[実施形態]
図1は、実施形態に係る電力システムの概略構成例を示すブロック図である。図2は、実施形態に係るかご操作盤の一例を示す正面図である。図3は、実施形態に係る乗場操作盤の一例を示す正面図である。図4は、実施形態に係る電力システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
図1に示す本実施形態の電力システム1は、典型的には、昇降機3を備えた建物100の全体で電力のマネージメントを効率的に行い、省エネルギで昇降機3を運用するためのシステムである。この電力システム1は、昇降機3と当該昇降機3が設けられる建物100での電力使用状態とを連係させて、適正に昇降機3を運転させるものである。また、この電力システム1は、昇降機3が設けられる建物(建物A)100とは別の他の建物(建物B、C)200、300とも連係可能であり、これら建物100、200、300を含む地域全体で電力のマネージメントを効率的に行うことも可能なシステムである。
具体的には、電力システム1は、蓄電装置2と、昇降機3と、制御装置4とを備える。またさらに、電力システム1は、案内装置50を備える。制御装置4は、受電変換器41、切替器42、切替器43、インバータ44、統合制御装置45、エレベータ制御装置46、バッテリ制御装置47等を含んで構成される。本実施形態の電力システム1は、例えば、蓄電装置2を昇降機3の電源としてだけでなく、昇降機3が設置されている建物100の電気設備101の電源としても用いる。電力システム1は、制御装置4による各種制御によって、昇降機3の電力状態と建物100側の電力状態とを協調させ、蓄電装置2に蓄電されている電力を有効に活用して昇降機3を効率的に運転する。
蓄電装置2は、建物100の電気設備101を作動させる電力を蓄電可能なものであると共に、当該蓄電された電力によって昇降機3を運転させることも可能である。蓄電装置2は、電力を蓄電可能な二次電池である。本実施形態の蓄電装置2は、3つのバッテリ21、22、23により構成されるものとして説明するが、これに限らず、2つ、あるいは、4つ以上のバッテリを含んで構成されてもよいし、1つのバッテリで構成されてもよい。ここでは、バッテリ21、22は、典型的には、主に昇降機3以外の建物100側の電気設備101で使用される電力を蓄電するバッテリ(建物用)である。これに対して、バッテリ23は、典型的には、主に昇降機3側で使用される電力を蓄電するバッテリ(EL用)である。蓄電装置2の各バッテリ21、22、23は、後述するように種々の電力源からの電力が受電変換器41、切替器42等を介して供給され充電される。蓄電装置2は、各バッテリ21、22、23が制御装置4の切替器42等を介して相互に接続されており、当該切替器42を介して各バッテリ21、22、23間で相互に電力の授受を行うことができる。また、バッテリ21、22の電力は、主として電気設備101側で優先的に用いられるがこれに限らず、必要に応じて当該切替器42等を介して昇降機3側で用いることも可能である。同様に、バッテリ23は、主として昇降機3側で優先的に用いられるがこれに限らず、必要に応じて当該切替器42等を介して電気設備101側で用いることも可能である。また、各バッテリ21、22、23は、それぞれ、各バッテリ21、22、23の電流を検出する電流計24、各バッテリ21、22、23の電圧を検出する電圧計25が設けられている。
ここで、建物100の電気設備101は、建物100に設置され、電力が供給されることで作動する種々の電気機器を含む。電気設備101としては、例えば、建物100の照明機器、上下水道ポンプ、各種セキュリティ機器、空調機器、機械駐車場駆動装置、医療機器等のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
昇降機3は、建物100に設けられ、蓄電装置2からの電力により昇降するものである。昇降機3は、蓄電装置2の電力を用いて昇降動作する。昇降機3は、例えば、エレベータ及び乗客コンベアを含む概念であり、乗客コンベアは、エスカレータ及び動く歩道を含むものである。なお、以下の説明では、昇降機3は、エレベータであるものとして説明する。
昇降機3は、乗りかご31がそれぞれ昇降路を昇降することで運行サービスを行う。昇降機3は、乗りかご31、カウンタウェイト32、メインロープ33、巻上機34、乗場35等を含んで構成される。昇降機3は、乗りかご31とカウンタウェイト32とをメインロープ33で連結したいわゆるつるべ式のエレベータである。昇降機3は、制御装置4のエレベータ制御装置46によって各部の駆動が制御されて乗りかご31が昇降路内を昇降することで、任意の目的階の乗場35に移動することができるものである。
乗りかご31は、建物100に設けられた昇降路を昇降可能である。乗りかご31は、かご操作盤36や荷重検出器37等を含んで構成される。かご操作盤36は、乗りかご31の内部に設けられる。かご操作盤36は、利用者による操作入力に応じていわゆるかご呼び登録等を行う。荷重検出器37は、乗りかご31内の積載荷重を検出する。
カウンタウェイト32は、乗りかご31に対するつり合おもりである。
メインロープ33は、昇降路の上部に設けられた巻上機34のメインシーブ34aやそらせシーブ(不図示)等に掛けられる。メインロープ33は、一端に乗りかご31が接続され、他端にカウンタウェイト32が接続される。
