JP5557005B2 - 導電性ペースト組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、太陽電池においては、たとえば結晶シリコン基板のような半導体基板の受光面に、半導体層、ついで必要に応じてITOのような透明電極、光反射防止膜などを設け、反対側に裏面電極を設けて、太陽光によって半導体層に生じた電位を両電極より取出している。また別の例では、ガラス等の透明基板に、透明電極層、非晶質半導体層、裏面電極および必要に応じて保護層を設けて太陽電池を形成している。更に別の例としては、ガラス等の透明基板に設けた透明電極(フッ化スズ酸化物)層、単分子色素を吸着したチタニアナノ粒子積層膜、およびヨウ素系レドックス電解質から構成される色素増感型太陽電池があげられる。
すなわち上記問題を解決する方法として、導電性ペーストのバインダー樹脂としてエポキシ樹脂を用いて高密着性の実現を図り、ブロック化ポリイソシアネート化合物および硬化剤との混合により、硬化熱収縮による銀粉同士の接触点の数を増加させて低抵抗を得る方法(特許文献1参照)が開示されている。また、基本的に同様の考えに基づくが、導電性粉末とバインダー樹脂としてシリコーン樹脂を用い、さらに特定の範囲のエポキシ等量を有するエポキシ樹脂を熱硬化成分として用い、さらに硬化剤と、溶剤とを含有した導電性ペースト組成物が開示されている(特許文献2参照)。
これら文献に記載の導電性ペーストにおいては、エポキシ樹脂の使用によって基材への接着性向上は達成するものの、さらに透明導電膜に接着性を持たせるには、銀粉重量に対するエポキシ樹脂重量を増加させる必要があり、比抵抗が増加する問題が生じる。特に特許文献2には、熱硬化性成分とシリコーン樹脂成分とを巧みな比率で配合することにより、硬化収縮の際に発生して残存する内部応力が緩和され、その結果エポキシ樹脂による接着性に耐湿性を持たせ得ることが開示されている。しかしながら本文献においては、あくまでガラス基板上への接着性、及び接触抵抗の減少を解決すべき課題としており、透明導電膜上への接着性、及び接触抵抗については一切述べられていない。
本文献によれば、フッ素樹脂系の熱硬化樹脂としては、たとえば分子中に活性水素原子を有する含フッ素樹脂を、加熱によりイソシアナト基を生ずる化合物で硬化させるものであり、使用するフッ素樹脂の固形分中のフッ素原子が3〜40重量%が好ましいとされている。3重量%未満では耐水性が低下するため耐候性が低く、40重量%を越えると、溶媒に対して不溶になり、たとえ懸濁状態で使用するとしても、精度よくファインパターンを形成することが困難になる。また、本文献におけるようにイソシアネート基を生ずる化合物で硬化させる場合、透明導電膜への接着性は改善されるものの、体積抵抗率が上昇する傾向があることが判明している。さらに本文献の方法では、耐候性は向上するものの依然としてその特性が不十分で、過酷な自然条件を想定した耐候性試験においては接着強度を維持できなかった。さらに樹脂系を工夫して硬化収縮による内部応力を緩和しても、イソシアネート基を生ずる化合物との反応硬化による内部応力の発生により、耐候性試験下における透明導電膜への接着性は大幅に低下する。
一方、良好な導電性の実現のためには、導電性粒子をより少ない樹脂バイダー中に良好に分散させる必要があり、高い剪断力をかけてバインダー樹脂と導電性粒子を混練するプロセスが有効と考えられる。しかしフッ素含有率の高いフッ素樹脂のように反応性の高い樹脂については、金属粉の微粒子、例えば銀粒子と高剪断力下で直接混練すると火災、爆発の危険性があり、製造工程における生産性を向上させる障害となっていた。
さらに本発明の目的は、透明導電膜上に塗布、乾燥して導電膜からなる配線パターンを形成したときに、比較的低温の焼成で硬化可能であり、高い導電性、透明導電膜に対する良好な接着性、低い接触抵抗を備えるとともに、耐湿性、耐候性に優れた高い信頼性を有する配線パターンを形成することのできる導電性ペースト組成物の製造方法であって、しかも生産性が高く安全な製造方法を提供することである。
さらに本発明の目的は、太陽電池セル、エレクトロルミネッセント素子、およびタッチパネル用等の導電性ペースト組成物として、比較的低温の焼成条件で透明導電性膜上に電極用の塗膜を形成し、あるいは内部配線用の塗膜の形成が行われたときに、形成された塗膜による電極や配線の高い導電性と良好な耐湿性、耐候性、透明導電性膜との良好な接着性、低い接触抵抗を実現できる導電性ペースト組成物を提供することにある。
更に、本発明は銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させて分散液を作製する分散工程、および前記分散液を乾燥させる乾燥工程を経て、前記銀、または銀化合物を主成分とする導電性粉末を表面処理し、前記銀、または銀化合物を主成分とする導電性粉末と、固形分中のフッ素原子が40質量%を超えて75質量%以下のフッ素樹脂とを含む混合物を、溶剤中に分散させることを特徴とする導電性ペースト組成物の製造方法を提供する。
