図1において、医療情報システム2は、病院等の医療施設に構築され、診療科10に設置される診療科端末11、放射線検査科(以下、単に検査科という)12に設置されるレポート作成端末13、データベース(以下、DBと略す)サーバ14、およびこれらを通信可能に接続するネットワーク15を備える。ネットワーク15は、例えば、院内に敷設されたLAN(Local Area Network)である。
診療科端末11は、検査や読影を依頼する診療科10の医師(以下、依頼医という)によって操作される。診療科端末11は、カルテ16の閲覧や入力の他、検査科12に対して検査を依頼するためのオーダを発行する際に利用される。診療科端末11は、検査科12から提供される検査画像17やレポート18を表示して、依頼医の閲覧に供する。
レポート作成端末13は、読影を専門とする検査科12の医師(以下、読影医という)によって操作される。レポート作成端末13は、読影医がオーダを確認したり、レポート18を作成したりするときに利用される。レポート作成端末13は、画像表示画面やレポート編集画面44(図3参照)を表示して、レポート18の作成を支援する。
DBサーバ14には、カルテDB19、画像DB20、レポートDB21等の複数のDBが構築されている。カルテDB19は、患者毎のカルテ16のデータ等を格納する。画像DB20は、CR装置、CT装置、MRI装置といった検査科12のモダリティ22によって撮影された検査画像17のデータを格納する。レポートDB21は、レポート作成端末13によって作成されたレポート18のデータを格納する。
DBサーバ14は、ネットワーク15を通じて、モダリティ22から検査画像17のデータを受信して、受信した検査画像17のデータを画像DB20に格納する。つまり、DBサーバ14は、いわゆるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)サーバとして機能し、モダリティ22とともにPACSを構成する。
検査画像17のデータは、個々の検査画像17を識別するための画像IDを有する。検査画像17のデータは、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)に準拠したファイル形式で、画像DB20に格納される。検査画像17のファイルには、患者ID、検査ID、検査日、検査種等の項目を含む付帯情報を記録したDICOMタグが付与される。画像DB20に格納された検査画像17のデータは、DICOMタグの各種項目を検索キーとして、検索が可能である。
DBサーバ14は、診療科端末11およびカルテDB19とともにカルテシステムを構成する。また、DBサーバ14は、レポート作成端末13、画像DB20、並びにレポートDB21とともにレポート作成支援システムを構成する。レポート18のデータは、検査画像17のデータと同様、検査ID、患者ID、患者名等の検索キーによって検索が可能である。なお、本例では、各DB19〜21を一つのDBサーバ14に構築した例で説明しているが、各DB19〜21を別々のDBサーバに構築してもよい。
診療科端末11が発行するオーダは、患者ID、患者名、依頼日、依頼元、検査種(CTやMRI等)、検査目的、読影の要否等の情報を記録する各種項目を有する。依頼元の項目には、内科、脳外科等の依頼医の所属、氏名、医師IDといった情報が記録される。検査目的の項目には、治療中の病巣に対する治療効果を判定する治療効果判定、転移巣の有無を調べる転移検索等の情報が記録される。
診療科端末11が発行したオーダは、検査科12に設置されたオーダ受付端末(図示せず)に送信されて、検査科12に受け付けられる。オーダ受付端末は、受信したオーダに検査IDを付与して、オーダのデータを管理する。検査IDは、受付完了通知とともにオーダ受付端末から診療科端末11に送信される。検査科12のスタッフ(検査技師)は、オーダ受付端末で受信したオーダに基づいて、モダリティ22による撮影を行う。
読影が必要な場合(オーダの読影の要否の項目が要の場合)には、検査IDが付与されたオーダが、オーダ受付端末からレポート作成端末13に送信される。読影医は、レポート作成端末13を介してオーダを確認し、画像DB20から読影の対象となる検査画像17のデータを読み出す。そして、読み出した検査画像17の読影結果をレポート18にまとめる。
レポート18の作成が完了すると、読影医は、オーダ発行元の診療科端末11に対して、レポート作成端末13を通じて作成完了通知を送信する。作成完了通知には、検査画像17やレポート18が格納される各DB20、21内のアドレスが含まれている。依頼医は、診療科端末11を通じて作成完了通知に含まれるアドレスにアクセスして、検査画像17やレポート18を閲覧する。
各端末11、13およびDBサーバ14は、それぞれ、パーソナルコンピュータ、サーバ用コンピュータ、ワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、クライアントプログラム又はサーバプログラムといったアプリケーションプログラムをインストールして構成される。
図2において、各端末11、13およびDBサーバ14を構成するコンピュータは、基本的な構成は略同じであり、それぞれ、CPU30、メモリ31、ストレージデバイス32、LANポート33、およびコンソール34を備えている。これらはデータバス35を介して相互接続されている。
ストレージデバイス32は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。ストレージデバイス32には、制御プログラムやアプリケーションプログラム(以下、APという)36が格納される。また、レポート作成端末13のストレージデバイス32には、所見文作成用定義59(図3、図4参照)と文法辞書60(図3、図5、図6参照)が格納される。
さらに、DBサーバ14には、プログラムを格納するHDDとは別に、DB用のストレージデバイス32として、例えば、HDDを複数台連装したディスクアレイが設けられる。ディスクアレイは、DBサーバ14の本体に内蔵されるものでもよいし、本体とは別に設けられ、本体にケーブルやネットワークを通じて接続されるものでもよい。
メモリ31は、CPU30が処理を実行するためのワークメモリである。CPU30は、ストレージデバイス32に格納された制御プログラムをメモリ31へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。
LANポート33は、ネットワーク15との間の伝送制御を行うネットワークインタフェースである。コンソール34は、ディスプレイ37と、キーボードやマウス等の入力デバイス38とからなる。
診療科端末11には、AP36として、カルテ16の閲覧や編集を行うカルテ用ソフトウエア、検査画像17やレポート18の閲覧を行うビューアソフトウエアといったクライアントプログラムがインストールされる。クライアントプログラムが起動されると、診療科端末11のディスプレイ37には、GUI(Graphical User Interface)による操作画面が表示される。操作画面には、カルテDB19、画像DB20、レポートDB21から、それぞれ読み出されたカルテ16、検査画像17、レポート18を表示する表示画面が含まれる。
診療科端末11には、入力デバイス38を通じて、カルテ16の入力・編集の指示や、オーダの入力・発行の指示といった操作指示が入力される。入力されたカルテ16やオーダのデータは、カルテDB19に格納される。