巻上機34は、昇降体としての乗りかご31及びカウンタウェイト32を昇降する昇降駆動部であり、例えば、メインシーブ34a、電動機(モータ)34b等を含んで構成される。電動機34bは、蓄電装置2のバッテリ23等から、制御装置4の切替器43、インバータ44等を介して電力が供給される。巻上機34は、電動機34bが駆動することで、この電動機34bに連結されたメインシーブ34aが回転駆動する。そして、巻上機34は、メインシーブ34aとメインロープ33との間に生じる摩擦力を利用してメインロープ33を電動で巻き上げる。また、電動機34bは、回生発電も可能である。つまり、この電動機34bは、いわゆる回転電機であり、供給された電力を機械的動力に変換する電動機としての機能(力行機能)と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。
乗場35は、乗りかご31が着床可能な各エレベータ停止階床に設けられる。乗場35は、乗場操作盤38等を含んで構成される。乗場操作盤38は、利用者による操作入力に応じていわゆる乗場呼び登録等を行う。
また、この電力システム1は、案内装置50としてのかご案内装置39A及び乗場案内装置39Bを備える。かご案内装置39A、乗場案内装置39Bは、昇降機3の運転に関する案内等を行うものである。かご案内装置39Aは、乗りかご31内に設けられる。乗場案内装置39Bは、各乗場35に少なくとも1つずつ設けられる。かご案内装置39A、乗場案内装置39Bは、例えば、報知音を出力可能なブザー、種々の音声情報をアナウンス可能なスピーカ、種々の表示情報を表示可能な表示装置等を含んで構成される。なお、かご案内装置39Aは、例えば、図2に例示するように、かご操作盤36を含むCOP(Car Operation Panerl)に組み込まれて設けられてもよいし、これとは別個に専用の案内装置として設けられてもよい。また、乗場案内装置39Bは、例えば、図3に例示するように、乗場操作盤38を含むHIB(Hall Indicator Box)に組み込まれて設けられてもよいし、これとは別個に専用の案内装置として設けられてもよい。
制御装置4は、受電変換器41、切替器42、切替器43、インバータ44、統合制御装置45、エレベータ制御装置46、バッテリ制御装置47等により、電力システム1の各部を制御するものである。なお、統合制御装置45、エレベータ制御装置46、及び、バッテリ制御装置47は、一体で1つの制御装置により構成されるものであってもよい。
受電変換器41は、種々の電力源からの電力を受電し、受電した電力を蓄電装置2に充電可能な直流電力に変換するものである。受電変換器41は、例えば、コンバータや整流器等の種々の変換器、変換回路を含んで構成される。受電変換器41に電力を供給する種々の電力源としては、例えば、太陽光パネル5や商用電源400等を用いることができる。太陽光パネル5は、例えば、建物100の屋上等に設けられる。太陽光パネル5は、複数の太陽電池を相互接続して構成され、光起電力効果を利用し、光エネルギを直接電力に変換する機器である。商用電源400は、例えば、建物100の外部に設けられる三相交流電源である。さらに、受電変換器41は、建物100とは別の建物200、300を電力源とし、当該建物200、300から電力を受電し、あるいは、建物100と建物200、300との間で連係させて相互に電力を融通するようにしてもよい。受電変換器41は、切替器42に接続されており、受電した電力を蓄電装置2の各バッテリ21、22、23に充電可能な直流電力に変換して当該切替器42に出力する。
切替器42は、蓄電装置2の各バッテリ21、22、23の充電/放電の状態を切り替え可能なものである。切替器42は、種々のスイッチ、切替回路等を含んで構成される。切替器42は、上述したように受電変換器41に接続されると共に、蓄電装置2の各バッテリ21、22、23に接続される。切替器42は、受電変換器41から各バッテリ21、22、23への電力の供給経路を接続/遮断することで、当該受電変換器41から供給される電力の充電先を切り替えることができる。切替器42は、受電変換器41から供給される電力によって、バッテリ21、22、23のいずれか、あるいは、すべてを充電することができる。さらに、切替器42は、変換器6等を介して電気設備101にも接続されている。切替器42は、各バッテリ21、22、23に蓄電されている電力を放電させ、変換器6等を介して電気設備101側に供給することができる。変換器6は、例えば、コンバータや整流器等の種々の変換器、変換回路を含んで構成され、供給される電力を電気設備101で使用可能な電力に変換して電気設備101側に供給するものである。これにより、各電気設備101は、各バッテリ21、22、23からの電力が供給されることで当該各バッテリ21、22、23からの電力によって作動することができる。なお、各電気設備101は、変換器6等を介して商用電源400から直接的に電力が供給される構成であってもよい。
切替器43は、蓄電装置2からインバータ44への電力の供給状態を切り替え可能なものである。切替器43は、種々のスイッチ、切替回路等を含んで構成される。切替器43は、一端がバッテリ23と切替器42との共通接続点に接続され、他端がインバータ44に接続される。切替器43は、蓄電装置2のバッテリ23(あるいはバッテリ21、22)からインバータ44への電力の供給経路を接続/遮断することで、当該バッテリ23とインバータ44との間で相互に電力を授受できる供給状態と、当該電力の授受を遮断した遮断状態とに切り替えることができる。
