JP5542026B2 - クロロシラン類の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明はクロロシラン類の精製方法に関し、より詳細には、クロロシラン類中に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物を効率的に除去して高純度のクロロシラン類を得るための方法に関する。
半導体グレードの高純度多結晶シリコンは、通常、水素存在下でトリクロロシランを主成分とするクロロシラン類ガスを原料として「シーメンス法」と呼ばれるCVD法により製造される。従って,高純度多結晶シリコンの原料となるクロロシラン類もまた、その純度は極めて高いものであることが要求される。
特に、原料クロロシラン類中に含有されている不純物が、シリコン結晶中でドナーとなるリンやヒ素といった不純物であったり、アクセプタとなるホウ素やアルミニウムといった不純物である場合には、例えこれらの不純物が微量であっても、製造される多結晶シリコンの電気的特性(抵抗率)に著しい影響を与える。このため、原料クロロシラン類中に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物を効率的に除去して高純度化する技術の提供は、実用的に大きな意義をもつ。
一般に、多結晶シリコン製造用のクロロシラン類は、不純物を比較的多量に含む冶金級シリコン(いわゆる金属グレードシリコンであり、以下では「金属シリコン」と呼ぶ)から公知の方法によってクロロシラン類留出物を得た後に、当該クロロシラン類留出物をさらに蒸留などの手法により精製して高純度化して製造される。
しかし、通常、金属シリコン中には、上述したドナー不純物やアクセプタ不純物が原子数比換算で数百ppb(atomic)〜数百ppm(atomic)のオータ゛で含まれている。このため、クロロシラン類留出物の精製過程でこれらの不純物が充分には除去されず、最終的に得られたクロロシラン類中にドナー不純物やアクセプタ不純物が残留してしまい、このような残留不純物が多結晶シリコンの品質を低下させてしまうという問題が生じ得る。
クロロシラン類留出物を得るための方法として、金属シリコンの存在下でテトラクロロシラン(SiCl4)含有物と水素を反応させてトリクロロシラン(SiHCl3)を含むクロロシラン類留出物を得る水素化工程が知られている(例えば、特表2008-532907号公報(特許文献1)、特開昭58-217422号公報(特許文献2)、特開昭58-161915号公報(特許文献3)など参照)。
この水素化反応は、下記の反応式に従い進行する。
クロロシラン類留出物は水素化反応によって合成された生成物である粗クロロシラン類の留分であり、一般的には、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、テトラクロロシラン(SiCl4)などのクロロシラン類を主成分とする混合物である。
また、クロロシラン類留出物を得るための他の方法として、触媒の存在下で金属シリコンと塩化水素を接触させて塩素化反応を行い、トリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を得る塩素化工程も知られている(例えば、特開2005-67979号公報(特許文献4)を参照)。
この塩素化反応は、下記の反応式に従い進行する。
クロロシラン類留出物は塩素化反応によって合成された生成物である粗クロロシラン類の留分であり、この場合も、一般的には、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランなどのクロロシラン類を主成分とする混合物である。
金属シリコンに含まれるドナー不純物やアクセプタ不純物は、粗クロロシラン類を生成する際に同時に水素化や塩素化される等して、粗クロロシラン類中に種々の構造の化合物等の態様として混入すると考えられている。このような粗クロロシラン類を精製して高純度クロロシラン類を得るが、ドナー不純物やアクセプタ不純物の化合物等の沸点がトリクロロシランの沸点と近接している場合には、これらの不純物を一般的な蒸留方法によって分離・除去することは困難である。
そして、ドナー不純物およびアクセプタ不純物の除去が不充分なクロロシラン類を原料として多結晶シリコンを製造すると、所望の特性の多結晶シリコンが得られない結果となる。
このような事情から、クロロシラン類留出物中のドナー不純物やアクセプタ不純物を除去する方法として、種々の方法が提案されてきた。例えば、クロロシラン類留出物に有機物を添加し、ドナー不純物やアクセプタ不純物との付加物を生成させた後、蒸留精製して高純度クロロシラン類を得る方法が提案されている。
具体的には、特開2005-67979号公報(特許文献4)には、クロロシラン類にエーテル類を添加して蒸留精製する方法が開示されている。また、米国特許第3,126,248号明細書(特許文献5)には、ジオキサン、ベンズアルデヒド、メチルエチルケトン、ジメチルグリオキシム、バレロラクトンからなる有機化合物を添加して不純物を除去する方法が開示されている。さらに、特開2009-62213号公報(特許文献6)には、クロロシラン類をベンズアルデヒドの存在下で酸素と反応させて不純物を高沸点化合物に転化させ、当該処理後のクロロシラン類を蒸留等して不純物の高沸点化合物とクロロシラン類とを分離する方法が開示されている。
また、クロロシラン類留出物に金属塩化物を添加し、ドナー不純物やアクセプタ不純物との付加物を生成した後、蒸留精製して高純度クロロシラン類を得る方法も提案されている。
具体的には、米国特許第2,821,460号明細書(特許文献7)には、クロロシラン類に塩化アルミニウムを添加してAlCl3・PCl5錯体を形成した後に蒸留精製する方法が開示されている。また、特開平4-300206号公報(特許文献8)には、TiCl4等の無機塩水溶液を高濃度に添加し、不純物を加水分解して高沸点化合物とした後に蒸留精製する方法が開示されている。
