JP5551977B2 - 台タイヤ加硫装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1に開示される大型タイヤの製造方法は、加硫装置内に配置された未加硫のタイヤを温度制御しながら加熱することによって、加硫後のタイヤが部分的に過加硫となることを防止する方法である。具体的には、タイヤサイド部の型付けを行う金型の温度をタイヤトレッド部の型付けを行う金型の温度よりも低い温度となるように制御して加硫することにより、加硫後のタイヤ全体の加硫度を均一とし、タイヤの品質を向上させることが可能な方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示されるような方法は、加硫度が均一になるように金型の温度を制御しても、タイヤサイド部に比べ熱源から遠いタイヤクラウン部の金型は、当該金型から外気に対して放出される熱量が加硫装置を設置している場所の外気温度に応じて変化し易いため、タイヤクラウン部の金型の温度がタイヤサイド部の金型の温度よりも低下し、金型内の温度を均一に保つことができなかった。その結果、製品としてのタイヤ内に加硫度のバラツキが生じ、季節によって変動する外気温によりタイヤの品質が変化するという問題が生じていた。
また、上記問題を解決するために、加硫装置におけるタイヤの加硫時間や加硫温度等を精密に制御しようとすると、加硫プロセスの変更や制御が極めて複雑となり、さらに、加硫プロセスの変更による人為的ミスの発生や変更による製品の不良率が増加するという虞があった。
本構成によれば、台タイヤのトレッド貼付面を型付けする面よりも半径方向外側に台タイヤのクラウン部に対応する位置の温度を調節する断熱材が配置されるため、季節によって変動する外気温の影響を受けることなく、金型から外部に放出される熱量を一定にすることが可能となる。また、放熱量が一定になることにより、外気温に応じて加硫装置の加硫プロセスを変更する必要が無くなるため、加硫プロセスの変更による人為的ミスの発生や製品の不良率の増加を防止することができる。
同図を用いて、加硫装置1の構造及び加硫装置1による加硫方法について説明する。同図において、台タイヤ2を加硫成型する加硫装置1は、概略、下加熱手段3、下金型4、下ビードリング5、下側温度調節手段6、上加熱手段7、上金型8、上ビードリング9、上側温度調節手段10、恒温槽11、固定盤12、昇降機構13及びブラダー15を備える。
加熱手段の一例としての下加熱手段3は、円環状の板体であって、図外の熱源供給装置から内部に高温高圧の蒸気や液体等の加熱媒体が供給される流路3Aを有する。流路3Aは、横置き状態で配置される加硫装置1内に台タイヤ2の下側のビード部Tb及び下側のサイド部Tsに対応する位置に形成される環状の通路であって、主として上方に位置する下金型4を介して下側のビード部Tb及び下側のサイド部Tsを加熱する。即ち、本例において、下加熱手段3が主として台タイヤ2の下側のビード部Tb及び下側のサイド部Tsの加硫を担う熱源として機能する。下加熱手段3の上面側には、下金型4が固定される。
下金型4は、例えばアルミ製の断面L字状の円環金属体であって、下方に位置する熱源としての下加熱手段3からの熱を台タイヤ2に伝達可能である。下金型4は、横置き状態に配置された台タイヤ2の下側のサイド部Tsと対向する内周面が型付面4pとして形成されたサイド型付部4Aと、横置き状態に配置された台タイヤ2のクラウン部Tcと対向する内周面が型付面4qとして形成されたクラウン型付部4Bとからなる。
サイド型付部4Aの型付面4pは、台タイヤ2の下側のサイド部Tsを囲繞するように湾曲した面として形成される。クラウン型付部4Bの型付面4qは、型付面4pと連続して台タイヤ2の幅方向に略垂直に立ち上がり、台タイヤ2のクラウン部Tcの幅方向中間位置まで延長する。
即ち、台タイヤ2の下側のサイド部Ts及びクラウン部Tcは、下金型4のサイド型付部4Aの型付面4pとクラウン型付部4Bの型付面4qとによって包囲された状態となる。