インバータ44は、蓄電装置2からの電力を電動機34bに供給するものである。インバータ44は、上述したように、一端が切替器43に接続され、他端が電動機34bに接続される。インバータ44は、典型的には、切替器43が供給状態にある場合に、蓄電装置2のバッテリ23(あるいはバッテリ21、22)から供給される直流電力を、任意の電流、周波数の三相交流に変換し、電動機34bに供給し、当該電動機34bを駆動する。また、インバータ44は、切替器43が供給状態にある場合に、乗りかご31の制動時等、昇降機3の回生走行時に電動機34bによって回生発電された回生電力を、交流から直流に変換して蓄電装置2のバッテリ23(あるいはバッテリ21、22)に充電することもできる。
統合制御装置45は、建物100において、昇降機3の電力状態と建物100側の電力状態とを監視しこれらを協調させて各部を統括的に制御するものである。統合制御装置45は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM、バックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。ROM(Read Only Memory)は、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM(Random Access Memory)は、CPUの演算結果を一時記憶する。バックアップRAMは、予め用意されたマップデータ、建物100の電気設備101の概要等の情報を記憶する。統合制御装置45は、エレベータ制御装置46、バッテリ制御装置47等と電気的に接続される。統合制御装置45は、エレベータ制御装置46、及び、バッテリ制御装置47と相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の通信、授受を行い、建物100の電力状態を管理する。また、統合制御装置45は、他の建物200、300の制御装置(不図示)にも電気的に接続されており、建物100、200、300の電力使用量に関する情報や蓄電装置2の蓄電状態に関する情報等を相互に通信、授受を行うことができる。これにより、統合制御装置45は、建物100と建物200、300とを連係させて、これら建物100、200、300を含む地域全体で電力状態を管理することもできる。
エレベータ制御装置46は、昇降機3の各部の動作を統括的に制御するものである。エレベータ制御装置46は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM、バックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。ROM(Read Only Memory)は、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM(Random Access Memory)は、CPUの演算結果を一時記憶する。バックアップRAMは、予め用意されたマップデータ、昇降機3の仕様等の情報を記憶する。エレベータ制御装置46は、種々のセンサ、検出器、バッテリ23の電流計24、電圧計25、かご操作盤36、荷重検出器37、乗場操作盤38、かご案内装置39A、乗場案内装置39B、切替器43、インバータ44等と電気的に接続される。エレベータ制御装置46は、例えば、かご操作盤36、乗場操作盤38等への利用者からの操作入力に応じて、巻上機34の駆動を制御し、乗りかご31を昇降路内で昇降させる。これにより、昇降機3は、乗りかご31を呼び登録に応じたて指定された目的階に移動させることができる。
バッテリ制御装置47は、蓄電装置2の蓄電状態を監視し、充放電を制御するものである。バッテリ制御装置47は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM、バックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。ROM(Read Only Memory)は、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM(Random Access Memory)は、CPUの演算結果を一時記憶する。バックアップRAMは、予め用意されたマップデータ、蓄電装置2の仕様等の情報を記憶する。バッテリ制御装置47は、種々のセンサ、検出器、バッテリ21、22の電流計24、電圧計25、受電変換器41、切替器42等と電気的に接続される。バッテリ制御装置47は、例えば、バッテリ21、22の電流計24、電圧計25による検出結果に基づいて、バッテリ21、22の蓄電状態を監視し、例えば、電気設備101からの電力要求等に応じて受電変換器41、切替器42等を制御することで、バッテリ21、22の充放電を制御する。また、バッテリ制御装置47は、統合制御装置45を介してエレベータ制御装置46からバッテリ23の電流計24、電圧計25による検出結果に関する情報を受け取り、当該バッテリ23の蓄電状態も監視することができる。そして、バッテリ制御装置47は、電気設備101からの電力要求等に応じて受電変換器41、切替器42等を制御することで、バッテリ23の充放電を制御することもできる。なお、バッテリ制御装置47は、バッテリ23の電流計24、電圧計25に電気的に接続され、当該バッテリ23の電流計24、電圧計25による検出結果を直接的に取得可能なように構成されてもよい。
