JP5556685B2 - 打ち抜き加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コイル材を間欠的に送りながら打ち抜きプレスによりコイル材から多数の打ち抜き製品を得る打ち抜き加工装置に関する。より詳細には、打ち抜きプレスを行う際に、プレス位置においてコイル材の位置決めを精度良く行い、材料の歩留まりを向上させることができる打ち抜き加工装置に関するものである。
一対のローラからなる送り装置によりコイル材を繰り出し、その送り出されたコイル材を、上型と下型とで構成された金型により所定形状に打ち抜く打ち製品加工が広く行われている。この種の加工装置では、一般的に、下型に設けたダイスの上に送り出されたコイル材に対し、上型に設けたパンチを昇降させてパンチとダイスの抜き穴との剪断作用により打ち抜き加工を行っている。すなわち、送り装置によりコイル材がパンチの上下動に同調して所定量ずつ間欠送りされ、この間欠送り毎に金型によりコイル材が打ち抜かれる。
ところが、打ち抜き加工装置では、コイル材とロ−ラとの間にスリップ等が生じてしまうことからコイル材の送り量がずれてしまうことがある。また、コイルを送る際にコイル材が蛇行してしまうこともある。このようなことから、図16に示す送りさん幅Wx及び縁さん幅Wyを余裕を持って設定(板厚の2倍程度に設定)している。ここで、送りさんとは、コイル材から製品を抜く場合に製品と製品との間に設けるスクラップとなる部分である。縁さんとは、コイル材から製品を抜く場合にコイル材の幅方向両端に残ってスクラップとなる部分である。
このように、送りさん及び縁さんはスクラップとなる部分であるため、この部分が大きいと材料の歩留まりが悪くなる。そのため、送りさん及び縁さんの幅は、できるだけ小さいことが好ましい。これにより、材料の歩留まりを向上させることができるからである。
そこで、送り装置により繰り出されたコイル材の位置決めを行うことが実施されている。例えば、特許文献1に記載の装置では、パンチの上下動とともに上下動する停止部材をコイル材の一部に当てることによりコイル材を停止させて位置決めを行っている。これにより、コイル材の送り量がずれないようにしている。
特開昭53−98580号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載の装置では、送り装置によるコイル材の送り量が大きくなることはなくなるが、例えば、コイル材とロ−ラとの間にスリップが生じてしまい、コイル材の送り量が少なくなった場合には正確に位置決めができない。つまり、コイル材の送り量がずれてしまうという問題があった。
ここで、コイル材の送り量が少なくなった場合にも、コイル材の送り量がずれないようにするためには、パイロットピンによる位置決めを行うことが考えられる。このパイロットピンによる位置決めは、例えば、上型にコイル材間欠送り量と対応した間隔でパンチとパイロットピンとを設け、コイル材にパンチでパイロット孔を開け、先端が先細り状のパイロットピンをパイロット孔に貫入させることにより、コイル材の送り位置を修正する。
ところが、パイロットピンによる位置決めを行うためには、パイロット孔を設ける必要があり、そのためにスクラップの排出なども含めた新たな設備を設けなければならない。さらに、この位置決めは、パイロットピンをコイル材のパイロット孔に貫入することによりコイル材の送り量を強制的に修正しようとするものであるため、コイル材が薄板で強度が小さい場合には、パイロットピンの貫入によりパイロット孔が楕円形に変形してしまって正確な修正を行えず、また、コイル材が厚板で強度が大きい場合には、パイロットピンが折損するという問題もあった。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、打ち抜きプレスを行う際に、プレス位置においてコイル材の位置決めを精度良く行い、材料の歩留まりを向上させることができる打ち抜き加工装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一形態は、コイル材を間欠的に送りながら、上型に設けられたパンチと下型に設けられたダイスとによる打ち抜きプレスにより、コイル材から多数の打ち抜き製品を得る打ち抜き加工装置において、前記パンチの上下動に同調してコイル材を間欠的にプレス位置に送り出す送り装置と、コイル材の幅方向端部に接触して、前記送り装置により送り出されたコイル材の蛇行を補正する複数の幅位置補正ピンと、既に打ち抜かれたブランク穴に侵入して、前記ブランク穴の外周に接触し、コイル材の送り位置を補正する複数の送り位置補正ピンと、を有し、前記幅位置補正ピン及び前記送り位置補正ピンは、前記上型に設けられ前記パンチの上下動とともに上下動し、それぞれの外周面が前記パンチがコイル材を打ち抜く前にコイル材に接触してコイル材の位置を補正することを特徴とする。
