JP5556443B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トルク指令に応じた電流を電源からモータに通電することによりモータの駆動を制御するモータ制御装置に係り、特に電源電圧が不足する問題に善処したモータ制御装置に関するものである。
IPM(Interior Permanent Magnet)モータを始めとする逆突極性を有する同期モータの駆動を制御するモータ制御装置は、トルク指令に応じたトルクを発生させる電流指令を生成し、この電流指令に対応する電流を電源からモータに通電することによりモータの駆動を制御する装置である。電流指令は、IPMモータの三相各相に流す電流を、回転子に配置された永久磁石の磁束の方向であるd軸電流成分とd軸に直交するq軸電流成分との二つの成分に変換して表現し、これらd軸電流成分及びq軸電流成分をそれぞれ表すd軸電流指令及びq軸電流指令から構成されている。このd軸電流指令は、モータの回転により生ずる誘起電圧を抑える方向に作用する抑制電流となり、この抑制電流を利用して、抑制電流によって抑制された後の誘起電圧がモータへ印加可能な電源電圧を越えて電圧不足となり、制御破綻に陥らないようにd軸電流指令の大きさを制御する弱め磁束制御が知られている(特許文献1参照)。
特開2002−159192号公報
しかしながら、上記の弱め磁束制御を始めとする電源電圧の不足を抑制するための電圧不足抑制モードでの制御を実行している場合であっても、モータ自体が消費する電力やモータ以外の電装品等の負荷が消費する電力などの影響によって電源電圧が想定外に低下して電圧不足となり制御破綻をきたしてトルク指令に応じた通電制御を続けることが不可能になるおそれがある。
この不具合は、上記の弱め磁束制御を始めとする電圧不足抑制モードでの制御を行うモータ制御装置に限らずに発生し得るものであり、特に、電源にバッテリを用いた場合には、充放電により過渡的に電源電圧が変動することやバッテリの経年劣化による電圧低下が多く、この不具合を招来しやすい。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、電源電圧の低下が想定外に発生したとしても電圧不足となることを回避しつつ、トルク指令に応じた通電制御を断続可能なモータ制御装置を提供することである。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明のモータ制御装置は、トルク指令に応じた電流を電源からモータに通電することにより当該モータの駆動を制御する通常モードを具備するモータ制御装置であって、速度偏差を演算し、当該速度偏差が小さくなるようにPI制御を行うことで、前記速度偏差の大きさ及び前記速度偏差を累積した積分値に応じて前記トルク指令を生成する速度制御部と、前記モータに印加可能な電源電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部で検出した電源電圧に基づいて低電圧状態であるか否か及び当該低電圧状態から通常状態に回復したか否かを判定する判定部とを更に設け、前記判定部において低電圧状態であると判定される場合には、前記通常モードでの制御よりも電流を制限した低電圧モードでの制御に移行する一方、前記判定部において低電圧状態から通常状態に回復したと判定される場合には、前記通常モードでの制御に復帰するように構成しており、前記速度制御部を、前記通常モードにおいて、前記モータの回転速度を検出し、検出した速度と外部から指示された速度指令より前記速度偏差を演算し、前記低電圧モードにおいて、前記速度偏差を0と演算することで前記積分値の増大を禁止するように構成したことを特徴とする。
低電圧状態は、電源電圧が或る値又は或る範囲よりも低い状態をいい、通常状態は、電源電圧が或る値又は或る範囲よりも高い状態をいい、これら或る値又は或る範囲は、モータ制御装置の特性などによって予め設定されるものである。