本実施形態の電力システム1は、上記構成により様々な電力状態を実現可能である。
例えば、電力システム1は、蓄電装置2に電力を蓄電する場合、商用電源400の健全時、停電時の両方において、太陽光パネル5からの電力を、受電変換器41、切替器42等を介して、バッテリ21、22、23に充電することができる。また、電力システム1は、蓄電装置2に電力を蓄電する場合、商用電源400の健全時において、商用電源400からの電力を、受電変換器41、切替器42等を介して、バッテリ21、22、23に充電することができる。また、電力システム1は、蓄電装置2に電力を蓄電する場合、商用電源400の健全時、停電時の両方において、昇降機3の回生走行時に巻上機34の電動機34bによって回生発電された回生電力を、インバータ44、切替器43等を介して、バッテリ23に優先的に充電することができる。また、電力システム1は、バッテリ23が満充電状態である場合には、当該電動機34bによって回生発電された回生電力を、インバータ44、切替器43、切替器42等を介して、バッテリ21、22に充電することもできる。また、電力システム1は、蓄電装置2に電力を蓄電する場合、商用電源400の健全時、停電時の両方において、建物200、300等から余剰電力を受電し、当該余剰電力を、受電変換器41、切替器42等を介して、バッテリ21、22、23に充電することもできる。
なお、電力システム1は、上記のようにして蓄電装置2に電力を蓄電する場合、例えば、商用電源400からの電力をカットした状態で、太陽光パネル5からの電力や電動機34bによる回生電力を優先利用して、バッテリ21、22、23に充電するようにしてもよい。そして、電力システム1は、太陽光パネル5による発電ができない場合や太陽光パネル5による発電、及び、電動機34bによる回生発電では発電量が十分でない場合等に、商用電源400からの電力によって、バッテリ21、22、23に充電するようにしてもよい。これにより、電力システム1は、商用電源400からの電力を極力使用せずに、昇降機3や各電気設備101を作動させることができる。
また、電力システム1は、蓄電装置2に蓄電された電力を用いる場合、商用電源400の健全時、停電時の両方において、バッテリ21、22からの電力を切替器42、変換器6等を介して各電気設備101に供給し、当該各電気設備101を作動させることができる。電力システム1は、商用電源400の健全時においては、あわせて、商用電源400からの電力を、変換器6等を介して各電気設備101に供給し、当該各電気設備101を作動させることもできる。また、電力システム1は、商用電源400の健全時、停電時の両方において、バッテリ23からの電力を、切替器43、インバータ44等を介して昇降機3に供給し、昇降機3の運転を行うことができる。また、電力システム1は、商用電源400の健全時、停電時の両方において、バッテリ21、22からの電力を、切替器42、切替器43、インバータ44等を介して昇降機3に供給し、昇降機3の運転を行うことができる。また、電力システム1は、商用電源400の健全時、停電時の両方において、バッテリ23からの電力を、切替器42、変換器6等を介して、各電気設備101に供給し、各電気設備101を作動させることができる。また、電力システム1は、商用電源400の健全時、停電時の両方において、蓄電装置2に蓄電された余剰分の電力を、切替器42及び不図示の変換器等を介して建物200、300に融通するようにすることもできる。
そして、昇降機3は、蓄電装置2のバッテリ23等(必要に応じてバッテリ21、22)から電力が供給されている状態で、利用者によりかご操作盤36、乗場操作盤38等を介して乗りかご31の呼び操作が行われた場合、通常運転として、下記のように動作する。すなわち、昇降機3は、かご操作盤36、乗場操作盤38からエレベータ制御装置46にこれに応じた呼び登録信号が入力される。そして、昇降機3は、エレベータ制御装置46がこの呼び登録信号に応じて乗りかご31のかご呼び登録、あるいは、乗場呼び登録を行う。そして、エレベータ制御装置46は、この呼び登録、種々のセンサ、検出器からの出力、乗りかご31の現在の移動方向(昇降方向)等に基づいて、乗りかご31が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに応答するように乗りかご31の着床順序を定める。そして、エレベータ制御装置46は、巻上機34を駆動制御し、乗りかご31を目的の階床へと移動させる。これにより、昇降機3は、乗りかご31が昇降路内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗場35に移動する。そして、昇降機3は、乗りかご31が目的階の乗場35に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、エレベータ制御装置46が乗りかご31及び乗場35の扉を開放する。これにより、乗場35で待機している利用者は、乗りかご31内に乗り込むことが可能となり、また、乗りかご31内の利用者は乗場35に降りることが可能となる。
