JP5544063B2 - 組換えポリペプチドの生産のための発現ベクター、形質転換宿主細胞及び発酵方法 - Google Patents

組換えポリペプチドの生産のための発現ベクター、形質転換宿主細胞及び発酵方法 Download PDF

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Description

本発明は、シュードモナス・ジミヌタ(Pseudomonas diminuta)のgac遺伝子のシグナル配列及び対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、このような発現ベクターで形質転換された原核生物宿主細胞、及び前記宿主細胞と前記発現ベクターを使用する対象ポリペプチドの生産のための方法に関する。
原核生物宿主細胞における成熟組換えポリペプチドの効率的な直接生産のための方法を提供することが本発明の主題である。本発明に従った方法は、例えば、大腸菌(E.coli)における組換えヒトインターフェロンα2B(rhIFNα2B)の生産のために好都合に使用できる。
細菌細胞におけるヒト又は他の真核生物タンパク質の発現のような、原核微生物での組換えタンパク質の生産においては、できる限り100%に近く均一である、明らかに定義されたN末端を得ることがしばしば困難である。これは、アミノ酸配列が、多くの場合ヒト/動物において天然に生じるアミノ酸配列と同一であるべきである組換え医薬タンパク質に特に当てはまる。何らかの不均一性又は天然配列からの逸脱は、しかしながら、これらの生成物がしばしば異なる免疫学的(例えば抗体形成の誘導)及び薬理的(半減期、薬物動態)特性を示すので、多くの場合許容されない。これらの理由から、ほとんどの場合、同一の性質の生成物(均一でN末端に外来アミノ酸を持たない)を生産することが必要である。
例えばヒトでの、天然発現時に、使用される多くの医薬タンパク質は細胞外間隙へと輸送され、この目的のために前駆体タンパク質中に存在するシグナル配列の切断が、明らかに定義されたN末端を生じさせる。このような均一なN末端は、例えば細菌細胞では、いくつかの理由から必ずしも容易には生産されない。
原核微生物における全ての細胞質タンパク質の合成は、翻訳開始部位であり、且つメチオニンのコドンである、開始コドンATGの故にメチオニンから出発する。N末端メチオニンの後の2番目のアミノ酸の構造に依存して、このメチオニンは、宿主細胞のメチオニンアミノペプチダーゼ(MAP)によって切断遊離されて、Met又は2番目のアミノ酸のいずれかから始まる生成物の混合物を導き得る。これら2つの種の分離は非常に困難であり、低い収率を導く。ポリペプチドの組換え細胞質生産では、無視できない割合の(1−50%)のポリペプチドがMAPによって影響されないままであることが通例である。故に、細胞質Met発現系を用いた組換えポリペプチドの生産はしばしば極めて不都合である。
細胞質経路によって成熟組換えポリペプチドを生産するためのもう1つの可能性は、N末端融合タンパク質の生産と続く化学的又は酵素的インビトロ切断である。しかし、多くの場合融合タンパク質のN末端は酵素的切断では容易にアクセスできず、低い切断率又は全く切断不能をもたらす。これは、N末端が構造的にアクセスしにくいことによると考えられる。
加えて、組換えタンパク質は、原核微生物の細胞質において還元状態で発現され、これは、しばしば正しいタンパク質の折りたたみ及び機能のために必要なジスルフィド結合が形成されない又は正しく形成されないという作用を伴う。ジスルフィド結合を含む組換えポリペプチドは故に、困難なインビトロ酸化を必要とし得る。
また、細胞質発現はしばしば封入体の形成を導き、封入体は、実際の精製工程の前に、変性条件下で可溶化し、次いで天然構造へと再生しなければならない。
ペリプラズム発現は、他方で、所望特性を備えた生成物を直接生じ得る:
(i)宿主細胞のシグナルペプチダーゼ機構によるペリプラズムシグナル配列の切断による正しい成熟N末端
(ii)正しい折りたたみによる可溶性発現
(iii)ヒト細胞外液(この分子が天然で認められる)中で認められるものと非常に類似したペリプラズム内の酸化環境による正しいジスルフィド結合の形成。
従って、原核生物宿主細胞における組換え対象ポリペプチドの生産に適したペリプラズム発現系を提供することが本発明の目的である。
今や意外にも、本発明の範囲内で、シュードモナス・ジミヌタのグルタリル7−ACAアシラーゼ遺伝子(gac遺伝子)のシグナル配列及び対象ポリペプチドをコードする発現ベクターが、ポリペプチドの組換え生産のための工程における使用のために特に適することが見出された。
1つの側面では、本発明は、故に、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のシグナル配列及び(シュードモナス・ジミヌタのgac以外の)対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、前記シグナル配列と前記対象ポリペプチドは、適切な宿主細胞におけるポリヌクレオチドの発現時にシグナル配列が融合タンパク質から切断遊離されて、対象ポリペプチドが宿主細胞のペリプラズム内に放出されるように連結されている、発現ベクターに関する。
本発明によれば、様々な対象ポリペプチドが前記発現ベクターの使用によって生産できる。例えば対象ポリペプチドは、インターフェロン、インターロイキン、成長ホルモン、増殖因子、サイトカイン、酵素、酵素阻害物質、抗体及び抗体フラグメント等、例えばインターフェロンα2A、インターフェロンα2B、インターロイキン−3、インターロイキン−6、ヒト成長ホルモン、インスリン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、インターフェロンβ1、ウシソマトロピン、ブタソマトロピン、インターロイキン−11、インターロイキン−2、Fabフラグメント、及びカルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)又はグルカゴンなどの低分子量ペプチドから成る群より選択することができる。好ましくは、本発明の範囲内で、対象ポリペプチドは、組換えヒトインターフェロン2、特にヒトインターフェロンα2A又はヒトインターフェロンα2Bであり、後者が対象ポリペプチドであることが特に好ましい。
対象ポリペプチドである融合タンパク質の一部をコードするポリヌクレオチドに関して、cDNA又は合成ポリヌクレオチドが使用できる。天然に生じる遺伝子配列に対応する所与のcDNA又は合成ポリヌクレオチドが不良にしか発現されない場合は、cDNA又は合成ポリヌクレオチドの構造をコドンの最適化によってそれぞれの宿主細胞に適合させ得る。
これに関して、本発明の好ましい実施態様内で、rhIFNα2Bである対象ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列(配列番号1):
Figure 0005544063
[天然に生じるヒトインターフェロンα2Bの165コドンのうち48個が、アミノ酸配列を変化させることなくヌクレオチド配列に関して変化している。]
を含む。
シュードモナス・ジミヌタ菌株に関しては、グルタリル−7−アミノセファロスポリン酸アシラーゼ活性を示すいかなるシュードモナス・ジミヌタ菌株も、適切なシグナル配列をコードするgac遺伝子を担持する。
例えばこのようなシュードモナス・ジミヌタ菌株は、指定番号CCM3987の下でチェコ特許第CZ278,515号に述べられている。
このようなシュードモナス・ジミヌタ菌株は、gacと略される、酵素グルタリル−7−ACAアシラーゼをコードする遺伝子を担持する。
本発明の好ましい実施態様は、前記融合タンパク質の一部を形成する、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子の前記シグナル配列がアミノ酸配列(配列番号2):
Figure 0005544063