このように、電源電圧が低下して低電圧状態と判定される場合には通常モードでの制御よりも電流を制限した低電圧モードでの制御に移行し、モータに流す電流を制限することで電圧回復を図り、電圧不足を回避する一方で、電源電圧が回復して低電圧状態から通常状態に回復したと判定される場合には通常モードでの制御に復帰してモータに流す電流の制限を解除するので、電源電圧の低下が想定外に発生しても電圧不足に至ることを回避しつつ、トルク指令に応じた通電制御を断続することができる。さらに、通常モードでは検出したモータの回転速度と外部から指示された速度指令より速度偏差を演算して、この速度偏差の大きさ及び速度偏差を累積した積分値に応じてトルク指令を求め、低電圧モードでは速度偏差を0としてトルク指令を求めるようにしていることから、低電圧モードから通常モードに復帰する際に発生し得るショックを緩和又は防止して制御の安定性を向上させることもできる。
また、前記通常モードにおいて前記トルク指令を基に電流指令を生成し、前記低電圧モードにおいて前記電流指令の値を0とする電流指令生成部を備えるように構成することがより好適である。
通常モードと低電圧モードとの切り換えが頻発するチャタリングを防止して制御の安定性を向上させるためには、前記判定部は、前記電圧検出部で検出した電源電圧が予め定めた基準電圧値を下回った場合に低電圧状態であると判定するとともに、前記電圧検出部で検出した電源電圧が前記基準電圧値よりも高く設定された復帰電圧値を上回った場合に低電圧状態から通常状態に回復したと判定するように構成されていることが望ましい。
電源電圧の不足を的確に回避するためには、前記通常モードには、電源電圧が不足することを抑制するための電圧不足抑制モードが含まれており、前記判定部は、前記電圧不足抑制モードでの制御が実行されており且つ前記電圧検出部で検出した電源電圧が予め定めた閾値を下回る場合に前記低電圧モードに移行するように構成されていることが好ましい。
モータの駆動と電源電圧の回復とを適度なバランスで両立させるためには、前記判定部は、前記電圧検出部で検出した電源電圧が予め定めた閾値を下回った場合に低電圧状態であると判定するように構成されており、前記低電圧モードにおける電流の制限量は、前記電源電圧と前記閾値との偏差に応じて変更するように構成されていることが効果的である。
本発明は、以上説明したように、電源電圧が低下して低電圧状態である場合には、低電圧制御モードに移行してモータに流す電流を制限することで電源回復を図り、電圧不足を回避する一方で、電源電圧が回復して低電圧状態から通常状態に回復した場合には、通常モードでの制御に復帰してモータに流す電流の制限を解除するので、電源電圧の低下が想定外又は過渡的に発生したとしても電圧不足に至ることを回避しつつ、トルク指令に応じた通電制御を断続することが可能となる。したがって、モータ制御装置の安定性及び信頼性を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成及び機能の概略ブロック図。 制御対象となるIPMモータを模式的に示す断面図。 電流指令に関する説明図。 同モータ制御装置の動作に関する説明図。
以下、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置を、図面を参照して説明する。
図2に示すように、このモータ制御装置の制御対象であるIPM(Interior Permanent Magnet)モータ1は、周知のとおり永久磁石11aを埋め込んだ回転子11と、三相交流を通電することにより回転磁界φ’を発生させる固定子12とからなり、逆突極性を有する磁石内装型モータである。このモータ1に通電する三相の電流を、図2及び図3に示すように、永久磁石11aが発生する磁束の方向であるd軸及びd軸に直交するq軸の二つの成分に変換して表現し、これら成分をそれぞれ表すd軸電流指令Iとq軸電流指令Iとから電流指令を構成している。なお、これら二つの電流指令I、Iの合成ベクトルを電流指令ベクトルAとも呼ぶ。電流指令ベクトルAの向きは、ベクトルAとq軸とのなす角度で表現でき、この角度を以下、電流位相角βや単に位相角βとも呼ぶ。
モータ制御装置は、図1に示すように、図3の電流指令I、Iを用いてモータ1の駆動を制御する装置であり、外部から指示された速度指令ωrefに応じた速度になるようにモータ1の回転速度ωを制御するためのトルク指令Trefを生成する速度制御部6と、速度制御部6で生成されたトルク指令Trefに応じたトルクをモータ1に発生させる電流指令(d軸電流指令I及びq軸電流指令I)を生成する電流指令生成部2と、この電流指令生成部2で生成されたd軸電流指令I及びq軸電流指令Iに基づいて三相電流指令uvwを生成する電流制御部3と、電流制御部3で生成された三相電流指令uvwに応じた電流をバッテリ等の電源4からモータ1に通電する主回路部5とを有する。
