JP2010199034A - 太陽電池用導電性ペースト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有し、さらにカチオン系界面活性剤を含有することを特徴とする太陽電池用導電性ペースト。銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末はカチオン系界面活性剤で表面処理されていることが好ましい。
【選択図】図1
Description
その製造法の一例を挙げると、まず、p型Si基板1bの一方の表面にリン(P)を熱的に拡散させてn型拡散層1aをp型Si基板1bの一方の表面全面に形成させ、p型Si基板1を作製する。このn型拡散層1aのシート抵抗は数十Ω/□程度であり、その厚みは0.3〜0.5μm程度である。次に、このp型Si基板1のn型拡散層1aの表面を清浄化するためにエッチングする。次いで、プラズマCVD法等により、絶縁膜(反射防止膜3)として、窒化シリコン膜、酸化チタン、酸化珪素等の薄膜を、この順にn型拡散層1a上に700〜900Å形成する。
たとえば、リンを含む化合物としてリン酸エステルはそれ自体分散剤や減粘剤として作用するものが多く、ペースト中の銀粉やその他の固形分を分散させる効果や、高固形分のペースト粘度を低くし、スクリーン印刷に適した粘度を与える効果を有する。この特性を利用すると、電極の印刷膜厚を厚くすることで電気抵抗を低くしようとした場合、ペースト中の銀含有率を増やしても粘度増大を抑えることができ、その結果接着強度を高く、変換効率を向上させることができることが提案されている。(例えば、特許文献1)
しかしながら、これらの先行文献に記載された太陽電池用導電性ペーストにおいては、分散剤や減粘剤を作用させるため、導電性ペーストの粘度が低下し、スクリーン印刷を行ったときの印刷時の盛り量が低下しやすく、その結果として集光電極の配線抵抗が増加する問題が残されている。そのために、スクリーン印刷工程を複数回繰り返して、集光電極の配線抵抗を低下させる必要が生じ、生産性の低い非効率的な製造を強いられていた。
さらに本発明の目的は前記太陽電池用導電性ペーストを厚膜印刷し、焼成してなる、太陽電池の変換効率を向上させることが可能な太陽電池用の集光電極、および当該集光電極を備えた太陽電池を提供することにある。
一般に、先に述べたようにリン酸エステルのようなリン含有有機物はリン酸基H2PO4−が銀粒子など金属粒子の表面の無機成分に吸着し、見かけ上、界面電気2重層を形成して、優れた分散効果をあらわす。この分散系は水系及び有機溶剤系溶媒中では表面張力が低い傾向を示している。そのため、分散剤として利用したり、減粘剤としてペースト粘度のチキソ性を低下させるのに利用される。これらアニオン系界面活性剤を顔料表面に吸着させて界面電気2重層を形成し、安定分散状態を得るのと同様にカチオン系界面活性剤を顔料表面に吸着させて、界面電気2重層を形成させることもできる。このようなカチオン系界面活性剤は、乳化分散剤、増粘剤、浮遊選鉱剤、洗浄剤に利用され、同じ分散機能は有するものの、アニオン系界面活性剤と対照的な流動挙動を示すことが多い。すなわちこの分散系は水系溶媒中では発泡しやすく、有機溶媒中では構造粘性を生じやすい。本発明者はこの現象に着目し、導電性ペーストの銀粒子の表面処理剤、分散剤として添加することにより分散性の向上をはかるとともに、チキソ性を調整することによってスクリーン印刷時の印刷特性の調整をはかり、盛り量を増加させることを検討した。そしてその結果、スクリーン印刷で形成した電極用塗膜の膜厚を向上させることができ、太陽電池に優れた変化効率をもたらすことを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに本発明は、バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、及び銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有する太陽電池用導電性ペーストの製造方法であって、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、カチオン系界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させた後、乾燥を行って表面処理を行い、しかる後にバインダー樹脂、ガラスフリットとともに溶剤中に分散することを特徴とする太陽電池用導電性ペーストの製造方法を提供する。
さらにまた本発明は、上記の太陽電池用導電性ペーストを、太陽電池を構成する単結晶または多結晶のSi基板上に形成された反射防止膜上に印刷し焼成することにより形成された太陽電池の集光電極を提供する。
