JP5544110B2 - 参照信号加工装置、参照信号加工装置を有する能動騒音制御装置及び能動騒音制御システム - Google Patents

参照信号加工装置、参照信号加工装置を有する能動騒音制御装置及び能動騒音制御システム Download PDF

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Description

本発明は、参照信号加工装置、参照信号加工装置を有する能動騒音制御装置及び能動騒音制御システムに関するものである。
従来、制御音を出力する制御音源を用意し、出力した制御音を騒音に位相干渉させることで制御点での騒音を低減させるアクティブノイズコントロール(ANC:Active Noise Control)を行う能動騒音制御装置が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
非特許文献1には、能動騒音制御装置として、シングルチャンネル型の能動騒音制御装置及びマルチチャンネル型の能動騒音制御装置が記載されている。シングルチャンネル型の能動騒音制御装置は、騒音源からの影響を単一の参照マイクで観測し、単一の参照マイクの参照信号から制御フィルタにより単一の制御信号を生成することで、単一の制御点で観測される制御対象信号を制御するものである。一方、マルチチャンネル型の能動騒音制御装置は、騒音源からの影響を複数の参照マイクで観測し、複数の参照信号から制御フィルタ行列により複数の制御信号を生成することで、複数の制御点で観測される制御対象信号を制御するものである。
西村正治、宇佐川毅、伊勢史郎共著、日本音響学会編、「アクティブノイズコントロール」、第1版、株式会社コロナ社、2006年7月7日、p.67−69、p.89−91
しかしながら、マルチチャンネル型の能動騒音制御装置にあっては、騒音源が移動したり複数ある場合には、演算が複雑化したり演算量が膨大となったりするおそれがある。このため、騒音が制御点に到達する前に演算が終了しない場合や、因果律を満たさない場合がある。
一方、シングルチャンネル型の能動騒音制御装置は、マルチチャンネル型の制御装置に比べて、演算負荷が小さくて因果律を満たしやすい傾向にある。このため、移動音源や複数音源に対してシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を複数羅列することも考えられるが、この場合には、各能動騒音制御装置が互いの消音効果を打ち消しあうことがある。例えば、1つの騒音が2つ以上の参照マイクに入力される場合には、各能動騒音制御装置が、他の制御点での騒音を考慮せずに、各制御点における騒音をそれぞれ小さくするように制御音を出力するので、結果、消音効果を奏することができなくなる。
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、効率的かつ効果的な能動騒音制御を行えるように参照マイクの参照信号を加工することができる参照信号加工装置、当該参照信号装置を有する能動騒音制御装置及び能動騒音制御システムを提供することを目的とする。
すなわち本発明に係る能動騒音制御システムは、騒音を検出する1の参照マイクから出力された参照信号に基づいて生成した1の制御音を制御点へ出力する能動騒音制御装置を複数備える能動騒音制御システムであって、前記参照信号を加工する参照信号加工装置が前記参照マイク間に接続されており、前記参照信号加工装置は、複数の前記参照マイクの出力側に接続され、1の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分を低減するように他の前記参照マイクの前記参照信号を加工するとともに、他の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分を低減するように1の前記参照マイクの前記参照信号を加工し、因果律の関係から騒音に最も近接される参照マイクに接続された能動騒音制御装置のみを動作させる信号加工手段を有することを特徴として構成される。
本発明に係る能動騒音制御システムでは、シングルチャンネル型の能動騒音制御装置の参照マイク間に上述した参照信号加工装置が接続されているので、例えば、1つの騒音が2つ以上の参照マイクに入力される場合であっても、因果律の関係から騒音に最も近接される参照マイクに接続された能動騒音制御装置のみを動作させることができる。このため、能動騒音制御の効率化を図ることが可能となるとともに、移動音源や複数の騒音源から出力される騒音を効果的に消音することができる。また、本発明に係る能動騒音制御システムによれば、1の参照マイクの参照信号と相関のある信号成分を低減するように、他の参照マイクの参照信号を加工することができる。信号加工手段により、1の参照マイク以外となる他の参照マイクの参照信号が、1の参照マイクの参照信号との相関に基づいて加工されるため、因果律の関係から騒音を最初に検出した参照マイクの参照信号のみが当該騒音を打ち消す能動騒音制御系の入力信号とされることが可能となる。このため、例えば、騒音を2つ以上の参照マイクで検出する場合であっても、因果律の関係から騒音源に最も近接される参照マイクの参照信号を入力とする能動騒音制御系のみを実行させることができるので、能動騒音制御の効率化を図ることが可能となる。
ここで、前記信号加工手段は、1の前記参照マイクの出力側の信号を入力とする第1適応フィルタと、前記第1適応フィルタを通過した後の信号を、他の前記参照マイクの前記参照信号に加算又は他の前記参照マイクの前記参照信号から減算する第1演算器と、前記第1演算器の演算によって他の前記参照マイクの前記参照信号のうち1の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分が低減されるように前記第1適応フィルタを更新する第1適応フィルタ更新手段と、他の前記参照マイクの出力側の信号を入力とする第2適応フィルタと、前記第2適応フィルタを通過した後の信号を、1の前記参照マイクの前記参照信号に加算又は1の前記参照マイクの前記参照信号から減算する第2演算器と、前記第2演算器の演算によって1の前記参照マイクの前記参照信号のうち他の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分が低減されるように前記第2適応フィルタを更新する第2適応フィルタ更新手段と、有することが好適である。
このように構成することで、1の参照マイクの出力側の信号を入力とする前記適応フィルタを用いて、他の参照マイクの参照信号のうち1の参照マイクの参照信号と相関のある信号成分が低減されるため、因果律の関係から騒音源に最も近接される参照マイクの参照信号を入力とする能動騒音制御系のみを実行させることができる。
また、前記第1適応フィルタは、1の前記参照マイクの前記参照信号を入力とし、前記第2適応フィルタは、他の前記参照マイクの前記参照信号を入力とすることが好適である。このように構成することで、1の参照マイクの参照信号を入力とする前記適応フィルタを用いて、他の参照マイクの参照信号のうち1の参照マイクの参照信号と相関のある信号成分が減少されるように、フィードフォワード型の制御で他の参照マイクの参照信号を加工することができる。
また、第1適応フィルタは、1の前記参照マイクから出力される前記参照信号であって、他の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分を低減するように1の前記参照マイクの前記参照信号を加工する加工処理後の前記参照信号を入力とし、前記第2適応フィルタは、他の前記参照マイクから出力される前記参照信号であって、1の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分を低減するように他の前記参照マイクの前記参照信号を加工する加工処理後の前記参照信号を入力とすることが好適である。
このように構成することで、1の参照マイクの参照信号であって他の参照マイクの参照信号と相関のある信号成分を低減した加工処理後の参照信号を入力とする前記適応フィルタを用いて、他の参照マイクの参照信号のうち1の参照マイクの参照信号と相関のある信号成分が減少されるように、フィードバック型の制御で他の参照マイクの参照信号を加工することができる。
さらに、前記第1適応フィルタ更新手段は、前記第1適応フィルタの収束演算を、前記能動騒音制御装置に用いられる適応フィルタの収束演算の収束速度よりも速い収束速度で実行し、前記第2適応フィルタ更新手段は、前記第2適応フィルタの収束演算を、前記能動騒音制御装置に用いられる適応フィルタの収束演算の収束速度よりも速い収束速度で実行することが好適である。このように構成することで、信号加工手段により他の参照マイクの参照信号のうち1の参照マイクの参照信号と相関のある信号成分が減少されるように加工した他の参照信号を能動騒音制御系の入力信号とすることができる。
本発明によれば、効率的かつ効果的な能動騒音制御を行えるように参照マイクの参照信号を加工することができる。
第1実施形態に係る参照信号加工装置の模式図である。 第1実施形態に係る参照信号加工装置の模式図である。 第1実施形態に係る能動騒音制御装置を有する能動騒音制御システムの概要図である。 第1実施形態に係る参照信号加工装置の回路図である。 第1実施形態に係る参照信号加工装置の回路図である。 第1実施形態に係る参照信号加工装置の回路図である。 第1実施形態に係る参照信号加工装置の回路図である。 第1実施形態に係る参照信号加工装置の効果を説明する概要図である。 第2実施形態に係る能動騒音制御装の模式図である。 第2実施形態に係る能動騒音制御装の模式図である。 シミュレーション対象の能動騒音制御装置の概要図である。 実施例における能動騒音制御装置のシミュレーション結果である。 実施例における能動騒音制御装置のシミュレーション結果である。 比較例の能動騒音制御装置のシミュレーション結果である。 シミュレーション対象の能動騒音制御装置の概要図である。 実施例における能動騒音制御装置のシミュレーション結果である。 比較例における能動騒音制御装置のシミュレーション結果である。 実験環境を説明するための概要図である。 比較例における能動騒音制御装置の実験結果である。 実施例における能動騒音制御装置の実験結果である。 実施例における能動騒音制御装置の実験結果である。 比較例における能動騒音制御装置の実験結果である。 比較例における能動騒音制御装置の実験結果である。 実施例における能動騒音制御装置の実験結果である。 比較例における能動騒音制御装置の実験結果である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明者は、ある騒音源に対して最も近接する参照マイクに対応するスピーカにより能動的に騒音が制御され、他の参照マイクに対応するスピーカでは当該騒音が制御されないように能動騒音制御系を動作させる参照信号加工装置を発明し、実験によりその効果を確認するに至った。具体的には、本発明に係る参照信号加工装置として、フィードフォワード型及びフィードバック型の2通りの構成を発明した。これらの参照信号加工装置を、シングルチャンネル型の能動騒音制御装置を複数有する能動騒音制御システム、又はマルチチャンネル型の能動騒音制御装置に備えることで、因果律の関係から、能動騒音制御系の制御に不要となる参照信号を除去することが可能となる。以下詳細を説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る能動騒音制御システムは、シングルチャンネル型の能動騒音制御装置の参照マイク間に参照信号加工装置を設けたものである。
最初に、フィードフォワード型の参照信号加工装置の動作原理について説明する。なお、参照マイク間に接続される各参照信号加工装置は同一に構成することができるため、以下では説明理解の容易性を考慮して、2つの参照マイク間に接続される参照信号加工装置を例にして説明する。図1は、本実施形態に係るフィードフォワード型の参照信号加工装置を備える能動騒音制御システムの概略図である。
図1に示すように、能動騒音制御システムは、参照マイクR1に接続された能動騒音制御フィルタW1を有するシングルチャンネル型の能動騒音制御装置、及び、参照マイクR2に接続された能動騒音制御フィルタW2を有するシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を有しており、加工用制御フィルタR12、R21及び加算器を有する参照信号加工装置が参照マイクR1、R2に接続されている。ここで、騒音源は、騒音N1を出力する第1騒音源、騒音N2を出力する第2騒音源の2つが存在するものとする。参照マイクR1は第2騒音源よりも第1騒音源の近くに配置されて騒音N1を制御対象とし、参照マイクR2は第1騒音源よりも第2騒音源の近くに配置され、騒音N2を制御対象としているものとする。第1騒音源、第2騒音源から参照マイクR1、R2までの伝達特性をそれぞれM11、M22とする。一方、参照マイクR1には、制御対象の騒音N1以外に騒音N2が入力され、参照マイクR2には、制御対象の騒音N2以外に騒音N1が入力されるものとする。第1騒音源、第2騒音源から参照マイクR2、R1までの伝達特性をそれぞれM12、M21とする。
加工用制御フィルタR12は、参照マイクR1の参照信号を入力してフィルタ係数に基づいて信号処理し、処理後の信号を参照マイクR2と能動騒音制御フィルタW2の間に設けられた加算器へ出力する。加算器では、参照マイクR2の参照信号と、加工用制御フィルタR12を通過した後の信号とが加算され、能動騒音制御フィルタW2の入力信号とされる。同様に、加工用制御フィルタR21は、参照マイクR2の参照信号を入力してフィルタ係数に基づいて信号処理し、処理後の信号を参照マイクR1と能動騒音制御フィルタW1の間に設けられた加算器へ出力する。加算器では、参照マイクR1の参照信号と、加工用制御フィルタR21を通過した後の信号とが加算され、能動騒音制御フィルタW1の入力信号とされる。この場合、能動騒音制御システムの特性を行列式で表すと以下の式となる。

