JP5544198B2 - β−ケトイミン化合物、金属錯体及び薄膜形成用原料 - Google Patents

β−ケトイミン化合物、金属錯体及び薄膜形成用原料 Download PDF

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Description

本発明は、特定の構造を有するβ−ケトイミン化合物、これの金属錯体及び該金属錯体からなる薄膜形成用原料に関する。
CVD法、ALD法等の金属化合物(錯体)であるプレカーサを揮発させて使用するプロセスにおいて、プレカーサに求められる性質は、揮発性であり、融点が低いこと、熱に対して安定であることである。
上記性質を付与したプレカーサとして、金属錯体の分子同士の会合の阻害、金属原子の遮蔽向上、熱分解起点の除外を目的とし、特定のアルキル基、エーテル基、アミノ基を導入したβ−ケトイミン化合物の金属錯体が検討されている。
特許文献1には、N側鎖に−R4−O−R3(R3は水素又は炭素数1〜4の直鎖アルキル基、R4は炭素数1〜5のアルキレン基)で表される基を有する3座配位子性β−ケトイミン誘導体及びこれを配位子とした有機ストロンチウム錯体が開示されている。しかし、特許文献1に記載の有機ストロンチウム錯体は、特許文献1開示の方法で得られるものではなく、その物性も開示されているものと異なり、CVD等のプレカーサを揮発させたガスを使用する薄膜製造プロセスに充分に対応するだけの性質を有するものではなかった。
特許文献2には、N側鎖に−R’−X−R3(R’は炭素数1〜8の直鎖又は分枝状アルキレン基、或いは−(CH2nO−(n=2又は3)で表されるエチレンエーテル基又はプロピレンエーテル基を1〜3個含有する炭化水素基であり、R3は、水素原子或いは炭素数1〜9個の直鎖状又は分枝状アルキル基であり、Xは酸素又は硫黄原子である)で表される基を有する非対称型β−ケトイミネートリガンド化合物が開示されている。また、当該リガンド化合物を用いてストロンチウム錯体を形成できることが開示されている。
特許文献3には、N側鎖に−R4−NR56(R4は、アルキレン架橋基であり、R5、R6は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族、アリール、及び酸素原子又は窒素原子の何れかを含有する複素環からなる群から選択される)を有するβ−ケトイミン金属錯体が開示されている。
特許文献4には、N側鎖に−R4−NR56(R4は、少なくとも1つのキラル炭素を有する炭素数3〜10のアルキレン架橋基であり、R5、R6は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族、アリール、及び酸素原子又は窒素原子の何れかを含有する複素環からなる群から選択される)を、有し、主鎖にR1(アルキル、アルコキシアルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族、アリール)を有するβ−ケトイミン金属錯体が開示されている。
特許文献5には、イミン官能基の窒素原子が(CH2mNR1 2により置換され、β−ケチミネート化合物の炭素鎖がR2O(CH2nにより置換されているカルシウム、ストロンチウム及びバリウム錯体が開示されている。
特開平6−298714号公報(特に、請求の範囲、実施例3、実施例7) 特開2002−302473号公報(特に、請求項1、段落[0033]) 特開2007−302656公報(特に、請求項1〜3、例6、例7) 米国公開特許2009/0136685(特に請求項1、2、図4) 特表2005−531619号公報(特に、請求項1、2)
従来、報告されてきたβ−ケトイミンの錯体は、CVD等のプレカーサとして、工業的使用に適する充分な性能を有していない。特にストロンチウムに代表される2族元素の金属錯体については、融点、熱安定性について更なる改良が望まれている。また、有機溶剤に溶解させた溶液として使用する場合もあるので、有機溶剤に対する溶解性の向上も望まれている。
従って、本発明の目的は、CVD法、ALD法のプレカーサに適した性質を有し、特に、融点、耐熱性、有機溶剤への溶解性において、良好な金属錯体を提供することにある。
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の構造を有するβ−ケトイミン化合物が上記目的を達成し得ることを知見し、本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(I)で表されるβ−ケトイミン化合物を提供するものである。
Figure 0005544198
(式中、R1及びR2は、メチル基又はエチル基を表す。)
また、本発明は、上記β−ケトイミン化合物の金属錯体を提供するものである。
更に、本発明は、上記金属錯体からなる薄膜形成用原料を提供するものである。
本発明によれば、CVD法、ALD法のプレカーサに適した性質を有し、特に、融点、耐熱性、有機溶剤への溶解性において、良好な金属錯体を提供することができる。
