JP5542011B2 - ウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1](A)脂肪族ジイソシアネート、及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネート(a)と、炭素数が6〜9かつ分岐を有する脂肪族第一級モノアルコール(b)と、から得られるアロファネート基を有するポリイソシアネートに、
(B)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を、
反応させて得られるウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物。
[2](A)脂肪族ジイソシアネート、及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネート(a)と、炭素数が6〜9かつ分岐を有する脂肪族モノアルコール(b)と、から得られるアロファネート基を有するポリイソシアネートと、
(C)少なくとも1種類のポリオールと、
をウレタン化反応させて得られるNCO末端ウレタンオリゴマー(A’)に、
(B)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を、
反応させて得られるウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物。
[3]上記[1]または[2]に記載のウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物、及び光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[4]上記[3]記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有することを特徴とするコーティング剤、インキ、粘着剤、又は接着剤。
本発明のウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は、
[1]脂肪族ジイソシアネート、及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネート(a)と、炭素数が6〜9かつ分岐を有する脂肪族モノアルコール(b)と、から得られるアロファネート基を有するポリイソシアネート(A)に、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)を、反応させて得られるウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物、又は、[2]脂肪族ジイソシアネート、及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネート(a)と、炭素数が6〜9かつ分岐を有する脂肪族モノアルコール(b)と、から得られるアロファネート基を有するポリイソシアネート(A)と、少なくとも1種類のポリオール(C)と、をウレタン化反応させて得られるNCO末端ウレタンオリゴマー(A’)に、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)を、反応させて得られるウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物である。
本発明の出発原料の1つであるジイソシアネート(a)は、脂肪族ジイソシアネート、及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートである。脂肪族又は脂環族ジイソシアネートであるため、芳香族ジイソシアネートを用いた場合と比較して、耐候性、硬化物の耐黄変性に著しく優れている。脂肪族ジイソシアネートとは、分子中に飽和脂肪族基を有する化合物である。一方、脂環族ジイソシアネートとは、分子中に環状脂肪族基を有する化合物である。脂肪族ジイソシアネートを用いると、得られるポリイソシアネート組成物が低粘度となるのでより好ましい。脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(ヘキサメチレンジイソシアネート以下、HDIともいう)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)等が挙げられるが、これらには限定されない。脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート 以下、IPDIともいう)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン等が挙げられるが、これらには限定されない。この中でもHDI、IPDI、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートは、工業的に入手し易いため好ましい。中でもHDIを用いると耐候性と塗膜の柔軟性が非常に優れており最も好ましい。
本発明の出発原料の1つである脂肪族モノアルコール(b)は、炭素数が6〜9かつ分岐を有する脂肪族モノアルコールである。脂肪族モノアルコールの炭素数が6以上であれば、ウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物の粘度が低く、それから得られる活性エネルギー線硬化塗膜の耐衝撃性および耐カール性が良好となり、脂肪族モノアルコールの炭素数が9以下であれば、得られるウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が結晶化しにくく、更にそれから得られる活性エネルギー線硬化塗膜の硬度も高くなる。また、脂肪族モノアルコールが分岐を有していれば、得られるウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物の粘度が低い上に結晶化しにくい。このような脂肪族モノアルコールとしては、例えば、4−メチル−1−ペンタノール(4−メチル−n−アミルアルコール)、2−エチルブタノール、2−エチルペンタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,3,5−トリメチルヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール等が挙げられるが、これらには限定されない。2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノールは粘度が低くなるので、特に好ましい。
本発明の中間原料の1つであるポリイソシアネート(A)は、上記ジイソシアネート(a)と脂肪族モノアルコール(b)をウレタン化反応させることにより出来るウレタン基含有化合物を、アロファネート化反応することによって得ることができるアロファネート基含有ポリイソシアネートである。アロファネート基含有ポリイソシアネート(A)の製造方法について、以下に示す(なお、特許第3891934号の記載も、併せて参照されたい。)。
本発明におけるウレタン化反応、アロファネート化反応の過程は、反応液のNCO含有量を測定するか、屈折率を測定することにより追跡できる。
本発明の出発原料の1つである(B)は、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物である。水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)成分の水酸基とアロファネート基含有ポリイソシアネート(A)成分のイソシアネート基とを反応させることで本発明のウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を製造できる。このような水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(2−HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−HPMA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタアクリレートなどの分子内に1個の(メタ)アクリレート基を有する化合物や、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、グリセリンジメタアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどの分子内に2個以上の(メタ)アクリレートを有する化合物や、上記の水酸基および(メタ)アクリレートを有する化合物とε−カプロラクトンとの付加物等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられるが、これらには限定されない。
本発明の任意的な出発原料の1つである(C)は少なくとも1種類のポリオールである。(C)成分は本発明において必ずしも必要ではないが、(C)成分を加えることにより、本発明から得られる硬化物の可とう性を改良できる。そのようなポリオール(C)としては、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられるがこれらには限定されない。