さらに、クロロシラン類に含有されている不純物をアルミナやシリカゲルあるいは活性炭などに吸着させることにより除去する方法も提案されている。
具体的には、米国特許第3,252,752号明細書(特許文献9)には、孤立電子対をもつ物質(例えば、窒素原子をもつプロピオニトリルや酸素原子をもつベンズアルデヒドなどの物質)を、活性炭やシリカゲル等の吸着剤に固定化し、これにクロロシラン類ガスを流して不純物を捕捉除去する方法が開示されている。また、ドイツ国特許第1,289,834号明細書(特許文献10)には、クロロシラン類を、液体または蒸気の状態で、活性アルミナと接触させて不純物除去する方法が開示されている。さらに、米国特許第4,112,057号明細書(特許文献11)には、クロロシラン類を、水和したシリカゲルやアルミナゲル等の金属酸化物と接触させて不純物除去する方法が開示されており、特開2001-2407号公報(特許文献12)には、クロロシラン類を、アルカリまたはアルカリ土類フッ化物塩と接触させて不純物除去する方法が開示されている。
これらの方法以外にも、高温条件でクロロシラン類に少量の酸素を導入して反応させることによって錯体を形成させ、この錯体とドナー不純物やアクセプタ不純物との反応により新たな錯体を形成させ、これをクロロシラン類の蒸留工程で分離することにより不純物濃度の低いクロロシラン類を得る方法も提案されている(特表昭58-500895号公報(特許文献13)を参照)。
特表2008-532907号公報 特開昭58-217422号公報 特開昭58-161915号公報 特開2005-67979号公報 米国特許第3,126,248号明細書 特開2009-62213号公報 米国特許第2,821,460号明細書 特開平4-300206号公報 米国特許第3,252,752号明細書 ドイツ国特許第1,289,834号明細書 米国特許第4,112,057号明細書 特開2001-2407号公報 特表昭58-500895号公報
上述した従来の精製方法のうち、クロロシラン類留出物に有機物や金属塩化物を添加してドナー不純物やアクセプタ不純物との付加物を生成する方法は、付加物と主成分であるトリクロロシランとの間で沸点差が生じる場合には、その後の蒸留工程により、クロロシラン類を高純度で精製することが可能である。
しかし、先に列挙した先行文献にも記載されているように、クロロシラン類留出物に有機物を添加する精製方法において不純物除去に効果を奏する有機物は孤立電子対を保有する元素を含む有機物であるところ、かかる有機物の選定には相当の制限がある。
例えば、添加される有機物は、精製工程中に極めて容易に分解等するものであってはならず、また、クロロシラン類留出物中の物質との反応等によってクロロシラン類の沸点付近の生成物を生じないことも必要である。特に、孤立電子対を保有する元素を含む有機物が固体の場合は、クロロシラン類留出物の取扱い温度において溶解するかどうかや、取扱い途中の運転条件により析出しないかなどについても検討する必要が生じるし、投入時に水分が混入しないための十分な配慮も必要である。つまり、精製工程の諸条件を勘案した上で、不純物除去に有効な有機物を慎重に選定する必要がある。
ドナー不純物やアクセプタ不純物の除去に有効な孤立電子対を保有する元素を含む有機物としてはベンズアルデヒド(C6H5CHO)が知られている(特許文献5、特許文献6、特許文献9など参照)。ベンズアルデヒドは、添加時の取扱いが容易であり入手も容易であるが、ベンズアルデヒド類は塩化鉄などの金属塩化物などの存在下において、例えば下記の反応式により固形の高重合物を形成する。このような高重合物は固形化し、配管や容器中に閉塞物を生成するため、かかる固形物を除去するために製造設備を定期的に停止させる必要がある。
(塩素化)

(高重合化)
クロロシラン類留出物に金属塩化物を添加する精製方法は、その取り扱いが容易とは言えず、しかも、廃棄物処理が煩雑である等の問題がある。
クロロシラン類に含有されている不純物をアルミナやシリカゲルあるいは活性炭などに吸着させることにより除去する方法は、吸着塔などの装置が必要となり設備が複雑になることに加え、吸着物の担持方法が容易でなかったり、破過後の吸着物の取扱いや廃棄物処理が煩雑であったりする等の問題もある。
その他の不純物除去方法においても、高温条件でクロロシラン類に少量の酸素を導入して、高温にて反応させることが必要であり、簡便かつ穏やかな条件で操作することができないなど種々の問題を抱えている。
本発明は、上述したような従来のクロロシラン類の精製方法の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、クロロシラン類留出物中からドナー不純物およびアクセプタ不純物を除去して含有量を低減させる技術を提供することにある。
本発明に係るクロロシラン類の精製方法は、下記の(A)〜(C)の工程を備えていることを特徴とする。
(A)金属グレードシリコンの存在下でテトラクロロシランを主成分とするクロロシラン類と水素を反応させてトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を得る水素化工程;または、
金属グレードシリコンと塩化水素を反応させてトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を得る塩素化工程:
(B)前記(A)の水素化工程または塩素化工程で得られたクロロシラン類留出物を一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物の存在下で処理して、前記クロロシラン類留出物中に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物を高沸点物に転化させる不純物転化工程(ここで、上記一般式中、Arは置換または未置換のアリール基であり、Rは炭素数2以上の有機基である):
