JP5549322B2 - 液体クロマトグラフィー装置及び充填剤の充填方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体クロマトグラフィー装置に係り、特にクロマトカラム内の充填剤又はそのスラリーを可動栓で加圧するよう構成した液体クロマトグラフィー装置に関する。また、本発明は、このクロマトカラム内に充填剤の充填層を形成する方法に関する。
液体クロマトグラフィーは、天然物や発酵生産物、遺伝子組み替え等による培養生産物、合成反応物中の目的物質を目的の純度、精製速度で分離精製する手段として広く用いられている。
クロマトカラム(液体クロマトグラフィー用カラム)へ充填剤を充填する場合、クロマトカラム内に充填剤スラリーを供給した後、可動栓を駆動手段で駆動させて該スラリーを加圧し、多孔板を有したクロマトカラム蓋又は該可動栓を介してスラリー中の溶媒をクロマトカラム外に押し出し、充填剤の充填層を形成することが行われている。充填終了後は、可動栓による充填層の加圧を維持する(特許文献1,2)。
特開2000−346833 特開2005−321302
上記特許文献1,2では、クロマトカラム内に充填剤スラリーを供給するときには、可動栓をクロマトカラム外に離脱させておき、充填剤スラリーを供給した後、可動栓をクロマトカラムに嵌合させ、前進させるようにしている。
このように可動栓をクロマトカラム外に位置させて充填剤スラリーを供給する場合、クロマトカラム内に大気中から異物が混入するおそれが大きい。また、クロマトグラフィ操作の際に可動栓の液流路から試料液をクロマトカラムに一様に供給する目的と、可動栓の液流路からの充填剤の漏出を防ぐ目的で、可動栓にはフィルタ(多孔板)が設けられている。そのため、可動栓をクロマトカラム内の上部に置いたままカラム側部に設けられた充填剤スラリーの導入口から充填剤スラリーを供給しようとしても、多孔板の差圧のために可動栓の液流路から空気が抜けにくく、スムーズに充填剤スラリーの供給ができないという問題があった。
本発明は、充填剤スラリーをクロマトカラムに供給して充填剤の充填層を形成する際の異物の混入が防止されるとともにスムーズに充填剤スラリーを供給可能な液体クロマトグラフィー装置と、充填剤の充填方法を提供することを目的とする。
請求項1の液体クロマトグラフィー装置は、クロマトカラムと、該クロマトカラム内に供給された充填剤又はそのスラリーを加圧するための可動栓とを有する液体クロマトグラフィー装置において、該可動栓は、該クロマトカラムの一端側の待機位置と、該待機位置からクロマトカラム内に前進した前進位置とをとるものであり、該クロマトカラムの該一端側には、該可動栓が該待機位置に位置した状態で該クロマトカラムに充填剤スラリーを供給する供給口及びクロマトカラム内から気体を流出させる流出口が設けられており、前記流出口は、クロマトカラム外において下方に向って開口していることを特徴とするものである。
請求項の液体クロマトグラフィー装置は、請求項1において、前記流出口に、クロマトカラム内からクロマトカラム外に向う気体の流れを許容し、逆の流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とするものである。
請求項の液体クロマトグラフィー装置は、請求項1又は2において、前記クロマトカラムは、カラム本体と、該カラム本体の一端側に着脱可能に連結されたカラム継体とを備えており、該カラム継体に前記供給口及び流出口が設けられていることを特徴とするものである。
請求項の充填剤の充填方法は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー装置に対し充填剤を充填する方法であって、前記可動栓を前記待機位置に位置させ、前記供給口から充填剤スラリーを前記クロマトカラム内に供給し、その後、該可動栓を前進させて充填層を形成することを特徴とするものである。
本発明の液体クロマトグラフィー装置及び充填剤の充填方法では、可動栓をクロマトカラムの一端側の待機位置に位置させておき、供給口から充填剤スラリーをクロマトカラム内に供給する。その後、可動栓を前進させてスラリー中の液分を搾り出すと共に充填剤を加圧して充填剤の充填層を形成する。このように、充填剤スラリーの供給から充填層の形成に至る間、可動栓がクロマトカラム内に位置するので、クロマトカラム内に異物が混入することが防止(抑制を含む。)される。
このクロマトカラムの流出口をクロマトカラム外において下方に向って開口させたり、流出口に逆止弁を設けることにより、流出口を介して異物がクロマトカラム内に混入することが防止される。
クロマトカラムをカラム本体とカラム継体とで構成した場合、充填層形成後にカラム継体をカラム本体から分離し、液体クロマトグラフィー装置をコンパクトなものとすることができる。
実施の形態に係る液体クロマトグラフィー装置の断面図である。 充填層の形成方法を示す説明図である。 充填層の形成方法を示す説明図である。 充填層の形成方法を示す説明図である。 充填層の形成方法を示す説明図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る液体クロマトグラフィー装置1を示しており、クロマトカラム2が筒軸心方向を上下方向(この実施の形態では鉛直方向)として設置されている。
この液体クロマトグラフィー装置1は、クロマトカラム2と、可動栓3と、該可動栓3を進退させるためのシリンダ装置(ピストンロッド以外は図示略)等を備えている。クロマトカラム2は、円筒形のカラム本体5と、カラム本体5の上端に着脱可能に連結された短い円筒形のカラム継体4と、該カラム本体5の下端に着脱可能に取り付けられた底蓋6等を備えている。底蓋6の上面には、充填剤を通さない通液性の多孔板7が設けられており、この多孔板7の下側に形成された流路8が液取出口9に通じている。底蓋6はボルト10によってカラム本体5に連結されている。
