JP5480032B2 - 金属化合物、薄膜形成用原料及びシクロペンタジエン化合物 - Google Patents

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本発明は、特定の構造を有する金属化合物、当該金属化合物を含有してなる薄膜形成用原料、これらの中間体として有用なシクロペンタジエン化合物に関する。
CVD法、ALD法等の金属化合物であるプレカーサを揮発させて使用するプロセスにおいて、プレカーサに求められる性質は、融点が低いか液体であること、熱に対して安定であることである。
上記問題を解決する手段として、ストロンチウム、バリウムに代表されるアルカリ土類金属のCVD又はALDのプレカーサとして、揮発性のビス(トリアルキル)シクロペンタジエニル錯体又はこれにTHF(テトラヒドロフラン)やエーテルの付加物の使用が多数報告されている。
非特許文献1、2には、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム;Sr(C5−i−Pr322を用いたSrTiO3のALDが開示されている。非特許文献3には、ALDのプレカーサとして、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム;Sr(Pri 32Cp)2、ビス(トリ第3ブチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム;Sr(But 32Cp)2、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)バリウム;Ba(Pri 32Cp)2、ビス(トリ第3ブチルシクロペンタジエニル)バリウム;Ba(But 32Cp)2が開示されている。非特許文献3には、ALDのプレカーサとして、ビス(トリ第3ブチルシクロペンタジエニル)バリウム;Ba(1,2,4−t−Bu3522、ビス(トリ第3ブチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム;Sr(1,2,4−t−Bu3522、これらのTHF付加物が開示されている。
特許文献1には、CVD、ALDのプレカーサとして、M(RmCp)2Ln(Mはアルカリ土類原子、RはC1−C4のアルキルか脂環アルキル、mは2〜5、nは0〜2、Lはルイス塩基)の開示があり、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム;Sr(iPr3Cp)2、ビス(トリ第3ブチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム;Sr(tBu3Cp)2、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)バリウム;Ba(iPr3Cp)2、ビス(トリ第3ブチルシクロペンタジエニル)バリウム;Ba(tBu3Cp)2、これらのTHF付加物、ジメチルエーテル付加物、ジエチルエーテル付加物が例示されている。特許文献2には、CVD、ALDのプレカーサとして、M(RxCp)2(Mはカルシウムかストロンチウム、RはC1−C6のアルキルか脂環アルキル、xは0〜5)の開示があり、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム;Sr(iPr3Cp)2、ビス(トリ第3ブチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム;Sr(tBu3Cp)2、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)カルシウム;Ca(iPr3Cp)2、ビス(トリ第3ブチルシクロペンタジエニル)カルシウム;Ca(tBu3Cp)2が例示されている。
しかし、上記で報告されたビス(トリアルキルシクロペンタジエニル)金属化合物は、固体であった。
Electrochemical and Solid-State Letters,2(10)504-506(1999) Chemical Vapor Deposition 2001.7.No2 75-80 J.Phys.Chem.A,Vol.111,No33,2007 8147-8151
国際公開第2009/057058号パンフレット 国際公開第2009/116004号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、CVD法、ALD法等に好適な、低融点であるか液体であり、熱に対して安定なアルカリ土類金属化合物を提供することである。
本発明者等は、シクロペンタジエニルに3つの第2ブチル(s−ブチル)基を導入した化合物が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(1)で表される金属化合物を提供する。
Figure 0005480032
(式中、Mは、アルカリ土類金属原子を表す。Busは第2ブチル基を表す。)
また、本発明は、上記金属化合物からなる薄膜形成用原料又は上記金属化合物を含有してなる薄膜形成用原料を提供する。
また、本名発明は、上記金属化合物、薄膜形成用原料を提供するのに使用される下記化学式(2)で表されるシクロペンタジエン化合物を提供する。
Figure 0005480032
(式中、Busは第2ブチル基を表す。)
本発明によれば、CVD法、ALD法等に好適な、低融点であるか液体であり、熱に対して安定なアルカリ土類金属化合物を提供することができる。
実施例1で得られた化合物の1H−NMRを示す。 実施例2で得られた化合物の1H−NMRを示す。
本発明に係る上記一般式(1)で表される金属化合物において、Mで表されるアルカリ土類金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げられる。
上記、一般式(1)のBuSは、第2ブチル基である。第2ブチル基は、光学活性を有する基であるが、これによって区別されるものではなく、R体、S体でもよく、R体とS体が混在してもよく、ラセミ体でもよい。
上記一般式(1)のMがストロンチウムである金属化合物は、室温で液体であり、熱安定性が大きいので、CVD、ALDに使用する薄膜製造用原料として、類似の化合物よりも優れる。
