JP2010199034A - 太陽電池用導電性ペースト及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池用導電性ペースト及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池用の導電性ペーストにオーミック接触させる電極の形成に用いられる導電性ペーストであって、当該導電性ペーストの盛り量を高く、厚膜で印刷することができるため、無鉛ガラスフリットを用いたとしても高い変換効率が安定して得られる太陽電池用導電性ペースト、及び該太陽電池用導電性ペーストを製造する製造方法を提供する。
【解決手段】バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有し、さらにカチオン系界面活性剤を含有することを特徴とする太陽電池用導電性ペースト。銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末はカチオン系界面活性剤で表面処理されていることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は太陽電池用導電性ペーストに関し、より詳しくは、太陽電池用の集光電極の形成に使用される太陽電池用導電性ペースト、当該太陽電池用導電性ペーストを焼成してなる太陽電池の集光電極、当該集光電極を備えた太陽電池に関する。あるいは、特に結晶系シリコン太陽電池のn型半導体層上にオーミック性の受光面電極(集光電極)を形成するのに適した太陽電池用導電性ペースト、当該太陽電池用導電性ペーストを焼成してなる太陽電池の集光電極、当該集光電極を備えた太陽電池に関する。
一般的に、結晶系Si太陽電池は、例えば図1に示すように、p型Si基板1、受光面の集光電極2、反射防止膜3、アルミニウムからなる裏面電極4、銀からなる裏面電極(図示しない)から構成される。
その製造法の一例を挙げると、まず、p型Si基板1bの一方の表面にリン(P)を熱的に拡散させてn型拡散層1aをp型Si基板1bの一方の表面全面に形成させ、p型Si基板1を作製する。このn型拡散層1aのシート抵抗は数十Ω/□程度であり、その厚みは0.3〜0.5μm程度である。次に、このp型Si基板1のn型拡散層1aの表面を清浄化するためにエッチングする。次いで、プラズマCVD法等により、絶縁膜(反射防止膜3)として、窒化シリコン膜、酸化チタン、酸化珪素等の薄膜を、この順にn型拡散層1a上に700〜900Å形成する。
次に、受光面となる反射防止膜3上に集光電極2を形成する集光電極形成用銀ペーストを、一方p型Si基板1の裏面に、グリッド状あるいは所定のパターン状に裏面電極を形成するアルミニウムペーストおよび裏面電極形成用銀ペーストをそれぞれスクリーン印刷し、乾燥させる。その後、700℃〜900℃で数分から数十分間、近赤外炉中で焼成する。その結果、p型Si基板1の裏面側では、アルミニウムがp型Si基板1中に拡散し、アルミニウムの高濃度不純物を含んだP+層(Back Surface Field層)が形成される。また、焼成されたアルミニウムペーストおよび裏面電極形成用銀ペーストは、それぞれアルミニウムからなる裏面電極4および銀からなる裏面電極(図示しない)となり、これらの2つの裏面電極の境界は合金状態になり電気的に接続される。このようにしてアルミニウムペーストにより形成された裏面電極4はハンダ付けが不可能なため、銅箔等による太陽電池素子の相互接続のために裏面電極の形成にはアルミニウムペーストとともに銀ペーストが利用される。
一方、表面電極用(集光電極形成用)銀ペーストは所定のパターンで反射防止膜3(絶縁膜)上に印刷され、絶縁膜である窒化シリコン膜を焼き付けにより溶融、貫通して、n型拡散層1a上にオーミック性電極を形成する方法(ファイアスルー)が広く用いられている。通常、このような用途に利用される銀ペーストとしては、銀粒子、ガラスフリット、バインダー、溶剤および各種添加物が混合、分散されたものが用いられており、集光電極形成用銀ペーストをp型Si基板1上に印刷した後、近赤外炉を使用して高速に焼き付けて、厚膜の集光電極2として形成される。そして、通常、この銀ペーストのような導電性ペーストに混合するガラスフリットは変換効率が高くなることから、Pb含有のガラスフリットが一般的に使用されている。
変換効率を向上させるためには、通常、太陽電池の裏面電極や集光電極に用いられる銀ペーストにはシリコン基板上に印刷焼成後、電極とシリコン基板とのオーミック接触を形成し、接触抵抗をできるだけ低減すること、電極自体の配線抵抗をできるだけ低減することが極めて重要である。特に集光電極は集光面の開口率を少しでも増加させる必要性から、狭い配線幅で配線抵抗を低下させるための各種の提案がされている。
たとえば、リンを含む化合物としてリン酸エステルはそれ自体分散剤や減粘剤として作用するものが多く、ペースト中の銀粉やその他の固形分を分散させる効果や、高固形分のペースト粘度を低くし、スクリーン印刷に適した粘度を与える効果を有する。この特性を利用すると、電極の印刷膜厚を厚くすることで電気抵抗を低くしようとした場合、ペースト中の銀含有率を増やしても粘度増大を抑えることができ、その結果接着強度を高く、変換効率を向上させることができることが提案されている。(例えば、特許文献1)
また、スクリーン印刷におけるスクリーンメッシュのパターンに起因する集光電極表面の凹凸が原因で線抵抗が高くなり、電流ロスが大きく、変換効率の向上を阻害することが指摘されている。そのため、スクリーン印刷工程を複数回繰り返すことにより、集光電極の表面の凹凸を低減して平坦化し、集光電極の抵抗が高くなることを防止する技術が開示されている。(例えば、特許文献2)
しかしながら、これらの先行文献に記載された太陽電池用導電性ペーストにおいては、分散剤や減粘剤を作用させるため、導電性ペーストの粘度が低下し、スクリーン印刷を行ったときの印刷時の盛り量が低下しやすく、その結果として集光電極の配線抵抗が増加する問題が残されている。そのために、スクリーン印刷工程を複数回繰り返して、集光電極の配線抵抗を低下させる必要が生じ、生産性の低い非効率的な製造を強いられていた。
本発明の導電性ペーストは焼結タイプの導電性ペーストであって、これらバインダー樹脂は、印刷後は焼結によって分解、除去され、印刷パターンのSi半導体基板への接着力は焼結時に溶融するガラスフリットによって保持される。樹脂バインダーはペーストの塗布に適する流動性を付与するためと、印刷直後の塗膜形成のためにのみ機能しており、被印刷物との接着保持のために、相当量の樹脂バインダーが必要な非焼結タイプの導電性ペーストと比較すると、基本的に大幅な樹脂バインダーの低減が可能であって低抵抗の塗膜を形成することが可能である。しかし、樹脂バインダーの使用量を低減し、導電性粉末の充填量を増加させて(樹脂バインダー/導電性粉末)の値を低く抑えたときに、良好なスクリーン印刷適性を維持しつつ、印刷時の盛り量を増加させて太陽電池用の配線に適した膜厚の大きい塗膜を形成させるためには、導電性ペーストの配合、およびその製造方法の検討を通じて、導電性ペーストの粘度やチキソ性を最適に調整することが必要で、非焼結タイプの導電性ペーストとは全く観点の異なるペーストの配合検討が必要であった。
