JP5544392B2 - 銅−リン−ストロンチウムのブレージング合金 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレージング合金に関し、具体的には銅(Cu)、リン(P)、ストロンチウム(Sr)からなり、それにインジウム(In)、ホウ素(B)、銀(Ag)、錫(Sn)、セシウム(Cs)、ゲルマニウム(Ge)およびニッケル(Ni)のうちのいずれか一つの元素をさらに含んで構成され得るブレージング合金に関する。
ブレージング(brazing)とは、金属(基材:base metal)より融点が低い別途の金属または合金を溶かした状態で母材に損傷のない程度の熱を加えて、二つの母材を接合する技術を称する。
このようなブレージングは、銀が含まれているブレージング合金を利用して接合(ハンダ付け)作業をすることになり、このようなハンダ付け作業は冷暖房装置などの多様な産業分野で重要な手段として用いられてきた。例えば、典型的な冷暖房装置や冷蔵設備の配管設備などで広く用いられている。
また、ハンダ付けは銅管に銅管部品または黄銅部品を結合するのに使われており、作業温度によりブレージング(硬ハンダ付け)とソルダリング(軟ハンダ付け)に区分される。特にブレージングは約400〜900℃の作業温度で母材を溶すことなく金属をくっつける方法であり、二つの金属の間に強くて隙間のない溶着結合を形成する接合方法である。したがって、ブレージングは同種または類似の金属、異種金属の間の結合、太い部分と細い部分の結合や融点が大きく異なる金属の間の結合に多様に使われる。
特に、黄銅材の溶接においては、作業温度が高くなったり作業時間が長くなると、黄銅表面で脱亜鉛現象が発生するようになり、これによってスケールが形成され得る。このように形成されたスケールは溶接材の流れを塞ぐため、フラックス補助剤(例えば、ガスフラックス、塩化物、フッ化物、ホウ素化合物など)を使って、溶接中に酸化物を除去しなければならない、という問題があった。
現在は、このような問題を解決するための合金成分として、銀(Ag)が不可避に用いられている。特に配管溶接分野の場合には、黄銅付属の溶接時に溶接材として0.5〜30重量%の銀(Ag)を含有したものを使っており、銀(Ag)を添加する理由は融点を低くしつつ、黄銅表面での流れ性(flow−ability)、湿潤性(wet−ability)および接着性を向上させるためである。
しかし、銀(Ag)は高価の貴金属であり、今後電子産業の発展推移などを考慮すると、その価格は継続して上昇するものと予想される。したがって、経済的な側面では高価の銀(Ag)を全く使わないか、または銀(Ag)の含量を最小化する必要性があり、溶接性の側面ではブレージング合金のセルフフレキシング(self fluxing)機能および金属間の親和力をより一層向上させることができるブレージング合金が必要となった。
上記のように銀(Ag)の含有を最小化しようとする必要に応じて、本出願人は「ブレージング合金」を2009年に出願して、登録(韓国特許登録番号:10−0946936号)を受け、実施しており、登録を受けたブレージング方法以外にも銀を最小化するためにあらゆる努力と方案を工夫しているうちに、さらに本発明を出願するようになったのである。
本発明は、上述した問題点を解決するために発明されたものであって、その目的は銀(Ag)を含まないか、または銀(Ag)の含量を僅少にして、経済性がありながら、従来の銀(Ag)を含むブレージング合金と同一またはより優れた溶接性を示す、銅(Cu)、リン(P)、ストロンチウム(Sr)からなり、それにインジウム(In)、ホウ素(B)、銀(Ag)、錫(Sn)、セシウム(Cs)、ゲルマニウム(Ge)およびニッケル(Ni)からなる群から選ばれた1種以上の元素をさらに含むブレージング合金を提供することにある。
上述した技術的課題を達成するために、本発明は、リン(P)5.0〜7.5重量%、ストロンチウム(Sr)0.01〜5.0重量%を含み、残部は銅(Cu)からなることを特徴とする。
一実施態様において、上記合金に、インジウム(In)0.01〜3.0重量%、ホウ素(B)0.001〜0.5重量%、銀(Ag)0.5〜5.0重量%、錫(Sn)0.5〜5.0重量%、セシウム(Cs)0.01〜0.1重量%、ゲルマニウム(Ge)0.01〜0.1重量%、ニッケル(Ni)0.01〜0.1重量%からなる群から選ばれた1種以上の元素を含むことを特徴とする。
本発明のブレージング合金によると、既存の合金元素とは異なり、銅(Cu)、リン(P)、ストロンチウム(Sr)からなり、それにインジウム(In)、ホウ素(B)、銀(Ag)および錫(Sn)からなる群から選ばれた1種以上の元素を合金成分としてさらに含むことによって、銀(Ag)を全く含まないか、または既存の銀(Ag)を含むブレージング合金に比べて、銀(Ag)の含量を格段に低くすることによって、製造コストを下げると共に上記の効果と同一またはさらに優れた溶接性を提供する大きな効果がある。
