JP5545214B2 - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Description

関連する出願
本出願では、2008年8月28日に日本国に出願された特許出願番号2008−219456の利益を主張し、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
本発明は、走査型プローブ顕微鏡に関し、特に、プローブ体の励振制御及びプローブ体の振動振幅、位相及び周波数検出のための技術に関する。
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、鋭くとがった探針(プローブ)を試料に対して近づけて、探針と試料の間に働く相互作用(トンネル電流や相互作用力など)を検出し、相互作用を一定に保つように探針−試料間の距離をフィードバック制御する。さらに、SPMは、フィードバック制御を維持した状態で、探針(または試料)を水平方向に走査する。これにより、探針(または試料)は、試料の凹凸をなぞるように上下する。そして、フィードバック走査の軌跡を水平位置に対して記録することにより、試料表面の凹凸像を得ることができる。
SPMの一つとして、原子間力顕微鏡(AFM)が知られている。AFMは、探針と試料の間に働く相互作用力を検出し、相互作用力を一定に保つように探針−試料間の距離をフィードバック制御する。AFMは、鋭くとがった探針を先端に備えたカンチレバー(片持ち梁)を力検出器として用いる。探針を試料に近づけると、探針−試料間の相互作用力によりカンチレバーが変位する。この変位量から相互作用力を検出するタイプのAFMは、コンタクトモードAFMまたはスタティックモードAFMと呼ばれる。
一方、カンチレバーをその共振周波数近傍の周波数で機械的に励振するタイプのAFMは、ダイナミックAFMと呼ばれる。ダイナミックAFMは、探針−試料間相互作用力によって生じる振動振幅、周波数又は位相の変化から相互作用力を検出する。振幅、周波数及び位相を用いて相互作用力を検出するAFMは、それぞれ、AM−AFM、FM−AFM及びPM−AFMと呼ばれる。
従来のダイナミックモードAFMは、例えば特開2004−226237号公報に開示されている。この文献は、FM−AFMの一例を開示している。
図1は、ダイナミックモードAFMの一般的構成を示している。AFM101は、カンチレバー103、試料ステージ105、スキャナ107及び励振部109を備える。スキャナ107は例えばピエゾアクチュエータであり、試料ステージ105上の試料をXYZ方向に移動して、試料とカンチレバー103を相対的に走査する。励振部109も例えばピエゾアクチュエータであり、カンチレバー103を励振する。アクチュエータ駆動のためのアンプ等は図から省略されている。
励振及び検出回路111は、励振制御機能と相互作用力の検出機能とをもつ回路である。励振及び検出回路111は、励振部109に励振信号を加えることによって、カンチレバー103を励振する。また、励振及び検出回路111は、センサ113により検出されるカンチレバー103の変位信号から、探針−試料間の相互作用量として振幅、周波数又は位相を検出する。検出値は、フィードバック信号としてフィードバック回路115に出力され、スキャナ107の垂直位置を制御するために用いられる。これにより、探針−試料間距離を一定に保つフィードバックループが構成される。
上記のように、本明細書では、励振制御回路及び相互作用検出回路として機能する回路を、「励振及び検出回路」と呼ぶ。励振及び検出回路の実装方法にはいくつかの種類がある。励振及び検出回路は、まず大きく、アナログ方式とデジタル方式に分けることができる。柔軟に仕様を変更でき、かつ、複雑な信号処理を実装できるので、現在ではデジタル方式が主に使われるようになってきた。
図2は、従来のデジタル方式の励振及び検出回路の実装例を示している。図2の構成は、AM−AFM及びPM−AFMに対応しており、励振信号を生成すると共に、振幅信号及び位相差信号を検出する。振幅信号はカンチレバーの振動振幅であり、位相差信号は、カンチレバーの励振信号と変位信号の位相差である。
図2に示すように、励振及び検出回路121は、DDS(Direct Digital Synthesizer)123とロックインアンプ125を有する。DDS123が励振制御回路に相当し、ロックインアンプ125が振幅及び位相差の検出回路に相当する。
図2において、DDS123は、励振周波数fで変化する励振信号cos(2πft)を生成する。DDS123は、位相に対する正弦波の出力値をルックアップテーブルの形式で保有している。ルックアップテーブルの離散的な値を補間することにより、正弦波の信号が得られる。この信号は、カンチレバーの励振信号として出力されるほか、デジタル回路で構成されたロックインアンプ125の参照信号としても利用される。
ロックインアンプ125は2相デジタルロックインアンプである。ロックインアンプ125には、カンチレバーの変位信号Acos(2πft+φ)が入力される。また、ロックインアンプ125には、上記のように参照信号として励振信号cos(2πft)が入力される。
参照信号は、90°移相回路(例えばヒルベルト変換回路)および遅延回路へと入力され、それぞれsin(2πft)、cos(2πft)へと変換される。これらの信号は、乗算回路及びLPF(ローパスフィルタ)を経て、それぞれX=Acos(φ)とY=Asin(φ)へと変換される。乗算回路が各信号を入力変位信号Acos(2πft+φ)と乗算し、LPFが高周波成分を除去する。
次に、ベクトル演算回路が、複素入力X+jYの絶対値R及び偏角θを計算する。絶対値Rは、(X+Y1/2であり、偏角θは、tan−1(Y/X)である。絶対値Rは、変位信号の振幅Aに相当し、偏角θは、励振信号に対する変位信号の位相差φに相当する。そこで、R及びθが、それぞれ振幅信号A及び位相差信号φとして出力される。
図2の構成は、AM−AFMモード及びPM−AFMモードに対応している。AM−AFMモードでは、振幅信号Aがフィードバック信号として出力されて、フィードバック制御に用いられる。フィードバック制御は、振幅信号Aが目標振幅と一致するように行われる。PM−AFMモードでは、位相差信号φがフィードバック信号として出力されて、フィードバック制御に用いられる。この場合、位相差信号φが目標位相差と一致するようにフィードバック制御が行われる。
次に、図3及び図4を参照し、FMーAFMのための励振及び検出回路の構成を説明する。図3は、FM−AFMの原理を説明するための図であり、カンチレバーの振幅及び位相の特性を示している。図3の上側のグラフにおいて、横軸は周波数であり、縦軸はカンチレバーの振幅である。下側のグラフでは、横軸が周波数であり、縦軸はカンチレバーの励振信号と変位信号の位相差である。