を含む、本発明に従った発現ベクターに関する。
例えばこのようなアミノ酸配列は、以下のポリヌクレオチド配列(配列番号3):
Figure 0005544063
によってコードされ得る。
同様に、制限酵素部位を創造するようにヌクレオチドが変化しているポリヌクレオチドは、このような突然変異が沈黙している限り、すなわち上記で概説したようなgasシグナル配列のアミノ酸配列を変化させない限り、使用することができる。
従って、gacシグナル配列をコードする適切なポリヌクレオチド配列についてのもう1つの例は、(配列番号4):
Figure 0005544063
[上述したポリヌクレオチド配列と比較して、続くクローニングにおいて使用し得る制限酵素部位(Sac II部位)を得るために、コドン23の最後のヌクレオチドに関して単一突然変異(C→G)が導入されている。]
であり得る。
本発明のもう1つの好ましい実施態様は、プラスミドである、本発明に従った発現ベクターに関する。低(約1−10コピー/細胞)、中(約10−50コピー/細胞)又は高(約>50コピー/細胞)コピープラスミドが使用し得る。これらの定義は、このようなプラスミドが好都合な環境で使用される場合に当てはまり、ある種の発酵条件下では、例えば低温条件下では、このようなコピー数はより低くなり得る。強力な誘導系については中コピー基本レプリコン(basic replicon)(例えばpBR322)が適切であると考えられ、低又は中の強さの発現エレメント(プロモーター、RBS、構造遺伝子)からの強力な基底発現のためには高コピーレプリコン(例えばpUCシリーズからのプラスミド)がよりよく適すると考えられる。本発明に関して、特にrhIFNα2Bの生産に関しては、高コピープラスミドが好ましく使用される。従って、本発明のさらなる好ましい実施態様は、ベクターが高コピープラスミドである、本発明に従った発現ベクターに関する。
本発明に従った発現ベクターのさらなるエレメントは、転写及び翻訳エレメント、特にプロモーター及びリボソーム結合部位(RBS)を含む。
ペリプラズム発現のためには、リボソーム結合部位は強すぎても弱すぎてもいけない。強すぎる場合はペリプラズムタンパク質輸送装置(トランスロカーゼ等)の過剰負担及び細胞質内への(しばしば不溶性の)切断されない融合タンパク質の沈着を導き得る。弱すぎると、低いタンパク質収率を導き得る。転写レベル(プロモーター)における状況は、翻訳レベル(RBS)における状況と似ている。転写は、上述した減少を回避するためにやはり強すぎても弱すぎてもいけない。また、誘導性プロモーターを使用するとき、タンパク質産生の突然の開始は、輸送装置の「目詰まり(clogging)」による問題を引き起こし得るか、又は少なくとも誘導工程と発酵パラメータの広汎な微細調節を必要とする。これはしばしば堅固でないプロセスをもたらす。
本発明に関して、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のプロモーター領域とリボソーム結合部位は、転写及び翻訳調節エレメントとして使用するのに特に適することが認められた。
故に、好ましい実施態様は、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のプロモーター領域とリボソーム結合部位を含むポリヌクレオチドをさらに含み、このポリヌクレオチドは、シグナル配列と対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されている、本発明に従った発現ベクターを含む。
このさらなる好ましい実施態様では、プロモーター領域とリボソーム結合部位を含む前記ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列(配列番号5):
Figure 0005544063
を含む。
このさらなる好ましい実施態様では、プロモーター領域とリボソーム結合部位を含む前記ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列(配列番号6):
Figure 0005544063
を含む。
適宜に、本発明に従った発現ベクター内にさらなるエレメントが存在してもよい。
例えば、本発明に従った発現ベクターは、1又はそれ以上の転写ターミネーターを含むポリヌクレオチドを含み得る。
同様に、本発明に従った発現ベクターは、例えば形質転換宿主細胞の抗生物質耐性を与えるための、1又はそれ以上の選択マーカーを含み得る。適切な選択マーカーは当技術分野において広く公知である。本発明に関して、発現ベクターは、好都合にはテトラサイクリン耐性遺伝子を含むポリヌクレオチドを含む。
加えて、適切な場合は、本発明に従った発現ベクター上にさらなる調節エレメントが存在してもよい。調節エレメントは、リプレッサー又はエンハンサーと同様、当技術分野において広く公知である。
さらなる側面では、本発明は、対象ポリペプチドの発現を生じさせるための、本発明に従った発現ベクターで形質転換された原核生物宿主細胞に関する。
故に、本発明は、宿主細胞と適合性であり、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のシグナル配列及び(シュードモナス・ジミヌタのgac以外の)対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、前記シグナル配列と前記対象ポリペプチドは、適切な宿主細胞におけるポリヌクレオチドの発現時にシグナル配列が融合タンパク質から切断遊離されて、対象ポリペプチドが宿主細胞のペリプラズム内に放出されるように連結されている発現ベクターで形質転換された原核生物宿主細胞に関する。
適切な対象ポリペプチドの例は上述した通りである。この好ましい実施態様は、対象ポリペプチドがインターフェロンα2である、このような原核生物宿主細胞に関する。特に、このようなインターフェロンα2は、インターフェロンα2A及びインターフェロンα2Bから成る群より選択され、後者が好ましい。
もう1つの好ましい実施態様は、前記ベクターがプラスミド、好ましくは高コピープラスミドである、本発明に従った宿主細胞に関する。
本発明はさらに、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子の前記シグナル配列が、アミノ酸配列(配列番号2):
Figure 0005544063
を含む、本発明に従った宿主細胞に関する。
さらなる側面では、本発明は、ベクターが、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のプロモーター領域とリボソーム結合部位を含むポリヌクレオチドをさらに含み、このポリヌクレオチドは、シグナル配列と対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されている、本発明に従った宿主細胞に関する。
プロモーター領域とリボソーム結合部位を含むこのようなポリヌクレオチドは、好ましくはヌクレオチド配列(配列番号5):
Figure 0005544063
を含む。
このさらなる好ましい実施態様では、プロモーター領域とリボソーム結合部位を含むこのようなポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列(配列番号6):
Figure 0005544063
を含む。
原核生物宿主細胞に関して、好ましくは本発明に従った前記宿主細胞はグラム陰性細菌細胞である。好ましくはこのような細菌細胞は、大腸菌(E.coli)、シュードモナス(Pseudomonas)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、カンピロバクター(Campylobacter)種及びビトレオシラ(Vitreoscilla)種から成る群より選択され、大腸菌が特に好ましい。好ましくは、大腸菌K12の誘導体を使用する。このような菌株は長年にわたって安全に使用されてきた歴史があり、ペリプラズム発現に特に適する。同様に、他の種の大腸菌、例えば大腸菌B誘導体も使用し得る。
