JP5546002B2 - スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法、スチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法、スチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法、スチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法に関する。
一般に、ポリエチレン系樹脂の発泡成形体は、弾性が高く、耐油性及び耐衝撃性に優れているので、包装資材として使用されている。しかし、剛性が低く、圧縮強度が弱いという短所を有している。一方、ポリスチレン系樹脂の発泡成形体は、剛性には優れているが、脆いという短所を有している。
このような欠点を改良する方法として、特公昭51−46138号公報(特許文献1)、特公昭52−10150号公報(特許文献2)、特公昭58−53003号公報(特許文献3)及び特開昭62−59642号公報(特許文献4)では、ポリエチレン系樹脂にスチレンモノマーを含浸させて重合を行い、スチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡性粒子を得る方法が提案されている。
また、特許第2668384号(特許文献5)では、無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部、ビニル芳香族モノマー5〜300重量部及び該モノマー100重量部に対して1〜3重量部の重合開始剤を水性媒体中に分散させ、得られた懸濁液を前記モノマーの重合が実質的に起こらない温度に加熱して、前記モノマーを前記ポリエチレン系樹脂粒子の内部及び表面に含浸せしめた後、温度を上昇させて前記モノマーの重合を行い、ビニル芳香族重合体をポリエチレン系樹脂粒子中にミクロ分散させることで、剛性及び耐衝撃性に優れた改質ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得る方法が提案されている。
特公昭51−46138号公報 特公昭52−10150号公報 特公昭58−53003号公報 特開昭62−59642号公報 特許第2668384号
しかし、これらの方法では、ポリエチレン系樹脂に無機核剤を使用していないので、得られた改質樹脂粒子は、その粒子の表面層と中心部においてポリエチレン樹脂中にスチレン系樹脂成分を粒子状に分散させることが難しく、充分な耐薬品性を発揮できないものとなり易い。
また、ポリエチレン系樹脂に無機核剤を使用した場合であっても、特許第2668384号の実施例に記載されるような、融点が122℃の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系モノマーを加えた後、その融点よりも低い温度である115℃で重合を行う(なお、この公報の実施例では、融点が明記されていないが、本発明の発明者等は、実施例に記載された樹脂粒子の商品名から、樹脂粒子が上記融点を示すことを確認している)と、重合温度が低いことにより、その中心部でスチレン系樹脂成分は粒子状となって分散されず、比較例1のごとく連続相となってしまうことを見出した。
このような粒子の中心部でスチレン系樹脂成分が連続相となった改質樹脂粒子を使用して発泡成形された成形品は、特に耐衝撃性が不十分な成形品となってしまう。
本発明の発明者等は、上記目的を実現するため鋭意研究を重ねた結果、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子に、スチレン系モノマーを加えて、特定の温度範囲で重合させることによって、ポリエチレンのもつ耐薬品性及び耐衝撃性とポリスチレンの剛性を十分に発揮する発泡成形体を与えうるスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子が得られることを見いだし、本発明に至った。
かくして本発明によれば、分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜850重量部とを分散させる工程と、
得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーがポリエチレン系樹脂粒子の融点未満の温度で含浸させる工程と、
記スチレン系モノマーの重合を行う工程を含み、前記重合を行う工程が、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき(T+5)℃より高く(T+25)℃以下となる温度でのみ行われることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
また、分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜300重量部とを分散させる工程と、
得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーがポリエチレン系樹脂粒子の融点未満の温度で含浸させる工程と、
記スチレン系モノマーの重合を行う工程を含み、前記重合を行う工程が、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき(T+5)℃より高く(T+25)℃以下となる温度でのみ行われることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