速度制御部6は、モータ1の回転速度ωを検出し、検出した回転速度ωと外部から指示された速度指令ωrefとの偏差が小さくなるようにトルク指令Trefを生成する。具体的には、モータの回転速度ωを検出する速度検出部6bと、速度検出部6bで検出した回転速度ωと速度指令ωrefとの偏差(ωref−ω)を演算する演算器6cと、演算器6cで求めた偏差(ωref−ω)が小さくなるようにトルク指令Trefを生成する比例要素と積分要素とからなる速度PI部6aとを有する。速度検出部6bは、モータ1の回転数Nrefを検出するレゾルバ等を用いた回転数検出部6bと、この回転数検出部6bで検出した回転数Nrefに基づきモータ1の回転速度ωを検出する速度検出ブロック6bとを有する。速度PI部6aの比例要素は、偏差(ωref−ω)の大きさに応じてトルク指令Trefを決定するものであり、速度PI部6aの積分要素は、偏差(ωref−ω)を累積した積分値に応じてトルク指令Trefを決定するものであり、各々の要素の和でトルク指令Trefが決定される。なお、この速度制御部6の主たる機能は周知のPI制御を用いたものであるので、本発明の特徴に係る部分を除きその構成及び動作の詳細な説明は省略する。勿論、速度PI部6aは、PI制御に限定されるものではなく、速度PI部6aの代わりに微分要素を更に備えたPID制御部でもよい。
電流指令生成部2は、速度制御部6が生成したトルク指令Trefに応じたトルクを発生させるd軸電流指令I及びq軸電流指令Iを生成する。なお、この電流指令生成部2の主たる機能は周知であるので、本発明の特徴に係る部分を除き、その構成及び動作の詳細な説明は省略する。
電流制御部3は、主回路部5からモータ1に通電される電流を電流検知部3aを介して検出し、検出した電流がd軸電流指令I及びq軸電流指令Iに対応する電流となるようにフィードバック制御を行う。主回路部5は、PWM制御を用いて三相電流指令uvwに応じた三相の電流を電源4からモータ1に通電する。これらの各部3〜5は周知のものと同様であるため、その構成及び動作の詳細な説明は省略する。
すなわち、上記のモータ制御装置は、速度指令ωrefに応じた速度になるようなトルク指令Trefを速度制御部6で生成し、このトルク指令Trefに応じたトルクを発生させる電流指令を電流指令生成部2で生成し、トルク指令Trefに応じた電流を電源4からモータ1に通電することによりモータの駆動を制御する通常モードでの制御を行うように構成されている。
本実施形態では、この通常モードでの制御の一種として、電源電圧Vbatが不足することを抑制するための電圧不足抑制モードでの制御を行い得るように構成している。この電圧不足抑制モードでの制御は、電源4からモータ1への通電に印加する電源電圧Vbatがモータの回転により発生する誘起電圧よりも高くなければ電流を流せない前提の下、電源電圧Vbatよりも誘起電圧が高い状態、すなわち電圧不足になり制御不能に至ることを防止すべく、電源電圧を越えないように誘起電圧を抑制する弱め磁束制御とも呼ばれる制御である。この制御は、図3(a)に示すように、抑制電流たるd軸電流指令Iにより生じる磁束φで永久磁石により生じる磁束φMGの一部を相殺して、相殺後の磁束(φMG−φ)を相殺前の磁束φMGよりも低減させることで誘起電圧を抑える制御である。本実施形態では、弱め磁束制御を利用した一例として、図1に示すように、電源4からモータ1に印加可能な電源電圧Vbatを検知する電圧検出部7を更に設け、電流指令生成部2は、図4に示すように、この電圧検出部7で検出された電源電圧Vbatが予め定めた抑制閾値thを下回った場合に、例えば図3(a)→図3(b)に示すように誘起電圧を抑制するに足りるように電流指令ベクトルAの位相角βを増やしてd軸電流指令をI→I’に増大させ、誘起電圧を抑制して電源電圧の余裕度を増大させ、電源電圧の不足を低減する。一方、電圧検出部7で検出された電源電圧Vbatが予め定めた抑制閾値thを上回った場合に、例えば図3(b)→図3(a)に示すようにd軸電流指令をI’→Iに戻す。勿論、通常モードに含まれる電圧不足抑制モードは、上述した制御に限定されるものではなく、電圧不足を抑制するための制御であれば如何なる制御でもよい。