本発明の好ましい実施態様では、原核生物宿主細胞は大腸菌W3110(ATCC27325)に由来する。このような菌株は、指定番号PTA−3132の下に、2001年2月28日にthe American Type Culture Collection(ATCC),10801 University Boulevard,Manassas,VA20110−2209,USAに寄託された。
大腸菌W3110(ATCC 27325)及び寄託菌株ATCC PTA−3132は、一般に以下のように特徴付けることができる:
大腸菌K−12[F mcrA mcrB IN(rrnD−rrnE)Iλ]。
本発明のさらなる側面は、
(i)宿主細胞と適合性であり、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のシグナル配列及びシュードモナス・ジミヌタのgac以外の対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、前記シグナル配列と前記対象ポリペプチドは、適切な宿主細胞におけるポリヌクレオチドの発現時にシグナル配列が融合タンパク質から切断遊離されて、対象ポリペプチドが宿主細胞のペリプラズム内に放出されるように連結されている発現ベクターで形質転換された原核生物宿主細胞を提供すること、及び
(ii)ポリヌクレオチドの発現を生じさせる条件下で原核生物宿主細胞を培養すること、これによって融合タンパク質の形成時にシグナル配列が融合タンパク質から切断遊離されて、対象ポリペプチドが宿主細胞のペリプラズム内に放出される、
を含む、対象ポリペプチドの生産のための方法に関する。
場合により、本発明に従った方法は、対象ポリペプチドの単離をさらに含む。
適切な対象ポリペプチドの例は上述した通りである。この好ましい実施態様は、対象ポリペプチドがインターフェロンα2である、このような原核生物宿主細胞に関する。特に、このようなインターフェロンα2は、インターフェロンα2A及びインターフェロンα2Bから成る群より選択され、後者が好ましい。
もう1つの好ましい実施態様は、前記ベクターがプラスミド、好ましくは高コピープラスミドである、本発明に従った方法に関する。
本発明はさらに、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子の前記シグナル配列が、アミノ酸配列(配列番号2):
Figure 0005544063
を含む、本発明に従った方法に関する。
さらなる側面では、本発明は、ベクターが、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のプロモーター領域とリボソーム結合部位を含むポリヌクレオチドをさらに含み、このポリヌクレオチドは、シグナル配列と対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されている、本発明に従った方法に関する。
プロモーター領域とリボソーム結合部位を含むこのようなポリヌクレオチドは、好ましくはヌクレオチド配列(配列番号5):
Figure 0005544063
を含む。
このさらなる好ましい実施態様では、プロモーター領域とリボソーム結合部位を含むこのようなポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列(配列番号6):
Figure 0005544063
を含む。
原核生物宿主細胞に関して、好ましくは本発明に従った前記宿主細胞は大腸菌である;この意味するところは上記で詳述した通りである。
さらなる実施態様では、本発明は、本発明に従った形質転換宿主細胞を使用する方法の培養(又は発酵)部分に関する。
多くの因子が、組換え生物を使用する発酵工程の生産性に影響を及ぼし得る。適用する発酵戦略は、微生物生理学とプラスミドコピー数の間の敏感な関係、プラスミドの安定性及び遺伝子レベルだけでなく培地組成物及び工程条件によっても決定される遺伝子発現を考慮しなければならない。宿主菌株の安定性に加えて、生成物の安定性も組換えタンパク質の高レベル生産のために極めて重要である。
構成的発現系を用いる発酵工程の開発に関して、増殖条件と組換え産物の形成は互いに密接に関連する。故に、発酵工程全体の実施の間、最適増殖及び生成物形成に密接に関連する増殖条件の管理のための努力は誘導的発現系に比べてより高い。
組換えタンパク質の生産のための典型的な大腸菌発酵工程は、数時間から約100時間の範囲内の培養という短い発酵時間によって特徴付けられる。ほとんどの場合、炭素源だけでなく様々な複合又は無機窒素源、種々の塩及び微量元素を大腸菌培養に供給する。炭素供給は、通常時間プロフィールに従い、供給速度を段階的に又は指数的に上昇させる。また時として、炭素源の混合物も大腸菌発酵において使用される。炭素源の供給は、通常、様々な制御戦略の使用によるバイオリアクターの酸素運搬能力に結びつく。
本発明のさらなる目的は、多大の窒素源供給を使用せず及び場合により発酵培地への微量元素の添加を伴わない、対象ポリペプチドの高収率のペリプラズム発現のための、本発明に従ったgac遺伝子発現系及び対応する形質転換宿主細胞に基づく、堅固で再現可能な発酵方法を提供することである。
本発明に従った方法は、原則として、これ自体公知の微生物学慣例に従い、最初に細菌宿主細胞、すなわち発現菌株を培養することによって実施する。菌株は一般に、栄養培地上の単一コロニーから出発して成育させるが、凍結保存細胞懸濁液(細胞バンク)を用いることも可能である。菌株は一般に、さらなる使用のための十分なバイオマスを得るために多段階工程で培養する。
小規模生産では、これは振とうフラスコにおいて実施することができ、ほとんどの場合複合培地(例えばLBブロス)を用いることが可能である。しかし、規定培地(例えばクエン酸培地)を使用することも可能である。培養のために、宿主菌株の小容量前培養物(単一コロニー又は凍結保存培養からの細胞懸濁液を接種した)を増殖させるが、この培養のための温度は続く発現結果にとって一般に決定的に重要ではないので、常套的には比較的高温で(例えば30℃又は37℃)操作することができる。主培養は、より大きな容量(例えば500ml)に調整し、ここでは、十分な通気を確保することが特に必要である(内容物の容量に比して大きな容量のフラスコ、高速回転)。発現が可溶性形態で起こることを意図しているので、主培養は、ほとんどの場合、幾分より低い温度(例えば22℃又は28℃)でも実施される。誘導系(例えばtrp、lac、tac又はphoAプロモーター)及び構成系(gacプロモーターを含む本発明の好ましい系のような)の両方が、可溶性タンパク質を生産するのに適する。生じる細胞を収集し、さらに処理することができる。
大規模生産では、多段階システムは、好ましくは、工程のプロセス工学制御を改善するために規定栄養培地を用いる、又は微生物の増殖を強化し工程の堅固性を高めるために複合栄養培地を用いる、複数のバイオリアクター(発酵槽)から成る。加えて、特定栄養素の供給によって(フェドバッチ方式)バイオマス及び生成物形成を大きく上昇させることが可能である。例えば予備段階発酵槽と主段階発酵槽が使用される。予備段階発酵槽には、一般に振とうフラスコにおいて単一コロニー又は凍結保存培養から増殖させたいわゆる接種材料を接種する。発酵槽では、特に主段階では、良好な通気も確保しなければならない。生じた細胞は、再びさらなる処理のために供給送達される。
従って、好ましい実施態様では、ここで述べる本発明に従った方法の培養(又は培養法)は、前培養段階と主培養段階を含む多段階工程として実施される。あるいは、前培養段階を含まない一段階発酵も可能である。さらに一層好ましい実施態様では、ここで述べる本発明に従った方法は、振とうフラスコ段階、場合により前培養段階、及び主培養段階を含む多段階発酵工程として実施される。
