JP5546120B2 - サーメット製スローアウェイチップ - Google Patents

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Description

本発明は、安定した高い抗折強度を有するサーメット製スローアウェイチップに関し、特に、微細な組織を有するとともに特性のバラツキが少ないサーメットに関する。
従来より、Tiと、Ti以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属のうちの1種以上との複合金属炭窒化物からなる硬質相を、Coおよび/またはNiの結合相からなるサーメットや、このようなサーメットの表面に、化学蒸着法や物理蒸着法を用いてTiC、TiN、TiCN等の硬質被覆層を被覆したサーメット製スローアウェイチップが、鋼などの連続切削や断続切削などに用いられている(例えば、特許文献1、2)。
また、このようなサーメットにおいては、その硬度、強度を高めてスローアウェイチップの耐摩耗性および耐欠損性を向上させる目的で硬質相の粒径を制御することが行われており、例えば、特許文献3、4ではサーメット内部の平均粒径を2μm以下に制御することが記載されている。
特開平5−222551号公報 特開平4−289003号公報 特開平5−192804号公報 特開平6−17229号公報
しかしながら、特許文献3,4に見られるように、硬質相の粒径を微細に制御する上では、原料粉末の微細化が不可欠であるが、その場合、硬質相を形成する炭化物、窒化物、炭窒化物などの原料粉末が凝集したり、難焼結化に伴い焼成温度を高める必要があり、その結果、結合相の溶融や分解が促進されることによって結合相が偏析したり、焼結中にTiCN原料中から発生する窒素ガスが局所的に集まって焼結体表面や内部にボイドが生成される等によって組織が不均質となり易く、特に焼結体中に残存する粗大ボイドによってチップ毎の機械的特性や切削性能に大きなばらつきが生じてしまうという問題があった。
このため、スローアウェイチップの使用に際して、定数交換を行うような場合には切削性能の低いチップに定数を合わせざるを得ず、高性能のチップが形成されても、その性能を充分に発揮できず、工具費を高める要因となっていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、微細な硬質相組織を有し、高い切削性能を有するとともに、チップ間の特性バラツキを小さくしたスローアウェイチップを提供することにある。
本発明者は、上述のような観点から、微粒な硬質相からなる微粒サーメットの特性バラツキを抑制する方法について検討した結果、原料の性状、混合粉末の制御条件および焼成条件をコントロールすることによって、微粒サーメットの特性バラツキの最大要因である粗大ボイドを破壊されにくい性状に制御することができ、焼結体中に内在する破壊源の影響を極力低減してサーメットの特性バラツキを抑制することができることが可能となることを知見した。
すなわち、本発明のサーメット製スローアウェイチップは、Coおよび/またはNiの結合相:4〜30質量%と、Tiと、Ti以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属のうちの1種以上との複合金属炭窒化物からなる硬質相70〜96質量%からなるサーメット製スローアウェイチップであって、前記硬質相の平均粒径が1.5μm以下であるとと
もに、1つまたは複数個の前記スローアウェイチップから当該チップの側面(逃げ面)を含んで切り出された10本以上の試験片それぞれについてJISR1601に準じて3点曲げ試験により抗折強度を測定した後の破断面において観察される破壊源の50%以上が、一部または全部の壁面が前記結合相からなる皮膜にて覆われたボイドからなるとともに、前記皮膜は、前記ボイドの壁面を構成する複数の前記硬質相の前記壁面側の表面をまたがるように覆っていることを特徴とするものである。
ここで、前記破壊源のボイド径が200μm以下であることによってサーメットの全体的な抗折強度を高めることができる。
また、前記サーメットの表面には、(Ti,M1−x)(C1−y)(ただし、MはTi以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、Siのうちの1種以上、0.4≦x≦1,0≦y≦1)で表わされる硬質被覆層を被覆することによって、さらに耐摩耗性を向上することができる。
