JP5551049B2 - 防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、防振装置に関し、特には、高周波数域の動ばね定数を低減することができる防振装置に関するものである。
従来、例えば自動車エンジン等の振動源の振動を車体側に伝達しないように支承するエンジンマウント等の防振装置として、筒状の第1取付具と、その軸芯部の上方に配された第2取付具と、両取付具の間に介設されて第1取付具から第2取付具に向かって径小なテーパ壁状をなす防振基体とを備えた略円錐形の防振装置が知られている。かかる円錐型防振装置は、一般に、第1取付具にダイヤフラムを取り付けて防振基体との間に液体封入室を形成し、該液体封入室を仕切り体により第1液室と第2液室に仕切り、両液室をオリフィス流路で連通させることで液体封入式防振装置として構成されている。そして、上記オリフィス流路での液流動による液柱共振作用や防振基体の制振効果により、振動減衰機能と振動絶縁機能を果たすようになっている。
このような従来の防振装置では、高周波数域の振動低減を目的としたものであっても、せいぜい1000Hzまでの振動を対象としており、1000Hz以上の高周波数域の動ばね定数を低減することができるものではなかった。
例えば、下記特許文献1には、テーパ壁状をなす防振基体の内周面において凹部による薄肉部を設け、100〜500Hzの中周波数域の振動入力に対して薄肉部での膜共振により動ばね特性に極小値を与えるようにし、かつ、500〜1000Hzの高周波数域の振動入力に対しては主液室内に設けた傘状の金属部材からなる中高周波デバイスにより動ばね定数に極小値を与えるようにした構成が開示されている。しかしながら、この文献では、防振基体の薄肉部が液室内の液体流動によってばね性をもって弾性変形する際に生じる弾性膜としての共振現象である膜共振に着目しており、防振基体自体の共振については開示されていない。すなわち、1000Hz以上の高周波数域においては、もはや液体流動が実質的に生じず、防振基体自体の共振による動ばね定数の増大が支配的となるが、かかる防振基体自体の共振現象をコントロールすることについては何ら開示されていない。
下記特許文献2には、膜共振する弾性本体部を備えた円錐型マウント部と、膜共振する端部壁及び弾性仕切壁を備えた円筒型ブッシュ部とを一体化し、両者の膜共振による共振特性を連成させることで動ばね定数を低減することが開示されている。この文献でも、膜共振による動ばね定数の低減を図るものであって、周波数としても200〜1000Hzの周波数域を対象としており、より高い周波数域における防振基体自体の共振現象をコントロールすることについては開示されていない。
下記特許文献3には、防振基体の主液室側に突起を設けることで、流路抵抗をコントロールし、高周波数域での減衰効率を向上することが開示されている。しかしながら、この文献でも、高周波数域の動ばね定数に最も影響する防振基体の共振モードをコントロールする形状にはなっておらず、1000Hz以上の高周波数域における動ばね定数の低減効果は得られない。
特開平10−339348号公報 特開2002−310222号公報 特開2004−100734号公報
近年の車両の高静寂化に伴い、また特に最近開発が進んでいるモータ駆動車においては、1000Hz以上の高周波数域での動ばね定数を低減することが求められる場合があるが、上記のように従来の防振装置では、かかる要求に対して十分に応えることが困難である。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、高周波数域での動ばね定数を低減することができる防振装置を提供することを目的とする。