特に、主培養段階での原核生物宿主細胞の前記培養は、培養時間の約90%より多くの間、基質の飽和定数より低い基質濃度で、高レベルの溶解酸素濃度を伴い、及びさらに細菌宿主細胞の着実に低下する比成長速度を伴って、基質を含む培地中で実施され、前記方法は、宿主細胞の増殖のための最適温度より低い温度で実施される。
これに関して、飽和定数は、宿主細胞が最大比成長速度の50%に等しい比成長速度で成長する基質(特に炭素源)の濃度である。
これに関して、比成長速度は、一定時間間隔内のバイオマス濃度の上昇を前記時間間隔の平均バイオマス濃度で除したものである。
好ましくは、主培養並びに、該当する場合は、前培養の培地は、複合窒素源、好ましくは酵母抽出物、様々な塩及び宿主細胞の初期増殖を支持するための炭素源を含む複合培地である。この好ましい実施態様では、前記炭素源は、接種後に前記炭素源を供給することによって主培地に添加するか又は、好ましくは、接種の時点で主培養中に存在する。
好ましくは、主培養段階における溶解酸素の濃度は、飽和の約20%より高く、より好ましくは約40%から約100%までである。
好ましくは、主培養段階における着実に低下する成長速度は、約2h−1から約0.001h−1である。
好ましい実施態様では、主培養段階における温度は、約22℃から約35℃の間、好ましくは約25℃から約31℃の間、最も好ましくは約28℃である。
もう1つの好ましい実施態様では、前培養及び/又は主培養における前記培養法は、約6.7から約7.3までの範囲のpH値で実施する。
本発明のさらなる好ましい実施態様では、基質は、グリセロール又は、好ましくは、炭水化物である。好ましくは、炭水化物はグルコースである。
ここで述べるように、適切な対象タンパク質の例は上述した通りである。好ましい実施態様は、対象ポリペプチドはインターフェロンα2である。特に、このようなインターフェロンα2は、インターフェロンα2A及びインターフェロンα2Bから成る群より選択され、後者が好ましい。
本発明の方法の全ての側面に関する最も好ましい実施態様では、宿主細胞は大腸菌細胞である。
対象ポリペプチドは、この後、当業者に公知のタンパク質精製方法によって単離することができる(例えばM.P.Deutscher:Methods in Enzymology:Guide to Protein Purificationより,Academic PressInc.,(1990),309−392参照)。一連の精製は、一般に細胞破壊段階、清澄化段階(遠心分離又は精密ろ過)及び様々なクロマトグラフィー段階、ろ過及び/又は沈殿を含む。本発明に従って生産された対象ポリペプチドの単離についての適切な例を以下に示す。
微生物の寄託:
大腸菌株W3110(ATCC27325)は、指定番号PTA−3132の下に、2001年2月28日にthe American Type Culture Collection(ATCC),10801 University Boulevard,Manassas,VA20110−2209,USAに寄託された。
以下の実施例は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することなく、本発明を例示するためのものである。実施例の中で開示する主題は本発明の好ましい実施態様に関する。
(実施例)
組換えヒトインターフェロンα2B(rhIFNα2B)の生産のための宿主細胞菌株の構築
1.1 全般的適用事項
ポリペプチドrhIFNα2b(組換えヒトインターフェロンα2b)を、rhIFNα2bをコードする最適化合成遺伝子を含むプラスミドで形質転換した大腸菌K−12株W3110において生産する。rhIFNα2bは、組換え大腸菌K−12の発酵により、シュードモナス・ジミヌタ CCM3987からのグルタリル−7−ACAアシラーゼ遺伝子(gac)のプロモーター及びリボソーム結合部位(RBS)の制御下で生産される。rhIFNα2bは、同じ(gac)遺伝子からのシグナル配列とのN末端融合タンパク質として発現され、シグナル配列の同時プロセシング(切断遊離)により前記タンパク質をペリプラズムへと差し向ける。発酵工程は、故に、天然に生じるヒトインターフェロンα2bのものと同じ一次配列を有する成熟rhIFNα2bを直接生成する。発現プラスミドをpMG414と称し、生産菌株をW3110[pMG414]と称する。
1.2 発現ベクターpMG414の構築
pUC19は、ベクタープラスミドの構築のための出発点として使用できる。pUC19は頻繁に使用され、十分に特性決定された高コピープラスミドである。極めて効率的な複製起点とアンピシリン耐性(amp又はbla)遺伝子を含む(Yanisch−Perronら1985;VieiraとMessing,1982;GenBankアクセッション番号L09137及びX02514)。
pUC19は発現プラスミドの構築のために頻繁に使用されるが、amp遺伝子は工業目的のためには理想的選択マーカーでないと考えられる。この理由から、amp遺伝子のプロモーター及びコード領域を除去し、周知の安全なプラスミドpBR322からのテトラサイクリン耐性遺伝子(tet)のプロモーター及びコード領域に置き換える(Bolivarら、1977a,1977b,1978;総説:Balbasら、1986;GenBankアクセッション番号J01749、K00005、L08654、M10283、M10286、M10356、M10784、M10785、M10786、M33694、V01119)。このクローニング作業は、ハイフィデリティーPCR手法を用いて実施する。
これを実施するために、pUC19の塩基対1743−679にわたるフラグメントを、ハイフィデリティーPCR(Roche BiochemicalsからのPwo DNAポリメラーゼシステム)及び以下の5’−リン酸化オリゴヌクレオチド:
オリゴ235:5’−リン酸−
Figure 0005544063
オリゴ236:5’−リン酸−
Figure 0005544063
を用いて増幅する。
生じるPCRフラグメントは、長さ1624塩基対で、ampプロモーター及びコード配列を欠くが、amp遺伝子からの終結コドンと転写ターミネーターを含む、完全なpUC19骨格を含む。
上述したように、tetプロモーター及びコード配列(終結コドンを除く)をpBR322から増幅する。再びハイフィデリティーPCRを使用して、pBR322の塩基対4−1273を増幅した。この増幅のために以下の5’−リン酸化オリゴヌクレオチド:
オリゴ237:5’−リン酸−
Figure 0005544063
オリゴ238:5’−リン酸−
Figure 0005544063
を使用した。
生じたPCRフラグメントは1270塩基対の長さである。2つのPCRフラグメントを分取アガロースゲル電気泳動によって精製し、T4 DNAリガーゼ(Rapid DNA Ligation Kit,Roche Biochemicals)を用いて連結した。連結したDNAを精製し、大腸菌K−12 DH10B(Life Technologies ElectroMAX DH10Bエレクトロコンピテント細胞、遺伝子型:FmcrAΔ(mrr−hsdRMS−mcrBS)φ80d/acZΔM15 Δ1acX74 deoR recA1 endA1 araD139Δ(ara,leu)7697 galU galK λrpsL nupG)に電気穿孔導入する。形質転換細胞をLB寒天、15mg/Lテトラサイクリン及び3g/Lグルコースにプレートする。液体培養物を、15mg/Lテトラサイクリン及び3g/Lグルコースを含むLBブロスで増殖させ、標準ミニプレップ法を用いてこれらの培養物からプラスミドDNAを単離する。pUC19骨格へのtetフラグメントの正しい組込みに関する制限酵素分析によってプラスミドDNAを分析する。フラグメントの組込みは方向に関して非特異的であったので、クローンを含む全ての挿入物の約50%だけが正しい方向に挿入されたフラグメント、すなわちpUC19内のamp遺伝子と同じ方向に走るtet遺伝子を有していた。数個のクローンの液体培養物からより多量のDNAを単離し、より詳細な制限酵素分析に供する。正しい制限パターンを示すクローンのうちで、1個をさらなるクローニング作業のために選択する。