なお、行列Nは騒音、行列Mは騒音源から参照マイクまでの伝達特性、行列Rは加工用制御フィルタの特性、Wは能動騒音制御フィルタの特性である。

式2を満たすように行列Rを設定することにより、参照マイクR1、R2に制御対象以外の騒音N2、N1がそれぞれ入力された場合であっても、参照信号加工装置が除去することができる。
ここで、行列Rが解を持つためには、式1及び式2より、以下の式が0に収束する必要がある。

すなわち上記式を満たす行列Rは、以下の式3で表すことができる。

式3が恒等的に解を持つためには、M12=0又はM21=0が成り立つ必要がある。例えば、M21=0の場合、式3は以下のように変形することができる。


上記より、M12=0又はM21=0の場合、すなわち、騒音N1は参照マイクR1及び参照マイクR2に到達し、騒音N2は参照マイクR2のみに到達する場合、又は、騒音N1は参照マイクR1のみに到達し、騒音N2は参照マイクR1及び参照マイクR2に到達する場合には、参照信号加工装置が有効に機能する。
ここで、参照マイクR1は第2騒音源よりも第1騒音源の近くに配置され、参照マイクR2は第1騒音源よりも第2騒音源の近くに配置されているため、距離減衰を考慮するとM12<M11やM21<M22が成り立つと考えられる。このため、M21・M12<<M11・M22として、式3により、以下の式5が成立する。

同様に、R21は、以下の式6のように変形することができる。

以上、式4及び式6に示すように、M21・M12<<M11・M22を満たす場合には、加工用制御フィルタR12、R21が恒等的に解を持ち、参照信号間で相関がある信号成分を除去することが可能となる。
次に、フィードバック型の参照信号加工装置の動作原理について説明する。なお、参照マイク間に接続される各参照信号加工装置は同一に構成することができるため、以下では説明理解の容易性を考慮して、2つの参照マイク間に接続される参照信号加工装置を例にして説明する。図2は、本実施形態に係るフィードバック型の参照信号加工装置を備える能動騒音制御システムの概略図である。
図2に示すように、能動騒音制御システムは、図1に示す能動騒音制御システムとほぼ同様に構成されており、加工用制御フィルタの接続先が相違する。すなわち、加工用制御フィルタR12は、参照マイクR1と能動騒音制御フィルタW1の間に設けられた加算器による演算後の信号を入力してフィルタ係数に基づいて信号処理し、処理後の信号を参照マイクR2と能動騒音制御フィルタW2との間に設けられた加算器へ出力する。加工用制御フィルタR21は、参照マイクR1と能動騒音制御フィルタW1の間に設けられた加算器による演算後の信号を入力してフィルタ係数に基づいて信号処理し、処理後の信号を参照マイクR1と能動騒音制御フィルタW1との間に設けられた加算器へ出力する。この場合、能動騒音制御システムの特性を行列式で表すと以下の式となる。