また、分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜850重量部とを分散させる工程と、
得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーがポリエチレン系樹脂粒子の融点未満の温度で含浸させる工程と、
記スチレン系モノマーの重合を行う工程と、
重合中もしくは重合終了後に揮発性発泡剤を含浸させる工程とを含み、前記重合を行う工程が、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき(T+5)℃より高く(T+25)℃以下となる温度でのみ行われることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法が提供される。
更に、分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜300重量部とを分散させる工程と、
得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーがポリエチレン系樹脂粒子の融点未満の重合しない温度で含浸させる工程と、
記スチレン系モノマーの重合を行う工程と、
重合中もしくは重合終了後に揮発性発泡剤を含浸させる工程とを含み、前記重合を行う工程が、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき(T+5)℃より高く(T+25)℃以下となる温度でのみ行われることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法が提供される。
本発明の製造方法によれば、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系モノマーを含浸させて重合を行う工程を、重合開始剤の存在下、特定の温度範囲で行うことにより、スチレン系樹脂成分をポリエチレン系樹脂粒子の表面層及び中心部に粒子状に分散させることが可能となり、高物性の発泡成形体を与えるスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子及びスチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子を得ることができる。
実施例1の改質樹脂粒子の表層部断面のTEM写真である。 実施例1の改質樹脂粒子の中心部断面のTEM写真である。 実施例2の改質樹脂粒子の表層部断面のTEM写真である。 実施例2の改質樹脂粒子の中心部断面のTEM写真である。 実施例3の改質樹脂粒子の表層部断面のTEM写真である。 実施例3の改質樹脂粒子の中心部断面のTEM写真である。 比較例1の改質樹脂粒子の表層部断面のTEM写真である。 比較例1の改質樹脂粒子の中心部断面のTEM写真である。 比較例2の改質樹脂粒子の表層部断面のTEM写真である。 比較例2の改質樹脂粒子の中心部断面のTEM写真である。
まず、本発明の製造方法によって得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子(以下、改質樹脂粒子と称する)は、無機核剤を含むポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系モノマーを含浸させ重合させたスチレン系樹脂成分を含有させた基材樹脂からなる粒子である。また、スチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子(以下、発泡性樹脂粒子と称する)は、前記基材樹脂に揮発性発泡剤を含ませた粒子である。
本発明において使用される無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂(以下、単にポリエチレン系樹脂と称する)成分には、エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン及び1−オクテン等が挙げられる。この内、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
エチレンとα−オレフィンとの構成比は、所望する物性に応じて適宜変化してもよいが、1:0.01〜0.1(重量比)の範囲であることが好ましい。なお、低密度とは、0.910〜0.925g/mlの範囲を意味する。
また、本発明の目的とする効果を阻害しない範囲で、架橋及び/又は分岐鎖を有する低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・アクリル酸共重合体、これら2種以上を併用してもよい。
無機核剤としては、例えば、タルク、二酸化珪素、マイカ、クレー、ゼオライト及び炭酸カルシウム等が挙げられる。
無機核剤の使用量は、ポリエチレン系樹脂成分100重量部に対して、0.1〜2重量部が好ましく、0.2〜1.5重量部がより好ましい。0.1重量部未満では、ポリエチレン系樹脂成分中に分散されるスチレン系樹脂粒子数が少なくなり、かつその粒子中心部において、粒子状に分散し難いので好ましくない。2重量部を超える場合、発泡成形体が脆くなり、強度が低下しやすくなるので好ましくない。