それぞれのプラスミドをpMG402と称した。これは全ての特徴及び機能においてpUC19と同じであるが、アンピシリン含有培地ではなくテトラサイクリン含有培地で増殖しなければならない。このようにして工業目的に適するtet耐性高コピーベクターが作製される。
プラスミドpMG402の特徴:
塩基対1954−680:pUC19骨格(=ampプロモーター及び構造遺伝子を欠くpUC19)
塩基対681−1953:pBR322からのtetプロモーター及び構造遺伝子
rhIFNα2bは、宿主細胞のシグナルペプチダーゼ装置によるシグナル配列の同時プロセシング(切断遊離)によりタンパク質をペリプラズムへと差し向ける、シュードモナス・ジミヌタ CCM3987からのグルタリル−7−ACAアシラーゼのシグナル配列(gac1ss=配列番号2)とのN末端融合として発現される。
gac1ssのアミノ酸配列(27aa):MLRVLHRAAS ALVMATVIGL APAVAFA
gac1ssのコード配列の3’領域内に、沈黙突然変異(アミノ酸配列は変化しない)を生じさせる3’PCRプライマーによってSac II制限エンドヌクレアーゼ部位が導入される。このSac II部位は、rhIFNα2b遺伝子とgac1ssコード領域の融合を可能にする。
rhIFNα2bについての構造遺伝子を化学合成する。これは、165コドンのうち48個において天然ヒトcDNA配列と異なり、脆弱でエラーを起こしやすいコドンを排除するように設計する。
以下の表において、コドンの変化を示す。表の中で、「天然コドン」は、Streuliら、1980によって公表されたcDNA配列(GenBankアクセッション番号V00548)を指す。アミノ酸番号は、成熟rhIFNα2b(Cys1から始まる)を指す。合成遺伝子によってコードされるアミノ酸配列は、SwissProt Database,アクセッション番号P01563/P01564(アミノ酸24−188)から取っている。
Figure 0005544063
生じる遺伝子は、大腸菌におけるrhIFNα2bの効率的で正確な転写と翻訳を可能にする。前記遺伝子は細菌系における発現のために設計されているので、いかなる非翻訳配列(イントロン等)も含まない。
構造遺伝子を化学合成する。簡単に述べると、長さ約30−50ヌクレオチドの重複相補的オリゴヌクレオチドを、全くギャップを含まずに構造遺伝子配列の両方の鎖をカバーするように合成する。これらのオリゴヌクレオチドを互いにハイブリダイズさせ、T4 DNAリガーゼを用いて連結する。反応産物を制限エンドヌクレアーゼで切断し、pUC18ベクターにクローニングする。生じるプラスミドを配列決定し、これは正しい配列を示す。
このプラスミド上の合成遺伝子はgacシグナル配列を含まない。コード領域のこのgacシグナル配列部分を、プロモーター、RBS及びシグナル配列を含むgacフラグメントによって導入し、rhIFNα2b構造遺伝子に融合させる。
gacフラグメントを化学合成によって作製する。例えば長さ約30−50ヌクレオチドの重複相補的オリゴヌクレオチドを、全くギャップを含まずにgacフラグメントの両方の鎖の完全長(両側の制限エンドヌクレアーゼ認識部位プラス効率的な切断を可能にするための最小限6個の付加的な塩基対を含む)をカバーするように合成する。次に前記オリゴヌクレオチドを互いにハイブリダイズさせ(例えば加熱し、続いて冷却することによって)、T4 DNAリガーゼを用いて連結する。反応産物をそれぞれの制限エンドヌクレアーゼ(XbaI及びEcoRI)で切断し、pMG402ベクターにクローニングする(下記参照)。
あるいは、プロモーター、RBS及びシグナル配列を含むgacフラグメントは、かかるエレメントを含むプラスミドpKS55のようなプラスミドから増幅することができ、前記プラスミドの構築はチェコスロバキア特許第278,515号に述べられている。この中でクローニングされたgac遺伝子は、シュードモナス・ジミヌタの菌株(CCM3987)に由来している。増幅はハイフィデリティーPCRシステムを用いて実施する。クローニングのために必要な制限エンドヌクレアーゼ部位は以下のPCRプライマーによって導入する。
プライマー:
1.5’−リン酸−
Figure 0005544063
2.5’−リン酸−
Figure 0005544063
ハイフィデリティーPCR増幅によって生成されるgacフラグメントと化学合成によって作製されるgacフラグメントの間で性能には差がない。
このようにして作製したgacフラグメントは、以下のヌクレオチド配列(配列番号13):
Figure 0005544063
を有する。
gacフラグメント(合成又はPCRによって作製する)とベクタープラスミドpMG402を、XbaI及びEcoRI部位を用いて連結する。このようにして発現ベクターpMG412を作製する。
発現ベクターpMG412は、gacシグナル配列の1−23+コドン24の最初のヌクレオチドを含む。コドン22−24に、沈黙突然変異によってSac II部位を導入する。pMG412内のSac II部位の下流はプライマー又はベクター配列である。
コドン24の最後の2個のヌクレオチド+コドン25−27を、標的構造遺伝子(rhIFNα2b、上記参照)についての正PCRプライマーによって導入する。このようなプライマーは、故に、以下のエレメントを含む:
切断突出部(例えば6ヌクレオチド)−Sac II部位−tc gcc ttt gcg(配列番号14)−「成熟」標的遺伝子の5’末端に対応するハイブリダイズ領域。
特に、適切なプライマーは以下のヌクレオチド配列(配列番号15):
Figure 0005544063
−ハイブリダイズ領域(Sac IIに下線を付している)を有する。
gacシグナル配列の最後のアミノ酸(24−27)は、VAFA(配列番号16)である。
上述したプラスミド構築物から、ハイフィデリティーPCRシステムを用いてrhIFNα2b遺伝子を増幅する。5’PCRプライマーは、前記遺伝子をgacフラグメントと融合させるためのSac II部位およびgacシグナル配列の最後の4個のコドンを含む。3’プライマーは、TAA(オーカー)終結コドン及びクローニングのためのMluI部位を含む。インターフェロンα構造遺伝子の増幅は、以下のフラグメント(配列番号17):
Figure 0005544063
を生じる。
Sac II及びMluI部位を使用してこのrhIFNα2b PCRフラグメントとpMG412を連結する。このようにして最終産物/発現プラスミドpMG414を作成した。pMG414の両方の鎖を配列決定し、予想配列と差がないことを示す。
プラスミドpMG414の特徴(総サイズ3668塩基対):
塩基対2728−256:pUC19骨格、部分1
塩基対257−546:gacフラグメント(プロモーター、RBS、シグナル配列)
塩基対547−1044:合成rhIFNα2b遺伝子(TAA終結コドンを含む)
塩基対1045−1454:クローニング部位+pUC10骨格、部分2
塩基対1455−2727:pBR322からのtet遺伝子(プロモーター/RBS1455−1536、TAA終結コドンを含むコード配列1537−2727)。
これにより、プロモーター、RBS及びシグナル配列を含むgacフラグメントを、PCRプライマーによって導入したgacフラグメントの3’末端の制限エンドヌクレアーゼ部位を用いて、rhIFNα2b構造遺伝子に融合させる。同じ部位を、同じくPCRプライマーの方法によって、rhIFNα2b構造遺伝子の5’末端に融合させる。このようにして両方のエレメント(gacフラグメント及びrhIFNα2b構造遺伝子)を基本ベクターにクローニングした後、gac1ss−rhIFNα2b融合タンパク質をコードする遺伝子を作製する。この合計192コドン(576ヌクレオチド)のうちで、最初の27個は、最終タンパク質中には存在しないgacシグナル配列をコードし、アミノ酸28−192は、成熟rhIFNα2b(165アミノ酸、システイン1からグルタミン酸165まで)をコードする。
