下する。溶落ちなく高能率化を図るには、従来
に比べ低溶接電流でもワイヤ溶着速度が大きければよ
い。
【0030】そこで交流溶接時の電流の波形について種
々検討した結果、電流平均値が同じであっても溶着速度
増大に寄与する電流実効値が大きいパルス波形を採用す
ることで、前記の図4に示す非パルスの交流矩形波状電
流波形による溶接よりもワイヤ溶着速度を向上できるこ
とを見出した。すなわち図3に示すように、正極性期間
Tenにベース電流Ienb とこれに続くピーク電流Ienp
(Ienp >Ienb )とからなるパルス状の正極性溶接電
流を通電し、逆極性期間Tepにピーク電流Ienp より小
なる逆極性溶接電流Iepを通電して溶接を行うことによ
り、アークの安定化とスパッタの低減とを実現しつつ、
ワイヤ溶着速度の向上をも図ることができた。逆極性期
間Tepにパルス状溶接電流を通電した場合には、溶滴成
長の抑制やアーク力を弱めることができず、スパッタの
低減を実現し得ない。
【0031】そして、前記の逆極性溶接電流Iep、ピー
ク電流Ienp 、逆極性期間Tep、およびピーク電流期間
Tenp は、それぞれ、下記(1)〜(4)の範囲にて設
定することがよい。 50A≦Iep≦100A …(1) 200A≦Ienp ≦300A …(2) 3ms≦Tep≦12ms …(3) 3ms≦Tenp ≦8ms …(4)
【0032】前記のIep、Ienp 、Tep、及びTenp の
値は、前記各範囲内であれば一定値としてもよいが、溶
接できる条件範囲をより広くするため、ワイヤ送給速
度、ワイヤ突出し長さ、溶接電圧、溶接速度、及びEN
比率などに応じて前記各範囲内において適宜変更して設
定すればよい。
【0033】前記逆極性溶接電流Iepについては、50
Aより低い電流では逆極性期間Tepにてアーク切れが生
じ、また100Aより高い電流では逆極性期間Tepにて
前述したようにワイヤ先端に形成された溶滴を吹き飛ば
して大粒のスパッタが発生するので良くない。正極性期
間Tenの前記ピーク電流Ienp については、200Aよ
り低い電流では電流実効値を高めるためのベース電流I
enb との電流差が不十分でワイヤ溶着速度の向上が十分
でなく、また300Aより高い電流ではワイヤの溶融が
大きくなりすぎ正極性期間Tenにおいて急激にアーク長
が長くなってアーク不安定となるので良くない。
【0034】前記逆極性期間Tepについては、3msよ
り短い期間では前述した逆極性によるアーク安定化効果
が十分発揮されず、12msより長い期間では逆極性溶
接電流Iepの値を低電流(下限値50A)に保持しなけ
ればならずアーク切れ発生の恐れが高くなるので良くな
い。正極性のピーク電流期間Tenp については、3ms
より短い期間ではワイヤ溶着速度向上効果を得ようとす
ると300Aを上回るピーク電流Ienp を通電しなけれ
ばならず、また8msより長い期間ではピーク電流Ien
p の値を低電流に設定しなければならず、ピーク電流I
enp とベース電流Ienb との電流差が不十分でワイヤ溶
着速度向上効果が十分発揮されない。
【0035】
【発明の実施の形態】図1はこの発明による方法を実施
するための溶接電源の一例を示すブロック図である。
【0036】図1に示すように、三相交流電力供給部1
から供給される交流電力は、1次整流器2で直流に整流
され、平滑用コンデンサ3により平滑される。この直流
は、トランジスタをスイッチング素子として用いた1次
インバータ4によって高周波交流に変換される。トラン
ス5は1次インバータ4の出力を溶接に適した電圧レベ
ルに降圧する。トランス5からの溶接用に降圧された高
周波交流は2次整流器6により直流に整流される。そし
て、リアクトル7を介して平滑された直流が2次インバ
ータ8によって再度交流に変換され、この交流電力がセ
ルフシールド溶接ワイヤ10と母材9間に供給されて、
交流セルフシールドアーク溶接が行われるようになって
いる。前記1次インバータ4は出力電流(Ienb 、Ien