更に、ポリエチレン系樹脂粒子には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加物が含まれていてもよい。
この内、着色剤としては、無機及び有機着色剤のいずれも使用できる。特に、酸化鉄及びカーボンブラック等の無機系の着色剤が好ましい。
酸化鉄としては、黄色系統のものとしてα−FeOOH(含水結晶)、赤色系統のものとしてα−Fe23、黒色系統のものとして(FeO)x(Fe23y等が挙げられる。これら酸化鉄は、Feの一部が、Zn、Mg等の他の金属で置き換えられていてもよい。更に、これら酸化鉄は、所望の色を得るために、混合して用いてもよい。この内、黒色系統の(FeO)x(Fe23yに含まれるFe34であることが好ましい。
酸化鉄は、0.1〜1μmの平均粒径を有していることが好ましく、0.2〜0.8μmがより好ましい。平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計(日本電子社製ロドス)により測定できる。
酸化鉄は、ポリエチレン系樹脂粒子中、1.5〜70重量%の範囲で含まれていることが好ましく、5〜40重量%の範囲がより好ましく、10〜30重量%の範囲が更に好ましい。1.5重量%未満であれば、ポリエチレン系樹脂粒子が十分着色されない場合があるため好ましくない。70重量%より多い場合、ポリエチレン系樹脂粒子中に混合することが困難となり易く好ましくない。加えて、酸化鉄の比重がポリエチレン系樹脂成分より大きいため、ポリエチレン系樹脂粒子が重くなり、スチレン系モノマーを均一に含浸させることが困難となり易く好ましくない。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、黒鉛及び炭素繊維等が挙げられる。
カーボンブラックは、ポリエチレン系樹脂粒子中、1〜50重量%の範囲で含まれていることが好ましく、2〜30重量%の範囲がより好ましい。1重量%未満であれば、ポリエチレン系樹脂粒子が十分着色されない場合があるため好ましくない。50重量%より多い場合、ポリエチレン系樹脂粒子中に混合することが困難となり易く好ましくない。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びt−ブチルスチレン等のスチレン系モノマーに由来する樹脂が挙げられる。更に、スチレン系樹脂は、スチレン系モノマーと、スチレン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、ジビニルベンゼンのような多官能性モノマーや、(メタ)アクリル酸ブチルのような構造中にベンゼン環を含まない(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が例示される。これら他のモノマーは、実質的にスチレン系樹脂に対して5重量%を超えない範囲で使用してもよい。
スチレン系樹脂成分の量は、ポリエチレン系樹脂成分100重量部に対して300〜850重量部、好ましくは100〜800重量部である。また、850重量部を超える場合、ポリエチレン系樹脂成分の弾性が高く、耐薬品性及び耐衝撃性が良好であるという特性が発現し難い。また、ポリエチレン系樹脂成分の内部にスチレン系モノマーが十分に吸収されず、スチレン系モノマー自体が単独で重合するため、多量の重合体粉末の発生を防止しにくくなるので好ましくない。
揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン及びヘキサン等の炭化水素を単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
揮発性発泡剤の含有量は、発泡性樹脂粒子を構成する樹脂成分(ポリエチレン系樹脂成分及びスチレン系樹脂成分の合計)100重量部に対して、5〜20重量部であることが好ましい。
改質樹脂粒子及び発泡性樹脂粒子は、粒子の長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.6〜1.6である円筒状、略球状ないしは球状であり、平均粒径が0.3〜3.0mmであることが好ましい。
L/Dが0.6より小さくないしは1.6より大きく扁平度が大きい場合は、改質樹脂粒子及び発泡性樹脂粒子から得られる予備発泡粒子を、金型に充填して発泡成形体を得る際に、金型への充填性が悪くなるため好ましくない。
また形状は、充填性をよくするには略球状ないしは球状がより好ましい。
平均粒径は0.3mm未満の場合、発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となり易く好ましくない。3.0mmを超える場合、充填性が悪くなり易く、発泡成形体の薄肉化も困難となり易いので好ましくない。
特に、本発明のそれらの断面において、ポリエチレン系樹脂成分とスチレン系樹脂成分が、以下に記載するように、特徴的な状態で分散した改質樹脂粒子及び発泡性樹脂粒子を提供することができる。
すなわち、両粒子は、その表面から少なくとも5μmまでの表層部にスチレン系樹脂成分が、ポリエチレン系樹脂成分中に0.8μm以下の粒径で粒子状に分散された状態を有している。スチレン系樹脂成分の粒径の下限は、0.01μm程度である。粒径が0.8μmより大きい、特に1μmより大きい場合、発泡成形体の耐衝撃性及び耐薬品性が低下する。
