JP5539656B2 - 製紙用プレスフェルト及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製紙機のプレスパートにおいて使用される、製紙用プレスフェルト(製紙用エンドレスニードルフェルト、製紙用シーム付ニードルフェルト等を含む。以下同じ。以下「フェルト」ともいう。)及びその製造方法に関する。更に詳しくは、耐久性があり且つ交換作業性に優れ、更に樹脂分布が精密に制御され、最適化された層状の領域を有する製紙用プレスフェルト及びその製造方法に関する。
従来、製紙用プレスフェルトでは、脱毛防止、汚れ防止及び搾水性向上など様々な理由により、樹脂加工がされてきた。
それら製紙用プレスフェルトに行なわれる樹脂加工には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂があり、それぞれの樹脂には各々の長所と短所がある。熱硬化性樹脂は、一般的に樹脂自体の耐久性が熱可塑性樹脂より優れているという利点があるが、一方短所として溶剤を含有している場合や、樹脂形成反応のために比較的長時間加熱を必要とする場合が多く、また紫外線により硬化するタイプの樹脂では、紫外線照射装置が必要となってしまう。
熱可塑性樹脂は、一般的に熱硬化性樹脂に比べ加熱時間が短く、また溶剤を含有してないものが多くなど、製作作業性(加工性)が良いという長所を持つ。
製紙用フェルトには、一般的にポリアミド(ナイロン6やナイロン66など)の熱可塑性樹脂が主原料として使用されている。このため、樹脂加工に使用する熱可塑性樹脂の融点もしくは流動開始温度(熱可塑性ポリウレタンエラストマーなど融点が明確でない場合ではJIS 7210に記載の試験法により測定される、流動開始温度を融点の代わりに使うことが多い。)は、これらフェルトの主原料の融点よりも低い必要があり、さらにナイロン6の粘着温度が約193℃であることを考慮すると180℃以下であることが望ましい。
熱可塑性樹脂による樹脂加工では、樹脂の融点もしくは流動開始温度が低いほど、樹脂加工フェルトの製作作業性は良くなる。しかし、融点もしくは流動開始温度が低くなるにつれて樹脂の機械的特性は低下する傾向があり、樹脂加工の耐久性も低下してしまう場合が多い。
一般的に製紙用プレスフェルトは湿紙中の水分除去のために、使用期間中に数百万回のプレスを受ける。また、フェルトの汚れ除去のために(高圧)シャワーによる洗浄やサクションボックスによる脱水が行なわれる場合が多い。このような環境の中で使用されるフェルトに樹脂加工を行なう場合には、フェルトの性能を維持するために樹脂加工の耐久性は重要な要因である。
高分子弾性部材と一部が、製紙側面に露出する表層形成体(バット、織物、不織布)の一方を疎水性素材にて構成した湿紙搬送ベルト及び製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この湿紙搬送ベルトによれば、シート剥離性向上、表層基材脱落防止の効果が得られる。
また、基布とバット層と少なくとも製紙面側バット層に含浸された樹脂とからなりバットが樹脂の表面に延出し表面バット繊維が親水性と疎水性の2種類の繊維により形成された搬送ベルトが知られている(例えば、特許文献2参照。)。この搬送ベルトによれば、シート剥離性向上に優れる。
更に、樹脂がバット繊維層を基布に取り付けるために分散した状態でバット繊維層から基布に渡って含浸されており通気度が2m/mmin以上で表面が研摩されたフェルト及び製法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。このフェルトによれば、再湿潤防止、搾水性・表面平滑性・耐圧縮性・耐久性・なじみ向上、振動・シームマーク・基布マーク防止、透過度(通気度)維持等の効果が得られる。
また、製紙面側層表面から多孔性構造体(多孔性フィラー,多孔性繊維)を露出又は突出させた湿紙搬送用ベルトが知られている(例えば、特許文献4参照。)。この湿紙搬送用ベルトによれば、耐久性向上、シート剥離性向上、シート搬送機能向上の効果が得られる。
更に、製紙面側層が高分子弾性部と繊維体とからなり該繊維体が親水性で少なくとも一部が表面に露出している湿紙搬送用ベルトが知られている(例えば、特許文献5参照。)。この湿紙搬送用ベルトによれば、シート貼着性向上、シート剥離性向上の効果が得られる。