特開平6−204512号公報 特開平11−103084号公報
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、太陽電池用の導電性ペースト、とくに結晶系シリコン太陽電池のn型半導体(n型拡散層)にオーミック接触させる電極の形成に対して好ましく用いられる導電性ペーストであって、当該導電性ペーストの盛り量を高く、厚膜で印刷することができるため、無鉛ガラスフリットを用いたとしても高い変換効率が安定して得られる太陽電池用導電性ペーストを提供することである。さらに本発明の目的は、そのような太陽電池用導電性ペーストを製造する製造方法を提供することである。
さらに本発明の目的は前記太陽電池用導電性ペーストを厚膜印刷し、焼成してなる、太陽電池の変換効率を向上させることが可能な太陽電池用の集光電極、および当該集光電極を備えた太陽電池を提供することにある。
太陽電池の集光電極を形成するには、通常、導電性ペーストによって電極パターンをスクリーン印刷する。スクリーン印刷時の導電性ペーストの特性は、固形分比、粘度、使用するバインダー樹脂の種類や、導電性粉末の大きさ、形状等によって変化するが、特に印刷時に重要なチキソ性は、その導電性粉末の表面性状によって大きく影響を受ける。
一般に、先に述べたようにリン酸エステルのようなリン含有有機物はリン酸基HPO−が銀粒子など金属粒子の表面の無機成分に吸着し、見かけ上、界面電気2重層を形成して、優れた分散効果をあらわす。この分散系は水系及び有機溶剤系溶媒中では表面張力が低い傾向を示している。そのため、分散剤として利用したり、減粘剤としてペースト粘度のチキソ性を低下させるのに利用される。これらアニオン系界面活性剤を顔料表面に吸着させて界面電気2重層を形成し、安定分散状態を得るのと同様にカチオン系界面活性剤を顔料表面に吸着させて、界面電気2重層を形成させることもできる。このようなカチオン系界面活性剤は、乳化分散剤、増粘剤、浮遊選鉱剤、洗浄剤に利用され、同じ分散機能は有するものの、アニオン系界面活性剤と対照的な流動挙動を示すことが多い。すなわちこの分散系は水系溶媒中では発泡しやすく、有機溶媒中では構造粘性を生じやすい。本発明者はこの現象に着目し、導電性ペーストの銀粒子の表面処理剤、分散剤として添加することにより分散性の向上をはかるとともに、チキソ性を調整することによってスクリーン印刷時の印刷特性の調整をはかり、盛り量を増加させることを検討した。そしてその結果、スクリーン印刷で形成した電極用塗膜の膜厚を向上させることができ、太陽電池に優れた変化効率をもたらすことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はバインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、及び銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有し、さらにカチオン系界面活性剤を含有することを特徴とする太陽電池用導電性ペーストを提供する。
さらに本発明は、バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、及び銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有する太陽電池用導電性ペーストの製造方法であって、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、カチオン系界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させた後、乾燥を行って表面処理を行い、しかる後にバインダー樹脂、ガラスフリットとともに溶剤中に分散することを特徴とする太陽電池用導電性ペーストの製造方法を提供する。
さらにまた本発明は、上記の太陽電池用導電性ペーストを、太陽電池を構成する単結晶または多結晶のSi基板上に形成された反射防止膜上に印刷し焼成することにより形成された太陽電池の集光電極を提供する。
さらに本発明は、単結晶または多結晶のSi基板と、前記Si基板の一方の面に形成された反射防止膜と、前記反射防止膜上に形成された集光電極と、前記Si基板の他方の面に形成された裏面電極とから構成される太陽電池において、前記集光電極が上記に記載の太陽電池用導電性ペーストにより形成されたものである太陽電池を提供する。
太陽電池用導電性ペーストは銀粒子の表面処理剤、分散剤にカチオン系界面活性剤を利用しているので、銀粒子の分散性が向上するとともに、印刷の際には太陽電池用導電性ペーストのチキソ性の制御が行われ、特にスクリーン版からの抜き形状すなわち印刷直後の形状が変形されず、維持されるため印刷精度を上げることができる。この印刷形状維持の特性は粘度が有る程度低減しても同様に機能するので、印刷速度を上げるなどの太陽電池の加工プロセスの変更に、粘度の調整で良好に適応することができ、また印刷中の粘度変化による製造工程でのトラブルを減少させることができる。一方、高温焼成時には、このようなカチオン系界面活性剤は有機物であるので、その成分は分解し、直接、太陽電池の性能へのマイナスの影響は生じない。そして、焼成後は導電性粉末(例えば、銀粒子)を主体とする焼結体である集光電極の盛り量が増加し、膜厚が増えた分だけ配線抵抗が低減され導電性が向上し、電流ロスが抑制されると考えられる。このため、高い変換効率の太陽電池を得ることができ、太陽電池の性能を向上させることができると考えられる。
太陽電池の基本構造を示す概略断面図である。
本発明の太陽電池用導電性ペーストは、導電性粉末、バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリットに加え、カチオン系界面活性剤を含有する。
以下、本発明の太陽電池用導電性ペーストに関し、その製造工程について詳細に説明する。また、各製造工程に沿いつつ、各工程において使用する各種の材料についてもさらに詳細に説明する。
本発明の太陽電池用導電性ペーストの製造方法としては、バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末、及びカチオン系界面活性剤を含有する混合物を撹拌、分散し、ペースト状の分散液を作製する方法で行うことが出来る。
混合物には、必要に応じて主たる導電性粉末以外のその他の導電性粉末、ZnO、TiO等の無機微粒子、分散剤等を添加することができ、また、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末や、ZnO、TiOの等の無機微粒子等の無機成分は、予め界面活性剤、分散剤等で表面処理してから用いても良い。
本発明の太陽電池用導電性ペーストで使用する銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末としては、銀粒子、銀で表面被覆された金属粒子、または、これらの混合物を用いることができる。
銀粒子としては、球状、鱗片状、針状、樹枝状など任意の形状のものを用いることができる。銀粒子の製造方法も特に制限されず、機械的粉砕法、還元法、電解法、気相法など任意の製造方法で製造された銀粒子をもちいることが出来る。