この打ち抜き加工装置では、送り装置により、パンチの上下動に同調してコイル材が間欠的にプレス位置に送り出される。そして、プレス位置に送り出されたコイル材に対し、その幅方向端部に複数の幅位置補正ピンが接触することにより、コイル材の蛇行の補正(コイル材の幅方向における位置決め)が行われる。また、既に打ち抜かれたブランク穴に侵入してそのブランク穴の外周に、複数の送り位置補正ピンが接触することにより、コイル材の送り位置の補正(コイル材の送り方向における位置決め)が行われる。このようにブランク穴を利用してコイル材の送り方向における位置決めを行うため、パイロットピンによる位置決めを行う場合に発生する問題も解消することができる。
このようにして、コイル材が幅方向及び送り方向にて位置決めされるため、精度良くプレス位置に配置される。そして、この位置決めされた状態からパンチとダイスによる打ち抜きプレスが実施され、コイル材が所定形状に打ち抜かれて打ち抜き製品が得られる。その後、同様の動作が繰り返されることにより、コイル材から多数の打ち抜き製品が得られる。
このように、この打ち抜き加工装置によれば、プレス位置に送り出されたコイル材が、コイル材の幅方向及び送り方向にて精度良く位置決めされるため、送りさん幅及び縁さん幅を小さく設定することができる。その結果として、スクラップなる部分が減少するため、材料の歩留まりを向上させることができる。
なお、幅位置補正ピンによるコイル材の幅方向における位置決め、及び送り位置補正ピンによるコイル材の送り方向における位置決めは、パンチとダイスによる打ち抜きプレスが実施される前に行われればよい。そのため、各位置決めは、どちらが先行して行われても良いし、同時に行われても良い。
そして、幅位置補正ピン及び送り位置補正ピンは、上型に設けられ前記パンチの上下動とともに上下動し、それぞれの外周面が前記パンチがコイル材を打ち抜く前にコイル材に接触してコイル材の位置を補正することにより、材料の歩留まりを向上させるとともに、幅位置補正ピン及び送り位置補正ピンの駆動源とパンチの駆動源を共通化することができるため、装置の構成を簡略化することができる。また、幅位置補正ピン及び送り位置補正ピンがパンチと連動して上下動するため、コイル材の位置決めと打ち抜きプレスを効率よく行うことができる。従って、抜き製品の生産効率を向上させることもできる。
この場合には、前記幅位置補正ピン及び前記送り位置補正ピンの先端を先細りのテーパ状にするとよい。
このように、補正ピンの先端を先細りのテーパ状にすることにより、補正ピンによるコイル材の位置補正を確実にかつスムーズに行うことができ、コイル材の位置決めの精度を一層向上させることができるからである。
ここで、送り位置補正ピンをパンチと同調させて上下動させる場合、コイル材を最初に打ち抜きプレスする際には、ブランク穴が形成されていないため、送り位置補正ピンの下降によりコイル材を湾曲等変形させるおそれがある。そして、コイル材を湾曲等変形させてしまうと、プレス位置がずれてしまい、不良品が発生するおそれがある。
そこで、上記した打ち抜き加工装置において、前記送り位置補正ピンは、前記ブランク穴が形成されていないコイル材に先端が当接した場合に、下方への移動を停止する停止機構を備えていることが望ましい。
このような停止機構を備えることにより、送り位置補正ピンをパンチと同調させて上下動させる場合であっても、コイル材を最初に打ち抜きプレスする際に、送り位置補正ピンが邪魔になることがなく、送り位置補正ピンによってコイル材を湾曲等変形させることを防止することができる。これにより、打ち抜き製品が不良となることを防止することができる。
また、上記した打ち抜き加工装置において、前記パンチ、前記ダイス、前記幅位置補正ピン、及び前記送り位置補正ピンは、コイル材の送り方向と直交する方向に一体となって往復動可能に設けられており、前記パンチ及び前記ダイスは、前記送り装置によるコイル材の間欠的な送り出しと前記往復動とによって、コイル材を千鳥状に打ち抜き、前記複数の送り位置補正ピンの一部は、前記幅位置補正ピンが接触するコイル材の幅方向端部とは逆側の端部に接触して、前記幅位置補正ピンとともに前記送り装置により送り出されたコイル材の蛇行を補正するようにしてもよい。
このような構成にすることにより、コイル材を千鳥状に打ち抜く場合であっても、プレス位置に送り出されたコイル材を、コイル材の幅方向及び送り方向にて精度良く位置決めすることができる。従って、コイル材を千鳥状に打ち抜く場合でも、材料の歩留まりを向上させることができる。
本発明に係る打ち抜き加工装置によれば、上記した通り、打ち抜きプレスを行う際に、プレス位置においてコイル材の位置決めを精度良く行い、材料の歩留まりを向上させることができる。