一方、粒子の中心から半径約5μmまでの中心部においても、スチレン系樹脂成分が、ポリエチレン系樹脂成分中に粒子状に分散された状態を有している。中心部のスチレン系樹脂粒子の粒径は、例えば、0.1〜0.8μmである。粒子状に分散していない場合、耐衝撃性が低下する。
次に、本発明の改質樹脂粒子及び発泡性樹脂粒子の製造方法を説明する。
まず、分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含むポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜850重量部とを分散させる。なお、スチレン系モノマーと重合開始剤とは、別々に添加しても、予め混合して添加してもよい。
水性懸濁液を構成する水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
分散剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用することができる。具体的には、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム及びピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム等の難溶性無機物が挙げられる。また、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダのような界面活性剤を使用してもよい。
ポリエチレン系樹脂粒子は、公知の方法により得ることができる。例えば、ポリエチレン系樹脂成分を、無機核剤と必要に応じて添加剤と共に、押出機中で溶融混練して押出すことでストランドを得、得られたストランドを、空気中でカット、水中でカット、加熱しつつカットすることで、造粒する方法が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂粒子は、粒子の長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.6〜1.6である円筒状、略球状ないしは球状であり、平均粒径が0.2〜1.5mmであることが好ましい。L/Dが0.6より小さくないしは1.6より大きく扁平度が大きい場合は、発泡性樹脂粒子として予備発泡させ、金型に充填して発泡成形体を得る際に、金型への充填性が悪くなり易く好ましくない。また形状は、充填性をよくするには略球状ないしは球状がより好ましい。平均粒径は0.2mm未満の場合、発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となり易いので好ましくない。1.5mmを超える場合、充填性が悪くなるだけでなく発泡成形体の薄肉化も困難となり易く好ましくない。
重合開始剤としては、一般にスチレン系モノマーの懸濁重合用の開始剤として用いられているものが使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート及びt−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等の有機過酸化物である。これらの重合開始剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、スチレン系モノマー100重量部に対して、0.1〜0.9重量部が好ましく、0.2〜0.5重量部がより好ましい。0.1重量部未満ではスチレン系モノマーの重合に時間がかかり過ぎ好ましくない。0.9重量部を超える重合開始剤の使用は、スチレン系樹脂成分の分子量を低くするため好ましくない。
良好な物性を得るためにはスチレン系樹脂成分の分子量は20万〜50万程度が好ましいが、0.9重量部を超える量ではこれを下回るものしか得られない場合がある。
次に、得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーが実質的に重合しない温度で含浸させる。
ポリエチレン系樹脂粒子内部にスチレン系モノマーを含浸させる時間は、30分〜2時間が適当である。十分に含浸させる前に重合が進行するとスチレン系樹脂の重合体粉末を生成してしまうからである。前記モノマーが実質的に重合しない温度とは、高い方が含浸速度を速めるには有利であるが、重合開始剤の分解温度を考慮して決定する必要がある。
次いで、ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T+5)より高く(T+25)℃以下の温度で、前記スチレン系モノマーの重合を行う。
重合温度が(T+5)℃以下では、改質樹脂粒子の表層部において、スチレン系樹脂粒子を0.8μm以下の粒子状に、中心部において粒子状に分散させることができないため好ましくない。更に、(T+25)℃を超える温度では粒子同士が合着した凝集粒子が発生するため好ましくない。好ましい重合温度は、(T+5)より高く(T+20)℃以下である。
なお、ポリエチレン系樹脂粒子の融点は120℃程度であるから、重合はこの温度以上で行われることとなる。そのため、重合は、加圧可能な密閉容器中で行うことが好ましい。