さらに本発明は、単結晶または多結晶のSi基板と、前記Si基板の一方の面に形成された反射防止膜と、前記反射防止膜上に形成された集光電極と、前記Si基板の他方の面に形成された裏面電極とから構成される太陽電池において、前記集光電極が上記に記載の太陽電池用導電性ペーストにより形成されたものである太陽電池を提供する。
以下、本発明の太陽電池用導電性ペーストに関し、その製造工程について詳細に説明する。また、各製造工程に沿いつつ、各工程において使用する各種の材料についてもさらに詳細に説明する。
混合物には、必要に応じて主たる導電性粉末以外のその他の導電性粉末、ZnO、TiO2等の無機微粒子、分散剤等を添加することができ、また、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末や、ZnO、TiO2の等の無機微粒子等の無機成分は、予め界面活性剤、分散剤等で表面処理してから用いても良い。
銀粒子としては、球状、鱗片状、針状、樹枝状など任意の形状のものを用いることができる。銀粒子の製造方法も特に制限されず、機械的粉砕法、還元法、電解法、気相法など任意の製造方法で製造された銀粒子をもちいることが出来る。
銀で表面被覆された金属粒子は、銀以外の金属からなる粒子の表面に、メッキなどの方法により銀の被覆層を形成したものである。本発明で使用する銀粒子としては、導電性とコスト面から見て、銀のみからなる球状銀粒子及び鱗片状銀粒子が好ましい。
この導電性粉末として、体積平均粒径が異なる大小2種類またはそれ以上の導電性粉末を組み合わせて、導電性粉末の電極中での充填密度を向上させることにより、電極を構成する導電性膜の導電性を向上させてもよい。
近年、環境問題に対する意識が高まり、リード端子などに銅箔を接合させるハンダも鉛を含有しない無鉛ハンダへの移行が進み、ガラスフリットも、その含有量が微量であるとはいえ、無鉛ガラスフリットへの転換が迫られているのが実情である。無鉛ガラスフリットを用いる場合、鉛が含まれなければ特に限定されず、無鉛ガラスフリットは、例えば、Bi2O3−B2O3−SiO2−ZnO系、Bi2O3−B2O3−SiO2−Al2O3−ZnO−BaO系、Bi2O3−B2O3−SiO2−ZnO−BaO系等を挙げることができる。これら無鉛ガラスフリットを含む導電性ペーストを用いて作製された電極と、無鉛ハンダとの接合強度、長期信頼性等は種々検討されてきており、有鉛のガラスフリットを用いた場合の特性に近いものが開発されてきているが、低抵抗化の点で未だ有鉛ガラスフリットを用いたものに及ばず、太陽電池の変換効率の向上の点で課題を残している。本発明の太陽電池用導電性ペーストについては、無鉛ガラスフリットを用いた場合も、従来の無鉛ガラスフリットを用いた太陽電池用導電性ペーストに比較して、電極の配線抵抗を下げ太陽電池の変換効率を向上させることが可能であり、環境問題を考慮した場合には無鉛ガラスフリットを用いることが好ましい。
本発明の太陽電池用導電性ペーストにおいては、十分な接着強度を確保するために、ガラスフリットは、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量部である。ガラスフリットの含有量がこの範囲であれば、良好な接着強度を得ることができる。
バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ブチラール樹脂、フェノール樹脂をはじめ、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂;例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独で、あるいは2種類以上を混合して利用できる。これらバインダー樹脂は、想定している塗布方法に適合した、固形分比、粘度、チキソ性等、塗布適性に影響を及ぼす物性を考慮して、適宜選定することができる。
これらのバインダー樹脂の中でも、エチルセルロース樹脂とアクリル樹脂が好ましい。エチルセルロース樹脂とアクリル樹脂は、空気中でバインダー樹脂を分解、除去した後、ほぼ完全に分解し、炭素として焼結塗膜中に残留することが少ない。
本発明の太陽電池用導電性ペースト中のバインダー樹脂の含有量は、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲が好ましく、0.01〜15質量部の範囲がさらに好ましく、0.01〜5質量部の範囲が最も好ましい。