rhIFNα2b発現プラスミドpMG414において使用される発現カセットのヌクレオチド配列(807塩基対)(下記参照)及びgac1ss−rhIFNα2b融合タンパク質のアミノ酸配列を以下に示す(配列番号18):
Figure 0005544063
Figure 0005544063
Figure 0005544063
示されている配列は、以下を含むサブパラグラフ/領域に分けられる:
1.gacプロモーター及びRBS(第1項、pMG414の塩基対257−465、下記参照)、
2.gacシグナル配列コード領域(第2項、pMG414の塩基対466−546、下記参照)、
3.rhIFNα2bについての合成遺伝子(第3項、pMG414の塩基対547−1044(下記参照)−TAA終結コドンを含む)、及び
4.3’クローニングリンカー(第4項、pMG414の塩基対1045−1063、下記参照)。
pMG414上で、これら4つの領域は互いに直接連結している。図面上では単に明瞭の理由だけからこれらを分けている。
オープンリーディングフレームの開始(ATG)及び終結(TAA)コドンは太字で示している。
成熟rhIFNα2bの最初(TGC)及び最後(GAA)のコドンには下線を付している。
クローニングのために使用される制限エンドヌクレアーゼ部位を箱で囲っている。これらは:
−gacフラグメント(プロモーター、RBS、シグナル配列、Sac II、MluI、SpeI部位)の導入のためのXbaI(TCTAGA)及びEcoRI(GAATTC)
−rhIFNα2b PCRフラグメント(gac1ssの最後の4個のアミノ酸についての4個のコドン、成熟rhIFNα2bについての495塩基対の合成遺伝子及びTAA(T)終結コドンを含む)の導入のためのSac II(CCGCGG)及びMluI(ACGCGT)
である。
gacプロモーターは高い構成的/基底活性を示し、化学的誘導物質の添加又は物理的刺激(培養条件の変化)は必要としない。
1.3 クローニング及び組換え細胞系の樹立
発現プラスミドpMG414を電気穿孔導入法によって宿主菌株ATCC PTA−3132(=W3110(ATCC27325))に導入する。標準プロトコールに従ってエレクトロコンピテント細胞を調製し、Eppendorf Electroporator 2510を使用して1800Vで0.1mmキュベットにおいて電気穿孔導入を実施する。
電気穿孔導入の後、液体媒質中で反応を一時停止させ、テトラサイクリンを含む寒天プレートに塗布する。
適切な細胞クローンの選択のための出発点は、このようにして得られた形質転換プレートである。このプレートからの様々なクローンを液体培養中で増殖させ、研究細胞バンクとして凍結保存する。これらの生産性を振とうフラスコ実験において試験し、比較する。最良クローン(E1/116)をさらなる開発のために使用する。
最良クローンは、良好な生産性を示し得るが、比較的増殖不良であり得る。この増殖不良は、様々な因子、例えば宿主細胞に対する生成物毒性、生成物合成による代謝負荷等から生じ得る。グルコースの添加は、グルコースが組換えタンパク質発現のために使用される多くのプロモーターを下方調節する(例えば異化代謝産物抑制によって)ので、しばしば多少の改善をもたらす。また、グルコースは、炭素源として直接代謝に導入され得るので、大腸菌の増殖に全般的なプラス作用を及ぼす。
E1/116の場合は、増殖へのグルコースの明らかなプラス作用が認められる。2−5g/Lのグルコース濃度で最良の結果が達成される。細胞系を、生成物形成に対抗し、この結果としてグルコースの不在下でより良好に増殖するように適応させるために、菌株を数継代にわたって振とうフラスコ内の液体媒質中で増殖させる(「振とうフラスコカスケード」)。
より詳細には、E1/116の凍結バイアルを解凍し、細胞懸濁液を、テトラサイクリンを含むグルコース不含LB寒天プレートに線条接種する。コロニーが液体培養に接種するのに十分なサイズに達するまでプレートを37℃でインキュベートする。コロニーをプレートから、テトラサイクリンを含むグルコース不含LBブロス15mLを満たした小さな振とうフラスコに移す。培養物を、600nmで0.5以上(典型的には>1.0)の光学密度に達するまで37℃で振とうする。この第1回ラウンドのために、もとの単離物の低い増殖特性の故に48時間を要する。
上記の項で述べた手順を、プレートに線条接種した前のラウンドの液体培養及び次の液体培養に接種するために用いるプレートからのコロニーに関して連続5回実施する。各々の液体培養について光学密度を測定し、SDS−PAGE−ウエスタンブロットを用いた生成物力価の定量のために試料を採取した。増殖と生産性の最良の組合せを有する培養からのクローンを、次のラウンドを開始するために使用する。
この培養カスケード(すなわち多数の増殖と再単離段階)の種々のラウンドの間に、(亜)株の増殖特性が次第に改善する。各々のラウンドにおいて増殖と生産性の最良の組合せを有する菌株を選択することにより、力価も次第に上昇する。5回目のラウンド後、テトラサイクリンを含むLB寒天プレート上で再び単一コロニーを生成し、一次シードロット(PSL)の作製のためにテトラサイクリンを含む液体培養に接種するのに使用する。培養物を37℃で約1.5の光学密度に増殖させ、等量の無菌40%w/vグリセロールと混合して、凍結バイアルに分割し、−80℃で凍結した。このPSLを、インターフェロンα2b産生株のGMP細胞バンク(マスター細胞バンク及び作業用細胞バンク)の作製のための出発点として使用する。この再単離物をE1/116aと称する。上述したような再単離工程は再現可能な結果を生じることが証明される。
E1/116aは、振とうフラスコ及び攪拌式バイオリアクター(発酵槽)において極めて良好な増殖特性を示す。バイオリアクターを開始するのに適した接種材料は、作業用細胞バンクバイアルから出発して約8時間で振とうフラスコにおいて増殖させることができる。
マスター細胞バンクは、上述した一次シードロットからcGMP条件下で調製する。簡単に述べると、PSLバイアルを解凍し、テトラサイクリンを含む寒天プレートに塗布する。単一コロニーを採取し、マスター細胞バンク(MCB)振とうフラスコ培養(テトラサイクリンを含むLBブロス培地)に接種するために使用する。対数増殖期からの細胞懸濁液を40%w/vグリセロールと1+1で混合して、凍結バイアルに1.8mLずつ分割し、凍結チューブで密封して、液体窒素タンクの液相内で凍結する。
作業用細胞バンクは、振とうフラスコ培養に解凍したMCBバイアルからの細胞懸濁液を接種することを除いて、マスター細胞バンクと同じように作製する。
組換えヒトインターフェロンα2B(rhIFNα2B)の生産のための発酵工程
発酵工程は、非プラスミド担持細胞の増殖を回避するために抗生物質、塩酸テトラサイクリンを添加したLuria Bertani(LB−)培地中37℃での振とうフラスコ培養において、上述した作業用細胞バンクから得られる大腸菌株K−12 W3110を増殖させることから出発する。
次に、振とうフラスコ培養を使用してシード培養(=前培養)培地に接種する(接種物サイズ=0.4%)。この前培養のための培地は、唯一の炭素源としてグルコース及び複合窒素源として酵母自己分解物を含む脱イオン水に基づく。加えて、KHPO、KHPO、(NHSO及びMgSO/7HOのような無機塩を培地に添加する。消泡剤としてポリプロピレングリコール2000(PPG2000)を使用する。特に、前培養培地は以下の組成物を有する:
前培養基礎培地:
Figure 0005544063
これらの培地成分を一緒に121℃で20分間滅菌する。基礎培地の冷却後、抗生物質、塩酸テトラサイクリンの5g/L無菌保存溶液のアリコートを基礎培地に添加する(滅菌はろ過(0.22μmフィルター)によって実施する)。
塩酸テトラサイクリン保存溶液(5g/L):
Figure 0005544063