なお、本実施形態の電力システム1は、さらに、電力情報取得装置7を備えていてもよい。この場合、制御装置4は、例えば、統合制御装置45に電力情報取得装置7が電気的に接続される。電力情報取得装置7は、昇降機3が設置された建物100全体の電力使用量を演算するものである。統合制御装置45は、電力情報取得装置7と相互に電力使用量に関する情報の通信、授受を行う。統合制御装置45は、電力情報取得装置7から建物100の電力使用量に関する情報を取得する。
そして、本実施形態の電力システム1は、蓄電装置2に蓄電されている電力を、昇降機3と建物100の他の電気設備101とで共用して用いる構成において、案内装置50としてのかご案内装置39A、乗場案内装置39Bによって蓄電装置2に関する情報を案内させる。これにより、電力システム1は、昇降機3の利用者等に対して、当該昇降機3を昇降させる蓄電装置2に関する情報を周知することで、昇降機3と当該昇降機3が設けられる建物100での電力使用状態とを連係させて、適正に昇降機3を運転させている。
具体的には、制御装置4は、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bを制御し、例えば、昇降機3の利用者等に対して、蓄電装置2に関する情報を案内させる。なお、電力システム1は、かご案内装置39A、乗場案内装置39B以外にも、案内装置50として、建物100内の管理人室に設けられる管理人室案内装置8、建物100外の昇降機3の遠隔監視センタに設けられる監視センタ案内装置9等を含んで構成されてもよい。管理人室案内装置8、監視センタ案内装置9は、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bと同様に、例えば、スピーカ、表示装置等を含んで構成される。制御装置4は、管理人室案内装置8、監視センタ案内装置9を制御して、例えば、管理人や監視センタの係員等に対して、蓄電装置2に関する情報を案内させるようにしてもよい。また、電力システム1は、さらに、案内装置50として、昇降機3外に携帯可能な携帯端末機器10を含んで構成されてもよい。携帯端末機器10は、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、携帯電話、スマートフォン、PHS、及びPDA等の携帯端末装置等により構成されればよい。制御装置4は、通信機器10a等を介して携帯端末機器10を制御して、例えば、建物100のオーナやテナント利用者等に対して、蓄電装置2に関する情報を案内させるようにしてもよい。なお、以下では、かご案内装置39A、乗場案内装置39B、管理人室案内装置8、監視センタ案内装置9、携帯端末機器10をまとめて単に「案内装置50」という場合がある。
本実施形態の制御装置4は、統合制御装置45が蓄電装置2に関する情報を取得し、これに応じて、電力システム1の各部に案内指令信号を送信して、蓄電装置2に関する情報を案内させる。
ここでは、統合制御装置45は、例えば、エレベータ制御装置46やバッテリ制御装置47から取得する電流計24や電圧計25による検出結果に基づいて、蓄電装置2の残存蓄電量を監視することができる。なお、統合制御装置45は、例えば、昇降機3がバッテリ23だけで運転されるような場合には、当該バッテリ23の残存蓄電量を監視するようにしてもよい。また、統合制御装置45は、例えば、昇降機3がバッテリ21、22、23全てで運転されるような場合には、当該バッテリ21、22、23全ての残存蓄電量を監視するようにしてもよい。
そして、統合制御装置45は、蓄電装置2の残存蓄電量に基づいて蓄電装置2に関する情報を含む案内指令信号を生成し、当該案内指令信号をエレベータ制御装置46に送信する。エレベータ制御装置46は、受信した案内指令信号に基づいて、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bを制御し、蓄電装置2に関する情報を案内させる。また、統合制御装置45は、蓄電装置2の残存蓄電量に基づいて蓄電装置2に関する情報を含む案内指令信号を生成し、当該案内指令信号を管理人室案内装置8、監視センタ案内装置9に送信する。これにより、統合制御装置45は、管理人室案内装置8、監視センタ案内装置9に蓄電装置2に関する情報を案内させる。さらに、統合制御装置45は、蓄電装置2の残存蓄電量に基づいて蓄電装置2に関する情報を含む案内指令信号を生成し、当該案内指令信号を、通信機器10a等を介して携帯端末機器10に送信する。これにより、統合制御装置45は、携帯端末機器10に、蓄電装置2に関する情報を案内させる。統合制御装置45は、昇降機3の昇降中や乗場35へ着床した状態等の昇降機3によるサービス中、昇降機3によるサービスの休止中、昇降機3の保守点検中のいずれの場合であっても、上記蓄電装置2に関する情報を案内させるようにしてもよい。