上記工程により改質樹脂粒子を得ることができる。また、発泡性樹脂粒子は、上記重合中もしくは重合終了後の改質樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸することで得ることができる。この含浸は、それ自体公知の方法により行うことができる。例えば、重合中での含浸は、重合反応を密閉式の容器中で行い、容器中に揮発性発泡剤を圧入することにより行うことができる。重合終了後の含浸は、密閉式の容器中で、揮発性発泡剤を圧入することにより行われる。
上記方法により良好な特性の改質樹脂粒子及び発泡性樹脂粒子を得ることができるが、スチレン系モノマー量が多くなると、スチレン系樹脂の重合体粉末が多くなる傾向にある。
より多くのスチレン系モノマーを含浸及び重合させることを所望する場合、重合体粉末の発生を極力少なくするためには、以下のようにスチレン系モノマーを2段階に分けてポリエチレン系樹脂粒子に含浸させることが好ましい。なお、1段での重合は、スチレン系モノマー量が30〜300重量部の場合に特に好適に使用できる。
まず、分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含むポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、スチレン系モノマー20〜300重量部と、重合開始剤とを分散させる。なお、予めスチレン系モノマーと重合開始剤とを混合して用いてもよい。
次に、得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーが実質的に重合しない温度で含浸させる。
更に、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T+5)より高く(T+25)℃以下の温度で、前記スチレン系モノマーの第1の重合を行う。好ましい第1の重合温度は、(T+5)より高く(T+20)℃以下である。
次に、上記工程に続いて、第1の重合の反応液に、スチレン系モノマーと、重合開始剤とを加え、かつ前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T+5)より高く(T+25)℃以下の温度とすることで、前記ポリエチレン系樹脂粒子への前記スチレン系モノマーの含浸と第2の重合を行う。好ましい第2の重合温度は、(T+5)より高く(T+20)℃以下である。なお、予めスチレン系モノマーと重合開始剤とを混合して用いてもよい。
但し、ポリエチレン樹脂粒子100重量部に対し、第1の重合と第2の重合で使用するスチレン系モノマーの合計は30〜850重量部である。
2回目のスチレン系モノマーと重合開始剤の添加方法は、連続的でも断続的でもよいが、重合体粉末の生成をより効果的に防ぐためには、ポリエチレン系樹脂粒子内部への含浸と重合を、ほぼ同時に行うことが好ましい。高い温度での重合であるため、あまり添加速度が速いと含浸される前に重合が進んでしまうため好ましくない。例えば、添加速度は、30〜100重量部/時間が好ましい。
2回目の重合開始剤の使用量は、1回目の重合開始剤と同様、スチレン系モノマー100重量部に対して、0.1〜0.9重量部が好ましく、0.2〜0.5重量部がより好ましい。
上記工程により改質樹脂粒子を得ることができる。また、発泡性樹脂粒子は、上記1段の重合と同様にして改質樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸することで得ることができる。
更に、発泡性樹脂粒子は、公知の方法で所定の嵩密度(例えば、10〜200kg/m3)に予備発泡させることで予備発泡粒子とすることができる。嵩密度の測定法は、実施例に記載する。
更に、予備発泡粒子を発泡成形機の金型内に充填し、再度加熱して予備発泡粒子を発泡させながら、発泡粒同士を熱融着させることで、発泡成形体を得ることができる。
加熱用の媒体は水蒸気が好適に使用される。発泡成形体の密度は10〜200kg/m3が好ましい。10kg/m3より低密度にすると十分な強度が得られにくく、200kg/m3より高密度では軽量化ができないことや、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の特徴のひとつである弾性等が十分に発揮できない場合があるため好ましくない。
得られた発泡成形体は、耐薬品性に優れ、強靭であり、衝撃強度に優れたものである。また、スチレン系樹脂成分で改質されているため剛性も高い。
本発明の発泡成形体は、種々の用途に使用できるが、特に自動車内装材、バンパー内部に装着されるエネルギー吸収材、重量物の梱包材等に好適に使用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例における嵩密度、融着率、圧縮強度、耐衝撃性、耐薬品性の測定法を下記する。
(嵩密度)
予備発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法で測定した。具体的には、規定の嵩密度測定器により予備発泡粒子をメスシリンダー内に自然落下させ、その重量を測定し、次式により嵩密度を算出する。
嵩密度(kg/m3)=予備発泡粒子重量(kg)/メスシリンダー中の予備発泡粒子容積(m3
(圧縮強度)
圧縮強度は、JIS A9511:1995「発泡プラスチック保温材」記載の方法で測定した。具体的には、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用いて、試験片に50mm×50mm×50mmの発泡成形体を使用し、圧縮速度を10mm/分として、5%圧縮時の圧縮強度を測定する。