下金型4の内部には、下ビード部加熱手段16が形成される。ビード部を加熱する一例としての下ビード部加熱手段16は、台タイヤ2の下側のビード部Tbの下方側に加硫時に高温高圧の加熱媒体が図外の熱源供給装置から内部に供給される円環流路であって、下側のビード部Tbの加硫反応を促進する。
下金型4の上方側には、着脱自在な下ビードリング5が取着される。下ビードリング5は、台タイヤ2の下側のビード部Tbの型付けを行うとともに把持部を介して後述のブラダー15を保持する円環体である。
上加熱手段7は、下加熱手段3に対して上下方向に離間し、下加熱手段3と対をなすように平行に配置され、後述の昇降機構13によって昇降動作が可能である。上加熱手段7の内部には、加硫時に高温高圧の加熱媒体が図外の熱源供給装置から供給される流路7Aが設けられる。流路7Aは、台タイヤ2の上側のビード部Tb及び上側のサイド部Tsに対応する位置に形成される環状の通路であって、主として下方に位置する上金型8を介して上側のビード部Tb及び上側のサイド部Tsを加熱する。即ち、本例において、上加熱手段7が主として台タイヤ2の上側のビード部Tb及び上側のサイド部Tsの加硫を担う熱源として機能する。上加熱手段7の下面側には、上金型8が固定される。
上金型8は、下金型4と対をなすアルミ製の断面L字状の円環金属体であって、上方に位置する熱源としての上加熱手段7からの熱を台タイヤ2に伝達可能である。
上金型8は、下金型4と同様に、横置き状態に配置された台タイヤ2の上側のサイド部Tsと対向する内周面が型付面8pとして形成されたサイド型付部8Aと、横置き状態に配置された台タイヤ2のクラウン部Tcと対向する内周面が型付面8qとして形成されたクラウン型付部8Bとからなる。サイド型付部8Aの型付面8pは、台タイヤ2の上側のサイド部Tsを囲繞するように湾曲した面として形成される。クラウン型付部8Bの型付面8qは、型付面8pと連続して台タイヤ2の幅方向に略垂直に垂下し、台タイヤ2のクラウン部Tcの幅方向中間位置まで延長する。
即ち、台タイヤ2の上側のサイド部Ts及びクラウン部Tcは、上金型8のサイド型付部8Aの型付面8pとクラウン型付部8Bの型付面8qとによって包囲された状態となる。
よって、下金型4と上金型8とが組み付けられた状態において、台タイヤ2の上下のサイド部Ts及びクラウン部Tcは、全周に渡って包囲された状態となる。
上金型8の内部には、上ビード部加熱手段17が形成される。上ビード部加熱手段17は、台タイヤ2の上側のビード部Tbの上方側に加硫時に高温高圧の加熱媒体が図外の熱源供給装置から内部に供給される円環流路であって、上側のビード部Tbの加硫反応を促進する。
上金型8の下方側には、着脱自在な上ビードリング9が取着される。上ビードリング9は、台タイヤ2の上側のビード部Tbの型付けを行うとともに把持部を介して後述のブラダー15を保持する円環体である。
恒温槽11は、内部に冷却媒体としての水を貯留する収容体であって、貯留した水が一定の温度となるように冷却、或いは、加熱しつつ温度を保持し、下側温度調節手段6及び上側温度調節手段10の配管6A;10Aに対して図外の配管入口から水を供給する。配管6A;10A内に供給された水は、出口方向へと流下し、図外の配管出口から恒温槽11へと戻る。即ち、水は、配管6A;配管10Aと恒温槽11との間を循環する。
なお、本実施例において冷却媒体の一例として水を用いて説明したが、本例はこれに限らず、下金型4及び上金型8の熱を吸収可能な冷却流体、冷却ガス、或いは、通電により冷却可能なペルチェ素子などでもよい。
昇降機構13は、加硫装置1の半径方向中心に位置し、固定盤12と連結される。昇降機構13は、固定盤12に対して直交するように取付けられ、内部にピストンを有するシリンダーである。昇降機構13は、固定盤12を貫通し、上加熱手段7まで延長する。昇降機構13の下端には、可動プレート14が連結される。可動プレート14は、固定盤12と同様の方向に延長する延長方向に細長な板体であって、昇降機構13の下端部に取付けられる。可動プレート14の両端部は、円環状の上加熱手段7と連結される。