さらに本発明の導電性ペースト組成物の製造方法としては、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させて分散液を作製する分散工程、および前記分散液を乾燥させる乾燥工程を経て、前記銀、または銀化合物を主成分とする導電性粉末を表面処理し、しかるのちに前記銀、または銀化合物を主成分とする導電性粉末と、固形分中のフッ素原子が40質量%を超えて〜75質量%以下のフッ素樹脂とを含む混合物を、溶剤中に分散させて製造する製造方法を用いることができる。
界面活性剤で表面処理された銀または銀化合物を主成分とする導電性ペーストは、活性の高いフッ素樹脂と導電性粉末の反応で、ペーストの硬化時に導電性粉末の融着が進行しやすく、導電性が向上しやすい、しかも導電性粉末が予め界面活性剤で表面処理されているため、フッ素樹脂の添加量を低減しても、分散性、保存安定性の良好な導電性ペーストを作製することが可能である。このため導電性ペースト中の銀または銀化合物を主成分とする導電性粉の比率を高く保つことができ、導電性の良好な導電性ペーストを作製することができる。
さらに本発明の導電性ペースト組成物の製造方法において、活性の高い銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面が、予め界面活性剤で表面処理されると、導電性ペースト組成物の製造時に仮にフッ素樹脂と共に高い剪断力で混練されたとしても、発火等の危険を招く恐れがない。
本発明の導電性ペースト組成物におけるフッ素樹脂の配合量としては、配合量が少ないほど体積抵抗率、及び接触抵抗は低くなるが、逆に基体への接着強度が低下する。このため、導電性ペースト組成物を印刷して、電極や導電性の配線パターンを形成するべき基体、およびその使用目的によって、双方の特性のバランスを勘案して調整することが必要である。本発明で使用する、フッ素原子含有率が40質量%を超えて70質量%以下のフッ素樹脂を用いることにより、体積抵抗率、接触抵抗は従来使用されていた樹脂を用いた場合よりも下がる傾向にあり、また接着強度は向上する傾向にあるため、従来の導電性ペーストより低い抵抗率を維持しつつ、接着強度を低下させないことが可能であると考えられる。通常、電極や配線パターンの作製に用いられる場合には、樹脂/導電性粉末の比率で0.05〜0.50の範囲が好ましく、0.05〜0.30の範囲がより好ましく、0.05〜0.10の範囲がさらにより好ましい。最適比率は導電性粉末である銀粒子の粒径に依存しており、粒径が大きくなれば該比率を下げる方が好ましく、粒径が小さくなれば該比率を上げる方が好ましい。
一方、例えば本発明の実施例で用いたような、通常は加硫剤を加えてフッ素ゴムとして用いられる、2元系以上の共重合体からなるフッ素樹脂、例えばビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体等は、ゴム成分による粘着性を有しているため、基体との密着性が良好で接触抵抗も低下させることができる。これらの共重合体を未架橋で用いることが良好である。さらに前述のような共重合体はフッ素原子の含有量も容易に40質量%を超えるため、耐水性、耐候性についてもより優れた特性を示す。具体的な製品名としては、ダイニオンFC−2211(住友3M社製)、バイトンA−500(デュポン社製)等をあげることができる。
なお本発明の導電性ペースト組成物のバインダー樹脂としては、フッ素原子の含有量が40質量%を超えて75質量%以下であるフッ素樹脂の他に、本発明の導電性ペースト組成物の特性を著しく低下させない範囲で他の樹脂を含有させてもよい。このように樹脂を混合させた場合にあっても、樹脂の全固形分中のフッ素原子の含有量は40質量%を超えて75質量%以下であることが好ましい。
なお、これら上記の溶剤に、通常の塗料用溶剤として使用される溶剤を添加して用いることも出来るが、少なくとも50質量%は上記溶剤から選択される1種または2種以上の組み合わせから構成されていることが好ましい。
導電性粉末が銀または銀化合物のみからなる粒子の場合は、安定した導電性を実現し易く、また熱伝導特性も良好なため最も好ましい。
球状銀粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm程度である。鱗片状銀粒子の場合は、鱗片の面の長径が0.05〜100μmの範囲が好ましい。
銀粉末として、体積平均粒径が異なる大小2種類またはそれ以上の粒子を組み合わせて、銀粒子の充填密度を向上させることにより、導電性膜の導電性を向上させてもよい。
本発明の導電性ペースト組成物及び導電性ペースト組成物の製造方法においては、低温焼成導電性ペーストを作製したときに、含有される銀ペーストの加熱によって銀粒子が融着する焼成温度を300℃以下にし得る銀または銀化合物の粒子を用いることが好ましい。焼成温度がこのように低い低温焼成型の導電性ペーストは、例えばポリイミドフィルムやPETフィルム上に形成された配線パターンをそのまま焼成することが可能となる。一般に導電性ペースト中に導電性粒子が微細に分散されていればされているほど、導電性ペーストの熱容量が低下して、導電性ペーストの焼成温度が導電性粒子自体の固有の焼結温度に近くなる。さらに導電性粒子が微細に分散されるに従ってその充填密度が向上するため、一般に高分散であるほど焼成後の導電性が良好となる。