銀で表面被覆された金属粒子は、銀以外の金属からなる粒子の表面に、メッキなどの方法により銀の被覆層を形成したものである。本発明で使用する銀粒子としては、導電性とコスト面から見て、銀のみからなる球状銀粒子及び鱗片状銀粒子が好ましい。
銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の体積平均粒径としては、0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.05〜5μm程度である。
この導電性粉末として、体積平均粒径が異なる大小2種類またはそれ以上の導電性粉末を組み合わせて、導電性粉末の電極中での充填密度を向上させることにより、電極を構成する導電性膜の導電性を向上させてもよい。
本発明の太陽電池用導電性ペーストで用いるガラスフリットは、どのようなものでも良く、有鉛または無鉛のガラスフリットを用いることができる。有鉛ガラスフリットの例としては、Si−Al−B−Pb系、Si−B−Pb系、Si−Al−B−Pb−Zr系等を挙げることができる。
近年、環境問題に対する意識が高まり、リード端子などに銅箔を接合させるハンダも鉛を含有しない無鉛ハンダへの移行が進み、ガラスフリットも、その含有量が微量であるとはいえ、無鉛ガラスフリットへの転換が迫られているのが実情である。無鉛ガラスフリットを用いる場合、鉛が含まれなければ特に限定されず、無鉛ガラスフリットは、例えば、Bi2O3−B2O3−SiO2−ZnO系、Bi2O3−B2O3−SiO2−Al2O3−ZnO−BaO系、Bi2O3−B2O3−SiO2−ZnO−BaO系等を挙げることができる。これら無鉛ガラスフリットを含む導電性ペーストを用いて作製された電極と、無鉛ハンダとの接合強度、長期信頼性等は種々検討されてきており、有鉛のガラスフリットを用いた場合の特性に近いものが開発されてきているが、低抵抗化の点で未だ有鉛ガラスフリットを用いたものに及ばず、太陽電池の変換効率の向上の点で課題を残している。本発明の太陽電池用導電性ペーストについては、無鉛ガラスフリットを用いた場合も、従来の無鉛ガラスフリットを用いた太陽電池用導電性ペーストに比較して、電極の配線抵抗を下げ太陽電池の変換効率を向上させることが可能であり、環境問題を考慮した場合には無鉛ガラスフリットを用いることが好ましい。
ガラスフリットの形状としては、球状、不定形等が挙げられるが、ガラスフリットの形状・大きさは、特に限定されず、当該分野で公知のものを使用することができる。ガラスフリットの平均粒子寸法は、作業性の点等から、0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.05〜2μm、さらに好ましくは1〜2μmである。なおここで平均粒子寸法は、ガラスフリットが不定形の場合、最長の径のそれぞれ平均をいうものとする。
本発明の太陽電池用導電性ペーストにおいては、十分な接着強度を確保するために、ガラスフリットは、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量部である。ガラスフリットの含有量がこの範囲であれば、良好な接着強度を得ることができる。
本発明の太陽電池用導電性ペーストにおいては、バインダー樹脂を用いるが、このバインダー樹脂としては公知のバインダー樹脂を用いることができる。
バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ブチラール樹脂、フェノール樹脂をはじめ、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂;例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独で、あるいは2種類以上を混合して利用できる。これらバインダー樹脂は、想定している塗布方法に適合した、固形分比、粘度、チキソ性等、塗布適性に影響を及ぼす物性を考慮して、適宜選定することができる。
これらのバインダー樹脂の中でも、エチルセルロース樹脂とアクリル樹脂が好ましい。エチルセルロース樹脂とアクリル樹脂は、空気中でバインダー樹脂を分解、除去した後、ほぼ完全に分解し、炭素として焼結塗膜中に残留することが少ない。
本発明の太陽電池用導電性ペースト中のバインダー樹脂の含有量は、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲が好ましく、0.01〜15質量部の範囲がさらに好ましく、0.01〜5質量部の範囲が最も好ましい。
本発明の太陽電池用導電性ペーストを作製するときに使用する溶剤は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール、1−フェノキシ−2−プロパノール、テルピネオール(Terpineol)等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、ジグライム、ブチルカルビトール等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸ジエチル、TXIB(1−イソプロピル−2,2−ジメチルトリメチレンジイソブチレート)、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール、2,2,4―トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,2−トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類等が挙げられる。これら溶剤は、想定している塗布方法の塗布適性や、使用するバインダー樹脂の分散性や溶解性、あるいは、塗布後の乾燥性等を考慮して適宜選定することができる。これらの溶剤はここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、或いは2種類以上混合して用いることができる。
本発明の太陽電池用導電性ペースト中の溶剤の含有量は、当該太陽電池用導電性ペーストを適当な基体表面に塗布あるいは印刷する工程がスムーズに実行できる程度に設定される。
また、当該導電性ペーストには、バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末およびカチオン系界面活性剤の他に、当該導電性ペーストを適当な基体表面に塗布あるいは印刷するために好適な物性とし、導電性粉末および必要に応じて添加される無機微粒子の分散を安定に保つために各種添加剤を適宜配合できる。
好適な添加剤としては、例えば、フタル酸エステル、燐酸エステル、脂肪酸エステル等の分散剤、グリコール類等の可塑剤、低沸点アルコール、消泡剤等に利用されるSi系有機化合物、Siカップリング剤、無機微粒子等の添加剤などが挙げられる。
当該太陽電池用導電性ペーストにおける導電性粉末の分散性を良好にするために、当該導電性ペーストには分散剤を添加してもよい。