(C)前記不純物転化工程を経たクロロシラン類留出物から電子材料グレードクロロシラン類を分離して系外に回収する精製工程:
本発明は、更に、下記の(D)の工程を備える態様としてもよい。
(D)前記(C)の精製工程で電子材料グレードクロロシラン類を分離した後のクロロシラン類留出物残液の少なくとも一部を、前記アルデヒド化合物の少なくとも一部として前記(B)の不純物転化工程に供給する留出物残液供給工程:
また、本発明は、更に、下記の(E)の工程を備える態様としてもよい。
(E)前記(C)の精製工程で電子材料グレードクロロシラン類を分離した後のクロロシラン類留出物残液より、前記アルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分を分離して、前記アルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分を、前記アルデヒド化合物の少なくとも一部として前記(B)の不純物転化工程に供給する高沸点物分離工程:
これらの態様において、更に、下記の(F)の工程を備えるようにすることもできる。
(F)前記(A)の水素化工程または塩素化工程で得られたクロロシラン類留出物を、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とする第1類のクロロシラン類留出物と、テトラクロロシランおよびテトラクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とする第2類のクロロシラン類留出物とに分離し、前記第1類のクロロシラン類留出物を、前記(B)の不純物転化工程に供給する高沸点留分分離工程:
この場合、更に、下記の(G)の工程を備える態様としてもよい。
(G)前記第1類のクロロシラン類留出物を、さらに、トリクロロシランを主成分とする留出物と、トリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とする留出物とに分離し、前記トリクロロシランを主成分とする留出物を、前記(B)の不純物転化工程に供給する工程:
本発明の他の態様として、更に、下記の(H)の工程を備えるようにしてもよい。
(H)前記(A)の水素化工程または塩素化工程で得られたクロロシラン類留出物を、トリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とする第3類のクロロシラン類留出物と、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とする第4類のクロロシラン類留出物とに分離し、前記第4類のクロロシラン類留出物を、前記(B)の不純物転化工程に供給する低沸点留分分離工程:
この場合、更に、下記の(I)の工程を備える態様とすることもできる。
(I)前記第4類のクロロシラン類留出物を、さらに、トリクロロシランを主成分とする留出物と、トリクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とする留出物とに分離し、前記トリクロロシランを主成分とする留出物を、前記(B)の不純物転化工程に供給する工程:
好ましくは、前記(B)の不純物転化工程の処理温度は0℃以上150℃以下である。
また、好ましくは、前記(B)の不純物転化工程は、前記一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物を、前記クロロシラン類留出物中に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物の化学量論量以上に添加して行われる。
前記一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物として、下記の構造式で示されるものを挙げることができる。ここで、下記構造式中、Arは置換または未置換のアリール基であり、R1およびR2は水素または炭素数1以上20以下の炭化水素基である。
前記構造式で示されるアルデヒド化合物は、例えば、シンナムアルデヒド誘導体である。
前記シンナムアルデヒド誘導体としては、シンナムアルデヒド、α-メチルシンナムアルデヒド、α-ペンチルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、p-イソプロピル-α-メチルヒドロシンナムアルデヒド、p-tert-ブチル-α-メチルヒドロシンナムアルデヒドを例示することができる。
本発明により精製される前記電子材料グレードクロロシラン類は、例えば、半導体用途の多結晶シリコン製造、太陽電池用途の多結晶シリコン製造、シリコン酸化膜の成膜、多結晶シリコン膜の成膜、シリコン化合物薄膜の成膜、エピタキシャルウェハ製造の何れかを目的とした原料として有用である。
本発明に係るクロロシラン類の精製方法では、水素化工程および/または塩素化工程、不純物転化工程、精製工程の少なくとも3つの工程を備えている。不純物転化工程では、一般式Ar−R−CHO(Arは置換または未置換のアリール基、Rは炭素数2以上の有機基)で表記されるアルデヒド化合物が添加され、クロロシラン類留出物に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物が高沸点物に転化される。ドナー不純物とアクセプタ不純物を高沸点物に転化させた後のクロロシラン類留出物は、精製工程へと送られる。精製工程では、蒸留塔などを用いることにより、塔頂部より系外に回収して、充分にドナー不純物およびアクセプタ不純物が除去された高純度のクロロシラン類を得る。
かかる構成のクロロシラン類の精製方法に基づく技術は、取り扱いが容易で廃棄物処理が煩雑である等の問題もない。また、吸着塔などの装置も必要とせず、設備が複雑になることもない。つまり、従来法の問題点が解消される。
