JP5550680B2 - エレベータシステム及びエレベータ制御方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、エレベータシステム及びエレベータ制御方法に関する。
従来、エレベータは、昇降路内を乗りかごが移動することにより、乗りかごを任意の階床に移動させる。このようなエレベータは、建物に複数設けられ、一群のエレベータシステムを構成する場合がある。
特開2011−162332号公報
ところで、従来技術においては、例えば、停電時の運転の点でさらなる改善の余地がある。
実施形態のエレベータシステムは、複数のエレベータと、制御装置とを備える。複数のエレベータは、動力用電源から電力が供給されると共にそれぞれにバッテリが設けられる。制御装置は、前記動力用電源の停電時に乗りかごが走行中であった場合に、当該走行中であった乗りかごに対応する前記バッテリの電力を用いて、当該乗りかごを着床させる停電時着床運転制御を実行する。前記制御装置は、前記停電時着床運転制御を完了した後、予め設定された特定のエレベータ以外のエレベータの運転を休止し、各前記バッテリの余剰電力を当該特定のエレベータに集約して運転を継続する停電時バックアップ制御を実行する。
図1は、実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示すブロック図である。 図2は、実施形態に係るエレベータシステムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。 図3は、実施形態に係るエレベータシステムの電力供給ラインの切り替えについて説明するブロック図である。 図4は、実施形態に係るエレベータシステムの特定エレベータにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
[実施形態]
図1は、実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示すブロック図である。図2は、実施形態に係るエレベータシステムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。図3は、実施形態に係るエレベータシステムの電力供給ラインの切り替えについて説明するブロック図である。図4は、実施形態に係るエレベータシステムの特定エレベータにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
本実施形態のエレベータシステム1は、図1に示すように、群管理制御装置2を備え、エレベータ群3を群管理し効率的な運行サービスを行うものである。このエレベータシステム1は、典型的には、エレベータ電源バックアップシステムである。ここでは、エレベータ群3は、1号機から3号機までの複数のエレベータ4からなる。エレベータ群3は、複数の乗りかご5がそれぞれ昇降路を昇降することで運行サービスを行う。
なお、以下の説明では、エレベータシステム1は、エレベータ群3として、1号機から3号機の3つのエレベータ4を備えるものとして説明するがこれに限らない。エレベータシステム1は、エレベータ群3として、エレベータ4を2つ備えるものであってもよいし、4つ以上を備えるものであってもよい。また、以下の説明では、1号機から3号機の3つのエレベータ4は、特に断りのない限り、3つを区別せずに単にエレベータ4として説明する。また、本実施形態のエレベータシステム1は、制御装置50を含んで構成され、この制御装置50は、上記群管理制御装置2と、後述の複数の単体制御装置10とを含んで構成される。
各エレベータ4は、それぞれ、乗りかご5、カウンタウェイト6、メインロープ7、巻上機8、乗り場9、単体制御装置10等を含んで構成される。各エレベータ4は、それぞれ、乗りかご5とカウンタウェイト6とをメインロープ7で連結したいわゆるつるべ式のエレベータである。
乗りかご5は、建物に設けられた昇降路を昇降可能である。乗りかご5は、かご操作盤11や荷重検出器12等を含んで構成される。かご操作盤11は、乗りかご5の内部に設けられる。かご操作盤11は、利用者による操作入力に応じていわゆるかご呼び登録等を行う。荷重検出器12は、乗りかご5内の積載荷重を検出する。
カウンタウェイト6は、乗りかご5に対するつり合おもりである。
メインロープ7は、昇降路の上部に設けられた巻上機8のメインシーブ8aやそらせシーブ(不図示)等に掛けられる。メインロープ7は、一端に乗りかご5が接続され、他端にカウンタウェイト6が接続される。