図3の上側のグラフに点線で示すように、カンチレバーの共振周波数fは、カンチレバーと試料の相互作用によって変化(シフト)する。図3においては、共振周波数の変化量がΔfで示されている。また、下側のグラフに示すように、カンチレバーが共振周波数で振動しているときは、励振信号と変位信号の位相差φは、90°である。そこで、FM−AFMは、位相差φの目標値を90°に設定し、位相差φが目標値に一致するように励振信号を制御する。この励振制御は、位相ロックループ(PLL)回路により実現され、相互作用でカンチレバーの共振周波数が変化しても、カンチレバーを共振周波数で振動させ続ける。上記の制御を行いながら、共振周波数変化Δfが検出される。そして、共振周波数変化Δfを一定に保つようにフィードバック制御が行われる。
図4は、FM−AFMに対応する励振及び検出回路の実装例を示しており、励振信号を生成すると共に、周波数信号を検出する。周波数信号は、上述したカンチレバーと試料の相互作用によるカンチレバーの共振周波数の変化を表す信号である。
図4に示すように、FM−AFMの励振及び検出回路131は、DDS133及びロックインアンプ135(2相デジタルロックインアンプ)に加えて、比例積分(PI)制御回路137を有する。
DDS133から出力された励振信号cos(2πft)は、ロックインアンプ135に参照信号として入力される。また、ロックインアンプ135には、カンチレバーの変位信号Acos(2πft+φ)が入力される。ロックインアンプ135は、図2のロックインアンプ125と同様の構成によって、励振信号と変位信号の位相差φを出力する。ここでは、ロックインアンプ135が乗算式位相比較器として機能し、変位信号の乗算による位相比較を行っている。
ロックインアンプ135で生成された位相差φは、PI制御回路137へと入力される。PI制御回路137は、入力された位相差φが、目標値φ0に一致するように、出力2πΔfT(Tは、入出力信号のサンプリング周期)を制御する。この出力2πΔfTは、DDS133へと入力され、DDS133の出力信号(励振信号)cos(2πft)の周波数fを変化させる。周波数fは、DDSの自走周波数f0(入力が0のときの発振周波数)を中心として、Δfだけ変化する。
図4の構成では、DDS133、ロックインアンプ135及びPI制御回路137により位相ロックループ(PLL)回路が構成されている。PI制御回路137は、PLL回路のループフィルタとして機能する。PLL回路は、変位信号と励振信号の周波数が一致するよう、すなわち、f=f0+Δfになるように、励振信号の周波数fの値を変化させる。したがって、PI制御回路137の出力値は、変位信号の周波数変化に比例する。そこで、PI制御回路137の出力値が、周波数信号として出力される。
また、PI制御回路137の目標値φ0を変化させることにより、変位信号と励振信号の位相差を調整することができる。図3を用いて説明したように、FM−AFMでは、この目標位相差が90°に設定される。これにより、位相差φが90°に保たれ、カンチレバーが共振周波数で振動する。カンチレバーと試料の相互作用によって共振周波数が変化しても、カンチレバーは共振周波数で振動し続ける。周波数信号は、カンチレバーの共振周波数変化(シフト)Δfを表す値になり、この周波数信号がフィードバック制御に用いられる。
以上に、従来のAFMの励振及び検出回路について説明した。従来の回路構成には、下記のように改良の余地がある。
図2の従来技術では、ロックインアンプが乗算式位相比較器として機能しており、ロックインアンプの内部で、乗算により励振信号と変位信号の比較を行っている。これは、不要な高調波成分の発生を招く。より詳細には、ロックインアンプの乗算回路の出力は、入力信号の周波数の差の成分と、和の成分を含む。和の成分が不要な高調波成分になる。この高調波成分は、後段のLPFでも完全に除去することはできない。このような残留高調波成分は、出力波形のひずみを生じさせるだけでなく、下記のようにフィードバック制御に悪影響を及ぼす。
AFMは、探針−試料間距離制御のフィードバックループを形成しており、図1に示すように励振及び検出回路はフィードバックループの中に存在している。ロックインアンプで高調波成分が混入した信号は、フィードバックループの中で用いられることになる。この場合、高調波成分が持つ周波数で発振が生じるのを避けるために、フィードバックゲインを小さい値に制限する必要がある。このことが、従来は、高速かつ安定したフィードバック制御の実現を妨げる要因になる。
図4に示されるFM−AFMの回路構成でも、図2の回路と同様に、ロックインアンプが乗算式位相比較器として機能し、不要な高調波成分が生じる。特に、FM−AFMの場合、高調波成分は、フィードバックゲインを制限するだけでなく、PLL回路においても不利に作用する。この点について下記に説明する。
図4のFM−AFMの構成では、ロックインアンプがPLL回路の一部である。したがって、ロックインアンプ(乗算式位相比較器)は、不要な高周波成分を、PLL回路のループ内で発生する。この高調波成分は後段のLPFでも完全に除去することはできない。特に、このLPFはPLLのループ内に存在するので、PLLの応答特性と独立にLPFの設計をすることができないという制約もある。そのため、高調波成分の除去はAM−AFM及びPM−AFMの場合よりもさらに困難なものとなる。この残留高周波成分は、PLLのゲインを大きくした場合に、残留高調波成分の周波数でPLL回路を発振させる。そのため、従来はPLLのゲインが制限され、高速かつ安定した周波数検出ができない。
このように、FM−AFMの場合、高調波成分がAFM全体のフィードバックゲインを制限するという問題に加えて、PLLのゲインをも制限するという問題がある。
本発明は、上記背景の下でなされたものである。本発明の一の目的は、探針−試料間の相互作用の検出にて高調波成分が生じるのを回避でき、高調波成分に起因する問題を避けることができる走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
本発明の一の目的は、高調波成分が生じるのを避けることにより、探針−試料間距離のフィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きくでき、高速で安定した走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
本発明の一の目的は、高調波成分が生じるのを避けることにより、PLLのゲインを大きくでき、より高速なPLL回路を備えられる走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
本発明の一態様の走査型プローブ顕微鏡は、プローブ体と、プローブ体を励振する励振部と、プローブ体の変位信号を検出するセンサと、プローブ体と試料の相互作用を一定に保つフィードバック制御を行うフィードバック回路と、励振部による励振を制御する励振信号を生成すると共に、変位信号に基づいて相互作用を表す相互作用量をフィードバック制御のために検出する励振及び検出回路とを備え、励振及び検出回路は、励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路と、励振位相信号に基づいて励振信号を生成する励振信号生成回路と、変位信号に基づいて複素信号を生成する複素信号生成回路と、ベクトル演算により複素信号の偏角を計算するベクトル演算回路と、偏角及び励振位相信号の位相比較を減算により行う減算式位相比較器とを有し、減算式位相比較器を用いて得られる相互作用量の信号をフィードバック回路に供給する。