銀粒子表面の酸化処理により、粒子表面の銀は酸化第1銀、酸化第2銀、などに酸化される。粒子表面が酸化銀で被覆された銀粒子において、粒子表面の酸化銀は、酸化第1銀、酸化第2銀、などが混合した状態にあってもよい。これら粒子表面が酸化銀で被覆された銀粒子は、還元剤不存在下または還元剤存在下の還元反応で表層の酸化銀が銀となり、低温度で隣接する粒子同士が融着する。表面が酸化銀処理された銀粒子は、還元反応条件;加熱温度、還元剤の有無、還元剤の還元力などに応じて、組成、形状の異なったものを適宜選択することができる。酸化銀処理された銀粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm程度である。特に、平均粒径が0.05〜0.5μmの粒子を用いると還元反応の速度が速くなり好ましい。
さらに導電性粉末の表面処理を予め行うことによって、表面状態を安定させ、またその表面状態の制御を通じて導電性ペーストの粘度、流動性、チキソ性等、該ペーストの印刷に係わる物性を制御することができる。
このように、界面活性剤による表面処理に供される銀または銀化合物の粒子として、焼結温度が300℃以下の低温焼結タイプの銀または銀化合物の粒子を用いると、その本来の低温焼結性を充分に発揮させてフッ素樹脂と混合させ低温焼成型の銀ペーストを得ることができ、また銀ペーストとして焼成後に導電性の良好な配線パターンを得ることができる。
上記の方法を用いると、特に、この導電性粉末が液相中で製造された場合、これら活性の高い導電性粉末等を効果的に、しかも場合により、それら導電性粉末等が製造されたときの液相のままで界面活性剤を添加し表面処理することができるため、処理が容易な上、これら導電性粉末等の本来の特性を充分に発揮させることができ好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、等が挙げられる。
本発明でフッ素樹脂とともに使用される、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面処理に使用される界面活性剤としては、アルキルアミンおよびアルキルアミン塩を好適に用いることができる。アルキルアミン系の非イオン性界面活性剤、およびアルキルアミン塩系の陽イオン性界面活性剤はそれぞれ単独で使用しても有効であるが、特に併用することによって分散性がより良好となり効果が顕著である。
アルキルアミン系の界面活性剤としてはポリオキシアルキレンアルキルアミン型の界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルアミン型の界面活性剤がさらに好ましい。中でも以下の一般式(1)を有するものがさらに好ましい。
特に粉末粒子の一部が酸化銀処理された銀粒子を主成分として用いる導電性粉末を用いる時は、アルキルアミン系の界面活性剤とアルキルアミン塩系の界面活性剤とを併用することが好ましく、アルキルアミン系の界面活性剤とアルキルアミン塩系界面活性剤とを併用する場合は、アルキルアミン系とアルキルアミン塩系との混合比率は1:20〜1:5の範囲が好ましい。
本発明でフッ素樹脂とともに使用される、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面処理に使用される界面活性剤として、リン酸エステル系の界面活性剤もまた好適に使用できる。特に導電性粉末に銀粉末を用いるときはより効果的である。
本発明において使用されるリン酸エステル系界面活性剤は、リン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステル等を主成分とする界面活性剤である。主成分としてのリン酸エステル系界面活性剤はポリオキシアルキレンアルキルエーテルのリン酸エステルであることが好ましく、以下の一般式(3)で表される化学構造を有することがさらに好ましい。
さらに本発明の製造方法に用いるリン酸エステル系界面活性剤としては、HLBが10以上のものを用いるか、または塩基性化合物を添加して酸価を中和して用いることが好ましい。
上記の界面活性剤は銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末と同時に溶剤に添加して、導電性ペーストの他の構成成分と混合、撹拌しながら、導電性粉末の表面に界面活性剤を吸着させてもその機能を発揮させることは可能であるが、特に導電性粉末の活性が高く、また使用する樹脂がフッ素樹脂のように活性の高いものである場合には、導電性粉末を予め界面活性剤で表面処理を行ってから溶剤中に添加するほうが、導電性粉末の表面に界面活性剤が強固に吸着し、導電性粉末と樹脂との混合時に発火等の危険性が無く好ましい。