p 及びIep)の電流値制御を行い、2次インバータ8は
出力極性の切替え制御(EN比率の制御)を行うもので
ある。
【0037】11は溶接電流を検出する溶接電流検出
器、12は溶接電圧を検出する溶接電圧検出器である。
これらの検出器11,12の出力は後述する制御部に与
えられる。セルフシールド溶接ワイヤ10はワイヤ送給
モータ13で駆動されるワイヤ送給ローラによって母材
9に向けて送給され、溶接ワイヤ10と母材9間に交流
アークを発生させて溶接が行われる。ワイヤ送給モータ
制御回路14は、ワイヤ送給速度設定器15からのワイ
ヤ送給速度の設定信号に基づき送給モータ13の回転速
度を制御するものである。
【0038】制御部は、溶接電流検出器11及び溶接電
圧検出器12からの検出出力に基づいて1次インバータ
4及び2次インバータ8を制御し、図3に模式的に示す
ように、ベース電流Ienb とこれに続くピーク電流Ien
p とからなるパルス状の正極性溶接電流を供給する正極
性期間Tenと、逆極性溶接電流Iepを供給する逆極性期
間Tepとからなる交流波形を形成するためのものであ
る。
【0039】この制御部の構成について説明する。ワイ
ヤ送給速度設定器15は、ワイヤ送給モータ制御回路1
4にワイヤ送給速度の設定信号を与える。Iep設定器1
6は、Iep調整用ボリューム17による設定に応じた逆
極性溶接電流Iepを供給するためのIep設定信号を波形
選択回路24に与え、同様にIenp 設定器18は、Ien
p 調整用ボリューム19による設定に応じたピーク電流
Ienp を供給するためのIenp 設定信号を波形選択回路
24に与えるものである。また、Ienb 設定器29は、
Ienb 調整用ボリューム30による設定に応じたベース
電流Ienb を通電するためのIenb 設定信号を波形選択
回路24に与えるものである。なお、前記各設定器1
6,18,29に対し、任意のワイヤ送給速度、溶接電
圧等の各溶接パラメータの値に応じて予め設定された信
号を自動入力することにより、波形選択回路24に与え
るIep設定信号などの前記各設定信号を自動設定するよ
うにしてもよい。
【0040】EN比率設定器21はEN比率を設定する
設定器であり、Ten設定器20は、EN比率設定器21
からのEN比率設定信号に基づき交流周期に応じて正極
性期間Tenの値を設定し、これを波形選択回路24に与
えるものである。また、電圧誤差増幅回路22は、溶接
電圧設定器23からの設定値と溶接電圧検出器12から
の検出値とが一致するように、ピーク電流期間Tenp を
定めるTenp 設定器28に信号を与え、Tenp 設定器2
8は3ms〜8msの範囲においてピーク電流期間Ten
p を定めるTenp 設定信号を波形選択回路24に入力す
る。そして波形選択回路24は、前記のIenb 、Ienp
及びIepの各設定信号を順次選択して電流設定値として
電流誤差増幅回路25へ出力するとともに、極性制御回
路27に対してIep設定信号が電流設定値として増幅回
路25に出力されていることを示す電流選択信号を出力
する。
【0041】電流誤差増幅回路25は、溶接電流検出器
11によって検出した電流値と波形選択回路24から与
えられた電流設定値(Ienb 、Ienp 及びIep)とを比
較し、その偏差を出力する。出力制御回路26は、この
電流誤差増幅回路25の出力に基づいて、溶接電流検出
器11を流れる電流値が前記設定されたベース電流Ien
b 、ピーク電流Ienp および逆極性溶接電流Iepになる
ように1次インバータ4をスイッチング制御する。
【0042】そして同時に、極性制御回路27は、波形
選択回路24からの前記電流選択信号を受けて、Iep設
定信号が選択されている時には逆極性、つまり溶接ワイ
ヤ側がプラス、母材側がマイナスとなるように2次イン
バータ8をスイッチング制御し、Iep設定信号が選択さ
れていない時には正極性、つまり溶接ワイヤ側がマイナ