上述のように、本発明の太陽電池用導電性ペーストには、高い変換効率を得る上で効果的であるZnO、TiO2等の無機微粒子を併用してもよい。これらの無機微粒子の形状・平均粒子寸法は特に限定されない。一般的な無機微粒子の形状としては、球形、不定形等が挙げられる。平均粒子寸法としては、分散性等の点から0.05〜1μmのものが好ましい。これら無機微粒子は、当該導電性ペーストの焼成過程で導電性粉末の過度な焼結を防ぐことができる。また、焼成に伴い液化したガラスフリットの広がりを抑制し、導電性粉末がn型半導体表面と接触する場を作ることに寄与し、さらに、バインダー樹脂が分解して発生するCO等により還元されて半導体化し得ることも、集光電極と半導体との良好な接触を得るのに役立つと考えられている。
さらに、この無機微粒子を配合する場合、これらの含有量は、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末100質量部に対して、0.5〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10重量部である。
無機微粒子の含有量がこの範囲であると、上記の配合の効果が十分得られやすい。
本発明の導電性ペースト組成物においては、微量成分ではあるが導電性ペースト組成物の粘度、流動性、印刷適性、分散性等に大きな影響を与える構成成分としてカチオン系界面活性剤を使用する。カチオン系界面活性剤は、他の配合成分とともに一括混合されても、銀及び銀化合物を主成分とする導電性粉末や無機微粒子表面に吸着し易く、これら粒子の表面特性を通じて導電性ペーストの流動性や粘度等に大きな影響を与えるが、本発明で使用する銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末、および必要に応じて添加される無機微粒子は、その表面をカチオン系界面活性剤で処理することが好ましく、該活性剤を、予めこれら粒子に対してその表面処理を行うときの表面処理剤として用いることが好ましい。
本発明で使用するカチオン系界面活性剤としては、一例としてアルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。具体的な製品名としては、アセタミン24(ココナットアミンアセテート)、アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)、コータミン24P(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)、コータミン86Pコンク(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)、コータミン60W(セチルトリメチルアンモニウムクロライド)、コータミン86W(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)、コータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、サニゾールC(アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)、サニゾールB−50(アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)(全て花王株式会社製)等が挙げられる。
本発明で使用するカチオン系界面活性剤としては、分散性の向上とチキソ性の制御という効果を高いレベルで併有する点で、アルキルアミン塩系の界面活性剤が好ましい。さらにアルキルアミン系界面活性剤としては、アルキルアミンの酢酸塩が好ましく、中でも以下の化学構造(1)を有するものがさらに好ましい。
Figure 2010199034
(1)
(Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルキルアリル基を表す。)
カチオン系界面活性剤は単独で使用してもよいが、分散剤かつ表面処理剤としてのカチオン系の界面活性剤の利点をより増加させ、導電性ペーストへの添加時に現れる特徴的な流動特性を損なわない範囲で、他の界面活性剤を併用することができる。
併用する界面活性剤としては、通常使用される多くの種類の界面活性剤の中から選択して用いることができ、上記カチオン系界面活性剤の他に、アニオン系(陰イオン性)界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を例示することが出来る。
アニオン系(陰イオン性)界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、アルケニルコハク酸塩、アルカンスルフォン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのリン酸エステルおよびその塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルのリン酸エステルおよびその塩、等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、等が挙げられる。
これら界面活性剤の中でも、特に非イオン系の界面活性剤である、アルキルアミン系の界面活性剤との併用が好ましく、カチオン系界面活性剤と混合して使用することができる。
具体的な製品名としてはアミート105(ポリオキシエチレンアルキルアミン)、アミート320(ポリオキシエチレンアルキルアミン)等があげられる。
特にアルキルアミン塩系のカチオン系(陽イオン性)界面活性剤は、既述のように、単独で使用しても有効であるが、特にアルキルアミン系の非イオン系界面活性剤を併用することによって分散性がより良好となり、スクリーン印刷時の盛り量、膜厚を増加させる効果が顕著である。
カチオン系界面活性剤との併用の点で、アルキルアミン系の界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルアミン型の界面活性剤が好ましく、その中でもポリオキシエチレンアルキルアミン型の界面活性剤がさらに好ましい。さらにそれらの中でも、以下の化学構造(1)を有するものがさらに好ましい。
Figure 2010199034
(1)
(a,bはそれぞれ1〜20の整数であり、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルキルアリル基を表す。)
カチオン系界面活性剤を単独で、またはアルキルアミン系の非イオン系界面活性剤と混合して使用するとき、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末に対する界面活性剤の全配合量は導電性粉末の種類により適宜調整することができる。例えば、当該導電性粉末として、銀粒子を使用する場合、銀粒子に対する界面活性剤の配合量は、銀粒子の種類により若干調整の必要があるが、銀粒子100質量部に対して0.01〜3.00質量部が好ましく、0.05〜1.50質量部がさらに好ましい。
一般的に言っても界面活性剤の全配合量が0.01質量部未満では、充分な分散性が得られ難くなる傾向がある。一方、界面活性剤の全配合量が3.00質量部を超えると、銀粒子の表面が厚く界面活性剤の有機成分に被覆され、焼成後の銀粒子同士の接触が得られ難くなり、導電性が低下する傾向がある。
アルキルアミン系の界面活性剤を併用のための界面活性剤として、カチオン系界面活性剤とともに使用する場合は、アルキルアミン系の界面活性剤とカチオン系界面活性剤との混合比率は1:20〜1:5の範囲が好ましい。
