JP5550378B2 - 圧電アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェット等の液体噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置等に用いられる圧電アクチュエータに関するものである。
圧電アクチュエータとして、圧電体層および内部電極層が交互に複数積層され、内部電極層の端面の一部が側面に露出した柱状の積層体と、この積層体の側面に積層方向にそれぞれ長く被着されて内部電極層が一層おきに交互に電気的に接続された一対の外部電極とを含む積層型圧電素子を、金属製のケースの内部に封入したものが知られている。そして、この積層型圧電素子においては、積層体の側面に露出する内部電極層の一部または全部に樹脂を付着させることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2002−252384号公報
しかしながら、特許文献1に記載された圧電アクチュエータにおいて、ケースの内部を不活性ガスで満たして高電界の印加の下で長時間連続駆動させると、積層体(圧電体層)の側面に酸素空孔が形成されてしまい、さらにこの酸素空孔がイオン化され、内部電極層間を移動することで短絡してしまうという問題があった。これは、ケースの内部に不活性ガスを充填することにより、ケース内の酸素濃度が低下していて、更に駆動のための通電により圧電体層の還元が促進されることが原因である。
なお、樹脂は窒素や酸素だけでなく、水蒸気等の気化した水分でさえも透過することから、樹脂の被覆で還元および酸素空孔の形成を抑制することは困難である。
本発明は、上記の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は積層体(圧電体層)の側面に酸素空孔が形成され、短絡してしまうのを抑制された圧電アクチュエータを提供することである。
本発明の圧電アクチュエータは、複数の圧電体層が積層されるとともに該圧電体層の層間に第1の内部電極層および第2の内部電極層が1層おきに交互に形成されてなり、対向する1組の側面の一方に前記第1の内部電極層が、他方に前記第2の内部電極層がそれぞ
れ露出するとともに、対向する他の1組の側面に前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層が露出した積層体と、前記対向する1組の側面の一方に前記積層体の積層方向に長く被着されて前記第1の内部電極層に電気的に接続された第1の外部電極層と、前記対向する1組の側面の他方に前記積層体の積層方向に長く被着されて前記第2の内部電極層に電気的に接続された第2の外部電極層と、前記対向する他の1組の側面の前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層が露出した領域を被覆した酸化物からなる被膜とを含む積層型圧電素子が、前記積層体の積層方向に伸縮可能なケースの内部に前記積層体の積層方向の両端面を前記ケースの内壁に当接させて不活性ガスとともに封入されており、前記被膜はセラミックであって、前記被膜を構成する酸化物の粒子の粒径は、不活性ガスに接している表面側よりも前記積層体に接している側の方が大きいことを特徴とするものである。
ここで、上記構成において、前記酸化物が圧電体であるのが好ましい。
さらに、上記構成において、前記圧電体が前記圧電体層の圧電体材料と同じであるのが好ましい。
またさらに、前記圧電体および前記圧電体層の圧電体材料が、いずれもチタン酸ジルコン酸鉛であるのが好ましい。
本発明の圧電アクチュエータによれば、酸化物からなる被膜がケース内部に封入された気体成分、特に還元性を有した不活性ガスの透過を阻止することで、積層体(圧電体層)の側面が還元されずに、積層体(圧電体層)の側面に代わってこの酸化物からなる被膜が還元されることとなる。これにより、高電界が印加された状態で長時間連続駆動させても、短絡せずに長期間安定して駆動することができる。