第1の実施の形態に係る打ち抜き加工装置の概略構成を示す図である。 上型の概略構成を示す一部断面図である。 コイル材が位置決めされて最初の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。 2番目の打ち抜きプレスを行うためにコイル材がプレス位置に搬送された状態を示す図である。 コイル材が位置決めされて2番目の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。 2番目の打ち抜きプレスが終了した状態を示す図である。 第2の実施の形態に係る打ち抜き加工装置の概略構成を示す図である。 コイル材が位置決めされて最初の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。 最初の打ち抜きプレスが終了した状態を示す図である。 2番目の打ち抜きプレスを行うためにコイル材がプレス位置に搬送されるとともに、上型及びスライド型がスライドした状態を示す図である。 コイル材が位置決めされて2番目の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。 2番目の打ち抜きプレスが終了した状態を示す図である。 3番目の打ち抜きプレスを行うためにコイル材がプレス位置に搬送されるとともに、上型及びスライド型がスライドした状態を示す図である。 コイル材が位置決めされて3番目の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。 3番目の打ち抜きプレスが終了した状態を示す図である。 送りさん及び縁さんを説明するための図である。
以下、本発明の打ち抜き加工装置を具体化した実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。ここでは、第1の実施の形態として、コイル材を送り方向に単列で打ち抜く場合を例示し、第2の実施の形態として、コイル材を千鳥状に打ち抜く場合を例示する。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態に係る打ち抜き加工装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態に係る打ち抜き加工装置の概略構成を示す図である。なお、図1では上型を省略している。図2は、上型の概略構成を示す一部断面図である。
図1に示すように、第1の実施の形態に係る打ち抜き加工装置10には、送り装置11と、パンチ12と、ダイス13と、複数の幅位置補正ピン14と、複数の送り位置補正ピン15と、複数の送りガイド16とが備わっている。そして、図2に示すように、パンチ12、幅位置補正ピン14、及び送り位置補正ピン15は上型17に設けられており、ダイス13は下型18に設けられている。このような打ち抜き加工装置10では、送り装置11により送り出されたコイル材20を、上型17に設けられたパンチ12と下型18に設けられたダイス13とにより打ち抜きプレスすることにより、コイル材20から打ち抜き製品を得るようになっている。
送り装置11は、一対のローラ11a,11aを備えている。そして、ローラ11a,11a間に挟み込んだコイル材20を、パンチ12の上下動に同調して間欠的に所定の送り量だけ送り出すようになっている。このとき、送り装置11から送り出されるコイル材20は、複数の送りガイド16によってガイドされながらプレス位置へと搬送されるようになっている。
パンチ12は、上下動することにより、ダイス13の抜き穴との剪断作用でプレス位置にあるコイル材を打ち抜くものである。このパンチ12は、上型17に設けられており、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15とともに上下動するようになっている。
幅位置補正ピン14は、コイル材20の蛇行を補正する、つまりコイル材20の幅方向(送り方法と直交する方向)における位置決めを行うものである。この幅位置補正ピン14は、コイル材20の幅方向端部に接触することにより、送り装置11から送り出されたコイル材20の蛇行を補正するようになっている。幅位置補正ピン14は、円柱形をなしており、その先端部14aが先細りのテーパ状となっている。これにより、コイル材20の位置がずれている場合には、まず、コイル材20の幅方向端部に対して幅位置補正ピン14の先端部14aが接触しコイル材20の位置を徐々に補正していき、その後、幅位置補正ピン14の本体部14bの外周がコイル材20の幅方向端部に接触して、コイル材20の幅方向における位置決めが行われる。従って、コイル材20の幅方向における位置決めを高精度かつスムーズに行うことができる。なお、本実施の形態では、プレス位置を挟んで左右に2本ずつ合計4本の幅位置補正ピン14を設けている。