図1は、実施例1において得られた本発明のβ−ケトイミン化合物No.1の1H−NMRチャートである。 図2は、実施例2において得られた本発明のβ−ケトイミン化合物No.2の1H−NMRチャートである。 図3は、実施例3において得られた本発明のβ−ケトイミン化合物No.3の1H−NMRチャートである。 図4は、実施例4において得られた本発明の金属錯体(ストロンチウム錯体No.1)の1H−NMRチャートである。 図5は、実施例5において得られた本発明の金属錯体(ストロンチウム錯体No.2)の1H−NMRチャートである。 図6は、実施例6において得られた本発明の金属錯体(ストロンチウム錯体No.3)の1H−NMRチャートである。
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、上記一般式(1)で表される本発明のβ−ケトイミン化合物について説明する。
本発明のβ−ケトイミン化合物の特徴は、N側鎖の1位にメチル基を有すること、N側鎖末端がジエチルアミノ基であること、主鎖の末端がイソプロピル基又はsec-ブチル基と2−(メトキシエチル)プロパン−2−イル基又は2−(エトキシエチル)プロパン−2−イル基であることにある。この構造が作用して、本発明のβ−ケトイミン化合物を配位子として使用した金属錯体、特にストロンチウム錯体に代表される2族元素の錯体に対して、充分な揮発性を維持したまま、融点、耐熱性、溶解性が良好な金属錯体を与える。
本発明のβ−ケトイミン化合物は、他のβ−ケトイミンと同様にイミンとエナミンの以下の化学平衡状態混合物として存在する。以降β−ケトイミン化合物については、特に断りのない限りイミンとして表す。
Figure 0005544198
(式中、R1及びR2は、上記一般式(1)と同様の基を表す)
本発明のβ−ケトイミン化合物は、周知の化学反応を応用して製造することができる。例えば、ヒドロキシピバル酸エステルを原料とし、アルキル化剤でヒドロキシ基をアルコキシ基(メトキシ基又はエトキシ基)に変換して中間体のエーテルエステル化合物を合成し、これとケトン化合物との縮合反応により中間体のエーテルジケトンを得、更にこれと1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミンを反応させて製造できる。下記に反応ルートを示す。
Figure 0005544198
(式中、R1及びR2は、上記一般式(1)と同様の基を表す)
次に、本発明の金属錯体について説明する。
本発明の金属錯体は、本発明のβ−ケトイミン化合物の金属錯体である。該金属錯体は、β−ケトイミン残基と金属とが結合した化合物であり、通常、カルボニル基の酸素の不対電子も結合に寄与し、キレート型の配位構造をとる。本発明の金属錯体は、少なくとも1つのβ−ケトイミン残基が結合していればよく、他の化学基(例えば、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜18のβ−ジケトン残基、炭素数5〜18のシクロペンタジエニル基等)が結合していてもよい。金属錯体の耐熱性の点で、下記一般式(2)のように金属錯体の配位子がβ−ケトイミン残基のみからなる金属錯体が好ましい。
Figure 0005544198
(式中、R1及びR2は、メチル基又はエチル基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、金属原子の価数を表す。)
本発明の金属錯体は、N側鎖の末端にジメチルアミノ基を有する。当該N側鎖のジメチルアミノ基は、非共有電子対を有する窒素原子が金属原子に対する求核的な配位性を有することが知られている。当該窒素原子が自己の結合する金属原子に配位した場合をR1及びR2がメチル基であり、Mがストロンチウムである金属錯体を例に下記式(3)及び(4)に表す。本発明の金属錯体は、上記一般式(2)で代表して表しているが、下記式(3)又は(4)で表わされるようなN側鎖のジメチルアミノ基の配位の有無で区別されるものではなく、これら両方を含む概念である。また、本発明の金属錯体は、立体異性体を有するが、これらの異性体により区別されるものではない。また、一般に金属のケトイミネートは、2分子以上の分子が会合した状態を示すことが知られているが、本発明における金属錯体は、会合状態の有無、会合する分子の数等により区別されるものではない。また、本発明のβ−ケトイミンの金属錯体は、配位子主鎖の末端がアルコキシ基(メトキシ基又はエトキシ基)を有するが、当該アルコキシ基の酸素原子の非共有電子対と金属原子との配位の有無によっても区別されない。
Figure 0005544198
上記一般式(2)において、Mで表される金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等の2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素等の3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、亜鉛、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。