本発明の太陽電池用導電性ペーストは、基本的に上記の太陽電池用導電性ペーストの基本構成成分を既述の配合量範囲で配合した混合物を作製し、さらに、必要に応じて各種添加剤を任意構成成分として添加した混合物を撹拌、分散、あるいは、必要に応じて前処理として混練を行ってペースト化し製造することができる。
本発明の太陽電池用導電性ペーストを製造するにあたり、当該導電性ペーストの構成成分の混合物をペースト化するために使用しうる混練、分散手段としては、例えば、二本ロール、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられ、これらを用いて混練、分散することができる。
このように本発明の太陽電池用導電性ペーストを構成する成分を一度に混合して混合物を作製し、それらの混練、分散を行っても良いが、分散が困難な場合、それらの構成成分の一部に対しては、分散性を高めるために予め前処理を施したり、あるいはこれらの材料を予め混練、分散した分散体を作製しておき、その後、該分散体を残りの他の構成成分と混合して、本発明の太陽電池用導電性ペーストを作製してもよい。特に、本発明において使用する導電性粉末の中でも、銀粒子は比重が高く分散処理に困難を伴うので、このように分散性を高める手法を用いることが好ましい。
さらに導電性粉末の表面処理を予め行うことによって、表面状態を安定させ、またその表面状態の制御を通じて導電性ペーストの粘度、流動性、チキソ性等、該ペーストの印刷に係わる物性を制御することができる。
本発明の太陽電池用導電性ペーストに用いる材料のうち、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末や必要に応じて添加される無機微粒子に対して、前述の前処理を行うときには、既述の界面活性剤や分散剤によって、導電性粉末や無機微粒子、ガラスフリット等の表面を処理する方法がヘテロ凝集を防ぐために好ましい。さらに単に導電性粉末の分散性確保にとどまらず、特に、本発明の導電性ペーストの構成成分であるカチオン系界面活性剤を前処理に使用することで、これら粒子に界面活性剤を良好に吸着させ、分散性や塗料特性の調整といったカチオン系界面活性剤の特質をより良好に発揮させることができる点でより好ましい。これら前処理は、導電性粉末、無機微粒子に対して別々に行っても良いが、それらのうちの幾つかを同時に行っても良い。
これら銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末や無機微粒子に対する前処理は公知の方法で行うことが出来るが、導電性粉末等と界面活性剤を前処理用の溶剤に分散する分散工程で、導電性粉末の分散液を作製後、該分散液を乾燥させ、乾燥工程で溶剤を揮散させて行う方法を用いることが好ましく、乾燥工程で真空凍結乾燥法を用いることが特に好ましい。
上記の方法を用いると、特に、この導電性粉末や必要に応じて添加される無機微粒子が液相中で製造された場合、これら活性の高い導電性粉末等を効果的に、しかも場合により、それら導電性粉末等が製造されたときの液相のままで界面活性剤を添加し、その存在下で表面処理することができるため、処理が容易な上、これら導電性粉末等の本来の特性を充分に発揮させることができ好ましい。
以下、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末等の好ましい前処理の方法について詳細を記載する。
(1)分散工程
本発明の太陽電池用導電性ペーストの製造において、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の前処理を行う場合、導電性粉末と界面活性剤、あるいは必要に応じて無機微粒子等を溶剤中に添加し、攪拌機または分散機にかけて、導電性粉末等と界面活性剤との混合を行う。このとき、導電性粉末や無機微粒子等の解砕を同時に行える条件で撹拌または分散を行っても良い。
より具体的には、本発明に使用する銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末、あるいは、必要に応じて添加される無機微粒子に対する界面活性剤による分散処理は、前記溶剤に界面活性剤を配合して、十分に溶解あるいは分散させた後、導電性粉末を配合することが好ましい。配合後、0.5〜4.0時間分散すると、導電性粉末等が1次粒子へと解砕され、界面活性剤と導電性粉末および必要に応じて添加される無機微粒子とが吸着平衡に達する。
このように、例えば、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末、界面活性剤、あるいは必要に応じて添加される無機微粒子と、溶剤とを所望の割合で混合して、分散手段により分散させた導電性粉末等の分散液を得ることができる。
分散液中の導電性粉末等の濃度範囲は、撹拌や分散に用いられる装置に合わせて適宜設定することができるが、次工程で凍結乾燥を行う場合、導電性粉末の分散液中の固形分濃度の範囲は、0.5〜80質量%が好ましく、特に、1〜50質量%が好ましい。
ここで、分散工程に用いる溶剤としては、特に限定されないが、例えば、水、水溶性溶剤、または、水と水溶性溶剤との混合物(水溶液)が用いられる。
水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルなどのアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテルなどのアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の前処理において、導電性粉末等、界面活性剤および溶剤との分散液を乾燥して、前処理した導電性粉末を得るための乾燥法として真空凍結乾燥を使用するときには、乾燥工程についての後述する理由により、上記溶剤の中から真空で凍結乾燥し易い溶剤を選択し、分散工程の溶剤として使用することが好ましく、特に使用する溶剤の凝固点が−40℃以上であることが好ましい。
分散工程に用いる溶剤は、ここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独で使用してもよいし、2種類以上の溶剤を適宜選択し混合して使用することができる。
分散工程において使用可能な攪拌機または分散機としては、特に限定されず、後述の公知の攪拌機または分散機の中から適宜選択して使用することができる。
(2)乾燥工程
以上の分散工程によって、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末及び必要に応じて添加される無機微粒子と界面活性剤と溶剤を含有する分散液は、乾燥工程によって溶剤を揮散させ、界面活性剤で表面処理された導電性粉末等を得る。
乾燥工程においては、界面活性剤が熱変化や化学変化を受けないものであれば公知の方法がいずれも適用できる。一例としては、熱風乾燥、衝撃波による乾燥、スプレードライ法、真空凍結乾燥法等をあげることができる。特に真空凍結乾燥法による乾燥方法は、分散液を高温にすることなく溶剤を昇華させるため、導電性粉末や無機微粒子が凝集することが少なく、また界面活性剤が偏在することも少ない点で好ましい。