本発明の一態様の走査型プローブ顕微鏡は、プローブ体と、プローブ体を励振する励振部と、プローブ体の変位信号を検出するセンサと、プローブ体と試料の相互作用に応じて変化する励振信号と変位信号の位相差を一定に保つフィードバック制御を行うフィードバック回路と、励振部による励振を制御する励振信号を生成すると共に、変位信号に基づいて位相差を表す位相差信号をフィードバック制御のために検出する励振及び検出回路とを備え、励振及び検出回路は、励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路と、励振位相信号に基づいて励振信号を生成する励振信号生成回路と、変位信号に基づいて複素信号を生成する複素信号生成回路と、ベクトル演算により複素信号の偏角を計算するベクトル演算回路と、偏角及び励振位相信号の位相比較を減算により行って位相差信号を生成する減算式位相比較器とを有する。
本発明の一態様の走査型プローブ顕微鏡は、プローブ体と、プローブ体を励振する励振部と、プローブ体の変位信号を検出するセンサと、プローブ体と試料の相互作用に応じた変位信号の周波数変化を一定に保つフィードバック制御を行うフィードバック回路と、励振部による励振を制御する励振信号を生成すると共に、変位信号に基づいて周波数変化を表す周波数信号をフィードバック制御のために検出する励振及び検出回路とを備え、励振及び検出回路は、励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路と、励振位相信号に基づいて励振信号を生成する励振信号生成回路と、変位信号に基づいて複素信号を生成する複素信号生成回路と、ベクトル演算により複素信号の偏角を計算するベクトル演算回路と、偏角と励振位相信号及び所定の位相オフセットとの位相比較を減算により行う減算式位相比較器と、発振回路及び減算式位相比較器と共に位相ロックループ回路を形成するループフィルタとを有し、位相ロックループ回路は、偏角と励振位相信号の位相差が所定の位相オフセットに一致するように発振回路を制御し、励振及び検出回路は、位相ロックループにより得られる周波数信号をフィードバック回路に供給する。
本発明の一態様の走査型プローブ顕微鏡は、プローブ体と、プローブ体を励振する励振部と、プローブ体の変位信号を検出するセンサと、プローブ体と試料の相互作用に応じて変化する変位信号の振幅を一定に保つフィードバック制御を行うフィードバック回路と、励振部による励振を制御する励振信号を生成すると共に、変位信号に基づいて振幅を表す振幅信号をフィードバック制御のために検出する励振及び検出回路とを備え、励振及び検出回路は、励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路と、励振位相信号に基づいて励振信号を生成する励振信号生成回路と、変位信号に基づいて複素信号を生成する複素信号生成回路と、複素信号の絶対値を変位信号の振幅信号として計算するベクトル演算回路とを有する。
本発明の一態様は、プローブ体の励振を励振信号によって制御し、プローブ体の変位信号を検出し、変位信号に基づいてプローブ体と試料の相互作用を一定に保つフィードバック制御を行う走査型プローブ顕微鏡の制御方法であって、励振信号の位相を表す励振位相信号を生成し、励振位相信号に基づいて励振信号を生成し、変位信号に基づいて複素信号を生成し、ベクトル演算により複素信号の偏角を計算し、偏角と励振位相信号を減算式位相比較器にて処理し、減算式位相比較器を用いて得られ、相互作用を表す相互作用量を用いてフィードバック制御を行う。
本発明は、探針−試料間の相互作用の検出にて高調波成分が生じるのを回避でき、高調波成分に起因する問題を避けることができる。
本発明一の利点は、高調波成分が生じるのを避けることにより、探針−試料間距離のフィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きくでき、高速で安定した走査型プローブ顕微鏡を提供できることである。
本発明の一の利点は、高調波成分が生じるのを避けることにより、PLLのゲインを大きくでき、より高速なPLL回路を備えた走査型プローブ顕微鏡を提供できることである。
以下に説明するように、本発明には他の態様が存在する。したがって、この発明の開示は、本発明の一部の態様の提供を意図しており、ここで記述され請求される発明の範囲を制限することは意図していない。
図1は、ダイナミックAFMの一般的な構成を示す図である。 図2は、従来のAM−AFM及びPM−AFMに用いられる励振及び検出回路を示す図である。 図3は、FM−AFMの原理を示す図である。 図4は、従来のFM−AFMに用いられる励振及び検出回路を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態に係るAFMの全体構成を示す図である。 図6は、本実施の形態におけるAM−AFM及びPM−AFM用の励振及び検出回路を示す図である。 図7は、本実施の形態におけるFM−AFM用の励振及び検出回路を示す図である。 図8は、発振回路で生成される励振位相信号と励振信号生成回路で生成される励振信号を示す図である。 図9は、本実施の形態に係るFM−AFM用の回路における復調信号振幅/位相−変調周波数特性の測定結果を示す図である。
以下に本発明の詳細な説明を述べる。以下の詳細な説明と添付の図面は発明を限定するものではない。代わりに、発明の範囲は添付の請求の範囲により規定される。
本発明の走査型プローブ顕微鏡(SPM)では、上述したように、励振及び検出回路が、減算式位相比較器を備えており、減算式位相比較器を用いて相互作用量が得られ、その相互作用量がフィードバック制御に用いられる。励振及び検出回路が、相互作用量の検出のために乗算式位相比較器による乗算を行っておらず、乗算による高調波成分が発生しない。したがって、高調波成分に起因する問題を避けることができる。
また、減算式位相比較器は、偏角を励振位相信号と比較することにより、励振信号と変位信号の位相差信号を生成してよく、励振及び検出回路は、相互作用量として位相差信号をフィードバック回路に供給してよい。
この構成では、減算式位相比較器により位相差信号が生成される。乗算式位相比較が用いられず、高調波成分が発生しないので、探針−試料間距離のフィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きくでき、高速で安定したSPMを提供できる。この構成は、例えば、PM−AFMに適している。
また、励振及び検出回路は、発振回路及び減算式位相比較器と共に位相ロックループ回路を形成するループフィルタを有してよく、位相ロックループ回路は、偏角と励振位相信号の位相差が所定の位相オフセットに一致するように発振回路を制御すると共に、位相ロックループにより得られ、変位信号の周波数変化を表す周波数信号を生成してよく、励振及び検出回路は、相互作用量として周波数信号をフィードバック回路に供給してよい。減算式位相比較器は、偏角を励振位相信号及び位相オフセットと減算により比較してよく、ループフィルタは、減算式位相比較器の出力に基づき周波数信号を生成してよく、周波数信号が発振回路にて使われると共に、フィードバック制御に使われてよい。