上記蓄電装置2に関する情報としては、例えば、蓄電装置2の残存蓄電量そのもの、蓄電装置2の残存蓄電量に基づいた昇降機3の運転可能時間、又は、蓄電装置2の残存蓄電量に基づいた昇降機3の運転可能回数のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。つまり、統合制御装置45は、案内装置50を制御し、蓄電装置2の残存蓄電量、蓄電装置2の残存蓄電量に基づいた昇降機3の運転可能時間、又は、蓄電装置2の残存蓄電量に基づいた昇降機3の運転可能回数等を案内させるようにしてもよい。この場合、統合制御装置45は、案内装置50を制御し、現在の蓄電装置2の残存蓄電量、運転可能時間、運転可能回数を案内するようにしてもよいし、過去の蓄電装置2の残存蓄電量、運転可能時間、運転可能回数を記憶部に記憶しておき、当該過去の蓄電装置2の残存蓄電量、運転可能時間、運転可能回数の履歴を案内するようにしてもよい。統合制御装置45は、案内装置50や遠隔監視センタ等を介した操作に応じて、表示内容を適宜切り替えるようにしてもよいし、例えば、時間帯に応じて自動で表示内容を適宜切り替えるようにしてもよい。
ここで、統合制御装置45は、例えば、蓄電装置2の残存蓄電量と、昇降機3(ここでは、昇降機3の乗りかご31)の積載荷重と、昇降機3の昇降速度とに基づいて、昇降機3の運転可能時間、昇降機3の運転可能回数を算出することができる。昇降機3の積載荷重は、荷重検出器37よる検出結果に基づいてエレベータ制御装置46から取得される。昇降機3の昇降速度は、例えば、予め設定される昇降速度や電動機34bの出力負荷等から推定される昇降速度を用いればよい。昇降機3の運転可能時間は、蓄電装置2からの電力によって、昇降機3の昇降運転を継続することができる残り時間に相当する。昇降機3の運転可能回数は、蓄電装置2からの電力によって、昇降機3が所定の階床間を昇降可能な残り回数に相当する。
統合制御装置45は、例えば、蓄電装置2の残存蓄電量と、昇降機3の積載荷重と、昇降機3の昇降速度と、上記運転可能時間と、上記運転可能回数との関係を、昇降機3の昇降に必要な必要電力量を踏まえて予め設定したマップあるいは数式モデルが記憶部に記憶されている。統合制御装置45は、上記のようにして監視している現時点(演算対象時点)での蓄電装置2の残存蓄電量、昇降機3の積載荷重、昇降機3の昇降速度に基づいて、当該マップあるいは数式モデルを用いて、運転可能時間、運転可能回数を演算する。なお、統合制御装置45は、蓄電装置2の残存蓄電量、昇降機3の積載荷重、昇降機3の昇降速度に加えて、さらに、昇降機3の乗りかご31の運転階床、乗りかご31の現在位置等に基づいて、運転可能時間、運転可能回数を演算するようにしてもよい。また、統合制御装置45は、上記のパラメータに加えて、さらに、昇降機3の乗りかご31の加速度、加加速度等を含んでいてもよい。例えば、統合制御装置45は、蓄電装置2の残存蓄電量と、昇降機3の積載荷重と、昇降機3の昇降速度と、昇降機3の乗りかご31の加速度と、昇降機3の乗りかご31の加加速度とに基づいて運転可能時間、運転可能回数を演算するようにしてもよい。
また、統合制御装置45は、案内装置50を制御し、蓄電装置2の残存蓄電量に基づいて、昇降機3によって所望の目的地まで昇降可能であるか否かを案内させるようにしてもよい。統合制御装置45は、例えば、蓄電装置2の残存蓄電量、昇降機3の積載荷重等に基づいて、かご操作盤36、乗場操作盤38等を介して登録された呼び登録に対して、当該呼び登録によって登録された階床まで乗りかご31を移動させることができるか否かを判定する。統合制御装置45は、例えば、現在の昇降機3の積載荷重で、登録された階床まで乗りかご31を昇降させるために必要な必要電力量を推定し、当該必要電力量を現在の蓄電装置2の残存蓄電量でまかなうことができるか否かを判定する。これにより、統合制御装置45は、登録された階床まで乗りかご31を移動させることができるか否かを判定することができる。統合制御装置45は、当該必要電力量を現在の蓄電装置2の残存蓄電量でまかなうことができると判定した場合には、昇降機3によって所望の目的地まで昇降可能であると判定する。そして、統合制御装置45は、案内装置50を制御し、昇降機3によって所望の目的地まで昇降可能である旨の案内を行う。一方、統合制御装置45は、当該必要電力量を現在の蓄電装置2の残存蓄電量でまかなうことができないと判定した場合には、昇降機3によって所望の目的地まで昇降不能であると判定する。そして、統合制御装置45は、案内装置50を制御し、昇降機3によって所望の目的地まで昇降不能である旨の案内を行う。
また、統合制御装置45は、電力情報取得装置7から建物100の電力使用量に関する情報を取得可能である。そして、統合制御装置45は、さらに、案内装置50を制御し、建物100の電力使用量を案内するようにしてもよい。この場合、統合制御装置45は、案内装置50を制御し、現在の建物100の電力使用量を案内するようにしてもよいし、過去の電力使用量を記憶部に記憶しておき、過去の建物100の電力使用量の履歴を案内するようにしてもよい。この場合も、統合制御装置45は、案内装置50や遠隔監視センタ等を介した操作に応じて、表示内容を適宜切り替えるようにしてもよいし、例えば、時間帯に応じて自動で表示内容を適宜切り替えるようにしてもよい。