本発明の金属錯体は、周知のβ−ケトイミン化合物の金属錯体の合成方法に従い製造することができる。例えば、ハライド、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、炭酸塩等の無機金属原料とβ−ケトイミン化合物とを必要に応じて使用される反応剤の存在下で反応させる方法により製造することができる。該反応剤としては、ナトリウム、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムメチラート、リチウム、リチウムアミド、リチウムメチラート、ジエチルアミン等の塩基性反応剤が挙げられる。また、金属アルコキシド、金属アミドを金属原料として、これとβ−ケトイミン化合物との配位子交換反応により製造することもできる。1族元素や2族元素の場合は、金属とβ−ケトイミンとを直接反応させてもよい。
2族元素の金属錯体の好ましい製造方法としては、金属とβ−ケトイミンのトルエンけん濁液を冷却してからアンモニアガスを導入して反応させる方法、ビス[ジ(トリメチルシリル)アミノ]金属とβ−ケトイミンを反応させる方法が挙げられる。
本発明の金属錯体の中でも特に2族元素の金属錯体は、従来知られている金属錯体よりも、耐熱性に優れ、融点の低い薄膜形成用原料として良好な性質を有するので有用であり、更に、ストロンチウム錯体は、室温域で液体であるため特に有用である。
次に、本発明の薄膜形成用原料について説明する。
本発明の薄膜形成用原料は、本発明の金属錯体、好ましくは上記一般式(2)で表される金属錯体を薄膜のプレカーサとしたものであり、プロセスによって形態が異なる。本発明の薄膜形成用原料は、その物性からプレカーサを気化させる工程を有するALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長法に使用される原料(以下、単にCVD用原料と記載することもある)として特に有用である。
本発明の薄膜形成用原料は、本発明の金属錯体そのものを薄膜形成用原料としてもよく、本発明の金属錯体を有機溶剤に溶かした溶液を薄膜形成用原料としてもよい。
また、多成分系薄膜を製造する場合においては、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料としてもよい。この場合、本発明の金属錯体と他のプレカーサとの混合物或いはこれら混合物に有機溶剤媒を加えた混合溶液が薄膜形成用原料である。
上記有機溶剤としては、本発明の金属錯体に対して、不活性の有機溶剤を用いることが出来る。該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類、N−メチル−2−ピロリジノン、N−エチル−2−ピロリジノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリジノン等の有機アミド類が挙げられ、これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独又は二種類以上の混合溶媒として用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、該有機溶剤中におけるプレカーサ成分の合計量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。また、有機溶剤の沸点は60℃以上が好ましい。
本発明の金属錯体は、溶解性が良好であるので、上記有機溶剤として、炭化水素類、エーテル類を使用することができる。これらの有機溶剤は安価に入手が可能であり、好ましく用いられる。
また、多成分原料の場合、本発明の金属錯体と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、周知一般のプレカーサを用いることができる。
上記の他のプレカーサとしては、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物及び有機アミン化合物等の有機配位子として用いられる化合物からなる群から選択される1種類又は2種以上と珪素、ホウ素、リン又は金属との化合物が挙げられる。該金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等の2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素等の3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、亜鉛、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。
また、本発明の薄膜形成用原料には、必要に応じて、本発明の金属錯体及び他のプレカーサに安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類が挙げられ、これら求核性試薬の使用量は、本発明の金属錯体1モルに対して0.05モル〜10モルの範囲で使用され、好ましくは0.1〜5モルの範囲で使用される。