この構成では、減算式位相比較器を含む位相ロックループ(PLL)回路により周波数信号が生成される。乗算式位相比較による高調波成分が発生しないので、探針−試料間距離のフィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きくでき、高速で安定したSPMを提供することができる。さらには、PLL回路のループゲインを大きくすることができ、より高速なPLL回路を備えたSPMを提供できる。この構成は、例えば、FM−AFMに適している。
また、ベクトル演算回路は、複素信号の絶対値を変位信号の振幅信号として計算してよく、励振及び検出回路は、相互作用量として振幅信号をフィードバック回路に供給してよい。
この構成では、振幅信号が、乗算式位相比較器を使わずに生成される。したがって、探針−試料間距離のフィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きくでき、高速で安定したSPMを提供することができる。この構成は、例えば、AM−AFMに適している。
また、本発明のSPMは、励振及び検出回路の処理前に変位信号の周波数を変換する第1の周波数変換回路と、励振及び検出回路にて生成される励振信号の周波数を変換する第2の周波数変換回路とを有してよく、第2の周波数変換回路は、第1の周波数変換回路と逆の変換を行ってよい。第1の周波数変換回路を処理前変換回路、第2の周波数変換回路を励振周波数変換回路と呼んでよい。
この構成では、励振及び検出回路の処理前に変位信号の周波数が変換される。そして、励振信号に対して、処理前と逆の周波数変換が行われる。したがって、より広い範囲の共振周波数を持つプローブ体に対して励振及び検出回路を適用することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施の形態では、走査型プローブ顕微鏡(SPM)が、原子間力顕微鏡(AFM)である。しかし、本発明はAFMに限定されない。他の種類のSPMに本発明が適用されてよい。
また、プローブ体(probe device)とは、SPMで使われ、探針(プローブ)を含む部品である。本実施の形態では、カンチレバーが探針を備えており、プローブ体に相当する。ただし、カンチレバーのようなプローブ支持体によって探針が支持されないSPMも知られている。このようなSPMにおいては、探針(プローブ)が単独でプローブ体に相当する。例えば、近接場光学顕微鏡(SNOM)では、先端の尖った光ファイバーが探針であり、単独で用いられる。この場合、光ファイバーの探針がプローブ体に相当する。
図5は、AFMの全体的な構成を示している。以下に説明するように、本実施の形態では、AFM1が、AM−AFMモード、PM−AFMモード及びFM−AFMモードで使用可能に構成されており、そして、探針と試料の相互作用量として、振幅信号、位相差信号及び周波数信号を検出可能に構成されている。振幅信号、位相差信号及び周波数信号は、それぞれ、AM−AFMモード、PM−AFMモード及びFM−AFMモードにてフィードバック制御のために用いられる。
図5に示すように、AFM1は、試料を保持する試料ステージ3と、試料に近接して配置されるカンチレバー5とを有する。また、AFM1は、スキャナ7、励振部9、センサ11、励振及び検出回路13、アンプ15、フィードバック回路17及び高圧アンプ19を有する。更に、AFM1は、AFM全体を制御するコンピュータ21と、モニタ23とを有する。
試料ステージ3は、スキャナ7に取り付けられている。スキャナ7は、アクチュエータとしてピエゾ素子(圧電素子)を有するピエゾスキャナであり、試料ステージ3をX、Y、Z方向に動かして、試料をカンチレバー5に対して相対的に走査する。XY方向は、水平面上で直交する方向である。Z方向は鉛直方向であり、試料の凹凸方向(高さ方向)である。カンチレバー5(プローブ体)は、シリコン製であり、自由端に探針(プローブ)を有している。カンチレバー5は、励振部9により励振される。励振部9は、ピエゾ素子で構成されたアクチュエータである。ただし、スキャナ7及び励振部9はピエゾアクチュエータに限定されない。例えば、磁気又は光を用いた構成も走査及び励振に適用可能である。
センサ11は、カンチレバー5の変位を検出する。典型的には、センサ11は、レーザユニットと共に光てこ式の変位センサとして機能する。レーザ光は、レーザユニットから照射され、カンチレバー5で反射してセンサ11に到達する。センサ11は、フォトダイオードで構成された分割ダイオードセンサであり、カンチレバー5の変位を表す変位信号を出力する。レーザ光の受光位置が変位信号として好適に検出される。変位信号は、励振及び検出回路13に入力される。図では、センサに関連したレンズ等の光学系の構成は省略されている。
励振及び検出回路13は、DSP等で構成されるデジタル回路である。励振及び検出回路13は、励振制御回路と相互作用検出回路を合わせた構成に相当し、カンチレバー5の励振制御機能と、探針−試料間の相互作用量の検出機能とを有している。本発明の特徴的な構成は、後述するように、励振及び検出回路13に設けられる。
励振及び検出回路13は、カンチレバー5を励振するための励振信号を生成及び出力することにより、励振制御を行う。励振信号がアンプ15で増幅されて、励振部9に供給される。そして、励振部9が励振信号に応じてカンチレバー5を励振する。
また、励振及び検出回路13は、探針−試料間の相互作用量を、センサ11から入力される変位信号に基づいて検出する。相互作用量は、カンチレバー5と試料の相互作用の大きさを表すパラメータである。励振及び検出回路13は、相互作用量の信号として、振幅信号、位相差信号及び周波数信号を検出可能に構成されている。励振及び検出回路13は、コンピュータ13の制御下で、これら3種の信号の一つをフィードバック信号としてフィードバック回路17に出力する。ただし、本発明の範囲内で、励振及び検出回路13は、上記3種の信号の少なくとも一つを生成及び出力するように構成されてよい。
フィードバック回路17は、励振及び検出回路13から入力されるフィードバック信号に基づいてフィードバック制御を行う。フィードバック制御は、フィードバック信号が一定になるようにスキャナ7をZ方向に駆動することにより、カンチレバー5と試料の相互作用を一定に保つ制御である。フィードバック制御により、試料とカンチレバー5の距離も一定に保たれる。このようなZ方向のフィードバック制御は、Z走査ともいわれる。
フィードバック回路17は、例えばPI制御回路で構成されており、予め設定された目標値とフィードバック信号が一致するようにZ方向の操作信号を生成する。この操作信号は、スキャナ7をZ方向に駆動するための制御信号であり、高圧アンプ19に供給され、スキャナ駆動に使用される。スキャナ7が操作信号に従って試料ステージ3をZ方向に動かし、その結果、試料とカンチレバー5の相互作用が一定に保たれる。