特に、酸化物を圧電体とすることにより、圧電体層の伸縮に追従するように被膜も伸縮するようになるため、被膜が剥がれて沿面放電が生じるおそれなく長期間駆動させることができる。また、圧電体を圧電体層の圧電体材料と同じ材料とすることにより、積層体(圧電体層)と同時焼成で被膜を形成することができ、焼成時の収縮差がなくなるので、焼成時の収縮差による剥がれのおそれもなくなる。さらに、被膜および圧電体層を形成する圧電体材料がいずれもチタン酸ジルコン酸鉛であることにより、チタン酸ジルコン酸鉛が表面から還元されて鉛成分が蒸発するので、ケース内の不活性ガスの割合が減って還元能力を低下させることができる。この結果、高電界が印加された状態でより長時間連続駆動させても、短絡せずに長期間安定して駆動することができる。
本発明の圧電アクチュエータの実施の形態の一例を示す断面図である。 図1に示す圧電アクチュエータのA−A線矢視断面図である。 図1に示す積層型圧電素子の概略斜視図である。
以下、本発明の圧電アクチュエータの実施の形態の例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の圧電アクチュエータの実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は図1に示す圧電アクチュエータのA−A線矢視断面図、図3は図1に示す積層型圧電素子の概略斜視図である。
図1および図2に示す本発明の圧電アクチュエータは、複数の圧電体層21が積層されるとともに圧電体層21の層間に第1の内部電極層221および第2の内部電極層222が1層おきに交互に形成されてなり、対向する1組の側面の一方に第1の内部電極層221が、他方に
第2の内部電極層222がそれぞれ露出するとともに、対向する他の1組の側面に第1の内
部電極層221および第2の内部電極層222が露出した積層体2と、対向する1組の側面の一方に積層体2の積層方向に長く被着されて第1の内部電極層221に電気的に接続された第
1の外部電極層31と、対向する1組の側面の他方に積層体2の積層方向に長く被着されて第2の内部電極層222に電気的に接続された第2の外部電極層32と、対向する他の1組の
側面の第1の内部電極層221および第2の内部電極層222が露出した領域を被覆した酸化物からなる被膜4とを含む積層型圧電素子1が、積層体2の積層方向に伸縮可能なケース5の内部に積層体2の積層方向の両端面をケース5の内壁に当接させて不活性ガス6とともに封入されていることを特徴とするものである。
積層型圧電素子1を構成する積層体2は、複数の圧電体層21が積層されるとともに圧電体層の層間に第1の内部電極層221および第2の内部電極層222が1層おきに交互に形成されてなるものである。積層体2は、例えば縦4〜7mm、横4〜7mm、高さ20〜50mm程度の直方体状に形成されている。
積層体2を構成する複数の圧電体層21は圧電特性を有する圧電磁器(圧電セラミックス)からなり、圧電体層21を形成する圧電磁器は平均粒径が例えば1.6〜2.8μmに形成されたものである。圧電磁器としては、例えばPbZrO−PbTiO(PZT:チタン酸ジルコン酸鉛)等からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などを用いることができる。図3に示す積層体2は、四角柱形状であるが、例えば六角柱形状や八角柱形状などであってもよい。
第1の内部電極層221および第2の内部電極層222は、例えば銀、銀−パラジウム(Ag−Pd)合金、銀−白金、銅などからなるものであり、圧電体層21の層間に交互に形成され、積層順に交互に配置されることにより、それらの間に挟まれた圧電体層21に駆動電圧を印加するものである。具体的には、第1の内部電極層221および第2の内部電極層222は、一方が正極で他方が負極(もしくはグランド極)となっていて、それぞれ積層体2の対向する側面に互い違いに導出されてその端面の一部が露出している。すなわち、対向する1組の側面の一方に第1の内部電極層221が露出し、他方に第2の内部電極層222がそれぞれ露出している。さらに、対向する他の1組の側面に第1の内部電極層221および第2の
内部電極層222が露出している。
そして、対向する1組の側面の一方に積層体2の積層方向に長く被着されて第1の内部電極層221に電気的に接続された第1の外部電極層31が形成され、対向する1組の側面の
他方に積層体2の積層方向に長く被着されて第2の内部電極層222に電気的に接続された
第2の外部電極層32が形成されている。
第1の外部電極層31および第2の外部電極層32は、第1の内部電極層221および第2の
