JP5556315B2 - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents
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Description
同図に示すように、このショートアーク型放電ランプ101は、石英ガラス製からなる球状の発光部102と、発光部102の両端に形成された筒状の封止部103、104と、一端側が発光部102の内部空間に伸び、他端側が筒状の封止部103、104に包囲され気密に封止されたリード棒105、106と、リード棒105、106の一端に互いに対向するように設けられ、球状の発光部102に包囲されるように配置された陽極107及び陰極108と、封止部103、104の端部側に装着された給電用の口金109、110とで構成されている。
図10は、図9に示した陽極113において縦割れが発生する現象を説明するための図である。同図に示すような陽極113を用いたショートアーク型放電ランプの点灯時、モリブデン111の熱膨張係数(4.9×10−6m/℃)は、タングステン112の熱膨張係数(4.3×10−6m/℃ )よりも大きいため、タングステン112によって構成されるキャップ状の高温域Hの膨張量に比べ、モリブデン111によって構成される低温域Lの膨張量が大きくなり、キャップ状のタングステン112に対してその内側のモリブデン111から多大な圧力を受け、その結果、キャップ状のタングステン112が破損する惧れがあった。
第1の手段は、発光管内部に陽極と陰極とが対向配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、前記陽極は、前記陰極と対向する側の頭部をタングステンで構成し、前記頭部に連続する胴部をモリブデンで構成し、前記陽極の長手方向断面での前記頭部と前記胴部との接合面に、該胴部の径方向中心に該頭部に向けて伸びる凸部が形成され、その径方向外方に該胴部に向けて伸びる凸部が形成され、更に、その径方向外方に該頭部に向けて伸びる凸部が形成され、径方向において、該頭部に形成された凸部が、該胴部に形成された凸部間に噛合されていることを特徴とするショートアーク型放電ランプである。
第2の手段は、第1の手段において、前記頭部と前記胴部の接合面は溶着されていることを特徴とするショートアーク型放電ランプである。
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段において、前記環状の突起は、同心円状に並ぶ複数の環状突起であることを特徴とするショートアーク型放電ランプである。
図1は、本実施形態に係るショートアーク型放電ランプの構成を示す図である。
同図に示すように、ショートアーク型放電ランプ1は、発光部2と封止部3、4からなる発光管を備え、石英ガラス製からなる球状の発光部2と、発光部2の両端に形成された筒状の封止部3、4と、一端側が発光部2の内部空間に伸び、他端側が筒状の封止部3、4に包囲され気密に封止されたリード棒5、6と、リード棒5、6の一端に互いに対向するように設けられ、球状の発光部2に包囲されるように配置された陽極7及び陰極8と、封止部3、4の端部側に装着された給電用の口金9、10とで構成されている。発光部2の放電空間Sには、陽極7と陰極8とが陽極中心軸L上に対向して配置されると共に、発光物質が封入されている。発光物質としては、室温で1×104Pa以上のキセノンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスの少なくとも1種以上と、1mg/cm3以上の水銀が封入されている。なお、発光物質として、これらの希ガス及び水銀のうち、いずれか一方のみが封入するようにしても良い。
同図に示すように、この陽極7は、前方側が陰極8に向うに従って外径が徐々に縮小する円錐台形状に形成され、それに続く後方側が円柱状に形成された頭部71を有し、頭部71の後方側には円柱状の胴部72が一体的に形成されている。頭部71は陰極8から放出される電子の衝突を受ける箇所である。電子衝突を受ける頭部71はタングステンによって構成し、電子衝突を受けない胴部72はモリブデンによって構成し、頭部71と胴部72とが相互に噛合した状態が得られるように溶着されることによって形成されている。
このシミュレーションに適用した陽極7の寸法は、先端径φ8、胴部径φ25、先端角120°、入力電流60Aであり、電極先端部に電子衝突による熱とアークからの輻射熱が入り、電極内部に伝導により伝わり、胴部表面から放射と対流により熱が電極外に移動するモデルとした。ここで、径方向中心に位置するモリブデンの凸部722は点A、径方向外方に位置するモリブデンの凸部721、723は点Bに対応する。
このシミュレーションによれば、ショートアーク型放電ランプの点灯時において、陽極7の径方向中心に位置するモリブデンの凸部722の点Aの温度は1870℃という高温になった。一方、陽極7の径方向において最外に位置するモリブデンの凸部721、723の点Bの温度は、凸部722よりも比較的低温となり、1770℃になった。
一般に、物体の熱膨張量は、物体固有の熱膨張係数に依存しており、物体の温度が高温になるほど大きい。先のシミュレーションの結果からも明らかなように、陽極7の径方向中心に位置するモリブデンの凸部722は径方向外方に位置するモリブデンの凸部721、723より高温となるため膨張量が大きく、一方、モリブデンの凸部721、723は凸部722より低温となるため膨張量が比較的小さくなる。