コンピュータ21は、AFM1の全体を制御する。コンピュータ21は、例えばパーソナルコンピュータであってよく、AFM制御用のボードがコンピュータ21に搭載されてよく、このボードに励振及び検出回路13が搭載されてよい。
コンピュータ21は、AFM1の動作モードを、AM−AFMモード、PM−AFMモード又はFM−AFMモードの間で切替可能である。
AM−AFMモードでは、コンピュータ21は、励振及び検出回路13に振幅信号を出力させる。また、コンピュータ21は、フィードバック回路17に振幅目標値を供給し、AM−AFMに適応したフィードバック制御を行わせる。
同様に、PM−AFMモードでは、コンピュータ21は、励振及び検出回路13に位相差信号を出力させる。また、コンピュータ21は、フィードバック回路17に位相差目標値を供給し、PM−AFMに適応したフィードバック制御を行わせる。
さらに、FM−AFMモードでは、コンピュータ21は、励振及び検出回路13に周波数信号を出力させる。また、コンピュータ21は、フィードバック回路17に周波数信号の目標値を供給し、FM−AFMに適応したフィードバック制御を行わせる。
また、コンピュータ21は、高圧アンプ19を介してスキャナ7を制御し、XY方向の走査を行わせる。また、コンピュータ21は、ユーザインターフェース機能も提供する。ユーザの各種の指示がコンピュータ21に入力され、コンピュータ21はユーザの入力に従ってAFM1を制御する。動作モードの指示もユーザにより入力される。さらに、コンピュータ21は、試料表面の画像を生成してモニタ23に出力する。
次に、AFM1の全体的な動作を説明する。スキャナ7は、コンピュータ21により制御されて、XY方向に試料ステージ3を走査する。XY方向の走査中、励振及び検出回路13は、アンプ15を介して励振部9に励振信号を供給することにより、カンチレバー5を共振周波数またはその近傍の周波数で振動させる。
XY方向の走査中、カンチレバー5の変位がセンサ11により検出される。そして、センサ11の検出信号が励振及び検出回路13で処理されて、振幅信号、位相差信号又は周波数信号が、フィードバック信号としてフィードバック回路17に供給される。フィードバック回路17は、フィードバック信号を一定に保つようにスキャナ7をZ方向に駆動する操作信号を生成する。スキャナ7は操作信号に従って試料ステージ3をZ方向に移動させる。こうしてフィードバック信号が一定に保たれ、カンチレバー5と試料の距離も一定に保たれる。
このようにして、カンチレバー5と試料の距離を一定に保ちながら、XY走査が行われる。フィードバック制御におけるZ方向の操作信号は、コンピュータ21にも供給される。このZ方向の操作信号は、試料のZ方向の高さに対応している。また、試料上のXY方向の位置は、コンピュータ21により制御されている。コンピュータ21は、XY走査の制御データと、入力されるZ方向の操作信号とに基づいて、試料表面の画像を生成してモニタ23に表示する。3次元画像が好適に生成され、表示される。
以上に、AFM1の全体的な構成と動作について説明した。上述のAFM1では、センサ11、励振及び検出回路13、フィードバック回路17等の構成により、探針−試料間距離制御のフィードバックループが構成されている。
次に、図6及び図7を参照し、本発明の特徴的な構成である励振及び検出回路13について説明する。図6は、AM−AFMモード及びPM−AFMモードでAFM1を動作させるための構成であり、振幅信号及び位相差信号を生成する。図7は、FM−AFMモードでAFM1を動作させるための回路であり、周波数信号を生成する。本実施の形態では、図6及び図7の両方の構成が、励振及び検出回路13に備えられる。そして、コンピュータ21の制御下で、動作モードに応じて振幅信号、位相差信号及び周波数信号の一つを出力するように、励振及び検出回路13の出力が切り替えられる。
まず、図6を参照し、AM−AFMモード及びPM−AFMモードのための回路を説明する。図6に示すように、励振及び検出回路13は、励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路31と、励振位相信号から励振信号を生成する励振信号生成回路33と、変位信号から複素信号を生成する複素信号生成回路35と、ベクトル演算により複素信号の絶対値及び偏角を計算するベクトル演算回路37と、偏角及び励振位相信号の位相比較を減算により行う減算式位相比較器39とを有する。
発振回路31は、励振周波数fで変化する励振位相信号2πftを生成する。励振位相信号は、励振信号の位相を表す信号であり、励振信号生成回路33及び減算式位相比較器39に入力される。励振信号生成回路33は、励振位相信号2πftを励振信号cos(2πft)へと変換する。図8は、発振回路31で生成される励振位相信号2πftと、励振信号生成回路33で生成される励振信号cos(2πft)を示している。
発振回路31及び励振信号生成回路33についてより詳細に説明する。発振回路31は、デジタルVCO(電圧制御発振器)で構成されている。発振回路31には、信号2πfTが入力される。Tはサンプリング周期である。図6の回路に示されるように、デジタルVCOは入力2πfTを累積するループ41を有しており、信号が順次加算され、増大する。この信号は、モジュロ演算回路43により処理される。モジュロ演算回路43は、入力値をπで除算して、余りを出力する。モジュロ演算回路43により、出力範囲が[−π,π]へと制限される。その結果、図8の上部に示されるように、励振位相信号2πftは、−πからπへの直線状の増加を周期的に繰り返す波形を有する。
励振信号生成回路33は、余弦関数回路で構成されている。励振及び検出回路13は、位相に対する正弦波の出力値をルックアップテーブルの形式で保有している。ルックアップテーブルが励振信号生成回路33により参照されて、テーブルの離散的な値が補間され、励振信号cos(2πft)が得られる。その結果、図8に示されるように、励振信号cos(2πft)は、位相が励振位相信号2πftに相当する余弦波信号になる。
図6に戻り、複素信号生成回路35は、遅延回路45及び90°移相回路47(例えばヒルベルト変換回路)を有する。カンチレバー5の変位信号Acos(2πft+φ)は、遅延回路45及び90°移相回路47の双方に入力される。90°移相回路47は、90°位相を遅らせた信号Y=Asin(2πft+φ)を出力する。遅延回路45は、90°移相回路47と同じ時間だけ遅延した信号X=Acos(2πft+φ)を出力する。これら信号X、Yが複素信号に相当する。
複素信号X、Yは、ベクトル演算回路37に入力される。ベクトル演算回路37は、複素信号X+jYの絶対値Rと偏角θを計算及び出力する。絶対値Rは、(X+Y1/2であり、偏角θは、tan−1(Y/X)である。絶対値Rは、変位信号の振幅Aであり、そのまま振幅信号として出力される。