また、基体製紙面側層表面に繊維体を島状に露出させそれ以外の部分にフィラー粒子を露出させた湿紙搬送用ベルトが知られている(例えば、特許文献6参照。)。この湿紙搬送用ベルトによれば、シート貼着性向上、シート剥離性向上、再湿潤防止の効果が得られる。
しかし、これら特許文献1〜6の製造方法では、いずれも表面より樹脂加工し、研磨によりバット繊維が表面に露出する構造を有している。
一方、樹脂加工について様々な理由により、その樹脂分布の制御の重要性が認められてきている。フェルトの樹脂加工において樹脂コーティングによる通気性の低下を可能な限り抑えることが重要であり、樹脂加工の機能が最適化されて実行されるように樹脂の位置を決めること(分布の制御)が必要であるという知見がある(例えば、特許文献7参照。)
特許文献7によると、フェルトにおける樹脂の位置を決めること(分布の制御)が必要であると記載されている。この特許文献1は、基布への樹脂加工のための発明であるが、より繊維密度が大きく、通気性の小さいバット層をターゲットに樹脂加工する場合、通気性への影響は大きく、樹脂分布制御の重要度はさらに増すといえる。もし樹脂分布範囲が設定よりも広くなってしまうと、樹脂量を変えなければ樹脂の分布密度が低くなってしまい樹脂加工の効果が十分得られず、また、樹脂分布が広くなってしまうことを考慮して予め、樹脂量を増やしてしまうとフェルトの通気性を低下やフェルトの曲げ剛性の上昇を引き起こす危険性がある。
更に、樹脂の分布が表面のバット繊維層のみでなく、基布層まで浸透した際には、製紙機上で使用するための許容限度以上の硬さになってしまう旨の知見がある(例えば、特許文献8参照。)。
また、近年は製紙機の操業効率を上昇させるために、交換作業の許容範囲の硬さ(曲げ剛性)であっても作業性が低下するような硬さのフェルトは避けられ、また樹脂加工フェルトの柔軟化についての要求も大きくなってきている。樹脂加工フェルトの硬さは、フェルトの基本(基布層)構造と、樹脂自体の硬さと、フェルト中の樹脂層の厚さにより左右される。この中でフェルトの基布構造は、フェルトには掛け入れ性以外にも搾水性など重要な特性が求められるため、これら他のフェルト特性を犠牲にして掛け入れ性の確保のためだけに変更することは難しい。また、樹脂硬度は樹脂加工フェルトの硬さに影響を与えるが、樹脂硬度よりも樹脂層の厚さがフェルト硬さに与える影響は大きい。なぜなら、フェルトは内部の繊維が多少動くことによって柔軟性を発揮するが、樹脂層では繊維と樹脂は一体化しており、繊維の動きを制限してしまう。そのため、いくら樹脂硬度が低く柔らかい樹脂で樹脂加工を行なっても、樹脂加工する範囲が広ければ、樹脂加工フェルトの柔軟性は大きく低下してしまうからである。よって、樹脂の分布を制御することは、樹脂加工フェルトの柔軟性を確保し、フェルト交換作業性を向上させる上で重要である。そのため、樹脂加工においては層状の領域の最適化(樹脂加工の効果が得られる範囲において、樹脂量の最小化と層状の領域の厚さの最小化)をすることが重要となる。
フェルトの交換作業性向上を目的にしたものにシーム付フェルトがある。シーム付フェルトではフェルトの硬さはフェルト交換作業性にあまり影響を与えない。しかし、シーム付フェルトは、紙にシーム部のマークをつける危険性があることから、表面性を重視する紙ではあまり使用されない。また、交換作業性の向上以外にも、以上のような目的のために樹脂分布を制御することは重要であり、それはシーム付フェルトでも重要な問題である。
比較的湿紙水分の小さくなった場所に使用されるフェルトにおいて、フェルト通気度を0とする場合など低い通気度を要求される場所に使用されるフェルトにおいて、フェルト表面に樹脂がある場合の問題とその解決法が開示されている(例えば、特許文献9参照。)。
一般的に製紙用プレスフェルトは使用される場所に応じた通気度に設定される。プレスパート前半では湿紙の水分が多く、処理する水量も多いため、フェルトの通気度は比較的高く設定され、プレスパート後半では湿紙水分は少なく、少ない湿紙水分を効果的に処理するためにフェルト通気度は比較的小さく設定される。
その中で、湿紙運搬性はプレスパート全体を通して、どの場所に使用されるフェルトにも要求される重要な要因であり、通気度の低いフェルトを使用する場合だけの問題ではない。例えば、プレスパート前半では湿紙水分が高く湿紙強度が比較的弱い。このような場所で使用されるフェルト表面に樹脂が多く出ている場合には、湿紙をフェルトから剥がす際にきれいに剥がれず、湿紙の粕がフェルト表面に付着してしまう問題を引き起こす場合がある。これは、主にフェルトの湿紙剥離性が悪いために引き起こされる現象である。さらにフェルトの湿紙剥離性が悪いと、湿紙が本来フェルトから離れる所で離れない「紙とられ」と呼ばれる現象も出てしまう。