ところが、上記の電圧不足抑制モードでの制御を実行している場合であっても、モータ1自体の消費電流やモータ1以外の電装品等の負荷の消費電流などの影響によって電源電圧Vbatが想定外に低下すると、電圧不足となり制御破綻をきたしてトルク指令Trefに応じた通電制御を続けることが不可能になるおそれがある。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatに基づいて低電圧状態であるか否か及び当該低電圧状態から通常状態に回復したか否かを判定する判定部8を更に設け、この判定部8で低電圧状態であると判定される場合には、上記の通常モードでの制御よりも電流を制限した低電圧モードでの制御に移行する一方、判定部8で低電圧状態から通常状態に回復したと判定される場合には、通常モードでの制御に復帰するように構成している。
具体的には、図1及び図4に示すように、判定部8は、電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatが予め定めた基準電圧値thを下回った場合に低電圧状態であると判定して低電圧信号Sを出力する。一方で、判定部8は、電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatが上記の基準電圧値thよりも高く設定された復帰電圧値thを上回った場合に低電圧状態から通常状態に回復したと判定して低電圧信号Sの出力を停止する。復帰電圧値thを基準電圧値thよりも高く設定して双方の間に不感帯を設けているのは、電源電圧Vbatが閾値の近傍で変動することにより、低電圧信号Sのオンオフが繰り返して、低電圧モードと通常モードとの切り換えが頻発するチャタリングの発生を防止するためである。
電流指令生成部2は、上記の低電圧信号Sが入力されているとき(判定部8で低電圧状態であると判定された場合)には、トルク指令Trefに拘わらず生成する電流指令(d軸電流指令I及びq軸電流指令I)の値を0、すなわち通常モードでの制御よりも電流を制限した電流指令を生成する低電圧モードの制御を行う。一方で、電流指令生成部2は、上記の低電圧信号Sが入力されていないとき(判定部8で低電圧状態であると判定されていない場合や判定部8で低電圧状態から通常状態に回復したと判定された場合)には、トルク指令Trefに応じた電流指令を生成する通常モードでの制御を行う。
すなわち、上記のように構成したモータ制御装置では、図1及び図4に示すように、電源電圧Vbatが十分にある場合には、電流指令生成部2が電圧不足抑制モードを伴わない通常モードでの制御を行う。電源電圧Vbatが変動して電源電圧Vbatが予め定めた抑制閾値thを下回った場合には、電流指令生成部2が電圧不足抑制モードを伴った通常モードでの制御を行う。この状態で更に電源電圧Vbatが低下して電源電圧Vbatが予め定めた基準電圧値thを下回った場合には、判定部8が低電圧状態であると判定して低電圧信号Sを出力し、この低電圧信号Sが入力されていることを以て電流指令生成部2が電流指令I、Iの値を0として通常モードでの制御よりも電流を制限した低電圧モードでの制御に移行し、モータ1での消費電力を低減させ又は無くして電源電圧Vbatの回復を図り、電圧不足を回避する。低電圧モードでの制御により電源電圧Vbatが回復して電源電圧Vbatが予め定めた復帰電圧値thを上回った場合には、判定部8が低電圧状態から通常状態に回復したと判定して低電圧信号Sの出力を停止し、この低電圧信号Sが入力されていないことを以て電流指令生成部2が電流指令I、Iの値をトルク指令Trefに応じた値に戻して通常モードでの制御に復帰する。