このように、本発明によれば、クロロシラン類留出物中からドナー不純物およびアクセプタ不純物を除去して含有量を低減させる新規な技術が提供される。
本発明のクロロシラン類の精製方法の一態様を説明するためのブロック図である。 分離工程で精製クロロシラン類を分離した後の残液を、不純物転化工程において再利用することとした態様を示すブロック図である。 残液を不純物転化工程に供給する前に、アルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分と高沸点物を主成分とする留分とに分離する高沸点物分離工程を設けた態様のブロック図である。 本発明のクロロシラン類の精製方法の他の態様を説明するためのブロック図である。 本発明のクロロシラン類の精製方法の他の態様を説明するためのブロック図である。 本発明のクロロシラン類の精製方法の他の態様を説明するためのブロック図である。 本発明のクロロシラン類の精製方法の他の態様を説明するためのブロック図である。 本発明のクロロシラン類の精製方法の他の態様を説明するためのブロック図である。 本発明のクロロシラン類の精製方法の他の様態を説明するためのブロック図である。
以下に、本発明に係るクロロシラン類の精製方法を実施するための態様について説明する。
本発明では、金属グレードシリコンの存在下でテトラクロロシランを主成分とするクロロシラン類と水素を反応させてトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を得る水素化工程または金属グレードシリコンと塩化水素を反応させてトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を得る塩素化工程で得られたクロロシラン類留出物を、一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物の存在下で処理することにより、クロロシラン類留出物中に含有されているドナー不純物とアクセプタ不純物を高沸点物に転化させ、当該不純物転化工程を経たクロロシラン類留出物から電子材料グレードクロロシラン類を分離して系外に回収することで、クロロシラン類の精製を行う。ここで、上記一般式(Ar−R−CH)中、Arは置換または未置換のアリール基であり、Rは炭素数2以上の有機基である。
上記一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物として、下記の構造式で示されるものを挙げることができる。ここで、下記構造式中、Arは置換または未置換のアリール基であり、R1およびR2は水素または炭素数1以上20以下の炭化水素基である。
上記構造式で示されるアルデヒド化合物は、例えば、シンナムアルデヒド誘導体であり、例えば、シンナムアルデヒド、α-メチルシンナムアルデヒド、α-ペンチルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、p-イソプロピル-α-メチルヒドロシンナムアルデヒド、p-tert-ブチル-α-メチルヒドロシンナムアルデヒドを例示することができる。
本発明によれば、高純度多結晶シリコンの製造等に用いられる十分に高い純度の半導体グレードのクロロシラン類を精製することができるのみならず、上記[化3]および[化4]で示した反応の結果物である固形高重合物が生成することがないため、製造設備の連続的運転が可能である。
上述したAr−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物も、ベンズアルデヒド類と同様に、塩化鉄などの金属塩化物などの存在下では塩素化が生じる。例えば、シンナムアルデヒドは下式のような反応により塩素化が生じる。

(塩素化)
しかし、仮にアルデヒド部分が塩素化された物質を生成したとしても、当該物質は他の分子としか反応しないベンズアルデヒド類とは異なり、下式のような反応により自分自身と分子内反応するため、高重合化物となり難く固体物の形成には到らないと考えられる。

(分子内反応)
つまり、工業的製造という観点からは、クロロシラン類留出物中に含有されているドナー不純物とアクセプタ不純物の除去剤は、アルデヒド基を含んだ化合物であり、かつ、当該化合物中のアルデヒド部が塩素化された場合にも分子内反応を起こすことで高重合化しない物質であることが好ましい。
上述したAr−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物は、ベンズアルデヒド類とは異なり、アリール基とアルデヒド基の間に炭素数2以上の有機基をもつという特徴を有している。つまり、一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物は、Rで示される有機基をもつために、ベンゼン環との分子内反応を形成することができ、高重合化物ができ難いとう特徴を示すと考えられる。
以下に、図面を参照して、本発明に係るクロロシラン類の精製方法を実施するための具体的な態様について説明する。
[第1の実施態様]
図1は、本発明のクロロシラン類の精製方法の一態様を説明するためのブロック図である。この図に示したクロロシラン類の精製方法は、水素化工程101および/または塩素化工程102、不純物転化工程103、精製工程104の少なくとも3つの工程を備えている。水素化工程101と塩素化工程102はシステムの要請により一方のみを備えるものでもよく、両方を備えるものでもよい。
水素化工程101では、金属シリコンとテトラクロロシランを主成分とするクロロシラン類および水素が供給され、トリクロロシランを含む粗クロロシラン類が得られる。一方、塩素化工程102では、金属シリコンと塩化水素が供給され、触媒の存在下で、トリクロロシランを含む粗クロロシラン類が得られる。