本発明の太陽電池用導電性ペースト中の溶剤の含有量は、当該太陽電池用導電性ペーストを適当な基体表面に塗布あるいは印刷する工程がスムーズに実行できる程度に設定される。
好適な添加剤としては、例えば、フタル酸エステル、燐酸エステル、脂肪酸エステル等の分散剤、グリコール類等の可塑剤、低沸点アルコール、消泡剤等に利用されるSi系有機化合物、Siカップリング剤、無機微粒子等の添加剤などが挙げられる。
当該太陽電池用導電性ペーストにおける導電性粉末の分散性を良好にするために、当該導電性ペーストには分散剤を添加してもよい。
さらに、この無機微粒子を配合する場合、これらの含有量は、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末100質量部に対して、0.5〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10重量部である。
無機微粒子の含有量がこの範囲であると、上記の配合の効果が十分得られやすい。
併用する界面活性剤としては、通常使用される多くの種類の界面活性剤の中から選択して用いることができ、上記カチオン系界面活性剤の他に、アニオン系(陰イオン性)界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を例示することが出来る。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、等が挙げられる。
これら界面活性剤の中でも、特に非イオン系の界面活性剤である、アルキルアミン系の界面活性剤との併用が好ましく、カチオン系界面活性剤と混合して使用することができる。
具体的な製品名としてはアミート105(ポリオキシエチレンアルキルアミン)、アミート320(ポリオキシエチレンアルキルアミン)等があげられる。
カチオン系界面活性剤との併用の点で、アルキルアミン系の界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルアミン型の界面活性剤が好ましく、その中でもポリオキシエチレンアルキルアミン型の界面活性剤がさらに好ましい。さらにそれらの中でも、以下の化学構造(1)を有するものがさらに好ましい。
一般的に言っても界面活性剤の全配合量が0.01質量部未満では、充分な分散性が得られ難くなる傾向がある。一方、界面活性剤の全配合量が3.00質量部を超えると、銀粒子の表面が厚く界面活性剤の有機成分に被覆され、焼成後の銀粒子同士の接触が得られ難くなり、導電性が低下する傾向がある。
アルキルアミン系の界面活性剤を併用のための界面活性剤として、カチオン系界面活性剤とともに使用する場合は、アルキルアミン系の界面活性剤とカチオン系界面活性剤との混合比率は1:20〜1:5の範囲が好ましい。
さらに導電性粉末の表面処理を予め行うことによって、表面状態を安定させ、またその表面状態の制御を通じて導電性ペーストの粘度、流動性、チキソ性等、該ペーストの印刷に係わる物性を制御することができる。
上記の方法を用いると、特に、この導電性粉末や必要に応じて添加される無機微粒子が液相中で製造された場合、これら活性の高い導電性粉末等を効果的に、しかも場合により、それら導電性粉末等が製造されたときの液相のままで界面活性剤を添加し、その存在下で表面処理することができるため、処理が容易な上、これら導電性粉末等の本来の特性を充分に発揮させることができ好ましい。
(1)分散工程
本発明の太陽電池用導電性ペーストの製造において、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の前処理を行う場合、導電性粉末と界面活性剤、あるいは必要に応じて無機微粒子等を溶剤中に添加し、攪拌機または分散機にかけて、導電性粉末等と界面活性剤との混合を行う。このとき、導電性粉末や無機微粒子等の解砕を同時に行える条件で撹拌または分散を行っても良い。
分散液中の導電性粉末等の濃度範囲は、撹拌や分散に用いられる装置に合わせて適宜設定することができるが、次工程で凍結乾燥を行う場合、導電性粉末の分散液中の固形分濃度の範囲は、0.5〜80質量%が好ましく、特に、1〜50質量%が好ましい。
水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルなどのアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテルなどのアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
分散工程に用いる溶剤は、ここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独で使用してもよいし、2種類以上の溶剤を適宜選択し混合して使用することができる。