ところが、このように低電圧モードの制御では電流指令I、Iの値を0として電流を制限するので、電源電圧Vbatの電圧回復を図り、電圧不足を回避するうえで有用であるものの、次の問題が発生し得ることが判明した。すなわち、本実施形態は、検出したモータ1の回転速度ωと外部から指示される速度指令ωrefとの偏差(ωref−ω)が小さくなるように偏差(ωref−ω)を累積した積分値を用いてトルク指令Trefを生成する速度制御部6を有するので、低電圧モードの制御では、所望の速度を得るためのトルク指令Trefを生成しているにも拘わらず通常モードの制御よりも電流が制限されており、所望の速度が得られずに上記の偏差(ωref−ω)が大きくなる。そうすると、速度制御部6が現在のトルク指令Trefでは足りないと判定して更に積分値を増大させ、生成されるトルク指令Trefも増大する。この状態で、電源電圧Vbatの回復によって低電圧状態から通常状態に復帰したと判定されて通常モードに移行すると、速度制御部6の積分値が成長しているために過大なトルク指令Trefが生成され、このトルク指令Trefに応じた大電流が通電されるというショックを起こし、制御が不安定になるおそれがある。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、上記の速度制御部6を、判定部8において低電圧状態であると判定される場合には、積分値を増大する方向に演算することを禁止するとともに、判定部8において低電圧状態から通常状態に回復したと判定される場合には、この禁止を解除するように構成している。
具体的には、図1に示すように、速度PI部6aは、上記の低電圧信号Sを入力可能にされ、低電圧信号Sが入力されているときには、積分演算を凍結(積分値を固定)して積分値の増大する方向への演算を禁止する一方で、低電圧信号Sが入力されていないときには、積分演算の凍結を解除するように構成されている。
また、外部から指示される速度指令ωrefと速度検出部6bで検出した回転速度ωとをそれぞれ入力し、低電圧信号Sのオンオフに応じていずれか一方の信号を演算器6cに入力する選択部6dを設けている。低電圧信号Sが選択部6dに入力されているとき(判定部8で低電圧状態であると判定された場合)には、速度検出部6bで検出した回転速度ωが選択部6dによって演算器6cに入力されて演算器6cにおいて速度偏差が0と演算され、その結果が速度PI部6aに入力される。速度PI部6aでは、速度偏差がないので積分演算を行っていたとしても積分値が増大しない。一方、低電圧信号Sが選択部6dに入力されていないとき(判定部8で低電圧状態であると判定されていない場合や判定部8で低電圧状態から通常状態に回復したと判定された場合)には、速度指令ωrefが選択部6dによって演算器6cに入力されて演算器6cにおいて演算される速度指令ωrefと検出した回転速度ωとの偏差(ωref−ω)が速度PI部6aに入力され、通常モードでの制御に復帰する。
以上のように、本実施形態のモータ制御装置は、トルク指令Trefに応じた電流を電源4からモータ1に通電することによりモータ1の駆動を制御する通常モードを具備する装置であって、モータ1に印加可能な電源電圧Vbatを検出する電圧検出部7と、電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatに基づいて低電圧状態であるか否か及び低電圧状態から通常状態に回復したか否かを判定する判定部8とを更に設け、判定部8において低電圧状態であると判定される場合には、通常モードでの制御よりも電流を制限した低電圧モードでの制御に移行する一方、判定部8において低電圧状態から通常状態に回復したと判定される場合には、通常モードでの制御に復帰するように構成されている。
このように、電源電圧Vbatが低下して低電圧状態と判定される場合には通常モードでの制御よりも電流を制限した低電圧モードでの制御に移行し、モータ1に流す電流を制限することで電圧回復を図り、電圧不足を回避する一方で、電源電圧Vbatが回復して低電圧状態から通常状態に回復したと判定される場合には通常モードでの制御に復帰してモータ1に流す電流の制限を解除するので、電源電圧Vbatの低下が想定外に発生しても電圧不足に至ることを回避しつつ、トルク指令に応じた通電制御を断続することが可能となる。