本発明の薄膜形成用原料は、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素等の不純物ハロゲン分、不純物有機分を極力含まないようにする。不純物金属元素分は元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましい。総量では1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。不純物ハロゲン分は100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましい。不純物有機分は総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましい。また、水分はCVD原料中のパーティクルやCVD法によるパーティクル発生の原因となるので、金属錯体、有機溶剤、求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために使用の際には予めできる限り水分を取り除いたほうがよい。水分量は10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料は、製造される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、溶液での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に1000個以下であることがより好ましく、100個以下であることが更に好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて製造される薄膜は、他の成分のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の所望の種類の薄膜とすることができる。これらの薄膜の用途としては、高誘電キャパシタ膜、ゲート絶縁膜、ゲート膜、強誘電キャパシタ膜、コンデンサ膜、バリア膜等の電子部品部材、光ファイバ、光導波路、光増幅器、光スイッチ等の光学ガラス部材が挙げられる。
以下、実施例、評価例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって、何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]β−ケトイミン化合物No.1の製造
(1)中間体エーテルエステル化合物の製造
水素化ナトリウム1モル部を溶媒であるジメチルホルムアミドに加え、これにヒドロキシピバル酸メチル1モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、室温で90分撹拌した。これにp−トルエンスルホン酸メチル1.2モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、ジメチルホルムアミドと同じ質量の水とヘキサンを加え、撹拌した後水相を除去した。この有機相を濃縮して得られた残渣を分留し、700Pa、93℃のフラクションから中間体エーテルエステル化合物である3−メトキシ−2,2−ジメチルプロピオン酸メチルを収率55%で得た。
(2)中間体β−ジケトン化合物の製造
t−ブトキシカリウム2.5モル部を溶媒であるジメチルホルムアミドに加え、これに上記で得た中間体エーテルエステル化合物1モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、室温で40分撹拌した。これにイソプロピルメチルケトン1.5モル部を室温が30℃を超えないように滴下し、室温で12時間撹拌した後、36%濃塩酸をジメチルホルムアミドに対して30質量%加え撹拌した後、ジメチルホルムアミドと同じ質量の水とジメチルホルムアミドの1.5倍質量のヘキサンを加え、撹拌した後、水相を除去した。この有機相を濃縮して得られた残渣を分留し、中間体β−ジケトン化合物である1−メトキシ−2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオンを収率56%で得た。
(3)β−ケトイミン化合物の製造
上記で得た中間体β−ジケトン化合物1モル部、1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミン1.3モル部、36質量%塩酸を塩化水素が0.03モル部となる量、及び溶媒であるブタノールを中間体β−ジケトン化合物に対して3.5倍質量となる量を、反応フラスコに仕込み、11時間還流した。反応液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留により分留し、90Pa、110℃のフラクションから目的物のβ−ケトイミン化合物No.1を収率74%で得た。図1に得られたβ−ケトイミン化合物No.1の重ベンゼン溶液での1H−NMRの測定結果を示す。また、GC−MSによる分子量の測定により目的物の分子量を確認した。
Figure 0005544198
[実施例2]β−ケトイミン化合物No.2の製造
(1)中間体エーテルエステル化合物の製造