内部電極層222とそれぞれ電気的に接続されるように、例えば銀とガラスからなる導電性
ペーストを塗布して焼き付けて形成されたものである。それぞれの外部電極層(第1の外部電極層31、第2の外部電極層32)には、それぞれリード線71が半田などによって取り付けられていて、後述のリードピン72、リード線71、第1の外部電極層31および第2の外部電極層32を介して駆動電圧を印加するようになっている。
さらに、対向する他の1組の側面の第1の内部電極層221および第2の内部電極層222が露出した領域を被覆するように酸化物からなる被膜4が形成されている。
第1の内部電極層221および第2の内部電極層222(両極)が露出した領域に酸化物からなる被膜4を形成することにより、駆動時に高電圧をかけた際に発生する第1の内部電極層221と第2の内部電極層222との間での沿面放電を防止するとともに、積層型圧電素子1がケース5の内部に不活性ガス6とともに封入されても、被膜4が積層体2の身代わりになって還元されるので、積層体2は還元されにくくなる。なお、被膜4の内部よりも気体成分に接している表面側のほうが還元されやすいから、被膜4の内側にある積層体2に向かう方向に還元がすすんでいかずに、表面全域に渡って還元していくこととなるので、積層体2は還元しにくくなる。この結果、不活性ガス6中で積層型圧電素子を高電界が印加された状態で長時間連続駆動させても、第1の内部電極層221と第2の内部電極層222との短絡は発生せず、積層型圧電素子1を長期間安定して駆動させることができる。
ここで、被膜4が薄すぎる場合には積層体2の還元に代わる層が薄くなるため、その積層体2の還元抑制効果が小さくなる。一方、被膜4が厚すぎる場合には、積層型圧電素子
1を駆動した際の積層体2の駆動変形(伸縮)に被膜4が追従できなくなり、被膜4自体にクラックが入り、沿面放電が発生する。このため、被膜4の厚みは5〜30μmの範囲が望ましい。
被膜4を形成する酸化物は、積層体2の還元を抑制する点においてはセラミック材料であれば問題はないが、積層型圧電素子1を駆動した際の積層体2の駆動変形(伸縮)に追随でき、被膜4が剥がれて沿面放電が生じるおそれのないように、応力によって変形可能な材料であることが好ましい。具体的には、応力が生じると局所的に相変態して体積変化して変形可能な部分安定化ジルコニア、Ln1−XSiAlO3+0.5X(Lnは、Sn,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,TmおよびYbのうちから選ばれるいずれか少なくとも一種を示す。x=0.01〜0.3)などのセラミック材料、あるいは、生じた応力を緩和するように結晶格子内のイオン間距離が変化するチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電材料が挙げられる。さらに、被膜4を形成する圧電体を圧電体層21の圧電体材料と同じ材料とすることにより、積層体(圧電体層)と同時焼成で被膜を形成することができ、焼成時の収縮差がなくなるので、焼成時の収縮差による剥がれのおそれもなくなる。特に、被膜4および圧電体層21を形成する圧電体材料が、応力に対して変形度合いの大きいチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であるのが望ましく、これにより、チタン酸ジルコン酸鉛が表面から還元されて鉛成分が酸化鉛ガスとして蒸発するので、ケース5内の不活性ガスの割合が相対的に減って還元能力を次第に低下させることができる。この結果、高電界が印加された状態でより長時間連続駆動させても、短絡せずに長期間安定して駆動することができる。
さらに、被膜4を構成する酸化物の粒子の粒径を、気体成分に接している表面側よりも積層体2に接する側の方を大きくすることで、気体成分に接している表面側に粒界を多く形成することができる。例えば、気体成分に接している表面側と積層体2に接する側の2層構造とし、表面側に存在させる粒子の平均粒径を1〜5μm、積層体に接する側の粒子の平均粒径をその倍以上の2〜10μmとすることで、気体成分に接している表面側に粒界を多く形成することができる。好ましくは、積層体2に接する側に存在させる粒子の平均粒径よりも表面側に存在させる粒子の平均粒径を2倍以上とするのがよい。これにより、被膜4は表面側がより還元しやすくなり、被膜4の積層体2に接する側に向かうにつれて、還元しにくくなる。したがって、さらに積層体2は還元しにくくなる。この結果、高電界が印加された状態で長時間連続駆動させても、短絡せずに長期間安定して駆動することができる。なお、平均粒径は、測定試料の表面を鏡面研磨し、例えば燐酸を用いてエッチングを行って粒界を溶かした後、SEM(走査型電子顕微鏡)による例えば1000倍の画像の所定領域について複数の線を引いて各線の粒界との交点の数を数える、いわゆるインタセプト法により求めることができる。