本発明に係る防振装置は、振動源側と支持側のいずれか一方に取り付けられる筒状の第1取付具と、前記第1取付具の軸芯部に配されて振動源側と支持側のいずれか他方に取り付けられる第2取付具と、前記第1取付具と第2取付具との間に介設されたゴム状弾性材からなる防振基体とを備え、前記防振基体が前記第1取付具から第2取付具に向かって径小となるテーパ状壁部に形成された防振装置において、前記防振基体のテーパ状壁部の内周面と外周面の少なくとも一方に該テーパ状壁部の傾斜方向に延びる凸条と凹溝が周方向に交互に設けられることで、該テーパ状壁部の周方向において前記傾斜方向に延びる厚肉部と薄肉部が交互に設けられたものである。そして、請求項1に係る発明は、凸条と凹溝が周方向に交互に10個ずつ以上設けられたものである。請求項2に係る発明は、前記テーパ状壁部の内周面と外周面の少なくとも一方が前記凸条と凹溝により断面波形の起伏面状に形成されたものである。請求項3に係る発明は、前記厚肉部による共振特性と前記薄肉部による共振特性を、1000Hz以上の周波数域において、一方の共振特性での動ばね定数のピークと他方の共振特性での動ばね定数のボトムとが互いに干渉するように連成させたものである。
本発明の好ましい態様において前記凸条が前記テーパ状壁部の内周面と外周面とで周方向に一致させて設けられるとともに、前記凹溝が前記テーパ状壁部の内周面と外周面とで周方向に一致させて設けられてもよい。また他の好ましい態様において、防振装置は、前記第1取付具に取付けられて前記防振基体との間に液体封入室を形成するゴム状弾性膜からなるダイヤフラムと、前記液体封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室に仕切る仕切り体と、前記第1液室と第2液室を連通させるオリフィス流路とを備えてもよい。
本発明に係る防振装置であると、上記のように防振基体のテーパ状壁部の周方向において傾斜方向に延びる厚肉部と薄肉部を交互に設けたことにより、防振基体自体の共振が支配的となる高周波数域において動ばね定数を低減することができる。また、傾斜方向に延びる厚肉部と薄肉部を周上交互に設けることにより、方向性を持たせずに、上記の動ばね定数の低減効果が得られる。
第1実施形態に係る防振装置の斜視図である。 同防振装置の平面図である。 同防振装置の縦断面図(図2のIII−III線断面)である。 同防振装置の水平断面図(図3のIV−IV線断面)である。 第2実施形態に係る防振装置の斜視図である。 同防振装置の平面図である。 同防振装置の縦断面図(図6のVII−VII線断面)である。 同防振装置の側面図である。 同防振装置の水平断面図(図8のIX−IX線断面)である。 第3実施形態に係る防振装置の斜視図である。 同防振装置の平面図である。 同防振装置の縦断面図(図11のXII−XII線断面)である。 同防振装置の側面図である。 同防振装置の水平断面図(図13のXIV−XIV線断面)である。 防振装置の動ばね特性を示すグラフである。 各周波数域における防振基体の共振モードを示す説明図である。 防振基体の肉厚による動ばね特性の変化を示すグラフである。 実施形態に係る動ばね特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る防振装置を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜4は、第1実施形態に係る防振装置10を示したものである。この防振装置10は、自動車のエンジンやモータ等の振動源と車体フレーム等の支持側との間に介設されて、該振動源を防振的に支承するマウントであり、支持側に取り付けられる下側の筒状の第1取付具12と、振動源側に取り付けられる上側の第2取付具14と、これら取付具12,14の間に介設されたゴム状弾性材からなる防振基体16とを備えてなる。この例では、防振装置10は、更に、第1取付具12に取り付けられたゴム状弾性膜からなるダイヤフラム18と、第1取付具12の内側において防振基体10とダイヤフラム18との間に形成された液体封入室20と、該液体封入室20を上側の第1液室20Aと下側の第2液室20Bに仕切る仕切り体22と、第1液室20Aと第2液室20Bとを連通させるオリフィス流路24とを備え、従って、防振装置10は、いわゆる円錐型液封入式防振装置である。
第1取付具12は、防振基体16が内周面に加硫接着される円筒状の本体金具である。この例では、第1取付具12は、上部側の大径筒部12Aと、テーパ筒部12Bを介して径が小さく設定された下部側の小径筒部12Cとを備えてなる。第1取付具12は、不図示のブラケット等を介して車体側に取り付けられるように構成されている。