レポート作成端末13には、AP36として、レポート作成支援を行うレポート編集用のクライアントプログラムがインストールされている。レポート作成端末13は、レポート編集用のクライアントプログラムによって、検査画像17の表示処理と、レポート18の編集処理とを行う。DBサーバ14には、AP36として、クライアントである各端末11、13からの要求に応じて処理を実行し、処理結果を応答するサーバプログラムがインストールされている。
図3において、レポート作成端末13のCPU30は、レポート編集用のクライアントプログラムを起動すると、コンソール制御部(第一、第二操作入力制御手段に相当)40、DBアクセス部41、編集処理部(検索・抽出手段、作成手段、判定手段に相当)42、オーダ取得部43として機能する。オーダ取得部43は、オーダ受付端末からネットワーク15を介してオーダを取得する。取得したオーダは、例えば、レポート作成端末13のストレージデバイス32に設けられたオーダテーブル(図示せず)に登録される。
レポート作成端末13は、CPU30が設けられた端末本体に、二台のディスプレイ37a、37bを接続した構成である。一台のディスプレイ37aには、検査画像17の観察用に使用される画像表示画面が出力される。もう一台のディスプレイ37bには、レポート18の作成に使用されるレポート編集画面44が出力される。
画像表示画面およびレポート編集画面44は、GUIによる操作画面を構成する。コンソール制御部40は、これらの操作画面を各ディスプレイ37a、37bに出力し、操作画面を通じて、入力デバイス38からの操作指示の入力を受け付ける。
画像表示画面およびレポート編集画面44は、連動して起動する。レポート編集画面44から、読影対象の検査画像17が含まれる検査IDが入力されると、コンソール制御部40は、DBアクセス部41を通じて、検査IDに対応する検査画像17のデータを画像DB20から取得する。コンソール制御部40は、取得した検査画像17をディスプレイ37aに出力する際に、画像表示画面を起動する。
画像表示画面には、CR装置で撮影された放射線による透視画像や、CT装置やMRI装置で撮影された断層画像、断層画像に基づいて生成される三次元画像といった各種の検査画像17が表示される。画像表示画面は、一画面に六コマの断層画像を配列して表示するというように、複数の検査画像17を同時に表示することが可能である。画像表示画面には、操作ボタン、リストボックス、アイコンといった、GUIを構成する各種の操作ツールが設けられている。こうした操作ツールを通じて、入力デバイス38からの各種の操作指示が入力される。
レポート編集画面44には、基本情報表示領域45、所見文入力領域46、用語選択入力領域47、および操作ボタン領域48が設けられている。これら各領域は、GUIを構成する各種の操作ツールである。こうした操作ツールを通じて、入力デバイス38からの各種の操作指示が入力される。操作指示には、レポートDB21からレポート18のデータを読み出す指示、レポートDB21へレポート18のデータを保存する指示、所見文入力領域46を選択してアクティブ(入力が可能な状態)にする指示等が含まれる。
基本情報表示領域45には、患者名(「富永士郎」)、検査ID(「CT0803」)、検査画像17の撮影日(「10/7/30(2010年7月30日)」)といった基本情報が表示される。これらの基本情報は、オーダから読み出される。
所見文入力領域46には、読影医が検査画像17を観察して認識した、病変の状態等の観察記録、すなわち所見を表す文(以下、所見文という)が入力される。図においては、所見文入力領域46は一つだけ表示されているが、所見文入力領域46は追加することも可能である。所見文入力領域46を追加する際には、病変が複数有る場合に、病変毎に所見を分けて入力したり、検査目的が複数ある場合(例えば、治療効果判定と転移検索等)に、検査目的毎に所見を分けて入力したりといった使い方がされる。また、研修医と指導医、一次読影を行う読影医と二次読影を行う読影医等、複数の読影医が所見をそれぞれ入力するという使い方も可能である。
用語選択入力領域47は、マウスのクリック操作によって、所見文入力領域46へ所見文を入力するための操作ツールであり、テンプレート式操作ツールとも呼ばれる。用語選択入力領域47は、「肝臓」、「胆管」といった臓器別の大分類パネル49と、小分類パネル50とを有する。小分類パネル50は、「肝臓の形態」、「腫瘤性病変」といった、臓器毎に所見として記入されるべき項目を類型化した所見項目を有する。各パネル49、50は、タブによって切り替え選択が可能である。大分類パネル49として選択された臓器名は、所見文入力領域46の横に表示される。本例では、大分類パネル49として「肝臓」が、小分類パネル50として「肝臓の形態」がそれぞれ選択されている。
小分類パネル50には、さらに、複数の用語選択ボタン51が設けられている。用語選択ボタン51は、所見項目をさらに細分化した、「辺縁」、「表面」、「腫大」、「萎縮」等々の観察項目(主要語句に相当)毎に、横並びに配列されている。例えば、「辺縁」の観察項目には、「鋭」、「やや鈍」、「鈍」、「表面」の観察項目には、「平滑」、「やや凹凸」、「凹凸」といった入力語句がある。「腫大」および「萎縮」の観察項目には、さらに「腫大程度」、「腫大部位」、「萎縮程度」、「萎縮部位」という従属項目がある。以下の説明では、特に区別する必要がない限り、観察項目と従属項目をまとめて観察項目という。用語選択ボタン51の用語には、各観察項目で使用される頻度が高い医療用語が使用されている。また、用語選択ボタン51の用語は全て、観察項目の程度や形状を表し、観察項目を修飾する語句である。
用語選択ボタン51は、各観察項目について一つだけ選択することが可能である。このため、例えば「辺縁−鋭」が選択されていて、「辺縁−鈍」を選択し直した場合は、「辺縁−鋭」の選択が自動的に解除される。
所見文入力領域46をアクティブにした状態で、所望の用語選択ボタン51にポインタ52を合わせて、マウスでクリック操作を行うと、選択された用語に基づいた所見文が所見文入力領域46に表示される。所見文入力領域46に入力された所見文には、キーボードを操作することで、修正加筆することも可能である。
所見文は、一個以上の用語選択ボタン51を選択したときに表示される。所見文は、用語選択ボタン51が追加選択される毎に表示が更新される。追加選択は、例えば、二つの観察項目の用語選択ボタン51が選択されていて、三つ目の観察項目の用語選択ボタン51を選択する場合と、同一の観察項目で用語選択ボタン51の選択をし直す場合とを含む。
本例では、用語選択ボタン51として、斜線で示すように「辺縁−鈍」、「表面−凹凸」、「腫大程度−軽度」、「腫大部位−左葉」、「萎縮程度−高度」、「萎縮部位−右葉」、「実質均一度−不均一」、「実質濃度−低い」がそれぞれ選択されている。また、所見文として、「肝は辺縁鈍、表面凹凸、左葉の腫大は軽度、右葉の萎縮は高度、実質は不均一で低濃度です。」が所見文入力領域46に表示された状態を図示している。
操作ボタン領域48には、各種操作ボタン53〜58が設けられている。所見追加ボタン53は、所見文入力領域46を追加するためのものである。所見追加ボタン53にポインタ52を合わせてマウスをクリック操作すると、レポート編集画面44に所見文入力領域46が追加表示される。
所見文入力領域46に入力された所見文のデータ(以下、所見データという)は、個々を識別する所見IDを有する。所見IDは、検査画像17やレポート18と所見文との対応をとるためのものであり、所見文入力領域46の追加された順に付された番号を含む。N個目(Nは1以上の自然数)の所見文入力領域46に入力される所見文には、「F−N」の所見IDが割り当てられる。本例では、一個目の所見文入力領域46に所見文を入力する際を示しており、所見文入力領域46の上部に所見IDの「F−1」が表示されている。