送り位置補正ピン15は、コイル材20の送り位置を補正する、つまりコイル材20の送り方向における位置決めを行うものである。この送り位置補正ピン15は、コイル材20に直前に形成されたブランク穴21に侵入してブランク穴21(図5参照)の外周に接触することにより、送り装置11から送り出されたコイル材20の送り位置を補正するようになっている。送り位置補正ピン15は、円柱形をなしており、その先端部15aが先細りのテーパ状となっている。これにより、コイル材20の位置がずれている場合には、まず、コイル材20のブランク穴21の縁部に対して送り位置補正ピン15の先端部15aが接触しコイル材20の位置を徐々に補正していき、その後、送り位置補正ピン15の本体部15bの外周がブランク穴21の縁部に接触して、コイル材20の送り方向における位置決めが行われる。従って、コイル材20の送り方向における位置決めを高精度かつスムーズに行うことができる。なお、本実施の形態では、4本の送り位置補正ピン15を略正方形の頂点位置に設けている。
このような幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15は、図2に示すように、パンチ12とともに上型17に設けられており、パンチ12とともに上下動するようになっている。このようにして、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15の駆動源とパンチ12の駆動源が共通化されている。これにより、打ち抜き加工装置10の装置構成の簡略化が図られている。また、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15が、パンチ12と連動して上下動するため、コイル材20の位置決めと打ち抜きプレスを効率よく行うことができる。これにより、打ち抜き加工装置10における打ち抜き製品の生産効率の向上が図られている。なお、下型18には、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15の下降する位置に対応して逃がし穴が形成されている。
そして、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15は、パンチ12よりも低い位置に配置されている。具体的には、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15の各本体部14b,15bの一部(先端側)が、パンチ12の先端よりも下方に位置している。これにより、パンチ12がコイル材20に接触する前に、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15によるコイル材20の位置決めが完了するようになっている。その結果、コイル20は幅方向及び送り方向における位置決めが行われた後に、パンチ12とダイス13とにより打ち抜き加工される。また、パンチ12とダイス13による打ち抜き加工中は、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15によってコイル材20の位置がずれないように保持されている。これらのことから、打ち抜き加工装置10において、精度良く打ち抜き加工を行うことができるようになっている。
ここで、送り位置補正ピン15をパンチ12と同調させて上下動させると、コイル材20を最初に打ち抜きプレスする際には、ブランク穴21が形成されていないため、送り位置補正ピン15の下降によりコイル材20を湾曲等変形させるおそれがある。そして、コイル材20を変形させてしまうと、プレス位置がずれてしまって正確に打ち抜き加工ができなくなり、不良品が発生するおそれがある。
そこで、コイル材20を変形させないために、送り位置補正ピン15には、停止機構が設けられている。本実施の形態では、停止機構としてスプリング19が備わっている。そして、送り位置補正ピン15は、上型17に対して停止機構としてのスプリング19を介して保持されている。これにより、送り位置補正ピン15は、上型17の下降に伴って下降していき、ブランク穴21が形成されていないコイル材20に当接すると、スプリング19が収縮することによりそれ以上は上型17とともに下降しないようになっている。このようにして、送り位置補正ピン15の下降によりコイル材20が変形することを防ぎ、不良品が発生することを防止している。なお、送り位置補正ピン15の停止機構としては、スプリングの他、例えばダンパー等を使用することもできる。
続いて、上記した打ち抜き加工装置10の動作について、図3〜図6も参照しながら説明する。図3は、コイル材が位置決めされて最初の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。図4は、2番目の打ち抜きプレスを行うためにコイル材がプレス位置に搬送された状態を示す図である。図5は、コイル材が位置決めされて2番目の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。図6は、2番目の打ち抜きプレスが終了した状態を示す図である。なお、図3〜図6においても上型は省略している。
まず、図1に示すように、送り装置11の一対のローラ11a,11aが回転し、コイル材20が所定量だけ送り出されてプレス位置まで搬送される。このとき、コイル材20は、送りガイド16によってガイドされながら搬送される。但し、送りガイド16によってコイル材20の幅方向における位置決めを精度良く行うことはできない。