界面活性剤によって予め導電性粉末の表面を処理するには、乾式法によって行うことも可能であるが、表面処理の効率の点で湿式法が好ましく、例えば界面活性剤と導電性粉末を分散用溶剤に分散させた後、該分散用溶剤を乾燥させて界面活性剤を導電性粉末の表面に吸着させることによって行うことが好ましい。該乾燥方法としては真空凍結乾燥法を用いることがさらに好ましい。以下好ましい湿式法による表面処理の方法について詳細を記載する。
本発明の導電性ペーストの製造方法において、予め銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面を界面活性剤で処理するには、まず銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末と界面活性剤との混合物を分散用の溶剤中に添加し、攪拌機または分散機にかけて、導電性粉末の微細粉への解砕と界面活性剤との混合を行う。そして分散用溶液中に前記混合物を分散させる。
このように、例えば銀粉と、溶剤と、界面活性剤とを所望の割合で混合して、分散手段により分散させた銀粉の分散液を得る分散工程を経ることで、銀粉の表面に均一に界面活性剤を行き渡らせることができるが、次工程における乾燥を凍結乾燥で行う場合には、銀粉の分散液中の固形分濃度の範囲は、0.5〜80%が好ましく、特に、1〜50%が好ましい。
これら溶剤はここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、或いは2種類以上混合して用いることができる。
使用可能な攪拌機または分散機としては、後述の公知の攪拌機または分散機の中から適宜選択して使用することができる。
配合後0.5〜4.0時間分散すると、銀粉等の導電性粉末が1次粒子へと解砕され、界面活性剤と導電性粉末とが吸着平衡に達する。
本発明において、リン酸エステル系界面活性剤を用いる場合は、分散液を酸性条件(例えばpH1〜3)とすることが好ましい。これにより、界面活性剤を介して、導電性粉末の粒子表面に界面電気2重層が生じ、分散安定性が向上する。
本発明の導電性ペースト組成物の製造方法においては、乾燥法として真空凍結乾燥を使用するときには、上記溶剤のなかから凍結し易い溶剤を選択して使用することが好ましく、その凝固点が−40℃以上であることが好ましい。
分散工程の終了した、銀粉と界面活性剤を含有する分散液から、乾燥工程を経て溶剤の除去を行う。乾燥工程においては、界面活性剤が熱変化や化学変化を受けないものであれば公知の方法がいずれも適用できる。一例としては熱風乾燥であって、より具体的にはデカンテーション等によって銀粉濃度を高めた後、溶剤を揮散させる方法、濾過によって銀粉を濾別したのち乾燥させる方法、衝撃波による乾燥、スプレイドライ法、真空凍結乾燥法等があげられる。特に真空凍結乾燥法による乾燥方法は、分散液を高温にすることなく溶剤を昇華させるため、導電性粉末や無機微粒子が凝集することが少なく、また界面活性剤が偏在することも少ない点で好ましい。
界面活性剤の分子は、親水基側の末端で導電性粉末の粒子の表面に吸着するため、疎水基側の末端が粒子の外側を向く。これにより、バインダー樹脂との親和性が向上し、表面処理された導電性粉末の分散性が改善される。また、粒子同士の凝集が抑制され、1次粒子に分散された状態を持続することができる。
このように真空凍結乾燥による乾燥方法では、液体分を真空中で昇華蒸発させ、乾燥するため、乾燥による収縮がわずかであり、被乾燥物の組織や構造が破壊しにくい。また、熱風乾燥のように、高温で試料内での例えば水などの液体成分の移動による乾燥ではなく、固体の凍った状態で低温乾燥するため、液体成分の移動を伴う乾燥のような部分的成分濃縮、部分的成分変化、変形がほとんど無く好ましい。
前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末、または前記分散工程と乾燥工程で界面活性剤により表面処理された銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末は、既述の溶剤と混合されるとともに、バインダー樹脂であるフッ素樹脂等を添加され、あるいは予めフッ素樹脂を溶解した溶剤等と混合されて分散され、また基体への印刷性、接着性を付与されて導電性ペースト組成物に調整され使用される。
前記バインダー樹脂の使用量は、銀粉等の導電性粉末100質量部あたり0.01〜30質量部の範囲が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、5〜10質量部が最も好ましい。
また、溶剤の使用量は塗布方法、印刷方法により異なり、使用する印刷方法に応じて適宜使用量を選択すればよい。通常は導電性ペーストの固形分が50〜95質量%となる範囲で適宜調整される。
この場合の樹脂の樹脂/導電性粉末の質量比は0.5以下が好ましい。本発明の導電性ペースト組成物の製造方法における塗料化の工程の段階では、導電性粉末が予め界面活性剤で良好に表面処理されているため、少ない樹脂量で導電性粉末を分散させることができる。