発明のサーメット製スローアウェイチップは、原料の性状、混合粉末の制御条件および焼成条件をコントロールすることによって、微粒サーメットの特性バラツキの最大要因である粗大ボイドを破壊されにくい性状に制御することができ、焼結体中に内在する破壊源の影響を極力低減してサーメットの特性バラツキを抑制でき、これをスローアウェイチップとして用いれば、性能バラツキの少ない切削性能の信頼性の高いチップとすることが可能となる。
本発明のサーメット製スローアウェイチップは、Coおよび/またはNiからなる結合相:4〜30質量%と、Tiと、Ti以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属のうちの1種以上との複合金属炭窒化物からなる硬質相70〜96質量%からなるサーメットであって、前記硬質相の平均粒径が1.5μm以下、特に0.3〜1μmであるとともに、1つまたは複数個の前記スローアウェイチップから当該チップの側面(逃げ面)を含んで切り出された10本以上の試験片それぞれについてJISR1601に準じて3点曲げ試験により抗折強度を測定した後の破断面において観察される破壊源の50%以上、特に80%以上が、一部または全部の壁面が前記結合相からなる被膜(以下、結合相膜と略す。)にて覆われたボイドからなるとともに、前記皮膜は、前記ボイドの壁面を構成する複数の前記硬質相の前記壁面側の表面をまたがるように覆っていることが大きな特徴であり、これによって、微粒サーメットの特性バラツキの最大要因である粗大ボイドを破壊されにくい性状に制御することができ、焼結体中に内在する破壊源の影響を極力低減して前記サーメットの特性バラツキを抑制することができる。(抗折強度、ワイブル係数)その結果、例えば、前記サーメットを母材とするスローアウェイチップ10個について、該チップから抗折試験片を切り出したときの抗折強度のワイブル係数が5以上、特に7以上、さらに10以上と特性バラツキの小さいものとすることができる。
すなわち、前記破壊源が粒成長した異常粒であるかまたは壁面に結合相膜にて覆われていない場合には、この異常粒またはボイドが小さい荷重にて破壊されてしまうことから試料によって抗折強度のバラツキが大きくなり、つまりサーメットの特性が部分的に不均質となってしまう。
なお、本発明におけるサーメットの抗折試験においては必ずしもJIS規格に準じたものである必要はなく、任意の方法および任意の形状にて抗折強度を測定することができるが、3点曲げ強度試験に類似した方法を採用することが確実に破壊源を特定することができる点で望ましい。本発明のサーメット製スローアウェイチップについての抗折強度を測定する方法の一例としては、スローアウェイチップの側面(逃げ面)を含んで切り出された抗折試験片(試験片の形状はチップの大きさで取れる四角棒状形状)を試験片の形状とする以外はJISR1601に準じて測定することができる。また、上記抗折強度のワイブル係数は1つまたは複数個のチップから切り出した10本以上の試験片それぞれについてサーメットの抗折強度を測定し、このデータについてJISR1625に準じて算出されるワイブル係数を算出することができる。なお、上記3点曲げ試験における試験片の形状は例えばスローアウェイチップから側面(逃げ面)を含んで切り出すことのできる最大の四角柱形状とし、縦:横:(スパン+試験片を支持するための取りしろ長さ)の比が3:4:(30+α)となるように切り出したものとする。
(ボイドの性状)
一方、本発明のサーメットにおいては、チップの抗折強度測定後の破断面にて観察される破壊源となる粗大ボイドが直径10μm以下、特に5μm以下、さらに3μm以下であることが望ましく、これによってチップのワイブル係数を高くすることができ、チップの切削性能バラツキをより小さくすることができる。
また、本発明においては、破壊源となるボイド壁面の結合相膜表面には波紋が0.5μm以下の間隔で存在していることが望ましく、これによってクラックの進展を抑制する効果がある。また、ボイドと結合相膜との密着性を高めてクラック抑制効果を高める上で、結合相膜中にはピンホール部が点在し、そのピンホールの中に硬質相が突出した状態で存在していることが望ましい。
さらに、結合相膜の平均厚みはクラック抑制の観点から5μm以下、特に3μm以下であることが望ましい。また、結合相膜はコバルトおよび/またはニッケルからなるが、硬質相をなす金属元素成分、特に、チタン、タングステン、モリブデン、クロムを総量で1〜20質量%の割合で含有していることが結合相膜自体の強度を高める点で望ましい。