シード培養のための培養時間は約16時間である。シード培養の間、pH値を、硫酸と水酸化ナトリウム又は濃アンモニア溶液で7.0±0.2の設定点に調節する。溶解酸素の濃度は、攪拌機の速度を上昇させることによって飽和の20%より大きなレベルに保持する。培養開始時の攪拌機速度は300rpm、容器内の背圧は0.3バールに設定し、通気率は30L/分(「1vvm」に等しい)に調節する。培養の間、温度は常に37℃に保持する。ブロスを発酵工程の主段階に移す判定基準として、炭素源の消費後の溶解酸素濃度の上昇を使用する。
主培養については、脱イオン水、炭素源としてグルコース及び複合窒素源として酵母自己分解物に基づく培地を使用する。無機塩(NHSO、CaCl/2HO及びMgSO/7HOの添加のほかに、PPG2000を消泡剤として使用する。初期グルコースを別途に滅菌し、培地の残りの滅菌物に添加する。主発酵槽培地に対する接種物サイズは0.75−3%の範囲であった。特に、主培養培地は以下の組成物を有する。
主培養基礎培地:
Figure 0005544063
これらの培地成分を一緒に121℃で20分間滅菌する。冷却後、800g/Lの別途に加熱滅菌したグルコース保存溶液のアリコートを主培養基礎培地に添加する(滅菌は120℃で30分間以上実施する)。
グルコース保存溶液、800g/l。
Figure 0005544063
この培養の間の最も重要な点は、培地中に存在する初期グルコースの完全な消費の必要性である。これは、約9時間の増殖後に溶解酸素濃度の急激な上昇を導く。初期グルコースの完全な消費の前にグルコース供給を開始することにより、生成物形成が認められなくなる。一定速度でのグルコース溶液の供給によって調節されるグルコース制限は、故に、非常に重要である。培養の間の温度は約28℃の一定値に制御する。初期攪拌機速度は300rpmに設定し、通気率は100L/分(「1vvm」に等しい)に調節し、容器内の背圧は0.3バールに設定する。pH値は、硫酸と水酸化ナトリウム又は濃アンモニア溶液で7.1±0.3に調節する。初期供給グルコースの消費後は8.0までのpH値のピークが許容される。
溶解酸素の濃度は、飽和の20%以上の値に調節する。バイオリアクターの酸素運搬能力に依存して、最初に攪拌機の速度を最大値まで上昇させることにより、溶解酸素濃度を飽和の20%以上、好ましくは飽和の約40%−100%のレベルに保持する。これが十分でない場合は、最初に通気率、及びこの後背圧をそれぞれ上昇させる。48−192時間の培養時間後(培養時間の経過と共に生成物形成の直線上昇が認められる)、培養物を収集し、15±5℃に冷却して、冷却浴にスクロース/EDTAを添加することによって下流プロセシングのために予備処理する。
生成物の実験室又はパイロットプラントのペリプラズム抽出後、ウエスタンブロット手法又はHPLC測定に基づいて発酵バッチの結果を分析する。
細胞破壊と抽出
細胞周辺腔に発現されたインターフェロンα2Bを含有する宿主細胞を含む、上述したようにして得た発酵ブロスを、発酵の直後に硫酸で5.0±0.1のpHに調整し、4℃±2℃に冷却する。低いpHと低い温度は内因性プロテアーゼを不活性化するのを助ける。
発酵ブロスを10℃から20℃に調整し、次いで細胞のいかなる濃縮又は洗浄も行わずに、固体又は液体スクロース(200gスクロース/kg発酵ブロス)及びEDTA(10mM濃度)を添加して、pHを8.0に調整する。冷却水による浸透圧ショック(1:3希釈)を用いて選択的1段階細胞浸透プロトコールを実施し、これによってスクロースとEDTAを含む発酵ブロスを冷却(約4℃の温度)に注ぐか又は送り込んだ後、放出されたペリプラズム抽出物を清澄化する。ポリエチレンイミンを最終濃度0.05%まで加え、酢酸でpHを約7.5に調整する。15から45分後、細胞デブリとDNAを凝集させて、インターフェロンを含む透明な粗抽出物を残し、清澄性を改善するために前記抽出物を遠心分離に供してもよい。
この手順は、全タンパク質含量に関して>20%の純度を有する高収量の所望インターフェロンα2Bを含む透明なペリプラズム抽出物を導く。ポリエチレンイミンは可溶性タンパク質抽出物から細胞デブリを分離するのを助け、非常に純粋なインターフェロン溶液を導く。
組換えヒトインターフェロンα2B(rhIFNα2B)のクロマトグラフィー精製
4.1 陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)による捕獲
酢酸でpHを4.8−5.2に調整し、0.3ミクロンフィルターを用いてろ過工程を実施した後、実施例3の粗抽出物をCEXカラム(SセラミックHyperD F(Biosepra))に適用する。平衡緩衝液(20mM酢酸ナトリウム及び70mM NaCl、pH5.0)による洗浄工程後、175mM NaClの段階勾配でインターフェロンを溶出する。収集した分画を実施例4.2の処理工程によって直ちに処理する。
4.2 陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィー
実施例4.1からの分画を水酸化ナトリウムで7.3−7.7のpHに調整し、水で3.5−4.5mS/cmの伝導率に希釈して精製し、AEXカラム(QセラミックHyperD F(Biosepra))に適用する。洗浄後、約150mM NaClの線形塩勾配(0−300mM NaCl)でインターフェロンを抽出する。IPC逆相HPLCに従って90面積%又はそれ以上の純度を有する分画を収集し、次の段階で直接使用する(実施例4.3参照)。
4.3 疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
実施例4.2の分画を硫酸ナトリウムの保存溶液(0.5%硫酸ナトリウム)で希釈し(1:1)、NaOH又はHClでpH7.3から7.7に調整して、HICカラム(Source 15PHE(Pharmacia)に適用する。洗浄後、実施例3のインターフェロン分画を約400mM硫酸ナトリウムの線形硫酸ナトリウム濃度(800−0mM硫酸ナトリウム)で溶出する。IPC逆相HPLCに従って90面積%又はそれ以上の純度を有し、及び3%又はそれ以上の不純物を含まない分画を収集して、次の精製段階で直接使用する。
4.4 陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
実施例4の収集分画を、水で7.5−8.5mS/cmの最終伝導率に希釈し、99−100%酢酸でpH4.3−4.7に調整して、CEXカラム(Toyopearl SP−650S(TosoHaas))に適用する。洗浄段階後、約250mM NaClの線形NaCl勾配(0−300mM NaCl)でインターフェロンを抽出する。IPC逆相HPLCに従って95面積%又はそれ以上の純度を有し、及び3%又はそれ以上の不純物を含まない分画を収集して、次の精製段階で直接使用する。
4.5 サイズ排除クロマトグラフィー
最後の精製段階は、二量体及び他の凝集物を除去し、最終製剤のために緩衝液交換を実施するゲルろ過工程である。この段階で使用するSuperdex 75pgは、高負荷容積(5%−15%)であっても良好な分解能を示す。約7.3−7.7のpHで、25mMリン酸ナトリウム及び130mM NaCl+0.3mM EDTA中でSECを実施する。
最も高い純度(RP−HPLCにおいて>95%主ピーク及び>3%の副ピークなし)を有する分画をプールして、高収量で純粋な形態の所望組換えヒトインターフェロンα2Bを含む最終バルク溶液を得る。

Claims (35)

  1. シュードモナス・ジミヌタ(Pseudomonas diminuta)のgac遺伝子のシグナル配列及びシュードモナス・ジミヌタのgac以外の対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターであって、
    シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子の前記シグナル配列は、アミノ酸配列(配列番号2):
