JP5549165B2 - 透明アンテナ及び該透明アンテナの製造方法 - Google Patents

透明アンテナ及び該透明アンテナの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、地上波や衛星放送の受信、無線LAN等の送受信、及び外部ネットワークを通じた送受信を行うためのアンテナ、特に、アンテナの視認性を低減した透明アンテナ、及び該透明アンテナの製造方法に関する。
昨今、地上波デジタル放送をはじめとする各種放送が提供され、また無線LAN等の送受信や、外部ネットワークを通じた送受信が普及するなか、小型アンテナの需要が高まる傾向にある。
該アンテナは、携帯電話機の筺体や表示画面、建築物や自動車の窓ガラス、及びRFID(radio frequency identification)タグ等に貼着され、各々の目的に応じた電波を送受信する。
また、該アンテナは、貼着する対象物の外観やデザイン性を損ねないことが求められる。従って、該アンテナとしては、上記いずれの用途においてもアンテナ自体の視認性が低く視界を妨げ無いもの、即ち高透視性のものが求められている。
そこで、基材に樹脂フィルムやガラス板等の透明基材を用い、該透明基材上に、銅箔などの金属箔を透明基材上に接着剤を解して積層し、該金属箔をフォトエッチング加工によりメッシュパターン化して成る、金属パターン層を形成することにより光透過性を付与した透明アンテナ(透明導電材)が知られている(例えば特許文献1)。
WO2006/106982号公報
上記金属パターン層は、透明基材上に透明接着剤層を介して未加工の金属箔を積層した後、フォトリソグラフィー法によって、該金属箔をエッチング加工することにより、メッシュ状に形成される。このようにして得られた透明アンテナでは、市販の銅箔は、何れも、接着面に易接着化の為の粗面化処理を施してある。その為、エッチングにより金属箔が除去された開口部において、金属箔表面の微細な凹凸形状が転写された透明接着剤層の表面が剥き出しとなるため、該透明接着剤層の凹凸表面では光が散乱しやすく、該透明アンテナの透明性は低下し、ヘイズ(haze;曇価)が高くなる(白濁が増し、曇り度合いが高くなる)という問題がある。
また近年、透明アンテナの低ヘイズ化とともに、低コスト化が求められている。低コスト化を図るには、例えば、上記透明アンテナの金属パターン層に用いられる金属箔の材料として、一般に、銅(銅箔)が用いられてきたが、該銅箔を用いることによりコスト高となるため、該銅箔よりも安価な材料を採用することが考えられる。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、ヘイズを低減することができ、且つ安価な透明アンテナ、及び該透明アンテナの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、金属パターン層に用いられる金属箔の材料として銅よりも安価なアルミニウム(アルミニウム薄膜)を用いて透明アンテナを製造することを検討した。該アルミニウム薄膜は、その作る工程で、2枚のアルミニウム箔を重ね合わせて、該アルミニウム箔を圧延ロールで延ばして薄膜化する。その際に、圧延ロールと接する面は圧延ロールの平滑面が賦形される為、この面を鏡面といい、一方、アルミニウム箔同士が接する面は、その表面が確率的揺らぎによって乱雑な微小凹凸となる為、この面を粗面という。従って、アルミニウム薄膜には鏡面と粗面がある。
また本発明者らの実験の結果、従来、金属箔表面の凹凸形状を表す一般的な指標とされてきた算術平均粗さRaや十点平均粗さRzを規定しても、必ずしも透明アンテナのヘイズを低減できるとは限らないことが分かった。
そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ある特定の範囲内にある、特定の指標を有するアルミニウム薄膜の鏡面(光散乱性の低い平滑面)を、透明基材側と向き合わせて積層することにより、得られる透明アンテナのヘイズが低減することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る透明アンテナは、透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有し、厚みが1〜100μmのアルミニウムパターン層が設けられ、且つ、該アルミニウムパターン層の該透明接着剤層側表面のJIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下であり、自動車のフロントガラス又はリアガラスに貼着されるカーナビゲーションアンテナ、携帯電話機用アンテナ、製品管理用アンテナ、又は、建築物の窓ガラスに貼着されるセキュリティシステム用アンテナとして用いられることを特徴とする。
本発明の透明アンテナは、厚みが1〜100μmのアルミニウムパターン層の透明基材側の面を、光散乱性の低い平滑面(鏡面)とすることにより(かかるアルミニウム薄膜のかかる面を選択したことにより)、該アルミニウムパターン層の開口部における透明接着剤層表面の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を上記特定の範囲とすることができ、該透明接着剤層表面が光散乱し難い形状となるため、ヘイズを低減することができる。
本発明の透明アンテナは、自動車のフロントガラス又はリアガラスに貼着されるカーナビゲーションアンテナ、又は、建築物の窓ガラスに貼着されるセキュリティシステム用アンテナとして好適に用いられる。
また、本発明に係る透明アンテナの製造方法は、透明基材の一方の面に、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有し、厚みが1〜100μmのアルミニウムパターン層を備えた透明アンテナの製造方法であって、
(i)JIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下の面を有し、厚みが1〜100μmのアルミニウム薄膜を用意する工程、
(ii)透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、前記アルミニウム薄膜を、そのRSCE/RSCIが0.4以下の面を前記透明基材と向き合わせて積層する工程、及び
(iii)前記アルミニウム薄膜を所定のパターン形状にエッチングする工程を含むことを特徴とする、自動車のフロントガラス又はリアガラスに貼着されるカーナビゲーションアンテナ、携帯電話機用アンテナ、製品管理用アンテナ、又は、建築物の窓ガラスに貼着されるセキュリティシステム用アンテナとして用いられる透明アンテナの製造方法である。
本発明の透明アンテナの製造方法によれば、金属パターン層に用いられる金属箔の材料として銅よりも安価なアルミニウムを用いることにより、透明アンテナの低コスト化が図れる。
また、透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、アルミニウム薄膜の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が上記特定の範囲となる光散乱性の低い平滑面(鏡面)を、該透明基材と向き合わせて積層することにより、該アルミニウム薄膜のエッチング処理後の開口部における該透明接着剤層表面が光散乱し難い形状となるため、ヘイズが低減された透明アンテナを得ることができる。
本発明の透明アンテナによれば、アルミニウムパターン層の透明基材側の面を、光散乱性の低い平滑面(鏡面)とすることにより、該アルミニウムパターン層の透明接着剤層側表面の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を特定の範囲とすることができ、更には、これにより、開口部に露出する接着剤層表面の(RSCE/RSCI)もこれに対応する値の表面形状となり、該透明接着剤層表面が光散乱しにくい形状となるため、ヘイズを低減することができる。