(サーメット構成成分)一方、本発明においては、焼結性、耐摩耗性、耐塑性変形性およびボイドへの結合相膜形成制御の点で、結合相の含有量が1〜30質量%であることが重要である。すなわち、結合相の含有量が1質量%未満では所望の強度および耐摩耗性を得ることができずボイドへ結合相膜を形成させることができない。逆に結合相の含有量が30質量%を越えると急激に耐摩耗性が低下する。結合相の望ましい含有量は4〜20質量%である。
さらに、本発明のスローアウェイチップをなすサーメットは、硬質相として、Tiと、Ti以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属のうちの1種以上、特にW、Zr、V、Ta、Nb、Mo、Cr、Hfの群から選ればれる少なくとも1種との複合金属炭窒化物からなり、特に、硬質相は、Ti(TiCN)からなる芯部と、Tiと、W、Mo、TaおよびNbのうちの1種以上との複合化合物からなる周辺部とから構成される2重有芯構造、または3重有芯構造をなしていることが、粒成長制御効果を有しサーメット基体が微細で均一な組織となるとともに、結合相との濡れ性に優れてサーメットの高強度化に寄与する点で望ましいが、本発明によれば、特にクラック進展を抑制する点で結合相膜近傍では他の部分に比べて前記周辺部が多い構造からなることが望ましい。
また、硬質被覆層との密着性、熱伝導率向上、塑性変形の抑制の点でサーメット基体の表面における硬質相の平均粒径rが、サーメット基体内部におけるそれrよりも大きいことが望ましく、さらに、r=0.5〜2μm、r=0.2〜1μmであることが望ましい。
さらには、本発明によれば、サーメット基体表面に、(Ti,M1−x)(C1−y)(ただし、MはTi以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、Siのうちの1種以上、0.4<x≦1,0≦y≦1)で表わされる硬質被覆層(以下、Ti系被覆層と略す。)を被覆してもよく、かかるTi系被覆層はサーメット母材の直上に形成することが望ましく、さらには、高硬度や高温安定性などの耐熱性の点で、(Ti,M)N(ただし、MはAl、Si、ZrおよびCrの群から選ばれる1種)、最適には(Ti,Al1−x)Nからなる硬質被覆層を被覆することが望ましい。
また、硬質被覆層としては、上記Ti系被覆層に加えて、例えば、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、アルミナ、Zr、Hf、Cr、Siの炭化物、窒化物、炭窒化物の1種以上からなる他の硬質被覆層を形成することもできる。
(製造方法)
次に本発明のスローアウェイチップを製造する方法について説明する。
まず、TiCN粉末と、Ti以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属のうちの1種以上、とりわけW、Mo、Ta、V、ZrおよびNbのうちの1種以上を含有する炭化物粉末、窒化物粉末、炭窒化物粉末の少なくとも1種とからなる硬質相形成成分と、Coおよび/またはNi粉末とからなる結合相形成成分とを所定の比率に秤量する。
ここで、前記硬質相形成成分のうち、最も添加量の多いTiCN粉末は平均粒径0.2〜0.9μm、特に0.5〜0.8μmであることが必要である。これは、平均粒径が0.2μmよりも小さいとサーメット組織内に破壊源となりうる結合相の凝集部や異常粒が発生して破壊源となって抗折強度のバラツキが大きくなり、平均粒径が0.9μmよりも大きいとサーメットの抗折強度が全体的に低下してしまうためである。
また、前記結合相形成成分は、平均粒径が0.05〜1μm、特に0.3〜0.6μmであることが必要である。これは、平均粒径が0.05μmよりも小さいと、結合相が凝集しやすく破壊源の要因となる結合相の凝集部が発生しやすいとともにボイド壁面への結合相膜形成を制御できず、平均粒径が1μmよりも大きいと、結合相の分布が不均一となりやすくなるとともにボイド壁面への結合相膜形成を制御できないためである。
また、本発明によれば、上述した組織のサーメットを得るためには上記結合相形成成分中の炭素含有量を0.02〜0.40質量%、特に0.15〜0.30質量%に制御することが重要である。すなわち、かかる結合相形成成分粉末の炭素含有量が0.02質量%よりも少ないと焼結体中に生成するボイドの壁面に結合相膜が形成されず粗大ボイドが低い荷重で破壊してしまい、逆に結合相形成成分粉末中の炭素含有量が0.40質量%よりも多いと、焼結体中に粒径200μm以上のボイドが生成して焼結体の抗折強度にバラツキが生じてチップの切削性能に大きなバラツキが発生するためである。
また、上記硬質相形成成分と結合相形成成分とは、硬質相形成成分70〜96質量%、特に40〜50質量%、結合相形成成分〜30質量%、特に15〜20質量%の割合で秤量混合する。