第2取付具14は、第1取付具12の軸芯部上方に配されたボス金具であり、すなわち、第1取付具12の軸芯O上において、第2取付具14から軸方向Xに所定距離をおいて上方に配されている。第2取付具14は、第1取付具12の軸方向X(即ち、上下方向)が防振装置10の主荷重方向(即ち、主たる荷重入力方向)となるように、防振基体16を介して第1取付具12に連結されている。第2取付具14には径方向外方に向けてフランジ状に突出するストッパ部26が形成されている。また、上面には雌ねじ部28が設けられており、ここに不図示のボルトが螺合することで、振動源の部材に取り付けられるよう構成されている。
防振基体16は、第1取付具12から第2取付具14に向かって漸次径小となるように傾斜したテーパ壁状(円錐台形状ないし略傘状ということもできる。)をなしており、すなわち、第2取付具14に向かって径小となるテーパ状壁部30を全周にわたって備えて、該テーパ状壁部30を介して第1取付具12と第2取付具14の間を連結している。防振基体16は、その下端部が第1取付具12の上端開口部(即ち、大径筒部12A)に、上端部が第2取付具14にそれぞれ加硫接着されている。該上端部では、第2取付具14の下部が埋設されるように第2取付具14の下部全体を覆っており、また、上記ストッパ部26を被覆するストッパゴム部32が連なっている。また、防振基体16の下端部には、第1取付具12の内周面を覆うゴム膜状のシール壁部34が連なっている。
ダイヤフラム18は、防振基体16に対して軸方向Xに対向配置されて、防振基体16の内面との間に液体封入室20を形成する可撓性ゴム膜であり、外周部に環状の補強金具19を備え、該補強金具19を介して第1取付具12の下端のかしめ部35にかしめ固定されている。液体封入室20には、水やエチレングリコール、シリコーンオイル等の液体が封入されている。液体封入室20は、仕切り体22により、防振基体16が室壁の一部をなす第1液室(主液室)20Aと、ダイヤフラム18が室壁の一部をなす第2液室(副液室)20Bとに仕切られており、これら第1液室20Aと第2液室20Bは、絞り流路としてのオリフィス流路24を介して互いに連通されている。
仕切り体22は、図3に示されるように、第1取付具12の小径筒部12Cの内側に設けられた円環状のオリフィス形成部材36と、オリフィス形成部材36の内周面に外周部が加硫接着されて該内周面の間を塞ぐゴム弾性体からなる弾性壁38と、弾性壁38をその軸方向Xで挟み込む上下一対の仕切り板40,42とからなる。
オリフィス形成部材36は、第1取付け具12の内周面との間に、周方向Cに延びるオリフィス流路24を形成する剛性部材であり、上記シール壁部34に嵌着されている。一対の仕切り板40,42は、平面視円形状をなす弾性壁38の径方向中央部を貫通する円柱状の連結部44を介して互いに連結されている。そして、そのうちの上側の仕切り板40が第1液室20Aの室壁の一部を構成しており、下側の仕切り板42が第2液室20Bの室壁の一部を構成しており、これら一対の仕切り板40,42の軸方向Xにおける変位量が弾性壁38によって規制されるよう構成されている。これにより、低周波数域での大振幅振動に対しては、一対の仕切り板40,42の変位量が弾性壁38によって規制されることにより、オリフィス流路24による液体流動効果によって高減衰性能を確保することができる。また、これよりも周波数の高い領域(但し、1000Hzよりも低周波数域)での微振幅振動に対しては、一対の仕切り板40,42が往復動することにより、動ばね定数を低減することができる。
このような構成を持つものにおいて、本実施形態では、防振基体16のテーパ状壁部30の内周面30Aに、ともに傾斜方向Pに延びる複数の凸条46と凹溝48が周方向Cに交互に設けられている。
凸条46と凹溝48は、より詳細には、円錐面状をなすテーパ状壁部30の内周面30Aにおいて、その傾斜方向(即ち、母線方向)Pに直線状に延びており、図4に示す軸方向視で放射状に形成されている。凸条46と凹溝48は、防振基体16のテーパ状壁部30の傾斜方向Pにおいて共振に関わる範囲(即ち、共振モードが現れる範囲)Lの全体にわたって設けられている。凸条46と凹溝48は周方向Cにおいて滑らかに連続して形成されており、これにより、テーパ状壁部30の内周面30Aは、図4に示すように断面波形の起伏面状に形成されている。