また、本発明の透明アンテナの製造方法によれば、金属パターン層に用いられる金属箔の材料として銅よりも安価なアルミニウムを用いることにより、透明アンテナの低コスト化が図れる。
また、透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、アルミニウム薄膜の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が上記特定の範囲となる光散乱(反射)性の低い平滑面(鏡面)を、該透明基材と向き合わせて積層することにより、該アルミニウム薄膜のエッチング処理後の開口部に於ける該透明接着剤層表面が光散乱し難い形状となるため、ヘイズが低減された透明アンテナを得ることができる。更に、透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介してアルミニウム薄膜の光散乱性が低い平滑面(鏡面)を、該透明基材と向き合わせて積層するため、該アルミニウム薄膜と該透明接着剤層との間の気泡の噛み込みが抑制され、残留気泡の光散乱に起因するヘイズの上昇をも抑えることができる。両者相俟って、総合的に、透明アンテナのアルミニウムパターン部を透過する光のヘイズを低減することができる。
図1(A)及び(B)は、本発明による透明アンテナの一形態を示す断面図である。 ダイポールアンテナの構造を示す回路図である。 図3(A)〜(D)は、本発明による透明アンテナを用いた実施形態を表す説明図である。 本発明による透明アンテナの一実施形態を表す説明図である。 図4に示す透明アンテナの拡大図である。 図5におけるA−A’断面の拡大図である。 本発明の透明アンテナの使用形態を表す説明図である。
本発明は、透明アンテナ、及びその製造方法を含むものである。以下、それぞれについて詳述する。
尚、本発明においていう「粗面」、「鏡面」の語の定義であるが、金属箔メーカの業界用語であり、アルミニウム箔の外表面(表裏面)のうち、金属箔製造メーカにおいて、表面の凹凸の程度を増大せしめる物理的、或いは化学的処理を施して、相対的に凹凸の程度が増大した側の面を「粗面」と(その他、「粗化面」、或いは「マット面」とも)呼称する。一方、そうでない側の面を「鏡面」と(その他、「平滑面」、「光沢面」、或いは「ミラー面」とも)呼称する。
尚、これら、「粗面」及び「鏡面」は投錨効果による接着力の観点から形成され又評価されてきた尺度であり、後述の如く、これら「粗面」或いは「鏡面」が、必ずしも、接着剤層表面に転写、賦形された状態でのヘイズ値と直接相関するとは限らず、また、本発明で規定する特定の光線反射率比(RSCE/RSCI)の数値範囲とも相関はしないことがわかる。
また、本発明において、透明基材の一方の面に積層したアルミニウム薄膜としては、アルミニウム箔を用いている。
I.透明アンテナ
本発明に係る透明アンテナは、透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有するアルミニウムパターン層が設けられ、且つ、該アルミニウムパターン層の該透明接着剤層側表面のJIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下であることを特徴とする。
透明基材上に設けられたアルミニウムパターン層の開口部、即ち、透明接着剤層の露出面には、アルミニウム薄膜の透明基材側に向き合わせた面(光散乱性の低い平滑面)の微細な凹凸形状が転写される。そのため、該アルミニウムパターン層の開口部から露出した該透明接着剤層表面のJIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)と、該アルミニウムパターン層のライン部、即ち、該アルミニウムパターン層の該透明接着剤層と接する面(光散乱性の低い平滑面)のJIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)とは、同等の値になると考えられる。
従って、本発明において、該アルミニウムパターン層の開口部から露出した該透明接着剤層表面における光線反射率比(RSCE/RSCI)の数値は、直接測定することが困難な為(該露出接着剤層を大部分の光が透過する為)、透明アンテナの形態、即ち;
透明基材/透明接着剤層/アルミニウムパターン層
の積層体において、該透明基材側から測定用の光を入射し、介在する透明基材および透明接着剤層を経由し、そして該アルミニウムパターン層表面で反射した光によって、該(RSCE/RSCI)の数値を測定し、間接的に評価している。
本発明者らの実験の結果、透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して貼り合わせるアルミニウム薄膜の面が滑らかで、この表面が転写された開口部に露出する接着剤層表面は光の透過が平行光線透過光主体となる場合、得られる透明アンテナのヘイズを低減させることができることが確認された。
また、後述する実施例の表1に示すように、電解銅箔では、透明接着剤層側の面が粗面と鏡面で外観上区別できるが、JIS B0601算術平均粗さRaで表わす数値には差がない。ここで、JIS B0601の算術平均粗さRaとは、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値のことである。また、アルミニウム箔の粗面のRaは、電解銅箔の粗面のRaよりも大きいにもかかわらず、エッチング処理後のヘイズ値は小さくなっている。更に、アルミニウム箔において、鏡面のRaは粗面のRaより小さいが、微小範囲で測定した自乗平均粗さRqは、鏡面の方が粗面よりも大きくなっている。
上記の結果から、算術平均粗さRaと、金属箔表面の外観、及びエッチング処理後の開口部の接着剤層表面に転写されるヘイズ値の間に相関関係はみられない。従来、鏡面性の指標として使ってきた十点平均粗さ(JIS B0601(1994年度版)で規定)と接着剤層表面に転写されるヘイズとの相関についても、同様であり、相関性は明確ではない。また、金属箔表面の凹凸形状を表す平均粗さは、測定する方法によって変化する。このことから、同じ算術平均粗さRaにおいて、凹凸の頻度が多く、凹凸の間隔が密である表面形状では、エッチング処理後のヘイズ値は大きくなり、一方、凹凸の頻度が少なく、凹凸の間隔が疎であって、平らな部分が多い表面形状では、エッチング処理後のヘイズ値は小さくなると考えられる。
即ち、従来、十点平均粗さRzと相関してエッチング処理後のヘイズが低下するとされてきたのは、金属箔表面の粗面微細凹凸形状、凸部の密度等の条件が、ある特定の範囲に限定された場合のことであり、金属箔の製法、表面の粗面微細凹凸形状や凸部の密度等が各種変化する場合の一般について、広汎に適用可能な設計基準ではないと結論される。
本発明者らは、上記検討の結果、透明接着剤層側に貼り合わせるアルミニウム箔の面を、光散乱性の低い鏡面にすることにより、相関性良くエッチング処理後のヘイズが低減されることを見出した。具体的には、透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して貼り合せるアルミニウム箔の面が、JIS Z8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下の範囲である場合、その表面の算術平均粗さRaの値に関わらず、エッチング処理後のアルミニウムパターン層の開口部を透過する光のヘイズを低減させることができる。
尚、金属箔表面の凹凸形状を表す一般的な指標とされてきた算術平均粗さRaや十点平均粗さRzは、金属箔の鏡面性、更には、この表面が転写された開口部の接着剤層のヘイズと必ずしも関連するものではなかった。