なお、行列Nは騒音、行列Mは騒音源から参照マイクまでの伝達特性、行列Rは加工用制御フィルタの特性、Wは能動騒音制御装置の特性である。
式7を変形すると、式8となる。

よって、以下の行列式を満たすように行列Rを設定することにより、参照マイクR1、R2に制御対象以外の騒音N2、N1がそれぞれ入力された場合であっても、参照信号加工装置が除去することができる。


ただし、フィードバック型の制御であるため、加工用制御フィルタの特性は以下の行列で表される
また式8及び式9により、以下の関係が成り立つ。

ここで、行列Rが解を持つためには、上記式より、以下の式が0に収束する必要がある。

すなわち以下の式10を満たす必要がある。

上記式を変形すると以下の行列式となる。


行列式11が恒等的に解を持つためには、以下に示す関係となればよい。

以上、加工用制御フィルタR12、R21が恒等的に解を持ち、参照信号間で相関がある信号成分を除去することが可能となる。このように、フィードバック型の参照信号加工装置は、距離減衰を考慮せずとも参照信号加工装置が有効に機能する。
なお、上述した原理においては、参照マイクそれぞれに近接する騒音源が存在する場合を説明したが、何れか一方の参照マイク側にのみ騒音源が存在する場合も考えられる。この場合には上記式において騒音を示す行列Nの一方の要素が0となるため、計算過程においてM11及びM12、あるいはM22及びM21が消去され、フィードバック型、フィードフォワード型ともに恒等的に解を持ち、参照信号加工装置が有効に機能する。
次に、本実施形態に係る参照信号加工装置を有する能動騒音制御システムの詳細な構成について説明する。この能動騒音制御システムは、騒音に対して制御音を出力し位相干渉させてキャンセルする、いわゆるアクティブノイズコントロールを行うシステムである。図3は、本実施形態に係る能動騒音制御システムの構成を示す概略図である。図3に示すように、能動騒音制御システム1は、制御点Pn(n:整数)での騒音を低減する能動騒音制御装置Unを備えて構成されている。能動騒音制御装置Unは、例えば騒音源Nの移動方向(図上下方向)に沿って並設されており、騒音源Nが出力する騒音を制御点Pnでキャンセルする機能を有している。
能動騒音制御装置Unは、参照マイクRn、能動騒音制御フィルタWn、制御スピーカSnを備えており、いわゆるシングルチャネル型の能動騒音制御装置である。なお、図中では省略しているが、能動騒音制御フィルタWnは、例えばDSP(Digital Signal Processor)装置内に備わるものである。DSPは、デジタル信号処理を高速に行うことができるアプリケーションプロセッサのことであり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、アクセラレータ、A/D(Analog/Digital)変換回路、D/A(Digital/Analog)変換回路、信号増幅回路、ハウリング抑制回路等を有している。
参照マイクRnは、騒音源Nから出力された騒音に対応して信号(参照信号)を出力する機能を有している。参照マイクRnは、能動騒音制御フィルタWnに接続されている。
能動騒音制御フィルタWnは、設定されたフィルタ係数に基づいて、参照マイクRnから入力した参照信号に対して信号処理を行って制御スピーカSnの制御信号を生成する機能を有している。能動騒音制御フィルタWnのフィルタ係数は、生成する制御信号が制御点Pnでの騒音を低減するように設定されている。なお、適応アルゴリズムによって能動騒音制御フィルタWnが有するフィルタ係数を自動的に調整し更新する構成を有していても良い。例えば、適応アルゴリズムとしてLMS(Least Mean Square algorithm)が用いられる。
制御スピーカSnは、騒音を打ち消すための制御音を出力する音源である。制御スピーカSnは、能動騒音制御フィルタWnと接続されており、能動騒音制御フィルタWnから出力された制御信号に応じて制御音を出力する機能を有している。
上述した構成の能動騒音制御装置Unによれば、騒音源Nから出力された騒音が参照マイクRnに到達すると、参照マイクRnにより参照信号が出力され、能動騒音制御フィルタWnにより参照信号に基づいて制御信号が生成され、制御スピーカSnにより制御信号に基づいて制御音が出力され、出力された制御音が制御点Pnでの騒音と位相干渉して消音される。
ここで、本実施形態に係る能動騒音制御システム1は、移動音源や複数の騒音源から出力される騒音を効果的に消音するために、参照信号加工装置を備えている。参照信号加工装置は、例えば図3に示すように、騒音源Nから出力される騒音が参照マイクR1に到達するとともに参照マイクR2にも到達する場合(実線及び点線)等、複数の参照マイクに騒音源からの騒音が到達する場合に好適に採用される。
参照信号加工装置は、能動騒音制御装置Unが有する参照マイクRn間に接続され、参照マイクRnの参照信号を加工する機能を有している。なお、参照マイクRn間に接続される各参照信号加工装置は同一に構成することができるため、以下では説明理解の容易性を考慮して、参照マイクR1と参照マイクR2との間に接続される参照信号加工装置を例にして説明する。
まず、図4を用いて、参照信号加工装置がフィードフォワード型の加工処理を行う場合を説明する。図4は、参照信号加工装置が有する制御回路を示す回路図である。
図4に示すように、参照信号加工装置が有する制御回路(信号加工手段)K1は、参照マイクR1の参照信号x1(t)を加工する回路であって、参照信号キャンセル部RC1を備えている。そして、制御回路K1は、参照信号x1(t)のうち参照信号x2(t)と相関のある成分を除去する機能を有している。一方、参照信号加工装置が有する制御回路(信号加工手段)K2は、参照マイクR2の参照信号x2(t)を加工する回路であって、参照信号キャンセル部RC2及び加算器を備えている。そして、制御回路K2は、参照信号x2(t)のうち参照信号x1(t)と相関のある成分を除去する機能を有している。なお、参照信号キャンセル部RC1、RC2が有する機能は、それぞれ同様であって、入出力先のみが相違するものである。このため、以下では説明理解の容易性を考慮して、制御回路K2を例に説明する。
制御回路K2の参照信号キャンセル部RC2は、参照マイクR1の出力側に接続されており、参照マイクR1の参照信号x1(t)を入力して信号処理する機能を有している。例えば、参照信号キャンセル部RC2は、参照信号x1(t)を加工する加工用制御フィルタ(適応フィルタ)を備えている。加工用制御フィルタは、フィルタ係数に基づいて、参照信号x1(t)に対して信号処理を行って信号b2(t)を生成し、加算器(演算器)へ出力する機能を有している。
制御回路K2の加算器は、参照マイクR2と能動騒音制御フィルタW2との間に設けられており、参照マイクR2の参照信号x2(t)と参照信号キャンセル部RC2を通過した後の信号b2(t)とを加算して、信号c2(t)を生成する機能を有している。これにより、能動騒音制御フィルタW2の入力信号は、参照信号x2(t)を加工した後の信号c2(t)となる。なお、加算器は、和算機能を有しているため、負の値を加算する場合には減算となる。
また、参照信号キャンセル部RC2は、適応アルゴリズムによって加工用制御フィルタが有するフィルタ係数を自動的に調整し更新する構成を有している(適応フィルタ更新手段)。例えば、適応アルゴリズムとしてLMS(Least Mean Square algorithm)が用いられる。LMSにより、参照信号x2(t)及び信号c2(t)に基づいて、参照信号x2(t)のうち、参照マイクR1の参照信号x1(t)と相関のある信号成分が低減されるように、フィルタ係数が収束演算される。
このように構成された制御回路K2は、参照マイクR1の参照信号x1(t)に基づいて、参照マイクR2の参照信号x2(t)のうち参照信号x1(t)と相関のある信号成分を除去するように機能する。また、制御回路K1は、上述した制御回路K2と同様に構成されており、参照マイクR2の参照信号x2(t)に基づいて、参照マイクR1の参照信号x1(t)のうち参照信号x2(t)と相関のある信号成分を除去するように機能する。このため、制御回路K1、K2は、因果律の関係から、複数の参照マイクのうち騒音源に最も近接された参照マイクから出力される参照信号のみが能動騒音制御装置の入力信号として残るように機能する。例えば、騒音源が参照マイクR2よりも参照マイクR1に近接する場合には、参照マイクR1の参照信号x1(t)のみが能動騒音制御装置の入力信号とされる。他方、騒音源が参照マイクR1よりも参照マイクR2に近接する場合には、参照マイクR2の参照信号x2(t)のみが能動騒音制御装置の入力信号とされる。すなわち、上記構成を有することにより、参照信号加工装置は、騒音源の位置を陽に判断することなく、騒音源に最も近接された参照マイクに対応した能動騒音制御装置に対してのみ、当該騒音を低減させるために必要な入力信号を提供するように動作することができる。