そして、コイル材20がプレス位置まで搬送されると、図3に示すように、一対のローラ11a,11aが停止し、上型17が下降する。この上型17の下降により、幅位置補正ピン14、送り位置補正ピン15、及びパンチ12が下降する。ここで、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15は、パンチ12よりも低い位置に配置されているので、まず、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15の各先端部14a,15aに外周面がコイル材20に接触し、その後、各本体部14b,15bの外周面がコイル材20に接触する。なお、コイル材20の位置がずれていない場合には、各先端部14a,15aの外周面がコイル材20に接触することなく、各本体部14b,15bの外周面のみがコイル材20に接触することもあり得る。
このとき、幅位置補正ピン14の外周面は、コイル材20の幅方向両端でコイル材20の側面に接触する。これにより、プレス位置においてコイル材20の幅方向における位置決めが行われる。この幅方向における位置決めは、まず、コイル材20の幅方向端部に対して幅位置補正ピン14の先端部14aの外周面(テーパ部分)が接触しコイル材20の位置を徐々に修正していき、その後、幅位置補正ピン14の本体部14bの外周面がコイル材20の幅方向両端部(両側面)に接触して、コイル材20の幅方向における位置のずれを修正することにより行われる。このようにして、幅位置補正ピン14によるコイル材20の幅方向における位置決めが、高精度かつスムーズに実施される。
一方、4本の送り位置補正ピン15のうち送り方向上流側に配置された2本の外周面が、コイル材20の先端に接触する。これにより、プレス位置においてコイル材20の送り方向における位置決めが行われる。この送り方向における位置決めは、まず、コイル材20の先端部に対して送り位置補正ピン15の先端部15aの外周面(テーパ部分)が接触しコイル材20の位置を徐々に修正していき、その後、送り位置補正ピン15の本体部15bの外周面がコイル材20の先端部に接触して、コイル材20の送り方向における位置のずれを修正することにより行われる。
なお、4本の送り位置補正ピン15のうち送り方向下流側に配置された2本は、その先端がコイル材20の表面に当接すると、スプリング19が収縮してそれ以上は下降しなくなる。これにより、送り位置補正ピン15の下降によりコイル材20を変形させることはなく、その後に行われる打ち抜き加工で不良品が発生することが防止されている。
このようにして、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15により、幅方向及び送り方向にてコイル材20が位置決めされた後、パンチ12とダイス13によりコイル材20が所定形状に打ち抜きプレスされる。これにより、打ち抜き加工装置10において打ち抜き製品が得られる。
次に、上型17が上昇した後、図4に示すように、送り装置11の一対のローラ11a,11aが回転し、コイル材20が所定量だけ送り出される。このとき、直前に打ち抜かれたブランク穴21が、送り位置補正ピン15のほぼ真下に位置している。
そして、上型17が下降することにより、図5に示すように、幅位置補正ピン14、送り位置補正ピン15、及びパンチ12が下降する。これにより、幅位置補正ピン14により、上記したようにして、コイル材20の幅方向における位置決めが高精度かつスムーズに実施される。
また、送り位置補正ピン15がブランク穴21に侵入する。このとき、送り位置補正ピン15の外周面は、ブランク穴21の外周に接触する。これにより、プレス位置においてコイル材20の送り方向における位置決めが行われる。この送り方向における位置決めは、まず、コイル材20に形成されたブランク穴21の外周に対して送り位置補正ピン15の先端部15aの外周面(テーパ部分)が接触しコイル材20の位置を徐々に修正していき、その後、送り位置補正ピン15の本体部15bの外周面がブランク穴21の外周に接触して、コイル材20の送り方向における位置のずれを修正することにより行われる。このようにして、ブランク穴21を利用して送り方向における位置決めを行うため、新たにパイロット孔のような位置決め用の穴を設ける必要がなく、また、ピンを孔に貫入させないため、送り位置補正ピン15が折れたり、ブランク穴21が変形することもない。このようにして、送り位置補正ピン15によるコイル材20の送り方向における位置決めが、高精度かつスムーズに実施される。
そして、上記のようにして幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15により、幅方向及び送り方向にてコイル材20が位置決めされた後、パンチ12とダイス13によりコイル材20が所定形状に打ち抜きプレスされる。これにより、打ち抜き加工装置10において2つ目の打ち抜き製品が得られる。