より詳細には、この例では、図3に示すように、第1取付具12に近づく下端側ほど凸条46が高く、従って凹溝48が深くなるように形成されている。また、凸条46と凹溝48は、それぞれ周方向Cに20個ずつ設けられている。凸条46と凹溝48の数は、特に限定するものではないが、軸直角方向においてばね特性に方向性を持たせないために、10個ずつ以上設けることが好ましく、より好ましくは10〜25個ずつ設けることである。
なお、凸条46と凹溝48は、傾斜方向(縦方向)Pでの長さが周方向(横方向)Cでの長さよりも長い筋状のものであればその形状は特に限定されない。また、本発明において、凸条46と凹溝48を交互に設ける態様としては、結果として凸条46と凹溝48が交互に設けられていれば、凸条46のみ又は凹溝48のみを内周面30Aや外周面30Bに所定間隔で設けることにより形成してもよい。すなわち、例えば凸条46のみを周方向Cに所定間隔で設けた場合でも、凸条46間の間隔が狭ければその間には傾斜方向Pに延びる凹溝48が形成されることになるので、結果として凸条46と凹溝48が周方向Cに交互に形成される。凹溝48のみを設ける場合についても同様である。
このように凸条46と凹溝48を設けることにより、テーパ状壁部30は、周方向Cにおいて、ともに傾斜方向Pに沿って筋状に延びる厚肉部50と薄肉部52が周方向Cに交互に設けられている。図4に示すように、厚肉部50はh1の肉厚を持ち、薄肉部52はh2の肉厚を持ち、h1がh2よりも大に設定されている(h1>h2)。
このような厚肉部50と薄肉部52を周方向Cに交互に設けることにより、防振基体16自体の共振が支配的となる高周波数域において動ばね定数を低減することができる。その理由について詳述する。
上記テーパ状壁部30からなる防振基体16を持つ防振装置(但し、上記凸条46と凹溝48による厚肉部50と薄肉部52は設けていないもの)について、約2000Hzまでの高周波数域における動ばね特性を測定したところ、図15に示すような動ばね特性が得られた。図示するように、2000Hzまでで、A領域、B領域、C領域およびD領域の4つのピークが認められた。このうち、B領域、C領域およびD領域において、動ばね定数が跳ね上がりピーク(極大値)を持つ理由は、図16に示すような、防振基体自体の共振が発生することによる反力の増加であることが分かった。すなわち、約650〜850HzのB領域でのピークは、図16(a)に示すように防振基体の共振の1次モードによるものであり、約1000〜1250HzのC領域でのピークは、図16(b)に示すように防振基体の共振の2次モードによるものであり、約1500〜1850HzのD領域でのピークは、図16(c)に示すように防振基体の共振の3次モードによるものである。このうち、特に1000Hz以上の高周波数域においては、もはや液体封入室内で液体流動が実質的に生じず、防振基体自体の共振による動ばね定数の増大が支配的となるので、かかる防振基体の共振現象をコントロールすることが望まれる。
そこで、防振基体の共振現象をコントロールするために種々検討したところ、防振基体(テーパ状壁部)の肉厚を変化させることにより、防振基体の共振周波数が変化し、上記B〜Dの各領域での動ばね定数のピーク周波数(ピークとなるときの周波数)が変化することを確認した。
すなわち、動ばね定数のピーク周波数fは、静ばね定数kと防振基体の質量mを用いて、f=(1/2π)×√(k/m)で表される。ここで、防振基体の肉厚が増大すると、その質量mが増加するため、ピーク周波数fは小さくなる。なお、本来、肉厚が増大すると、静ばね定数kも増加するが、防振装置ではゴム硬度等を調整して静ばね定数kを一定とするため、ピーク周波数fは質量mのみに左右される。また、共振レベルの大きさは、静ばね定数を一定とする条件下では、防振基体の肉厚増加によりゴムボリュームが増加すると、ゴム硬度を下げる必要があるため、共振レベル(エネルギー)が小さくなる。これにより、図17に示すように、実線で示す曲線(1)から、防振基体の肉厚を増やすと、点線で示す曲線(2)のように動ばね定数のピーク周波数は小さくなり、またピークの大きさも低下する。