巻上機8は、例えば、動力を発生させる電動機(モータ)8bを有する。電動機8bは、動力用電源13から、インバータ14等を介して電力が供給される。巻上機8は、電動機8bが駆動することで、この電動機8bに連結されたメインシーブ8aが回転駆動する。そして、巻上機8は、メインシーブ8aとメインロープ7との間に生じる摩擦力を利用してメインロープ7を電動で巻き上げる。
乗り場9は、乗りかご5が着床可能な各エレベータ停止階床に設けられる。乗り場9は、乗り場操作盤15等を含んで構成される。乗り場操作盤15は、利用者による操作入力に応じていわゆる乗り場呼び登録等を行う。
単体制御装置10は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM、バックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。ROM(Read Only Memory)は、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM(Random Access Memory)は、CPUの演算結果を一時記憶する。バックアップRAMは、予め用意されたマップデータ、エレベータ4の仕様等の情報を記憶する。単体制御装置10は、種々のセンサ、検出器、かご操作盤11、荷重検出器12、巻上機8のインバータ14等のエレベータ4の各部と電気的に接続される。また、単体制御装置10は、後述の群管理制御装置2等を介して乗り場操作盤15等と電気的に接続される。単体制御装置10は、エレベータ4単体の各部の動作を統括的に制御する。単体制御装置10は、例えば、かご操作盤11、乗り場操作盤15等への利用者からの操作入力に応じて、巻上機8の駆動を制御し、乗りかご5を昇降路内で昇降させる。これにより、各エレベータ4は、乗りかご5を呼び登録に応じた指定された目的階に移動させることができる。
そして、群管理制御装置2は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM、バックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。ROM(Read Only Memory)は、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM(Random Access Memory)は、CPUの演算結果を一時記憶する。バックアップRAMは、予め用意されたマップデータ、エレベータ4の仕様等の情報を記憶する。群管理制御装置2は、複数のエレベータ4の各単体制御装置10、乗り場操作盤15等と電気的に接続さされる。群管理制御装置2は、複数のエレベータ4の各単体制御装置10と相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の通信、授受を行い、エレベータ群3を群管理する。
上記のように構成されるエレベータシステム1は、通常運転として、利用者によりかご操作盤11、乗り場操作盤15等を介して乗りかご5の呼び操作が行われた場合、下記のように動作する。すなわち、エレベータシステム1は、かご操作盤11から単体制御装置10にこれに応じたかご呼び登録信号入力される。あるいは、エレベータシステム1は、乗り場操作盤15から群管理制御装置2にこれに応じた乗り場呼び登録信号が入力される。そして、エレベータシステム1は、単体制御装置10、あるいは、群管理制御装置2がこの呼び登録信号に応じて乗りかご5のかご呼び登録、乗り場呼び登録を行う。
群管理制御装置2は、例えば、各エレベータ4の複数の乗りかご5から、各乗りかご5の状態に応じて、呼び登録に応答する最適な乗りかご5を割り当てる群管理制御を実行する。群管理制御装置2は、例えば、呼び登録信号、種々のセンサ、検出器からの出力、乗りかご5の現在位置及び移動方向(昇降方向)等に基づいて、応答乗りかご5を決定する割当処理を行う。この場合、群管理制御装置2は、例えば、各乗りかご5が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに最適に応答するように、乗りかご5の着床順序等を定めて各呼びに応答する乗りかご5を割り当てる。群管理制御装置2は、複数の乗りかご5の運行を効率的に割り振り、エレベータ群3全体として効率的な運行サービスを行う。
そして、各単体制御装置10は、この群管理制御装置2からの割り当てに応じて、それぞれの巻上機8を駆動制御する。これにより、各単体制御装置10は、各乗りかご5を目的の階床へと移動させる。この結果、各エレベータ4は、乗りかご5が昇降路内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗り場9に移動する。そして、各エレベータ4は、乗りかご5が目的階の乗り場9に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、単体制御装置10が扉を開放する。これにより、乗り場9で待機している利用者は、乗りかご5内に乗り込むことが可能となる。また、乗りかご5内の利用者は乗り場9に降りることが可能となる。