本発明に係る上記一般式(1)で表される金属化合物の製造方法は、特に制限を受けず、周知のビス(シクロペンタジエニル)金属化合物の製造方法に準じて製造することができる。例えば、トリ第2ブチルシクロペンタジエニルナトリウムとハロゲン化金属を有機溶媒中で反応させて合成する方法、ストロンチウム、バリウムとのアルカリ土類金属とトリ第2ブチルシクロペンタジエンのトルエン懸濁液を冷却してアンモニアを導入して反応させる方法が挙げられる。
上記一般式(1)で表される金属化合物は、CVD、ALD、MOD等の薄膜に対して、アルカリ土類金属元素を供給する原料として好適である。薄膜形成用原料の他の用途としては、化学反応の触媒等が挙げられる。
本発明の薄膜形成用原料とは、上記一般式(1)で表される金属化合物からなるものと、上記一般式(1)で表される金属化合物を含有するものであり、プロセスによって形態が異なる。本発明の薄膜形成用原料は、その物性からプレカーサを気化させる工程を有するALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長法に使用される原料(以下、単にCVD用原料と記載することもある)として特に有用である。
また、Mがストロンチウムであるものは、THFやエーテル化合物等のアダクト、有機溶剤を使用しなくても熱安定性が良好な液体であるので、そのものがCVD法、ALD法の薄膜形成用原料として使用できる利点がある。
本発明の薄膜形成用原料がCVD法又はALD法の原料である場合、その形態は使用されるCVD法、ALD法の輸送供給方法等の手法により適宜選択される。
上記の輸送供給方法としては、薄膜形成用原料を原料容器中で加熱及び/又は減圧することにより気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に堆積反応部へと導入する気体輸送法、薄膜形成用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて、堆積反応部へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、一般式(1)で表される金属化合物そのものが薄膜形成用原料となり、液体輸送法の場合は、一般式(1)で表される金属化合物又はこれを有機溶剤に溶かした溶液が薄膜形成用原料となる。
また、多成分系薄膜を製造する場合の多成分系CVD法、ALD法においては、薄膜形成用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、シングルソース法と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、カクテルソース法と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、一般式(1)で表される金属化合物と他のプレカーサとの混合物或いはこれら混合物に有機溶剤を加えた混合溶液が原料となる。
上記の薄膜形成用原料に使用する有機溶剤としては、一般式(1)で表される金属化合物に対して、不活性の有機溶剤を用いることが出来る。該有機溶剤としては、例えば;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類が挙げられ、これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独又は二種類以上混合溶媒として用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、該有機溶剤中におけるプレカーサ成分の合計量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。
また、シングルソース法又はカクテルソース法を用いた多成分系のCVD法、ALD法において、本発明の一般式(1)で表される金属化合物と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、薄膜形成用原料に用いられている周知一般のプレカーサを用いることができる。
上記の他のプレカーサとしては、アルコール化合物及び/又はグリコール化合物及び/又はβ−ジケトン化合物及び/又はシクロペンタジエン化合物及び/又は有機アミン化合物等の一種類又は二種類以上の有機配位化合物と珪素、ホウ素、リン及び金属との化合物が挙げられる。金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等の2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素等の3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、亜鉛、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。
上記の他のプレカーサは、シングルソース法の場合は、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似している化合物が好ましく、カクテルソース法の場合は、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応による変質を起こさないものが好ましい。
本発明の薄膜形成用原料の好ましい形態であるMがストロンチウムである場合、チタン酸ストロンチウム系薄膜、タンタル酸ビスマスストロンチウム系薄膜、ジルコン酸ストロンチウム系薄膜、ルテニウム酸ストロンチウム系薄膜が有用な用途である。この場合には、チタン化合物、タンタル化合物、ビスマス化合物、ジルコニウム化合物、ルテニウム化合物が併用される。チタン化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましく選択され、タンタル化合物としては、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、下記一般式(4)で表される化合物が好ましく選択され、ビスマス化合物としては、トリフェニルビスマス、トリス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)ビスマスが好ましく選択され、ジルコニウム化合物としては、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム、下記一般式(5)で表される化合物が好ましく選択され、ルテニウム化合物としては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ルテニウム、下記一般式(6)で表される化合物が好ましく選択される。