そして、上述の積層型圧電素子1は、積層体2の積層方向に伸縮可能なケース5の内部に積層体2の積層方向の両端面をケース5の内壁に当接させて不活性ガス6とともに封入されている。
具体的には、ケース5は、SUS304やSUS316などの金属材料で形成されたもので、ベローズ(蛇腹)形状の筒体51と、筒体51の一端側開口を塞ぐように設けられた円板状の上部金属部材52と、筒体51の他端側開口を塞ぐように設けられた円板状の下部金属部材53とを有している。
筒体51のベローズ(蛇腹)形状は、所定の形状でシームレス管を作製した後、圧延加工や静水圧プレスなどにより形成することができ、積層型圧電素子1に電圧を印加した際に積層型圧電素子1(積層体2)の伸縮に追従して積層体2の積層方向に伸縮できるように、筒体51は所定のバネ定数を保持しており、厚み、溝形状および溝数によってそのバネ定
数を調整することができる。例えば、厚みは0.1〜0.2mm程度で、溝数は積層体2の高さが20mmのときは3本、積層体2の高さが40mmのときは6本程度である。
第1の外部電極層31および第2の外部電極層32をケース5の外部の回路に電気的に接続するために、下部金属部材53には貫通孔531が2個形成され、この貫通孔531を貫くようにリードピン72がそれぞれ配置され、それぞれのリードピン72は第1の外部電極層31および第2の外部電極層32から延びるリード線71と電気的に接続されている。また、貫通孔531
の内部には、例えば軟質ガラスなどの絶縁材532が充填されていて、リードピン72と下部
金属部材53とを絶縁して固定するとともに、外気の侵入を防いでいる。
以上述べたような圧電アクチュエータによれば、酸化物からなる被膜4がケース内部に封入された気体成分、特に還元性を有した不活性ガスの透過を阻止することで、積層体2(圧電体層21)の側面が還元されずに、積層体2(圧電体層21)の側面に代わってこの酸化物からなる被膜4が還元されることとなる。これにより、高電界が印加された状態で長時間連続駆動させても、短絡せずに長期間安定して駆動することができる。
なお、このような圧電アクチュエータを長時間連続駆動させると、第1の内部電極層221および第2の内部電極層222の間の圧電体層21が自己発熱し、結晶構造を構成する酸素イオンがはずれて不定比組成として安定化する現象が発生し、酸素空孔が形成される。また、酸化物からなる被膜4を形成しているため、被膜4が還元され被膜4の表面から次々と酸素イオンが奪われていくと同時に、圧電体層21内で形成された酸素空孔がイオン化して被膜4の方へ拡散して移動する現象が発生する。この結果、第1の内部電極層221お
よび第2の内部電極層222(両極)が露出した面では、被膜4が積層体2(圧電体層21)
の身代わりになって還元されるだけでなく、圧電体層21で酸素空孔が発生しても、酸素空孔が被膜4へ移動して消滅し、圧電体層21の絶縁性能を劣化させることがないという効果を奏する。
そのため、第1の内部電極層221および第2の内部電極層222が露出した側面のみに被膜4を形成することで、被膜4が優先的に還元されて、自己発熱により形成される圧電体層21の酸素空孔を消滅させる現象を積極的に発生させることができるので、圧電アクチュエータを長期間安定して駆動することができる。
次に、本実施の形態にかかる圧電アクチュエータの製造方法について説明する。