本発明を十分に理解するために本発明の好ましい実施態様を説明する。本発明の実施態様は色々な形態に変形され得、本発明の範囲が以下に詳細に説明する実施態様に限定されると解釈されてはならない。本実施態様は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。また、本発明の要旨を不必要に紛らわすものと判断される公知機能および構成に関する詳細な技術は省略する。
以下、本発明の好ましい実施態様を説明することによって、本発明のブレージング合金を詳細に説明する。
本発明の一実施態様に係るブレージング合金は銅(Cu)を中心元素とするCu−P−Sr3員合金である。以下、各合金成分の役割を説明する。
リン(P)は活性が非常に強い物質であり、銅(Cu)の液相線を715〜800℃まで顕著に落とす役割をする。また、リン(P)は銅(Cu)表面の酸化物と容易に結合して、セルフフラックス機能を果たす。
本発明に係るブレージング合金のリン(P)の含量は5.0〜7.5重量%である。リン(P)の含量が5.0重量%未満の場合には、フラックス機能が微弱であり、7.5重量%を超過する場合には、脆性を誘発するからである。
ストロンチウム(Sr)は溶接性の向上のために添加する合金元素であり、カラーテレビの映像管用ガラスの製作に用いられ、フェライト磁石の製造と亜鉛の精製過程にも用いられる物質である。また、ストロンチウム(Sr)は黄銅表面で浸透および拡散が非常に速い元素であるため、溶接時に溶接材を短時間内に拡散させる役割をする。
本発明に係るブレージング合金のストロンチウム(Sr)の含量は0.01〜5.0重量%である。ストロンチウム(Sr)の含量が0.01重量%未満の場合には、溶接性の向上が微弱であり、5.0重量%を超過する場合には、インジウム酸化被膜が形成され、溶接時の流れ性が低下するからである。
本発明の他の実施形態に係るブレージング合金は、銅(Cu)、リン(P)、ストロンチウム(Sr)以外にインジウム(In)、ホウ素(B)、銀(Ag)、錫(Sn)、セシウム(Cs)、ゲルマニウム(Ge)およびニッケル(Ni)からなる群から1種以上の元素をさらに含み得る。
インジウム(In)はブレージング合金の融点を低くして、流れ性を改善し、内部靭性を増加させる合金成分である。
本発明に係るブレージング合金のインジウム(In)の含量は0.01〜3.0重量%である。インジウム(In)の含量が0.01重量%未満の場合には、流れ性の改善効果が微弱であり、3.0重量%を超過する場合には、インジウム酸化被膜が形成され、溶接時の流れ性が低下するからである。
ホウ素(B)は黄銅表面での浸透拡散力を増加させ、凝固時に溶接応力および収縮孔によるボイド(void)の発生を防ぐために添加する合金成分である。
本発明に係るブレージング合金のホウ素(B)の含量は0.001〜0.5重量%である。ホウ素(B)の含量が0.001重量%未満の場合には、ボイド抑制効果が微弱であり、0.5重量%を超過する場合には、融点が上昇すると同時に流れ性が低下するからである。
銀(Ag)はブレージング合金元素の中で最も有用でかつ重要な元素であって、融点を低くして、湿潤性、加工性などを向上させる。銀(Ag)そのものでは耐食性、電気伝導度、熱伝導度などに優れており、他の元素と結合すると強度が向上する特徴がある。また、銀(Ag)合金は溶融状態で浸透力に優れているため、靭性に優れた接合面を得ることができる。ただ、費用的な問題があるため、通常、銀(Ag)の含量は0.5〜30重量%程度である。
本発明に係るブレージング合金の銀(Ag)の含量は0.5〜15.0重量%である。銀(Ag)の含量が0.5重量%未満の場合には、流れ性および溶接性などの改善効果がほとんどみられず、15.0重量%を添加した場合には、通常、30重量%の銀(Ag)を含有した溶接材と同一の特性をみせるからである。
錫(Sn)は融点が非常に低く、ブレージング合金の融点を低下させる添加元素である。また、溶融ブレージング合金の流動度、湿潤性、浸透力などを向上させる。
本発明に係るブレージング合金の錫(Sn)の含量は0.5〜5.0重量%である。錫(Sn)の含量が0.5重量%未満の場合には、流れ性および溶接性などの改善効果がほとんどみられず、5.0重量%を超過する場合には、低温脆性が誘発されるからである。
セシウム(Cs)は石油ボーリング、原子時計、種々の光および電子装置などにも用いられる元素であり、アークを安定させる成分である。
本発明に係るブレージング合金のセシウム(Cs)の含量は0.01〜0.1重量%である。逆極性および正極性が用いられて、アークを安定させ、スパッタ水準を減少させ、高品質の溶接効果を示す。