特に、本実施形態では、モータ1の回転速度ωを検出し、検出した速度ωと外部から指示された速度指令ωrefとの偏差(ωref−ω)が小さくなるように偏差(ωref−ω)を累積した積分値を用いてトルク指令Trefを生成する速度制御部6を更に備え、速度制御部6は、判定部8において低電圧状態であると判定される場合には、積分値を増大する方向に演算することを禁止するとともに、判定部8において低電圧状態から通常状態に回復したと判定される場合には、上記の禁止を解除するように構成されているので、低電圧状態で速度制御部6の積分値が増大することを禁止し、低電圧モードから通常モードでの制御に移行したときに成長した積分値による過大なトルク指令に応じた大電流が通電されるというショックの発生を防止することが可能となり、制御の安定性を向上させることが可能となる。勿論、基準電圧値thと復帰電圧値thとを同一の値に設定してヒステリシス性を設けなくてもよい。
さらに、本実施形態では、判定部8は、電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatが予め定めた基準電圧値thを下回った場合に低電圧状態であると判定するとともに、電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatが基準電圧値thよりも高く設定された復帰電圧値thを上回った場合に低電圧状態から通常状態に回復したと判定するように構成されているので、双方の閾値(基準電圧値th、復帰電圧値th)の間に不感帯を設定してヒステリシス性を持たせ、通常モードと低電圧モードとの切り換えが頻発するチャタリングを防止して制御を安定させることが可能となる。
加えて、本実施形態では、通常モードに、電源電圧Vbatが不足することを抑制するための電圧不足抑制モードが含まれており、判定部8は、電圧不足抑制モードでの制御が実行されており且つ電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatが予め定めた閾値たる基準電圧値thを下回る場合に低電圧モードに移行するように構成されているので、電源電圧Vbatが不足することを抑制するための手段を少なくとも二重化して的確に電源電圧Vbatの不足を回避することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、本実施形態では、判定部8が低電圧状態であると判定した場合に、電流指令生成部2が生成する電流指令Id、Iの値を0にしており、低電圧モードにおける電流の制限量が一定であるが、判定部8を、電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatが予め定めた閾値thを下回った場合に低電圧状態であると判定するように構成し、低電圧モードにおける電流の制限量を、電源電圧Vbatと閾値thとの偏差に応じて変更するように構成してもよい。このように構成すると、電源電圧Vbatの低下の程度に合わせて適切に設定した電流の制限量で低電圧モードを実行することが可能となり、モータの駆動と電源電圧Vbatの回復とを適度なバランスで両立させることが可能となる。この構成の具体例としては、判定部を、電圧検出部7で検出した電源電圧Vbatが予め定めた閾値thを下回った場合に低電圧信号Sを出力するとともに、検出した電源電圧Vbatが上記の閾値thよりも低く設定された閾値thを下回った場合に低電圧信号Sを出力するように構成し、電流指令生成部2は、低電圧信号Sが入力されているときは通常モードでの制御時の電流を例えば半分に制限した電流で制御を行う一方、低電圧信号Sが入力されているときは電流指令の値を0とするように構成し、低電圧モードでの電流の制限量を、電源電圧Vbatと閾値thとの偏差に応じて段階的に変更することが挙げられる。勿論、低電圧モードでの電流の制限量を偏差に応じてリニアに変更してもよい。
さらに、本実施形態では、速度制御部6が積分値を増大する方向に演算することを禁止する構成として、積分演算の凍結させることや、入力する偏差を0とする方法を採用しているが、積分値を増大する方向に演算することを禁止できれば、これらの構成に限定されるものではない。その他の構成として例えば積分値をクリアするもの等が挙げられる。
その他、本実施形態では、通常モードに、電圧抑制モードが含まれていたが、この電圧抑制モードは必須でなく、通常モードに電圧抑制モードが含まれない態様を採用することも可能である。また、本実施形態では、電圧抑制モードが実行されている状態から低電圧モードに移行するように構成されているが、電圧抑制モードを実行していない通常モードから低電圧モードに移行するように構成してもよい。逆に低電圧モードから電圧抑制モードを実行していない通常モードに復帰するように構成してもよく、モードの移行は種々の態様を取ることが可能である。