図4(a)に示すように、タングステンによって構成される頭部71には、複数の円環状の突起71a、71b、71cが間隔を隔てて同心円状となるように形成されている。一方、胴部72には、頭部71に接合される端面は平坦面とされており突起は形成されていない。図4(b)に示すように、陽極7は、タングステンによって構成される頭部71とモリブデンによって構成される胴部72とを溶着することによって形成される。なお、図4(a)、(b)とは反対に、頭部71において胴部72に溶着する部位を平坦面とし、胴部72に突起を形成することもできる。
タングステンからなる頭部71は、直径φ25mm、長さ10mmのものを使用し、モリブデンからなる胴部72は、直径φ25mm、長さ40mmのものを使用した。頭部71は、胴部72との接合用の面において、以下の複数の円環状の突起71a、71b、71cを有する。突起71aの頂点位置は、直径φ22、高さ0.5mm、頂角40°、突起71bの頂点位置は、直径φ18、高さ0.5mm、頂角40°、突起71cの頂点位置は直径φ12、高さ0.5mm、頂角40°である。モリブデンからなる胴部72の、タングステンからなる頭部71との接合面は平面である。
突起は、図5(a)のような真円の円環状のものに限らず、図5(b)や図5(c)に示すように、円環の一部に切り込みを有するものであっても良いし、また、図5(d)や図5(e)のように複数の棒状のものでも良い。
図6は、図1に示したショートアーク型放電ランプ1の陽極7の長手方向断面図である。
同図に示すように、タングステンによって構成された頭部71には、モリブデンによって構成された胴部72に向けて凸状に伸びる凸部711、712,713、714、715が形成され、モリブデンによって構成された胴部72には、タングステンによって構成された頭部71に向けて凸状に伸びる凸部721、722、723、724が形成されている。同図に示す陽極7の例では、陽極7の径方向中心においてタングステンの凸部713が形成され、その径方向外方にモリブデンの凸部722、723が形成され、その径方向外方に、タングステンの凸部712、714が形成され、その径方向外方にモリブデンの凸部721、724が形成され、その径方向外方に、タングステンの凸部711、715が形成されている。同図に示す断面では、これらタングステンからなる頭部71の凸部711、712,713、714、715と、モリブデンからなる胴部72の凸部721、722、723、724とが相互に噛合された状態になっている。
一方、モリブデンの凸部722,723の径方向外方には比較的低温のモリブデンの凸部721,724が位置しており、モリブデンの凸部721,724からは、タングステンの凸部712,714のそれぞれに対して、陽極径方向中心に押す力Yが作用する。
その結果として、陽極7の径方向中心に位置するモリブデンの凸部722,723が膨張するときに、陽極径方向外方に向けて作用する熱応力Xが、その径方向外方に位置するモリブデンの凸部721,724から発生した陽極径方向中心に向けて作用する熱応力Yによって相殺される。したがって、モリブデンの凸部721,722間および凸部723,724間にそれぞれ噛合されたタングステンの凸部712,714が、モリブデンの凸部722,723からそれぞれ受ける熱応力が緩和されるため、タングステンの凸部712,714が破損する惧れを低減することができる。
さらに、タングステンの凸部711,712,713,714,715間にそれぞれ噛合されたモリブデンの凸部721,722,723,724についても、上記と同様の理由により、陽極径方向中心に位置するタングステンの凸部712,713,714からそれぞれ受ける熱応力が緩和されるため、モリブデンの凸部721,722,723,724が破損する惧れを低減することができる。
2 発光部
3、4 封止部
5、6 リード棒
7 陽極
71 頭部
711、712、713、714、715 凸部
71a、71b、71c 突起
71a’、71b’、71c’ 突起
72 胴部
721、722、723、724 凸部
8 陰極
9、10 口金
Claims (3)
- 発光管内部に陽極と陰極とが対向配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、
前記陽極は、前記陰極と対向する側の頭部をタングステンで構成し、前記頭部に連続する胴部をモリブデンで構成し、
前記陽極の長手方向断面での前記頭部と前記胴部との接合面に、該胴部の径方向中心に該頭部に向けて伸びる凸部が形成され、その径方向外方に該胴部に向けて伸びる凸部が形成され、更に、その径方向外方に該頭部に向けて伸びる凸部が形成され、
径方向において、該頭部に形成された凸部が、該胴部に形成された凸部間に噛合されていることを特徴とするショートアーク型放電ランプ。 - 前記頭部と前記胴部の接合面は溶着されていること
を特徴とする請求項1記載のショートアーク型放電ランプ。 - 前記環状の突起は、同心円状に並ぶ複数の環状突起であること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載のショートアーク型放電ランプ。
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