Figure 0005480032
(式中、Xは、炭素数1〜6のアルキル基で置換されてもよいシクロペンタジエニル基を表し、Yは、炭素数1〜6のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、を表し、Zは、炭素数4〜10のジエン化合物を表し、R1は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、R2、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは、0〜4を表す。)
上記一般式(3)〜(6)において、Xとしては、シクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル等が挙げられ、Yで表される炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第2ブトキシ、第3ブトキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、第2アミルオキシ、イソアミルオキシ、第3アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シキロヘキシルオキシ等が挙げられ、Zとしては、2,4−ジメチルペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン等が挙げられ、R1〜R3としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、第3ブチル、第3アミル等が挙げられる。また、nは、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましい。
本発明の薄膜形成用原料は、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素等の不純物ハロゲン、不純物有機分を極力含まないようにする。不純物金属元素分は元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましい。総量では1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。不純物ハロゲン分は100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましい。不純物有機分は総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましい。また、水分はCVD原料中のパーティクルやCVD法によるパーティクル発生の原因となるので、金属化合物、有機溶剤、求核試薬については、それぞれの水分の低減のために使用の際には予めできる限り水分を取り除いたほうがよい。水分量は10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料は、製造される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、溶液での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下が更に好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を使用した薄膜のCVD法、ALD法は、本発明の薄膜形成用原料、必要に応じて用いられる他のプレカーサを気化させた蒸気と必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入し、次いで、プレカーサを基板上で分解及び/又は反応させて薄膜を基板上に成長、堆積させる。原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法を用いることができる。
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア、窒素等が挙げられる。
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD,熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALD(Atomic Layer Deposition)が挙げられる。
製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、本発明の一般式(1)で表される金属化合物が充分に反応する温度である160℃以上が好ましく250℃〜800℃がより好ましい。また、反応圧力は、熱CVD、光CVDの場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000Pa〜10Paが好ましい。また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることが出来る。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.5〜5000nm/分が好ましく、1〜1000nm/分がより好ましい。また、ALDの場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。