すなわち、印刷直前に添加溶剤、もしくは添加溶剤と添加結着剤の添加とそれらとの簡単な撹拌操作を行うことで、良好な銀ペースト等の導電性ペーストが得られるため、印刷装置に付随する塗料調整用設備は簡単なもので良い。
また、分散をより確実に行うために以下の分散機を用いて、通常の導電性ペースト組成物を作製するときと同様に、混練あるいは分散処理を行っても良い。
使用しうる分散手段としては、例えば、二本ロール、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等により、混練、分散することができる。
塗布方法としては、種々の塗布方法により塗布物として形成することができる。例えば、ディップコート、あるいは公知のロール塗布方法等、具体的には、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート等により電子素子や基体上に塗布物を形成することができる。
また、各種印刷方法を適用することも可能である。印刷法にはまた、凹版印刷のように最適粘度領域が比較的低粘度領域にあるものと、スクリーン印刷のように高粘度領域にあるものとが存在する。具体的には、スクリーン印刷方法、孔版印刷方法、凹版印刷方法、平版印刷方法などを用いて基体上に所定の大きさに塗布物を印刷することができる。
ガラス、シリコンウエハー、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の基体上に透明導電層を形成する透明導電膜としては、インジウム・スズ混合酸化物(ITO)、酸化スズ、フッ素・スズ混合酸化物(FTO)、酸化カドミウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、クロムなどの金属、導電性高分子などの導電性薄膜を用いることができる。中でも、透明性、比抵抗などの諸特性を考慮した場合、ITO、FTO、あるいはその複合化物を好ましく用いることができる。ITO膜、FTO膜、あるいはその複合化膜などの金属酸化物薄膜、金属薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、コーティング法、スプレイ法など公知の方法を用いることができる。成膜時の基板温度は、透明性、低抵抗化の程度、接着性、耐熱性、耐薬品性を考慮し適宜選択される。また、これら透明導電膜の組成比は、透明導電膜として要求される、表面抵抗値、比抵抗、透明性等によって決定される。透明導電膜の膜厚は、特に限定されないが、導電性と成膜時間の観点から、150〜5000Åの範囲から適宜選択されることが好ましい。
以下に表1に実施例、比較例で使用するフッ素樹脂についてまとめて示す。
平均粒子径400nmの10%酸化銀処理した銀粉 50g
(三井金属社製 FHD 結晶子径10nmより小さい)
ココナットアミンアセテートの10質量%水溶液 5g
(アルキルアミン塩タイプの陽イオン性界面活性剤)、
ポリオキシエチレンココナットアルキルアミンエーテルの10質量%水溶液 0.5g
(アルキルアミンタイプの非イオン性界面活性剤)
水 50g
以上に加え、2mm径のジルコニアビーズ400gを容積250mlのポリ瓶に入れて混合し、回転機(ボールミル)を用いて4時間練肉して、銀粒子の分散液(a)を得た。
次に、上記銀粉の表面処理物(b1)50gと、フッ素含有量65.9%の「ダイニオンFC−2211」(住友3M(株)製)3.5gを、ブチルセルソルブアセテートおよび2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートの50:50混合溶媒6gに溶解したワニス溶液とを、250ccのポリ瓶に入れて混合し、振とう機(ペイントコンディショナー)を用いて0.5時間混合攪拌して、銀ペースト(B1)を得た。
上記のように作製した導電性ペースト組成物に対して以下の方法でその特性の評価を行った。
(1)スクリーン印刷適性
スクリーン印刷機LS−34TVAを用いて、厚さ約50μmのPET上に10mm×30mmの長方形の印刷塗膜を形成し、印刷精度および連続印刷性を評価した。 印刷後の乾燥条件は150℃で10分間乾燥し、190℃で30分間焼成した。10回繰り返して印刷を行い以下の評価基準により評価を行った。
○・・・かすれ、色むらの無い、同等の色調を有する塗膜の印刷を繰り返し行うことが出来た。
△・・・かすれ、色むらは発生しないが繰り返し印刷中にわずかに塗膜の色調が変化した。
×・・・かすれ、または色むらが発生した。
繰り返し印刷を行った10mm×30mmの印刷パターンの中央の膜厚を、膜厚計402B(アンリツ製)を用いて10点測定して平均値を求めた。
印刷膜厚を測定した印刷パターンの中央部の抵抗値を、四端子測定法の低抵抗率計ロレスターEP(三菱化学(株)製)にて測定し、先に測定した試験片の導電性膜の膜厚から体積抵抗率を求めた。
(3)ITO印刷適正
上記のスクリーン印刷機を用いて、10mm×30mmの長方形の印刷塗膜ををITO蒸着したガラス板に5回連続して形成したときの印刷適正を評価した。
○・・・かすれ、色むらの無い、同等の色調を有する塗膜の印刷を、パターン精度良く繰り返し行うことが出来た。