このように防振基体自体の共振による動ばね定数のピーク周波数は、防振基体の肉厚の厚いほど低く、防振基体の肉厚が薄いほど高くすることができる。そのため、上記実施形態のように、防振基体16のテーパ状壁部30に厚肉部50と薄肉部52を設けることにより、防振基体16の共振モードの周波数を分散させることができ、厚肉部50と薄肉部52とによる2つの共振特性を潜在化させることができる。
図18はこの関係を示したものであり、実施形態の曲線は上記厚肉部50と薄肉部52を設けた実施形態に係る防振装置の動ばね特性を示したものである。比較例1は、厚肉部50と薄肉部52を設けずに、全周にわたってその中間の肉厚一定でテーパ状壁部を形成した例であり、比較例2は、全周にわたって上記厚肉部50の肉厚h1でテーパ状壁部を形成した例であり、比較例3は、全周にわたって上記薄肉部52の肉厚h2でテーパ状壁部を形成した例である。
図18に示されたように、比較例2では、比較例1に対して、肉厚を増加させたことにより、ゴム質量mが増加し、また静ばね定数kが一定(ゴム硬度は低下)であるため、ピーク周波数が低下し、かつ、ゴム硬度の低下により共振レベル(動ばね定数のピーク)も低下した。比較例3では、比較例1に対して、肉厚を減少させたことにより、ゴム質量mが減少し、また静ばね定数が一定(ゴム硬度は増加)であるため、ピーク周波数が増加し、かつ、ゴム硬度の増加により共振レベルも増加した。これに対し、本実施形態では、厚肉部50と薄肉部52を周上に交互に配置したことにより、上記C及びDの各領域において、動ばね定数のピークが2つに分かれて、共振レベルが小さくなった。その理由は、実施形態のものでは、厚肉部50のゴムボリュームに関して言えば、比較例2のおよそ半分程度であり、薄肉部52についてもゴムボリュームは比較例3の半分程度である。このようにゴムボリュームが半減することで、共振のエネルギーも半減するので、厚肉部50および薄肉部52の持つ共振レベルが、比較例2および3に対して小さくなることによるものと考えられる。
このように本実施形態では、防振基体16の共振によるピーク周波数を、互いにピーク周波数が異なる厚肉部50による共振特性と薄肉部52による共振特性とに分けたことにより、動ばね定数のピークの大きさを小さくすることができる。そのため、防振基体16の共振が動ばね定数増加の要因として支配的となる1000Hz以上の高周波数域において、防振基体16の共振現象をコントロールすることにより、動ばね定数を効果的に低減することができる。
なお、実施形態の防振装置10では、比較例2および3のように厚肉部50と薄肉部52との間でゴム硬度を変更することは実質上困難であるが、上記のように厚肉部50による共振特性と薄肉部52による共振特性が互いに異なるピーク周波数を持つようにすれば、ゴムボリュームが半減することにより共振レベルを低減することができるので、上記高周波数域における動ばね定数の低減効果を得ることができる。厚肉部50と薄肉部52の共振特性について互いに異なるピーク周波数を持たせること自体は、厚肉部50と薄肉部52の肉厚h1,h2の寸法差や、周方向Cでの間隔、傾斜方向Pでの長さなどを適宜に設定することにより容易に実現可能である。
本実施形態では、また、厚肉部50による共振特性と薄肉部52による共振特性とを、1000Hz以上の周波数域において、いずれか一方の共振特性での動ばね定数のピーク(極大値)といずれか他方の共振特性での動ばね定数のボトム(極小値)とが互いに干渉するように連成させている。より詳細には、図18に示すように、ピーク周波数のより低い厚肉部50による共振特性での動ばね定数のピークと、ピーク周波数がより高い薄肉部52による共振特性での動ばね定数のボトムとが互いに干渉し合うように、厚肉部50による共振特性と薄肉部52による共振特性とが連成している。これにより、互いの共振モードが逆位相になって相殺することにより、高周波数側に位置する薄肉部52による共振特性での動ばね定数のピークが下がるので、より大きな動ばね定数の低減効果が得られる。なお、上記のように2つの共振特性が連成しているというためには、CおよびDの各領域において、動ばね定数の2つのピークがそれぞれ独立したピークとして現れるのではなく、図18に示すように2つのピークが連なっていればよい。