ここで、本実施形態の複数のエレベータ4は、上述したように、動力用電源13から電力が供給されると共に、さらに、それぞれにバッテリ16が設けられる。
動力用電源13は、主にエレベータシステム1の通常運転時に利用される主電源である。動力用電源13は、典型的にはいわゆる商用電源(三相交流電源)等が用いられる。インバータ14は、動力用電源13から供給され整流器(コンバータ)等で一旦直流に変換された電力を、任意の電流、周波数の三相交流に変換し、巻上機8の電動機8bに供給する。
一方、バッテリ16は、主にエレベータシステム1の停電時、すなわち、動力用電源13からの電力供給が停止した停電時に利用される非常用の補助電源である。バッテリ16は、典型的にはいわゆる蓄電池(二次電池)等が用いられる。バッテリ16は、各エレベータ4に対応してそれぞれ1つずつ設けられる。各バッテリ16は、それぞれ電流計17、電圧計18が設けられている。各電流計17、各電圧計18は、各単体制御装置10に電気的に接続されており、それぞれ検出値を送信する。
バッテリ16は、エレベータシステム1の通常運転時に動力用電源13から供給される電力、あるいは、乗りかご5の制動時等、エレベータ4の回生運転時に電動機8bによって回生発電された回生電力を蓄電する。インバータ14は、動力用電源13から供給される電力、電動機8bによって回生発電された回生電力を交流から直流に変換し、バッテリ16に蓄電する。また、インバータ14は、バッテリ16から供給される直流電力を、任意の電流、周波数の三相交流に変換し、巻上機8の電動機8bに供給する。
そして、本実施形態の制御装置50は、動力用電源13の停電時に乗りかご5が走行中であった場合に、停電時着床運転制御を実行することで、停電時着床装置として機能する。
具体的には、制御装置50の各単体制御装置10は、動力用電源13の停電発生時に乗りかご5が走行中であった場合、各乗りかご5を一旦停止させる。
そして、各単体制御装置10は、動力用電源13の停電時に走行中であった乗りかご5に対して停電時着床運転制御を実行する。すなわち、各単体制御装置10は、停電時に各階床の中間階を走行中であり所定の着床位置に着床せずに停止した乗りかご5に対して停電時着床運転制御を実行し、停電時着床運転を行う。停電時着床運転制御は、所定の着床位置に着床していない乗りかご5に対応するバッテリ16の電力を用いて、当該乗りかご5を最寄階の正規の着床位置に着床させる制御である。
そして、制御装置50は、停電時着床運転制御を完了した後、群管理制御装置2と各単体制御装置10とが協調して停電時バックアップ制御を実行する。この停電時バックアップ制御は、特定のエレベータ4以外のエレベータ4の運転を休止し、各バッテリ16の余剰電力を当該特定のエレベータ4に集約して運転を継続する制御である。これにより、このエレベータシステム1は、バッテリ16の余剰電力を活用し動力用電源13の停電時の運転を最適化している。
なお、停電時バックアップ制御において、最低限の運転を継続する特定のエレベータ4は、係員が予め設定してもよいし停電時の状況に応じて設定されるようにしてもよい。以下の説明では、特定のエレベータ4は、予め身障者用のエレベータ4に設定されているものとして説明する。この身障者用のエレベータ4は、主に車椅子利用者等が利用するエレベータ4である。身障者用のエレベータ4は、例えば、エレベータ群3のうち、補助操作盤、乗りかご5内の背面に設けられた鏡面部材、手摺り等の種々の身障者用設備を備えたエレベータ4である。
ここで、上述した各バッテリ16は、各エレベータ4において停電時着床運転に必要な電力に対して十分余裕をもった容量となっている。したがって、このエレベータシステム1は、各エレベータ4において停電時着床運転を行った後も各バッテリ16に余剰電力が残存している場合がある。また、動力用電源13の停電時に所定の着床位置に着床していた乗りかご5は、そのまま停止状態で維持される。この場合には、各バッテリ16の電力は、そのまま余剰電力として残存する。
本実施形態のエレベータシステム1は、各エレベータ4の停電時着床運転完了後に、各バッテリ16に残存する上記余剰電力を有効活用する。ここでは、制御装置50の群管理制御装置2は、停電時着床運転制御を完了した後、停電時バックアップ制御として、特定のエレベータ4以外の各単体制御装置10に休止指令を送信する。これにより。群管理制御装置2は、特定のエレベータ4以外のエレベータ4の運転を休止する制御を行う。そして、特定のエレベータ4の単体制御装置10(以下、「特定の単体制御装置10」という場合がある。)は、各バッテリ16の余剰電力を当該特定のエレベータ4に優先的に割り当て運転する。これにより、特定の単体制御装置10は、少なくとも1台のエレベータ4において最低限の運転を継続し、乗りかご5の昇降を可能とする。