その後、上型17が上昇する。これにより、図6に示すように、パンチ12、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15が上昇する。このとき、上型17が下降するときとは逆に、パンチ12が幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15よりも先にコイル材20から離れる。このため、パンチ12がコイル材20から抜ける際、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15より、コイル材20が幅方向及び送り方向において位置決めされた状態が保持されているので、コイル材20の位置がずれることがない。
以後、打ち抜き加工装置10において、上記した動作が繰り返して行われ、連続的して多数の打ち抜き製品が得られる。
このように打ち抜き加工装置10では、パンチ12とダイス13によりコイル材20を所定形状に打ち抜きプレスする前に、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15により、幅方向及び送り方向にてコイル材20が精度良く位置決めすることができる。従って、送りさん幅及び縁さん幅を小さく設定することができる。具体的には、送りさん幅を60%程度、縁さん幅を30%程度まで低減することができた。その結果、コイル材20のうちスクラップとなる部分が減少するため、材料の歩留まりを10%程度向上させることができた。
以上、詳細に説明したように第1の実施の形態に係る打ち抜き加工装置10によれば、送り装置11によりプレス位置に送り出されたコイル材20が、幅位置補正ピン14及び送り位置補正ピン15により、幅方向及び送り方向にて精度良く位置決めされるため、送りさん幅及び縁さん幅を小さく設定することができる。その結果として、コイル材20のうちスクラップとなる部分が減少するため、材料の歩留まりを向上させることができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る打ち抜き加工装置について説明する。第2の実施の形態に係る打ち抜き加工装置は、基本的な構成は第1の実施の形態と同じくするが、コイル材を千鳥状に打ち抜くため、上型及び下型がコイル材の送り方向と直交する方向にスライド(往復動)するように構成されている点が異なっている。それに伴って、幅位置補正ピン及び送り位置補正ピンの配置位置や配置本数なども異なっている。なお、以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
そこで、第2の実施の形態に係る打ち抜き加工装置について、図7を参照しながら説明する。図7は、第2の実施の形態に係る打ち抜き加工装置の概略構成を示す図である。なお、図7では上型及び送り装置などを省略している。
図7に示すように、第2の実施の形態に係る打ち抜き加工装置50には、送り装置11と、パンチ12と、ダイス13と、複数の幅位置補正ピン54と、複数の送り位置補正ピン55とが備わっている。そして、第1の実施の形態と同様に、パンチ12、幅位置補正ピン54、及び送り位置補正ピン55は上型17に設けられており、ダイス13はスライド型(下型)58に設けられている。そして、上型17はスライド型58に同期してスライドするとともに、単独で上下動するように構成されている。このような打ち抜き加工装置50では、送り装置11によるコイル材20の間欠的な送り出しと、上型17及びスライド型58の往復動とによって、パンチ12とダイス13とによりコイル材20を千鳥状に打ち抜き、コイル材20から打ち抜き製品を得るようになっている。
幅位置補正ピン54は、スライド型58の四隅に形成した逃がし穴に対応して合計4本設けられている。この幅位置補正ピン54は、第1の実施の形態と同様の構成であって、コイル材20の幅方向端部に接触することにより、送り装置11から送り出されたコイル材20の蛇行を補正するようになっている。なお、以下の説明では、4本の幅位置補正ピン54のうち図中左側のものの符号を「541」、図中右側のものの符号を「542」とも表記する。
送り位置補正ピン55は、第1の実施の形態と同様、直前に形成されたブランク穴21に侵入してブランク穴21の外周に接触することにより、送り装置11から送り出されたコイル材20の送り位置を補正するようになっている。ここで、送り位置補正ピン55は、三角形の頂点位置に配置した3本を一組として、二組55a,55bが設けられている。そして、組55a,55bのいずれか一方をブランク穴21に侵入させてコイル材20の送り位置を補正するようになっている。なお、ブランク穴21に侵入しない組の送り位置補正ピン55は、コイル材20に当接すると、スプリング19が収縮することにより、その位置で停止してそれ以上は上型17とともに下降しないようになっている。