水素化ナトリウム1モル部を溶媒であるジメチルホルムアミドに加え、これにヒドロキシピバル酸メチル1モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、室温で90分撹拌した。これにp−トルエンスルホン酸エチル1.2モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、ジメチルホルムアミドと同じ質量の水とヘキサンを加え、撹拌した後水相を除去した。この有機相を濃縮して得られた残渣を分留し、大気圧にて108〜111℃のフラクションから中間体エーテルエステル化合物である3−エトキシ−2,2−ジメチルプロピオン酸メチルを収率34%で得た。
(2)中間体β−ジケトン化合物の製造
t−ブトキシカリウム2.5モル部を溶媒であるジメチルホルムアミドに加え、これに上記で得た中間体エーテルエステル化合物1モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、室温で30分撹拌した。これにイソプロピルメチルケトン1.5モル部を室温が30℃を超えないように滴下し、室温で12時間撹拌した後、36%濃塩酸をジメチルホルムアミドに対して30質量%加え撹拌した後、ジメチルホルムアミドと同じ質量の水とジメチルホルムアミドの1.5倍質量のヘキサンを加え、撹拌した後、水相を除去した。この有機相を濃縮して得られた残渣を分留し、中間体β−ジケトン化合物である1−エトキシ−2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオンを収率63%で得た。
(3)β−ケトイミン化合物の製造
上記で得た中間体β−ジケトン化合物1モル部、1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミン1.3モル部、36質量%塩酸を塩化水素が0.03モル部となる量、及び溶媒であるブタノールを中間体β−ジケトン化合物に対して3.5倍質量となる量を、反応フラスコに仕込み、2時間還流した。反応液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留により分留し、40Pa、98℃のフラクションから目的物のβ−ケトイミン化合物No.2を収率74%で得た。図2に得られたβ−ケトイミン化合物No.2の重ベンゼン溶液での1H−NMRの測定結果を示す。また、GC−MSによる分子量の測定により目的物の分子量を確認した。
Figure 0005544198
[実施例3]β−ケトイミン化合物No.3の製造
(1)中間体エーテルエステル化合物の製造
水素化ナトリウム1モル部を溶媒であるジメチルホルムアミドに加え、これにヒドロキシピバル酸メチル1モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、室温で90分撹拌した。これにp−トルエンスルホン酸メチル1.2モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、室温で12時間攪拌した。ジメチルホルムアミドと同じ質量の水とヘキサンを加え、撹拌した後水相を除去した。この有機相を濃縮して得られた残渣を微減圧下で分留し、76〜79℃のフラクションから中間体エーテルエステル化合物である3−メトキシ−2,2−ジメチルプロピオン酸メチルを収率47%で得た。
(2)中間体β−ジケトン化合物の製造
t−ブトキシカリウム2.5モル部を溶媒であるジメチルホルムアミドに加え、これに上記で得た中間体エーテルエステル化合物1モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、室温で40分撹拌した。これに3−メチル−2−ペンタノン1.5モル部を室温が30℃を超えないように滴下し、室温で12時間撹拌した後、36%濃塩酸をジメチルホルムアミドに対して30質量%加え撹拌した後、ジメチルホルムアミドと同じ質量の水とジメチルホルムアミドの1.5倍質量のヘキサンを加え、撹拌した後、水相を除去した。この有機相を濃縮して得られた残渣を分留し、中間体β−ジケトン化合物である1−メトキシ−2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオンを収率51%で得た。
(3)β−ケトイミン化合物の製造
上記で得た中間体β−ジケトン化合物1モル部、1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミン1.3モル部、36質量%塩酸を塩化水素が0.03モル部となる量、及び溶媒であるブタノールを中間体β−ジケトン化合物に対して3.5倍質量となる量を、反応フラスコに仕込み、3時間還流した。反応液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留により分留し、40Pa、103℃のフラクションから目的物のβ−ケトイミン化合物No.3を収率68%で得た。図3に得られたβ−ケトイミン化合物No.3の重ベンゼン溶液での1H−NMRの測定結果を示す。また、GC−MSによる分子量の測定により目的物の分子量を確認した。
Figure 0005544198
[比較例1〜4]比較例化合物1〜4の製造