これは、硬質相形成成分量が上記範囲よりも少ないか、または結合相形成成分が上記範囲よりも多いと、硬質相の粒径が微粒なまま合金を緻密化することができなくなるためであり、硬質相形成成分量が上記範囲よりも多いか、または結合相形成成分が上記範囲よりも少ないと、サーメットの硬度が低下してこれをスローアウェイチップとして用いた場合には耐摩耗性が低下するためである。
次に、上記粉末をアトライタミルにて混合、粉砕し、マイクロトラック法による粒度分布において混合粉末中に粒径1μm以上の粒子の比率が10質量%以下の混合粉末を得る。
本発明によれば、混合粉末中に含まれる粒径1μm以上の粒子の比率を10質量%以下に制御することが重要であり、これによって、サーメット焼結体中に粗大粒子が存在することを防止できるとともに、粗大粒子生成に伴う焼結体表面の荒れや組織変動を抑制して均一な組織を有するサーメットを形成することができる。なお、この粒径1μm以上の粒子の比率が10質量%以下とするには、粉砕処理を上記分布になった時点で終了するか、必要に応じ分級処理を行う。
そして、上記混合粉末をチップ形状に成形した後、
(a)室温から1100〜1200℃の焼成温度Aまで昇温し、
(b)焼成温度Aから1300℃まで0.5〜3℃/minの昇温速度aで昇温し、
(c)1300℃から1400〜1500℃の焼成温度Bまで5〜15℃/minの昇温速度bで昇温し、
(d)1500〜1600℃の焼成温度Cまで4〜14℃/minで昇温速度bより遅い昇温速度cで昇温して保持し、
(e)降温する条件で焼成する。
ここで、(b)の昇温速度aが0.5℃/minより遅いと硬質相が粒成長してしまう。
また、昇温速度aが3℃/minより速いと結合相形成成分が部分的に溶融して結合相の凝集部を生じるとともにTiCN原料中の窒素成分が急激にガス化して窒素ガスが局所的に凝集した粗大ボイドが生じる。
また、(c)の昇温速度bが5℃/minより遅いと、焼結体全体が粒成長して硬質相の平均粒径を1.5μm以下に制御することができず耐欠損性が低下する。昇温速度bが15℃/minより速いと焼結体の粒成長が不均質となり、局部的に結合相の凝集や異常粒成長してこれが破壊源となったり、ボイド壁面に結合相膜を形成することができない。また、焼成温度Bが1400℃よりも低いと工程(b)における予備焼結において液相を十分に出現させることができず、逆に焼成温度Bが1500℃を超えると液相出現量が多すぎてサーメット基体の表面に多量のボイドが発生するとともにボイド壁面に結合相膜を形成することができない。
また、(d)の昇温速度cが4℃/minより遅いと基体表面において硬質相の平均粒径が1.5μm以上に粒成長して耐欠損性が低下し、逆に、昇温速度が14℃/minより速いとボイド壁面に結合相膜を形成することができない。さらにまた、焼成温度Bが1500℃よりも低いと基体を十分に緻密化することができず、焼結体内部にボイド壁面に結合相膜を形成することができない。逆に焼成温度Bが1600℃を超えると焼結体が過焼結となって表面が荒れ、硬質相の平均粒径が大きくなる。
なお、前記焼成条件で焼成する場合、CoとNiとの固溶体を原料として使用すれば、一層焼結性が改善され、焼結体表面に発生するオープンポアや焼結不良の発生を抑制することができるとともに結合相膜の形成がより確実にできる。
そして、得られたサーメット基体に対して所望により研磨等の表面加工処理した後、化学的蒸着法または物理的蒸着法等のコーティング法を用いて硬質被覆層を単層または2層以上被覆することにより、本発明のサーメット製スローアウェイチップを作製することができる。また、コーティング法としては、硬質被覆層の粒径を微細化する点で、サーメット基体との反応性の低い物理的蒸着法を用いることが望ましい。
原料粉末として、表1に示す平均粒径のTiCN粉末と、いずれも0.5〜2μmのTiN粉末、TaC粉末、NbC粉末、WC粉末、MoC粉末、ZrC粉末、VC粉末、および表1に示す平均粒径および炭素含有量のCoとNiとの合金粉末(試料No.6と16はCo粉末とNi粉末の単独粉末(平均粒径はいずれも0.5μm))を用い、これら原料粉末を表1に示される配合組成に配合し(表中、質量%はwt%と表記した。)、ボールミルで湿式混合し、粉砕時間を変えてマイクロトラック法による粒度分布において混合粉末中に粒径1μm以上の粉末の比率が表1となるまで粉砕して乾燥した。
次に、上記混合粉末を用いて、成形圧98MPaでプレス成形し、この成形体を950℃まで12℃/minで昇温し、950℃から1300℃までを2℃/minで昇温した後、表1の焼成条件で焼成してCNMG120408形状のサーメットを10個ずつ作製した(試料No.1〜11、13〜19)。