このとき、特定の単体制御装置10は、停電時バックアップ制御を実行する場合、各バッテリ16の蓄電量に基づいて、特定のエレベータ4の運転回数を制限する。各バッテリ16に蓄電されている余剰電力は、停電時バックアップ運転で乗りかご5を昇降させるたびに減少する。特定の単体制御装置10は、停電時バックアップ運転時には、各電流計17、各電圧計18に基づいて各バッテリ16から供給される電流値、電圧値を監視し、バッテリ残量(各バッテリ16の余剰電力)を推測する。そして、特定の単体制御装置10は、推測したバッテリ残量に基づいて、特定のエレベータ4の運転可能回数を決定し、当該運転可能回数に基づいて特定のエレベータ4の運転回数を制限する。エレベータ4の運転回数は、典型的には、乗りかご5が昇降可能な回数等に応じた値である。この結果、エレベータシステム1は、停電時バックアップ運転時に、特定のエレベータ4の乗りかご5が意図せず各階床の中間階で停止してしまうことを防止することができる。なお、特定の単体制御装置10は、さらに、各バッテリ16の経時劣化等を運転可能回数の決定に反映させるようにしてもよい。
また、特定の単体制御装置10は、各バッテリ16の余剰電力を特定のエレベータ4に集約する停電時バックアップ運転の場合と、動力用電源13からの電力によって運転する通常運転の場合とで、乗りかご5の昇降速度を切り替えることが好ましい。ここでは、特定の単体制御装置10は、停電時バックアップ制御を実行する場合、通常運転の場合と比較して、特定のエレベータ4の乗りかご5の昇降速度を相対的に低く制限する。これにより、このエレベータシステム1は、停電時バックアップ運転時に乗りかご5を昇降させる際の電動機8bの負荷を抑制することができる。この結果、エレベータシステム1は、停電時バックアップ運転時に、特定のエレベータ4における乗りかご5の運転可能な回数を増加させることができ、バッテリ16によって可能な限り長く運転を継続することができる。
さらに、特定の単体制御装置10は、停電時バックアップ運転の場合と、通常運転の場合とで、乗りかご5の許容積載荷重を切り替えることが好ましい。ここでは、特定の単体制御装置10は、停電時バックアップ制御を実行する場合、通常運転の場合と比較して、乗りかご5の許容積載荷重を、相対的に運転効率のよい値に制限する。運転効率のよい許容積載荷重の値は、典型的には、乗りかご5とカウンタウェイト6との重量バランス等に応じて定まる値である。特定の単体制御装置10は、通常運転時の許容積載荷重に対して電力的に最も効率的な荷重を上限として積載荷重を制限する。単体制御装置10は、荷重検出器12が検出する乗りかご5内の実際の積載荷重が許容積載荷重以上になった場合に、ブザーを鳴動させるなどして乗りかご5からの降車を促す。
例えば、カウンタウェイト6の重量が通常運転時の許容積載荷重の半分程度に設定されているような場合を仮定する。この場合、エレベータ4は、乗りかご5の積載荷重が許容積載荷重の半分程度なった状態、すなわち、乗りかご5とカウンタウェイト6とがほぼつりあった状態で乗りかご5を昇降させることで電動機8bの負荷を抑制することができる。したがって、特定の単体制御装置10は、停電時バックアップ運転時の許容積載荷重を運転効率のよい値(上記の例では、例えば、通常運転時の許容積載荷重の40%から60%程度)に制限することで、電時バックアップ運転時の電動機8bの負荷を抑制することができる。この結果、エレベータシステム1は、停電時バックアップ運転時に、特定のエレベータ4における乗りかご5の運転可能な回数を増加させることができ、バッテリ16によって可能な限り長く運転を継続することができる。
またさらに、本実施形態のエレベータシステム1は、案内装置としてのかご案内装置19及び乗り場案内装置20を備える。かご案内装置19は、各乗りかご5内に少なくとも1つずつ設けられる。各かご案内装置19は、各単体制御装置10に電気的に接続されており、それぞれ各単体制御装置10によって制御される。乗り場案内装置20は、各乗り場9に少なくとも1つずつ設けられる。各乗り場案内装置20は、群管理制御装置2に電気的に接続されており、それぞれ群管理制御装置2によって制御される。かご案内装置19、乗り場案内装置20は、例えば、報知音を出力可能なブザー、種々の音声情報をアナウンス可能なスピーカ、種々の表示情報を表示可能な表示装置等を含んで構成される。