(耐衝撃性)
発泡成形体から縦215mm×横40mm×厚み20mmの平面長方形状の試験片を切り出す。そして、JIS K7211に準拠して、150mmの間隔を存して配設された一対の支点間に試験片を架設して321gの鋼球を落とし、落球衝撃値、即ち、50%破壊高さを下記式に基づいて算出する。但し、剛球の最大高さは120cmとする。
50%破壊高さH50=Hi+d〔Σ(i×ni)/N±0.5〕
但し、H50:50%破壊高さ(cm)
Hi:高さ水準(i)が0のときの試験片の高さ(cm)であり、
試験片が破壊することが予測される高さ
d:試験片の高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hiのときを0とし、1つずつ増減する高さ水準
(i=・・・−3、−2、−1、0、1、2、3、・・・)
ni:各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片の数
N:破壊した(又は破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)
何れか多い方のデータを使用する
なお、同数の場合はどちらを採用してもよい
±0.5:破壊したデータを使用する時は負を、
破壊しなかったデータを使用する時は正をとる
(耐薬品性)
発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚み20mmの平面長方形状の板状試験片を3枚切り出し、23℃、湿度50%の条件で24時間放置する。なお、試験片の上面全面が発泡成形体の表面から形成されるように試験片を発泡成形体から切り出す。
次に、3枚の試験片の上面毎に別々の薬品(ガソリン、灯油、ジブチルフタレート(DBP))1gを均一に塗布し、23℃、湿度50%の条件で60分放置する。その後、試験片の上面から薬品を拭き取り、試験片の上面を目視観察して下記基準に基づいて判断する。
○:良好 変化なし
△:やや悪い 表面軟化
×:悪い 表面陥没(収縮)
(発泡成形体密度の測定)
発泡成形体密度は、JIS A 9511:1995「発泡プラスチック保温板」記載の方法で測定する。
実施例1
(ポリエチレン系樹脂粒子の作製)
無架橋直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称する)(日本ユニカー社製 商品名「TUF−2032」(メルトフローレート0.9g/10分、密度0.923g/cm3、融点126℃))を押出機にて造粒し、L/D=0.9、平均粒径が0.8mmの略球状のLLDPE粒子を得た。なお、造粒時に無機核剤として、前記LLDPE100重量部に対して0.5重量部のタルクを添加した。
(改質樹脂粒子の作製)
オートクレーブに純水100重量部に対して、分散剤としてピロリン酸マグネシウム0.8重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.02重量部を加えて水性懸濁液を作成した。次に、この水性懸濁液中に前記LLDPE粒子100.5重量部を加えて、回転数150rpmで撹拌し懸濁させた。
この水性懸濁液にスチレンモノマーをLLDPE粒子100.5重量部に対して185重量部と重合開始剤としてジクミルパーオキサイドをスチレンモノマー100重量部に対して0.19重量部を含んだ混合液を加え、60℃の温度で60分間放置し、LLDPE粒子中にスチレンモノマーを含浸させた。
その後、135℃(LLDPEの融点126℃より9℃高い温度)に昇温し4時間重合させた。更に、140℃の温度に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却して改質樹脂粒子を得た。
得られた改質樹脂粒子中のポリスチレン成分の分散状態をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、表層部(12800倍)(表面から約5μmまでの領域)に0.15〜0.4μmのポリスチレン粒子が分散し、中心部(12800倍)(粒子の中心から半径約5μmまでの領域)に0.3〜0.8μmのポリスチレン粒子が分散し、表層部及び中心部のいずれもLLDPE中にポリスチレンが粒子状に分散されていることが確認された。なお、表層部及び中心部の断面顕微鏡写真を図1及び図2に示す。
(発泡性樹脂粒子の作製及びその発泡・成形評価)
続いて耐圧性の密閉可能なV型ブレンダーに、上記改質樹脂粒子100重量部、ステアリン酸モノグリセリド0.15重量部、ジイソブチルアジペート0.5重量部を供給し、密閉してから回転させながらブタン(n−ブタン:i−ブタン=7:3、体積比、以下同じ)15重量部を圧入した。そして、70℃の温度に昇温して4時間維持してブタンを含浸させた後、冷却して発泡性樹脂粒子を取り出した。
得られた発泡性樹脂粒子を直ちに予備発泡機(積水工機製作所社製 商品名「SKK−70」)に供給し、0.02MPaの圧力の水蒸気を用いて予備発泡させて嵩密度33kg/m3の予備発泡粒子を得た。