上記実施例1の(3)と同様の手順により、β−ジケトン化合物と、アミン化合物とを塩酸の存在下で反応させ、蒸留精製することにより、目的物の比較化合物1〜4を得た。GC−MSによる分子量の測定により目的物の分子量を確認した。
[比較例5]比較化合物5の製造
(1)中間体β−ジケトン化合物の製造
水素化ナトリウム1.8モル部に溶媒であるエチレングリコールジメチルエーテルを加え、これに4−メトキシ酪酸メチル1モル部を滴下し、室温で10分撹拌した。これにt−ブチルメチルケトン1.2モル部を滴下し、92℃で19時間撹拌した。室温まで冷却し36%濃塩酸でクエンチ後、水とジエチルエーテルを加え、撹拌した後、水相を除去した。この有機相を1質量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、引き続き飽和食塩水で洗浄した。得られた有機相を濃縮し、得られた残渣を分留して、中間体β−ジケトン化合物である8−メトキシ−2,2−ジメチルオクタン−3,5−ジオンを収率14%で得た。
(2)β−ケトイミン化合物の製造
上記で得た中間体β−ジケトン化合物1モル部、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン1.3モル部、36質量%塩酸を塩化水素が0.03モル部となる量、溶媒であるブタノールを中間体β−ジケトン化合物に対して3.5倍質量となる量を、反応フラスコに仕込み、5時間還流した。反応液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留により分留し、40Pa、120℃のフラクションから目的物の比較化合物5を収率55%で得た。GC−MSによる分子量の測定により目的物の分子量を確認した。
Figure 0005544198
[比較例6]比較化合物6の製造
上記実施例1と同様にβ−ジケトン化合物を合成し、その中間体β−ジケトン化合物1モル部、1−メトキシ−2−プロピルアミン1.2モル部、36質量%塩酸を塩化水素が0.03モル部となる量、及び溶媒であるブタノールを中間体β−ジケトン化合物に対して3.5倍質量となる量を、反応フラスコに仕込み、7時間還流した。反応液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留により分留し、75Pa、118℃のフラクションから目的物の比較化合物6を収率56%で得た。また、GC−MSによる分子量の測定により目的物の分子量を確認した。
[比較例7]比較化合物7の製造
上記実施例1と同様にβ−ジケトン化合物を合成し、その中間体β−ジケトン化合物1モル部、N,N−ジメチルエチレンジアミン1.5モル部、36質量%塩酸を塩化水素が0.03モル部となる量、及び溶媒であるブタノールを中間体β−ジケトン化合物に対して3.5倍質量となる量を、反応フラスコに仕込み、3時間還流した。反応液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留により分留し、40Pa、103℃のフラクションから目的物の比較化合物7を収率58%で得た。GC−MSによる分子量の測定により目的物の分子量を確認した。
Figure 0005544198
[比較例8]比較化合物8の製造
(1)中間体ラクトン化合物の製造
水素化ナトリウム1モル部を溶媒であるテトラヒドロフランに加えた液相をアルゴン気流下で還流させたところに、γ−ブチロラクトン1モル部、及びヨードメタン3モル部を滴下した。反応液を0℃に冷却後、テトラヒドロフランの1倍質量の水を加え、その後室温に戻してからテトラヒドロフランの0.75倍質量のジエチルエーテルを加え、撹拌した後水相を除去、硫酸マグネシウムによる脱水をした。この有機相を濃縮して得られた残渣を分留し、中間体ラクトン化合物であるα,α−ジメチル−γ−ブチロラクトンを収率32%で得た。
(2)中間体エーテルエステル化合物の製造
上記で得た中間体ラクトン化合物1モル部、オルトギ酸メチル2モル部、及び硫酸0.06モル部を溶媒であるメタノールに加え、アルゴン気流下で、50℃6時間撹拌した。室温まで冷却した後、メタノールの0.75倍質量のヘキサンを加え、メタノール相を除去した。ヘキサン相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濃縮して得られた残渣を分留し、中間体エーテルエステル化合物である4−メトキシ−2,2−ジメチルブタン酸メチルを収率44%で得た。
(3)中間体β−ジケトン化合物の製造
t−ブトキシカリウム2.5モル部を溶媒であるジメチルホルムアミドに加え、これに上記で得た中間体エーテルエステル化合物1モル部を液温が30℃を超えないように滴下し、アルゴン気流下、室温で40分撹拌した。これにイソプロピルメチルケトン1.5モル部を室温が30℃を超えないように滴下し、50℃で13時間撹拌した後、36%塩酸をジメチルホルムアミドに対して8質量%加え撹拌した後、ジメチルホルムアミドと同じ質量の水とジメチルホルムアミドの0.5倍質量のヘキサンを加え、撹拌した後、水相を除去した。この有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濃縮して得られた残渣を減圧蒸留により分留し、中間体β−ジケトン化合物である8−メトキシ−2,6,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオンを収率26%で得た。