また、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、400〜1200℃であり、500〜800℃が好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いた薄膜の製造方法により製造される薄膜は、他の成分のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス、金属、合金等の所望の種類の薄膜とすることができる。製造される薄膜の組成としては、例えば、ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、タンタル酸ビスマスストロンチウム、タンタルニオブ酸ビスマスバリウムストロンチウム、ジルコン酸ストロンチウム、ルテニウム酸ストロンチウム等が挙げられ、これらの薄膜の用途としては、高誘電キャパシタ膜、ゲート絶縁膜、ゲート膜、強誘電キャパシタ膜、コンデンサ膜、バリア膜、導電膜、抵抗可変膜等の電子部品部材、光ファイバ、光導波路、光増幅器、光スイッチ等の光学ガラス部材が挙げられる。
本発明の上記化学式(2)で表されるシクロペンタジエン化合物のBuSは、第2ブチル基である。第2ブチル基は、光学活性を有する基であるが、これによって区別されるものではなく、R体、S体でもよく、R体とS体が混在してもよく、ラセミ体でもよい。
本発明の上記化学式(2)で表されるシクロペンタジエン化合物の製造方法は、特に制限を受けず、周知のトリアルキルシクロペンタジエニルの製造方法に準じて製造することができる。例えば、シクロペンタジエンに2−ブロモブタン等のハライドを塩基性化合物の存在下で反応させることで得られる。
本発明の上記化学式(2)で表されるシクロペンタジエン化合物は、本発明の金属化合物の中間体として使用される以外に、他の金属との錯体(メタロセン)の中間体、高分子モノマー等に使用することができる。
以下、実施例、評価例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって、何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]1,2,4−トリ第2ブチルシクロペンタジエンの製造
反応フラスコに水126gに水酸化カリウム154gを加え、55%水酸化カリウム水溶液を調製した。これを2℃まで冷却し、2−ブロモブタン(ラセミ体)47g、シクロペンタジエン4.53g、相間移動触媒Adogen 464(塩化トリオクチルメチルアンモニウム)2.74gを仕込み、冷却を止め混合液を室温に戻してから65℃で75分、100℃で45分加熱し、20℃まで冷却した。これにヘキサン250mlを加え、油水分離を行ってヘキサン相を得た。ヘキサン相について、水洗、硫酸マグネシウムによる脱水を行い、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物を減圧蒸留し、留出温度85〜92℃、圧力80〜100Paのフラクションから目的の1,2,4−トリ第2ブチルシクロペンタジエンを収率75%で得た。得られた化合物の1H−NMR(重ベンゼン溶媒)を図1に示す。
[実施例2]ビス(1,2,4−トリ第2ブチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(上記一般式(1)において、Mがストロンチウムである化合物)の製造
乾燥アルゴン気流中、反応フラスコに1,2,4−トリ第2ブチルシクロペンタジエン12gと脱水トルエン35mlの混合液に金属ストロンチウム2.0gを仕込み、−40℃に冷却した後、アンモニアガスを溶解させ−40℃にて3〜4時間反応させた。発泡に注意しながら反応系液温を室温に戻し、8時間撹拌した。反応液からトルエンを留去して得た濃縮液にテトラヒドロフランを100ml加え、80℃で3時間撹拌した。これからテトラヒドロフランを留去させた後、再度テトラヒドロフランを50ml加えて得た反応溶液をろ過、濃縮した。得られた残渣を減圧蒸留し、留出温度182〜185℃、圧力42〜47Paのフラクションから目的のビス(1,2,4−トリ第2ブチルシクロペンタジエニル)ストロンチウムを収率50%で得た。得られた化合物は液体であった。これについてICP発光分析法によるSr含有量測定、1H−NMR(重ベンゼン溶媒)測定を行った。元素分析結果は、ストロンチウム含有量が15.6質量%(理論値:15.8質量%)であった。1H−NMRを図2に示す。
[評価例1]
ストロンチウムシクロペンタジエニル錯体である比較化合物1〜5(下記式)の融点を表1に示す。
Figure 0005480032
(式中、Meはメチル基、Prはプロピル基、Priはイソプロピル基、Butは第3ブチル基を表す。)
Figure 0005480032
[評価例2]
上記実施例2で得たビス(1,2,4−トリ第2ブチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(表中、実施例2化合物)と、比較化合物2、3、4,5のTGとDSCを測定した。なお、TGは、Ar100ml/min、10℃/min昇温、測定サンプル量5〜15mgである。DSCは、10℃/min昇温、サンプルを密閉容器に入れて測定しサンプル量1〜2mgである。融点を表1に記載し、TGの330℃残量と、DSCによる熱分解ピーク温度について表2に示す。

Figure 0005480032
上記表1より、本発明の金属化合物であるビス(1,2,4−トリ第2ブチルシクロペンタジエニル)ストロンチウムは、類似の化合物とは異なり液体であることが確認できた。また表2より、TG、DSCの測定結果より、揮発残量が少なく、熱分解温度が高いことが確認できた。このことは熱安定性が良好であることを示す。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される金属化合物。
    Figure 0005480032
    (式中、Mは、アルカリ土類金属原子を表す。Busは第2ブチル基を表す。)
  2. 上記一般式(1)において、Mがストロンチウム原子である請求項1に記載の金属化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の金属化合物からなる薄膜形成用原料。
  4. 請求項1又は2に記載の金属化合物を含有してなる薄膜形成用原料。
  5. ALD法又はCVD法に使用する請求項3又は4に記載の薄膜形成用原料。
  6. 下記化学式(2)で表されるシクロペンタジエン化合物。
    Figure 0005480032
    (式中、Busは第2ブチル基を表す。)
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