次に、予備発泡粒子を発泡成形機(積水工機製作所社製 商品名「ACE−3SP」)の金型内に充填した。そして、金型内に水蒸気を供給して予備発泡粒子を発泡成形して、密度33kg/m3、縦400mm×横300mm×高さ50mmの直方体形状の発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の圧縮強度、耐衝撃性及び耐薬品性を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
オートクレーブに純水100重量部に対して、分散剤としてピロリン酸マグネシウム0.8重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.02重量部を加えて水性懸濁液を作成した。
次に、この水性懸濁液中に実施例1と同様にして得たLLDPE粒子100.5重量部を加えて、回転数150rpmで撹拌し懸濁させた。
この水性懸濁液に、スチレンモノマーをLLDPE粒子100.5重量部に対して80重量部と重合開始剤としてジクミルパーオキサイドをスチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部を含んだ混合液を加え、60℃の温度で60分間放置し、LLDPE粒子中にスチレンモノマーを含浸させた。
次にこの分散液の温度を143℃(LLDPEの融点126℃より17℃高い温度)に昇温し2時間重合(第1の重合)させた。
続いて、重合開始剤としてジクミルパーオキサイドをスチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部を含んだ混合液720重量部を先の分散液に1時間あたり80重量部の割合で約9時間かけて連続的に滴下して、含浸させながら重合(第2の重合)させてスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
得られた改質樹脂粒子中のポリスチレン成分の分散状態をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、表層部(12800倍)(表面から約5μmまでの領域)に0.1〜0.4μmのポリスチレン粒子が分散し、中心部(12800倍)(粒子の中心から半径約5μmまでの領域)に0.2〜1.2μmのポリスチレン粒子が分散し、表層部及び中心部のいずれもLLDPE中にポリスチレンが粒子状に分散されていることが確認された。なお、表層部及び中心部の断面顕微鏡写真を図3及び図4に示す。
続いて、実施例1と同様に発泡性樹脂粒子を得、得られた発泡性樹脂粒子を実施例1と同様の方法で、予備発泡させて嵩密度33kg/m3の予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を発泡成形機(積水工機製作所社製 商品名「ACE−3SP」)の金型内に充填した。そして、金型内に水蒸気を供給して予備発泡粒子を発泡成形して、密度33kg/m3、縦400mm×横300mm×高さ50mmの直方体形状の発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の圧縮強度、耐衝撃性及び耐薬品性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3
水性懸濁液に加えるスチレンモノマー量をLLDPE粒子100.5重量部に対して100重量部とし、重合時間を3時間としたこと以外は実施例1と同様の方法で、改質樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体(密度33kg/m3)を得た。
得られた改質樹脂粒子中のポリスチレン成分の分散状態をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、表層部(12800倍)(表面から約5μmまでの領域)に約0.05〜0.15μmのポリスチレン粒子が分散し、中心部(12800倍)(粒子の中心から半径約5μmまでの領域)に0.15〜0.6μmのポリスチレン粒子が分散し、表層部及び中心部のいずれもLLDPE中にポリスチレンが粒子状に分散されていることが確認された。なお、表層部及び中心部の断面顕微鏡写真を図5及び図6に示す。
得られた発泡成形体の圧縮強度、耐衝撃性及び耐薬品性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
スチレンモノマーを重合する温度を119℃(LLDPEの融点126℃より7℃低い温度)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、改質樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体(密度33kg/m3)を得た。
得られた改質樹脂粒子中のポリスチレン成分の分散状態をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、表層部(12800倍)(表面から約5μmまでの領域)に約0.05〜0.2μmであったが、中心部(12800倍)(粒子の中心から半径約5μmまでの領域)でポリスチレンは、連続相をなし粒子状に分散されていないことが確認された。なお、表層部及び中心部の断面顕微鏡写真を図7及び図8に示す。
得られた発泡成形体の圧縮強度、耐衝撃性及び耐薬品性を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