全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)は、金属箔(アルミニウム薄膜)の表面形状が光を散乱しやすいかどうかを表す指標であり、該金属箔(アルミニウム薄膜)表面の形状が、透明接着剤層に転写される場合、得られる透明アンテナの透過光のヘイズに直接影響する値である。
本発明においては、アルミニウムパターン層の透明基材側の面を、光散乱性の低い平滑面とすることにより(かかるアルミニウム薄膜のかかる面を選択したことにより)、該アルミニウムパターン層の開口部における透明接着剤層表面の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を上記特定の範囲とすることができ、該透明接着剤層表面が透過光を散乱しにくい形状となるため、ヘイズを低減することができる。
本発明におけるアルミニウム薄膜表面のJIS Z8722−1982に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)は、JIS Z8722−1982に準拠して、分光測色計(例えば、コニカミノルタセンシング株式会社製、CM−3600d)を反射モードに設定し、光源は標準の光D65、視野2°、測定径4mmφ以上として、検出器を、反射光のうち拡散反射光と鏡面反射光の両方を総合した全反射光の(積分)強度を測定するようなSCI(Specular Component Include)モードに設定して、Y値(3刺激値XYZのY)を測定したものである。また、アルミニウム薄膜表面のJIS Z8722−1982に準拠して測定した拡散光線反射率(RSCE)は、同様に分光測色計を用いて、光源、視野、及び測定径は上記と同じにして、検出器を、反射光のうち拡散反射光のみの(積分)強度を測定するようなSCE(Specular Component Exclude)モードに設定して、Y値(3刺激値XYZのY)を測定したものである。ここで、3刺激値XYZとは、JIS Z8722−1982で規定され、理想的な環境に置かれた試料を標準光源で照明し、該試料での反射光の分光分析結果を演算することにより決定される値のことである。
〔層構成〕
図1は本発明による透明アンテナについて、基本的な形態を例示する断面図である。なお、図1に示す断面図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)の縮尺を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示し、且つアルミニウムパターン層の線幅を配列周期よりも大幅に拡大誇張して図示してある。図1(A)に示す、透明アンテナ10は、透明基材1の一方の面に、透明接着剤層2を介して、アルミニウムパターン層3が積層されている。該アルミニウムパターン層3は、透明基材1側の面(透明接着剤層側の面でもある)が光散乱性の低い平滑面3a、該透明基材1側とは反対側の面が非平滑面3bとなっている。尚、本発明において必須であるのは、該アルミニウムパターン層3の透明接着剤層2側の面を平滑面3aとすることである。従って、該アルミニウムパターン層3の透明接着剤層2側とは反対側面も平滑面3aとしても良い。また、図1(B)に示すように、該アルミニウムパターン層3は、該透明基材1側の面とは反対側の面(非平滑面3b)が黒化処理されて黒化層4を有していてもよい。
また、本発明の透明アンテナは、特に限定されないが、代表的なものとしては、半波長ダイポールアンテナが用いられる。図2に送信アンテナとして用いた場合の本発明のアンテナの概念図を示す。図2において、半波長ダイポールアンテナ20は、一対の導電部(透明アンテナ)21と該導電部21に給電線23を介して接続される給電部22(送信すべき信号を交流電流(電圧)として供給する交流電源に相当し、発振回路、変調回路、増幅回路等から成る)とで構成される。
尚、本発明の透明アンテナを受信アンテナとして用いる場合は、図2における給電部22の代わりに受信回路(同調回路、増幅回路、周波数変換回路、復調(検波)回路等から成る)が接続される。
また、半波長ダイポールアンテナ20において、周波数が2.45GHzの場合、波長は約122.4mmとなる。従って、該導電部の長さ(L1+L2)は該波長の1/2倍となるので、約61.2mmとなり、片方の導電部21の長さは約30.6mmとなる。
尚、導電部21の幅Wの寸法は、特に限定されないが、例えば、5〜50mm程度である。
以下、本発明の透明アンテナについて、透明基材から順に説明する。
(1)透明基材
本発明で用いる透明基材は、透明アンテナを構成する一部の層であり、透明接着剤層を介してアルミニウムパターン層を積層するための基材となる層である。また、必要に応じて紫外線吸収機能を付加させてもよい。従って、透明基材としては、機械的強度、光透過性と共に、適宜紫外線吸収能を有すれば、その他、耐熱性等の性能を適宜勘案したものを用途に応じて選択すればよい。このような、透明基材の具体例としては、樹脂等の有機材料或は硝子等の無機材料からなるシート(乃至フィルム。以下同様。)又は板が挙げられる。透明基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光域380〜780nmにおける光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上となる光透過性が良い。なお、光透過率の測定は、分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いることができる。
また、上記透明基材のJIS K7105−1981に準拠したヘイズ値は、10%以下であることが好ましく、更に2.0%以下であることが好ましく、特に1.0%以下であることが好ましい。該透明基材のヘイズ値を上記範囲とすることで、本発明による効果と合わせて、本発明の透明アンテナのヘイズを低く抑えることができる。
透明基材の材料として用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、これらの樹脂は、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、透明基材の層構成は、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、樹脂フィルムの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸フィルムが機械的強度の点でより好ましい。また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。又、硝子としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子、石英硝子等が挙げられる。通常、硝子の場合は、厚みの有る板状で用いられる。
透明基材の厚さは、基本的には用途に応じ選定すればよく、特に制限はないが、通常は12〜5000μm、好ましくはフィルムの場合は50〜500μm、より好ましくは50〜200μm、板の場合は500〜3000μmである。このような厚み範囲ならば、機械的強度が十分で、反り、弛み、破断などを防ぎ、連続帯状で供給して加工する事も容易である。
なお、本発明では、透明基材としては、特に、可撓性の有る樹脂フィルム或は板から成るものが、製造加工適性が良好で、重量、価格も低減できる点で好ましい。特に、これら樹脂から成る基材を透明樹脂基材と称呼する。
透明樹脂基材の形態としては樹脂板よりは透明樹脂フィルムが好ましい。該樹脂フィルムのなかでも特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルムが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが最適である。
また、樹脂フィルム等の透明基材は、適宜その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの公知の易接着処理を行ってもよい。