次に、図5を用いて、参照信号加工装置がフィードバック型の加工処理を行う場合を説明する。図5は、参照信号加工装置が有する制御回路を示す回路図である。
図5に示すように、参照信号加工装置が有する制御回路K1は、参照マイクR1の参照信号x1(t)を加工する回路であって、参照信号キャンセル部RC1を備えている。一方、参照信号加工装置が有する制御回路K2は、参照マイクR2の参照信号x2(t)を加工する回路であって、参照信号キャンセル部RC2及び加算器を備えている。
制御回路K1は、参照信号x1(t)のうち参照信号x2(t)と相関のある成分を除去する機能を有している。一方、制御回路K2は、参照信号x2(t)のうち参照信号x1(t)と相関のある成分を除去する機能を有している。制御回路K1及び制御回路K2は、一方の制御回路により加工した信号を他方の制御回路の入力信号に含むように接続されている。すなわち、制御回路K1、K2は、自己の演算結果を自己の制御回路の入力信号に含むため、フィードバック型の制御回路といえる。上述したフィードフォワード型の参照信号加工装置においては制御回路K1、K2のそれぞれが1つの参照信号加工手段として機能するのに対して、フィードバック型の参照信号加工装置においては、制御回路K1、K2の2つの制御回路が1つの信号加工手段として機能する。
まず、制御回路K2を説明する。参照信号キャンセル部RC2は、参照マイクR2の出力側であって、制御回路K1の加算器と能動騒音制御フィルタW1との間に接続されている。そして、参照信号キャンセル部RC2は、制御回路K1の加算器により加算された後の信号c1(t)を入力して信号処理する機能を有している。例えば、参照信号キャンセル部RC2は、信号c1(t)を加工する加工用制御フィルタ(適応フィルタ)を備えている。加工用制御フィルタは、フィルタ係数に基づいて、信号c1(t)に対して信号処理を行って信号b2(t)を生成し、加算器へ出力する機能を有している。
制御回路K2の加算器は、参照マイクR2と能動騒音制御フィルタW2との間に設けられており、参照マイクR2の参照信号x2(t)と参照信号キャンセル部RC2を通過した後の信号b2(t)とを加算して信号c2(t)を生成する機能を有している。これにより、能動騒音制御フィルタW2の入力信号は、参照信号x2(t)を加工した後の信号c2(t)となる。なお、加算器は、和算機能を有しているため、負の値を加算する場合には減算となる。
また、参照信号キャンセル部RC2は、適応アルゴリズムによって加工用制御フィルタが有するフィルタ係数を自動的に調整し更新する構成を有している(適応フィルタ更新手段)。例えば、適応アルゴリズムとしてLMSが用いられる。LMSにより、参照信号x2(t)及び信号c2(t)に基づいて、参照信号x2(t)のうち、参照マイクR1の参照信号x1(t)と相関のある信号成分が低減されるように、フィルタ係数が収束演算される。
次に、制御回路K1を説明する。参照信号キャンセル部RC1は、参照マイクR1の出力側であって、制御回路K2の加算器と能動騒音制御フィルタW2との間に接続されている。そして、参照信号キャンセル部RC1は、制御回路K2の加算器により加算された後の信号c2(t)を入力して信号処理する機能を有している。例えば、参照信号キャンセル部RC1は、加工用制御フィルタ(適応フィルタ)を備えている。加工用制御フィルタは、フィルタ係数に基づいて、信号c2(t)に対して信号処理を行って信号b1(t)を生成し、加算器へ出力する機能を有している。
制御回路K1の加算器は、参照マイクR1と能動騒音制御フィルタW1との間に設けられており、参照マイクR1の参照信号x1(t)と参照信号キャンセル部RC1を通過した後の信号b1(t)とを加算して信号c1(t)を生成する機能を有している。これにより、能動騒音制御フィルタW1の入力信号は、参照信号x1(t)を加工した後の信号c1(t)となる。なお、加算器は、和算機能を有しているため、負の値を加算する場合には減算となる。
また、参照信号キャンセル部RC1は、適応アルゴリズムによって加工用制御フィルタが有するフィルタ係数を自動的に調整し更新する構成を有している(適応フィルタ更新手段)。例えば、適応アルゴリズムとしてLMSが用いられる。LMSにより、参照信号x1(t)及び信号c1(t)に基づいて、参照信号x1(t)のうち、参照マイクR2の参照信号x2(t)と相関のある信号成分が低減されるように、フィルタ係数が収束演算される。
このように、制御回路K1、K2は、自らの出力結果を含む信号c2(t)、c1(t)に基づいてフィードバック型の制御で、参照信号x1(t)、x2(t)を加工することができるように構成されている。すなわち、制御回路K2は、制御回路K1により加工された後の参照マイクR1の参照信号x1(t)に基づいて、参照マイクR2の参照信号x2(t)のうち参照信号x1(t)と相関のある信号成分を除去するように機能する。また、制御回路K1は、制御回路K2により加工された後の参照マイクR2の参照信号x2(t)に基づいて、参照マイクR1の参照信号x1(t)のうち参照信号x2(t)と相関のある信号成分を除去するように機能する。このように、制御回路K1、K2は、複数の参照マイクのうち、因果律の関係から、騒音に最も近接された参照マイクの参照信号のみが能動騒音制御装置の入力信号として残るように機能する。例えば、騒音源が参照マイクR2よりも参照マイクR1に近接する場合には、参照マイクR1の参照信号x1(t)のみが能動騒音制御装置の入力信号とされる。他方、騒音源が参照マイクR1よりも参照マイクR2に近接する場合には、参照マイクR2の参照信号x2(t)のみが能動騒音制御装置の入力信号とされる。すなわち、上記構成を有することにより、参照信号加工装置は、騒音源の位置を陽に判断することなく、騒音源に最も近接された参照マイクに対応した能動騒音制御装置に対してのみ、当該騒音を低減させるために必要な入力信号を提供するように動作することができる。なお、上述したように、フィードバック型の参照信号加工装置においては、例えば制御回路K1の加算器により加工された信号が制御回路K2の入力信号とされるが、参照マイクR1側にのみ騒音源が存在する場合も考えられる。この場合には、制御回路K2の入力信号は、制御回路K1の加算器により0を加算された信号となり、処理上はフィードフォワード型の参照信号加工装置と同様に機能することとなる。
次に、本実施形態に係る参照信号加工装置が有する加工用制御フィルタの収束速度について説明する。図6は、能動騒音制御システムの構成を示す概要図である。能動騒音制御システムに備わる参照信号加工装置は、フィードフォワード型、フィードバック型の何れでも良いため、説明理解の容易性を考慮して、フィードフォワード型の参照信号加工装置が設けられている場合を説明する。
図6に示すように、能動騒音制御システムは、ほぼ同一に構成された2つの能動騒音制御装置を有している。なお、2つの能動騒音制御装置の構成は同一であるので、参照マイクR1を有する能動騒音制御装置を中心に説明する。能動騒音制御装置は、シングルチャネル型の制御装置であって、参照マイクR1の参照信号に基づいて制御スピーカS1から制御音を出力して制御点P1の騒音を低減させるものである。また、能動騒音制御装置は、制御点P1での音を検出する誤差マイクE1を有しており、参照マイクR1の参照信号及び誤差マイクE1の検出信号に基づいて、誤差マイクE1の検出信号が最小となるように、能動騒音制御フィルタW1のフィルタ係数を収束演算するLMSを有している。そして、参照マイクR1は、参照マイクR2に比べて騒音源の近くに配置されている。
また、参照マイクR1、R2間には、図4に示す制御回路K2を有する参照信号加工装置が接続されている。参照信号キャンセル部RC2は、LMSにより、加工用制御フィルタのフィルタ係数を収束演算する機能を有している。
このように構成された能動騒音制御システムにおいては、騒音源から騒音が出力されると、参照マイクR1に最初に到達し、その後、参照マイクR2に到達する。そして、制御回路K2のLMSが加工用制御フィルタを収束演算する。一方、能動騒音制御装置のLMSは、参照マイクR2の参照信号及び誤差マイクE2の検出信号に基づいて能動騒音制御フィルタW2のフィルタ係数を収束演算する。
すなわち、能動騒音制御フィルタW2の収束演算が終了する前に加工用制御フィルタの収束演算を終了させて参照マイクR2の参照信号を除去しなければ、制御対象としていない騒音を打ち消すように能動騒音制御フィルタW2を調整するため、不要な制御音を出力することとなる。このため、参照信号加工装置の加工用制御フィルタの収束演算速度は、接続する能動騒音制御装置の能動騒音制御フィルタの収束演算速度よりも速く設定される。例えば、加工用制御フィルタの収束演算のステップ数等を、接続する能動騒音制御装置に係る能動騒音制御フィルタの収束演算のステップ数等に応じて決定することで、参照信号加工装置の加工用制御フィルタの収束演算速度を、接続する能動騒音制御装置の能動騒音制御フィルタの収束演算速度よりも速く設定できる。