よって、昇降機構13が作動することにより、固定盤12に連結された上加熱手段7、上金型8及び上側温度調節手段10が一体的に昇降動作し、下方に位置する下加熱手段3、下金型4及び下側温度調節手段6に対して接近、又は、離間する。
ブラダー15には、加硫時に高温高圧の加圧媒体が図外の熱源供給装置から供給され、未加硫の台タイヤ2の内部において、台タイヤ2の内周面に沿って密着しながら膨張する。
即ち、下金型4、上金型8、下ビードリング5及び上ビードリング9によって形成される空間内に配置された台タイヤ2は、加硫時にブラダー15の膨張に伴って下金型4、下ビードリング5、上金型8及び上ビードリング9に押し付けられながら加熱されることにより、加硫される。
まず、同図で示すように、台タイヤ2は、加硫装置1の内部に横置き状態で配置されるタイヤの土台となる部材である。台タイヤ2は、概略、上下方向に隔てて設けられる一対のビードコア2Bを有するビード部Tbと、当該ビード部Tbに跨るようにトロイダル状に延長し、下側のサイド部Ts、上側のサイド部Ts及びクラウン部Tcの台タイヤ2の骨格を形成するカーカス2Cと、クラウン部Tcにおいてカーカス2C上に積層される複数のベルト2Dとによって形成される。
上金型8の降下に伴い、下金型4、下ビードリング5、上金型8、上ビードリング9が台タイヤ2を加硫可能な密閉空間を形成する。そして、下加熱手段3の流路3A、上加熱手段7の流路7A、及びブラダー15内に図外の熱源供給装置から加熱媒体を供給することにより、加硫装置1における加硫成型が開始される。
なお、本実施例においては、台タイヤ2のビード部Tbにビードフィラーが内挿されていないいわゆるフィラーレスタイヤについて説明したが、ビード部Tbに加硫済み又は未加硫のビードフィラーが内挿されていてもよい。また、未加硫のビードフィラーが内挿される場合には、下ビード部加熱手段16及び上ビード部加熱手段17に図外の熱源供給装置から加熱媒体が供給され、ビード部Tbの加硫が促進される。
また、下金型4及び上金型8に伝達された熱が下ビードリング5、上ビードリング9、下金型4及び上金型8における下側及び上側のクラウン型付部4B;8Bへと徐々に伝達した熱は、当該部分を包囲するように設けられた半径方向外側の下側温度調節手段6及び上側温度調節手段10側に伝達し、下側温度調節手段6及び上側温度調節手段10から放熱される。
また、放熱量が一定になることにより、外気温に応じた加硫プロセスの頻繁な変更、或いは、加硫プロセスの精密な制御の必要性がなくなり、恒温槽11に貯留される水の設定温度を変更するだけで、加硫プロセスの変更等による人為的ミスの発生や製品の不良率の増加を防止することができる。
また、下側温度調節手段6及び上側温度調節手段10の冷却媒体の温度を精密に制御することにより、加硫装置1内の加硫温度に温度分布の勾配を設けることができ、加硫装置1内に配置された台タイヤ2の反応速度を常に一定にするように制御することが可能となり、台タイヤ2における未加硫部位、或いは、過加硫部位の発生を無くすことができる。
また、台タイヤ2のビード部Tbに対応する位置に下ビード部加熱手段16及び上ビード部加熱手段17を設けたので、未加硫のビードフィラーを有する台タイヤ2のビード部Tbを極めて短時間で加硫することができる。
本実施形態においては、下側温度調節手段20及び上側温度調節手段21が下金型4及び上金型8の内部に設けられた点で上記実施形態(実施形態1)と異なる。なお、上記実施形態と同一構成については、同一符号を用い、その説明を省略する。
同図において下側温度調節手段20及び上側温度調節手段21は、断面矩形の円環状流路であって、下金型4及び上金型8のクラウン部Tcを型付けする面よりも半径方向外側に配置される。下側温度調節手段20及び上側温度調節手段21の流路には、実施形態1と同様、冷却媒体としての水が供給され、下金型4及び上金型8よりも低い温度に保たれる。