このように、フェルトの表面に多量の樹脂が出ている場合には、そのフェルト通気度によらず、湿紙運搬性に問題を引き起こす危険性が高い。また、フェルト表バット内部をターゲットとして樹脂加工する際に、裏面より樹脂を塗布してしまうと、樹脂層が裏バット層や基布層まで樹脂が存在してしまうために、層状の領域の厚さがフェルト内部のみを樹脂加工した場合に比べ厚くなってしまい、フェルトの掛け入れ性や通気性を低下させてしまう。
ここで、低融点の熱接着性合成樹脂(以下「樹脂」という。)からなるメッシュ状の補助シート上に繊維ウェブを重ね、ニードリングをしてニードルフェルトシートを形成し、次いで、このニードルフェルトシートを基布の片面または両面に重合せしめニードリングをして両者を結合して、その後加熱処理して上記補助シートを溶融させる抄紙用フェルトの製造方法が、開示されている(例えば、特許文献10参照。)。
この特許文献10の製造方法では、樹脂をメッシュ状の補助シートとしている。メッシュ状にすれば、通気性及びニードルの刺通性が向上するという利点がある。
しかし、通常のフィルムシートを使用した樹脂加工と比べて以下の問題がある。まず、メッシュ状のシートを作成するには、樹脂フィルムに穴を開けるか、樹脂のスリットヤーンで織布を製造することになり、製造コストの増加につながる。次に、このメッシュ状シートを使用したフェルトは、樹脂分布のムラが大きく、プレスの加圧を受けないドライパートに使用することはできても、搾水の際のプレスの加圧の高い均一性が要求されるプレスパートには適していない。
即ち、流動開始温度が低くまた流動化時の粘度の低い樹脂フィルムを使用し、樹脂の分散により、通気度を確保することができれば、フィルムに穴を開けるなどの通気性確保の加工を行なう必要はない。
また、特許文献10では、樹脂の配置は、バット層の間ではなく、基布層とバット層の間である。特許文献10では、通気性確保と基布損傷防止のために、ニードリング本数(密度)を減らした場合の基布とバット層の接着力向上を主目的として樹脂加工をするため、基布層とバット層の間に樹脂を配置している。
一方搾水性向上を目的として樹脂加工するのであれば、湿紙に近い位置のバット層の空隙(通水路)を最適化するために、バット層内部に樹脂を配置する必要がある。製紙用プレスフェルトにおいて特許文献10のように基布層に接する位置に樹脂加工してしまうと、搾水性向上の効果が少なくなる。また、製紙用プレスフェルトにおいて基布層とバット層の接する部分は汚れの蓄積が多く、樹脂加工に使用する樹脂の種類を選ばないと(例えばフッ化ポリマーなど)、汚れの蓄積(目詰まり)を早くしてしまうおそれがある。
更に、汚染抵抗を有するプレス布構造及びその製造方法についての技術が開示されている(例えば、特許文献11参照。)。特許文献11に開示されているプレス布構造に使用されている樹脂は、フッ化ポリマーに限定されている。またフッ化ポリマーとして下位請求項に挙げられた樹脂の融点は、ポリアミド系樹脂の融点より高い、もしくは同程度である。よって、これらの樹脂を表バット層内部に配置した後に、これらの樹脂温度を融点まで上げようとすると、熱源側のフェルト表面はさらに高い温度になることが予想され、その部分のナイロンまで溶融してしまう可能性が高い。
また、特許文献11のプレス布構造の樹脂の配置位置は、「基布層上またはその近傍上」と明細書内に記載されている。これは、このプレス布構造が防汚性向上を目的としているためであり、フェルト内の一番汚れの蓄積しやすい部分を樹脂加工対象としていると考えられる。基布層上またはその近傍に樹脂加工すると、その部分の細孔が緻密になることで、汚れによる通水度低下を助長するため、フッ素樹脂などの防汚性のある樹脂以外をこの部分を樹脂加工することは好ましくない。また、フッ素樹脂などで樹脂加工を行う場合でも細心の注意を払う必要がある。
更に、特許文献11のプレス布構造の樹脂の配置方法は、噴霧または、キスロール塗布器を使用することが記載されている。そのため、一般的にフッ素樹脂加工に用いられる分散剤を使用して加工を行なうものである。したがって、分散剤を使用しない樹脂の配置方法は開示されていない。