    Figure 0005544063
    からなり
    前記シグナル配列と前記対象ポリペプチドは、大腸菌細胞におけるポリヌクレオチドの発現時にシグナル配列が融合タンパク質から切断遊離されて、均一なN末端を有する対象ポリペプチドが大腸菌細胞のペリプラズム内に放出されるように連結される、発現ベクター
  2. 前記ベクターがプラスミドである請求項1に記載のベクター。
  3. 前記ベクターが高コピープラスミドである請求項1に記載のベクター。
  4. 対象ポリペプチドがインターフェロンα2である請求項1に記載のベクター。
  5. インターフェロンα2が、インターフェロンα2A及びインターフェロンα2Bから成る群より選択される請求項4に記載のベクター。
  6. 前記ベクターが、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のプロモーター領域とリボソーム結合部位を含むポリヌクレオチドをさらに含み、このポリヌクレオチドは、シグナル配列と対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されている請求項に記載のベクター。
  7. プロモーター領域とリボソーム結合部位を含む前記ポリヌクレオチドが、ヌクレオチド配列(配列番号5):
    Figure 0005544063
    を含む請求項に記載のベクター。
  8. プロモーター領域とリボソーム結合部位を含む前記ポリヌクレオチドが、ヌクレオチド配列(配列番号6):
    Figure 0005544063
    を含む請求項に記載のベクター。
  9. 大腸菌細胞と適合性であり、シュードモナス・ジミヌタ(Pseudomonas diminuta)のgac遺伝子のシグナル配列及びシュードモナス・ジミヌタのgac以外の対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターにより形質転換された大腸菌細胞であって、
    シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子の前記シグナル配列は、アミノ酸配列(配列番号2):
    Figure 0005544063
    からなり
    前記シグナル配列と前記対象ポリペプチドは、大腸菌細胞におけるポリヌクレオチドの発現時にシグナル配列が融合タンパク質から切断遊離されて、均一なN末端を有する対象ポリペプチドが大腸菌細胞のペリプラズム内に放出されるように連結されている、大腸菌細胞。
  10. 前記ベクターがプラスミドである請求項に記載の大腸菌細胞。
  11. 前記ベクターが高コピープラスミドである請求項に記載の大腸菌細胞。
  12. 対象ポリペプチドがインターフェロンα2である請求項に記載の大腸菌細胞。
  13. インターフェロンα2が、インターフェロンα2A及びインターフェロンα2Bから成る群より選択される請求項12に記載の大腸菌細胞
  14. 前記ベクターが、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のプロモーター領域とリボソーム結合部位を含むポリヌクレオチドをさらに含み、このポリヌクレオチドは、シグナル配列と対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されている請求項に記載の大腸菌細胞。
  15. プロモーター領域とリボソーム結合部位を含む前記ポリヌクレオチドが、ヌクレオチド配列(配列番号5):
    Figure 0005544063
    を含む請求項14に記載の大腸菌細胞。
  16. プロモーター領域とリボソーム結合部位を含む前記ポリヌクレオチドが、ヌクレオチド配列(配列番号6):
    Figure 0005544063
    を含む請求項14に記載の大腸菌細胞。
  17. (i)大腸菌細胞と適合性であり、シュードモナス・ジミヌタ(Pseudomonas diminuta)のgac遺伝子のシグナル配列及びシュードモナス・ジミヌタのgac以外の対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターにより形質転換された大腸菌細胞を提供すること、
    ここで、前記シグナル配列と前記対象ポリペプチドは、大腸菌細胞におけるポリヌクレオチドの発現時にシグナル配列が融合タンパク質から切断遊離されて、均一なN末端を有する対象ポリペプチドが大腸菌細胞のペリプラズム内に放出されるように連結されており、
    シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子の前記シグナル配列は、アミノ酸配列(配列番号2):
    Figure 0005544063
    からなる、及び
    (ii)前記ポリヌクレオチドの発現を生じさせる条件下で大腸菌細胞を培養すること、これによって融合タンパク質の形成時にシグナル配列が融合タンパク質から切断遊離されて、均一なN末端を有する対象ポリペプチドが大腸菌細胞のペリプラズム内に放出される、
    を含む、対象ポリペプチドの生産のための方法。
  18. 対象ポリペプチドの単離をさらに含む請求項17に記載の方法。
  19. 前記ベクターがプラスミドである請求項17に記載の方法。
  20. 前記ベクターが高コピープラスミドである請求項17に記載の方法。
  21. 対象ポリペプチドがインターフェロンα2である請求項17に記載の方法。
  22. インターフェロンα2が、インターフェロンα2A及びインターフェロンα2Bから成る群より選択される請求項21に記載の方法
  23. 前記ベクターが、シュードモナス・ジミヌタのgac遺伝子のプロモーター領域とリボソーム結合部位を含むポリヌクレオチドをさらに含み、このポリヌクレオチドは、シグナル配列と対象ポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されている請求項17に記載の方法。
  24. プロモーター領域とリボソーム結合部位を含む前記ポリヌクレオチドが、ヌクレオチド配列(配列番号5):
    Figure 0005544063
    を含む請求項23に記載の方法。
  25. プロモーター領域とリボソーム結合部位を含む前記ポリヌクレオチドが、ヌクレオチド配列(配列番号6):
    Figure 0005544063
    を含む請求項23に記載の方法。
  26. 前記培養を、振とうフラスコ段階、場合により前培養段階、及び主培養段階を含む多段階発酵工程として実施する請求項17に記載の方法。
  27. 主培養段階における大腸菌細胞の前記培養が、培養時間の約90%より多くの間、基質の飽和定数より低い基質濃度で、高レベルの溶解酸素濃度を伴い、及びさらに大腸菌細胞の着実に低下する比成長速度を伴って、基質を含む培地中で実施され、前記方法が、大腸菌細胞の増殖のための最適温度より低い温度で実施される請求項26に記載の方法。
  28. 主培養段階における溶解酸素の濃度が、飽和の約40%から約100%までである請求項27に記載の方法。
  29. 主培養段階における着実に低下する成長速度が、約2h−1から約0.001h−1である請求項27に記載の方法。
  30. 主培養段階の温度が約22℃から約35℃の間である請求項27に記載の方法。
  31. 主培養段階の温度が約25℃から約31℃の間である請求項30に記載の方法。
  32. 主培養段階の温度が約28℃である請求項31に記載の方法。
  33. 前記方法を、前培養段階及び/又は主培養段階において約6.7から約7.3までの範囲のpH値で実施する請求項27に記載の方法。
  34. 基質が炭水化物又はグリセロールである、請求項27に記載の方法。
  35. 炭水化物がグルコースである請求項34に記載の方法。
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