分散工程において使用可能な攪拌機または分散機としては、特に限定されず、後述の公知の攪拌機または分散機の中から適宜選択して使用することができる。
以上の分散工程によって、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末及び必要に応じて添加される無機微粒子と界面活性剤と溶剤を含有する分散液は、乾燥工程によって溶剤を揮散させ、界面活性剤で表面処理された導電性粉末等を得る。
乾燥工程においては、界面活性剤が熱変化や化学変化を受けないものであれば公知の方法がいずれも適用できる。一例としては、熱風乾燥、衝撃波による乾燥、スプレードライ法、真空凍結乾燥法等をあげることができる。特に真空凍結乾燥法による乾燥方法は、分散液を高温にすることなく溶剤を昇華させるため、導電性粉末や無機微粒子が凝集することが少なく、また界面活性剤が偏在することも少ない点で好ましい。
真空凍結乾燥法を利用した乾燥工程においては、基本的に低温状態で凍結した分散液から、溶剤のみが昇華除去される。溶剤に溶出して失われる界面活性剤がないため、界面活性剤のほとんど全てが処理後の導電性粉末および必要に応じて添加される無機微粒子の表面に残留する。分散液中において、界面活性剤は導電性粉末および必要に応じて添加される無機微粒子の表面付近に局在しており、溶剤のみが除去される真空凍結乾燥の実施時に、該界面活性剤が導電性粉末および必要に応じて添加される無機微粒子の表面に一様に吸着した状態で当該導電性粉末等を取り出せる可能性が高く、しかも、真空凍結乾燥以外の通常の方法にて溶剤を除去する時のように、当該導電性粉末等が凝集することがなく、極めて効率的な処理方法といえる。このように使用した界面活性剤全てが導電性粉末等の表面に残留して、表面処理された導電性粉末等が効率的に形成されるため、当該導電性粉末等に対する界面活性剤の効果と使用量の関係を把握し易く、当該導電性粉末等の使用量に対する界面活性剤の使用量の最適化が行いやすい。
このように真空凍結乾燥による乾燥方法では、真空中で分散液に含まれる溶剤を昇華蒸発させ、乾燥するため、乾燥による収縮がわずかであり、導電性粉末等の凝集が発生し難くい。また、熱風乾燥のように高温で試料内での例えば水などの液体成分を移動させつつ行う乾燥ではなく、固体の凍った状態から昇華により直接的に低温乾燥するため、液体成分の移動を伴う乾燥のような部分的成分濃縮、部分的成分変化、変形がほとんど無く好ましい。
なお、前述のように導電性粉末等の表面に界面活性剤が吸着しているので、導電性粉末等の凝集もなく、従って、本発明の太陽電池用導電性ペーストの構成成分を混合して簡単な攪拌操作を行うだけで、本発明の太陽電池用導電性ペーストを得ることができる。
塗布方法としては、種々の塗布方法により塗布物として形成することができる。例えば、ディップコート、あるいは、公知のロール塗布方法等、具体的には、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート等により電子素子や基体上に塗布物を形成することができる。
また、各種印刷方法を適用することも可能である。印刷方法にはまた、凹版印刷のように最適粘度領域が比較的低粘度領域にあるものと、スクリーン印刷のように高粘度領域にあるものとが存在する。具体的には、孔版印刷方法、凹版印刷方法、平版印刷方法などを用いて基体上に所定の大きさに塗布物を印刷することができる。特にスクリーン印刷がインク層の厚さを厚くしやすく、印刷圧も低く、平面ばかりでなく曲面にも印刷できる特徴を有しているため好適に使用される。
実際の印刷においては、スクリーン印刷版へスキージをあてる角度、印刷速度に対応するスキージを引く早さ等も塗布量に影響するが、スクリーン印刷の版とこれら印刷条件を固定したばあいには、塗布量や印刷パターンの塗布膜厚は、使用している導電性ペーストの版ヌケの良さ、印刷後の塗膜の乾燥までの流動性等によって影響を受け、導電性ペーストの粘度、チキソ性、動的粘弾性がこれに影響を与える。
一般に、スクリーン印刷されるパターンの線幅は、原理上、スクリーン版の線幅より少し太くなる傾向があるが、銀ペースト中の樹脂量を減少させることによって、チキソ性を増加させ、印刷後のペーストの流動性を抑制して線幅の増加と膜厚の減少を防いでいる。しかしチキソ性増加のため、樹脂量を低減させすぎるとスクリーン印刷板の版ヌケが悪くなるため塗布量そのものが低下する。このためペースト中の樹脂量を低減させても版ヌケが良く塗布量が低下せず、かつ印刷後のペーストの流動性が抑制されて、高い膜厚の印刷パターンが形成される導電性ペーストが好ましく、添加剤の添加を始め各種の検討が行われている。