次に、本実施形態に係る参照信号加工装置の接続形態について説明する。この参照信号加工装置は、フィードフォワード型、フィードバック型の何れでも良いため、説明理解の容易性を考慮して、フィードフォワード型の参照信号加工装置について説明する。例えば、能動騒音制御システムが、3以上のシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を有する場合、全ての参照マイク間に参照信号加工装置が接続される。また、図7に示すように、隣り合う参照マイク間に参照信号加工装置が接続されてもよい。すなわち、複数のシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を有する場合、少なくとも隣り合う参照マイク間に参照信号加工装置が接続されればよい。この場合、2つのシングルチャンネル型の能動騒音制御装置及び参照信号加工装置を有する能動騒音制御システムを、周期的に結合した構成となる。
次に、本実施形態に係る能動騒音制御システムの作用効果について説明する。図8は、シングルチャンネル型の能動騒音制御装置を2つ配置した場合の制御音を説明するための概要図である。
まず、本実施形態に係る能動騒音制御システムと対比するために、参照信号加工装置を有さない場合を説明する。図8に示すように、騒音源Nから出力された騒音は、最初に騒音源に最も近接される参照マイクR1に到達する。そして、制御点P1で騒音が打ち消されるように制御スピーカS1から制御音C1が出力される。そして、制御音C1が制御点P1の騒音を低減する。一方、騒音源Nから出力された騒音は、参照マイクR1に到達するタイミングよりも遅れて参照マイクR2に到達する。そして、制御点P2で騒音が打ち消されるように制御スピーカS2から制御音C2が出力される。制御点P1では、制御音C1が既に適切に騒音を低減しているため、制御点P1に到達する制御音C2はノイズとなる。このように、シングルチャンネル型の能動騒音制御装置を複数配置する構成において、1つの騒音源の騒音を複数の参照マイクが検出した場合には、各能動騒音制御装置が独立して制御点での騒音を打ち消すように動作するため、結果、消音効果を奏することができない。
これに対して、本実施形態に係る能動騒音制御システムにおいては、参照マイクR1に到達するタイミングよりも遅れて参照マイクR2に到達した騒音は、参照信号加工装置によって能動騒音制御装置への出力前に電気的に除去される。このため、遅れて入力された騒音に対して制御スピーカS2から制御音が出力されない。よって、一方の能動騒音制御装置は他方の能動騒音制御装置から影響を受けることがないため、制御点P1において消音効果を奏することができる。
以上、第1実施形態に係る参照信号加工装置によれば、複数の参照マイクのうち1の参照マイクの参照信号と相関のある信号成分を低減するように、他の参照マイクの参照信号を加工することができる。制御回路K1、K2により、騒音源Nに最も近接される1の参照マイク以外となる他の参照マイクの参照信号が、騒音源Nに最も近接される1の参照マイクの参照信号との相関に基づいて加工されるため、因果律の関係から騒音を最初に検出した参照マイクの参照信号のみが当該騒音を打ち消す能動騒音制御系の入力信号とされることが可能となる。このため、例えば、1の騒音を2つ以上の参照マイクで検出する場合であっても、騒音源に最も近接された参照マイクの参照信号を入力とする能動騒音制御系のみを実行させることができるので、制御効果を高めるとともに制御範囲を広くすることができる。すなわち能動騒音制御の効率化を図ることが可能となる。また、例えば、2以上の騒音源が存在し、それぞれ参照マイクに対して複数の騒音を出力する場合であっても、1の騒音を2つ以上の参照マイクで検出する場合と同様に、各騒音源に最も近接された参照マイクの参照信号のみが能動騒音制御系の入力信号となるように、参照マイク間で互いに相関のある信号成分を除去することができる。
また、第1実施形態に係る参照信号加工装置によれば、1の参照マイクの参照信号に基づいて、他の参照マイクの参照信号のうち、1の参照マイクの参照信号と相関のある信号成分が減少されるように、フィードフォワード型の制御で他の参照マイクの参照信号を加工することができる。フィードフォワード型の制御により参照信号を加工するため、フィードバック型の制御に比べて高速な処理が可能となる。このため、高速で移動する騒音源に対しても有効に機能させることができる。
また、第1実施形態に係る参照信号加工装置によれば、複数の参照マイクのうち1の参照マイクから出力された参照信号に基づいて、当該参照信号と相関のある信号成分が減少されるように、フィードバック型の制御で後に出力される参照信号を加工することができる。また、フィードバック型の制御により参照信号を加工するため、フィードフォワード型の制御に比べて精度の良い処理が可能となる。さらに、フィードフォワード型の制御に比べて、伝達特性M21、M12の大小に関係なく加工用制御フィルタを定めることができるので、例えば、距離による減衰が起こりにくい騒音に対しても参照信号を加工することができる。例えば、線音源から出力される騒音や平面波の騒音に対して、適切に参照信号を加工することができる。
また、第1実施形態に係る参照信号加工装置によれば、加工用制御フィルタを更新するための収束演算を、参照信号を入力信号とする能動騒音制御における能動騒音制御フィルタW1、W2を更新するための収束演算の収束速度よりも速い収束速度で実行することにより、加工した参照信号を能動騒音制御の入力信号とすることができる。
また、第1実施形態に係る能動騒音制御システムによれば、羅列したシングルチャンネル型の能動騒音制御装置の参照マイク間に上述した参照信号加工装置が接続されているので、例えば、1つの騒音が2つ以上の参照マイクに入力される場合であっても、因果律の関係から騒音に最も近接される能動騒音制御装置のみを動作させることができる。このため、能動騒音制御の効率化を図ることが可能となるとともに、移動音源や複数の騒音源から出力される騒音を効果的に消音することができる。例えば、図3に示す騒音源が車両の場合において、道路に沿って配置されたシングルチャンネル型の能動騒音制御装置Unを効果的に効率良く機能させることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る能動騒音制御装置は、第1実施形態に係る能動騒音制御装置と比較して、マルチチャンネル型の能動騒音制御装置である点が相違する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と重複する部分は説明を省略する。
本実施形態に係る能動騒音制御装置は、複数の参照マイクの参照信号に基づいて制御点の騒音を制御するものである。そして、複数の参照マイク間には、参照信号加工装置が接続されている。この参照信号加工装置は、第1、第2実施形態に係る参照信号加工装置と同様である。また、参照信号加工装置の接続形態は、複数の参照マイクの全てにそれぞれ接続されてもよいし、隣り合う参照マイクに接続されてもよい。なお、以下では説明理解の容易性を考慮して、2つの参照マイクを有するマルチチャンネル型の能動騒音制御装置を説明する。
ここで、本実施形態に係る能動騒音制御装置に参照信号加工装置を動作させた場合の効果について説明する。図9は、本実施形態に係る能動騒音制御装置の構成を示す模式図である。
図9に示すように、能動騒音制御装置は、参照マイクR1、R2、誤差マイクE1、E2、参照マイクR1及び誤差マイクE1に接続された能動騒音制御フィルタW11、参照マイクR1及び誤差マイクE2に接続された能動騒音制御フィルタW12、参照マイクR2及び誤差マイクE2に接続された能動騒音制御フィルタW22、参照マイクR2及び誤差マイクE1に接続された能動騒音制御フィルタW21を備えている。ここで、騒音源は、騒音N1を出力する第1騒音源、騒音N2を出力する第2騒音源の2つが存在するものとする。参照マイクR1は第2騒音源よりも第1騒音源の近くに配置されており、参照マイクR2は第1騒音源よりも第2騒音源の近くに配置されているものとする。第1騒音源、第2騒音源から参照マイクR1、R2までの伝達特性をそれぞれM11、M22とする。一方、参照マイクR1には、制御対象の騒音N1以外に騒音N2が入力され、参照マイクR2には、制御対象の騒音N2以外に騒音N1が入力されるものとする。第1騒音源、第2騒音源から参照マイクR2、R1までの伝達特性をそれぞれM12、M21とする。また、第1騒音源から誤差マイクE1までの経路の伝達特性をT11、第1騒音源から誤差マイクE2までの経路の伝達特性をT12、第2騒音源から誤差マイクE1までの経路の伝達特性をT21、第2騒音源から誤差マイクE2までの経路の伝達特性をT22とする。
この場合、能動騒音制御装置の特性を行列式で表すと以下の式12となる。