以下、真空凍結乾燥法を利用した乾燥工程についてさらに詳細に記載する。
真空凍結乾燥法を利用した乾燥工程においては、基本的に低温状態で凍結した分散液から、溶剤のみが昇華除去される。溶剤に溶出して失われる界面活性剤がないため、界面活性剤のほとんど全てが処理後の導電性粉末および必要に応じて添加される無機微粒子の表面に残留する。分散液中において、界面活性剤は導電性粉末および必要に応じて添加される無機微粒子の表面付近に局在しており、溶剤のみが除去される真空凍結乾燥の実施時に、該界面活性剤が導電性粉末および必要に応じて添加される無機微粒子の表面に一様に吸着した状態で当該導電性粉末等を取り出せる可能性が高く、しかも、真空凍結乾燥以外の通常の方法にて溶剤を除去する時のように、当該導電性粉末等が凝集することがなく、極めて効率的な処理方法といえる。このように使用した界面活性剤全てが導電性粉末等の表面に残留して、表面処理された導電性粉末等が効率的に形成されるため、当該導電性粉末等に対する界面活性剤の効果と使用量の関係を把握し易く、当該導電性粉末等の使用量に対する界面活性剤の使用量の最適化が行いやすい。
界面活性剤の分子は、当該分子中に親水基側と疎水基側を有するものであることが好ましく、分子がこのような構成を有することで、当該分子中に含まれる親水基側の末端で導電性粉末等の表面に吸着するため、当該分子中に含まれる疎水基側の末端が導電性粉末の表面に対して外側を向くことになる。これにより、前処理をした導電性粉末等を使用して本発明の太陽電池用導電性ペーストを作製した場合、導電性ペースト中に含まれる当該導電性粉末等とバインダー樹脂との親和性が向上し、界面活性剤を介して導電性粉末等の表面にバインダー樹脂が吸着され、これら導電性粉末等の表面を被覆する。その結果、導電性粉末等の分散性が改善される。また、導電性粉末等の表面に吸着したバインダー樹脂による立体障害効果のため、導電性粉末等の凝集が抑制され、1次粒子に分散された状態を持続することができる。
乾燥工程において凍結真空乾燥法を使用する場合、例えば、導電性粉末、必要に応じて添加される無機微粒子、水、及び界面活性剤を含む分散液の場合には、当該分散液を大気圧で0℃以下に予備凍結し、理論上は0℃における水の蒸気圧4.5mmHg(=600Pa)を超えないように真空度をコントロールすれば良い。乾燥速度のコントロールのし易さを加味すれば、真空度を1mmHg(=133.32Pa)以下にして、その蒸気圧での融点(凝固点)まで、温度を上げることが好ましい。
このように真空凍結乾燥による乾燥方法では、真空中で分散液に含まれる溶剤を昇華蒸発させ、乾燥するため、乾燥による収縮がわずかであり、導電性粉末等の凝集が発生し難くい。また、熱風乾燥のように高温で試料内での例えば水などの液体成分を移動させつつ行う乾燥ではなく、固体の凍った状態から昇華により直接的に低温乾燥するため、液体成分の移動を伴う乾燥のような部分的成分濃縮、部分的成分変化、変形がほとんど無く好ましい。
前記分散工程および乾燥工程によって、界面活性剤が表面に吸着した導電性粉末等(前処理をした導電性粉末等)を用いて、本発明の太陽電池用導電性ペーストを製造するためには、界面活性剤が表面に吸着した導電性粉末等と、ガラスフリットおよびバインダー樹脂と、溶剤とを混合して、適当な分散機を用いて本発明の太陽電池用導電性ペーストを作製することができる。
なお、前述のように導電性粉末等の表面に界面活性剤が吸着しているので、導電性粉末等の凝集もなく、従って、本発明の太陽電池用導電性ペーストの構成成分を混合して簡単な攪拌操作を行うだけで、本発明の太陽電池用導電性ペーストを得ることができる。
すなわち、例えば、太陽電池を構成するp型Si基板上に形成されるn型拡散層の表面に、本発明の太陽電池用導電性ペーストを用いて集光電極を形成する場合、本発明の太陽電池用導電性ペーストを印刷する直前に、当該導電性ペーストの必要構成成分を添加して簡単な撹拌操作を行うことで、分散性が良好な太陽電池用導電性ペーストが得られるため、印刷装置に付随する塗料調整用設備は簡単なもので良い。しかし、分散をより確実に行うためには、既述の混練装置や分散装置を用いて混練処理、分散処理を行っても良い。
上述の方法により分散が完了した本発明の太陽電池用導電性ペーストは、太陽電池用導電性ペーストとして一般的には公知慣用の塗布方法、または、印刷方法によって半導体基板上に印刷し、これを加熱、焼成して集光電極を形成することができる。
塗布方法としては、種々の塗布方法により塗布物として形成することができる。例えば、ディップコート、あるいは、公知のロール塗布方法等、具体的には、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート等により電子素子や基体上に塗布物を形成することができる。
また、各種印刷方法を適用することも可能である。印刷方法にはまた、凹版印刷のように最適粘度領域が比較的低粘度領域にあるものと、スクリーン印刷のように高粘度領域にあるものとが存在する。具体的には、孔版印刷方法、凹版印刷方法、平版印刷方法などを用いて基体上に所定の大きさに塗布物を印刷することができる。特にスクリーン印刷がインク層の厚さを厚くしやすく、印刷圧も低く、平面ばかりでなく曲面にも印刷できる特徴を有しているため好適に使用される。
上記のように作製した太陽電池用導電性ペーストを、太陽電池用のSi基板上の受光面側、あるいは裏面側に塗布するためのスクリーン印刷の方法は特に限定はなく、公知の方法を用いて行うことができる。太陽電池の電極構造は光電変換効率を高めるため、できるだけ受光面電極の面積を低減し、直列抵抗が大きくならない電極構造が好ましい。例えば、細線状直交する数本のラインで構成される。印刷に用いるスクリーン版は、上記電極が形成されるようなパターンを有するものが用いられる。スクリーン版仕様は、一般的には、線径10〜40μmのステンレスワイヤで織られた200〜600メッシュのステンレス紗に、線幅10〜30μm程度、線幅ピッチ100〜200μm程度のグリッド電極パターン、線幅ピッチ1.5〜3.0mm程度の主電極パターンを設けたスクリーン版が挙げられる。
スクリーン方式において使用するスキージは、通常、ペーストを掻き取る先端部と、先端部を支持する本体部とを有し、先端部は柔軟性があって薄く、本体部は剛性があって厚い板状体であって、スクリーン版のメッシュ部分に充填されたペーストが、スキージによって押し出される。太陽電池の電極のスクリーン印刷では、細線状のグリッド電極の厚さを厚くするため、塗布量を増やすことが重要である。ここで塗布量はペーストの透過体積によってその大枠を決められており、透過体積はスクリーン版のメッシュの開口率とスクリーンの厚さの積で決まる。従って、透過体積を増やすためには、乳剤厚を厚く、開口率を増やすことが好ましい。具体的には、乳剤厚は10μm以上が好ましく、20μm以上が特に好ましい。またスクリーン版の開口率を40%以上とするのが好ましく、50%以上は特に好ましい。
実際の印刷においては、スクリーン印刷版へスキージをあてる角度、印刷速度に対応するスキージを引く早さ等も塗布量に影響するが、スクリーン印刷の版とこれら印刷条件を固定したばあいには、塗布量や印刷パターンの塗布膜厚は、使用している導電性ペーストの版ヌケの良さ、印刷後の塗膜の乾燥までの流動性等によって影響を受け、導電性ペーストの粘度、チキソ性、動的粘弾性がこれに影響を与える。