更に、フルオロポリマー層を有する工業用ファブリック及びその製造方法についての技術が開示されている(例えば、特許文献12参照。)。この特許文献12の製造方法では、基布層へ表内バットを取り付け、その後、基布層表面のバットを溶融させ、次いで、溶融したバット上にフッ素樹脂を取り付け、その後、そのフッ素樹脂を溶融させ、次いで、その溶融したフッ素樹脂上に表外バットを取り付け、ニードリングするという工程からなる。
すなわち、表外バットを取り付ける前、樹脂を取り付け直後に、樹脂を溶融させ、樹脂を固着させる。これには、下記のような理由があると考えられる。
つまり、フッ素樹脂の融点が高いため、表外バットを取り付けてしまうとフッ素樹脂溶融に必要な温度まで上げてしまうことになり、表外バットも溶かしてしまう危険性がある。
また、特にメルトブローン繊維による不織布以外の場合、パウダーや水性あるいは液体溶剤である樹脂を散布により取り付けを行う場合、樹脂を溶融し基布層に固着させず、さらなるバット繊維をニードルにより取り付けを行うと、そのニードル時に樹脂が分散しやすく、樹脂の分布を制御し難いという問題がある。
特許第3488403号公報 特表2003−511582号公報 特許第4064930号公報 特許第4036765号号公報 特開2004−277971号公報 特許第4041056号号公報 特開2007−514879号公報 特開昭56−134289号公報 米国特許第4500588号公報 特公昭60−59360号公報 特表2007−502378号公報 特表2007−514879号公報
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、耐久性があり、かつ交換作業性に優れ、更に樹脂分布が精密に制御され、最適化された層状の領域を持つ製紙用プレスフェルト及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
(1)製紙面とその対面である走行面とを有すると共に、
基布層とその製紙面側に配置された表バット層とを備え、
上記表バット層は、該表バット層の内部に配置され溶融分散して固化された熱可塑性樹脂を含有し、
上記熱可塑性樹脂は、融点以上180℃未満の範囲の温度において樹脂が流動化したときの樹脂粘度が100〜7,000Pa・sであり、
上記熱可塑性樹脂は、上記基布層内に存在せず、
上記熱可塑性樹脂が、樹脂フィルムの形態であることを特徴とする製紙用プレスフェルト。
(2)上記表バット層の製紙面側の表面の平面積全体に対して、該表バット層の製紙面側の上記熱可塑性樹脂が露出された面積は40%以下(0%を含む)である(1)に記載の製紙用プレスフェルト。
(3)上記熱可塑性樹脂は、融点が80〜160℃であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の製紙用プレスフェルト。
(4)上記熱可塑性樹脂は、上記走行面側に比べて上記製紙面側に多く偏在されている(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。
(5)上記表バット層は、上記熱可塑性樹脂の分布密度が0.05〜0.40g/cmである層状の領域を有する(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。
)上記表バット層の繊維によって、該繊維の延びる方向に形成される毛細空間が、製紙面側に近づくほど細い(1)乃至()のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。
)上記製紙面側に近づくほど上記表バット層を構成するバット繊維の繊度が小さくなる()に記載の製紙用プレスフェルト。
)上記基布層の走行面側に、裏バット層を備える(1)乃至()のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。
)上記裏バット層には、上記熱可塑性樹脂が含まれない()に記載の製紙用プレスフェルト。
10)(1)乃至()のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルトの製造方法であって、
基布層素材と、少なくとも、上記表バット層の一部をなす基布層側に位置するバット層素材、上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層、及び上記表バット層の他部をなす製紙面側に位置するバット層素材をこの順に供給し、交絡された積層体を得る積層工程と、