そのためには、厚肉部50と薄肉部52の肉厚h1,h2の寸法差や、周方向Cでの間隔、軸方向Xでの長さなどを適宜に設定すればよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、防振基体16自体の共振が支配的となる1000〜2000Hzの高周波数域において動ばね定数を効果的に低減することができる。また、本実施形態では、そのための構成が厚肉部50と薄肉部52を周上交互に設けるという構成であるため、軸直角方向でのばね定数に対しては方向性を持たせずに、動ばね定数の低減効果が得られる。また、防振基体16の加硫成形時における金型構造や型割りについて大幅な変更を加えることなく、製造することができるので、製造性を損なうことなく、低動ばね化による高性能化を実現することができる。よって、低コストで高品質な防振装置10が得られる。
(第2実施形態)
図5〜9は、第2実施形態に係る防振装置10Aを示したものである。第2実施形態は、凸条46と凹溝48をテーパ状壁部30の外周面に設けた点で第1実施形態とは異なる。
すなわち、この例では、円錐面状をなすテーパ状壁部30の外周面30Bに、ともに傾斜方向(即ち、母線方向)Pに延びる複数の凸条46と凹溝48が周方向Cに交互に設けられている。凸条46と凹溝48は、テーパ状壁部30の外周面30Bにおいて、その傾斜方向Pに沿って直線状に延びており、テーパ状壁部30の傾斜方向Pにおいて共振モードが現れる範囲Lの全体にわたって設けられている。凸条46と凹溝48は周方向Cにおいて滑らかに連続して形成されており、これにより、テーパ状壁部30の外周面30Bは、図9に示すように断面波形の起伏面状に形成されている。
より詳細には、図7に示すように、第1取付具12に近づく下端側ほど凸条46が高く、従って凹溝48が深くなるように形成されている。また、凸条46と凹溝48は、それぞれ周方向Cに20個ずつ設けられている。
このように凸条46と凹溝48を設けることにより、テーパ状壁部30は、周方向Cにおいて、ともに傾斜方向Pに沿って筋状に延びる肉厚h1の厚肉部50と肉厚h2の薄肉部52とが周方向Cに交互に設けられている(h1>h2)。このような厚肉部50と薄肉部52を周方向Cに交互に設けることにより、第1実施形態と同様、防振基体16自体の共振が支配的となる高周波数域において動ばね定数を低減することができる。なお、第2実施形態では、テーパ状壁部30の外周面30Bに凸条46と凹溝48を設けており、内周面30Aは従来と同様にフラットな形態であるため、低周波数域における液体流動に対する影響を排除することができる。その他の構成および作用効果については第1実施形態と同様であり、同じ構成要素には同じ符号を付して説明は省略する。
(第3実施形態)
図10〜14は、第3実施形態に係る防振装置10Bを示したものである。第3実施形態は、凸条46と凹溝48をテーパ状壁部30の内周面30Aと外周面30Bの双方に設けた点で第1実施形態とは異なる。
すなわち、この例では、第1実施形態の構成に加えて、更に、第2実施形態と同様に、テーパ状壁部30の外周面30Bにも凸条46と凹溝48とを周方向Cに交互に設けている。図12および14に示すように、凸条46は、テーパ状壁部30の内周面30Aと外周面30Bとで周方向Cにおいて一致した位置に設けられるとともに、凹溝48は、テーパ状壁部30の内周面30Aと外周面30Bとで周方向Cにおいて一致した位置に設けられている。このようにテーパ状壁部30の内周面30Aと外周面30Bとで、傾斜方向Pに延びる凸条46および凹溝48をそれぞれ重なり合う位置に設けることにより、内外の凸条46によって形成される厚肉部50の肉厚h1と、内外の凹溝48によって形成される薄肉部52の肉厚h2との肉厚差を大きくすることが容易になり、防振基体16の共振現象をより容易にコントロールすることができる。その他の構成および作用効果については第1実施形態と同様であり、同じ構成要素には同じ符号を付して説明は省略する。
(その他の実施形態)