以下、図1を用いて、太陽電池の集光電極の製造方法及び太陽電池の製造方法の一例を説明する。
まず、p型Si基板1bの一方の表面に、場合によりテクスチャを形成し、その後、P(リン)等を約900℃で熱拡散させて、n型拡散層1aを形成し、p型Si基板1を得る。次いで、n型拡散層1a上に、窒化ケイ素薄膜、酸化チタン等からなる反射防止膜3をプラズマCVD法等によって50〜100nmの膜厚で形成する。
次いで、光入射側の集光電極を形成するために、本発明の太陽電池用導電性ペーストを反射防止膜3上に膜厚約20μmでスクリーン印刷し、乾燥させる。
次に、裏面側の電極を形成するために、裏面電極形成用アルミニウムペーストを、膜厚30〜50μmでスクリーン印刷により、p型Si基板1の裏面に印刷し乾燥させる。
次いで、このようにp型Si基板の表面および裏面の両面に電極を印刷したp型Si基板1を最高焼成温度750〜850℃で焼成して、光入射側の集光電極2及びアルミニウムからなる裏面電極4を備えた太陽電池セルを得る。
なお、裏面側の電極を形成するに際しては、裏面電極形成用アルミニウムペーストをp型Si基板1の裏面に印刷し乾燥した後、必要に応じて、その上にさらに裏面電極形成用銀ペーストとして、本発明の太陽電池用導電性ペーストを印刷し乾燥して焼成し、アルミニウムからなる裏面電極4と銀からなる裏面電極(図示しない)を形成することもできる。
まず、本発明の太陽電池用導電性ペーストの作製に先立ち、以下に示す方法で界面活性剤による導電性粉末の前処理を行なう。
<分散工程>
導電性粉末として50%D径1.4〜2.5μmの銀粒子(商品名:SPN10JS、三井金属社製) 50g、アルキルアミン塩のカチオン系(陽イオン性)界面活性剤としてココナットアミンアセテートの10質量%水溶液を4g、アルキルアミンの界面活性剤としてポリオキシエチレンココナットアルキルアミンエーテルの10質量%水溶液を0.4g、溶剤である水50g、及び2mm径のジルコニアビーズ400gを容積250mlのポリ瓶に入れて混合し、回転機(ボールミル)を用いて4時間練肉して、銀粒子の分散液(a1)を得た。
この銀粒子の分散液(a1)を底面の寸法200mmL×150mmWの平型トレイに100g移し、予備凍結乾燥した後、凍結真空乾燥を行った。
凍結真空乾燥機としては、日本真空社製の「DFM−05AS」を用いた。予備凍結した銀粒子の分散液(a1)を、予め約−40℃に冷却した棚に載せて、真空度7〜10Paで20時間の凍結真空乾燥後、界面活性剤で前処理された導電性粉末として、嵩高のスポンジ状乾燥物である銀粒子の表面処理物(b1)50gを得た。
カチオン系(陽イオン性)界面活性剤の代わりに、リン酸エステル系のアニオン系(陰イオン性)界面活性剤として、プライサーフA215C(第1工業製薬社製)を銀粒子に対して1質量%混合する以外は、銀粒子の表面処理物(b1)と同様に、界面活性剤で前処理された導電性粉末としての、銀粒子の表面処理物(b2)50gを得た。
(太陽電池用導電性ペーストの製造)
以下の配合の混合物を3本ロールで練肉することにより太陽電池用導電性ペーストを調製した。調製した太陽電池用導電性ペーストの粘度は、TVE−20H型回転粘度計(東機産業社製)で測定した。
銀粒子の表面処理物(b1) 100 部
エチルセルロース樹脂 2.5 部
無鉛ガラスフリット 5.0 部
(Bi2O3−B2O3−SiO2−Al2O3−ZnO−BaO系)
ZnO粉(球形 D50径 700nm) 5.0 部
フタル酸ジノルマルブチル(DBP) 3.0 部
テキサノール/1−フェノキシ−2−プロパノール(混合溶剤) 10.2 部
表1に示すような配合量にて、前処理済の銀粉末(銀粒子の表面処理物(b1)および(b2))、あるいは未処理の銀粉末(b0)を用い、バインダー樹脂、無鉛ガラスフリット、ZnO粉、溶剤、及び必要に応じて増粘剤であるカオーワックス85P、各種添加剤を配合した混合物を、3本ロールで混練して太陽電池用導電性ペーストを調製した。実施例3の消泡剤であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、BYK330(ビーワイケイ・ケミー・ジャパン社製)を用いた。調製された太陽電池用導電性ペーストの粘度を表1に示す。
B(ボロン)をドープしたP型多結晶シリコン基板(大きさ150mm×150mm、基板厚み200μm)の表面に、ウエットエッチングによってテクスチャを形成した。
その後、P(リン)を熱拡散させて、n型拡散層(厚み0.3μm)を形成した。