上記積層体に含まれる上記熱可塑性樹脂を加熱して溶融し、少なくとも両上記バット層素材内に分散して固化する分散工程と、を備え
上記積層工程において上記熱可塑性樹脂を樹脂フィルムとして供給することを特徴とする製紙用プレスフェルトの製造方法。
11)上記樹脂フィルムは、厚さ50μmのフィルムにおいて500%以上の伸度を有する(10)に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
12)上記積層工程前に、上記バット層素材のみを予めニードリングするプレニードリングにより得られるシート状の不織布であるプレバットを作成し、該プレバット上に上記熱可塑性樹脂フィルムを配置後、両者を一体化させた樹脂加工プレバットを製作し、
上記積層工程において、上記樹脂加工プレバットとして上記樹脂層を供給する(10)又は(11)に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
13)上記樹脂加工プレバットは、樹脂フィルムを配置した側を走行面側にして積層されたものである(12)に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
14)上記積層体は、3層以上の上記バット層素材と、該バット層素材の層間に配置された2層以上の上記樹脂層と、を備える(11)に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
15)上記バット層素材は、いずれも1層あたりの目付が50〜150g/mであり、且つ、上記樹脂層は、いずれも1層あたりの目付が20〜60g/mの範囲である(14)に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
本発明の製紙用プレスフェルトによれば、耐久性があり、且つ湿紙運搬性と湿紙剥離性に優れ、更に樹脂分布が精密に制御され最適化された層状の領域(表バット層のうち熱可塑性樹脂が分散された部位)を持つことができる。
また、熱可塑性樹脂が、走行面側に比べて製紙面側に多く偏在されている場合は、製紙用プレスフェルトの搾水性を最適化することが容易になる。
更に、熱可塑性樹脂が、基布層に存在しない場合には、フェルト曲げ剛性の上昇が抑えられ、交換作業性に優れることができる。
また、表バット層が、熱可塑性樹脂の分布密度が0.05〜0.40g/cmである層状の領域を有する場合は、優れた交換作業性、通水性、搾水性、防汚性を同時に達成することができる。
更に、表バット層の繊維によって、該繊維の延びる方向に形成される毛細空間が、製紙面側に近づくほど細い場合には、樹脂を浸透、拡散しやすくすることができ、適切な樹脂分布を得ることができる。
また、製紙面側に近づくほど表バット層を構成するバット繊維の繊度が小さい場合には、繊維の延びる方向に形成される毛細空間を、製紙面側に近づくほど細くすることができる。
更に、表バット層が、2層以上の異なる繊度をもつバット繊維層からなる場合おいて、より基布層に近いバット繊維層の繊度が、より製紙面に近いバット繊維層の繊度より大きい場合にも、繊維の延びる方向に形成される毛細空間を、製紙面側に近づくほど細くすることができる。
また、表バット層の製紙面側の表面の平面積全体に対して、表バット層の製紙面側の熱可塑性樹脂が露出された面積は40%以下(0%を含む)である場合には、湿紙運搬性と湿紙剥離性に優れることができる。
更に、基布層の走行面側に、裏バット層を備えていれば、基布層を摩耗から保護することができる。
また、裏バット層には、熱可塑性樹脂が含まれない場合には、更に、作業交換性、通水性、防汚性に優れることができる。
本発明の製紙用プレスフェルトの製造方法によれば、耐久性があり、且つ湿紙運搬性と湿紙剥離性に優れ、更に樹脂分布が精密に制御され、最適化された層状の領域を持つ製紙用プレスフェルトを従来の樹脂加工に比べ容易に製造できる。
また、熱可塑性樹脂をフィルムとして積層工程時に供給することで、樹脂分布を精密に制御することが可能となる。また、熱可塑性樹脂フィルムとプレバットを予め一体化させた樹脂つきプレバットとして熱可塑性樹脂を積層工程で供給することで、積層工程で熱可塑性樹脂を供給することが容易になる。また、フィルム形態のため、取り扱い易く作業性が向上するとともに、作業者への身体的影響も改善され作業環境が向上する。