また、統合制御装置45は、案内装置50を制御し、電力情報取得装置7から取得した建物100の電力使用量を見込んだ蓄電装置2に関する情報を案内させるようにしてもよい。この場合、統合制御装置45は、例えば、現在の建物100の電力使用量や過去の建物100の電力使用量の履歴等に基づいて、現時点以降の時間帯での建物100の電力使用量の推移を推定し、これに応じて蓄電装置2の残存蓄電量の変動を予想するようにしてもよい。そして、統合制御装置45は、案内装置50を制御し、建物100の電力使用量に応じて予測した蓄電装置2の残存蓄電量の予想値を案内させるようにしてもよい。この場合、統合制御装置45は、蓄電装置2の残存蓄電量の現在値と予想値とを並列的に表示案内させるようにしてもよいし、案内装置50や遠隔監視センタ等を介した操作に応じて、表示内容を適宜切り替えるようにしてもよいし、時間帯に応じて自動で表示内容を適宜切り替えるようにしてもよい。
さらに、統合制御装置45は、昇降機3が設けられる建物100とは別の他の建物200、300と連係可能であり、案内装置50を制御し、当該他の建物200、300の蓄電装置(不図示)の残存蓄電量を踏まえて蓄電装置2に関する情報を案内させるようにしてもよい。この電力システム1は、上述したように、建物100とは別の建物200、300を電力源とし、当該建物200、300から電力を受電し、あるいは、建物100と建物200、300との間で相互に電力を融通するようにしてもよい構成となっている。このため、統合制御装置45は、昇降機3が建物200、300の蓄電装置からの電力を受けて昇降するような場合には、建物100の蓄電装置2の残存蓄電量と建物200、300の蓄電装置(不図示)の残存蓄電量との合計に基づいた蓄電装置2に関する情報を案内装置50に案内させるようにしてもよい。
図2、図3は、案内装置50としてのかご案内装置39A、乗場案内装置39Bによる案内の一例を表している。図2の例では、かご案内装置39Aは、例えば、案内表示情報を表示可能な表示装置50aを有する。表示装置50aは、例えば、かご操作盤36を含むCOPに組み込まれて設けられる。かご操作盤36を含むCOPは、例えば、鉛直方向上側から順に、かご呼び登録ボタン36a、扉開ボタン36b及び扉閉ボタン36c、スイッチボックス36d等が設けられる。かご呼び登録ボタン36aは、「行先階」を表すボタン等からなり利用者による呼び登録操作を受け付けるものである。扉開ボタン36b、扉閉ボタン36cは、昇降機3の扉の「開」、「閉」等に対応し利用者による扉開放操作、扉閉鎖操作を受け付けるものである。スイッチボックス36dは、昇降機3の乗りかご31における各種スイッチ等を収納するものである。ここでは、表示装置50aは、かご呼び登録ボタン36aの鉛直方向上側に設けられる。図3の例では、乗場案内装置39Bは、案内表示情報を表示可能な表示装置50cを有する。表示装置50cは、乗場操作盤38を含むHIBに組み込まれて設けられる。乗場操作盤38を含むHIBは、例えば、乗場呼び登録ボタン38a等が設けられる。乗場呼び登録ボタン38aは、「上方向矢印」、「下方向矢印」を表すボタン等からなり利用者による呼び登録操作を受け付けるものである。ここでは、表示装置50cは、乗場呼び登録ボタン38aの鉛直方向上側に設けられる。
図2、図3の例では、統合制御装置45は、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bを制御し、蓄電装置2に関する情報として、例えば、電池を模したレベルインジケータ50b、50dを表示装置50a、50cに案内表示させる。レベルインジケータ50b、50dは、蓄電装置2等の残存蓄電量を表すインジケータである。ここでは、レベルインジケータ50b、50dは、蓄電装置2等の残存蓄電量を5段階で案内表示する。また、図2の例では、統合制御装置45は、かご案内装置39Aを制御し、昇降機3の運転可能回数として、「1階→5階」の移動の場合には「10回」、「2階→3階」の移動の場合には「50回」などと表示装置50a、50cに案内表示させる。また、図3の例では、統合制御装置45は、乗場案内装置39Bを制御し、昇降機3の運転可能時間として「運転時間 残り 10分」、昇降機3の運転可能回数として「あと、2回乗れます。」などと表示装置50cに案内表示させる。
次に、図4のフローチャートを参照して制御装置4による制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、制御装置4は、蓄電装置2の残存蓄電量を計測する(ステップST1)。このとき、制御装置4は、状況に応じて、建物200、300の蓄電装置の残存蓄電量もあわせて計測するようにしてもよい。
次に、制御装置4は、ステップST1で計測した蓄電装置2の残存蓄電量に基づいて、蓄電装置2に関する情報を生成する(ステップST2)。制御装置4は、蓄電装置2に関する情報として、例えば、蓄電装置2の残存蓄電量、昇降機3の運転可能時間、昇降機3の運転可能回数、昇降機3によって所望の目的地まで昇降可能であるか否か等の情報を生成する。
次に、制御装置4は、ステップST2で生成した蓄電装置2に関する情報に基づいて、案内装置50を制御して、蓄電装置2に関する情報を案内させて(ステップST3)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