可動栓3の下面には、充填剤を通さない通液性の多孔板12が設けられ、この多孔板12の上側に流路13が形成されている。この流路13は、液流路15を介して可動栓3外に連通している。
前記シリンダ装置は、シリンダと、該シリンダ内のピストン(いずれも図示略)と、該ピストンに連なるピストンロッド16等を備えている。このピストンロッド16の下端が可動栓3に対しコネクタ17を介して着脱可能に連結されている。
カラム継体4は、カラム本体5と同一直径の短い筒状のものである。カラム本体5の上端とカラム継体4の下端にそれぞれ設けられたフランジ5a,4aがボルト19によって着脱可能に連結されている。
カラム継体4の側周面に充填剤スラリーの供給口20が設けられ、それと反対側の側周面に気体の流出口21が設けられている。この流出口21は、下向きL字形に曲成されており、その大気側の末端は下方に向って開口している。この流出口21の末端部に逆止弁22が設けられている。逆止弁22はバネ(図示略)によって流出口21の閉鎖方向に付勢されており、クロマトカラム2内から外部に向う気体の流れを許容し、それと反対方向の流れを阻止する。
クロマトカラム2の内周面における供給口20及び流出口21のレベルは、可動栓3をクロマトカラム2の上端部(待機位置)に位置させた状態において供給口20及び流出口21がクロマトカラム2内に臨むレベルとなっている。
次に、以上の構成を有する液体クロマトグラフィー装置1への充填剤の充填方法を第2図〜第5図に基づいて説明する。なお、第2図〜第5図はこの充填剤の充填方法をその工程順に示す模式的断面図である。
この充填方法ではまず第2図の通り、可動栓3をクロマトカラム2の上端部の待機位置に位置させ、充填用溶媒に充填剤を分散させてなる所定濃度の充填剤スラリーを供給口20からクロマトカラム2内に供給する。充填剤スラリーの流入に伴って、クロマトカラム2内の気体(空気)は流出口21を通ってクロマトカラム2外に流出する。
次いで、第3図の通り、シリンダ装置のピストンロッド16を突出させて可動栓3を下降させ、充填剤の充填層を加圧する。この際、液流路15に配管(第3図では図示略)を接続しておき、充填層から可動栓3側へ搾り出されたスラリー溶媒を抜き出す。底蓋6側へ搾り出された溶媒は液取出口9から流出する。
可動栓3がカラム本体5内にまで前進し、所定の圧力または所定の可動栓位置まで充填層を加圧した後、第4図の通り、コネクタ17を外してピストンロッド16と可動栓3との連結を解除するとともに、ボルト19を外してカラム継体4をカラム本体5から分離する。
次いで、第5図の通り、カラム本体5の上端にトッププレート30をボルト31で連結する。このトッププレート30に設けられたロックボルト32を下方に螺進させて可動栓3を押圧し、充填層を所定圧に加圧する。そして、試料液を注入管40及び液流路15を介して可動栓3側から充填層に通液し、分画された画分を液取出口9から分取する。
なお、第4図のようにピストンロッド16と可動栓3との連結を解除すると、充填層の加圧力は解放されるが、その後、第5図のようにロックボルト32で可動栓3を押圧することにより、充填層の充填圧が回復する。
この実施の形態によると、可動栓3は常にカラム継体4又はカラム本体5内に存在しており、クロマトカラム2内に異物が混入することが防止される。また、流出口21が下向きとなっており、しかも逆止弁22が設けられているので、流出口21からの異物混入も防止される。また、充填剤スラリーをクロマトカラム2内に供給する際に、クロマトカラム2内の気体(空気)が流出口21から流出するため、充填剤スラリーの供給をスムーズに短時間で行うことができる。
この実施の形態では、充填層形成後にはカラム継体4やシリンダ装置が存在しないので、コンパクトな液体クロマトグラフィー装置となる。
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の構成とされてもよい。
1 液体クロマトグラフィー装置
2 クロマトカラム
3 可動栓
4 カラム継体
5 カラム本体
16 ピストンロッド
20 供給口
21 流出口
22 逆止弁

Claims (4)

  1. クロマトカラムと、該クロマトカラム内に供給された充填剤又はそのスラリーを加圧するための可動栓とを有する液体クロマトグラフィー装置において、
    該可動栓は、該クロマトカラムの一端側の待機位置と、該待機位置からクロマトカラム内に前進した前進位置とをとるものであり、
    該クロマトカラムの該一端側には、該可動栓が該待機位置に位置した状態で該クロマトカラムに充填剤スラリーを供給する供給口及びクロマトカラム内から気体を流出させる流出口が設けられており、
    前記流出口は、クロマトカラム外において下方に向って開口していることを特徴とする液体クロマトグラフィー装置。
  2. 請求項1において、前記流出口に、クロマトカラム内からクロマトカラム外に向う気体の流れを許容し、逆の流れを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする液体クロマトグラフィー装置。
  3. 請求項1又は2において、前記クロマトカラムは、カラム本体と、該カラム本体の一端側に着脱可能に連結されたカラム継体とを備えており、該カラム継体に前記供給口及び流出口が設けられていることを特徴とする液体クロマトグラフィー装置。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー装置に対し充填剤を充填する方法であって、
    前記可動栓を前記待機位置に位置させ、前記供給口から充填剤スラリーを前記クロマトカラム内に供給し、その後、該可動栓を前進させて充填層を形成することを特徴とする充填剤の充填方法。
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