(2)アルミニウムパターン層
アルミニウムパターン層は透明アンテナの主要部分であり、アンテナとしての機能を発現せしめる部分である。アルミニウム薄膜で形成したパターン層であり、該層自体は不透明だが、開口部など該層の非形成部を設けたパターンとすることによって、高導電性と光透過性とを両立させた層である。
本発明においては、アルミニウムパターン層の透明接着剤層側表面が、JIS Z8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下、好ましくは0.3以下となる。全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を上記特定の反射特性を有するように最適化することで、該金属パターン層の開口部における透明接着剤層表面が光散乱し難い形状となるため、ヘイズを低減することができる。
なお、アルミニウムパターン層を形成するアルミニウム薄膜に接触する圧延ロール表面の研磨度を上げることにより、上記特定の反射特性が得られる。
アルミニウムパターン層のアルミニウムは、アルミニウムを主成分とし、アルミニウム単体の他にアルミニウム合金でもよくこれらをまとめて本発明ではアルミニウムというが、アルミニウムの純度が低いと導電性が低下するので、純度は高導電性の点では高い方が好ましく、純度が99.0%以上のアルミニウムが好ましい。このような純度が99.0%以上のアルミニウムを利用したアルミニウムパターン層は、JIS H4160(アルミニウム及びアルミニウム合金はく)、JIS H4170(高純度アルミニウムはく)で規定されるアルミニウム箔に準じた箔を利用することで形成できる。
本発明において、アルミニウムパターン層を形成するアルミニウム薄膜の平滑面が転写、賦形された透明接着剤層露出面のヘイズ低減の程度は、前記の如く、該アルミニウム薄膜接着面の持つ特定の光線反射率比(RSCE/RSCI)の数値に大きく依存(相関)する。そして、JIS B0601に定める算術平均粗さRaへの依存(相関)性は低い旨述べた。しかしながら、Raの値が大きくなりすぎると、一般に表面凹凸が増えることには相違ない為、やはり接着剤層露出面のヘイズは増加する傾向(弱い相関)はある。その点も考慮すると、特定の光線反射率比(RSCE/RSCI)の数値を設定することは前提の上で、Raも可能な範囲で小さいものを選定する方が好ましいと言える。通常は、Raは0.2μm以下、更に好ましくは0.15μm以下に設定される。
アルミニウムパターン層の厚みは、高導電性、加工適性、機械的強度などの点から適宜選択すればよく、具体的には1〜100μm、好ましくは5〜20μm、より好ましくは8〜15μmである。厚みが薄いと導電性、機械的強度などが低下し、厚みが厚いと加工適性が低下する。
アルミニウムパターン層の平面視でのパターンの形状は、例えばメッシュ(格子乃至網目)形状、ストライプ(縞乃至平行線群)形状、スパイラル(螺旋乃至渦巻)などの高導電性と光透過性とを両立させた公知のパターンである。なかでもメッシュ形状、それも正方格子形状が代表的であり、この他、格子形状で言えば例えば長方形格子、菱形格子、六角格子、三角格子などがある。メッシュはこれら形状からなる複数の開口部を有し、開口部間は開口部を区画するライン部(線部又は線条部)となる。ライン部は通常幅均一でライン状のものであり、また通常は開口部及び開口部間は、全て各々同一形状で同一サイズとなる。
パターンのライン部のライン幅は例えば5〜50μm、好ましくは5〜30μmであり、ラインの繰り返し周期であるライン間隔(ピッチ)は例えば100〜500μmである。
[黒化処理]
黒化処理は上記アルミニウムパターン層の面の光反射を防ぐためのものであり、黒化処理で形成された黒化処理面により、アルミニウムパターン層面での光反射を抑制することで、外光吸収、コントラスト向上を図る。黒化処理面は、アルミニウムパターン層のライン部(線状部分)の全ての面に設けてもよいが、本発明の透明アンテナをその上面側を観察者側に向けて使用する場合には、少なくとも上面については黒化処理することが好ましい。
黒化処理としては、アルミニウムパターン層の表面を粗化するか、全可視光スペクトルに亘って光吸収性を付与するか、或いは両者を併用するか、何れかの公知の各種黒化処理法により行う。特に黒化処理を層の形成により行う場合、かかる層を黒化層と称呼する。具体的な黒化処理としては、アルミニウムパターン層上にメッキ等で黒化層を付加的に設ける他、エッチング等で表面から内部に向かって該表面を構成する層自体を黒化層に変化させても良い。
尚、ここで言う「黒化層」乃至「黒化処理」の色は完全な黒である必要はなく、低明度の(暗い)有彩色又は無彩色、即ち、所謂暗色であれば、黒化層(黒化処理)の目指す相応の効果を奏する。かかる暗色としては、具体的には、黒、濃い(低明度の)灰色等の無彩色、紺色、褐色、深緑色、えんじ色、濃紫色等の低明度の有彩色が挙げられる。
また、黒化層は黒等の暗色を呈し、密着性等の基本的物性を満足するものであれば良く、公知の黒化層を適宜採用し得る。従って、黒化層としては、金属等の無機材料、黒着色樹脂等の有機材料等を用いることができ、例えば無機材料としては、金属、合金、金属酸化物、金属硫化物の金属化合物等の金属系の層として形成する。金属系の層の形成法としては、従来公知の各種黒化処理法を適宜採用できる。
(3)透明接着剤層
透明接着剤層は、アルミニウムパターン層と透明基材とを接着することが可能で十分な透明性を有する層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、本発明においては、上記アルミニウムパターン層を構成するアルミニウム薄膜と透明基材とを透明接着剤層を介して貼り合わせた後、アルミニウム薄膜をエッチングによりパターン状とすることから、透明接着剤層も耐エッチング性を有することが好ましい。具体的には、ポリウレタンエステル樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、本発明に用いられる透明接着剤層は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。特に、透明基材との密着性などの観点からポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、特に2液硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
透明接着剤層の膜厚は、0.5μm〜50μmの範囲内、中でも1μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。これにより、透明基材とアルミニウムパターン層とを強固に接着することができ、また、アルミニウムパターン層を形成するエッチングの際に透明基材が酸化鉄等のエッチング液の影響を受けること等を防ぐことができるからである。
また、上記透明接着剤層の屈折率は、透明基材との屈折率差による界面反射低減の観点から1.41〜1.59の範囲内であることが好ましく、更に1.48〜1.52の範囲内であることが好ましい。
(4)透明樹脂層
透明樹脂層は、アルミニウムパターン層による表面凹凸(開口部が凹に対して線部が凸となる)を埋めてアルミニウムパターン層側の表面を平坦化することにより、更に透明性を高めたり、アルミニウムパターン層を外力から保護したりする為に、必要に応じて設ける層である。なお、該保護の点では、この透明樹脂層は表面保護層でもある。このような透明樹脂層は、透明基材上に積層したアルミニウムパターン層による凹凸表面に対して、樹脂を含む液状組成物を塗布等で施すことで形成できる。該液状組成物としては、透明な樹脂を含むものであれば特に限定はなく、公知の樹脂を適宜採用すれば良い。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等である。例えば、熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂等であり、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、硬化性アクリル樹脂等であり、電離放射線硬化性樹脂としては紫外線や電子線で硬化するアクリレート系樹脂等である。なかでも、アルミニウムパターン層による凹凸を埋め易い点では、無溶剤或いは無溶剤に近い状態で塗工形成できる、電離放射線硬化性樹脂は好ましい樹脂である。