終了ボタン54は、レポート18の編集を終了するためのものである。終了ボタン54が選択されると、レポート18のデータが確定保存される。確定保存されたレポート18は、不正な改ざんを防止するために、編集が禁止される。中断ボタン55は、レポート18の作成を一時中断するためのものである。中断ボタン55が選択されると、作成途中のレポート18のデータが一時保存される。キャンセルボタン56は、レポート編集画面44を閉じる際に選択される。
表現変更ボタン57は、各観察項目の主語、述語、目的語といった文要素等を読影医に選択させ、所見文の表現を読影医の嗜好に合わせて指定するためのものである。項目追加ボタン58は、現在採用されている観察項目に加えて新たに観察項目を追加するためのものである。表現変更ボタン57および項目追加ボタン58の詳細な機能については後述する。
DBアクセス部41は、コンソール制御部40や編集処理部42からの指令に基づいて、DBサーバ14に対する処理要求の送信と処理結果の受信とを行う。画像DB20に対する処理要求には、検査IDや画像IDといった情報を検索キーとして、検査画像17を検索するための検索要求がある。レポートDB21に対する処理要求には、作成したレポート18のデータを格納するための格納要求と、作成したレポート18のデータや、作成途中のレポート18のデータの検索要求とがある。
DBアクセス部41は、格納要求の対象となるデータを、編集処理部42から受け取り、DBサーバ14へ送信する。また、検索要求の対象となるデータを、DBサーバ14から受信して、コンソール制御部40に引き渡す。
DBサーバ14のCPU30は、サーバプログラムを実行することにより、検査画像17、およびレポート18のデータの格納処理部および検索処理部として機能する。格納処理部は、レポート作成端末13やモダリティ22といったクライアントからの各データの格納要求に応じて、各DB20、21へのデータの格納処理を実行する。検索処理部は、診療科端末11、レポート作成端末13からの各データの配信要求に応答して、要求されたデータを各DB20、21から検索して、検索したデータを要求元へ配信する。
編集処理部42は、レポート編集画面44の所見文入力領域46に入力された所見データ、および各パネル49、50、用語選択ボタン51の選択状態を、コンソール制御部40を通じて受け付ける。編集処理部42は、受け付けた所見データを、所見文入力領域46毎に区別してブロック化する。
編集処理部42は、ブロック化した所見データのそれぞれに「F−1」、「F−2」等の所見IDを付加して、これらをレポート18のデータに記録する。編集処理部42は、所見データの他に、オーダから読み出された検査ID、患者ID、患者名といった情報を、レポート18のデータに付加する。
編集処理部42は、所見IDに加えて、各所見データに対して、その所見文を入力した読影医を識別するための医師IDを付加する。医師IDは、レポート作成端末13の起動時のユーザ認証の際等に読影医によって入力される。所見データは、所見IDや医師IDによって検索することが可能である。
編集処理部42は、ストレージデバイス32に格納された所見文作成用定義59に基づいて、各パネル49、50、用語選択ボタン51の選択状態に応じた所見文を作成する。また、編集処理部42は、前述の表現変更ボタン57および項目追加ボタン58の操作により入力されたデータに応じて、所見文作成用定義59を更新する。
図4の左側上部において、所見文作成用定義59は、臓器の項目を最上層として、所見項目、観察項目の順に下層となる階層構造を有する。臓器と所見項目、所見項目と観察項目は、それぞれ親子関係にあり、臓器、所見項目、観察項目、及び従属項目の各々は、兄弟関係にある。臓器の項目には、大分類パネル49の「肝臓」、「胆管」等が、所見項目には、小分類パネル50の「肝臓の形態」、「腫瘤性病変」等が、観察項目には、「辺縁」、「表面」、「腫大」、「萎縮」等がそれぞれ登録されている。観察項目の「腫大」、「萎縮」、「実質」の下層には、それぞれ、「腫大部位」、「腫大程度」、「萎縮部位」、「萎縮程度」、「実質均一度」、「実質濃度」の従属項目が繋げられている。図示は省略したが、臓器の項目の「胆管」や「胆嚢」、あるいは所見項目の「腫瘤性病変」等も、それぞれ複数の所見項目および観察項目を下の階層に有する。
図4の右側および左側下部において、各観察項目の所見文作成用定義59には、その観察項目に関する節を構成する語句が登録されている。語句には、その観察項目に関する節の主部の修飾部および本体部、述部の修飾部および本体部がある。主部の本体部のとり得る文要素は主語、または目的語があり、述部の本体部はすなわち述語である。主部の修飾部は本体部である主語または目的語、述部の修飾部は述語をそれぞれ修飾する。観察項目には、これら全ての種類の語句が登録されているものもあれば、いずれかが登録されているものもある。
日本語の文法からすれば、文には述部が一つ必ず存在しなければならない。但し主部はなくてもよく、主部、述部の修飾部もなくても文は成り立つ。述部の本体部は文または節の語尾となり、文の途中、末尾、否定、肯定に応じて活用が変化する。
主部の本体部は、「辺縁」、「表面」、「腫大」等であり、デフォルト設定では観察項目と同一である。また、主部の本体部は、デフォルト設定では全て文要素が主語となっている。主部の本体部は、その観察項目に属する用語選択ボタン51が選択されたときに必ず所見文に入る。
主部の修飾部は、「肝全体の」、「右葉の」、「左葉の」である。各修飾部は、用語選択ボタン51の用語の表示と同一である。各修飾部は、「腫大−なし」、「萎縮−なし」が選択された場合を除いて、対応する用語選択ボタン51が選択されたときに必ず所見文に入る。
述部の本体部は、「軽度、」、「高濃度です。」「なく、」、「ありません。」「均一で、」等であり、用語選択ボタン51の選択状態に応じて可変する。述部の本体部には、属性として使用位置、および使用形式が定義されている。使用位置には「途中」、「末尾」、使用形式には「肯定」、「否定」のそれぞれ二種類がある。使用位置が「途中」の述部の本体部(「軽度、」、「なく、」等)は、その観察項目に関する節が、所見文の途中の節である場合に使用する。使用位置が「末尾」の述部の本体部(「高濃度です。」、「ありません。」等)は、その観察項目に関する節が、所見文の末尾の節である場合に使用する。
使用形式が「肯定」の述部の本体部(「軽度、」、「高濃度です。」等)は、その観察項目に関する節が、肯定形である場合に使用する。使用形式が「否定」の述部の本体部(「なく、」、「ありません。」)は、その観察項目に関する節が、否定形である場合に使用する。否定形である場合とは、本例では、観察項目「腫大程度」、「萎縮程度」において、用語選択ボタン51で「なし」を選択した場合である。それ以外は全て肯定を表す。
用語選択ボタン51のいずれかが選択された場合、編集処理部42は、まず、各パネル49、50の選択状態に対応する、所見文作成用定義59の臓器の項目、所見項目の階層を辿る。そして、選択された用語選択ボタン51に対応する観察項目(以下、アクティブな観察項目という)の語句を、所見文作成用定義59から読み出す。下層(子)の従属項目、本例では「腫大程度」、「腫大部位」、「萎縮程度」、「萎縮部位」、「実質均一度」、「実質濃度」の用語選択ボタン51が選択された場合は、その上層(親)の観察項目である「腫大」、「萎縮」、「実質」も自動的にアクティブとなる。
続いて、編集処理部42は、アクティブな観察項目の述部の本体部を決定する。編集処理部42は、アクティブな観察項目に関する節の使用位置、および使用形式を調べる。編集処理部42は、アクティブな観察項目と同じ階層レベル(兄弟関係)にある観察項目がアクティブであるか否かを、所見文作成用定義59の登録順に見ていく。使用位置、および使用形式の判定対象となるアクティブな観察項目の後に、別のアクティブな観察項目がある場合は、使用位置は「途中」、そうでなければ「末尾」となる。