まず、積層型圧電素子1を構成する圧電体層21となるセラミックグリーンシートを作製する。具体的には、圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系,ブチラール系等の有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合してセラミックスラリーを作製する。そして、周知のドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、このセラミックスラリーからセラミックグリーンシートを作製する。圧電セラミックスとしては、圧電特性を有するものであればよく、例えば、PbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物などを用いることができる。また、可塑剤としては、フタル酸ジブチル(DBP),フタル酸ジオチル(DOP)などを用いることができる。
次に、第1の内部電極層221および第2の内部電極層222となる導電性ペーストを作製する。具体的には、銀−パラジウム合金の金属粉末にバインダーおよび可塑剤を添加混合することによって、内部電極層用導電性ペーストを作製する。
そして、得られた内部電極層用導電性ペーストを上記のセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷法を用いて印刷し、続いて、内部電極層用導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを複数枚積層して積層成形体を得る。この積層成形体を所定の温
度で脱バインダー処理した後、900〜1200℃で焼成することによって積層体2が得られる
次に、積層体2の第1の内部電極層221および第2の内部電極層222(両極)が露出した対向する他の1組の側面に、酸化物のインクを例えばディッピングやスクリーン印刷によって形成した後、900〜1200℃で焼成し、積層体2の側面に酸化物からなる被膜4を形成
する。
ここで、酸化物のインクは、例えば、安定化ジルコニアや、チタン酸バリウム、PZTな
どからなる平均粒径0.01〜100μmの酸化物の粉体を溶剤、分散剤、可塑剤およびバイン
ダーの溶液に分散させた後、3本ロールを数回通すことにより、粉体の凝集を解砕するとともに、粉体を分散させて作製可能である。また、溶剤、分散剤、酸化物の粉体が入ったボールミルを回転させ、粉体を粉砕、及び解砕した後、バインダーおよび可塑剤を投入し、更に回転させる方法でも作製可能である。
ディッピングでは、酸化物のインクの中へ、積層体2の第1の内部電極層221および第
2の内部電極層222(両極)が露出した側面を浸し、引き上げた後、乾燥させて形成する
。このとき、インクの粘度や引き上げ速度を制御することにより、被膜4の厚みを制御する。
また、スクリーン印刷では、積層体2の第1の内部電極層221および第2の内部電極層222(両極)が露出した側面と同じ大きさ、もしくは、若干大きくしたメッシュが形成された製版を作製し、製版の上にインクを乗せ、スキージで積層体2の第1の内部電極層221
および第2の内部電極層222(両極)が露出した側面インクを印刷し、乾燥させ手形成す
る。このとき、インクの粘度、メッシュの厚みおよびスキージの移動速度などにより、被膜27の厚みを制御する。
なお、被膜4の形成工程について、積層成形体(積層体2の生の状態)に酸化物のインクを塗布した後、同時に焼成を行なう方法であってもよく、積層体2(焼結後の状態)に酸化物のインクを塗布した後、再度焼成を行なう方法であってもよい。
また、被服4を構成する酸化物の粒径を、気体成分に接している表面側よりも積層体2に接する側の方を大きくするには、ディッピングやスクリーン印刷で酸化物のインクを積層体2に形成して焼成した後に、最初の酸化物インクよりも平均粒径の大きな酸化物のインクを用いて、再度ディッピングやスクリーン印刷で酸化物のインクを積層体2に形成するか、最初の酸化物インクと同じインクを使う場合は、2度目の焼成温度を1度目の焼成温度よりも10℃以上下げて焼成すれば良い。
次に、積層体2の第1の内部電極層221、第2の内部電極層222のうちの一方が露出した対向する1組の側面に、外部電極層用導電性ペーストをスクリーン印刷法によって印刷し、500〜800℃程度の温度で焼き付け処理を行ない、第1の外部電極層31および第2の外部電極層32を形成する。ここで、外部電極層用導電性ペーストは、例えば銀粉末およびガラス粉末にバインダーを加えてなる銀ガラス含有導電性ペーストである。
次に、第1の外部電極層31および第2の外部電極層32に、それぞれリード線71を半田で取り付けて、積層型圧電素子1が完成する。