本発明に係る透明アンテナのJIS K 7105−1981に準拠して測定したヘイズ値は、10%以下、更に5%以下とすることができ、透明アンテナとして十分な透明性を有する。従って、本発明の透明アンテナにおいては、低コスト化の観点からは、上記透明樹脂層は設けないことが好ましい。
[用途]
本発明に係る透明アンテナの用途としては、例えば、(1)携帯電話機用アンテナ:携帯電話機30の筺体31の一部に透明アンテナ10を貼着し(図3(A)参照)、電話・インターネット通信機能における電波の送受信や、テレビやラジオの放送、GPS(global positioning system)等の電波を受信する、(2)カーナビゲーション用アンテナ:自動車のフロントガラス又はリアガラスに透明アンテナ10を貼着し(図3(B)参照)、該透明アンテナをカーナビゲーション機器42のテレビチューナーに接続しGPS衛星の電波を送受信する、(3)セキュリティシステム用アンテナ:建築物50の窓ガラス51に透明アンテナ10を貼着し(図3(C)参照)、該窓ガラスが破損した際に、該透明アンテナから信号が受信装置に発信され、これにより異常を検知する、及び(4)製品管理用アンテナ:ICチップ61と透明アンテナ10を含むRFID(radio frequency identification)タグ60において(図3(D)参照)、該透明アンテナがリーダライタから呼び出し電波を受信するとICチップのメモリに記憶している情報を該透明アンテナがリーダライタに送信することにより、製品の入出庫、在庫、販売管理等を行う、等が挙げられる。
以下、本発明に係る透明アンテナを携帯電話機用アンテナとして用いた例を挙げ、具体的に説明する。
図4は、本発明の透明アンテナ10を携帯電話機30の表示画面32に取り付けた状態を示した概略図である。また、図5は、図4に示す透明アンテナの拡大図であり、図6は、図5におけるA−A’断面の拡大図である。
携帯電話機30は2つ折りタイプのものであり、折り畳んだ状態で外側となる面に表示画面(サブウインドウ)32を備えている。そして、該表示画面32の表示範囲全体に透明アンテナ10が貼着されている。
また、透明アンテナ10の給電用電極(図示せず)は、表示画面32の外枠に設けられた出入力端子を介して携帯電話機30内の送受信部に接続されている。
図6に示すように、透明基材33の一方の面に光散乱性の低い平滑面3aが該透明基材33側を向くようにアルミニウムパターン層34が設けられており、該アルミニウムパターン層34の表面に透明樹脂層35が該アルミニウムパターン層34の凹凸を平坦化するように形成されている。
該透明樹脂層35の一部には透孔部36が設けられており、該透孔部36を通じて電極部37が露出するようになっている。該露出した電極部37に上記表示画面32の外枠に設けられた出入力端子や、アンテナワイヤが接続される。
また、透明基材33のアルミニウムパターン層34とは反対側の面に透明接着剤層38が設けられており、該透明接着剤層38の表面には剥離シート39が貼り合わされている。
上記透明アンテナ10を携帯電話機30の表示画面32に後付けで貼着する場合、上記剥離シート39を剥がして透明接着剤層38を露出させ、該透明接着剤層38を介して透明アンテナ10を表示画面32の前面に貼着する。
尚、透明接着剤層38としては、公知の、各種の接着形態、各種の材料の中から適宜選択する。接着形態としては、粘着剤(感圧型接着剤の1種でもある)、熱融着型(ヒートシール型、ホットメルト型ともいう)接着剤、熱硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤等が挙げられる。
また、透明アンテナ10は、所望の長さLを有し、該透明アンテナのアルミニウムパターン層のライン部輪郭に断線等のパターン精度不良がなければ、途中で折り曲げても所望の電波を送受信することができる。
従って、上記表示画面32の幅が上記透明アンテナ10の長さよりも短い場合には、図7に示すように、透明アンテナ10をつづら折りにして設置面積を圧縮し、該表示画面内に収まる大きさにして、該表示画面32に貼着してもよい。
尚、図7において透明アンテナ10の長さLとは、該透明アンテナ10の一端aから他端bまでの該つづら折りに沿って測った長さのことである。
II.透明アンテナの製造方法
本発明に係る透明アンテナの製造方法は、透明基材の一方の面に、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有するアルミニウムパターン層を備えた透明アンテナの製造方法であって、
(i)JIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下の面を有するアルミニウム薄膜を用意する工程、
(ii)透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、前記アルミニウム薄膜を、そのRSCE/RSCIが0.4以下の面を前記透明基材と向き合わせて積層する工程、及び
(iii)前記アルミニウム薄膜を所定のパターン形状にエッチングする工程を含むことを特徴とする。
本発明の透明アンテナの製造方法によれば、透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、アルミニウム薄膜の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が上記特定の範囲となる光散乱(反射)性の低い平滑面を、該透明基材と向き合わせて積層することにより、該アルミニウム薄膜のエッチング処理後の開口部における該透明接着剤層表面が光散乱し難い形状となるため、得られる透明アンテナの低ヘイズ化が図れる。
以下、各工程についてそれぞれ説明する。
(i)JIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下の面を有するアルミニウム薄膜を用意する工程
本工程においては、先ずアルミニウム薄膜を用意する。
本発明で用いるアルミニウム薄膜は、上記特定の反射特性を有する面(光散乱性の低い平滑面)を有する。後述するように、該アルミニウム薄膜の平滑面を透明接着剤層を介して、透明基材の一方の面に向き合わせて積層する工程を経ることで、該アルミニウム薄膜のエッチング処理後の開口部において、該透明接着剤層表面が光散乱し難い形状となるため、得られる透明アンテナの低ヘイズ化が図れる。
尚、アルミニウム薄膜は、上記「(2)アルミニウムパターン層」の項で説明したものを用いることができる。
(ii)透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、前記アルミニウム薄膜を、そのRSCE/RSCIが0.4以下の面を前記透明基材と向き合わせて積層する工程
本工程においては、先ず透明基材を用意し、この透明基材の一方の面に、透明接着剤をコーティングして、透明接着剤層を形成する。
上記透明基材は、上記「(1)透明基材」の項で説明したものを用いることができる。
また、層形成法としては、公知の層形成法、例えば、ロールコート、コンマコート、グラビアコート、ダイコート等の塗工法、或いは、任意形状での部分形成が容易なスクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法を適宜採用することができる。