加えて、本実施形態における低電圧モードでの制御は、通常モードでの制御に比べ電流を制限してトルク抜けを起こすので、長時間(例えば秒単位)で実行するよりも、電源電圧Vbatの低下が一瞬(例えばミリ秒単位以下)に起こる場合に実行することが有用である。
本発明のモータ駆動装置は、本発明を適用できるモータであればIPMモータに限られず、また、種々の機器に適用可能であり、特に高トルク出力を必要としバッテリを電源とするフォークリフトや電動乗用車等の電動車両の駆動装置としての用途に適しており、これらに適用すると、高信頼度を得るとともに高効率化による稼働時間の向上やバッテリの簡素化による車両の軽量化などを追求するうえで有用である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…モータ
4…電源
6…速度制御部
7…電圧検出部
8…判定部
ref…トルク指令
bat…電源電圧
ωref…速度指令
ω…回転速度
th…基準電圧値(閾値)
th…復帰電圧値

Claims (5)

  1. トルク指令に応じた電流を電源からモータに通電することにより当該モータの駆動を制御する通常モードを具備するモータ制御装置であって、
    速度偏差を演算し、当該速度偏差が小さくなるようにPI制御を行うことで、前記速度偏差の大きさ及び前記速度偏差を累積した積分値に応じて前記トルク指令を生成する速度制御部と、
    前記モータに印加可能な電源電圧を検出する電圧検出部と、
    前記電圧検出部で検出した電源電圧に基づいて低電圧状態であるか否か及び当該低電圧状態から通常状態に回復したか否かを判定する判定部とを更に設け、
    前記判定部において低電圧状態であると判定される場合には、前記通常モードでの制御よりも電流を制限した低電圧モードでの制御に移行する一方、前記判定部において低電圧状態から通常状態に回復したと判定される場合には、前記通常モードでの制御に復帰するように構成しており、
    前記速度制御部を、前記通常モードにおいて、前記モータの回転速度を検出し、検出した速度と外部から指示された速度指令より前記速度偏差を演算し、前記低電圧モードにおいて、前記速度偏差を0と演算することで前記積分値の増大を禁止するように構成したことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記通常モードにおいて前記トルク指令を基に電流指令を生成し、前記低電圧モードにおいて前記電流指令の値を0とする電流指令生成部を備えている請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記判定部は、前記電圧検出部で検出した電源電圧が予め定めた基準電圧値を下回った場合に低電圧状態であると判定するとともに、前記電圧検出部で検出した電源電圧が前記基準電圧値よりも高く設定された復帰電圧値を上回った場合に低電圧状態から通常状態に回復したと判定するように構成されている請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記通常モードに、電源電圧が不足することを抑制するための電圧不足抑制モードが含まれており、
    前記判定部は、前記電圧不足抑制モードでの制御が実行されており且つ前記電圧検出部で検出した電源電圧が予め定めた閾値を下回る場合に前記低電圧モードに移行するように構成されている請求項1〜3のいずれかに記載のモータ制御装置。
  5. 前記判定部は、前記電圧検出部で検出した電源電圧が予め定めた閾値を下回った場合に低電圧状態であると判定するように構成されており、
    前記低電圧モードにおける電流の制限量は、前記電源電圧と前記閾値との偏差に応じて変更するように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載のモータ制御装置。
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