ス、母材側がプラスとなるように2次インバータ8をス
イッチング制御するように構成されている。
【0043】
【実施例】以下、前記構成になる溶接電源を用いて本発
明による交流セルフシールドアーク溶接を行い、アーク
安定性、スパッタの発生量等を測定・調査した。図2は
スパッタの捕集方法を説明するための斜視図である。同
図に示すように、幅25mmの長尺の試験板Mを水平に
置き、この試験板Mを両側から挟むようにして試験板長
手方向(溶接方向)に沿って断面がほぼコ字型のスパッ
タ捕集板SPをセットした。WTは溶接トーチを示す。
そして、試験板Mをビードオンプレートで後述する溶接
条件にて溶接し、そのとき発生したスパッタを捕集し、
秤量して1分間あたりのスパッタ発生量を求め評価し
た。
【0044】表1に実施例及び比較例の結果と各個別溶
接条件を示す。共通の溶接条件は、セルフシールド溶接
ワイヤ:ワイヤ径1.2mm、母材:板厚25mmの軟
鋼板(SS400)、溶接平均電流値:約150A、溶
接速度:20cm/min、ワイヤ突出し長さ:30m
m、交流周波数:約50Hz(周期約20ms)、であ
る。
【0045】溶接に際し最初に、EN比率を設定し、正
極性期間Tenと逆極性期間Tepを設定する。なおこの場
合、交流周波数が約50Hzで設定されるようになって
いるので、図1のTen設定器20により正極性期間Ten
が設定されると、逆極性期間Tepは〔20ms−Ten
(ms)〕として設定される。次にIenp 調整用ボリュ
ーム19によりピーク電流Ienp を設定し、Iep調整用
ボリューム17により逆極性溶接電流Iepを設定し、し
かる後にアークを発生させ、溶接平均電流値が約150
A、目視によるアーク長さが適正値である1〜3mmに
なるように、ワイヤ送給速度設定器15、溶接電圧設定
器23及びIenb 調整用ボリューム30を用いた調整を
行った。
【0046】なお、表1中の電流値(Iep、Ienp 、I
enb )は、溶接電流波形を波形記録計で記録し、その波
形記録計の持つ波形演算機能により、代表的な1周期に
おける各所定期間の電流平均値を算出し求めたものであ
る。また、表1中の時間値(Tep、Tenp )は、前記波
形記録計の持つ時間演算機能により、代表的な10周期
に関しその平均値を求めたものである。
【0047】
【表1】
【0048】表1において、No. 13〜No. 21は比較
例である。
【0049】No. 13の比較例では、逆極性溶接電流I
epが50Aより低く、溶接中にアーク切れが多発して秤
量する意味がないほどスパッタが多量発生し、溶接ビー
ドが形成されなかった。逆にNo. 14の比較例では、逆
極性溶接電流Iepが100Aより高く、この電流を通電
する逆極性期間Tepが短くても強いアーク力のためスパ
ッタ発生量が多く、後述するNo. 8,9の代表的本実施
例の3.5倍程度のスパッタが発生した。
【0050】No. 15の比較例では、正極性期間Tenの
ピーク電流Ienp が200Aより低くベース電流Ienb
との電流差が13Aと小さいため、ワイヤ溶着速度向上
効果がほとんどなく、ワイヤ溶着速度(すなわちワイヤ
送給速度)は非パルス(No.21の比較例)の場合とほ
ぼ同じとなった。No. 16の比較例では、ピーク電流I
enp が300Aより高くワイヤ溶着速度が大きくなるも
のの、正極性期間Tenでアーク長が長くなり過ぎてアー
ク不安定によるスパッタが増加する傾向がある。
【0051】No. 17の比較例では、逆極性期間Tepが
3msより短く逆極性によるアーク安定効果が十分でな
く、わずかではあるがアーク不安定現象が観察された。
No.18の比較例では、逆極性期間Tepが12msより
長くアーク切れの発生があってスパッタ発生量が多く、
No. 8,9の代表的本実施例の3倍程度のスパッタが発
生した。
【0052】No. 19の比較例では、正極性でのピーク
電流期間Tenp が3msより短くスパッタの発生は少な
いものの、ワイヤ溶着速度は非パルス(No. 21の比較