なお、行列式Nは騒音、行列Mは騒音源から参照マイクまでの伝達特性、行列Wは制御フィルタの特性、Tは騒音源から誤差マイクまでの伝達特性である。式12が収束するためには、以下の式13を満たす必要がある。

式13をWについて解く。行列Mの逆行列を用いて式13は以下の式14に変形できる。

式14を行列要素で解くと、以下の式15となる。
ここで、図10に示すように、仮想的に誤差マイクE1に着目する。この場合、式15は以下の式16に変形できる。

図10では、最終的な能動騒音制御フィルタWはW11+W21であるので、式16を要素演算すると式17となる。

このように、制御フィルタは、参照マイクまでの伝達特性Mによる関数と、誤差マイクまでの伝達特性Tの関数で表すことができる。
ここで、図9に示すマルチチャンネル型の能動騒音制御装置において、参照マイクR1と参照マイクR2との間に、参照信号加工装置を接続した場合を説明する。この参照信号加工装置は、フィードフォワード型の参照信号加工装置又はフィードバック型の参照信号加工装置であって、どちらを用いてもよい。
この場合、M12・M21=0となるので、式15は以下の式18となる。

このように、参照信号加工装置を動作させることにより、制御フィルタの各要素の役割が明確となり、マルチチャンネル型の能動騒音制御処理を簡略化することが可能となる。
以上、第2実施形態に係る能動騒音制御装置によれば、マルチチャンネル型の能動騒音制御装置の参照マイク間に参照信号加工装置が接続されているので、例えば、1つの騒音が2つ以上の参照マイクに入力される場合であっても、各能動騒音制御フィルタの役割を明確にすることができるので、能動騒音制御の効率化を図ることが可能となるとともに、移動音源や複数の騒音源から出力される騒音を効果的に消音することができる。また、例えば、2以上の騒音源が存在し、それぞれ参照マイクに対して複数の騒音を出力する場合であっても、1の騒音を2つ以上の参照マイクで検出する場合と同様に、各騒音源に最も近接された参照マイクの参照信号のみが能動騒音制御系の入力信号となるように、参照マイク間で互いに相関のある信号成分を除去することができる。
なお、上述した各実施形態は本発明に係る参照信号加工装置、能動騒音制御装置及び能動騒音制御システムの一例を示すものである。本発明に係る参照信号加工装置、能動騒音制御装置及び能動騒音制御システムは、各実施形態に係る参照信号加工装置、能動騒音制御装置及び能動騒音制御システムに限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、各実施形態に係る参照信号加工装置、能動騒音制御装置及び能動騒音制御システムを変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上述した実施形態では、加工用制御フィルタ及び能動騒音制御フィルタとして何れも適応フィルタを用いる場合を例に説明したが、加工用制御フィルタとして固定フィルタを用いるとともに能動騒音制御フィルタとして適用フィルタを用いる場合、加工用制御フィルタとして適応フィルタを用いるとともに能動騒音制御フィルタとして固定フィルタを用いる場合、加工用制御フィルタ及び能動騒音制御フィルタとして何れも固定フィルタを用いる場合等、双方あるいは何れか一方のフィルタに固定フィルタを用いてもよい。
以下、上記効果を説明すべく本発明者が実施した実施例及び比較例について述べる。最初に、シミュレーション結果について述べる。
本発明者は、フィードバック型の参照信号加工装置の効果を確認するために、騒音源から参照マイクまでの経路において騒音が減衰しないという特殊な条件でシミュレーションした。
(実施例1)
第1実施形態に係る能動騒音制御装置に関してシミュレーションを行った。図11に示すシングルチャンネル型の能動騒音制御装置に図4に示すフィードフォワード型の参照信号加工装置を備えた能動騒音制御システムとした。騒音N1を出力する第1騒音源、騒音N2を出力する第2騒音源を設定した。騒音N1が参照マイクR1に到達する経路、及び、騒音N2が参照マイクR2に到達する経路においては、騒音源からの遅延を10サンプルとした(Z(10))。一方、騒音N1が参照マイクR2に到達する経路、及び、騒音N2が参照マイクR1に到達する経路においては、騒音源からの遅延を20サンプルとした(Z(20))。また、第1騒音源、第2騒音源から参照マイクR1、R2までの経路において、騒音N1、N2は減衰しないものとした。上記条件で、騒音N1、N2を出力し、第1騒音源、第2騒音源から制御点P1、P2までの伝達経路Z(50)の特性をシミュレーションした。結果を図12に示す。図12(A)は、参照マイクR1の参照信号、図12(B)は、参照信号加工装置の加工用制御フィルタの特性、図12(C)は、信号加工後の参照信号、図12(D)は、第1騒音源から制御点P1までの伝達経路Z(50)の特性を示すものである。それぞれのグラフは、横軸が時間、縦軸が信号レベルである。
(実施例2)
第1実施形態に係る能動騒音制御装置に関してシミュレーションを行った。図11に示すシングルチャンネル型の能動騒音制御装置に図5に示すフィードバック型の参照信号加工装置を備えた能動騒音制御システムとした。その他は、実施例1と同様とした。結果を図13に示す。図13(A)は、参照マイクR1の参照信号、図13(B)は、加工用制御フィルタの特性、図13(C)は、信号加工後の参照信号、図13(D)は、第1騒音源から制御点P1までの伝達経路Z(50)の特性を示すものである。それぞれのグラフは、横軸が時間、縦軸が信号レベルである。
(比較例1)
図11に示すシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を備えた能動騒音制御システムとした。参照信号加工装置を備えていない点以外は、実施例1、2と同様とした。結果を図14に示す。図14(A)は、参照マイクR1の参照信号、図14(B)は、第1騒音源から制御点P1までの伝達経路Z(50)の特性を示すものである。それぞれのグラフは、横軸が時間、縦軸が信号レベルである。
ここで、上述した実施例1(フィードフォワード型)、実施例2(フィードバック型)、比較例1(参照信号加工装置なし)のシミュレーション結果を考察する。図12(A)、図13(A)、図14(A)に示すように、実施例1、2及び比較例1において、参照信号の入力レベルは何れも±0.5であり同一である。
この場合、参照信号加工制御を行わない比較例1では、図14(B)に示すように、伝達経路Z(50)の信号レベルは、第2騒音源から入力された騒音N2の影響を受けて理想値1とならなかった。また、フィードフォワード型の参照信号加工制御を行う実施例1では、騒音源から参照マイクまでの経路において騒音が減衰しないような特殊な条件においては、図12(B)に示すように、加工用制御フィルタの信号レベルが理想値1とならずに0.5となった。そして、図12(C)に示すように、参照信号の加工後において、信号レベルが理想値±0.25とならずに±0.5となり、完全に相関信号成分を除去することができなかった。そして、図12(D)に示すように、比較例1に比べて伝達経路Z(50)の信号レベルが1に近づいたが、第2騒音源から入力された騒音N2の影響を受けてしまい、理想値1とならなかった。
これに対して、フィードバック型の参照信号加工制御を行う実施例2では、騒音源から参照マイクまでの経路において騒音が減衰しないような特殊な条件であっても、図13(B)に示すように、加工用制御フィルタの信号レベルは理想値1に近い値となった。図13(C)に示すように、参照信号の加工後において、参照信号の信号レベルが理想値±0.25に近い値となった。そして、図13(D)に示すように、実施例1、比較例1に比べて伝達経路Z(50)の信号レベルが理想値1に近い値となった。このように、フィードバック型の制御においては、距離減衰が無い騒音であっても、適切に参照信号間で相関のある信号成分を除去することができることが確認された。
次に、マルチチャンネル型の能動騒音制御装置に参照信号加工装置を適用した場合の効果を確認するために、以下の実施例3及び比較例2に示すシミュレーションを実施した。
(実施例3)
第2実施形態に係る能動騒音制御装置に関してシミュレーションを行った。図15に示すマルチチャンネル型の能動騒音制御装置に、図5に示すフィードバック型の参照信号加工装置を備えた能動騒音制御システムとした。騒音N1を出力する第1騒音源、騒音N2を出力する第2騒音源を設定した。騒音N1が参照マイクR1に到達する経路、及び、騒音N2が参照マイクR2に到達する経路においては、騒音源からの遅延を10サンプルとした(Z(10))。一方、騒音N1が参照マイクR2に到達する経路、及び、騒音N2が参照マイクR1に到達する経路においては、騒音源からの遅延を20サンプルとした(Z(20))。また、第1騒音源から参照マイクR1までの経路、第2騒音源から参照マイクR2までの経路では、反射波として遅延15サンプルとし減衰比を0.5とした(Z(15))。一方、第1騒音源から参照マイクR2までの経路、第2騒音源から参照マイクR1までの経路では、反射波として遅延25サンプルとし減衰比を0.5とした(0.5・Z(25))。上記条件で、騒音N1、N2を出力し、誤差マイクE1の検出結果をシミュレーションした。結果を図16に示す。