また、上記と同じ工程にて作製したサーメットそれぞれの表面に、アーク放電型イオンプレーティング法を用い、2.4μmのTiAlNの硬質被覆層を形成することにより表面にコーティングを施したサーメット製スローアウェイチップをそれぞれ10個ずつ作製した(試料No.12)。
得られたチップについて側面を含む抗折試験片(すくい面幅 3.5mm×逃げ面幅 2.5mm×逃げ面長さ 10mm)形状を各2本ずつ(2本×チップ10個=20本)を切り出し、それぞれ試験片の形状以外はJISR1601に準じて3点曲げ強度を測定するとともに、JISR1625に準じてワイブル係数を算出した。また、抗折強度測定後の試験片の破断面についてSEM観察を行い、破壊源を特定し破壊源の観察を行うとともに、その直径を求めた。結果は表2に示した。
また、上記同様の条件で作製したスローアウェイチップ各10個ずつについて、下記切削条件にて切削評価を行った。
切削条件
被削材:S45C
被削材:4本溝入り丸棒、
切削速度:100m/min、
送りおよび切削時間:0.1mm/revで10秒間切削後、送りを0.05mm/revずつ上げて各10秒間ずつ切削(最大送り0.5mm/revまで)
切込み:2mm、
評価項目:欠損するまでの総切削時間(平均値、バラツキ)
表1、2に示される結果から、本発明に従い破壊源の壁面に結合相膜が形成されている試料No.1〜12では、いずれも平均抗折強度が高くバラツキの少ないものであり、チップにおいては優れた切削特性を示すとともに切削性能のバラツキが小さいものであった。
また、試料No.1〜12のいずれの試料についても、その一例である試料No.4について破壊源観察をした写真である図1に示すように、結合相膜の膜厚は約0.2μmであり、表面には0.1μm以下の間隔で波紋が形成され、かつ結合相膜中に硬質相が突出したピンホールが点在するものであった。また、図1の結合相膜のエネルギー分散分光分析(EDX)による構成成分の特定結果である図2に示すように、結合相膜中の構成成分はCoが最も多く、その他としてNi,Ti,Wが存在していた。
これに対して、原料粉末の性状、混合工程の制御、焼成条件が本発明の工程から逸脱した試料No.13〜19では、抗折強度のバラツキが大きく破壊源が切削試験においてもチップ間で性能バラツキが大きいものであった。
本発明のサーメット製スローアウェイチップである実施例の試料No.4の抗折強度測定後の破断面における破壊源付近の走査型電子顕微鏡(SEM)観察像である。 図1の結合相膜のエネルギー分散分光分析(EDX)による構成成分の特定結果を示す図である。

Claims (4)

  1. Coおよび/またはNiの結合相:4〜30質量%と、Tiと、Ti以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属のうちの1種以上との複合金属炭窒化物からなる硬質相70〜96質量%からなるサーメット製スローアウェイチップであって、前記硬質相の平均粒径が1.5μm以下であるとともに、1つまたは複数個の前記スローアウェイチップから当該チップの側面(逃げ面)を含んで切り出された10本以上の試験片それぞれについてJISR1601に準じて3点曲げ試験により抗折強度を測定した後の破断面において観察される破壊源の50%以上が、一部または全部の壁面が前記結合相からなる皮膜にて覆われたボイドからなるとともに、前記皮膜は、前記ボイドの壁面を構成する複数の前記硬質相の前記壁面側の表面をまたがるように覆っていることを特徴とするサーメット製スローアウェイチップ。
  2. 前記破壊源のボイドの最大径が200μm以下であることを特徴とする請求項1記載のサーメット製スローアウェイチップ。
  3. 前記硬質相の平均粒径が0.3〜1μmであることを特徴とする請求項1または2記載のサーメット製スローアウェイチップ。
  4. 前記サーメットの表面に、(Ti,M1−x)(C1−y)(ただし、MはTi以外の周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、Siのうちの1種以上、0.4≦x≦1,0≦y≦1)で表わされる硬質被覆層を被覆してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のサーメット製スローアウェイチップ。
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