そして、各組55a,55bにおいて、3本の位置補正ピン55のうち2本(以下、この位置補正ピンの符号を「551」とも示す)は、コイル材の送り方向に直線的に配置されている。これにより、送り位置補正ピン55の一方の組55a(55b)がブランク穴21に挿入されているときには、他方の組55b(55a)のうち2本の送り位置補正ピン551,551が、コイル材20の幅方向端部に接触して幅位置補正ピン54とともに、コイル材20の幅方向における位置決めを行うようになっている。
続いて、上記した打ち抜き加工装置50の動作について、図8〜図15も参照しながら説明する。図8は、コイル材が位置決めされて最初の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。図9は、最初の打ち抜きプレスが終了した状態を示す図である。図10は、2番目の打ち抜きプレスを行うためにコイル材がプレス位置に搬送されるとともに、上型及びスライド型がスライドした状態を示す図である。図11は、コイル材が位置決めされて2番目の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。図12は、2番目の打ち抜きプレスが終了した状態を示す図である。図13は、3番目の打ち抜きプレスを行うためにコイル材がプレス位置に搬送されるとともに、上型及びスライド型がスライドした状態を示す図である。図14は、コイル材が位置決めされて3番目の打ち抜きプレスが行われている状態を示す図である。図15は、3番目の打ち抜きプレスが終了した状態を示す図である。なお、図8〜図15においても上型など一部の構成部品を省略している。
まず、図7に示すように、送り装置11により、コイル材20が所定量だけ送り出されてプレス位置まで搬送される。そして、上型17及びスライド型58が、図面中右側にスライドする。
この状態から、上型17が下降する。これにより、図8に示すように、位置補正ピン54、送り位置補正ピン55、及びパンチ12が下降する。そうすると、まず、幅位置補正ピン541及び組55bの送り位置補正ピン551とにより、コイル材20の幅方向における位置決めが行われる。この幅方向における位置決めの動作は、第1の実施の形態と同様である。なお、最初の打ち抜きプレスを行う際には、コイル材20の送り方向における位置決めは行われないが、送りさん幅の設定に何ら悪影響を与えることはない。送りさん幅の設定に影響を与えるのは、2番目以降の打ち抜きプレスを行う際における位置決めであるからである。
次いで、幅方向にてコイル材20が位置決めされた後に、パンチ12とダイス13によりコイル材20が所定形状に打ち抜きプレスされる。これにより、打ち抜き加工装置50において打ち抜き製品が得られる。このとき、組55aにおける3本の送り位置補正ピン55は、その先端がコイル材20の表面に当接すると、スプリング19が収縮してそれ以上は下降しなくなる。これにより、送り位置補正ピン55の下降によりコイル材20を変形させることはなく、その後に行われる打ち抜き加工で不良品が発生することが防止されている。
その後、上型17が上昇する。これにより、図9に示すように、位置補正ピン54、送り位置補正ピン55、及びパンチ12が上昇する。そうすると、コイル材20にブランク穴21が形成される。
その状態から、送り装置11により、図10に示すように、コイル材20が所定量だけ送り出される。また、スライド型58が図中左側にスライドする。このとき、直前に打ち抜かれたブランク穴21が、組55bの3本の送り位置補正ピン55のほぼ真下に位置している。
そして、上型17が下降することにより、図11に示すように、幅位置補正ピン54、送り位置補正ピン55、及びパンチ12が下降する。これにより、幅位置補正ピン542と組55aの送り位置補正ピン551とにより、コイル材20の幅位置における位置決めが行われる。一方、組55bの送り位置補正ピン55がブランク穴21に侵入して、プレス位置においてコイル材20の送り方向における位置決めが行われる。この送り方向における位置決めの動作は、第1の実施の形態と同様である。
このようにして、幅位置補正ピン542と組55aの送り位置補正ピン551、及び組55bの送り位置補正ピン55により、幅方向及び送り方向にてコイル材20が位置決めされた後、パンチ12とダイス13によりコイル材20が所定形状に打ち抜きプレスされる。これにより、打ち抜き加工装置50において2つ目の打ち抜き製品が得られる。
その後、上型17が上昇する。これにより、図12に示すように、位置補正ピン54、送り位置補正ピン55、及びパンチ12が上昇する。そうすると、コイル材20に2番目のブランク穴21が形成される。
その状態から、送り装置11により、図13に示すように、コイル材20が所定量だけ送り出される。また、スライド型58が図中右側にスライドする。このとき、直前に打ち抜かれた2番目のブランク穴21が、組55aの3本の送り位置補正ピン55のほぼ真下に位置している。