そして、このかご案内装置19、乗り場案内装置20は、停電時バックアップ制御の実行中に停電時バックアップ運転中である旨を案内可能である。例えば、群管理制御装置2、各単体制御装置10は、停電時バックアップ制御を実行する際、かご案内装置19、乗り場案内装置20を制御し、通常運転から停電時バックアップ運転に切り替えた旨を案内する。この場合、かご案内装置19、乗り場案内装置20は、停電時バックアップ運転中である旨を案内し、特定のエレベータ4以外のエレベータ4が休止状態であり、特定のエレベータ4が運転継続中であることを利用者に周知させる。
このとき、かご案内装置19、乗り場案内装置20は、健常者等の一般利用者に対して階段を使うように促すようにしてもよいし、現在の運転可能回数をアナウンスするようにしてもよい。これにより、このエレベータシステム1は、一般利用者によって特定のエレベータ4が利用されることを制限し、身障者による利用を優先することができる。
また、かご案内装置19、乗り場案内装置20は、停電時バックアップ制御を実行する場合、通常運転の場合と比較して、乗りかご5の積載荷重が相対的に運転効率のよい値になるように乗降を促す案内を行うようにしてもよい。例えば、群管理制御装置2、各単体制御装置10は、上述のように設定される運転効率のよい許容積載荷重に対して、荷重検出器12が検出する乗りかご5内の実際の積載荷重が満たない場合に、かご案内装置19、乗り場案内装置20を制御する。これにより、群管理制御装置2、各単体制御装置10は、かご案内装置19、乗り場案内装置20によって、所定の時間内で、乗りかご5への乗り込み促す案内を行う。この結果、エレベータシステム1は、上記のように停電時バックアップ運転時に、特定のエレベータ4における乗りかご5の運転可能な回数をさらに増加させることができ、バッテリ16によって可能な限り長く運転を継続することができる。
次に、図2、4のフローチャート、図3のブロック図を参照して制御装置50によるエレベータ制御方法の一例を説明する。
図2、図3、図4で説明する制御装置50によって実行されるエレベータ制御方法は、概略略的には、停電時着床ステップ(図2のST1、ST2参照)と、停電時バックアップステップ(図2のST3、図4のST201〜ST208参照)とを含む。制御装置50は、停電時着床ステップでは、複数のエレベータ4の動力用電源13の停電時に、乗りかご5が走行中であった場合に、当該走行中であった乗りかご5に対応するバッテリ16の電力を用いて、当該乗りかご5を最寄階に着床させる。そして、制御装置50は、停電時バックアップステップでは、停電時着床ステップを完了した後、特定のエレベータ4以外のエレベータ4の運転を休止し、バッテリ16の余剰電力を当該特定のエレベータ4に集約して運転を継続する。
具体的には、図2に示すように、各単体制御装置10は、動力用電源13の停電が発生すると、まず、乗りかご5がレベル外か否か、すなわち、所定の着床位置に着床していないか否かを判定する(ST1)。
各単体制御装置10は、乗りかご5がレベル外、すなわち、所定の着床位置に着床していないと判定した場合(ST1:Yes)、停電時着床運転を行い(ST2)、ST3に移行する。すなわち、単体制御装置10は、バッテリ16の電力を用いて着床していない乗りかご5を最寄階に着床させる。各単体制御装置10は、乗りかご5がレベル外ではない、すなわち、所定の着床位置に着床していると判定した場合(ST1:No)、ST2をとばして、ST3に移行する。
そして、群管理制御装置2は、ST3にて、バッテリ16の電力供給ラインを切り替える(ST3)。群管理制御装置2は、全ての乗りかご5の着床が完了した後、例えば、図3に示すように、一般用エレベータ4(EL1)用のリレー21a、一般用エレベータ4(EL2)用のリレー21bをONとする。これにより、群管理制御装置2は、一般用エレベータ4(EL1)、一般用エレベータ4(EL2)のバッテリ16の電力を身障者用エレベータ4(EL3)に供給する。ここで、身障者用エレベータ4(EL3)は、上記で説明した予め設定される特定のエレベータ4に相当する。また、一般用エレベータ4(EL1)、一般用エレベータ4(EL2)は、当該特定のエレベータ4以外のエレベータ4に相当する。
図2に戻って、群管理制御装置2は、ST3にて、バッテリ16の電力供給ラインを切り替えた後、復電したか否か、すなわち、動力用電源13の停電が復旧したか否かを判定する(ST4)。群管理制御装置2は、復電していないと判定した場合(ST4:No)、すなわち、動力用電源13の停電が復旧していないと判定した場合、ST4の判定を繰り返し行う。