選択された用語選択ボタン51に対応する語句の使用形式が「否定」であった場合、すなわち本例で「腫大程度−なし」、「萎縮程度−なし」が選択された場合、編集処理部42は、「腫大」、「萎縮」の使用形式を「否定」と断じる。それ以外は全て「肯定」と断じる。編集処理部42は、以上のようにして所見文作成用定義59から読み出した各部の語句を、主部の修飾部、本体部、述部の修飾部、本体部の順(所見文作成用定義59の並び(登録)順)に従って連結し、所見文を作成する。
図3の各パネル49、50、用語選択ボタン51の選択状態を例に挙げて、編集処理部42の所見文の作成処理を説明する。各パネル49、50として「肝臓」、「肝臓の形態」が選択されているので、編集処理部42は、所見文作成用定義59の「肝臓」、その下層の「肝臓の形態」を辿る。そして、アクティブな観察項目(この場合は「辺縁」〜「実質」まで全て)の主部の本体部である「辺縁」、「腫大は」、「実質は」等、および主部の修飾部である「左葉の」「右葉の」等を、所見文作成用定義59から読み出す。
この場合、全ての観察項目がアクティブであるため、観察項目「辺縁」〜「実質均一度」までは、使用位置が「途中」である。また、「腫大程度−なし」、「萎縮程度−なし」が選択されていないため、観察項目の使用形式は全て「肯定」である。従って、編集処理部42は、述部の本体部として「軽度、」、「不均一で」、「低濃度です。」等を所見文作成用定義59から選択的に読み出す。このようにして読み出した各種語句を、予め定められた順序に従って連結すると、図3および段落[0061]に記載した所見文となる。
他の例を挙げると、「辺縁−鈍」のみが選択された場合、所見文は「辺縁鈍です。」となる。また、「腫大程度−なし」のみが選択された場合は述部3が採用され、所見文は「腫大はありません。」、「萎縮程度−中等度」、「萎縮部位−肝全体」のみが選択された場合は述部2が採用され、所見文は「肝全体の萎縮は中等度です。」となる。「実質−不均一」のみが選択された場合は述部2が採用され、所見文は「実質は不均一です。」である。アクティブな観察項目が一つである場合は、所見文は単文となり、アクティブな観察項目が複数である場合は、所見文は各観察項目に関する節からなる重文となる。
観察項目の並び(登録)順は、所見文における各観察項目に関する節の位置と対応している。すなわち、図3に示す例のように、全ての観察項目がアクティブであった場合、観察項目「辺縁」に関する節が所見文の先頭に割り当てられ、順次「表面」、「腫大」、・・・の節がその後に続く。そして、「実質」に関する節が、所見文の末尾に位置する。下層に従属項目が繋げられた観察項目「腫大」、「萎縮」、「実質」に関する節も、下層の従属項目の並び順が、所見文に反映される。例えば、観察項目「腫大」は、「腫大部位」、「腫大程度」の順に節が組み立てられる。
また、各観察項目の各語句の並び(登録)順も、その観察項目に関する節における語句の位置と対応している。例えば、観察項目「辺縁」に関する節は、主部の本体部「辺縁」が先頭で、その後に述部の本体部が続く。観察項目「実質」に関する節は、主部の本体部「実質は」が先頭で、その後に観察項目「実質均一度」の述部の本体部が続き、さらにその後に観察項目「実質濃度」の述部の本体部で締め括られる。
なお、観察項目「実質」は、所見文の末尾にくる節を構成するため、述部の本体部は登録せず、「実質濃度」の末尾を「○○です。」としておけばよさそうなものだが、使用位置が「末尾」の「○○です。」に加えて、使用位置が「途中」の「○○、」をも登録している。本例では観察項目「実質」の節が途中となることはないので、「○○、」は使用しないが、観察項目「実質」の後に、新たな観察項目を追加登録する場合は、観察項目「実質」の節が途中となることも有り得る。従って、新たな観察項目を追加登録する場合を想定して、「○○です。」や「○○、」を登録している。なお、実際は所見文の作成に用いない、使用位置が「途中」、使用形式が「否定」の「○○でなく、」や、使用位置が「末尾」、使用形式が「否定」の「○○でなし。」(ともに図5参照)を登録しておいてもよい。
ここで、観察項目「腫大」と「萎縮」に関する節は、どの部位(肝全体、右葉、または左葉)に、どの程度(軽度、中等度、または高度)の腫大、または萎縮があり、選択した部位以外に腫大、または萎縮がないこと、もしくは、肝のどの部位にも腫大、または萎縮がないこと、のいずれかの意味の記述を想定している。
ところが、本例では、「腫大程度」と「腫大部位」、および「萎縮程度」と「萎縮部位」の用語選択ボタン51を、レポート編集画面44に同時に表示している。この場合、使用形式が「否定」である「程度−なし」を選択して、使用形式が「肯定」である「部位−右葉、または左葉」を選択することも可能である。もしこのような選択状態となると、右葉、または左葉の一方に腫大、または萎縮がないことは分かるが、右葉、または左葉の他方の腫大、または萎縮の有無が不明確になってしまう。
そこで、上記の如くアクティブな観察項目に「否定」、「肯定」の使用形式が混在する場合は、所見文が不明確とならないように予め所見文作成のルールを決めておく。例えば、所見文作成用定義59の登録順が後の観察項目の使用形式を採用する。上記の例でいくと、所見文作成用定義59の登録順は「部位」、「程度」であるので、登録順が後の「程度」の使用形式(「なし」であるため「否定」)を採用して述部の本体部を決定する。従って、「程度−なし」が選択されていた場合は、「部位」に何が選択されていても、所見文は、「腫大(萎縮)はなく、」、もしくは「腫大(萎縮)はありません。」となる。
もちろん、アクティブな観察項目に「否定」、「肯定」の使用形式が混在しないような対策を講じてもよい。例えば、「部位」と「程度」の用語選択ボタン51を、レポート編集画面44に同時に表示せずに、最初は「程度」の用語選択ボタン51のみを表示しておく。そして、「なし」以外の、使用形式が「肯定」の「軽度」、「中等度」、「高度」のいずれかが選択された場合に、「部位」の用語選択ボタン51を表示する。但し、「部位」の用語選択ボタン51の表示・非表示が切り替わると、煩わしさを感じる読影医もいるため、「部位」と「程度」の用語選択ボタン51を同時に表示する本例を採用することが好ましく、これらの態様を読影医が選択可能に構成することが、さらに好ましい。
図5および図6に示す文法辞書60は、所見文作成用定義59の基礎となるデータが収集された辞書である。文法辞書60には、各観察項目の主部、述部の修飾部、本体部に現在採用されている語句とともに、所見文を作成するにあたって使用する可能性が高い他の医療用語も多数登録されている。
文法辞書60は、語句を複数のタイプに分類し、各タイプに応じた助詞、語尾の活用を定義したものである。語句のタイプには、図5に示す本体部、図6に示す修飾部がある。本体部は、前述の主部の本体部、または述部の本体部になる語句、一方修飾部は主部の修飾部、または述部の修飾部になる語句である。なお、前述のように、主部の本体部となり得る語句の文要素は主語、または目的語である。述部の本体部となる得る語句の文要素は述語そのものである。
本体部には、「腫大」、「萎縮」、・・・といったいわゆる動詞性名詞(当該名詞の後に「する」を加えるとサ変動詞になるもの)で、文要素が主語、目的語(種別が主部の本体部)、述語(種別が述部の本体部)になり得るもの(本体部A)、「辺縁」、「表面」、・・・、あるいは「実質」、「境界」、・・・のように、主語、目的語にはなるが、述語にはなり得ないもの(本体部B、C、種別はともに主部の本体部)等のタイプがある。本体部B、Cは、主語になった場合に助詞を付けないでそのまま用いるか(本体部B)、助詞を付けるかの違いがある。