次に、貫通孔531が形成され、軟質ガラスによってこの貫通孔531を貫くようにそれぞれリードピン72が固定された下部金属部材53の上面に積層型圧電素子1を接着剤で固定するとともに、リード線71とリードピン72とを半田付けで接続する。
次に、SUS304製のシームレスの円筒を圧延加工により、ベローズ形状を形成した筒
体51とSUS304製の上部金属部材52とをレーザー溶接によって溶接する。
次に、筒体51と上部金属部材52とを溶接したものを下部金属部材53に接着した積層型圧電素子1に被せ、所定の荷重で筒体51を引張り、積層型圧電素子1に荷重を印加する。
次に、筒体51と下部金属部材53とが重なったところをレーザー溶接で溶接し、積層型圧電素子1を封入(ケース5を封止)する。
次に、ケース5の所定の位置にドリルで不活性ガス注入用の穴を開け、真空チャンバーにて真空引きして、ケース5内の酸素を抜いた後、真空チャンバーへ窒素ガスを注入し、ケース5内の窒素パージを行なう。その後、窒素パージ用の穴をレーザー溶接で溶接することにより、穴を塞ぎ、ケース5内への不活性ガスの注入を完了する。
その後、下部金属部材53に取り付けられたリードピン72に0.1〜3kV/mmの直流電
界を印加し、積層体2(圧電体層21)を分極することによって、本実施の形態の圧電アクチュエータが完成する。
完成した圧電アクチュエータは、リードピン72を介して外部電源と接続して、圧電体層21に電圧を印加することにより、各圧電体層21を逆圧電効果によって大きく変位させることができる。これにより、例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能させることが可能となる。
なお、本実施の形態の圧電アクチュエータは、自動車エンジンの燃料噴射装置に限らず、インクジェット等の液体噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置等としても用いることができる。
本発明の積層型圧電素子からなる圧電アクチュエータを以下のようにして作製した。
まず、平均粒径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を
主成分とする圧電セラミックスの仮焼粉末、バインダー及び可塑剤を混合したセラミックスラリーを作製し、ドクターブレード法で厚み150μmの圧電体層となるセラミックグリ
ーンシートを作製した。
このセラミックグリーンシートの片面に、銀−パラジウム合金(銀95質量%−パラジウム5質量%)にバインダーを加えて作製した内部電極となる導電性ペーストを、スクリーン印刷法により印刷したセラミックグリーンシートを300枚積層し、積層成形体を作製し
た。
次に、所定の大きさとなるようにダイシングソーマシンで積層成形体を切断した後、積層成形体を乾燥させ、焼成して積層体2を作製した。焼成は、800℃の温度を90分保持し
た後、1000℃で200分間焼成した。積層体2は直方体状であり、その大きさは、端面が縦
5mm、横5mmであり、高さが35mmであった。
次に、平均粒径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を
主成分とする圧電セラミックスの仮焼粉末にバインダー及び可塑剤を加えてペーストを作製し、被膜の厚みが20μmとなるように、スクリーン印刷にて、内部電極層の両極が露出している積層体の対向する1組の側面に印刷し、その後、1000℃で焼成し、積層体の対向
する1組の側面に被膜を形成した。
次に、銀粒子およびガラス粉末にバインダーを加えて銀ガラス含有導電性ペーストを作製し、これを積層体の対向する他の1組の側面にスクリーン印刷法によって印刷し、500
〜800℃程度の温度で焼き付け処理して外部電極層を形成した後、半田付けにて、リード
線を接続した。
次に、SUS304で円板形状の上部金属部材を作製した。また、同じくSUS304で円板を作製した後、2箇所に穴を開け、軟質ガラスでリードピン取り付けた下部金属部材を作製した。
次に、下部金属部材の内側底面に夫々被膜を形成した積層体を接着剤で固定し、外部電極層に半田付けしたリード線と下部金属部材に取り付けられたリードピンとを半田付けで電気的に接続した。
次に、SUS304製のシームレス管を圧延加工することによりベローズ形状の筒体を作