図16(A)は、参照マイクR1の参照信号、図16(B)は、加工用制御フィルタの特性、図16(C)は、信号加工後の参照信号、図16(D)は、第1騒音源から制御点P1までの伝達経路Z(50)の特性、図16(E)は、誤差マイクE1の検出結果を示すものである。それぞれのグラフは、横軸が時間、縦軸が信号レベルである。
(比較例2)
図15に示すマルチチャンネル型の能動騒音制御装置を備えた能動騒音制御システムとした。参照信号加工装置を備えていない点以外は、実施例3と同様とした。結果を図17に示す。図17(A)は、第1騒音源から制御点P1までの伝達経路Z(50)の特性、図17(B)は、誤差マイクE1の検出結果を示すものである。それぞれのグラフは、横軸が時間、縦軸が信号レベルである。
ここで、上述した実施例3(マルチチャンネル型かつフィードバック型の参照信号加工装置あり)、比較例2(マルチチャンネル型かつ参照信号加工装置なし)のシミュレーション結果を考察する。図16(A)に示すように、実施例3において、参照信号の入力レベルは±0.25であり、図示していないが比較例2も同様の結果となった。
この場合、図17(A)に示すように、参照信号加工制御を行わない比較例2では、伝達経路Z(50)の信号レベルが反射音の影響を受けて理想値1とならなかった。また、図17(B)に示すように、誤差マイクE1において消音できていないことが確認された。
これに対して、フィードバック型の参照信号加工制御を行う実施例3では、参照信号加工装置を動作させた結果、図16(B)に示すように、加工用制御フィルタの信号レベルが理想値1に近い値となった。そして、図16(C)に示すように、参照信号の加工後において、信号レベルが理想値±0.25に近い値となった。
そして、図16(D)に示すように、伝達経路Z(50)の信号レベルが理想値1に近づいた。さらに、図16(E)に示すように、誤差マイクE1において消音できていることが確認された。このように、マルチチャンネル型の能動騒音制御装置に本発明の参照信号加工装置を適用し、参照信号間で相関のある信号成分を除去することができることが確認された。
次に、測定結果について述べる。最初に、1つの騒音源から出力される騒音に対する信号加工装置の効果を確認するために、実施例4、比較例3、4に示す測定を行った。
(実施例4)
図18に示すシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を用いた。図18は、実験環境の概略図であり、図18(A)が実験環境を側方からみた図、図18(B)が実験環境を上方からみた図である。図18(A)に示すように、騒音源を模擬スピーカ(1次音源N1)で代用した。1次音源N1は、高さh(1240mm)の位置に固定した。参照マイクR1、制御スピーカである2次音源S1、誤差マイクE1を有するシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を設置した。参照マイクR1は、1次音源N1の設置点からd(300mm)離れた位置に設けた。2次音源S1は、1次音源N1の設置点からd(1200mm)離れた位置に設けた。誤差マイクE1は、2次音源S1の設置点からd(1500mm)離れた位置に設けた。そして、図18(B)に示すように、間隔W(1015mm)空けて、1次音源N1と同一構成の模擬スピーカ(1次音源N2)を並設した。また、参照マイクR1、2次音源S1、誤差マイクE1を有するシングルチャンネル型の能動騒音制御装置に対して、参照マイクR2、2次音源S2、誤差マイクE2を有するシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を並設した。参照マイクR1、R2は、距離W(200mm)離して並設した。実施例4では、図4に示すフィードフォワード型の参照信号加工装置を参照マイクR1、R2間に接続し、2次音源S1、S2を動作可能な状態とした(図20(A))。そして、1次音源N1から音を出力して、制御点近傍の消音効果を確認した。なお、消音効果の評価は、制御音を出力した場合としない場合において、音圧レベル(dB)の差とした。消音効果の評価を図20(B)、信号波形を図21に示す。
(比較例3)
図18に示すシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を用いた。2次音源S1を動作可能な状態とした(図19(A))。そして、1次音源N1から音を出力して、制御点近傍の消音効果を確認した。なお、消音効果の評価は、制御音を出力した場合としない場合において、音圧レベル(dB)の差とした。その他は実施例4と同様である。消音効果の評価を図19(B)に示す。
(比較例4)
図18に示すシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を用いた。2次音源S1、S2を動作可能な状態とした(図22(A))。そして、1次音源N1から音を出力して、制御点近傍の消音効果を確認した。なお、消音効果の評価は、制御音を出力した場合としない場合において、音圧レベル(dB)の差とした。その他は実施例4と同様である。消音効果の評価を図22(B)、信号波形を図23に示す。
図19(B)、図20(B)、図22(B)は、音圧レベル(dB)の差を濃淡で表現した図である。図19(B)に示すように、比較例3の能動騒音制御装置は、1次音源N1に対して2次音源S1を作動させることにより、誤差マイクE1を中心として良好な消音効果を奏することが確認された。一方、図22(B)に示すように、比較例4の能動騒音制御装置は、1次音源N1に対して2次音源S1、S2を作動させることにより、消音効果が低減することが確認された。すなわち、1つの騒音源に2つのシングルチャンネル型の能動制御装置が動作すると消音効果が低減することが確認された。
これに対して、図20(B)に示すように、実施例4の参照信号加工装置を作動させることにより、2つのシングルチャンネル型の能動制御装置を動作させた場合であっても、良好な消音効果を奏することが確認された。また、フィードフォワード型の参照信号加工装置を用いて消音効果を確認することができた。すなわち、現実には騒音の距離減衰が存在し、フィードフォワード型の参照信号加工装置が有効に機能することが確認された。
また、図21、図23は、参照マイクR1、R2、2次音源S1、S2の特性を示すものであり、横軸が時間、縦軸が信号レベルである。図23(A)、(B)に示すように、比較例4の能動騒音制御装置は、1次音源N1からの騒音を参照マイクR1、R2で検出した。そして、図23(C)、(D)に示すように、2次音源S1だけでなく、2次音源S2も制御音を出力した。このため、互いの騒音効果を打ち消しあって消音効果が低減された。これに対して、図21(A)、(B)に示すように、実施例4の能動騒音制御装置は、1次音源N1からの騒音を参照マイクR1、R2で検出した。そして、参照信号加工装置が参照マイクR2の参照信号から、参照マイクR1と相関のある信号成分が除去された。このため、図21(C)、(D)に示すように、2次音源S1のみ出力させて能動騒音制御することができることが確認された。
次に、複数の騒音源から出力される騒音に対する信号加工装置の効果を確認するために、実施例5、比較例5に示す測定を行った。
(実施例5)
実施例4と同様の構成とした。1次音源N1、N2から音を出力して、制御点近傍の消音効果を確認した。なお、消音効果の評価は、制御音を出力した場合としない場合において、音圧レベル(dB)の差とした。結果を図24に示す。
(比較例5)
図18に示すシングルチャンネル型の能動騒音制御装置を用いた。2次音源S1、S2を動作可能な状態とした(図22(A))。そして、1次音源N1、N2から音を出力して、制御点近傍の消音効果を確認した。なお、消音効果の評価は、制御音を出力した場合としない場合において、音圧レベル(dB)の差とした。その他は実施例5と同様である。結果を図25に示す。
図24、図25は、音圧レベル(dB)の差を濃淡で表現した図である。2つの騒音源に対して2つのシングルチャンネル型の能動制御装置を動作させる場合において、図24、図25を比較するとにより、フィードフォワード型の参照信号加工装置を備える場合には、参照信号加工装置を備えない場合に比べて良好な消音効果を奏することが確認された。
R1、R2…参照マイク、RC1…参照信号キャンセル部、K1、K2…制御回路(信号加工手段)、Sn…制御スピーカ。