ゲルマニウム(Ge)は半導体工業で広く使われ、合金素材、触媒、蛍光体、赤外線装置などに用いられる元素であり、ブレージング合金の融点を低くして、流れ性を改善する成分である。
本発明に係るブレージング合金のゲルマニウム(Ge)の含量は0.01〜0.1重量%である。アークを安定させ、高品質の溶接効果を示す。
ニッケル(Ni)は銀白色の強い光沢のある金属である。空気中で変わらず、酸化反応を起こさないためメッキや合金等を通じて、コインの材料として用いられる元素であり、ブレージング合金で溶接する時、安定した作業を提供する効果を示す。
本発明に係るブレージング合金のニッケル(Ni)の含量は0.01〜0.1重量%である。アークを安定させ高品質の溶接効果を示し、空気中で変わらず酸化反応を起こさないため、安定した溶接効果を示す。
最後に、銅(Cu)はブレージング合金において銀(Ag)と類似した有用な特徴を有する元素である。軟性、熱伝導性、導電性、耐食性、強い浸透力など多くの長所がある。
本発明に係るブレージング合金は前記合金成分を除いた残部として銅(Cu)を含む。
<実施例>
次のような組成でブレージング合金を製造した。
Figure 0005544392
上記のように製造したブレージング合金の固相線、液相線および引張強度を各々測定し、その結果を表2に記載した。
Figure 0005544392
<溶接性評価:3方向黄銅分配管に銅管溶接>
冷却器用U字状3方向黄銅分配管試片32個を次のような溶接条件で溶接した後、切開して、断面を検査した。この時、溶接材としては上記実施例1と比較例1(KS−BCUP−3。Ag5重量%含有)を用いた。
−口径:40mm、24mm
−加熱条件:LNG、ガストーチ、ガスフラックス投入(methyl borate)
−溶接温度:830〜860℃
−溶接台供給:線径1.8mmボビン、一定量自動供給
−溶接機:SK Brazing社自動溶接機
上記表2に記載されたように、実施例1のブレージング合金は比較例1に比べて、固相線温度が高い。したがって、実施例1は比較例1より溶接材の溶融時間がよりかかった。しかし、実施例1は比較例1より黄銅分配管に対する浸透速度が速いため、溶接完了時間は実施例1が比較例1より1秒速かった。
したがって、本発明に係るブレージング合金が銀(Ag)を含有しなくても
銀(Ag)を含有する従来の合金より優れた溶接性をみせるということを確認することができた。
したがって、実施例1の溶接材を用いた場合に、溶接部位で優れた侵透性をみせることが分かる。したがって、本発明に係るブレージング合金の湿潤性、侵透性などの溶接性が銀(Ag)を含有しなくても銀(Ag)を含有する従来の合金より優れた溶接性を有するということを確認することができた。
上記の実施例1と同様に実施例2ないし8でも銀(Ag)を含有する従来の合金より優れているか、または同等な溶接性を示し、ブレージング合金の湿潤性、侵透性などの溶接性が銀(Ag)を含有しなくても銀(Ag)を含有する従来の合金と同等、または優れた溶接性が有することが確認できる。
以上で説明した本発明のブレージング合金の実施例は例示的なものに過ぎず、本発明の属する技術分野の通常の知識を有する者ならば、これから多様な変形および均等な他の実施例が可能であることが自明であろう。したがって、本発明は、上述の詳細な説明で言及された態様にのみ限定されるものではないことがよく理解できよう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付の特許請求の範囲の技術的思想によって決められるべきである。また、本発明は、添付の請求の範囲によって定義される本発明の精神とその範囲内にあるすべての変形物と均等物および代替物を含むものと理解しなければならない。

Claims (3)

  1. リン(P)5.0〜7.5重量%、ストロンチウム(Sr)0.01〜5.0重量%を含み、残部は銅(Cu)からなることを特徴とするブレージング合金。
  2. 前記合金に、
    ホウ素(B)0.001〜0.5重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載のブレージング合金。
  3. 前記合金に、
    インジウム(In)0.01〜3.0重量%、銀(Ag)0.5〜15.0重量%、錫(Sn)0.5〜5.0重量%、セシウム(Cs)0.01〜0.1重量%、ゲルマニウム(Ge)0.01〜0.1重量%、ニッケル(Ni)0.01〜0.1重量%からなる群から選ばれた1種以上の元素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のブレージング合金。
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