そして、上型17が下降することにより、図14に示すように、幅位置補正ピン54、送り位置補正ピン55、及びパンチ12が下降する。これにより、幅位置補正ピン541と組55bの送り位置補正ピン551とにより、コイル材20の幅位置における位置決めが行われる。一方、組55aの送り位置補正ピン55がブランク穴21に侵入して、プレス位置においてコイル材20の送り方向における位置決めが行われる。
このようにして、幅位置補正ピン541と組55bの送り位置補正ピン551、及び組55aの送り位置補正ピン55により、幅方向及び送り方向にてコイル材20が位置決めされた後、パンチ12とダイス13によりコイル材20が所定形状に打ち抜きプレスされる。これにより、打ち抜き加工装置50において3つ目の打ち抜き製品が得られる。
その後、上型17が上昇する。これにより、図15に示すように、位置補正ピン54、送り位置補正ピン55、及びパンチ12が上昇する。そうすると、コイル材20に3番目のブランク穴21が形成される。
以後、打ち抜き加工装置50において、上記した動作が繰り返して行われ、連続的して多数の打ち抜き製品が得られる。
このように千鳥状に打ち抜き加工を行う打ち抜き加工装置50でも、パンチ12とダイス13によりコイル材20を所定形状に打ち抜きプレスする前に、幅位置補正ピン54及び送り位置補正ピン55により、幅方向及び送り方向にてコイル材20を精度良く位置決めすることができる。従って、第1の実施の形態と同様に、送りさん幅及び縁さん幅を小さく設定することができるので、材料の歩留まりを向上させることができる。
以上、詳細に説明したように第2の実施の形態に係る打ち抜き加工装置50によれば、千鳥状に打ち抜きプレスを行う場合であっても、送り装置11によりプレス位置に送り出されたコイル材20が、幅位置補正ピン54及び送り位置補正ピン55により、幅方向及び送り方向にて精度良く位置決めされるため、送りさん幅及び縁さん幅を小さく設定することができる。その結果として、コイル材20のうちスクラップとなる部分が減少するため、材料の歩留まりを向上させることができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施の形態では、打ち抜き形状が円形であるが、打ち抜き形状は円形に限られず、例えば四角形などであってもよい。また、補正ピンの形状も円柱(円筒)形に限られず、例えば四角柱などであってもよい。
10 打ち抜き加工装置
11 送り装置
12 パンチ
13 ダイス
14 幅位置補正ピン
15 送り位置補正ピン
17 上型
18 下型
19 スプリング
20 コイル材
21 ブランク穴
50 打ち抜き加工装置
54(541,542) 幅位置補正ピン
55 (551) 送り位置補正ピン
55a,55b 組
58 スライド型
Wx 送りさん幅
Wy 縁さん幅

Claims (3)

  1. コイル材を間欠的に送りながら、上型に設けられたパンチと下型に設けられたダイスとによる打ち抜きプレスにより、コイル材から多数の打ち抜き製品を得る打ち抜き加工装置において、
    前記パンチの上下動に同調してコイル材を間欠的にプレス位置に送り出す送り装置と、
    コイル材の幅方向端部に接触して、前記送り装置により送り出されたコイル材の蛇行を補正する複数の幅位置補正ピンと、
    既に打ち抜かれたブランク穴に侵入して、前記ブランク穴の外周に接触し、コイル材の送り位置を補正する複数の送り位置補正ピンと、
    を有し、
    前記幅位置補正ピン及び前記送り位置補正ピンは、前記上型に設けられ前記パンチの上下動とともに上下動し、それぞれの外周面が前記パンチがコイル材を打ち抜く前にコイル材に接触してコイル材の位置を補正する
    ことを特徴とする打ち抜き加工装置。
  2. 請求項に記載する打ち抜き加工装置において、
    前記送り位置補正ピンは、前記ブランク穴が形成されていないコイル材に先端が当接した場合に、下方への移動を停止する停止機構を備えている
    ことを特徴とする打ち抜き加工装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する打ち抜き加工装置において、
    前記パンチ、前記ダイス、幅位置補正ピン、及び前記送り位置補正ピンは、コイル材の送り方向と直交する方向に一体となって往復動可能に設けられており、
    前記パンチ及び前記ダイスは、前記送り装置によるコイル材の間欠的な送り出しと前記往復動とによって、コイル材を千鳥状に打ち抜き、
    前記送り位置補正ピンの一部は、前記幅位置補正ピンが接触するコイル材の幅方向端部とは逆側の端部に接触して、前記幅位置補正ピンとともに前記送り装置により送り出されたコイル材の蛇行を補正する
    ことを特徴とする打ち抜き加工装置。
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