表バット層が、3層以上のバット層素材と、バット層素材の層間に配置された2層以上の樹脂層と、を備える場合には、同じ目付の樹脂を1層で供給配置した場合に比べて、樹脂層を厚くすることができ、通水性を高めることができる。
また、バット層素材が、いずれも1層あたりの目付が50〜150g/mであり、且つ、樹脂層が、いずれも1層あたりの目付が20〜60g/mの範囲である場合には、特に耐久性があり、且つ交換作業性に優れ、更に樹脂分布が精密に制御され、最適化された層状の領域を持つ製紙用プレスフェルトを製造できる。
(a)プレスフェルト素材の模式断面図、(b)製紙用プレスフェルトの模式断面図、(c)他の製紙用プレスフェルト素材の模式断面図である。 (a)密度の相違するバット層素材への樹脂の浸透を示す説明図、(b)熱源の位置によるバット層素材への樹脂の浸透を示す説明図である。 積層工程の他例を説明する説明図である。 図4に示す工程に続く工程を説明する説明図である。 図5に示す工程に続く工程を説明する説明図である。 図6に示す工程に続く工程を説明する説明図である。 製紙用プレスフェルトの断面電子顕微鏡写真である。 樹脂フィルムの供給を示す説明図である。 プレスでの水の回収率を示すグラフである。 紙剥離性試験装置の模式図である。
以下、図1〜10を参照しながら本発明を詳しく説明する。
尚、本発明は、かかる図面に記載された具体例に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更したものとすることができる。
[1]製紙用プレスフェルト
本発明の製紙用プレスフェルトは、製紙面とその対面である走行面とを有すると共に、
基布層とその製紙面側に配置された表バット層とを備え、表バット層は、表バット層の内部に配置され溶融分散して固化された熱可塑性樹脂(以下「樹脂」ともいう。)を含有し、熱可塑性樹脂は、融点以上180℃未満の範囲の温度において樹脂が流動化したときの樹脂粘度が100〜7,000Pa・sであり、熱可塑性樹脂は、基布層内に存在せず、熱可塑性樹脂が、樹脂フィルムの形態であることを特徴とする。
図1(a)は本発明製紙用フェルトの積層工程後の断面を模式的に表したものであり、図1(b)は積層工程の後に、樹脂が表バット層の内部で溶融分散して固化された(仕上がり後)フェルト断面を模式的に表したものである。ここで、図1(a)中の符合15は熱可塑性樹脂を表し、図1(b)の符合28は熱可塑性樹脂が加熱溶融により分散しバット素材と一体となった樹脂層を表している。
例えば、本発明の実施形態に係る製紙用プレスフェルト20は、図1(b)に示すように、基布層21と基布層21の製紙面側に配置された表バット層22とを備える。
上記「基布層」は、織布又は、不織布を素材とした繊維層であり、製紙用プレスフェルトの本体をなしている。また、この基布層の代わりにシートなど繊維以外の素材のものを使用しても良いことがフェルト製造業者の間で一般的に知られている。
尚、以下、本発明において「製紙面側」とは、基布層の製紙面側と同じ側を意味し、図1(b)における上側であって、湿紙面側(製紙面側)を意味するものとする。
上記「表バット層」は、基布層の製紙面側に形成されている層である。この層も織布又は不織布を素材とした繊維層である。この層は、1層のみからなってもよく、複数の層からなってもよい。表バット層の材質は特に限定はなく、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の1種又は2種以上が挙げられる。
表バット層の繊維によって、該繊維の延びる方向に形成される毛細空間は、特に限定はないが、製紙面側に近づくほど細いことが好ましい。こうすることで、バット繊維内の樹脂を製紙面側方向へ浸透・拡散しやすくすることができる。そのためには、製紙面側に近づくほど表バット層を構成するバット繊維の繊度が小さくなることが好ましい。また、表バット層が、製紙面側バット繊維層と基布層側バット繊維層の2層からなり、基布層側バット繊維層の繊度を、製紙面側バット繊維層の繊度より大きくすることによっても達成することができる。