(4)β−ケトイミン化合物の製造
上記で得た中間体β−ジケトン化合物1モル部、1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミン1.3モル部、36質量%塩酸を塩化水素が0.03モル部となる量、及び溶媒であるブタノールを中間体β−ジケトン化合物に対して3.5倍質量となる量を、反応フラスコに仕込み、4時間還流した。反応液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留により分留し、40Pa、98℃のフラクションから目的物の比較化合物8を収率73%で得た。GC−MSによる分子量の測定により目的物の分子量を確認した。
Figure 0005544198
[実施例4]ストロンチウム錯体No.1の製造
反応フラスコに上記実施例1で得たβ−ケトイミン化合物No.1を2モル部とSr[N(SiMe322(CH3OCH2CH2OCH32を1モル部及び脱水トルエンをSr[N(SiMe322(CH3OCH2CH2OCH32に対して20モル部を仕込み、室温で1日攪拌した後、120℃、微減圧による脱溶媒を行い、その後160℃、40Paによる未反応配位子の除去後に得られた残渣を減圧蒸留して、圧力40Pa、バス温度205℃で留出したフラクションから、目的物の淡黄色液体であるストロンチウム錯体No.1を収率70%で得た。なお、製造操作及び精製操作は、全て乾燥アルゴン雰囲気下で行った。得られた淡黄色液体について、重ベンゼン溶液での1H−NMR測定、ICP発光分析法によるSr含有量測定、CHNアナライザーによるC、N、H含有量の測定、質量分析による分子量の測定を行った。1H−NMRチャートを図4、元素分析及び分子量の測定結果を以下に示す。
<元素分析及び分子量の測定結果>
Sr:13.1質量%、C:59.2質量%、N:9.1質量%、H:10.1質量%、分子量:655
[実施例5]ストロンチウム錯体No.2の製造
反応フラスコに上記実施例2で得たβ−ケトイミン化合物No.2を2モル部、金属ストロンチウム1モル部、及び脱水トルエンをβ−ケトイミン化合物No.2に対して2倍質量となる量を仕込み、−40℃に冷却した後、アンモニアガスを吹き込みながら、−40℃で3時間撹拌した。反応液の温度を徐々に室温に戻し、不溶物をろ過した後、反応溶液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留して、圧力33Pa、バス温度203℃で留出したフラクションから、目的物の黄色液体であるストロンチウム錯体No.2を収率69%で得た。なお、製造操作及び精製操作は、全て乾燥アルゴン雰囲気下で行った。得られた黄色液体について、重ベンゼン溶液における1H−NMR測定、ICP発光分析法によるSr含有量測定、CHNアナライザーによるC、N、H含有量の測定、質量分析による分子量の測定を行った。1H−NMRチャートを図5、元素分析及び分子量の測定結果を以下に示す。
<元素分析及び分子量の測定結果>
Sr:12.8質量%、C:59.8質量%、N:8.2質量%、H:9.9質量%、 分子量:683
[実施例6]ストロンチウム化合物No.3の製造
反応フラスコに上記実施例2で得たβ−ケトイミン化合物No.3を2モル部、金属ストロンチウム1モル部、及び脱水トルエンをβ−ケトイミン化合物No.3に対して2倍質量となる量を仕込み、−40℃に冷却した後、アンモニアガスを吹き込みながら、−40℃で3時間撹拌した。反応液の温度を徐々に室温に戻し、不溶物をろ過した後、反応溶液を濃縮して得られた残渣を減圧蒸留して、圧力34Pa、バス温度208℃で留出したフラクションから、黄色液体であるストロンチウム錯体No.3を収率68%で得た。なお、製造操作及び精製操作は、全て乾燥アルゴン雰囲気下で行った。得られた黄色液体について、重ベンゼン溶液における1H−NMR測定、ICP発光分析法によるSr含有量測定、CHNアナライザーによるC、N、H含有量の測定、質量分析による分子量の測定を行った。1H−NMRチャートを図6、元素分析及び分子量の測定結果を以下に示す。
<元素分析及び分子量の測定結果>
Sr:13.4質量%、C:59.3、質量%、N:8.1質量%、H:9.9質量%、分子量:683
[比較例9〜16]
上記β−ケトイミンとして比較例1〜8で得られた比較化合物1〜8を用いた以外は、上記実施例4と同様の方法で、ストロンチウム錯体である比較用錯体1〜8を得た。比較用錯体1〜8の番号はそれぞれ比較用化合物1〜8に対応している。(例えば、比較用錯体1は、比較用化合物1を配位子として使用したものである。)また、精製については、蒸留可能な比較用錯体3、4、5、6及び8について行い、その範囲は、圧力30〜50Pa、バス温度200〜220℃であった。熱安定性が不充分で、蒸留精製ができない比較用錯体1、2及び7については、30Pa、160℃の条件での低沸点不純物の除去のみを行った。得られた比較用錯体について、実施例3と同様の分析を行い、化学構造を確認した。分析結果を表1に示す。
