JP5549348B2 - 側面漏光プラスチック光ファイバの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
(i)断面形状が三角形や星形の芯部の外側に鞘部が形成された断面形状が真円形の側面漏光POF(特許文献1)。この側面漏光POFは、芯部が三角形や星形などの非円形であることで、芯部を通る光の一部が鞘部を通過して外側に漏れて側面から漏光する。漏光は、芯部の断面形状が角になっている部分で多くなる。
(ii)芯部と鞘部が同心円状に形成され、鞘部がレーザー加工により凹凸状にされた側面漏光POF(特許文献2)。この側面漏光POFは、鞘部の内面が凹凸状にされることで、芯部を通る光の一部が鞘部を通過して外側に漏れて側面から漏光する。
(iii)凹凸構造を有するギアによりPOF側面を押圧し、側面に所定の間隔で歪みを形成させた側面漏光POF(特許文献3)。この側面漏光POFでは、側面に形成した歪み部分から漏光する。
(iv)加熱した粗面プレートをPOFに押し付けることで、側面に細かい凹凸が形成された側面漏光POF(特許文献4)。この側面漏光POFでは、側面に形成した傷から漏光する。
(v)芯部と、該芯部の外側に形成された鞘部とを有し、芯部と鞘部とがそれぞれ相溶性が低い樹脂により形成されている側面漏光POF(特許文献5)。この側面漏光POFは、相溶性が低い樹脂からなる芯部と鞘部の境界に、光散乱を生じるような構造不整が形成されることで、芯部を通る光の一部が鞘部を通過して外側に漏れて側面から漏光する。
以上のように、簡便に製造でき、かつ装飾性に優れた側面漏光POFが望まれている。
[1]芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸工程を有するPOFの製造方法であって、断面円形状の芯材の外側に、該芯材の軸方向に沿って厚みが薄い薄肉部を有するように鞘材を複合した複合溶融樹脂を形成し、該複合溶融樹脂の断面形状を、その断面積が徐々に小さくなるように、断面円形状に賦形して紡糸することを特徴とする側面漏光POFの製造方法。
[2]芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸手段を備えたプラスチック光ファイバの製造装置であって、前記紡糸手段の内部の樹脂流路に、断面円形状の芯材の周りに鞘材が同心円状に複合される複合部と、流路の断面積が前記複合部側から徐々に小さくなっている円錐形状のテーパー部とが設けられ、前記複合部の鞘材が供給される部分に、鞘材の流れを規制する堰が、前記複合部に供給される芯材に近接するように設けられていることを特徴とする側面漏光POFの製造装置。
本発明のPOFの製造方法によれば、側面から軸方向に沿って筋状に漏光できる装飾性に優れた側面漏光POFを簡便に製造できる。
本発明のPOFの製造装置を用いれば、側面から軸方向に沿って筋状に漏光できる装飾性に優れた側面漏光POFを簡便に製造できる。
以下、本発明の側面漏光POFの実施形態の一例を示して詳細に説明する。図1は、本発明の側面漏光POFの一例である側面漏光POF1を、軸方向に対して垂直な方向に切断した様子を示した横断面図である。
本実施形態の側面漏光POF1(以下、単に「POF1」という。)は、図1に示すように、芯部2と、芯部2の外側に形成された鞘部3とからなる芯鞘構造を有している。POF1の側面には、鞘部3の厚みが薄い漏光部4が軸方向に沿って筋状に形成されている。
芯部2の断面形状は、ほぼ円形状であり、漏光部4の部分で鞘部3側に張り出した形状になっている。
POF1の側面には、軸方向に沿って、鞘部3の厚みが部分的に薄い漏光部4が筋状に形成されている。漏光部4は、鞘部3の厚みが3μm以下の部分を意味する。漏光部4では、鞘部3の厚みが薄いことで、芯部2内を伝播する光がその部分で全反射されずにPOF1の外に漏れてくる。また漏光部4では、鞘部3の厚みがゼロ、すなわち芯部2が露出していてもよい。
鞘部3における漏光部4以外の部分の厚みは、POF1の直径の0.5〜1.5%であることが好ましい。これにより、POF1の伝送損失が低くなって光源からの光がPOF1の端面から遠くまで届きやすくなるので、POF1からの筋状の漏光をより長くすることが容易になる。
本発明のPOFの製造装置は、POFの側面に、鞘部の厚みが部分的に薄い漏光部が、軸方向に沿って筋状に形成された側面漏光POFを製造する装置である。以下、本発明のPOFの製造装置の実施形態の一例として、前述したPOF1を製造する装置を示して詳細に説明する。
本実施形態のPOFの製造装置100(以下、単に「製造装置100」という。)は、図2に示すように、芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸手段10と、溶融状態の芯材を押し出す芯材押出機20と、芯材押出機20から紡糸手段10に供給する芯材の流量を制御する定量ポンプ30と、溶融状態の鞘材を押し出す鞘材押出機40と、鞘材押出機40から紡糸手段10に供給する鞘材の流量を制御する定量ポンプ50と、紡糸手段10により紡糸されたPOF1に延伸処理を施す延伸手段60と、延伸されたPOF1を巻き取る巻取り手段70と、POF1の走行を規制するガイド部材80とを有している。