△・・・かすれ、色むらは発生しないが繰り返し印刷中にわずかに塗膜の色調が変化するか、あるいは印刷パターンのわずかな乱れが発生した。
×・・・かすれ、または色むらが発生した。
上記のスクリーン印刷機を用いて、Line幅50mm、Line/Space=1.2mm/0.8mmの印刷パターンをITO蒸着したガラス板に形成し、150℃で10分間乾燥後、190℃のオーブン中で30分乾燥した。その後、TLM法にて接触抵抗を測定した。
次に、第2の塗膜2と第3の塗膜3との間に電圧V2を印加する。このとき、上記と同じく、2つの塗導電性塗膜とITO膜の間の接触抵抗はRc、ITO塗膜4の表面抵抗率はRsであるから、流れる電流をi2、第2の塗膜と第3の塗膜間の距離の間隔がL2で、接触長さをWとすると、
シート抵抗Rsが既知であれば、これら式(1)または(2)よりコンタクト抵抗Rcを容易に求めることができる。
またシート抵抗が未知の場合でも、上記したような2つの塗膜間距離Lを異ならせた塗膜を2組以上形成することにより、Transfer Length Method(TLM法)を用いてコンタクト抵抗を算出することが可能である(図2参照)。
上記(1)式を変換すると、
上記試験片を飽和食塩水に120時間浸漬し以下の評価を行った。
5−1.表面状態の変化
表面状態の変化を以下の評価基準によって評価した。
○・・・表面の色、状態に変化が見られない。
△・・・表面の色、または状態のどちらかににわずかな変化が認められる。
×・・・表面の色、状態の双方に明らかな変化が認められる。
5−2.剥離試験
幅18mmの粘着テープ(ニチバン社製)を、飽和食塩水に浸積後の試験片表面に約5cmにわたってのせた後、指の腹で均一に接着させ、テープの一端を持って90度方向に勢いよく引きはがし、試料の剥離の状況を観察した。以下の基準で評価を行った。
○・・・試料は全く剥離しない。
△・・・試料の一部がわずかに剥離した。
×・・・試料の半分以上の大きな面積にわたって剥離が発生した。
5−3.接触抵抗
上記接触抵抗の測定方法を用いて、浸漬後の試験片の接触抵抗を測定した。
銀ペースト(B1)を用いてスクリーン印刷により、ITOを蒸着したガラス板上に長方形の印刷パターンを繰り返して印刷を行い、印刷不良の発生状態を確認し、形成される印刷塗膜の再現性を確認した結果、印刷不良は見られず再現性の良好な印刷塗膜を形成することができた。形成された長方形の印刷塗膜の平均厚さは14.9μmであった。さらに体積抵抗率を測定したところ2.07×10−5Ω・cmを示した。その後、TLM法にて接触抵抗を測定したところ0.413Ωを示した。
上記塗膜を室温下で飽和食塩水に120時間浸せきしたところ、変色を含む表面状態の変化は見られなかった。浸せき後の接触抵抗は0.403Ωを示し抵抗増大は生じなかった。その後、粘着テープによる剥離試験を行った結果、塗膜表面の剥離は見られなかった。
フッ素樹脂として、実施例1でのダイニオンFC−2211に換えて、フッ素含有量66%のフッ素樹脂「バイトンA−500」(デュポン(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、銀ペースト(B2)を得た。PET上へのスクリーン印刷を行ったところ、かすれや色むらのない印刷を繰り返し行うことができた。体積抵抗率は2.08×10−5Ωcmであった。印刷パターンを形成したマスクフィルムと銀ペースト(B2)を用いたスクリーン印刷により、実施例1と同様にITOを蒸着したガラス板上に繰り返し印刷をおこない、長方形の印刷塗膜と接触抵抗測定用の印刷パターンを得た。印刷不良は見られなかった。長方形の印刷塗膜の平均厚さは11.9μmであった。体積抵抗率を測定したところ平均で2.08×10−5Ω・cmを示した。また、TLM法にて接触抵抗を測定したところ0.411Ωを示した。上記塗膜を室温下で飽和食塩水に120時間浸せきしたところ、変色を含む表面状態の変化は見られなかった。浸せき後の接触抵抗は0.394Ωを示し抵抗増大は生じなかった。その後、粘着テープによる剥離試験を行った結果、塗膜表面の剥離は見られなかった。
フッ素樹脂として、実施例1でのダイニオンFC−2211に換えて、フッ素含有量25%のフッ素樹脂「ルミフロンLF−200」(固形分60%キシレン溶液 水酸基価 53重量平均分子量約50000 旭硝子社製 5.88g(固形分3.50g)を用い、ブチルセルソルブアセテートを3.62g混合する以外は、実施例1と同様の方法にて、銀ペースト(B3)を得た。PET上へのスクリーン印刷を行ったところ、かすれや色むらのない印刷を繰り返し行うことができた。体積抵抗率は3.00×10−5Ωcmであった。
印刷パターンを形成したマスクフィルムと銀ペースト(B3)を用いたスクリーン印刷により、実施例1,2と同様にITO蒸着したガラス板上に繰り返し印刷をおこない、長方形の印刷塗膜と接触抵抗測定用の印刷パターンを得た。印刷不良は見られなかった。長方形の印刷塗膜の平均厚さは22.2μmであった。