Figure 0005544198
以下に実施例4〜6及び比較例8〜16で得た金属錯体は、いずれも下記一般式(5)で表されるビス(β−ケトイミナト)ストロンチウムである。
Figure 0005544198
(式中、X1、X2及びYは、それぞれβ−ケトイミン化合物により導入される基を表す。)
[評価例1]融点(液化点)の評価
上記実施例3〜6で得たストロンチウム錯体No.1〜No.3及び上記比較例9〜16で得た比較用錯体1〜8の融点を測定した。融点は、目視により観察した。結果を以下に示す。
<金属錯体の融点(液化点)>
・ストロンチウム錯体No.1〜3:25℃で液体
・比較用錯体1:140〜141℃
・比較用錯体2:185〜186℃
・比較用錯体3:155〜156℃
・比較用錯体4:139〜140℃
・比較用錯体5:111〜112℃
・比較用錯体6:80〜85℃
・比較用錯体7:70〜80℃
・比較用錯体8:138〜139℃
上記の結果から、本発明の金属錯体であるストロンチウム化合物No.1〜No.3は、25℃で液体であることが確認できた。特に比較用錯体4、5、7及び8との比較から液体化(低融点化)の効果は、上記一般式(5)におけるY及びX2の構造に由来すると考察できる。
[評価例2]有機溶媒溶解性の評価
上記実施例4〜6で得たストロンチウム錯体No.1〜No.3及び上記比較例10〜16で得た比較用錯体2〜8について、エチルシクロヘキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン及びヘキサンに対する溶解性を評価した。評価は、有機溶剤1000mlに対するストロンチウム化合物の含有量を0.1〜0.7モルになるように混合し、密栓をして24時間静置後、固相の有無を目視で確認する方法により行った。固相の存在しない透明な溶液を保持した1000mlに対する濃度(含有量)を表2に示す。なお、含有量が0.1モル未満のものは×とした。
Figure 0005544198
上記表2より、本発明の金属錯体であるストロンチウム化合物No.1〜3と比較用錯体2〜8とを比べると、ストロンチウム化合物No.1〜3のいずれも、有機溶剤に対する溶解性が良好であることが確認できた。このことは、CVD法やALD法において、溶液供給法を選択する場合においては、溶解性マージンの大きい濃度変化や部分的な有機溶剤の希釈等による固体析出がおきにくくなり、成膜速度の経時変化、膜質の劣化が起こる懸念が少ないことを示す。特に比較用錯体4、5、7及び8との比較から溶解性向上の効果は、上記一般式(5)におけるY及びX2の構造に起因すると考察できる。
[評価例3]熱安定性の評価
上記実施例4〜6で得たストロンチウム錯体No.1〜No.3及び比較例13〜16で得た比較用ストロンチウム錯体である比較用錯体5〜8(比較用錯体のうち融点の低いもの)について、TGとDSCを使用して熱安定性を測定した。なお、TGの測定条件は、乾燥Ar 100ml/min、10℃/min昇温であり、測定サンプル量は、7〜12mgである。DSCの測定条件は、試料を乾燥Arで満たされたグローブボックス内で金属製密閉容器に封入し、その試料容器を10℃/minで昇温させた。測定サンプル量は1〜4mgである。TG測定におけるサンプリング及び測定は、乾燥アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行なった。TGにおける400℃残分と、DSCにおいて観察された分解ピークトップ温度について表3に示す。
Figure 0005544198
上記表3から、本発明の金属錯体であるストロンチウム錯体No.1とNo.3は比較用錯体のストロンチウム化合物と比べて、熱安定性が良好であることが確認できた。また、化合物No.2は、比較用錯体5及び7よりも熱安定性が良好である。この効果は、上記一般式(5)におけるY及びX2の構造に起因すると考察できる。
上記評価例1〜3により、本発明のβ−ジケトイミンの金属錯体は、充分な揮発性を損なうことなく、耐熱性、溶解性が良好な金属錯体を与えることが確認できた。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるβ−ケトイミン化合物。
    Figure 0005544198
    (式中、R1及びR2は、メチル基又はエチル基を表す。)
  2. 請求項1に記載のβ−ケトイミン化合物の金属錯体。
  3. 下記一般式(2)で表される請求項2に記載の金属錯体。
    Figure 0005544198
    (式中、R1及びR2は、メチル基又はエチル基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、金属原子の価数を表す。)
  4. 上記一般式(2)におけるMが2族元素であり、nが2である請求項3に記載の金属錯体。
  5. 上記一般式(2)におけるMがストロンチウムであり、nが2である請求項3に記載の金属錯体。
  6. 請求項2〜5の何れかに記載の金属錯体からなる薄膜形成用原料。
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