一方、偏角θは、減算式位相比較器39へと入力される。また、減算式位相比較器39は、発振回路31から励振位相信号2πftを入力される。減算式位相比較器39では、偏角θが励振位相信号2πftと減算により比較される。より詳細には、図示のように、減算式位相比較器39が減算回路49及びモジュロ演算回路51を有する。減算回路49が、偏角θと励振位相信号2πftにおける位相の差を求める(φ=θ−2πft)。さらに、減算回路49の出力は、モジュロ演算回路51により処理される。モジュロ演算回路51は、入力値をπで除算して、余りを出力することにより、出力範囲を[−π,π]へと制限する。
このようにして、減算式位相比較器39は、偏角θと励振位相信号2πftに対して、減算による位相比較を行う。減算式位相比較器39の比較結果は、励振信号と変位信号の位相差φに相当し、位相差信号として出力される。
次に、FM−AFMモードについて説明する。ここでは、図7の回路構成の説明の前に、図3を再び参照して、FM−AFMの原理を簡単に繰り返しておく。図3に示されるように、カンチレバーの共振周波数fは、カンチレバーと試料の相互作用により変化する(上側のグラフのΔf)。また、カンチレバーが共振周波数で振動するときは、励振信号と変位信号の位相差φが90°である(下側のグラフ)。そこで、FM−AFMは、位相ロックループ(PLL)回路を用いて、位相差φが目標値φ0=90°に一致するように励振信号を制御する。励振制御を行いながら、共振周波数変化Δfが検出される。そして、共振周波数変化Δfを一定に保つようにフィードバック制御が行われる。このようなFM−AFMの原理を踏まえ、図7の回路構成を説明する。
図7に示すように、励振及び検出回路13は、概略的には、励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路61と、励振位相信号から励振信号を生成する励振信号生成回路63と、変位信号から複素信号を生成する複素信号生成回路65と、ベクトル演算により複素信号の偏角を計算するベクトル演算回路67と、減算式位相比較器69と、減算式位相比較器69の出力に基づいて発振回路61を制御するループフィルタ71とを有する。発振回路61、減算式位相比較器69及びループフィルタ71はPLL回路を構成している。PLL回路は、偏角と励振位相信号の差が所定の位相オフセット(位相差目標値)に一致するように発振回路61を制御すると共に、PLL制御により得られ、変位信号の周波数変化を表す周波数信号を生成する。したがって、上記構成によりFM−AFMの励振制御と周波数検出が実現される。以下、図7の構成についてさらに詳細に説明する。
図7の複素信号生成回路65は、図6の複素信号生成回路35と同様の構成である。複素信号生成回路65は、遅延回路81及び90°移相回路83を有する。カンチレバー5の変位信号Acos(2πft+φ)は、遅延回路81及び90°移相回路83の双方に入力される。90°移相回路83は、90°位相を遅らせた信号Y=Asin(2πft+φ)を出力する。遅延回路81は、90°移相回路83と同じ時間だけ遅延した信号X=Acos(2πft+φ)を出力する。これら信号X、Yが複素信号に相当する。
複素信号X、Yは、ベクトル演算回路67に入力される。ベクトル演算回路67は、複素信号X+jYの偏角θを計算及び出力する。偏角θは、tan−1(Y/X)である。ベクトル演算回路67は、図6のベクトル演算回路37と同様の構成であるが、FM−AFMに必要な偏角θのみを計算している。ただし、本発明の範囲内で、ベクトル演算回路67が複素信号の絶対値も計算してよいことはもちろんである。
偏角θは、ベクトル演算回路67から減算式位相比較器69へ入力される。減算式位相比較器69には、さらに、発振回路61から励振位相信号2πftが入力され、また、位相オフセットφ0が入力される。位相オフセットφ0は、既に説明した通り、励振信号と変位信号の位相差の目標値であり、90°に設定される。
減算式位相比較器69は、偏角θと、励振位相信号2πft及び位相オフセットφ0との位相比較を減算により行う。偏角θから励振位相信号2πftを減算した値は、励振信号と変位信号の位相差φに相当する(φ=θ−2πft)。減算式位相比較器69は、位相差φからさらに位相オフセットφ0を減算した値Δφを求める(Δφ=θ−2πft−φ0=φ−φ0)。したがって、比較器出力Δφは、位相差φと位相オフセットφ0の差を表す。
比較器出力Δφはループフィルタ71に入力される。ループフィルタ71は、出力2πΔfTを発振回路61へ送る(Tは入出力信号のサンプリング周期)。ループフィルタ71は、比較器出力Δφがゼロになるように出力2πΔfTを調整する。発振回路61は、入力2πΔfTの変化に応じて、出力である励振位相信号2πftの発信周波数fを変化させる。発振周波数fは、自走周波数f0(入力が0のときの発振周波数)に対してΔfだけ変化する。
図7の構成では、発振回路61、減算式位相比較器69及びループフィルタ71によりPLL回路が構成されている。そして、変位信号と励振信号の周波数が一致するよう、すなわち、f=f0+Δfとなるよう、Δfの値が変化する。したがって、ループフィルタ71の出力値2πΔftは、変位信号の周波数変化に比例する。この信号が、周波数信号として出力される。
また、位相オフセットφ0の値を変化させることにより、変位信号と励振信号の位相差を調整することができる。図3を参照して説明したように、FM−AFMでは、位相オフセットφ0が90°に設定される。これにより、位相差φが90°に保たれ、カンチレバーが共振周波数で振動する。カンチレバーと試料の相互作用によって共振周波数が変化しても、カンチレバーは共振周波数で振動し続ける。したがって、周波数信号は、カンチレバーの共振周波数変化(シフト)Δfを表す値になり、この周波数信号がフィードバック制御に用いられる。
図7の減算式位相比較器69、ループフィルタ71、発振回路61及び励振信号生成回路63についてより詳細を説明する。減算式位相比較器69は、減算回路85及びモジュロ演算回路87を有する。減算回路85は、減算による位相比較を行い、偏角θから励振位相信号2πft及び位相オフセットφ0を引いた値を求める。減算結果はモジュロ演算回路87に入力される。モジュロ演算回路87は、入力値をπで除算して、余りを出力し、これにより、比較器出力Δφの範囲を[−π,π]へと制限する。
ループフィルタ71は、上述にて説明したように、比較器出力Δφがゼロになるように、出力2πΔfTを制御する。この制御を実現するために、ループフィルタ71は、比較器出力Δφにゲインを掛けた値と(符号89)、比較器出力Δφの積分値にゲインを掛けた値(符号91)を生成し、これらの値を加算器93にて加算する。上記において、比較器出力Δφは、位相差φと位相オフセットφ0の差を表している。ループフィルタ71は、比較器出力Δφをゼロにするように比例及び積分の処理を行っている。したがって、減算式位相比較器69とループフィルタ71が、PI制御回路として機能し、位相差φを位相オフセットφ0と一致させているといえる。そして、ループフィルタ71の出力2πΔfTが、変位信号の周波数変化に比例しており、周波数信号として用いられる。