本体部Dには、「○○、」「○○です。」等のデフォルト設定で採用されている本体部E、F以外で述部の本体部を構成し得る語句、例えば「認めます」、「認められます」、「存在します」、「もちます」等が登録されている。本体部Dの語句は、主部の本体部の文要素を目的語に指定した場合に、読影医により指定される可能性が高いものが登録されている。
本体部Aは、主語になった場合の助詞は「は」、使用位置が「途中」、使用形式が「否定」の場合の語尾の活用は「なく、」、使用位置が「末尾」、使用形式が「否定」の場合の語尾の活用は「ありません。」である。使用位置が「途中」、使用形式が「肯定」の場合、使用位置が「末尾」、使用形式が「肯定」の場合は語尾の活用は登録されていない。その理由は、例えば観察項目「腫大」の場合は述部に「軽度」等が必ず入り、該述部に語尾の活用が登録されているためである。
一方、述語になった場合は当該語句が動詞となるので助詞は登録されておらず、語尾の活用(「し、」「しておらず、」、「しています。」、「していません。」)のみが登録されている。また、目的語になった場合の助詞は「を」が登録され、語尾の活用は登録されていない。本体部B、Cは、文要素に対応する助詞は登録されているが、語尾の活用は登録されていない。デフォルト設定では主部の本体部の文要素は全て主語であるため、図中太枠で囲んだ網掛け部分が所見文作成用定義59として採用されている。次に説明する修飾部A〜D等も同様である。
本体部Dの語句は主部の本体部にはなり得ず、観察項目の語句の文要素が主語または目的語の場合に適用可能である。また、本体部Aの文要素が述語の場合と同様に助詞は登録されておらず、語尾の活用(「認め、」、「認めず、」「認めます。」、「認めません。」等)のみが登録されている。
本体部E、Fは、述部の本体部になるもので、観察項目の語句の文要素が主語の場合に適用可能である。本体部Eの語尾の活用には「、」、「でなく、」「です。」、「でなし。」が登録され、本体部Fには、本体部Eの「、」の代わりに「で、」が登録されている。述部の本体部として用いる場合は、これらの語尾の活用に語句「軽度」、「均一」等をつける。
図6において、修飾部には、「肝全体」、「右葉」、「左葉」、・・・等、主として部位を表し、主語、目的語(種別が主部の修飾部)、述語(種別が述部の修飾部)を修飾するもの(修飾部A)と、主部の修飾部か述部の修飾部かによって語尾の活用が決まるもの(修飾部B〜D)等のタイプがある。修飾部B、Cのタイプは、「軽度」、「中等度」、「やや鈍」、・・・等であり、修飾部Dは、「均一」、「明瞭」、・・・等である。修飾部B〜Dの語句は、主として大きさや程度を表すものである。主部の修飾部として使用される場合は連体修飾(主に名詞を修飾)、述部の修飾部の場合は連用修飾(主に動詞を修飾)である。
修飾部Aは、主語の場合の助詞は「の」、目的語では「に」、述語では「は」が登録されている。語尾の活用は登録されていない。修飾部Aは、主に部位を表す語句であるので、助詞「に」をつけて「○○に」とした場合は述部の修飾部となるが、ここでは主部の修飾部として扱う。また、助詞「は」をつけて「○○は」とすると主部の本体部となるが、ここでは述部の修飾部として扱う。修飾部B、Cには、主部の修飾部の場合(連体修飾)の語尾の活用「の」、述部の修飾部の場合(連用修飾)の「に」が登録されている。語尾の活用は登録されていない。なお、修飾部Cの語尾の活用の連用修飾「に」は、語句の性格からいって実際は所見文の作成には用いないが、修飾部Cの語句を連用修飾で使う場合を考えて一応登録してある。
修飾部Dは、主部の修飾部(連体修飾)の場合の語尾の活用に「な」、述部の修飾部(連用修飾)の場合の「に」が登録されている。語尾の活用は登録されていない。
本例では助詞、語尾の活用が同じタイプ別に語句を分類したが、助詞等をより細かく設定するため、タイプに分類せずに語句毎に助詞、語尾の活用を登録してもよい。但し、タイプで分類したほうが同じ助詞や語尾の活用を何個も登録する必要がないため、文法辞書60のボリュームを減らすことができる。
編集処理部42は、文法辞書60から所見文作成用定義59の各項目に当てはまる語句を抜き出し、抜き出した語句で所見文作成用定義59の各項目を埋めて所見文作成用定義59を生成する。
図3の表現変更ボタン57がクリックされると、コンソール制御部40は、図7に示す表現変更指示ウィンドウ65をディスプレイ37bに表示させる。表現変更指示ウィンドウ65は、文字通り所見文の表現の変更を指示するためのもので、第一入力ボックス66と、プルダウンメニュー67とを備えている。第一入力ボックス66には、現在採用されている観察項目のうち、所見文の表現を変更したいものが入力される。プルダウンメニュー67は、第一入力ボックス66に入力された観察項目の文要素(主語、述語、目的語)を選択指定するためのものである。プルダウンメニュー67の横の逆三角の印をクリックすると、主語、述語、目的語の選択肢がプルダウン表示される。
第二入力ボックス68は、文要素として目的語が選択された場合のみ入力が可能である。第二入力ボックス68には、第一入力ボックス66に入力された観察項目が目的語であった場合に相応しい述語(観察項目「腫大」ならば「認めます」、「認められます」等)が読影医により入力される。
項目追加ボタン58がクリックされた場合、コンソール制御部40は、図8に示す項目追加指示ウィンドウ75をディスプレイ37bに表示させる。項目追加指示ウィンドウ75には、表現変更指示ウィンドウ65と同様の第一、第二入力ボックス76、78、およびプルダウンメニュー77に加えて、修飾語を入力するための複数の第三入力ボックス81を設けてある。第一入力ボックス76には、現在採用されておらず、読影医が新規に追加したい観察項目が入力される。プルダウンメニュー77、第二入力ボックス78の機能は表現変更指示ウィンドウ65と同様である。なお、プルダウンメニュー77をなくし、観察項目を新たに追加する際は文要素を全てデフォルト設定の主語に固定してもよい。
第三入力ボックス81は、左端の従属項目入力用のボックス81aと、中央の修飾語入力用の横並び三個のボックス81bと、右端の否定文の有無を選択するためのチェックボックス81cとをもつ。従属項目がない場合は、ボックス81aは空欄でもよい。ボックス81bには、一個〜最大三個の語句を入力可能である。ボックス81bに入力される修飾語は、用語選択ボタン51として横並びに配列される語句の組を表し、上記例でいえば観察項目「腫大部位」の「肝全体」、「右葉」、「左葉」が該当する。また、従属項目1、2等の並び順は、所見文の並び順に反映される。否定文を設定したい場合は、該当する従属項目のチェックボックス81cをクリックして有効にする。
各ウィンドウ65、75のキャンセルボタン70、80がクリックされた場合、コンソール制御部40は各ウィンドウ65、75を閉じ、ディスプレイ37bの画面を図3の表示状態に戻す。
一方、表現変更指示ウィンドウ65の入力が済んでOKボタン69がクリックされると、図9(1)に示すように、コンソール制御部40は、第一入力ボックス66に入力された観察項目、およびプルダウンメニュー67で選択された文要素のデータを編集処理部42に受け渡す。文要素に目的語が選択された場合は第二入力ボックス68に入力された述語もこのデータに含まれる。以下、該データを表現変更指示データという。
同様に、項目追加指示ウィンドウ75の入力が済んでOKボタン79がクリックされると、コンソール制御部40は、表現変更指示データに加えて、第三入力ボックス81に入力された従属項目、修飾語、および否定文の有無のデータを編集処理部42に受け渡す。以下、該データを項目追加指示データという。