水素化工程101あるいは塩素化工程102にて得られた粗クロロシラン類は、必要に応じて精製された後、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランなどのクロロシラン類を主成分とするクロロシラン類留出物として、不純物転化工程103へと送られる。
不純物転化工程103では、上述した一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物が添加され、クロロシラン類留出物に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物が高沸点物に転化される。
この高沸点物転化処理時の温度は、反応容器内の圧力下におけるクロロシラン類留出物の沸点以下となるように設定すればよく、0℃以上150℃以下で行われるのが一般的である。処理温度が低すぎると高沸点物転化に長時間を要する一方、温度が高すぎると反応容器内の圧力を高めに設定する必要が生じてしまう。
不純物転化工程103に供給(添加)されるアルデヒド化合物の量は、クロロシラン類留出物に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物の化学量論量以上であることが好ましい。
アルデヒド化合物の濃度が高いほどドナー不純物およびアクセプタ不純物の高沸点物への転化が促進されるが、アルデヒド化合物の供給量が過剰であると、アルデヒド化合物の回収を行う必要等も生じ得る。
従って、不純物転化工程103で供給されるアルデヒド化合物の量は、クロロシラン類留出物に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物と等モル以上であって、かつ、経済的に合理的と判断される過剰量とするのがよく、例えば一般的に含まれる不純物量からは、処理されるクロロシラン類留出物に対して20質量%以下で十分である。
一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物の存在下で処理することにより、クロロシラン類留出物中に含有されているドナー不純物とアクセプタ不純物を高沸点物に転化させた後のクロロシラン類留出物は、精製工程104へと送られる。
精製工程104に送られてくるクロロシラン類留出物中には、トリクロロシランを含むクロロシラン類の他、不純物転化工程103において添加されたアルデヒド化合物の過剰分、ドナー不純物およびアクセプタ不純物の転化により生じた高沸点物が含まれている。
精製工程104では、蒸留塔などを用い、トリクロロシランを主成分とするクロロシラン類の分離と精製が行われる。不純物転化工程103より送られてくるクロロシラン類留出物の内容物は、クロロシラン類と、一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物、ドナー不純物およびアクセプタ不純物の高沸点物である。従って、蒸留塔などを用いることにより、容易に塔頂部より系外に回収して精製されたクロロシラン類を得ることができる。
得られたクロロシラン類は、充分にドナー不純物およびアクセプタ不純物が除去された高純度のクロロシラン類であり、半導体グレードの高純度多結晶シリコン等を製造するための原料クロロシラン類としても充分な程度の高純度(電子材料グレード)のものである。
精製工程104で精製クロロシラン類を分離した後の残液は蒸留塔の塔底側などより排出されることになるが、この残液中には、クロロシラン類、過剰に用いられた一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物、ドナー不純物およびアクセプタ不純物の高沸点物が含まれている。このうち、クロロシラン類と一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物は、再度、不純物転化工程103において再利用可能なものである。
図2は、精製工程104で精製クロロシラン類を分離した後の残液を、不純物転化工程103において再利用することとした態様を示すブロック図で、この態様では、精製工程104で電子材料グレードのクロロシラン類を分離した後のクロロシラン類留出物残液の少なくとも一部を、上述したアルデヒド化合物の少なくとも一部として不純物転化工程103に供給している(留出物残液供給工程)。このような再利用を行えば、残液中のクロロシラン類の有効利用が図られることに加え、分離工程103に再供給されることとなるアルデヒド化合物の分だけ、外部から供給するアルデヒド化合物の量を低減させることができる。
なお、図3に示した態様のように、残液を不純物転化工程103に供給する前に、予め、精製工程104で電子材料グレードのクロロシラン類を分離した後のクロロシラン類留出物残液より、上述したアルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分を分離して、アルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分を、アルデヒド化合物の少なくとも一部として不純物転化工程103に供給する高沸点物分離工程201を設けるようにしてもよい。このような高沸点物分離工程201には、蒸留塔などを用いればよい。上述したアルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分を分離した高沸点物を主成分とする残液には、不要物であるドナー不純物およびアクセプタ不純物の高沸点物が含まれており、かかる不要物を一部系外に抜き出しながら有用物を回収することができる。
なお、残液の全量を不純物転化工程103に再供給することを続けると、ドナー不純物およびアクセプタ不純物の高沸点物の濃縮により不都合が生じ得る。従って、クロロシラン類留出物に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物の量に応じて、残液の再供給量を調整することが好ましい。