発振回路61はデジタルVCO(電圧制御発振器)で構成されている。発振回路61には、自走周波数f0に対応する信号2πf0Tが入力され、またループフィルタ71の出力2πΔftが入力される。2πf0tと2πΔftが加算器95で加算されて、加算器95の出力がループ97にて累積される。この累積信号は、モジュロ演算回路99により処理される。モジュロ演算回路99は、入力値をπで除算して、余りを出力し、これにより、出力範囲を[−π,π]へと制限する。
発振回路61の出力である励振位相信号2πftは、図8で示したように、−πからπへの直線状の増加を周期的に繰り返す波形を有する。ただし、周波数fが、f0+Δfになる。励振位相信号2πft(=2π(f0+Δf)t)は、減算式位相比較器69及び励振信号生成回路63に供給される。励振信号生成回路63は、図6の励振信号生成回路33と同様の構成であり、余弦関数回路である。励振信号生成回路63は、位相に対する正弦波の出力値を規定するルックアップテーブルを参照し、テーブルの離散的な値を補間し、励振信号cos(2πft)を生成する。
以上に図6及び図7を参照し、本発明の特徴的な構成を説明した。次に、本発明の構成を従来技術と比較し、相違点を説明する。まず、図6の回路を図2の従来技術の回路と比較する。図2の従来技術は、変位信号から複素信号を生成するときに、励振信号を参照信号として用いて、励振信号の位相成分を除去している。この処理において乗算が行われる。
本発明は、励振信号を参照信号として用いることなく、変位信号から複素信号を直接生成し、複素信号をベクトル演算により処理する。この場合でも、複素信号の絶対値は、そのまま振幅信号として利用できる。
また、励振信号の位相成分が複素信号から除去されていないので、ベクトル演算結果の偏角は、変位信号と励振信号との位相差だけでなく、励振信号の位相をもいまだに含んでいる。励振信号の位相は、発振回路13の励振位相信号の位相に相当する。そこで、本発明は、減算式位相比較器39を使って、偏角と励振位相信号の減算比較を行い、偏角から励振信号の位相を除去する。減算処理により、変位信号と励振信号の位相差φが残る。
本発明の処理は、上記のように複素信号の生成の際に乗算が行われないので、乗算を必要とする従来技術と比べて有利である。既に説明したように、従来技術では、変位信号と励振信号の乗算の時に、不要な高調波成分が生じる。この高調波成分混入した信号が、AFMの探針−試料間距離制御のフィードバックループ内で処理される。この場合、高調波成分が持つ周波数で発振が生じるのを避けるために、フィードバックゲインを小さい値に制限する必要がある。このことが、従来は、高速かつ安定したフィードバック制御を実現を妨げる要因になる。これに対して、本発明の構成では、乗算の代わりに、減算式位相比較器39にて位相比較が行われる。したがって、フィードバックゲインを大きくして、高速かつ安定したフィードバック制御を実現できる。
図7の回路も、図6の回路と同様に、減算式位相比較器を用いることにより、乗算を廃止しており、乗算により生じる高周波成分の問題を回避できる。特に、FM−AFMの場合、Z走査のフィードバックゲインを大きくできるだけでなく、PLL回路にとっても有利である。この点について下記に更に説明する。
AM−AFM及びPM−AFMと異なり、FM−AFM用の回路ではPLL回路が用いられる。従来技術では、高周波成分がPLL回路のループ内で発生する。この高調波成分はLPFでも完全に除去することはできない。特に、LPFはPLL内に存在するので、PLLの応答特性と独立にLPFの設計をすることができないという制約もある。そのため、高調波成分の除去はAM−AFM及びPM−AFMの場合よりもさらに困難なものとなる。この残留高周波成分は、PLLのゲインを大きくした場合に、残留高調波成分の周波数でPLL回路を発振させる。そのため、従来はPLLのゲインが制限され、高速かつ安定した周波数検出ができない。一方、本発明では、高周波成分が生じないので、より高速なPLL回路を構成することができ、高速かつ安定した周波数検出ができる。
図9は、図7のFM−AFM用の構成における復調信号振幅/位相−変調周波数特性の測定結果を示している。図示のように、100Hzから100kHzという広い帯域にわたって復調信号の振幅はほぼ一定であり、100kHz以上の復調帯域が得られていることが分かる。FM−AFMではフィードバックループ内に検出器を組み込むため、そこでの遅延時間がフィードバック帯域に影響を与える。この点に関しても、図9では、位相遅れが100kHzで約40°であり、遅延時間は約1.1μsになる。これらの特性は、従来のPLLデジタル回路より大幅に改善されている。
次に、本実施の形態のAFM1の応用例を説明する。AFM1は、励振及び検出回路13の処理前に変位信号の周波数を変換する第1の周波数変換回路と、励振及び検出回路13により生成される励振信号の周波数を変換する第2の周波数変換回路とを有してよい。第2の周波数変換回路は、第1の周波数変換回路と逆の変換を行ってよい。第1の周波数変換回路を処理前周波数変換回路と呼び、第2の周波数変換回路を励振周波数変換回路と呼んでよい。第1及び第2の周波数変換回路の各々は、励振及び検出回路の中に設けられてもよく、励振及び検出回路の外に設けられてもよい。第1及び第2の周波数変換回路は、ヘテロダイン周波数変換器でよい。
上記のように第1及び第2の周波数変換回路は、逆の変換を行う。周波数変換は、例えば加算及び減算である。変位信号に対して所定の周波数の加算又は減算が行われ、励振信号に対して同じ周波数の減算又は加算が行われる。ただし、周波数変換は加算及び減算に限定されない。このような周波数変換を行うことにより、広い範囲の共振周波数を持つカンチレバーに対して励振及び検出回路を適用できる。励振及び検出回路13が固定周波数のデジタル回路であっても、いろいろな共振周波数のカンチレバーを使うことができる。
以上に説明したように、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、減算式位相比較器を備えており、減算式位相比較器を用いて得られる相互作用量がフィードバック制御に用いられる。従来のように乗算式位相比較による乗算が行われず、乗算による高調波成分の発生がない。したがって、高調波成分に起因する問題を避けることができる。
例えば、図6の構成は、高調波成分が生じるのを避けられるので、探針−試料間距離のフィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きくでき、高速で安定した走査型プローブ顕微鏡を提供できる。
また例えば、図7の構成は、フィードバックゲインを大きくできるだけでなく、PLLのゲインを大きくできる。したがって、より高速なPLL回路を備えた走査型プローブ顕微鏡を提供できる。
以上に現時点で考えられる本発明の好適な実施の形態を説明したが、本実施の形態に対して多様な変形が可能なことが理解され、そして、本発明の真実の精神と範囲内にあるそのようなすべての変形を添付の請求の範囲が含むことが意図されている。
以上のように、本発明にかかる原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡として有用である。