尚、アルミニウム薄膜側に透明接着剤層を形成したり、或は透明基材側とアルミニウム薄膜側の両方の面に透明接着剤層を形成することもできる。
次に、上記透明基材の透明接着剤層の表面に、アルミニウム薄膜を光散乱性の低い平滑面側を向けて積層する。
(iii)前記アルミニウム薄膜を所定のパターン形状にエッチングする工程
本工程においては、透明基材上に積層されたアルミニウム薄膜面へ、レジスト層を所定のパターン状に設け、レジスト層で覆われていない部分のアルミニウム薄膜をエッチング(腐蝕)により除去した後に、レジスト層を除去するエッチング加工法で、アルミニウムパターン層とする。エッチング加工法の中でも、所謂フォトリソグラフィー法を採用する事が、微細加工精度の点から好ましい。
以下、フォトリソグラフィー法について説明する。
まず、マスキングを行う。例えば、アルミニウム薄膜側の最表面へ感光性レジストを塗布し、乾燥した後に、所定のパターンを有するフォトマスクにて密着露光し、温水現像し、硬膜処理などを施し、ベーキングすることにより、所望のパターンのレジスト層を形成する。尚、感光性レジストのネガ型、ポジ型の何れも使用可能である。感光性レジストがネガ型の場合は、フォトマスクのパターンはライン部が透明なものを用いる。また、感光性レジストがポジ型の場合は、フォトマスクのパターンは開口部が透明なものを用いる。また、露光パターンとしては、透明アンテナとして所望のパターンであり、該パターンとしてメッシュ形状を採用する場合は、最低限メッシュ状領域のパターンから構成される。
上記感光性レジストの塗布は、巻取り加工では、帯状の積層体を連続又は間歇で搬送させながら、アルミニウム薄膜面へ、カゼイン、PVA、ゼラチンなどから成るレジストをディッピング(浸漬)、カーテンコート、掛け流しなどの方法で行う。また、レジストは塗布ではなく、ドライフィルムレジストを用いてもよく、作業性を向上できる。
マスキング後にエッチングを行う。該エッチングに用いるエッチング液としては、エッチングを連続して行う本発明には循環使用が容易にできる塩化第二鉄、又は塩化第二銅の水溶液が好ましい。また、該エッチングは、帯状で連続する鋼材、特に厚さ20〜80μmの薄板をエッチングするカラーTVのブラウン管用のシャドウマスクを製造する設備、工程と基本的に同様である。透明基材としてガラスを用いる場合の枚葉加工もより古くから行われている。エッチング後は、水洗、アルカリ液によるレジスト剥離、洗浄を行ってから乾燥すればよい。
このようにして得られた透明アンテナのJIS K 7105:1981に準拠して測定したヘイズ値は、10%以下とすることができ、更に5%以下とすることができる。
(iv)その他の工程
本発明は、上述した各工程以外に、必要な工程を適宜有していてもよい。例えば、透明基材が積層されていないアルミニウムパターン層の外面に、黒化処理を行ってもよい。黒化処理としては、アルミニウム薄膜の表面を粗化するか、全可視光スペクトルに亘って光吸収性を付与するか、或いは両者を併用するか、何れかの公知の各種黒化処理法により行う。黒化処理は、アルミニウム薄膜と透明基材とを透明接着剤層で積層する前のアルミニウム薄膜に対し実施しても良いが、一般に、外光反射防止に寄与する程度に黒化処理された表面は粗面となるため、本発明においては、接着剤側を向く面には事前に黒化処理を施さない方が好ましい。もちろん、黒化面の表面が本発明の光線反射率比(RSCE/RSCI)の規定範囲に入る場合は使用可能である。
また、本発明においては、アルミニウムパターン層が構成する表面凹凸(線状部が凸、開口部が凹)が光の散乱性を有するため、透明樹脂をアルミニウムパターン層が構成する凹凸面に塗工して、該凹凸面を平坦化する平坦化処理を行うことが好ましい。アルミニウムパターン上に流動性の有る透明樹脂を塗工して、アルミニウムパターン層の表面凹凸を埋めてアルミニウムパターン層側の表面を平坦化することにより、アルミニウムパターン層自身による光の散乱を低下させることができる。かかる目的で形成する透明樹脂層を平坦化層、該平坦化層を形成する処理を平坦化処理と呼称する。この様な平坦化処理は、透明基材上に積層したアルミニウムパターン層による凹凸表面に対して、透明樹脂を含む透明液状組成物を塗布し、開口部(凹部)を充填し塗膜の該表面を実質上平坦面とすることにより行う。該液状組成物としては、上記「(4)透明樹脂層」の項で説明したものを用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
以下、本発明の実施例及び比較例として;
透明基材/透明接着剤層/アルミニウムパターン層
の積層体からなる透明アンテナを作成した。この形態において、該透明基材側から測定光を入射し、該アルミニウムパターン層の該透明接着剤層側の面について、特定の光線反射率比(RSCE/RSCI)の数値(「アルミニウムパターン層のRSCE/RSCI」とも呼称する)、及び該透明アンテナ透過光のヘイズ値を測定し、両者の関係を評価した。
又、併せて、パターン未形成の該アルミニウム薄膜自体単品について、直接、間に何も介在させずに、接着面(該透明接着剤層側に当接する面)の該光線反射率比(RSCE/RSCI)の数値(「アルミニウム薄膜自体のRSCE/RSCI」とも呼称する。該アルミニウム薄膜表面固有の物理的特性値でもある。)も測定した。
そして、両(RSCE/RSCI)の数値間の相関関係を評価した。
尚、これに先立ち、別途、参考データとして、金属薄膜について、各種表面粗さ値(Ra、Rq、及びRz)、該光線反射率比(RSCE/RSCI)、及び得られた上記構成の透明アンテナ(透過光)のヘイズ値との相関関係を確認する為に、各種金属薄膜について、金属薄膜自体の(RSCE/RSCI)を測ると共に、JIS規格(下記)に基づいて、Ra、Rq、及びRzの各表面粗さ値を測った。
更に、金属薄膜の表面形状が転写、賦形された透明接着剤露出面のヘイズ値が、該光線反射率比(RSCE/RSCI)の値に如何に依存するかの確認の為に、各金属薄膜を用いた前記構成の透明アンテナ自体のヘイズを測った。
これらを併せて、参考試験1〜参考試験4(得られた試料を参考例1〜参考例4)として、以下に提示する。
〔参考試験(及び参考例)〕
(参考試験1)
先ず、金属薄膜とする金属箔として、厚さ12μmで連続帯状の電解銅箔(B2X−WS:商品名、古河サーキットフォイル社製)を用意した。該電解銅箔は鏡面と粗面を有し、該電解銅箔の粗面において、全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を測定したところ、該電解銅箔粗面自体の比(RSCE/RSCI)は、1.0であった。
又、併せて、該金属薄膜の粗面について、JIS規格規定のRa、Rq、及びRzの各表面粗さ値を測定した。
また、透明基材として、片面にポリエステル樹脂系プライマー層が形成された、厚さ100μmで連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300:商品名、東洋紡社製)を用意した。
次に、上記PETフィルムのプライマー層が形成された面に、乾燥時の厚さが7μmとなるように透明接着剤(主剤が平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール12質量部、及び硬化剤がキシリレンジイソシアネート系プレポリマー1質量部から成る2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤)をコーティングして、透明接着剤層を形成した。
次に、上記PETフィルムの片面のプライマー層上に、上記透明接着剤層を介して、上記電解銅箔の粗面側がPETフィルム側(透明接着剤層側)を向くようにドライラミネートして積層し、連続帯状の積層体を得た。ドライラミネートした後、50℃、3日間養生して、該接着剤を硬化せしめた。