[第2の実施態様]
図4〜図9は、本発明のクロロシラン類の精製方法の他の態様を説明するためのブロック図で、これらの図に示したクロロシラン類の精製方法では、第1の実施態様が備える工程に加え、高沸点留分分離工程301および低沸点留分分離工程302の少なくとも一方の工程が設けられている。
ここで、高沸点留分分離工程301は、水素化工程101または塩素化工程102で得られたクロロシラン類留出物を、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とする第1類のクロロシラン類留出物と、テトラクロロシランおよびテトラクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とする第2類のクロロシラン類留出物とに分離し、第1類のクロロシラン類留出物を、不純物転化工程103、あるいは不純物転化工程前に別途設けられる低沸点留分分離工程に供給する工程である。
また、低沸点留分分離工程302は、水素化工程101または塩素化工程102で得られたクロロシラン類留出物を、トリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とする第3類のクロロシラン類留出物と、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とする第4類のクロロシラン類留出物とに分離し、第4類のクロロシラン類留出物を、不純物転化工程103、あるいは不純物転化工程前に別途設けられる高沸点留分分離工程に供給する工程である。
図4に示した態様では、水素化工程101および/または塩素化工程102で生成したトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を、高沸点留分分離工程301により精製してクロロシラン類留出物中のトリクロロシラン濃度を高めた後に不純物転化工程103へと送る。
水素化工程101または塩素化工程102で生成したクロロシラン類留出物中には、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランのほか、ジクロロシランよりも低沸点の不純物やテトラクロロシランよりも高沸点の不純物も混在している。
従って、予め、テトラクロロシランおよびテトラクロロシランシランよりも高沸点の留分を分離しておき、不純物転化工程103に送られるクロロシラン類留出物中のトリクロロシラン濃度を高めておくこととすれば、不純物転化工程103の装置負荷の軽減等、多結晶シリコン製造用の原料を精製するという観点から有益である。
ここでの高沸点留分分離工程301では、水素化工程101または塩素化工程102から送られてくるトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(便宜上、「第1類のクロロシラン類留出物」という)とテトラクロロシランおよびテトラクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(便宜上、「第2類のクロロシラン類留出物」という)に分離する。
この様な分離には、蒸留塔などを用いることができる。例えば、塔頂部より上述の第1類のクロロシラン類留出物を抜き取り、塔底部より上述の第2類のクロロシラン類留出物を抜き取る。その後、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(第1類のクロロシラン類留出物)は、不純物転化工程103へと送られる。
図5に示した態様のように、水素化工程101および/または塩素化工程102で生成したトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を、低沸点留分分離工程302により精製してクロロシラン類留出物中のトリクロロシラン濃度を高めた後に不純物転化工程103へと送るようにしてもよい。
ここでの低沸点留分分離工程302では、水素化工程101または塩素化工程102から送られてくるトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を、トリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(便宜上、「第3類のクロロシラン類留出物」という)と、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(便宜上、「第4類のクロロシラン類留出物」という)に分離する。
この様な分離には、蒸留塔などを用いることができる。例えば、塔頂部より上述の第3類のクロロシラン類留出物を抜き取り、塔底部より上述の第4類のクロロシラン類留出物を抜き取る。その後、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(第4類のクロロシラン類留出物)は、不純物転化工程103に送られる。
図6で示した態様のように、高沸点留分分離工程301で処理して得たトリクロロシランおよびトリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(第1類のクロロシラン類留出物)を、更に低沸点留分分離工程302で処理して、トリクロロシランよりも低沸点のジクロロシラン等のクロロシラン類を分離することで、更にトリクロロシラン濃度を高めたものを不純物転化工程103に送ることとしてもよい。