(2)に示すように、編集処理部42は、コンソール制御部40から表現変更または項目追加指示データを受けると文法辞書60にアクセスし、データで指定された語句および文要素と一致するものを文法辞書60から検索する。否定文有りの設定の場合は、語尾の活用に否定形があるかどうかも検索する。そして、(3)に示すように、該当する語句および文要素、語尾の活用(否定形)が文法辞書60にあった場合は、そのデータを文法辞書60から抽出する。
抽出後、(4)に示すように、表現変更指示データを受けた場合は所見文作成用定義59の該当部分を文法辞書60から抽出したデータに変更する。項目追加指示データを受けた場合は所見文作成用定義59を新規追加する。この変更または追加は、表現変更ボタン57または項目追加ボタン58をクリックしたときに各パネル49、50で選択されているタブの所見文作成用定義59に対して行われる。図3の例では大分類「肝臓」、小分類「肝臓の形態」の所見文作成用定義59である。
項目が追加された場合、コンソール制御部40は、追加された項目に応じた用語選択ボタン51を追加する等して、用語選択入力領域47の表示を変更する。
なお、各指示データで指定された語句、文要素、および否定形が文法辞書60に登録されておらず、抽出されない場合は、その旨を警告ダイアログでポップアップ表示する等して読影医に報せ、処理を終了する。また、項目追加指示データにて追加した観察項目は、それまで採用されていた観察項目の最後(本例では観察項目「実質」の後)に割り当てられる。項目追加指示ウィンドウ75に節の並べ替えを指示するためのGUIを用意し、それまで採用されていた観察項目の先頭、または間に、追加した観察項目を入れ込み可能に構成してもよい。
表現変更、または項目追加は、所見文の作成前、作成中、作成後のいずれの状況においても可能である。作成中、または作成後に行う場合は、既に所見文入力領域46に書き込まれている所見文の表現が表現変更、または項目追加の指示に対応して表示変更される。
表現変更指示の具体例を説明する。例えば、「辺縁○○、」、「辺縁○○です。」(○○には「鋭」、「やや鈍」、「鈍」のいずれかが入る)という表現を読影医が変更したいと考えたとする。読影医はまず、表現変更ボタン57をクリックして、表現変更指示ウィンドウ65をディスプレイ37bに表示させる。そして、第一入力ボックス66に変更対象である観察項目「辺縁」を入力して、プルダウンメニュー67の目的語を選択し、第二入力ボックス68に述語の「もちます」を入力する。入力後、OKボタン69をクリックする。
すると、編集処理部42により文法辞書60が検索されて、「辺縁」が目的語の場合の助詞「を」と、「鋭」、「やや鈍」、「鈍」が連体修飾の場合の語尾の活用「の」が抽出される。また、第二入力ボックス68に入力された「もちます」の語尾の活用「もち、」、「もちます。」も抽出される。そして、抽出結果に対応するよう所見文作成用定義59の観察項目「辺縁」の部分が図10の如く書き換えられる。(1)のデフォルト設定では「鋭」、「やや鈍」、「鈍」は述部の本体部であるが、(2)の変更後は主部の修飾部となり、助詞「の」が付け足される。また、「辺縁」には助詞「を」が付け足され、述部の本体部がデフォルト設定の「○○、」、「○○です。」から「もち、」、「もちます。」に変更される。これにより、観察項目「辺縁」の節または文は、「○○の辺縁をもち、」、「○○の辺縁をもちます。」という表現に変更される。
逆に(2)の設定を(1)のデフォルト設定に戻したい場合は、表現変更ボタン57をクリックして再度表現変更指示ウィンドウ65を表示させ、「辺縁」の文要素を目的語から主語に変更すればよい。この操作の手間を省くため、一部指定した観察項目、または全ての観察項目の所見文作成用定義59を1クリックでデフォルト設定に戻したり、複数の観察項目の文要素を一括して変更するためのGUIを設けてもよい。
次いで項目追加指示の具体例を説明する。いま、仮に観察項目「腫大」がなく、読影医がこれを追加したいと考えたとする。この場合読影医は、項目追加ボタン58をクリックして項目追加指示ウィンドウ75をディスプレイ37bに表示させる。
そして、第一入力ボックス76に、追加する観察項目「腫大」を入力して、プルダウンメニュー77の目的語を選択し、第二入力ボックス78に述語の「認めます」を入力する。さらに、第三入力ボックス81の従属項目1のボックス81aに従属項目名の「部位」、ボックス81bに修飾語の「肝全体」、「右葉」、「左葉」を入力してチェックボックス81cを有効にし、従属項目2のボックス81aに「程度」、ボックス81bに「軽度」、「中等度」、「高度」を入力する。入力後、OKボタン79をクリックする。
OKボタン79のクリックにより、編集処理部42により文法辞書60が検索されて、「腫大」が目的語の場合の助詞「を」、チェックボックス81cが有効であるため「認めます」の否定形を含む語尾の活用全て、「軽度」等が連体修飾の場合の語尾の活用「の」、「肝全体」等が目的語の場合の助詞「に」が抽出される。そして、抽出結果に対応するよう、図11に示すような観察項目「腫大」に関する所見文作成用定義59が新規に生成される。従属項目1の「肝全体」等、および従属項目2の「軽度」等はそれぞれ、主部の修飾部1、2となり、助詞「に」、および「の」が付け足される。また、「腫大」には助詞「を」が付け足され、述部は肯定形の「認め、」、「認めます。」の述部1、否定形の「認めず、」、「認めません。」の述部2となる。
なお、本例では読影医が項目の追加を指示するとしたが、レポート編集用のクライアントプログラムを提供する企業の技術者が行ってもよいし、読影医には項目の追加をさせず技術者のみが行ってもよい。後者の場合、項目追加ボタン58は不要である。項目の追加の仕方は上述の説明と変わりはない。この場合、例えばネットワーク経由で項目を追加した更新プログラムをレポート作成端末に送信し、読影医にレポート編集用のクライアントプログラムをアップデートしてもらう。ネットワーク経由、または直接、読影医に採用してもらいたい項目のアンケートをとり、該アンケートを集計した結果に基づいて追加する項目を決定してもよい。従来は読影医から項目追加の要望があっても、その要望を反映させるのに多大な労力と時間が掛かっていたが、読影医からの要望に比較的短時間で応えることができる。
以下、上記構成による作用について、図12および図13に示すフローチャートを参照して説明する。依頼医は、診療科端末11を使用してオーダを発行する。レポート作成端末13は、診療科端末11から発行されたオーダを、検査科12のオーダ受付端末を経由して受信する。
読影医は、レポート作成端末13にアクセスしてオーダを確認し、レポート18の作成を開始する。レポート編集画面44がディスプレイ37bに表示されると、これと連動して画像表示画面がディスプレイ37aに表示される。読影医は、画像表示画面で検査画像17を観察しながら、レポート編集画面44の所見文入力領域46に、それぞれ臓器別の所見文を入力する。
所見文の入力は、用語選択ボタン51を選択することにより行われる。図12において、用語選択ボタン51が選択されると(ステップ(以下、Sと略す)10でyes)、コンソール制御部40から編集処理部42に、各パネル49、50、用語選択ボタン51の選択状態が通知される(S11)。
次いで、編集処理部42によって、各パネル49、50、用語選択ボタン51の選択状態を元にした所見文作成用定義59の検索が編集処理部42で実行され、アクティブな観察項目の語句が所見文作成用定義59から読み出される(S12)。