芯材押出機20と定量ポンプ30、定量ポンプ30と紡糸手段10、鞘材押出機40と定量ポンプ50、および定量ポンプ50と紡糸手段10は、それぞれ溶融樹脂(芯材、鞘材)が流通する配管を介して接続されている。
紡糸手段10の樹脂流路においては、芯材流路部13、テーパー部16および吐出部17の中心軸が一致している。
芯材流路部13の断面形状は、円形状である。
芯材流路部13の内径Dは、製造するPOFの芯部の直径に応じて適宜選定すればよく、1.0〜10.0mmが好ましい。
鞘材流路部14の断面形状および内径は特に限定されず、鞘材流路部14の断面形状は円形状が好ましく、内径は2.5〜5.0mmが好ましい。
複合部15は、図3(A)および図4(A)に示すように、芯材流路部13および鞘材流路部14と連通しており、その流路の形状がシム板18により形成されている。この例の複合部15の流路形状は、図4(A)に示すように、シム板18によって、芯材流路部13から供給される芯材の周りが円形状になっており、芯材流路部13側から鞘材流路部14に向かって流路幅が徐々に狭くなるように窄まった形状になっている。鞘材は、複合部15における流路が窄まった部分に鞘材流路部14から供給される。
また、この例では3つの堰18aが芯材の外周に沿って等間隔になるように設けられているが、堰18aが2つ以上である場合、芯材の外周に沿った間隔は等間隔には限定されない。
複合部15の底面に円環状の溝15aが形成されていれば、堰18aが設けられていても、複合部15の流路が窄まった側に鞘材流路部14から供給された鞘材が、溝15aに沿って複合部15の反対側の内壁の方まで均一に行き渡りやすくなる。これにより、複合部15に供給された芯材における堰18aを設けた部分以外に、鞘材を均一に供給して複合することが容易になる。
溝15aが形成される位置は、円環状の溝15aの外側に、複合部15において鞘材が供給される位置、すなわち鞘材流路部14と複合部15の連結位置が位置するようにすればよい。
テーパー部16は、その断面積が複合部15側から徐々に小さくなるように円錐形状に窄まった形状になっている。つまり、テーパー部16の複合部15側の開口端部16aの断面形状は芯材流路部13と同等の円形状であり、吐出部17側の開口端部16bの断面形状は開口端部16a側よりも断面積の小さい円形状である。
延伸手段60は、POF1に延伸処理を施すことができるものであればよく、図2に示すように、加熱型の延伸炉61を用いることが好ましい。延伸炉61では、炉内に供給される加熱気体または蒸気(スチーム)などによって、POF1を加熱しながら延伸する。
延伸炉61の前後には、駆動式の送り側延伸ロール62および引き取り側延伸ロール63が設けられている。POF1は、送り側延伸ロール62によって延伸炉61に導かれ、引き取り側延伸ロール63によって延伸炉61から引き取られる。このとき、引き取り側延伸ロール63の引き取り速度を、送り側延伸ロール62の送り速度よりも速くすることによって、円滑に延伸処理が行える。
ガイド部材80は、POFの製造に通常用いられるものが使用でき、金属製またはセラミック製のガイド部材などが挙げられる。
なお、本発明のPOFの製造装置は、前述した製造装置100には限定されない。例えば、複合部における堰がシム板に設けられている形態には限定されず、図8に示すように、第2ノズル12における複合部15の底面に、芯材流路部13から供給される芯材側の側面が芯材に近接するように、堰15bがシム板18Bとは独立に設けられている形態であってもよい。また、この場合には、シム板を設けずに、シム板を設置する断面円形状の部分をそのまま複合部15として使用する形態であってもよい。ただし、前述したような、堰18aが流路の内壁に設けられたシム板18(シム板18A)を用いる形態の方が、従来から用いられているノズルを改造することなく、シム板の形状を変更するのみで漏光部の幅や数を容易に変更できる点で好ましい。
また、本発明のPOFの製造装置における紡糸手段は、吐出部が設けられていない形態、すなわちテーパー部から直接紡糸される形態になっていてもよい。
また、紡糸した直後のPOF1を冷却する冷却手段が設けられた製造装置であってもよい。また、延伸手段が設けられていない製造装置であってもよい。
本発明の側面漏光POFの製造方法は、芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸工程を有する方法であって、断面円形状の芯材の外側に、該芯材の軸方向に沿って厚みが薄い薄肉部を有するように鞘材を複合した複合溶融樹脂を形成し、該複合溶融樹脂の断面形状を、その断面積が徐々に小さくなるように、断面円形状に賦形して紡糸することを特徴とする方法である。以下、本発明の側面漏光POFの製造方法の実施形態の一例として、前述した製造装置100を用いてPOF1を製造する方法を説明する。
その後、複合溶融樹脂1Aは、テーパー部16において断面積が徐々に小さくなるように断面円形状に変形される。このとき、複合溶融樹脂1Aの薄肉部4Aの部分は、鞘材3Aが薄いため、それ以外の部分に比べて芯材2Aが内側に押し込まれず、部分的に張り出した状態となるように変形していく。そのため、その部分の鞘部3の厚みが薄くなって、部分的に鞘部3の厚みの薄い漏光部4が軸方向に沿って形成されたPOF1が吐出口10cから紡糸される。