また、図6に示した態様とは逆に、図7で示した態様のように、低沸点留分分離工程302を先に設け、トリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(第3類のクロロシラン類留出物)を分離した後のクロロシラン類を高沸点留分分離工程301に送ってテトラクロロシランおよびテトラクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とするクロロシラン類(第2類のクロロシラン類留出物)を分離するようにしてもよい。
図8に示した態様では、図2を参照して説明したとおり、精製工程104で精製クロロシラン類を分離した後の残液を、不純物転化工程103において再利用することとしている。この態様では、精製工程104で電子材料グレードのクロロシラン類を分離した後のクロロシラン類留出物残液の少なくとも一部を、上述したアルデヒド化合物の少なくとも一部として不純物転化工程103に供給している。
図9に示した態様では、図3を参照して説明したとおり、残液を不純物転化工程103に供給する前に、予め、精製工程104で電子材料グレードのクロロシラン類を分離した後のクロロシラン類留出物残液を上述したアルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分と高沸点物を主成分とする留分とに分離して、前者(アルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分)をアルデヒド化合物の少なくとも一部として不純物転化工程103に供給する高沸点物分離工程201を設けている。
以下では、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
20〜30℃の室温条件にて、サンプル容器にトリクロロシランを主成分とするクロロシラン類留出物を7,006g仕込んだ後にシンナムアルデヒドを27g添加し、1時間撹拌後、クロロシラン類溶液中のボロンとリンの濃度を測定した。
シンナムアルデヒド仕込み前のクロロシラン類溶液中のボロン量は11.5ppba、リン量は0.2ppbaであった。撹拌後のクロロシラン類溶液中のボロン量は1.0ppba、リン量は0.14ppbaであった。撹拌後のシンナムアルデヒドとクロロシラン類溶液の混合液を、常圧で窒素通気にて十分蒸発させた。蒸発残分は容器より容易に排出することができ、残分はシンナムアルデヒドを主成分とする液体であった。
[比較例1]
実施例1と同様の条件で、シンナムアルデヒドのかわりにベンズアルデヒドを添加して行った。20〜30℃の室温条件にて、サンプル容器にトリクロロシランを主成分とするクロロシラン類留出物を6,988g仕込んだ。仕込んだクロロシラン類留出物は、実施例1で用いたものと同じ原液である。仕込んだクロロシラン類留出物に、実験例1で用いたシンナムアルデヒドのモル数と同じになるように、ベンズアルデヒドを22g添加した。1時間撹拌後、クロロシラン類溶液中のボロンとリンの濃度を測定した。
撹拌後のクロロシラン類溶液中のボロン量は0.8ppba、リン量は0.1ppbaであった。撹拌後の、ベンズアルデヒドとクロロシラン類溶液の混合液を、常圧で窒素通気にて十分蒸発させた。蒸発残分は容器より排出することはできなかった。容器を開放し蒸発残分を観察したところ、黒色の固体であった。
[実施例2〜4]
実施例1と同様の条件で、シンナムアルデヒドのかわりに表1に示すアルデヒド化合物を添加して行った。20〜30℃の室温条件にて、サンプル容器にトリクロロシランを主成分とするクロロシラン類留出物を仕込んだ。仕込んだクロロシラン類留出物は、実施例1で用いたものと同じ原液である。仕込んだクロロシラン類留出物に、実験例1で用いたシンナムアルデヒドのモル数と同じになるように、各アルデヒド化合物を添加した。1時間撹拌後、クロロシラン類溶液中のボロンとリンの濃度を測定した。撹拌後のクロロシラン類溶液中のボロン量とリン量を、表1に示す。撹拌後の各アルデヒド化合物とクロロシラン類溶液の混合液を、常圧で窒素通気にて十分蒸発させた。蒸発残分は容器より容易に排出することができ、残分は各アルデヒド化合物を主成分とする液体であった。
[実施例5]
図3のブロック図に示した設備により、クロロシラン類の精製を実施した。トリクロロシランが70%、テトラクロロシランが30%のクロロシラン類留出物混合液に、混合液中のボロン量のモル基準で1,000倍になるよう、不純物転化工程103にてα-メチルシンナムアルデヒドを添加した。α-メチルシンナムアルデヒドが添加されたクロロシラン類留出物は精製工程104に送られ、蒸留塔にて分離を行った。蒸留塔の塔頂部より、トリクロロシランを主成分とする精製されたクロロシラン類を得た。精製されたクロロシラン類を原料にポリシリコンを製造してその抵抗率を測定したところ、N型で3,500Ωcmと高抵抗であった。精製工程104の蒸留塔の塔底部より排出された残液は、高沸点物分離工程201にてα-メチルシンナムアルデヒドを分離し、不純物転化工程103に再供給した。
本発明により得られる電子材料グレードクロロシラン類は、半導体用途の多結晶シリコン製造用として有益であるばかりではなく、太陽電池用途の多結晶シリコン製造、シリコン酸化膜の成膜、多結晶シリコン膜の成膜、シリコン化合物薄膜の成膜、エピタキシャルウェハ製造の何れかを目的とした原料としても有益である。
本発明は、クロロシラン類留出物中からドナー不純物およびアクセプタ不純物を除去して含有量を低減させる技術を提供する。
101 水素化工程
102 塩素化工程
103 不純物転化工程
104 精製工程
201 高沸点物分離工程
301 高沸点留分分離工程
302 低沸点留分分離工程

Claims (13)

  1. 下記の(A)〜(C)の工程を備えていることを特徴とするクロロシラン類の精製方法。
    (A)金属グレードシリコンの存在下でテトラクロロシランを主成分とするクロロシラン類と水素を反応させてトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を得る水素化工程;または、