Line幅50mm、Line/Space=1.2mm/0.8mmの印刷パターンををITO蒸着したガラス板に形成した。150℃で10分間乾燥後、190℃のオーブン中で30分乾燥した。その後、TLM法にて接触抵抗を測定したところ0.423Ωを示した。
上記塗膜を室温下で飽和食塩水に120時間浸せきしたところ、変色を含む表面状態の変化は見られなかった。浸せき後の接触抵抗は0.409Ωを示し抵抗増大は生じなかった。その後、粘着テープによる剥離試験を行った結果、塗膜表面が剥離した。
フッ素樹脂として、実施例1でのダイニオンFC−2211に換えて、フッ素含有量25%のフッ素樹脂「ルミフロンLF−200」(旭硝子社製)4.41g(固形分2.62g)、ブチルセルソルブアセテート4.21g、ならびに、架橋剤としてイソシアネート「バーノックDN−980S」(DIC社製)0.88gを混合する以外は、実施例1と同様の方法にて、銀ペースト(B4)を得た。PET上へのスクリーン印刷を行ったところ色むらが発生した。体積抵抗率は8.05×10−5Ωcmであった。印刷パターンを形成したマスクフィルムと銀ペースト(B4)を用いたスクリーン印刷により、ITO蒸着したガラス板上に実施例1,2と同様に繰り返し印刷をおこない、長方形の印刷塗膜と接触抵抗測定用の印刷パターンを得た。印刷状態は不良だった。長方形の印刷塗膜の平均厚さは21.9μmであった。
Line幅50mm、Line/Space=1.2mm/0.8mmの印刷パターンををITO蒸着したガラス板に形成した。150℃で10分間乾燥後、190℃のオーブン中で30分乾燥した。その後、TLM法にて接触抵抗を測定したところ0.542Ωを示した。
上記塗膜を室温下で飽和食塩水に120時間浸せきしたところ、表面縁のにじみが若干悪化した。浸せき後の接触抵抗は0.526Ωを示し抵抗増大は生じなかった。その後、粘着テープによる剥離試験を行った結果、塗膜表面が剥離した。
フッ素樹脂として、実施例1でのダイニオンFC−2211に換えて、フッ素含有量35%のフッ素樹脂「ゼッフルGK−570」(固形分65質量%酢酸ブチル溶液 水酸基価 60 ダイキン社製)5.39g(固形分3.50g)およびブチルセルソルブアセテート4.11gを用いる以外は、実施例1と同様の方法にて、銀ペースト(B5)を得た。PET上へのスクリーン印刷を行ったところ色むらが発生した。体積抵抗率は3.58×10−5Ωcmであった。
印刷パターンを形成したマスクフィルムと銀ペースト(B5)を用いたスクリーン印刷により、実施例1、2と同様にITOを蒸着したガラス基板上に繰り返し印刷をおこない、長方形の印刷塗膜と接触抵抗測定用の印刷パターンを得た。印刷状態は不良だった。長方形の印刷塗膜の平均厚さは15.6μmであった。
長方形の印刷塗膜を150℃で10分間予備乾燥後、190℃のオーブン中で30分乾燥した。その後、体積抵抗率を測定したところ平均で3.58×10−5Ω・cmを示した。
上記塗膜を室温下で飽和食塩水に120時間浸せきしたところ、表面縁のにじみが若干悪化した。浸せき後の接触抵抗は0.532Ωを示し抵抗増大が生じた。その後、粘着テープによる剥離試験を行った結果、塗膜表面が剥離した。
フッ素樹脂として、実施例1でのダイニオンFC−2211に換えて、フッ素含有量35%のフッ素樹脂「ゼッフルGK−570」(ダイキン社製)3.75g、ブチルセルソルブアセテートを溶媒として4.68g、ならびに、架橋剤としてイソシアネート「バーノックDN−980S」(DIC社製)1.07gを混合する以外は、実施例1と同様の方法にて、銀ペースト(B6)を得た。PET上へのスクリーン印刷を行ったところ、かすれや色むらのない印刷を繰り返し行うことができた。体積抵抗率は8.40×10−5Ωcmであった。
印刷パターンを形成したマスクフィルムと銀ペースト(B6)を用いたスクリーン印刷により、実施例1,2と同様にITO蒸着を行ったガラス板上に繰り返し印刷をおこない、長方形の印刷塗膜と接触抵抗測定用の印刷パターンを得た。印刷は良好だった。長方形の印刷塗膜の平均厚さは15.4μmであった。
長方形の印刷塗膜を150℃で10分間予備乾燥後、190℃のオーブン中で30分乾燥した。その後、体積抵抗率を測定したところ平均で8.40×10−5Ω・cmを示した。
上記塗膜を室温下で飽和食塩水に120時間浸せきしたところ、表面縁のにじみが若干悪化した。浸せき後の接触抵抗は0.583Ωを示し抵抗増大は見られなかった。その後、粘着テープによる剥離試験を行った結果、塗膜表面が剥離した。
以上の実施例、比較例の配合と、その特性を表2にまとめて示す。
これに対して比較例1〜4においては、いずれも体積抵抗が上昇し、特にイソシアネートで架橋した比較例2、比較例4においては体積抵抗の上昇が著しい。印刷性に関しては比較例の中ではフッ素原子含有量が低く、かつイソシアネートで架橋をしていないフッ素樹脂を用いた比較例2が最も悪く、フッ素原子含有量が35質量%で架橋している樹脂を用いた比較例4が比較例のなかでは良好であった。食塩水浸漬後の試料については、比較例1〜4のいずれについても接着性が低下し、また接触抵抗は食塩水への浸漬の有無にかかわらず、実施例1、2より高い値を示した。
銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末として、表面を酸化銀処理した活性の高い銀粉末を、同じく活性の高いフッ素含有量が40質量%を超えて70質量%以下であるフッ素樹脂とともに用いる時は、界面活性剤で銀粉末表面を予め表面処理し、銀粉末表面を界面活性剤で被覆しておくことが好ましい。このような表面処理は、製造工程の安全性を高めると共に、使用されるバインダー樹脂量の低減も可能にするため、導電性ペーストから形成された導電性膜の体積抵抗率の低減に極めて効果が高いと考えられる。
一方表面が酸化銀処理されていない銀粉のような通常の導電製粉末を使用する場合には、安全性確保のための表面処理は必ずしも必須ではなく、導電性ペーストの分散性に特に問題が無ければ表面処理工程を省くことによって製造工程の簡略化が可能である。このような通常の銀粉からなる導電性粉末を用いて導電性ペースト組成物を製造し、該ペーストを用いて導電性塗膜を作製したときに得られる導電性ペーストの分散性と、体積抵抗率の確認のために以下の実験を行った。
この銀ペーストを厚さ50μmのPET上に、アプリケータによる塗布を行い、形成された塗膜を230℃30分の条件で焼成して膜厚と体積抵抗率を測定した。
(実施例4)
銀粉を鱗片の面の長径が6〜9μmの鱗片状銀粉(TC−25A 徳力化学社製)に変更する他は実施例3と同様にして銀ペーストを作製し、実施例3と同様の条件で塗膜を作製してその膜厚と体積抵抗率を測定した。
上記実施例3及び4の測定結果を表3に示す。
(比較例5)
バインダー樹脂をブチラール樹脂(エスレックBX−L 積水化学社製)に変更する他は、実施例3と同様にして銀ペーストを作製し、実施例3と同様の条件で塗膜を作製してその膜厚と体積抵抗率を測定した。
上記実施例3及び4の測定結果を表3に示す。
2 導電性塗膜2
3 導電性塗膜3
4 ITO蒸着膜
Claims (8)
- バインダー樹脂、溶剤、および銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有する導電性ペースト組成物であって、前記バインダー樹脂はフッ素原子の含有量が40質量%を超えて〜75質量%以下のフッ素樹脂を含有するものであり、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末は、予め界面活性剤で表面処理が行われたものであることを特徴とする導電性ペースト組成物。
- 前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面処理は、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、前記界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させて分散液を作製する分散工程、および該分散液を乾燥させる乾燥工程を経て行われたものである請求項1に記載の導電性ペースト組成物。
- 前記乾燥工程は真空凍結乾燥によって行われる請求項2に記載の導電性ペースト組成物。
- 前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面処理に用いる界面活性剤は、リン酸エステル系界面活性剤、アルキルアミン系界面活性剤、アルキルアミン塩系界面活性剤からなる群から選択された1つ、または2つ以上の界面活性剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
- 前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末は、酸化銀処理を行った銀粉末である請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
- 前記溶剤は、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、2−ブトキシエチルアセタート、及び2,2,4−トリメチル−1,3ペンタンジオールジイソブチレートからなる群から選定される1つ、または2つ以上の化合物の組み合わせである請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
- 銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させて分散液を作製する分散工程、および前記分散液を乾燥させる乾燥工程を経て、前記銀、または銀化合物を主成分とする導電性粉末を表面処理し、前記銀、または銀化合物を主成分とする導電性粉末と、固形分中のフッ素原子が40質量%を超えて〜75質量%以下のフッ素樹脂とを含む混合物を、溶剤中に分散させることを特徴とする導電性ペースト組成物の製造方法。
- 前記乾燥工程は真空凍結乾燥によって行われる請求項7に記載の導電性ペースト組成物の製造方法。
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