製し、この筒体と上部金属部材とをレーザー溶接で溶接し、これを下部金属部材に接着した積層型圧電素子に被せ、所定の荷重で筒体を下部金属部材側に引っ張り、積層型圧電素子に荷重を印加した後、筒体と下部金属部材とが重なったところをレーザー溶接で溶接し、積層型圧電素子の封止を行なった。
次に、筒体と上部金属部材と下部金属部材とからなるケースの所定の位置にドリルで不活性ガス注入用の穴を開け、真空チャンバーにて真空引きして、ケース内の酸素を抜いた後、真空チャンバーへ高純度窒素ガスを注入し、ケース内の窒素パージを行なった後、窒素パージ用の穴をレーザー溶接で溶接して、穴を塞ぎ、窒素パージを完了させ、試験用の圧電アクチュエータを作製した。
また、比較例として、酸化物からなる被膜に代えてシリコーン樹脂による被膜を形成した積層型圧電素子を作製し、ケースの中に高純度窒素と共に封止した。
次に、これらの積層型圧電素子の二本のリードピンを接続し、3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行ない、積層型圧電素子を用いた圧電アクチュエータを作製した。
得られた圧電アクチュエータに170Vの直流電圧を印加したところ、いずれの圧電アク
チュエータにおいて、積層方向に50μmの変位量(初期変位量)が得られた。
さらに、これらの圧電アクチュエータを150℃の環境下で250Vの直流電圧を印加し続ける高温連続駆動試験を行なった。
比較例の圧電アクチュエータは、120時間連続駆動後に停止した。シリコーン樹脂から
なる被膜の内側にある両極の内部電極が露出した部分で、圧電体層の表面が還元されて内部電極間が短絡したことによる。
これに対し、本発明の実施例の圧電アクチュエータは、連続駆動で300時間経過後も50
μmの変位量にほとんど変化はなく、圧電アクチュエータとして必要な有効変位量を維持しており、圧電体層の表面が還元されず、内部電極間が短絡せずに長期間安定して駆動することができることがわかる。
1・・・積層型圧電素子
21・・・圧電体層
221・・・第1の内部電極層
222・・・第2の内部電極層
31・・・第1の外部電極層
32・・・第2の外部電極層
4・・・被膜
5・・・ケース
51・・・筒体
52・・・上部金属部材
53・・・下部金属部材
531・・・貫通孔
532・・・絶縁材
6・・・不活性ガス
71・・・リード線
72・・・リードピン

Claims (4)

  1. 複数の圧電体層が積層されるとともに該圧電体層の層間に第1の内部電極層および第2の内部電極層が1層おきに交互に形成されてなり、対向する1組の側面の一方に前記第1の内部電極層が、他方に前記第2の内部電極層がそれぞれ露出するとともに、対向する他の1組の側面に前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層が露出した積層体と、
    前記対向する1組の側面の一方に前記積層体の積層方向に長く被着されて前記第1の内部電極層に電気的に接続された第1の外部電極層と、
    前記対向する1組の側面の他方に前記積層体の積層方向に長く被着されて前記第2の内部電極層に電気的に接続された第2の外部電極層と、
    前記対向する他の1組の側面の前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層が露出した領域を被覆した酸化物からなる被膜とを含む積層型圧電素子が、
    前記積層体の積層方向に伸縮可能なケースの内部に前記積層体の積層方向の両端面を前記ケースの内壁に当接させて不活性ガスとともに封入されており、
    前記被膜はセラミックであって、前記被膜を構成する酸化物の粒子の粒径は、不活性ガスに接している表面側よりも前記積層体に接している側の方が大きいことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記酸化物が圧電体であることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記圧電体が、前記圧電体層の圧電体材料と同じであることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  4. 前記圧電体および前記圧電体層の圧電体材料が、いずれもチタン酸ジルコン酸鉛であることを特徴とする請求項3に記載の圧電アクチュエータ。
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