上記のように構成される電力システム1は、建物100の電気設備101等の電源としても兼用される蓄電装置2によって昇降機3が運転される。そして、電力システム1は、案内装置50によって、当該昇降機3の利用者等に対して、建物100での他の電気設備101の電力使用状態の影響をうける当該蓄電装置2に関する情報を案内させることができる。これにより、電力システム1は、昇降機3の利用者等に対して、当該昇降機3を昇降させる蓄電装置2に関する情報を周知することができる。ここでは、案内装置50は、かご案内装置39A、乗場案内装置39B、管理人室案内装置8、監視センタ案内装置9、携帯端末機器10等を含んで構成される。このため、電力システム1は、これらの案内装置50によって、昇降機3の利用者以外にも、建物100の管理人、監視センタの係員、建物100のオーナ、テナント利用者等に対して、蓄電装置2に関する情報を周知することができる。
この結果、この電力システム1は、上記利用者等に対して、例えば、蓄電装置2が放電の限界に達し昇降機3が停止状態となる時期等を適切に周知することができる。これにより、電力システム1は、利用者等に対して、昇降機3が急に停止状態となったと感じさせるような事態が発生することを抑制することができ、例えば、利用者等に対して安心感を与えることができる。この結果、利用者は、例えば、昇降機3が実際に停止状態となる前に、当該昇降機3が停止状態となった後のことを予め想定することができ、例えば、非常階段を利用する等の選択肢を事前に判断することができる。また、例えば、乗場35で乗りかご31に乗り込もうと待機していた利用者も乗りかご31が停止状態となる時期を事前に知ることができるので、非常階段を利用する等の選択肢を事前に判断することができる。したがって、電力システム1は、当該昇降機3が設置された建物100内の多くの人が効率よく利用することができる。また、電力システム1は、建物100の電力使用状態を踏まえた蓄電装置2に関する情報を、昇降機3の利用者の他、建物100の管理人、監視センタの係員、建物100のオーナ、テナント利用者等に知らせることができるので、建物100全体の電力使用状態に応じた対策を事前に準備させることができる。したがって、電力システム1は、昇降機3と当該昇降機3が設けられる建物100での電力使用状態とを連係させて、適正に昇降機3を運転させることができる。
以上で説明した昇降機3を備えた建物100の電力システム1は、蓄電装置2と、昇降機3と、案内装置50と、制御装置4とを備える。蓄電装置2は、建物100の電気設備101を作動させる電力を蓄電可能である。昇降機3は、建物100に設けられ蓄電装置2からの電力により昇降する。案内装置50は、昇降機3の運転に関する案内を行う。制御装置4は、案内装置50を制御し、蓄電装置2に関する情報を案内させる。
したがって、この電力システム1は、商用電源400の健全時、停電時にかかわらず、利用者等に対して蓄電装置2に関する情報を周知することができる。そして、電力システム1は、昇降機3と当該昇降機3が設けられる建物100での電力使用状態とを連係させて、適正に昇降機3を運転させることができ、例えば、蓄電装置2の電力を効果的に利用することができる。また、電力システム1は、例えば、昇降機3を備えた建物100の全体で電力のマネージメントを効率的に行い、省エネルギで昇降機3を運用することができる。また、電力システム1は、例えば、昇降機3が設けられる建物100とは別の他の建物200、300とも連係可能であり、これら建物100、200、300を含む地域全体で電力のマネージメントを効率的に行うことができる。
なお、上述した実施形態に係る昇降機を備えた建物の電力システムは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bは、案内表示情報を表示可能な表示装置50a、50cを有するものとして説明したが、音声案内情報をアナウンス可能なスピーカ等を有するものであってもよい。この場合、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bは、例えば、蓄電装置2に関する情報として、所定時間ごとにスピーカによって「運転時間 残り 10分」、「あと、2回乗れます。」等の音声案内情報をアナウンスするようにしてもよい。また、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bは、例えば、蓄電装置2の残存蓄電量が所定値より多く、十分に残っている場合には、例えば、「使用可能です。」等の音声案内情報をアナウンスするようにしてもよい。また、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bは、例えば、蓄電装置2の残存蓄電量が所定値より少なくなってきた場合には、例えば、「あと1階床分使用できます。」、「低速度での運転に変更します。」等の音声案内情報をアナウンスするようにしてもよい。この場合、制御装置4は、通常運転の場合と比較して昇降機3の昇降速度を低下させ、昇降機3での電力使用量を抑制するようにしてもよい。また、かご案内装置39A、乗場案内装置39Bは、例えば、蓄電装置2の残存蓄電量が昇降機3を昇降させることができない程度の量になった場合には、例えば、「電池残量がありませんのでエレベータは使用できません。」等の音声案内情報をアナウンスするようにしてもよい。
以上で説明した実施形態、変形例に係る昇降機を備えた建物の電力システムによれば、昇降機と当該昇降機が設けられる建物での電力使用状態とを連係させて、適正に昇降機を運転させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。