Claims (9)

  1. プローブ体と、
    前記プローブ体を励振する励振部と、
    前記プローブ体の変位信号を検出するセンサと、
    前記プローブ体と試料の相互作用を一定に保つフィードバック制御を行うフィードバック回路と、
    前記励振部による励振を制御する励振信号を生成すると共に、前記変位信号に基づいて前記相互作用を表す相互作用量を前記フィードバック制御のために検出する励振及び検出回路とを備え、
    前記励振及び検出回路は、
    前記励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路と、
    前記励振位相信号に基づいて前記励振信号を生成する励振信号生成回路と、
    前記変位信号に基づいて複素信号を生成する複素信号生成回路と、
    ベクトル演算により前記複素信号の偏角を計算するベクトル演算回路と、
    前記偏角及び前記励振位相信号の位相比較を減算により行う減算式位相比較器とを有し、
    前記減算式位相比較器を用いて得られる前記相互作用量の信号を前記フィードバック回路に供給することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  2. 前記減算式位相比較器は、前記偏角を前記励振位相信号と比較することにより、前記励振信号と前記変位信号の位相差信号を生成し、前記励振及び検出回路は、前記相互作用量として前記位相差信号を前記フィードバック回路に供給することを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 前記励振及び検出回路は、前記発振回路及び前記減算式位相比較器と共に位相ロックループ回路を形成するループフィルタを有し、前記位相ロックループ回路は、前記偏角と前記励振位相信号の位相差が所定の位相オフセットに一致するように前記発振回路を制御すると共に、位相ロックループにより得られ、前記変位信号の周波数変化を表す周波数信号を生成し、前記励振及び検出回路は、前記相互作用量として前記周波数信号を前記フィードバック回路に供給することを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 前記減算式位相比較器は、前記偏角を前記励振位相信号及び前記位相オフセットと減算により比較し、前記ループフィルタは、前記減算式位相比較器の出力に基づき前記周波数信号を生成し、前記周波数信号が前記発振回路にて使われると共に、前記フィードバック制御に使われることを特徴とする請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  5. 前記ベクトル演算回路は、前記複素信号の絶対値を前記変位信号の振幅信号として計算し、前記励振及び検出回路は、前記相互作用量として前記振幅信号を前記フィードバック回路に供給することを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  6. 前記励振及び検出回路の処理前に前記変位信号の周波数を変換する第1の周波数変換回路と、前記励振及び検出回路にて生成される前記励振信号の周波数を変換する第2の周波数変換回路とを有し、前記第2の周波数変換回路は、前記第1の周波数変換回路と逆の変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  7. プローブ体と、
    前記プローブ体を励振する励振部と、
    前記プローブ体の変位信号を検出するセンサと、
    前記プローブ体と試料の相互作用に応じて変化する前記励振信号と前記変位信号の位相差を一定に保つフィードバック制御を行うフィードバック回路と、
    前記励振部による励振を制御する励振信号を生成すると共に、前記変位信号に基づいて前記位相差を表す位相差信号を前記フィードバック制御のために検出する励振及び検出回路とを備え、
    前記励振及び検出回路は、
    前記励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路と、
    前記励振位相信号に基づいて前記励振信号を生成する励振信号生成回路と、
    前記変位信号に基づいて複素信号を生成する複素信号生成回路と、
    ベクトル演算により前記複素信号の偏角を計算するベクトル演算回路と、
    前記偏角及び前記励振位相信号の位相比較を減算により行って前記位相差信号を生成する減算式位相比較器とを有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  8. プローブ体と、
    前記プローブ体を励振する励振部と、
    前記プローブ体の変位信号を検出するセンサと、
    前記プローブ体と試料の相互作用に応じた前記変位信号の周波数変化を一定に保つフィードバック制御を行うフィードバック回路と、
    前記励振部による励振を制御する励振信号を生成すると共に、前記変位信号に基づいて前記周波数変化を表す周波数信号を前記フィードバック制御のために検出する励振及び検出回路とを備え、
    前記励振及び検出回路は、
    前記励振信号の位相を表す励振位相信号を生成する発振回路と、
    前記励振位相信号に基づいて前記励振信号を生成する励振信号生成回路と、
    前記変位信号に基づいて複素信号を生成する複素信号生成回路と、
    ベクトル演算により前記複素信号の偏角を計算するベクトル演算回路と、
    前記偏角と前記励振位相信号及び所定の位相オフセットとの位相比較を減算により行う減算式位相比較器と、
    前記発振回路及び前記減算式位相比較器と共に位相ロックループ回路を形成するループフィルタとを有し、前記位相ロックループ回路は、前記偏角と前記励振位相信号の位相差が前記所定の位相オフセットに一致するように前記発振回路を制御し、前記励振及び検出回路は、位相ロックループにより得られる前記周波数信号を前記フィードバック回路に供給することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  9. プローブ体の励振を励振信号によって制御し、前記プローブ体の変位信号を検出し、前記変位信号に基づいて前記プローブ体と試料の相互作用を一定に保つフィードバック制御を行う走査型プローブ顕微鏡の制御方法であって、
    前記励振信号の位相を表す励振位相信号を生成し、
    前記励振位相信号に基づいて前記励振信号を生成し、
    前記変位信号に基づいて複素信号を生成し、
    ベクトル演算により前記複素信号の偏角を計算し、
    前記偏角と前記励振位相信号を減算式位相比較器にて処理し、
    前記減算式位相比較器を用いて得られ、前記相互作用を表す前記相互作用量を用いて前記フィードバック制御を行うことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡の制御方法。
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