次に、上記連続帯状の積層体に対して、その電解銅箔をフォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより、開口部及びライン部とから成る金属パターン層としての銅メッシュ層を形成した。
上記エッチングは、具体的には、上記積層体の電解銅箔の露出面(この場合は鏡面)全面に感光性のネガ型エッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンのマスクを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングして、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層がないようなパターンにレジスト層を加工した後、塩化第二鉄水溶液で、レジスト層非形成領域の電解銅箔を、エッチング除去してメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
メッシュ状領域のメッシュ形状は、その開口部が正方形で、非開口部となる線状部分のライン幅は20μm、そのライン間隔は300μm、ライン部の高さは12μmであった。このようにして、幅寸法605mmの透明アンテナシートを得た。
(参考試験2)
参考試験1において、透明基材上に、透明接着剤層を介して、積層する電解銅箔の面を、鏡面にした以外は、前記参考試験1と同様にして透明アンテナシートを得た。
尚、上記電解銅箔の鏡面において、全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を測定したところ、該電解銅箔鏡面自体の比(RSCE/RSCI)は、0.9であった。
(参考試験3)
参考試験1において、金属薄膜とする金属箔として、厚さ12μmで連続帯状の圧延アルミニウム箔(1N30−B1:商品名、住軽アルミ箔社製)を用い、該アルミニウム箔の圧延ローラと非接触の側の面(非平滑面)を透明基材側に向けて、該透明基材上に、透明接着剤層を介して積層した以外は、前記参考試験1と同様にして透明アンテナシートを得た。
尚、上記アルミニウム箔の非平滑面について、全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を測定したところ、該アルミニウム箔非平滑面自体の比(RSCE/RSCI)は、0.8であった。
(参考試験4)
参考試験3において、透明基材上に、透明接着剤層を介して、積層するアルミニウム箔の面を、平滑面にした以外は、前記参考試験3と同様にして透明アンテナシートを得た。
尚、上記アルミニウム箔の平滑面について、全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を測定したところ、該アルミニウム箔平滑面自体の比(RSCE/RSCI)は、0.3であった。
上記、各参考試験に対して、以下の点を評価した。その結果を表1に記載する。
(1)金属箔面自体の比(RSCE/RSCI
透明基材上に積層前の状態の金属箔について、透明基材側に接着される予定の面を、間に何も層を介さずに、JIS Z8722−1982に準拠して測定した該金属箔(薄膜)自体の全光線反射率(%)は、分光測色計(コニカミノルタセンシング株式会社製、CM−3600d)を反射モードに設定し、光源は標準の光D65、視野2°、測定径8mmφとして、検出器を、反射光のうち拡散反射光と鏡面反射光の両方を総合した全反射光の(積分)強度を測定するようなSCI(Specular Component Included)モードに設定して、Y値(3刺激値XYZのY)を測定した。また、金属箔の透明基材側の面のJIS Z8722−1982による拡散光線反射率(%)は、同様に分光測色計を用いて、光源、視野、及び測定径は上記と同じにして、鏡面反射光を光トラップで吸収遮断することによって、検出器が反射光のうち拡散反射光のみの(積分)強度を測定するようなSCE(Specular Component Excluded)モードに設定して、Y値(3刺激値XYZのY)を測定した。
(2)金属箔面の算術平均粗さRa
金属箔面の微細凹凸の中心線平均粗さRaをJIS B0601(1982年度版)に準じて触針式の表面粗さ計にて測定した。
(3)金属箔面の自乗平均粗さRq
金属箔面の自乗平均粗さRqは、金属箔面の微細凹凸の測定曲線(山そのもの)を自乗した平均値として触針式の表面粗さ計にて測定した。
(4)金属箔面の十点平均粗さRzJIS
金属箔面の微小凹凸は、微小凹凸の輪郭曲線に粗さ曲線を採用したときの、該輪郭曲線の十点平均粗さRzJISをJIS B0601(1994年版)に準じて触針式の表面粗さ計にて測定した。
なお、上記参考試験におけるRzの測定は、Rzとエッチング後のヘイズとの相関の有無の再確認を目的とした為、参考例1及び参考例2のみの測定に留めた。
(5)ヘイズ値
JIS K 7105−1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて、エッチング処理後、及び透明化処理後の透明アンテナのヘイズ値を測定した。
Figure 0005549165
〔実施例及び比較例〕
(実施例1)
先ず、アルミニウム薄膜として、厚さ12μmで連続帯状の圧延アルミニウム箔(1N30−B1:商品名、住軽アルミ箔社製)を用意した。尚、該アルミニウム箔は、平滑面と非平滑面を有する。透明基材上に積層前の状態の該アルミニウム箔(パターン未形成)は、接着される予定の平滑面において、間に何も層を介さずに、全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を測定したところ、該アルミニウム薄膜自体の比(RSCE/RSCI)は、0.3であった。
また、透明基材として、片面にポリエステル樹脂系プライマー層が形成された、厚さ100μmで連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300:商品名、東洋紡社製)を用意した。
次に、上記PETフィルムのプライマー層が形成された面に、乾燥時の厚さが7μmとなるように透明接着剤(主剤が平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール12質量部、及び硬化剤がキシリレンジイソシアネート系プレポリマー1質量部から成る2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤)をコーティングして、透明接着剤層を形成した。
次に、上記PETフィルムの片面のプライマー層上に、上記透明接着剤層を介して、上記アルミニウム箔の平滑面側がPETフィルム側を向くようにドライラミネートして積層し、連続帯状の積層体を得た。ドライラミネートした後、50℃、3日間養生して、該接着剤を硬化せしめた。
次に、上記連続帯状の積層体に対して、そのアルミニウム箔をフォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより開口部及びライン部とから成る金属パターン層としてのアルミニウムメッシュ層を形成した。
上記エッチングは、具体的には、上記積層体のアルミニウム箔の露出面全面に感光性のネガ型エッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンのマスクを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングして、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層がないようなパターンにレジスト層を加工した後、塩化第二鉄水溶液で、レジスト層非形成領域のアルミニウム箔を、エッチング除去してメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
メッシュ状領域のメッシュ形状は、その開口部が正方形で、非開口部となる線状部分のライン幅は20μm、そのライン間隔は300μm、ライン部の高さは12μmであった。このようにして、幅寸法605mmの透明アンテナシートを得た。