続いて、アクティブな観察項目に関する節の使用位置、使用形式が編集処理部42で判定される(S12)。具体的には、判定対象のアクティブな観察項目と同じ階層レベルで、且つ判定対象の観察項目の後に、別のアクティブな観察項目がある場合、使用位置が「途中」と判定され、そうでなければ「末尾」と判定される。また、選択された用語選択ボタン51に対応する入力語句の使用形式が「否定」であった場合、アクティブな観察項目の使用形式が「否定」と判定される。それ以外は全て「肯定」と判定される。この使用位置、使用形式の判定結果に基づいた述部の本体部の語句が所見文作成用定義59から読み出される。
そして、読み出された各種語句が所見文作成用定義59の並び順に連結され、所見文が作成される(S13)。作成された所見文は、編集処理部42からコンソール制御部40に引き渡され、コンソール制御部40の制御の下、所見文入力領域46に表示される(S14)。このように、読影医は、用語選択ボタン51を選択しながら、所見文の入力を行う。これら一連の処理は、用語選択ボタン51が追加選択される度に繰り返し実行される。
読影医は、所見文の入力を終えると、終了ボタン54を選択する(S15でyes)。終了ボタン54が選択されると、レポート18のデータの格納要求がDBアクセス部41からDBサーバ14に送信される。レポート作成端末13から格納要求を受信すると、DBサーバ14では、格納処理部によって、レポート18のデータの格納処理が実行される。レポート18のデータは、レポートDB21に格納される。以上をもって、一回のレポート18の作成処理を終了する。
レポート18の作成が完了すると、レポート作成端末13から、依頼医の診療科端末11に対して、作成完了通知が送信される。依頼医は、診療科端末11を通じてレポートDB21にアクセスして、作成完了通知に含まれるレポート18のアドレスに基づいて、レポート18を読み出す。診療科端末11のディスプレイ37には、レポート表示画面と、レポート18に関連する検査画像17を表示する画像表示画面が出力される。依頼医は、これらの画面を閲覧して、レポート18の内容を確認する。
次に、所見文の表現を変更、または新たに観察項目を追加する場合の処理を説明する。図13において、表現変更ボタン57、または項目追加ボタン58がクリックされると(S20でyes)、コンソール制御部40によりディスプレイ37bに表現変更指示ウィンドウ65、または項目追加指示ウィンドウ75が表示される(S21)。
読影医は、各ウィンドウ65、75の入力ボックス66、68、76、78、81、プルダウンメニュー67、77等に必要事項を入力し、OKボタン69、79をクリックする(S22でyes)。表現変更、または項目追加をやめる場合は、キャンセルボタン70、80をクリックする(S23でyes)。OKボタン69、70がクリックされると、コンソール制御部40と編集処理部42の間で表現変更、または項目追加指示データが送受信される(S24)。
次いで、編集処理部42により表現変更、または項目追加指示データで指定された語句および文要素と一致するもの、語尾の活用に否定形があるか否か等が文法辞書60から検索される(S25)。検索の結果、表現変更、または項目追加指示データで指定されたものと一致するものがない場合(S26でno)は、その旨が警告ダイアログ等で読影医に表示され、処理を終了する。一方、表現変更、または項目追加指示データで指定されたものと一致するものがあった場合(S26でyes)は、編集処理部42によりそのデータが文法辞書60から抽出される(S27)。
表現変更指示データを受けた場合は、編集処理部42により所見文作成用定義59の該当部分が文法辞書60から抽出したデータに変更される。また、項目追加指示データを受けた場合は、所見文作成用定義59が編集処理部42により新規追加され、用語選択入力領域47の表示がコンソール制御部40により変更される(S28)。データ変更、または追加後、処理を終了する。
以上説明したように、本発明は、語句毎に文要素に対する助詞が登録された文法辞書60を有し、観察項目とその文要素等の指定に応じて文法辞書60から一致するデータを検索・抽出し、抽出した情報を元に所見文を生成するので、少なくとも観察項目とその文要素を指定するだけで、所見文の表現変更、観察項目の新規追加を手軽に行うことができる。文章表現を一から考え直して手作業で辞書に登録するといった煩雑な作業がいらず、簡単に読影医の嗜好に合わせた文章表現にすることができる。そのうえ、所見文の作成は用語選択ボタン51を半ば機械的に選択するだけでよく、読影医に文章構造や助詞の繋がりを意識させることがない。
新たな観察項目や語句を追加する場合、他の観察項目や語句が影響を受けないので、適切な定義付けや並び順で登録すれば、所見文の体裁を崩す懸念がない。また、追加するデータは語句であるので、節を登録する場合と比べて手間が省け、ストレージデバイス32の記憶容量も少なくて済む。さらに、読影医が好みに応じて所見文作成用定義59の内容をカスタマイズすることも容易にできる。
上記実施形態では、レポート18の所見文を入力する際に、本発明の文書作成支援装置を適用している。レポート18に用いる所見文や医療用語は、概ね決まっているため、複数の用語を選択させて文を作成する態様に好適である。
なお、観察項目としては、上記実施形態で例示した用語選択ボタン51が割り当てられたものに限らず、キーボードからの入力を受け付けるものであってもよい。例えば、所見項目「腫瘤性病変」の観察項目として、腫瘤性病変の「部位」、「大きさ」、「個数」、「境界」、「辺縁」、「濃度」を用意する。観察項目「部位」には、「右葉」、「左葉」、「S1」〜「S8」等の腫瘤性病変の場所を示す語句、「大きさ」、「個数」には、「15」、「10」、「3」等の数値が、キーボード操作により入力可能である。「部位−右葉」、「大きさ−長径15mm、短径10mm」、「個数−3個」がそれぞれ入力され、「境界−明瞭」、「辺縁−不整」、「濃度−高濃度」が選択された場合、所見文は、例えば「肝右葉に大きさ15×10mmの、境界明瞭、辺縁不整、高濃度の腫瘤性病変を3個認めます。」となる。この場合、所見文作成用定義59は、キーボード入力される箇所を空欄として登録する。
上記例文では、所見項目「腫瘤性病変」が主部の本体部をなし、その文要素は目的語である。このように、上記実施形態の観察項目に限らず、所見項目も所見文の主部の本体部となり得る。要するに、表現変更、または項目追加の指示は、観察項目、所見項目の別なく所見文の主部の本体部をなす語句に対して行う。なお、上記例で所見項目「腫瘤性病変」の文要素を主語に指定した場合の所見文は、例えば「肝右葉の腫瘤性病変は、大きさ15×10mm、境界明瞭、辺縁不整、高濃度、3個と認めます。」といった具合になる。
所見文の各観察項目およびその語句の並び順は、医学界の慣例によりある程度決まっているが、上記例の「大きさ15×10mm」、「3個」等は、語順を変更しても文章の意味は通り、不自然な文章にもならない。こうした語順変更可能な語句については、語順を変更したときの助詞の変化を場合分けして文法辞書60に登録しておくことが好ましい。
個数「○○個」を例に挙げると、連体修飾の場合と連用修飾の場合の語尾の活用を登録しておく。前者の場合は語尾の活用「の」、後者は語尾の活用なしである。また、レポート編集画面44に語順変更用のGUIを用意しておく。そして、「腫瘤性病変を3個認めます」という所見文の「3個」の語順を「腫瘤性病変」の前に変更する指示を受けた場合、編集処理部42が文法辞書60の連体修飾の語尾の活用「の」を読み出して、「3個」を「腫瘤性病変」の前にもっていき、「3個の腫瘤性病変を認めます」とする。こうすれば、助詞を手入力で補うといった煩雑な操作をすることなく、より文章表現の自由度を高めることができる。なお、語順変更可能な語句を所見文入力領域46内で色分けして表示したり吹き出し等で読影医に報せてもよい。