例)の場合とほぼ同じで向上していない。No. 20の比
較例では、ピーク電流期間Tenp が8msより長く、正
極性期間Tenでアーク長が長くなり過ぎてアーク不安定
によるスパッタが増加する傾向がある。No. 21の比較
例は、非パルスの交流矩形波状電流波形によるものであ
り、アーク長変動によるアーク不安定現象は観察されな
いものの、ワイヤ溶着速度(ワイヤ送給速度)が、正極
性期間にパルス波形を採用した他の例に比べて最も小さ
くなっている。
【0053】これに対して、No. 1〜No. 12は実施例
である。これら実施例では、ワイヤ突出し長さが30m
mであっても、EN比率が50〜80%の範囲に設定さ
れており、アーク長変動によるアーク不安定現象は発生
しなかった。
【0054】No. 1、No. 2の実施例は、ピーク電流I
enp が低く200Aに近い場合のものである。ピーク電
流Ienp が低くベース電流Ienb との電流差が70〜8
0A程度と比較的小さくて非パルスのNo. 21の比較例
に比べて大幅ではないものの、ワイヤ溶着速度(ワイヤ
送給速度)の向上効果は認められる。
【0055】No. 3の実施例は、No. 1及びNo. 2より
もピーク電流Ienp を増加させる一方、平均電流を約1
50Aに保持するためベース電流Ienb を下げた場合の
ものである。No. 1及びNo. 2よりも少し大きいワイヤ
溶着速度が得られている。No. 4の実施例では、さらに
ピーク電流Ienp を増加させるとともにベース電流Ien
b を減少させて電流差を大きくした場合で、No. 21の
比較例の約1.2倍のワイヤ溶着速度が得られている。
【0056】No. 5及びNo. 10の実施例は、逆極性期
間Tepが12msに近く比較的長い場合のもので、スパ
ッタ発生量が増加する傾向がある。No. 6の実施例は、
ピーク電流期間Tenp が8msに近く比較的長い場合の
ものである。一方、No. 7の実施例では、ピーク電流期
間Tenp が3msに近く比較的短く、このためベース電
流Ienb が高くなってワイヤ溶着速度の向上効果はNo.
6よりは小さくなっている。
【0057】No. 8及びNo. 9の実施例では、各パラメ
ータがほぼ最適値となっており、非パルスのNo. 21の
比較例に比べてスパッタ発生量も少なく、またNo. 8で
はNo. 21の約1.2倍のワイヤ溶着速度が得られ、N
o. 9では約1.15倍のワイヤ溶着速度が得られてい
る。No. 11及びNo. 12の実施例は、ピーク電流Ien
p が大きく300Aに近い場合のもので、No. 21の比
較例に比べてスパッタ発生量も少なく、またNo. 21の
約1.3倍程度のワイヤ溶着速度が得られている。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による交流セ
ルフシールドアーク溶接方法によると、細径のセルフシ
ールド溶接ワイヤを用いて交流のアーク溶接を行うに際
し、交流1周期における正極性期間の時間比率(EN比
率)を所定範囲で設定し、前記溶接ワイヤと母材間に、
正極性期間にベース電流とピーク電流とからなる正極性
溶接電流を通電し、逆極性期間に前記ピーク電流より小
なる逆極性溶接電流を通電して溶接を行うようにしたも
のであるから、ワイヤ先端に大きな溶滴が形成されるよ
うな長いワイヤ突出し長さにおいてもアーク長変動によ
るアーク不安定現象を起こすことなくアークを安定化さ
せ、かつ、スパッタの発生が少なく、また、ワイヤ溶着
速度が大きい高能率な溶接を行うことができ、これによ
り細径のセルフシールド溶接ワイヤを用いたセルフシー
ルドアーク溶接の薄板溶接への適用拡大を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による方法を実施するための溶接電源
の一例を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例におけるスパッタの捕集方法