また、放熱量が一定になることにより、外気温に応じた加硫プロセスの頻繁な変更、或いは、加硫プロセスの精密な制御の必要性がなくなり、恒温槽11に貯留される水の設定温度を変更するだけで、加硫プロセスの変更等による人為的ミスの発生や製品の不良率の増加を防止することができる。
また、下側温度調節手段20及び上側温度調節手段21の冷却媒体の温度を精密に制御することにより、加硫装置1内の加硫温度に温度分布の勾配を設けることができ、加硫装置1内に配置された台タイヤ2の反応速度を常に一定にするように制御することが可能となり、台タイヤ2における未加硫部位、或いは、過加硫部位の発生を無くすことができる。
また、台タイヤ2のビード部Tbに対応する位置に下ビード部加熱手段16及び上ビード部加熱手段17を設けたので、未加硫のビードフィラーを有する台タイヤ2のビード部Tbを極めて短時間で加硫することができる。
また、下金型4及び上金型8の内部に下側温度調節手段20及び上側温度調節手段21を設けたことにより、熱源としての下加熱手段3及び上加熱手段7と下側温度調節手段20及び上側温度調節手段21との距離が実施形態1における加硫装置よりも近くなるため、下金型4及び上金型8から効率的に熱を吸熱することができ、台タイヤ2のクラウン部Tcの加硫温度をより精密に制御することが可能となる。
本実施形態においては、下側温度調節手段30及び上側温度調節手段31が断熱材である点で実施形態1,2と異なる。
同図において下側温度調節手段30及び上側温度調節手段31は、下金型4及び上金型8の半径方向外側の面に密着して配置された断熱材である。
断熱材は、グラスウール等であって、実質的に下金型4及び上金型8と外気との接触を遮断し、熱移動を無くすものであればよい。
また、放熱量が一定になることにより、外気温に応じた加硫プロセスの頻繁な変更、或いは、加硫プロセスの精密な制御の必要性がなくなり、恒温槽11に貯留される水の設定温度を変更するだけで、加硫プロセスの変更等による人為的ミスの発生や製品の不良率の増加を防止することができる。
また、台タイヤ2のビード部Tbに対応する位置に下ビード部加熱手段16及び上ビード部加熱手段17を設けたので、未加硫のビードフィラーを有する台タイヤ2のビード部Tbを極めて短時間で加硫することができる。
バフ掛け工程においては、台タイヤ2の外周面が図外のバフ掛け機によって研磨され、表面のゴムが目粗しされた状態とされる。つまり、加硫成型直後の台タイヤ2の外周面に相当するトレッド貼付面は、バフ掛け工程を経ることによって、目粗しされることによりバフ掛け面となる。
例えば、上記実施形態においては、台タイヤ2を成型する金型を下金型4及び上金型8の上下(幅方向)二分割としたが、上下のタイヤサイド部Ts及びタイヤクラウン部Tcをそれぞれ個別に成型する複数の金型により、加硫を行う加硫装置を採用してもよい。さらに、上記実施例においては、タイヤクラウン部Tcを直接的に加熱するいわゆるアウターリングを設けない構成としたが、当該アウターリングが有する内部流路内に冷却媒体を供給し、タイヤクラウン部Tcに伝達された熱をアウターリングによって放熱させる構成としてもよい。
3 下加熱手段、4 下金型、5 下ビードリング、
6 下側温度調節手段、6A 配管、7 上加熱手段、8 上金型、
9 上ビードリング、10 上側温度調節手段、10A 配管、
11 恒温槽、12 固定盤、13 昇降機構、15 ブラダー、
20 下側温度調節手段、21 上側温度調節手段、
30 下側温度調節手段、31 上側温度調節手段。
Claims (1)
- 未加硫の台タイヤを加硫する台タイヤ加硫装置であって、
前記台タイヤのサイド部及びクラウン部を包囲する金型と、
前記金型の幅方向外側に位置し、前記金型を加熱する加熱手段と、
前記金型における前記台タイヤのクラウン部を包囲する位置に設けられる断熱材と、を有し、
当該断熱材が、前記台タイヤのトレッド貼付面を型付けする面よりも半径方向外側に位置し、前記金型と外気との接触を遮断することを特徴とする台タイヤ加硫装置。
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