次いで、n型拡散層の上にプラズマCVD法によって、シランガスとアンモニアガスから窒化ケイ素薄膜(厚み約60nm)からなる反射防止膜を形成した。
実施例1〜5、比較例1〜4で調製した太陽電池用導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷(325メッシュ、ワイヤ径28μm、乳剤厚10μm)により、反射防止膜上に、膜厚が約10〜20μmになるように印刷し、乾燥して、この導電性ペーストからなるバス電極とフィンガー電極からなる電極パターンを形成した。バス電極、フィンガー電極の乾燥膜厚は太陽電池用導電性ペーストの構成によって差違があるが、いずれも滲みやはじきのない良好な電極パターンを印刷できた。
次に、裏面電極形成用アルミニウムペースト(商品名:08−6429、東洋アルミニウム社製)を、スクリーン印刷により、P型多結晶シリコン基板の裏面に、膜厚が30〜50μmになるように印刷し、乾燥した。
(電極厚み及び変換効率の測定)
各実施例、比較例で作製した太陽電池用導電性ペーストを用いて製造した太陽電池のフィンガー電極の幅及び厚みを、レーザ顕微鏡(商品名:VK−9500、キーエンス社製)によって測定した。銀盛り量は印刷前後のシリコン基板の重量変化より測定した。
測定したフィンガー電極の厚さ及び変換効率を表1に示す。
1a n型拡散層
1b p型Si基板
2 集光電極
3 反射防止膜
4 裏面電極
Claims (9)
- バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、及び銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有し、さらにカチオン系界面活性剤を含有することを特徴とする太陽電池用導電性ペースト。
- 前記カチオン系界面活性剤によって、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末が表面処理されている請求項1に記載の太陽電池用導電性ペースト。
- 前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面処理は、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、前記カチオン系界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させて分散液を作製後、該分散液を真空凍結乾燥させる乾燥工程を経て行われたものである請求項2に記載の太陽電池用導電性ペースト。
- 前記カチオン系界面活性剤はアルキルアミン塩系界面活性剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用導電性ペースト。
- バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、及び銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有する太陽電池用導電性ペーストの製造方法であって、前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、カチオン系界面活性剤とともに分散用溶液中に分散させて分散液を作製した後、該分散液の乾燥を行って前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末の表面処理を行い、しかる後に前記銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を、バインダー樹脂、ガラスフリットととともに溶剤中に分散することを特徴とする太陽電池用導電性ペーストの製造方法。
- 前記分散液の乾燥は真空凍結処理によって行われる請求項6に記載の太陽電池用導電性ペーストの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用導電性ペーストを、太陽電池を構成する単結晶または多結晶のSi基板上に形成された反射防止膜上に印刷し焼成することにより形成された太陽電池の集光電極。
- 結晶または多結晶のSi基板と、前記Si基板の一方の面に形成された反射防止膜と、前記反射防止膜上に形成された集光電極と、前記Si基板の他方の面に形成された裏面電極とから構成される太陽電池において、前記集光電極が請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用導電性ペーストにより形成されたものである太陽電池。
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