一般に、スクリーン印刷されるパターンの線幅は、原理上、スクリーン版の線幅より少し太くなる傾向があるが、銀ペースト中の樹脂量を減少させることによって、チキソ性を増加させ、印刷後のペーストの流動性を抑制して線幅の増加と膜厚の減少を防いでいる。しかしチキソ性増加のため、樹脂量を低減させすぎるとスクリーン印刷板の版ヌケが悪くなるため塗布量そのものが低下する。このためペースト中の樹脂量を低減させても版ヌケが良く塗布量が低下せず、かつ印刷後のペーストの流動性が抑制されて、高い膜厚の印刷パターンが形成される導電性ペーストが好ましく、添加剤の添加を始め各種の検討が行われている。
本発明の太陽電池用導電性ペーストは、太陽電池の集光電極の製造に使用することができ、特にn型半導体に対し良好な接触を得ることができるため、n型半導体(例えば、n型拡散層)上の集光電極を形成するために有用である。
本発明の太陽電池用導電性ペーストを用いて太陽電池の集光電極の製造及び太陽電池の製造を行うためには、以下のような方法で行うことができる。
以下、図1を用いて、太陽電池の集光電極の製造方法及び太陽電池の製造方法の一例を説明する。
まず、p型Si基板1bの一方の表面に、場合によりテクスチャを形成し、その後、P(リン)等を約900℃で熱拡散させて、n型拡散層1aを形成し、p型Si基板1を得る。次いで、n型拡散層1a上に、窒化ケイ素薄膜、酸化チタン等からなる反射防止膜3をプラズマCVD法等によって50〜100nmの膜厚で形成する。
次いで、光入射側の集光電極を形成するために、本発明の太陽電池用導電性ペーストを反射防止膜3上に膜厚約20μmでスクリーン印刷し、乾燥させる。
次に、裏面側の電極を形成するために、裏面電極形成用アルミニウムペーストを、膜厚30〜50μmでスクリーン印刷により、p型Si基板1の裏面に印刷し乾燥させる。
次いで、このようにp型Si基板の表面および裏面の両面に電極を印刷したp型Si基板1を最高焼成温度750〜850℃で焼成して、光入射側の集光電極2及びアルミニウムからなる裏面電極4を備えた太陽電池セルを得る。
なお、裏面側の電極を形成するに際しては、裏面電極形成用アルミニウムペーストをp型Si基板1の裏面に印刷し乾燥した後、必要に応じて、その上にさらに裏面電極形成用銀ペーストとして、本発明の太陽電池用導電性ペーストを印刷し乾燥して焼成し、アルミニウムからなる裏面電極4と銀からなる裏面電極(図示しない)を形成することもできる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(銀粒子の表面処理物(b1)の作製)
まず、本発明の太陽電池用導電性ペーストの作製に先立ち、以下に示す方法で界面活性剤による導電性粉末の前処理を行なう。
<分散工程>
導電性粉末として50%D径1.4〜2.5μmの銀粒子(商品名:SPN10JS、三井金属社製) 50g、アルキルアミン塩のカチオン系(陽イオン性)界面活性剤としてココナットアミンアセテートの10質量%水溶液を4g、アルキルアミンの界面活性剤としてポリオキシエチレンココナットアルキルアミンエーテルの10質量%水溶液を0.4g、溶剤である水50g、及び2mm径のジルコニアビーズ400gを容積250mlのポリ瓶に入れて混合し、回転機(ボールミル)を用いて4時間練肉して、銀粒子の分散液(a1)を得た。
<乾燥工程>
この銀粒子の分散液(a1)を底面の寸法200mmL×150mmWの平型トレイに100g移し、予備凍結乾燥した後、凍結真空乾燥を行った。
凍結真空乾燥機としては、日本真空社製の「DFM−05AS」を用いた。予備凍結した銀粒子の分散液(a1)を、予め約−40℃に冷却した棚に載せて、真空度7〜10Paで20時間の凍結真空乾燥後、界面活性剤で前処理された導電性粉末として、嵩高のスポンジ状乾燥物である銀粒子の表面処理物(b1)50gを得た。
(銀粒子の表面処理物(b2)の作製)
カチオン系(陽イオン性)界面活性剤の代わりに、リン酸エステル系のアニオン系(陰イオン性)界面活性剤として、プライサーフA215C(第1工業製薬社製)を銀粒子に対して1質量%混合する以外は、銀粒子の表面処理物(b1)と同様に、界面活性剤で前処理された導電性粉末としての、銀粒子の表面処理物(b2)50gを得た。
「実施例1」
(太陽電池用導電性ペーストの製造)
以下の配合の混合物を3本ロールで練肉することにより太陽電池用導電性ペーストを調製した。調製した太陽電池用導電性ペーストの粘度は、TVE−20H型回転粘度計(東機産業社製)で測定した。
銀粒子の表面処理物(b1) 100 部
エチルセルロース樹脂 2.5 部
無鉛ガラスフリット 5.0 部
(Bi2O3−B2O3−SiO2−Al2O3−ZnO−BaO系)
ZnO粉(球形 D50径 700nm) 5.0 部
フタル酸ジノルマルブチル(DBP) 3.0 部
テキサノール/1−フェノキシ−2−プロパノール(混合溶剤) 10.2 部
「実施例2〜4、比較例1〜4」
表1に示すような配合量にて、前処理済の銀粉末(銀粒子の表面処理物(b1)および(b2))、あるいは未処理の銀粉末(b0)を用い、バインダー樹脂、無鉛ガラスフリット、ZnO粉、溶剤、及び必要に応じて増粘剤であるカオーワックス85P、各種添加剤を配合した混合物を、3本ロールで混練して太陽電池用導電性ペーストを調製した。実施例3の消泡剤であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、BYK330(ビーワイケイ・ケミー・ジャパン社製)を用いた。調製された太陽電池用導電性ペーストの粘度を表1に示す。
(太陽電池の作製))
B(ボロン)をドープしたP型多結晶シリコン基板(大きさ150mm×150mm、基板厚み200μm)の表面に、ウエットエッチングによってテクスチャを形成した。
その後、P(リン)を熱拡散させて、n型拡散層(厚み0.3μm)を形成した。
次いで、n型拡散層の上にプラズマCVD法によって、シランガスとアンモニアガスから窒化ケイ素薄膜(厚み約60nm)からなる反射防止膜を形成した。
実施例1〜5、比較例1〜4で調製した太陽電池用導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷(325メッシュ、ワイヤ径28μm、乳剤厚10μm)により、反射防止膜上に、膜厚が約10〜20μmになるように印刷し、乾燥して、この導電性ペーストからなるバス電極とフィンガー電極からなる電極パターンを形成した。バス電極、フィンガー電極の乾燥膜厚は太陽電池用導電性ペーストの構成によって差違があるが、いずれも滲みやはじきのない良好な電極パターンを印刷できた。
次に、裏面電極形成用アルミニウムペースト(商品名:08−6429、東洋アルミニウム社製)を、スクリーン印刷により、P型多結晶シリコン基板の裏面に、膜厚が30〜50μmになるように印刷し、乾燥した。
その後、P型多結晶シリコン基板の両面に形成された各種電極用ペーストを印刷・乾燥させた基板を、赤外炉で、最高焼成温度750〜850℃で焼成して、光入射側の集光電極及びアルミニウムからなる裏面電極を備えた太陽電池セルを得た。実施例1〜5の太陽電池用導電性ペーストを用いて太陽電池を作製するにあたっては、形成された集光電極は十分な接着強度を有し、いずれも加工プロセスでトラブルを起こすことが無かった。