また、表バット層は、その内部に配置され溶融分散して固化された熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂は、表バット層の内部に配置され溶融分散して固化されていれば、その分布は特に限定はないが、表バット層の厚さ方向における熱可塑性樹脂は、走行面側に比べて製紙面側に多く偏在されていることが好ましく、特に、表バット層の内部の熱可塑性樹脂を配置した部分(製造時に配置した部分)より上方の製紙面側部の方が、下方の走行面側部よりも多いことが好ましい。
上記「熱可塑性樹脂」の種類は特に限定はなく、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、EVA系樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。これらのなかではポリアミド系樹脂や一部のポリウレタン系樹脂が、耐圧縮性や耐屈曲性、耐加水分解性の観点から好ましい。
また、熱可塑性樹脂の融点は特に限定されないが、80〜160℃であることが好ましく、110〜130℃であることが更に好ましい。
上記「融点」は、固体が融解し、液体化する温度のことをいうが、融点が明確でないエラストマーについては流動開始温度を意味する。ここで「流動開始温度」とは、一般に熱可塑性ポリウレタンエラストマーなど融点が明確でないではないものに関して、融点の代わりとなる目安として使用され、JIS 7210に記載の試験法により測定される。
更に、熱可塑性樹脂は融点以上180℃未満の範囲の温度において樹脂が流動化したときの樹脂粘度が100〜7,000Pa・sである。そして、フェルト熱処理時の樹脂温度(80〜170℃)における粘度が500〜7,000Pa・sであることが好ましく、更には、融点もしくは流動開始温度が100〜150℃であり、フェルト熱処理時の樹脂温度(140〜170℃)における粘度が500〜5,000Pa・sであることが好ましく、500〜1,000Pa・sであることが特に好ましい。
尚、本発明において熱可塑性樹脂は、この熱可塑性樹脂と共に一体的に流動できるフィラーを含むことができる。このフィラーを含む熱可塑性樹脂組成物においても上記流動開始温度及び上記粘度が達せられることが好ましい。
上記分散された熱可塑性樹脂を含有する表バット層は、表バット層の素材中に熱可塑性樹脂が分散している複合層である。
具体的には、例えば図1(b)に示すように、製紙用プレスフェルト20は、表バット層22の内部に熱可塑性樹脂を含有しない上部表バット層22a及び下部表バット層22bと、その間に熱可塑性樹脂が分散している複合層である層状の領域28を備えている。
バット層素材としては、一般にフェルトに用いられる。このフェルトを構成する繊維種は特に限定されないが、例えば、ナイロン(ポリアミド)やポリエステル、羊毛などの単繊維(25〜200mm)を使用できる。
上記層状の領域28における「樹脂の分布密度(g/cm)」を「単位面積あたりの樹脂量/層状の領域28の厚さ」と定義すると、樹脂の分布密度は、0.05〜0.50g/cmであることが好ましく、0.10〜0.40g/cmであることが更に好ましい。
また、層状の領域の効果とフェルトの作業性(特に掛け入れ性)およびフェルト通気性の確保のバランスを考慮すると、樹脂の単位面積あたりの質量をフェルト単位面積あたりの質量の1.5〜5質量%以内、熱処理時の樹脂温度における樹脂粘度が500〜5000Pa・s、樹脂分布密度が0.10〜0.40g/cm、とすることがより好ましい。また、樹脂の単位面積あたりの質量をフェルト単位面積あたりの質量の1.5〜5質量%以内、熱処理時の樹脂温度における樹脂粘度が500〜1000Pa・s、樹脂分布密度が0.15〜0.20g/cm、とすることが特に好ましい。ここで樹脂の単位面積あたりの質量は、積層工程で供給される単位面積あたりの質量であり、樹脂フィルムを使用する場合には、使用する樹脂フィルムの目付(単位面積あたりの質量)となる。
上記樹脂分布密度は、フェルト断面の電子顕微鏡写真(図8参照)から求めることができる。具体的には、日本電子(株)JSM−6390LVを使用して電子顕微鏡写真を撮影し、同装置の測長機能を使用することにより樹脂層の厚さを測定し、さらにこの測定を10箇所行ない、その平均値を樹脂層の厚さとする。
上記樹脂には、フィラー(粒子)以外にも、他の添加剤を混合したものを使用することができる。前述のようにフィラー等を混合することで、後述する熱可塑性樹脂フィルムの流動開始温度及び流動時の粘度を調整することができる。更に、耐久性向上や親水性付与などの樹脂の改質にも用いることもできる。