また、観察項目同士には、同時に起こり得る確率が低く、もし同時に起こった場合は特異な例として所見文中で目立たせたいものがある。そこで、こうした相互に関連する観察項目同士の節を繋げる場合は、通常の語尾の活用を採用せずに専用の語尾を採用することが好ましい。
これを実現するため、特異な例となる語句の組み合わせを文法辞書60に予め登録しておく。そして、その語句の使用形式がいずれも「肯定」、すなわち特異な例となる語句で表される観察項目が同時に起こった場合に、前の節に使用されている語句の語尾を「ですが」、「していますが」、「認めますが」等の強調表現にする。各観察項目の節の使用形式の組み合わせが「肯定」−「否定」、「否定」−「否定」、「否定」−「肯定」の場合は通常の語尾の活用を採用する。
所見文の例としては、「肯定」−「肯定」の場合が「○○ですが、××です。」、「肯定」−「否定」の場合は「○○で、××はありません。」、「否定」−「否定」では「○○はなく、××はありません」、「否定」−「肯定」の場合は「○○はなく、××です」となる。つまり、○○の節の通常の肯定形は「で、」であるが、「肯定」−「肯定」の場合には「ですが、」を採用する。依頼医が所見文を閲覧したときに特異な例であることが一目で分かるので、診断に役立てることができる。なお、「肯定」−「肯定」の場合の所見文を太字等にして強調表示してもよい。
上記実施形態では、指定されたデータに一致する語句等を文法辞書から抽出して所見文作成用定義を生成しているが、文法辞書そのものを所見文作成用定義として使用してもよい。但し、節や修飾語の順番を別に規定する必要があるため、所見文作成用定義を生成することが好ましい。順番の規定は、用語選択ボタン51の選択順に節や修飾語の順番を決めるとすれば差し支えはないが、採用されていない語句も多数収録された文法辞書から抽出するよりは、使用する語句だけ抜き出した所見文作成用定義を用いたほうが検索処理の上で有利である。
レポート作成端末13の起動時のユーザ認証の際等に読影医によって入力される医師IDを用いて、表現変更や項目追加の設定(所見文作成用定義59)を読影医毎に管理してもよい。各読影医に特化した表現で所見文を作成することができる。
表現変更、項目追加指示の際に、入力ボックスやプルダウンメニューの入力状態に応じた例文を示してもよい。上記実施形態ではOKボタン00がクリックされたときに各データを編集処理部42に受け渡すとしたが、観察項目や文要素の入力途中に各データを送り、上記実施形態の検索、抽出処理を実行すれば例文の提示も可能である。例文は全ての使用位置、使用形式の組み合わせでもよいし、使用位置「末尾」、使用形式「肯定」等の代表的なものでもよい。現在の入力状態で実際に所見文の表現がどうなるかを事前に確認することができる。
上記実施形態では、項目追加のときのみ修飾語の入力を可能としているが、現在採用されている観察項目の修飾語も追加修正可能としてもよい。この場合は表現変更指示ウィンドウに項目追加指示ウィンドウの第三入力ボックスを追加すればよい。ボックスには現在採用されている修飾語がコンソール制御部40により入力されて表示される。例えば観察項目「辺縁」の修飾語「鈍」を「鈍化」と変えたい場合等に対応することができる。
上記実施形態では、入力デバイスとして、キーボードやマウスを例に説明したが、入力デバイスとしてマイクを用いて、用語選択ボタン51の選択を音声によって受け付けてもよい。
上記実施形態では、検査科12で実施される検査を例示して説明したが、検査種はこれらに限定されるものではなく、PET(Positron Emission Tomography)検査、超音波検査、内視鏡検査等でもよい。また、レポート18として、検査画像17の読影結果をまとめたレポートを例示したが、検査画像以外の検査データに対する所見をまとめたレポートでもよい。検査画像以外の検査データとしては、例えば、病理検査といった検体検査や生理検査等で得られる数値データ、あるいは心電図等の波形図がある。また、異なる検査種の検査データ等、種々のデータに関する所見が記入されるレポートでもよい。
また、検査に関するレポートでなくともよく、患者の診療に関する所見をまとめたレポートであればよい。レポートの作成者についても、読影医に限定されるものではなく、さらに、医師にも限定されない。例えば、リハビリテーションの指導に携わる理学療法士が作成するレポートのように、医師以外が作成するレポートについても、本発明の適用が可能である。さらに、医用レポートの所見文の作成支援に限らず、カルテに記入される文の作成支援でもよく、また、医療分野以外のあらゆる文の作成支援に対して、本発明は適用が可能である。
上記実施形態では、本発明の文書作成支援装置を構成する、レポート作成端末が一台の例で説明したが、レポート作成端末は複数台でもよい。また、レポート作成端末のストレージデバイスに文法辞書を格納する態様を例示したが、文法辞書の格納先は上記に限らず、DBサーバに格納しておいてもよい。この場合、レポート作成端末のDBアクセス部がDBサーバにアクセスして、文法辞書の検索要求の送信とその検索結果の受信とを行う。
なお、文法辞書はできるだけ人手を掛けずに構築することが好ましい。過去のレポート(手書き、またはテンプレート入力して修正加筆したものも含む)の所見文を、周知の構文解析技術(形態素解析、文節解析、係り受け解析等)により解析して、観察項目やその修飾語、文要素、語尾の活用を所見文から抜き出す。そして、例えば過去レポートで使用された回数が閾値以上に達した語句および文要素、語尾の活用を文法辞書に自動登録すれば、文法辞書の構築に人手を掛けずに済む。
また、上記実施形態のように、クライアント(レポート作成端末)と、サーバ(DBサーバ)とからなるクライアントサーバ型の情報システムの場合には、レポート編集用のクライアントプログラムは、専用のプログラムを使用してもよいし、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)といった、WWW(World Wide Web)のプロトコルに対応した汎用的なブラウザを使用してもよい。
専用のプログラムを使用する場合には、レポート編集画面は、専用のプログラムで定義された画面データに基づいて生成される。汎用的なブラウザを使用する場合には、例えば、Webサーバにレポート編集画面のデータを格納しておき、クライアントはWebサーバにアクセスして、Webページの形式に加工されたレポート編集画面のデータをダウンロードする。クライアントのブラウザは、受信したWebページのソースコードを解釈してレポート編集画面を生成する。Webサーバは、DBサーバ14が兼用してもよいし、DBサーバとは別のサーバでもよい。汎用的なブラウザを使用する場合には、WebサーバのCPUが、クライアントのCPUと協働して、または単独で、編集処理部、コンソール制御部等を構成する。
また、DBが構築されるデータ格納装置としては、DBサーバ以外でもよく、例えば、NAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)といったネットワークを介して接続するストレージデバイスを使用してもよい。このように、コンピュータシステムの物理構成は適宜変更が可能である。
上記実施形態では、ネットワークとしてLANを例に説明しているが、診療科と検査科が複数の拠点に分散しているような場合には、ネットワークとしてLANとWAN(Wide Area Network)を組み合わせて使用してもよい。
なお、上記実施形態で示したとおり、本発明は、プログラムの形態、さらにはプログラムを記憶する記憶媒体にもおよぶことはもちろんである。