上記実施形態において、テーパ状壁部30に設けた凸条46と凹溝48の数や形状等は好ましい一例を示したものにすぎず、種々の変更が可能である。また、上記実施形態では、第1取付具12が支持側、第2取付具14が振動源側に取り付けられるものについて説明したが、これとは逆に、第1取付具12が振動源側、第2取付具14が支持側に取り付けられるものであってもよい。また、上記実施形態では、液体封入式防振装置について説明したが、本発明は、防振基体自体の共振による動ばね定数の低減に効果があるため、液室を持たない防振装置についても適用することができる。その他、一々列挙しないが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
10,10A,10B…防振装置 12…第1取付具 14…第2取付具
16…防振基体 20…液体封入室 20A…第1液室
20B…第2液室 22…仕切り体 24…オリフィス流路
30…テーパ状壁部 30A…内周面 30B…外周面
46…凸条 48…凹溝 50…厚肉部
52…薄肉部 C…周方向 O…軸芯
P…傾斜方向 h1…厚肉部の肉厚 h2…薄肉部の肉厚

Claims (5)

  1. 振動源側と支持側のいずれか一方に取り付けられる筒状の第1取付具と、前記第1取付具の軸芯部に配されて振動源側と支持側のいずれか他方に取り付けられる第2取付具と、前記第1取付具と第2取付具との間に介設されたゴム状弾性材からなる防振基体とを備え、前記防振基体が前記第1取付具から第2取付具に向かって径小となるテーパ状壁部に形成された防振装置において、
    前記防振基体のテーパ状壁部の内周面と外周面の少なくとも一方に該テーパ状壁部の傾斜方向に延びる凸条と凹溝が周方向に交互に10個ずつ以上設けられることで、該テーパ状壁部の周方向において前記傾斜方向に延びる厚肉部と薄肉部が交互に設けられたことを特徴とする防振装置。
  2. 振動源側と支持側のいずれか一方に取り付けられる筒状の第1取付具と、前記第1取付具の軸芯部に配されて振動源側と支持側のいずれか他方に取り付けられる第2取付具と、前記第1取付具と第2取付具との間に介設されたゴム状弾性材からなる防振基体とを備え、前記防振基体が前記第1取付具から第2取付具に向かって径小となるテーパ状壁部に形成された防振装置において、
    前記防振基体のテーパ状壁部の内周面と外周面の少なくとも一方に該テーパ状壁部の傾斜方向に延びる凸条と凹溝が周方向に交互に設けられることで、該テーパ状壁部の周方向において前記傾斜方向に延びる厚肉部と薄肉部が交互に設けられ、前記テーパ状壁部の内周面と外周面の少なくとも一方が前記凸条と凹溝により断面波形の起伏面状に形成されたことを特徴とする防振装置。
  3. 振動源側と支持側のいずれか一方に取り付けられる筒状の第1取付具と、前記第1取付具の軸芯部に配されて振動源側と支持側のいずれか他方に取り付けられる第2取付具と、前記第1取付具と第2取付具との間に介設されたゴム状弾性材からなる防振基体とを備え、前記防振基体が前記第1取付具から第2取付具に向かって径小となるテーパ状壁部に形成された防振装置において、
    前記防振基体のテーパ状壁部の内周面と外周面の少なくとも一方に該テーパ状壁部の傾斜方向に延びる凸条と凹溝が周方向に交互に設けられることで、該テーパ状壁部の周方向において前記傾斜方向に延びる厚肉部と薄肉部が交互に設けられ、前記厚肉部による共振特性と前記薄肉部による共振特性を、1000Hz以上の周波数域において、一方の共振特性での動ばね定数のピークと他方の共振特性での動ばね定数のボトムとが互いに干渉するように連成させたことを特徴とする防振装置。
  4. 前記凸条が前記テーパ状壁部の内周面と外周面とで周方向に一致させて設けられるとともに、前記凹溝が前記テーパ状壁部の内周面と外周面とで周方向に一致させて設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防振装置。
  5. 前記第1取付具に取付けられて前記防振基体との間に液体封入室を形成するゴム状弾性膜からなるダイヤフラムと、前記液体封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室に仕切る仕切り体と、前記第1液室と第2液室を連通させるオリフィス流路とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防振装置。
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