    金属グレードシリコンと塩化水素を反応させてトリクロロシランを含むクロロシラン類留出物を得る塩素化工程:
    (B)前記(A)の水素化工程または塩素化工程で得られたクロロシラン類留出物を一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物の存在下で処理して、前記クロロシラン類留出物中に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物を高沸点物に転化させる不純物転化工程(ここで、上記一般式中、Arは置換または未置換のアリール基であり、Rは炭素数2以上の有機基である):
    (C)前記不純物転化工程を経たクロロシラン類留出物から電子材料グレードクロロシラン類を分離して系外に回収する精製工程:
  2. 更に、下記の(D)の工程を備えている請求項1に記載のクロロシラン類の精製方法。
    (D)前記(C)の精製工程で電子材料グレードクロロシラン類を分離した後のクロロシラン類留出物残液の少なくとも一部を、前記アルデヒド化合物の少なくとも一部として前記(B)の不純物転化工程に供給する留出物残液供給工程:
  3. 更に、下記の(E)の工程を備えている請求項1に記載のクロロシラン類の精製方法。
    (E)前記(C)の精製工程で電子材料グレードクロロシラン類を分離した後のクロロシラン類留出物残液より、前記アルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分を分離して、前記アルデヒド化合物とクロロシラン類を主成分とする留分を、前記アルデヒド化合物の少なくとも一部として前記(B)の不純物転化工程に供給する高沸点物分離工程:
  4. 更に、下記の(F)の工程を備えている請求項1乃至3の何れか1項に記載のクロロシラン類の精製方法。
    (F)前記(A)の水素化工程または塩素化工程で得られたクロロシラン類留出物を、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とする第1類のクロロシラン類留出物と、テトラクロロシランおよびテトラクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とする第2類のクロロシラン類留出物とに分離し、前記第1類のクロロシラン類留出物を、前記(B)の不純物転化工程に供給する高沸点留分分離工程:
  5. 更に、下記の(G)の工程を備えている請求項4に記載のクロロシラン類の精製方法。
    (G)前記第1類のクロロシラン類留出物を、さらに、トリクロロシランを主成分とする留出物と、トリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とする留出物とに分離し、前記トリクロロシランを主成分とする留出物を、前記(B)の不純物転化工程に供給する工程:
  6. 更に、下記の(H)の工程を備えている請求項1乃至3の何れか1項に記載のクロロシラン類の精製方法。
    (H)前記(A)の水素化工程または塩素化工程で得られたクロロシラン類留出物を、トリクロロシランよりも低沸点の留分を主成分とする第3類のクロロシラン類留出物と、トリクロロシランおよびトリクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とする第4類のクロロシラン類留出物とに分離し、前記第4類のクロロシラン類留出物を、前記(B)の不純物転化工程に供給する低沸点留分分離工程:
  7. 更に、下記の(I)の工程を備えている請求項6に記載のクロロシラン類の精製方法。
    (I)前記第4類のクロロシラン類留出物を、さらに、トリクロロシランを主成分とする留出物と、トリクロロシランよりも高沸点の留分を主成分とする留出物とに分離し、前記トリクロロシランを主成分とする留出物を、前記(B)の不純物転化工程に供給する工程:
  8. 前記(B)の不純物転化工程の処理温度は0℃以上150℃以下である、請求項1に記載のクロロシラン類の精製方法。
  9. 前記(B)の不純物転化工程は、前記一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物を、前記クロロシラン類留出物中に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物の化学量論量以上に添加して行われる、請求項1に記載のクロロシラン類の精製方法。
  10. 前記一般式Ar−R−CHOで表記されるアルデヒド化合物が、下記の構造式で示されるものである請求項1に記載のクロロシラン類の精製方法。ここで、下記構造式中、Arは置換または未置換のアリール基であり、R1およびR2は水素または炭素数1以上20以下の炭化水素基である。
  11. 前記構造式で示されるアルデヒド化合物が、シンナムアルデヒド誘導体である請求項10に記載のクロロシラン類の精製方法。
  12. 前記シンナムアルデヒド誘導体が、シンナムアルデヒド、α-メチルシンナムアルデヒド、α-ペンチルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、p-イソプロピル-α-メチルヒドロシンナムアルデヒド、p-tert-ブチル-α-メチルヒドロシンナムアルデヒドの何れかである請求項11に記載のクロロシラン類の精製方法。
  13. 前記電子材料グレードクロロシラン類は、半導体用途の多結晶シリコン製造、太陽電池用途の多結晶シリコン製造、シリコン酸化膜の成膜、多結晶シリコン膜の成膜、シリコン化合物薄膜の成膜、エピタキシャルウェハ製造の何れかを目的とした原料として用いられるものである、請求項1に記載のクロロシラン類の精製方法。
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