(電極厚み及び変換効率の測定)
各実施例、比較例で作製した太陽電池用導電性ペーストを用いて製造した太陽電池のフィンガー電極の幅及び厚みを、レーザ顕微鏡(商品名:VK−9500、キーエンス社製)によって測定した。銀盛り量は印刷前後のシリコン基板の重量変化より測定した。
太陽電池セルの電流−電圧特性を、ソーラーシミュレータ(商品名:WXS−155S−10、ワコム電創社製)のもとで測定し、変換効率を測定した。
測定したフィンガー電極の厚さ及び変換効率を表1に示す。
実施例1〜4または比較例1〜4において使用した太陽電池用導電性ペーストの組成を、下記の表1に示す。また、表1に変換効率の値を示す。カチオン系界面活性剤を使用した本発明の太陽電池用導電性ペーストを用いた実施例1〜4は、いずれも、リン酸エステル系のアニオン系界面活性剤を含有した従来の太陽電池用導電性ペーストを使用した比較例1〜4に比べて、良好な変換効率を示した。変換効率向上の主要因は導電性ペーストを用いて作製された電極膜厚の増加であって、カチオン系性界面活性剤を用いて作製した導電性ペーストを利用した印刷物の膜厚は、比較例のアニオン系界面活性剤を用いて製造した導電性ペーストを利用した印刷物の膜厚に比べて、同じスクリーン版を利用して、約1.5倍の膜厚が得られることが判明した。
Figure 2010199034
銀粉の表面処理にアルキルアミン塩系のカチオン系界面活性剤を用いた実施例1は、リン酸エステル系のアニオン系の界面活性剤を用いた比較例1と比べると、ペーストの粘度やTIは大きくは変わらないが、実施例1の導電性ペーストの方がスクリーン印刷の版のヌケがよく、大きな膜厚を示す。増粘剤を添加した実施例2〜4は、印刷版のヌケは低下するもののTIが大きく増加し、印刷後のペーストの流れが抑制され電極幅が減少しているため、結果として膜厚は実施例1と比べてあまり大きくは低下していないと推定される。特に実施例1と実施例2とを比較するとTI比(チキソトロピーインデックス)が大きく変化しても、フィンガー電極の高さには大きな変化がみられない。これは電極作製時の塗料粘度変化が電極の膜厚に影響を与えることが少ない点において、製造上の大きな長所となる。また、実施例2と実施例4と比較すると、凍結真空乾燥処理を加えた銀ペーストは盛り量大きく、膜厚も大きくなる傾向を示す。全般的に実施例1〜実施例4の導電性ペーストで作製した電極の膜厚は、印刷版のヌケの悪い比較例1〜比較例4で作製した電極の膜厚に比較して厚くなっている。実施例においても、比較例においても増粘剤の添加によって印刷後の塗膜の流れは抑制される傾向にあるが、スクリーン印刷の版からのヌケが悪くなるため盛り量が減少する。しかし増粘剤の添加有無の点を考慮して実施例、比較例を比べると、いずれも実施例の方が盛り量が多くなっていることがわかる。このように増粘剤の添加にけでは、印刷幅を抑えることはできても、それが膜厚を増加にはつながらない。
本発明の太陽電池用導電性ペーストは、太陽電池を構成する単結晶、または多結晶のSi基板上の反射膜の上に、膜厚が厚く、その結果電気抵抗の低い集光電極を作製することができ、変換効率の良好な太陽電池の製造に利用することができる。
1 p型Si基板
1a n型拡散層
1b p型Si基板
2 集光電極
3 反射防止膜
4 裏面電極

Claims (9)

  1. バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、及び銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有し、さらにカチオン系界面活性剤を含有することを特徴とする太陽電池用導電性ペースト。
  2. 前記カチオン系界面活性剤によって、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末が表面処理されている請求項1に記載の太陽電池用導電性ペースト。
  3. 前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面処理は、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、前記カチオン系界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させて分散液を作製後、該分散液を真空凍結乾燥させる乾燥工程を経て行われたものである請求項2に記載の太陽電池用導電性ペースト。
  4. 前記カチオン系界面活性剤はアルキルアミン塩系界面活性剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用導電性ペースト。
  5. 前記アルキルアミン塩系界面活性剤は式(1)
    Figure 2010199034
    (2)
    (Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルキルアリル基を表す。)
    で表される化合物である、請求項4に記載の太陽電池用導電性ペースト。
  6. バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、及び銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有する太陽電池用導電性ペーストの製造方法であって、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、カチオン系界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させて分散液を作製した後、該分散液の乾燥を行って前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面処理を行い、しかる後に前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、バインダー樹脂、ガラスフリットととともに溶剤中に分散することを特徴とする太陽電池用導電性ペーストの製造方法。
  7. 前記分散液の乾燥は真空凍結処理によって行われる請求項6に記載の太陽電池用導電性ペーストの製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用導電性ペーストを、太陽電池を構成する単結晶または多結晶のSi基板上に形成された反射防止膜上に印刷し焼成することにより形成された太陽電池の集光電極。
  9. 結晶または多結晶のSi基板と、前記Si基板の一方の面に形成された反射防止膜と、前記反射防止膜上に形成された集光電極と、前記Si基板の他方の面に形成された裏面電極とから構成される太陽電池において、前記集光電極が請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用導電性ペーストにより形成されたものである太陽電池。
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