群管理制御装置2は、復電したと判定した場合(ST4:Yes)、すなわち、動力用電源13の停電が復旧したと判定した場合、バッテリ16の電力供給ラインを切り替えて(ST5)、通常運転に復帰し(ST6)、この制御を終了する。この場合、群管理制御装置2は、リレー21a、21b(図3参照)をOFFとし、一般用エレベータ4(EL1)、(EL2)のバッテリ16から身障者用エレベータ4(EL3)への電力供給を終了する。
次に、特定のエレベータ4の単体制御装置10は、図4に示すように、動力用電源13の停電が発生すると、まず、一般用エレベータ4(特定のエレベータ4以外のエレベータ4)からの電力供給があるか否かを判定する(ST201)。
特定の単体制御装置10は、一般用エレベータ4からの電力供給がないと判定した場合(ST201:No)、ST201の判定を繰り返し行う。単体制御装置10は、一般用エレベータ4からの電力供給があると判定した場合(ST201:Yes)、乗りかご5の運転速度を切り替える(ST202)。この場合、単体制御装置10は、通常運転の場合と比較して、特定のエレベータ4の乗りかご5の昇降速度を相対的に低く制限する。
次に、特定の単体制御装置10は、乗りかご5の積載荷重の制限を切り替える(ST203)。この場合、単体制御装置10は、通常運転の場合と比較して、乗りかご5の許容積載荷重を、相対的に運転効率のよい値に制限する。
次に、群管理制御装置2、単体制御装置10は、かご案内装置19、乗り場案内装置20を制御して、運転が切り替わったことを表示、案内する(ST204)。この場合、かご案内装置19、乗り場案内装置20は、通常運転から停電時バックアップ運転に切り替える旨を案内する。かご案内装置19、乗り場案内装置20は、あわせて、一般利用者に対して階段を使うように促す旨、乗りかご5への乗り込み促す旨等も案内してもよい。
次に、特定の単体制御装置10は、停電時バックアップ運転に関するサービスを実際に開始する(ST205)。そして、単体制御装置10は、各電流計17、各電圧計18に基づいて各バッテリ16をチェックし(ST206)、バッテリ残量(各バッテリ16の余剰電力)から残りの運転可能回数を推定する(ST207)。このとき、群管理制御装置2、単体制御装置10は、かご案内装置19、乗り場案内装置20に、推定した運転可能回数を表示、案内させるようにしてもよい。
そして、特定の単体制御装置10は、各電流計17、各電圧計18に基づいてバッテリ残量(各バッテリ16の余剰電力)を推測し、十分な残存量が有るか否かを判定する(ST208)。単体制御装置10は、バッテリ残量が十分でないと判定した場合(ST208:No)、この制御を終了する。単体制御装置10は、バッテリ残量が十分であると判定した場合(ST208:Yes)、ST205に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
以上で説明したエレベータシステム1は、複数のエレベータ4と、制御装置50とを備える。複数のエレベータ4は、動力用電源13から電力が供給されると共にそれぞれにバッテリ16が設けられる。制御装置50は、動力用電源13の停電時に乗りかご5が走行中であった場合に、当該走行中であった乗りかご5に対応するバッテリ16の電力を用いて、当該乗りかご5を着床させる停電時着床運転制御を実行する。制御装置50は、停電時着床運転制御を完了した後、特定のエレベータ4以外のエレベータ4の運転を休止し、各バッテリ16の余剰電力を当該特定のエレベータ4に集約して運転を継続する停電時バックアップ制御を実行する。
したがって、エレベータシステム1は、停電時着床運転完了後に、各バッテリ16の余剰電力を活用して、特定のエレベータ4で最小限の運転を継続し、乗りかご5の昇降を可能とすることができる。これにより、エレベータシステム1は、バッテリ16の余剰電力を活用し動力用電源13の停電時の運転を最適化することができる。この結果、エレベータシステム1は、例えば、停電時着床運転完了後に、複数台のエレベータ4の余剰電力を身障者用のエレベータ4に向けて供給することで、歩行困難者などに対する移動手段を適切に確保することができる。
なお、上述した実施形態に係るエレベータシステム、エレベータ制御方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、特定のエレベータ4は、予め身障者用のエレベータ4に設定されているものとして説明したがこれに限らない。制御装置50は、動力用電源13の停電時の複数のエレベータ4の状態に応じて特定のエレベータ4を設定するようにしてもよい。この場合、制御装置50は、例えば、停電発生時の各乗りかご5の停止位置、今後予測される電力消費量、各乗りかご5の積載荷重等に基づいて、エレベータ群3のうち、電気エネルギの効率が最も良いエレベータ4を特定のエレベータ4に設定すればよい。これにより、エレベータシステム1は、停電時の状況に応じて適切に特定のエレベータ4を設定することができる。