次に、上記で得られた透明アンテナシートを長さ30mm、幅40mmの長方形形状に切断したものを試験片とした。該試験片において、透明基材側から測定光を入射し、該透明基材及び透明接着剤層を介して、アルミニウムパターン層の透明基材側の面(平滑面)の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を測定した。該アルミニウムパターン層の比(RSCE/RSCI)は、0.34であった。
尚、該アルミニウムパターン層の平滑面のJIS Z8722−1982に準拠して測定した全光線反射率(%)は、分光測色計(コニカミノルタセンシング株式会社製、CM−3600d)を反射モードに設定し、光源は標準の光D65、視野2°、測定径8mmφとして、検出器を、反射光のうち、拡散反射光と鏡面反射光の両方を総合した全反射光の(積分)強度を測定するようなSCIモードに設定して、Y値を測定した。また、該平滑面のJIS Z8722−1982による拡散光線反射率(%)は、同様に分光測色計を用いて、光源、視野、及び測定径は上記と同じにして、鏡面反射光を光トラップで吸収遮断することによって、検出器が反射光のうち拡散反射光のみの(積分)強度を測定するようなSCEモードに設定して、Y値を測定した。
(比較例1)
前記実施例1において、透明基材上に、透明接着剤層を介して、積層するアルミニウム箔の面を、非平滑面側にした以外は、前記実施例1と同様にして透明アンテナシートを得た。尚、該アルミニウム箔の非平滑面において、透明基材上に積層前の状態(パターン未形成)の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を、間に何も層を介さずに、測定したところ、該アルミニウム薄膜の比(RSCE/RSCI)は、0.8であった。
次に、上記で得られた透明アンテナシートを長さ30mm、幅40mmの長方形形状に切断したものを試験片とした。該試験片において、透明基材側から測定光を入射し、該透明基材及び透明接着剤層を介して、アルミニウムパターン層の透明基材側の面(非平滑面)の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を測定した。該アルミニウムパターン層の比(RSCE/RSCI)は、0.72であった。
(評価結果)
上記の実施例及び比較例において得られた透明アンテナ透過光のヘイズ値をJIS K 7105−1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて測定した。その結果を表2に記載する。
Figure 0005549165
(結果のまとめ)
上記実施例1及び比較例1において、各々得られた透明アンテナシートを長さ30mm、幅40mmの長方形形状の透明アンテナを一対有する2.45GHz帯の半波長ダイポールアンテナを作成し、該アンテナのアンテナ特性を測定した結果、いずれも実施例1で使用の透明アンテナと、同形状、同寸法、及び同膜厚で、且つ開口部の無いアルミニウム薄膜で形成した標準ダイポールアンテナと同等のアンテナ特性が得られた。
また、表2より、得られた透明アンテナにおいて、透明基材側から該透明基材及び透明接着剤層を介して、アルミニウムパターン層の透明基材側の面の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を測定した結果、該アルミニウムパターン層の比(RSCE/RSCI)が0.4以下である実施例1では、ヘイズ値が6.0%以下の低ヘイズ(低い曇り度)が得られた。一方、該アルミニウムパターン層の比(RSCE/RSCI)が0.4超過である比較例1では、ヘイズ値が36.5%と高ヘイズ(高い曇り度)であった。
また、表2より、透明基材上に積層する前のアルミニウム薄膜自体の透明基材側面(積層する側の面)における比(RSCE/RSCI)と、該アルミニウム薄膜に対応するアルミニウムパターン層の透明基材側の面の比(RSCE/RSCI)は、同程度の値であり、また、比(RSCE/RSCI)とヘイズ値との間には相関性が見られる。
また、参考例1及び参考例2においては、参考例3よりも中心線平均粗さRaは小さいにもかかわらず、逆にヘイズ値は増加している。また、参考例1においては、参考例2よりも十点平均粗さRzJISは小さいにもかかわらず、逆にヘイズ値は増加している。また、参考例3においては、参考例4よりも自乗平均粗さRqは小さいにもかかわらず、逆にヘイズ値は大幅に増加している。また、参考例1乃至参考例4において、一貫して、(RSCE/RSCI)とヘイズ値との間には相関性が見られる。
故に、金属箔の積層する側の面の十点平均粗さRzJIS、自乗平均粗さRq、及び中心線平均粗さRaを特定しても、確実に透明アンテナのヘイズを低減することは困難である。これに対して、透明基材側から該透明基材及び透明接着剤層を介して、アルミニウムパターン層の透明基材側の面の全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)を0.4以下に設定することにより、確実に透明アンテナのヘイズを低減することが可能である。
1 透明基材
2 透明接着剤
3 アルミニウムパターン層
3a 平滑面
3b 非平滑面
4 黒化層
10 透明アンテナ
20 半波長ダイポールアンテナ
21 導電部(透明アンテナ)
22 給電部
23 給電線
30 携帯電話機
31 筺体
32 表示画面(サブウインドウ)
33 透明基材
34 アルミニウムパターン層
35 透明樹脂層
36 透孔部
37 電極部
38 透明接着剤層
39 剥離シート
41 フロントガラス
42 カーナビゲーション機器
50 建築物
51 窓ガラス
60 RFIDタグ
61 ICチップ
62 ICチップラベル
L1,L2 導電部の長さ
W 透明アンテナの幅
a 透明アンテナの一端
b 透明アンテナの他端

Claims (2)

  1. 透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有し、厚みが1〜100μmのアルミニウムパターン層が設けられ、且つ、該アルミニウムパターン層の該透明接着剤層側表面のJIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下であり、自動車のフロントガラス又はリアガラスに貼着されるカーナビゲーションアンテナ、携帯電話機用アンテナ、製品管理用アンテナ、又は、建築物の窓ガラスに貼着されるセキュリティシステム用アンテナとして用いられる透明アンテナ。
  2. 透明基材の一方の面に、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有し、厚みが1〜100μmのアルミニウムパターン層を備えた透明アンテナの製造方法であって、
    (i)JIS Z 8722に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)に対する拡散光線反射率(RSCE)の比(RSCE/RSCI)が0.4以下の面を有し、厚みが1〜100μmのアルミニウム薄膜を用意する工程、
    (ii)透明基材の一方の面に、透明接着剤層を介して、前記アルミニウム薄膜を、そのRSCE/RSCIが0.4以下の面を前記透明基材と向き合わせて積層する工程、及び
    (iii)前記アルミニウム薄膜を所定のパターン形状にエッチングする工程を含むことを特徴とする、自動車のフロントガラス又はリアガラスに貼着されるカーナビゲーションアンテナ、携帯電話機用アンテナ、製品管理用アンテナ、又は、建築物の窓ガラスに貼着されるセキュリティシステム用アンテナとして用いられる透明アンテナの製造方法。
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