を説明するための斜視図である。
【図3】この発明における交流溶接電流の波形を模式的
に示す図である。
【図4】非パルスの交流矩形波状電流波形を模式的に示
す図である。
【図5】ワイヤ径1.2mmのセルフシールド溶接ワイ
ヤを用い、図4に示す電流波形による交流セルフシール
ドアーク溶接において、ワイヤ突出し長さとEN比率と
を変化させた場合におけるアーク安定領域を示す図であ
る。
【図6】ワイヤ径1.2mmのセルフシールド溶接ワイ
ヤを用い、図4に示す電流波形による交流セルフシール
ドアーク溶接において、ワイヤ突出し長さとEN比率と
を変化させた場合におけるスパッタ漸増領域及びスパッ
タ多発領域を示す図である。
【図7】ワイヤ径1.2mm、正極性でワイヤ突出し長
さが約15mmの場合におけるセルフシールド溶接ワイ
ヤでの溶接現象を示す模式図である。
【図8】ワイヤ径1.2mm、正極性でワイヤ突出し長
さが約30mmの場合におけるセルフシールド溶接ワイ
ヤでの溶接現象を示す模式図である。
【図9】ワイヤ径1.2mm、逆極性でワイヤ突出し長
さが約30mmの場合におけるセルフシールド溶接ワイ
ヤでの溶接現象を示す模式図である。
【図10】セルフシールド溶接ワイヤ(ワイヤ径1.2
mm)において、ワイヤ突出し長さが約15mmにおけ
る溶接電流とワイヤ溶融速度(ワイヤ送給速度)との関
係を示す図である。
【図11】セルフシールド溶接ワイヤ(ワイヤ径1.2
mm)において、ワイヤ突出し長さが約30mmにおけ
る溶接電流とワイヤ溶融速度(ワイヤ送給速度)との関
係を示す図である。
【図12】アーク不安定現象を説明するための説明図で
ある。
【符号の説明】
1…三相交流電力供給部 2…1次整流器 3…平滑用
コンデンサ 4…1次インバータ 5…トランス 6…
2次整流器 7…リアクトル 8…2次インバータ 9
…母材 10…溶接ワイヤ 11…溶接電流検出器 1
2…溶接電圧検出器 13…ワイヤ送給モータ 14…
ワイヤ送給モータ制御回路 15…ワイヤ送給速度設定
器 16…Iep設定器 17…Iep調整用ボリューム 18…Ienp 設定器 19…Ienp 調整用ボリューム
20…Ten設定器 21…EN比率設定器 22…電圧
誤差増幅回路 23…溶接電圧設定器 24…波形選択
回路 25…電流誤差増幅回路 26…出力制御回路
27…極性制御回路 28Tenp 設定器 29…Ienb
設定器 30…Ienb 調整用ボリューム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルフシールド溶接ワイヤを用い、前記
    溶接ワイヤを陰極とする正極性期間と前記溶接ワイヤを
    陽極とする逆極性期間とを交互に繰り返してアーク溶接
    を行う交流セルフシールドアーク溶接方法において、交
    流1周期における正極性期間の時間比率であるEN比率
    を50〜80%の範囲で設定し、前記溶接ワイヤと母材
    間に、正極性期間にベース電流とこれより大なるピーク
    電流とからなる正極性溶接電流を通電し、逆極性期間に
    前記ピーク電流より小なる逆極性溶接電流を通電して溶
    接を行うことを特徴とする交流セルフシールドアーク溶
    接方法。
  2. 【請求項2】 前記逆極性溶接電流をIepとし、前記ピ
    ーク電流をIenp とし、前記逆極性期間をTepとし、前
    記ピーク電流の期間をTenp とすると、これらを下記範
    囲にて設定することを特徴とする請求項1記載の交流セ
    ルフシールドアーク溶接方法。 50A≦Iep≦100A 200A≦Ienp ≦300A 3ms≦Tep≦12ms 3ms≦Tenp ≦8ms
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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