Claims (5)

  1. 騒音を検出する1の参照マイクから出力された参照信号に基づいて生成した1の制御音を制御点へ出力する能動騒音制御装置を複数備える能動騒音制御システムであって、
    前記参照信号を加工する参照信号加工装置が前記参照マイク間に接続されており、
    前記参照信号加工装置は、
    複数の前記参照マイクの出力側に接続され、1の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分を低減するように他の前記参照マイクの前記参照信号を加工するとともに、他の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分を低減するように1の前記参照マイクの前記参照信号を加工し、因果律の関係から騒音に最も近接される参照マイクに接続された能動騒音制御装置のみを動作させる信号加工手段を有すること、
    を特徴とする能動騒音制御システム。
  2. 前記信号加工手段は、
    1の前記参照マイクの出力側の信号を入力とする第1適応フィルタと、
    前記第1適応フィルタを通過した後の信号を、他の前記参照マイクの前記参照信号に加算又は他の前記参照マイクの前記参照信号から減算する第1演算器と、
    前記第1演算器の演算によって他の前記参照マイクの前記参照信号のうち1の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分が低減されるように前記第1適応フィルタを更新する第1適応フィルタ更新手段と、
    他の前記参照マイクの出力側の信号を入力とする第2適応フィルタと、
    前記第2適応フィルタを通過した後の信号を、1の前記参照マイクの前記参照信号に加算又は1の前記参照マイクの前記参照信号から減算する第2演算器と、
    前記第2演算器の演算によって1の前記参照マイクの前記参照信号のうち他の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分が低減されるように前記第2適応フィルタを更新する第2適応フィルタ更新手段と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の能動騒音制御システム。
  3. 前記第1適応フィルタは、1の前記参照マイクの前記参照信号を入力とし、
    前記第2適応フィルタは、他の前記参照マイクの前記参照信号を入力とすること、
    を特徴とする請求項2に記載の能動騒音制御システム。
  4. 前記第1適応フィルタは、1の前記参照マイクから出力される前記参照信号であって、他の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分を低減するように1の前記参照マイクの前記参照信号を加工する加工処理後の前記参照信号を入力とし、
    前記第2適応フィルタは、他の前記参照マイクから出力される前記参照信号であって、1の前記参照マイクの前記参照信号と相関のある信号成分を低減するように他の前記参照マイクの前記参照信号を加工する加工処理後の前記参照信号を入力とすること、
    を特徴とする請求項2に記載の能動騒音制御システム。
  5. 前記第1適応フィルタ更新手段は、前記第1適応フィルタの収束演算を、前記能動騒音制御装置に用いられる適応フィルタの収束演算の収束速度よりも速い収束速度で実行し、
    前記第2適応フィルタ更新手段は、前記第2適応フィルタの収束演算を、前記能動騒音制御装置に用いられる適応フィルタの収束演算の収束速度よりも速い収束速度で実行すること、
    を特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の能動騒音制御システム。
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