本発明のウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組生物は、NCO/OH比が1以外であれば、未反応のポリイソシアネート(A)又は水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)や、末端の状態が異なる複数種のウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂を含む混合物となっているため、「組成物」と呼ぶ。但し、NCO/OHを1にして製造した物も、本発明のウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組生物の範囲内である。
本発明の一形態である活性エネルギー線硬化型組成物において用いられる活性エネルギー線重合開始剤としては、ベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられるがこれらには限定されない。これらから選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。より好ましくは、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが用いられる。その添加量は、樹脂部の総重量100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
〔NCO含有量〕
NCO基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって測定した。
〔粘度〕
E型粘度計(東機産業株式会社製 RE−85R)で、標準ローター(1°34’×R24)を用いて、25℃で測定した。なお、ウレタンアクリレート粘度の評価結果については、10000mPa・s以下:◎、10000mPa・s超〜12000mPa・s以下:○、12000mPa・s超:△、結晶化:×でランク付けして示した。
100r.p.m.(128mPa・s未満の場合)
50 r.p.m.(128mPa・s〜256mPa・sの場合)
20 r.p.m.(256mPa・s〜640mPa・sの場合)
10 r.p.m.(640mPa・s〜1280mPa・sの場合)
5 r.p.m.(1280mPa・s〜2560mPa・sの場合)
2.5r.p.m.(2592mPa・s〜5184mPa・sの場合)
1.0r.p.m.(5184mPa・s〜12960mPa・sの場合)
0.5r.p.m.(12960mPa・s〜25920mPa・sの場合)
1H−NMR(Bruker社製FT−NMR DPX−400)を用いて、8.5ppm付近のアロファネート基の窒素原子上の水素のシグナルと、3.8ppm付近のイソシアヌレート基のイソシアヌレート環の窒素原子の隣のメチレン基の水素のシグナルの面積比から求めた。
小型UV照射装置(オーク製造社のハンディUV−300)を用いた。なお、積算光量は、紫外線光量計付照度計(オーク製造社のUV−M03A)で測定した。
ケーニッヒ硬度計(BYK Gardner社のPendulum hardness tester(商品名))を用いて、測定温度23℃で測定した。なお、評価結果は、100以上:◎、70以上:○、70未満:×でランク付けして示した。
JIS−K−5600−5−3(デュポン式)に準じて測定した。評価結果は、1/2インチ*300g*50cm以上:◎、1/2インチ*300g*40cm以上:○、1/2インチ*300g*35cm以下:×でランク付けして示した。
塗工されたPETフィルム(厚さ:25μm)を5cm四方に切り出し、その四隅の浮き高さの平均値を計測した。評価結果は、浮き高さの平均値が3mm以下:○、3mm以上:×でランク付けして示した。
[合成例1]
攪拌機、温度計、冷却管を取り付けた4口フラスコに、HDI600g、2−エチル−1−ブタノール36.49gを仕込み、90℃で1時間ウレタン化反応を行なった。130℃に昇温した後、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニウムの固形分20wt%2−エチル−1−ヘキサノール溶液を0.15g加えた。反応液の屈折率上昇が0.0052となった時点で、リン酸の固形分10wt%2−エチル−1−ヘキサノール溶液を1.38g(触媒に対して、14倍モル)を加えて、反応を停止した。さらに、反応液を130℃で1時間加熱を続けた後、常温に冷却した。
2−エチル−1−ブタノール36.49gに代えて2−エチル−1−ヘキサノール46.51gを使用した以外は、合成例1と同様に合成を行なった。得られたポリイソシアネートは透明な液体であり、NCO含有量:17.1wt%、粘度:130mPa・sであった。また、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比:97/3であり、本発明の中間原料であるポリイソシアネート(A)に該当する。以下、P2と呼ぶ(表1)。
2−エチル−1−ブタノール36.49gに代えて3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール51.52gを使用した以外は、合成例1と同様に合成を行なった。得られたポリイソシアネートは透明な液体であり、NCO含有量:16.9wt%、粘度:150mPa・sであった。また、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比:97/3であり、本発明の中間原料であるポリイソシアネート(A)に該当する。以下、P3と呼ぶ(表1)。
2−エチル−1−ブタノール36.49gに代えてi−ブタノール26.47gを使用した以外は、合成例1と同様に合成を行なった。得られたポリイソシアネートは透明な液体であり、NCO含有量:19.4wt%、粘度:110mPa・sであった。また、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比:97/3であった。以下、P4と呼ぶ(表1)。
2−エチル−1−ブタノール36.49gに代えて1−オクタノール46.51gを使用した以外は、合成例1と同様に合成を行なった。得られたポリイソシアネートは透明な液体であり、NCO含有量:17.1wt%、粘度:90mPa・sであった。また、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比:97/3であった。以下、P5と呼ぶ(表1)。
2−エチル−1−ブタノール36.49gに代えて1−デカノール56.53gを使用した以外は、合成例1と同様に合成を行なった。得られたポリイソシアネートは透明な液体であり、NCO含有量:16.3wt%、粘度:90mPa・sであった。また、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比:97/3であった。以下、P6と呼ぶ(表1)。
攪拌機、温度計、冷却管を取り付けた4口フラスコに、NCO/OH当量比=1となるように、P1を10.0重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA、東亞合成製)を4.92重量部、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)を0.030重量部で仕込み、40℃へ昇温する。反応熱に注意しながら、オクチルスズ系触媒(商品名:U−810、日東化成製)を添加していき、発熱がなくなった時点で60℃へ昇温した。IR測定によりNCOピーク(2270cm−1)が消失したところで、反応を終了し、ウレタン基含有アクリレート樹脂組成物1を合成した。以下、U1とする。U1の粘度を測定した(表2)。
Claims (4)
- (A)脂肪族ジイソシアネート、及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネート(a)と、炭素数が6〜9かつ分岐を有する脂肪族モノアルコール(b)と、から得られるアロファネート基を有するポリイソシアネートに、
(B)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を、
反応させて得られるウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物。 - (A)脂肪族ジイソシアネート、及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネート(a)と、炭素数が6〜9かつ分岐を有する脂肪族モノアルコール(b)と、から得られるアロファネート基を有するポリイソシアネートと、
(C)少なくとも1種類のポリオールと、
をウレタン化反応させて得られるNCO末端ウレタンオリゴマー(A’)に、
(B)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を、
反応させて得られるウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物。 - 請求項1または請求項2に記載のウレタン基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物、及び活性エネルギー線重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 請求項3記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有することを特徴とするコーティング剤、インキ、粘着剤、又は接着剤。
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