水性懸濁液に加えるスチレンモノマー量をLLDPE粒子100.5重量部に対して900重量部とし、第2の重合時のスチレンモノマー添加量をLLDPE粒子100.5重量部に対して820重量部とし、第2の重合時間を10時間としたこと以外は実施例2と同様の方法で、改質樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体(密度33kg/m3)を得た。
得られた改質樹脂粒子中のポリスチレン成分の分散状態をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、表層部(12800倍)(表面から約5μmまでの領域)に約0.2〜1.3μmと1μmを越える大きなポリスチレン粒子が見られ、中心部(12800倍)(粒子の中心から半径約5μmまでの領域)でポリスチレンは、連続相をなし粒子状に分散されていないことが確認された。なお、表層部及び中心部の断面顕微鏡写真を図9及び図10に示す。
得られた発泡成形体の圧縮強度、耐衝撃性及び耐薬品性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005546002
表1から、以下のことがわかる。
実施例1と2及び比較例1から、重合温度をポリエチレン系樹脂粒子の融点+5℃より高くすることで、圧縮強度及び耐衝撃性に優れた発泡成形体を得ることができる。この理由は、実施例1と2の改質樹脂粒子の中心部において、ポリスチレン成分が粒子状で分散しているのに対して、比較例1では粒子状で分散できず、連続相をなしていることによると考えられる。
実施例1〜3及び比較例2から、スチレン系モノマーを30〜850重量部の範囲で使用することで、改質樹脂粒子表層部においてポリスチレン成分を特定の大きさの粒子状に、中心部において粒子状に分散させることができるので、耐衝撃性及び耐薬品性に優れた発泡成形体を得ることができる。

Claims (4)

  1. 分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜850重量部とを分散させる工程と、
    得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーがポリエチレン系樹脂粒子の融点未満の温度で含浸させる工程と、
    記スチレン系モノマーの重合を行う工程を含み、前記重合を行う工程が、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき(T+5)℃より高く(T+25)℃以下となる温度でのみ行われることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法。
  2. 分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜300重量部とを分散させる工程と、
    得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーがポリエチレン系樹脂粒子の融点未満の温度で含浸させる工程と、
    記スチレン系モノマーの重合を行う工程を含み、前記重合を行う工程が、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき(T+5)℃より高く(T+25)℃以下となる温度でのみ行われることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法。
  3. 分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜850重量部とを分散させる工程と、
    得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーがポリエチレン系樹脂粒子の融点未満の温度で含浸させる工程と、
    記スチレン系モノマーの重合を行う工程と、
    重合中もしくは重合終了後に揮発性発泡剤を含浸させる工程とを含み、前記重合を行う工程が、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき(T+5)℃より高く(T+25)℃以下となる温度でのみ行われることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  4. 分散剤を含む水性懸濁液中に、無機核剤を含む無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部と、重合開始剤を含むスチレン系モノマー30〜300重量部とを分散させる工程と、
    得られた分散液中、前記ポリエチレン系樹脂粒子に前記スチレン系モノマーを、前記スチレン系モノマーがポリエチレン系樹脂粒子の融点未満の重合しない温度で含浸させる工程と、
    記スチレン系モノマーの重合を行う工程と、
    重合中もしくは重合終了後に揮発性発泡剤を含浸させる工程とを含み、前記重合を行う工程が、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき(T+5)℃より高く(T+25)℃以下となる温度でのみ行われることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
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