また、制御装置50は、停電時バックアップ制御を実行する場合、かご案内装置19、乗り場案内装置20等により案内するだけでなく、乗り場操作盤15のうち身障者用の補助操作盤を有効にし、一般用の主操作盤を無効にするようにしてもよい。これにより、エレベータシステム1は、一般利用者によって特定のエレベータ4が利用されることを制限し、身障者による利用を優先することができる。
また、以上で説明したエレベータシステム1は、各バッテリ16の余剰電力を建屋内の他の設備(非常用照明等)に供給することも可能である。また逆に、エレベータシステム1は、建屋内の他の設備の余剰電力の供給を受けてエレベータ4を運行することも可能である。
以上で説明した実施形態、変形例に係るエレベータシステム、エレベータ制御方法によれば、バッテリの余剰電力を活用し動力用電源の停電時の運転を最適化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 エレベータシステム
2 群管理制御装置
3 エレベータ群
4 エレベータ
5 乗りかご
6 カウンタウェイト
7 メインロープ
8 巻上機
8a メインシーブ
8b 電動機
9 乗り場
10 単体制御装置
11 かご操作盤
12 荷重検出器
13 動力用電源
14 インバータ
15 乗り場操作盤
16 バッテリ
17 電流計
18 電圧計
19 かご案内装置(案内装置)
20 乗り場案内装置(案内装置)
21a、21b リレー
50 制御装置

Claims (8)

  1. 動力用電源から電力が供給されると共にそれぞれにバッテリが設けられた複数のエレベータと、
    前記動力用電源の停電時に乗りかごが走行中であった場合に、当該走行中であった乗りかごに対応する前記バッテリの電力を用いて、当該乗りかごを着床させる停電時着床運転制御を実行する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記停電時着床運転制御を完了した後、予め設定された特定のエレベータ以外のエレベータの運転を休止し、各前記バッテリの余剰電力を当該特定のエレベータに集約して運転を継続する停電時バックアップ制御を実行することを特徴とする、
    エレベータシステム。
  2. 前記制御装置は、前記停電時バックアップ制御を実行する場合、前記動力用電源からの電力によって前記特定のエレベータを運転する通常運転の場合と比較して、前記乗りかごの昇降速度を相対的に低くする、
    請求項1に記載のエレベータシステム。
  3. 前記制御装置は、前記停電時バックアップ制御を実行する場合、前記動力用電源からの電力によって前記特定のエレベータを運転する通常運転の場合と比較して、前記乗りかごの許容積載荷重を、相対的に運転効率のよい値に制限する、
    請求項1又は請求項2に記載のエレベータシステム。
  4. 前記停電時バックアップ制御の実行中に停電時バックアップ運転中である旨を案内可能である案内装置を備える、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータシステム。
  5. 前記案内装置は、前記停電時バックアップ制御を実行する場合、前記動力用電源からの電力によって前記特定のエレベータを運転する通常運転の場合と比較して、前記乗りかごの積載荷重が相対的に運転効率のよい値になるように乗降を促す案内を行う、
    請求項4に記載のエレベータシステム。
  6. 前記制御装置は、前記停電時バックアップ制御を実行する場合、各前記バッテリの蓄電量に基づいて、前記特定のエレベータの運転回数を制限する、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のエレベータシステム。
  7. 前記特定のエレベータは、予め身障者用のエレベータに設定されている、
    請求項1乃至請求項6に記載のエレベータシステム。
  8. 動力用電源から電力が供給されると共にそれぞれにバッテリが設けられた複数のエレベータの前記動力用電源の停電時に、乗りかごが走行中であった場合に、当該走行中であった乗りかごに対応する前記バッテリの電力を用いて、当該乗りかごを最寄階に着床させる停電時着床ステップと、
    前記停電時着床ステップを完了した後、予め設定された特定のエレベータ以外のエレベータの運転を休止し、前記バッテリの余剰電力を当該特定のエレベータに集約して運転を継続する停電時バックアップステップとを含むことを特徴とする、
    エレベータ制御方法。
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