延伸炉61におけるPOF1の加熱温度は、Tg以上、Tg+50℃以下が好ましい。ここで、Tgとは、芯材(コア材)のガラス転移温度である。延伸処理は、前記範囲の温度に加熱された加熱気体や蒸気を吹きつけながら延伸する方法などにより行うことができる。
巻取り工程では、巻取り手段70により、延伸処理が施されたPOF1を巻き取る。巻取りは、ボビンなどを用いて行うことができる。
なお、本発明の製造方法は、前記製造装置100を用いた方法には限定されない。例えば、前述した他の形態の紡糸手段を備えたPOFの製造装置を用いた方法であってもよい。また、紡糸工程と延伸工程の間に、紡糸直後のPOFを冷却する冷却工程を設けた方法であってもよく、延伸手段を設けない方法であってもよい。
本実施例で得られたPOFの鞘部の厚みは、以下に示す方法で測定した。
[鞘部の厚みの測定]
鞘部の厚みは、製造したPOFを線方向に対して垂直になるように0.5mm程度の厚さに切断し、キーエンス社製のデジタルHDマイクロスコープ VH−7000により観察して、200倍に拡大した画像を基に測定した。
芯材としてポリメチルメタクリレート、鞘材としてフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(混合比=80/20(モル%))を用いた。図2および図3に例示した、紡糸手段10を備えた製造装置100により、外径約1.0mmのPOF1を製造した。
紡糸手段10は、芯材流路部13の内径を6mm、鞘材流路部14の内径を1.6mm、テーパー部16の傾斜角度θを30°、吐出部17の内径を2.5mmとした。シム板18の堰18aは、複合部15に供給される芯材の外周に沿って等間隔となるように3箇所設置し、そのそれぞれの幅dを2mmとした。
また、得られたPOF1を50mとし、その両端にハロゲンランプを設置して白色光を入射したところ、POF1はその軸方向に沿って、光源の他端まで均一に、側面から3本の筋状の漏光を生じた。
POFの製造時に使用するシム板を後述するものに変更した以外は、実施例1と同じ原材料を用いて外径約0.75mmのPOF1を作製した。シム板18の堰18aは、複合部15に供給される芯材の外周に沿って等間隔となるように4箇所設置し、そのそれぞれの幅dを1.5mmとした。
得られたPOF1の鞘部3の厚みは、5μm(POFの直径に対して0.67%)であり、4つの漏光部4の部分では2μmであった。また漏光部4の幅(POF外周上の弧の長さ)は約10μm(POFの外周に対して約0.42%、中心角は約1.5°。)であった。
得られたPOF1を80mとし、その両端にハロゲンランプを設置して白色光を入射したところ、POF1はその軸方向に沿って、光源の他端まで均一に、側面から4本の筋状の漏光を生じた。
POFの製造時に使用するシム板を後述するものに変更した以外は、実施例1と同じ原材料を用いて外径約1.0mmのPOF1を作製した。シム板18の堰18aは、複合部15に供給される芯材の外周に沿って等間隔となるように4箇所設置し、そのそれぞれの幅dを2.5mmとした。
得られたPOF1の鞘部3の厚みは、9μm(POFの直径に対して0.90%)であり、4つの漏光部4の部分では2μmであった。また漏光部4の幅(POF外周上の弧の長さ)は約31.4μm(POFの外周に対して約1.0%、中心角は約3.6°。)であった。
得られたPOF1を20mとし、その両端にハロゲンランプを設置して白色光を入射したところ、POF1はその軸方向に沿って、光源の他端まで均一に、側面から4本の筋状の漏光を生じた。
2 芯部
3 鞘部
4 漏光部
10 紡糸手段
11 第1ノズル
12 第2ノズル
13 芯材流路部
14 鞘材流路部
15 複合部
16 テーパー部
17 吐出部
18 シム板
18a 堰
100 POFの製造装置
Claims (2)
- 芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸工程を有するプラスチック光ファイバの製造方法であって、
断面円形状の芯材の外側に、該芯材の軸方向に沿って厚みが薄い薄肉部を有するように鞘材を複合した複合溶融樹脂を形成し、該複合溶融樹脂の断面形状を、その断面積が徐々に小さくなるように、断面円形状に賦形して紡糸することを特徴とする側面漏光プラスチック光ファイバの製造方法。 - 芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸手段を備えた側面漏光プラスチック光ファイバの製造装置であって、
前記紡糸手段の内部の樹脂流路に、
断面円形状の芯材の周りに鞘材が同心円状に複合される複合部と、流路の断面積が前記複合部側から徐々に小さくなっている円錐形状のテーパー部とが設けられ、
前記複合部の鞘材が供給される部分に、鞘材の流れを規制する堰が、前記複合部に供給される芯材に近接するように設けられていることを特徴とする側面漏光プラスチック光ファイバの製造装置。
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