上記フィラーとしては、一般に樹脂に機能を付加させるために用いることが知られている無機材料、高分子材料(融点もしくは流動開始温度が200℃以上のものが望ましい)、金属材料等が挙げられる。例えば、カオリンクレーを樹脂混合すると、樹脂に親水性を付与できる。これらのフィラーは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、フィラーを含有する場合、フィラーの含有量は特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂の全量を100質量部とした場合に、5〜50質量部を含有することができる。更に10〜30質量部がより好ましい。ここで注意しなければならないのは、樹脂にフィラーを混合すると樹脂粘度は上昇するということである。そして、樹脂にフィラーを混合する場合、混合後のフィラーを含む前記熱可塑性樹脂の粘度が前記粘度範囲内である必要がある。
更に、上記樹脂として、流動開始温度が80〜160℃の範囲にある2種類以上の熱可塑性樹脂を混合させ、混合後の樹脂粘度が、熱処理時の樹脂温度である80〜170℃において500〜5000Pa・sにあるものを、使用することが出来る。また、流動開始温度が100〜150℃の範囲にある2種類以上の熱可塑性樹脂を混合させ、混合後の樹脂粘度が、熱処理時の樹脂温度である160〜170℃において500〜1000Pa・sにあるものを使用するものであれば、特に好ましい。
上記「表バット層の内部」とは、例えば図1(b)に示すように、上部表バット層22aから下部表バット層22bまでの間に層状の領域28が、存在していることをいう。
このように表バット層の内部のみに層状の領域が存在する場合には、表バット層の表面から樹脂が突出しないため、表面研磨を行なう必要性もなく、フェルトの使用に際して、湿紙剥離性に優れることになる。また、基布層に樹脂が含まれないため、フェルトの柔軟性が確保でき、作業性(掛け入れ性)にも優れる。
上記「表バット層の内部」は、例えば、図1(b)に示すように、上部表バット層22aの表面22cに樹脂が露出している場合を含む。この「表面」とは、上部表バット層の外面をいい、外面からは突出していないことを意味する。したがって、「露出」とは、上部表バット層の外面から突出することなく、外面を形成していることをいう。
この樹脂の露出面積は、表面22cの面積全体を100パーセントとした場合、樹脂の露出面積が60%以下であることが好ましく、50%以下であることが更に好ましく40%以下であることが特に好ましい。60%を超えると、湿紙運搬性と湿紙剥離性の低下を招くおそれがあるからである。尚、この露出面積は、上部表バット層の製紙面側から露出された熱可塑性樹脂の面積割合を表し、後述する実施例における測定方法により測定される値である。
また、下部表バット層22bを超えて基布層にまで樹脂を含むものは、曲げ剛性が高くなり、掛け入れ性が低下するおそれがあるため、好ましくは基布層まで樹脂を含浸させない方が良い。曲げ剛性については、使用箇所により要求される曲げ剛性のレベルは異なる。この曲げ剛性は、樹脂加工によりフェルトを構成する繊維の動きが制限されることで上昇するので、曲げ剛性の上昇を抑えるためには、樹脂加工の効果を発揮するために必要最小限の範囲を樹脂加工することが重要である。よって、フェルトの表バット層をターゲットとして樹脂加工を行なうならば、基布層まで樹脂が存在しないことはもちろん、表バット層内部の必要な部分のみ行なうことが重要である。言い換えれば、湿紙運搬性や湿紙剥離性に悪影響を与えるフェルト表面付近や、汚れの蓄積しやすい基布層との境界付近まで樹脂加工すると、汚れの蓄積など樹脂加工による悪影響を引き起こすばかりでなく、必要以上の曲げ剛性の上昇を引き起こし、掛け入れ性の低下を招いてしまう。
尚、上記曲げ剛性の測定方法は、上記「曲げ剛性」とは、外力(kg)/変位(cm)であり、後述する実施例における測定方法により測定される値である。
製紙用プレスフェルトとしては、上記基布層と上記表バット層がニードリングにより絡合一体化されたもの(ニードルフェルト)が使用されることが多い。ニードリングにより製紙用プレスフェルトを構成する層全体が強固に一体化され、圧縮性や耐久性に優れるからである。
図1(b)に示す製紙用プレスフェルト20のように、基布層21の他面側には、裏バット層23が形成されていることが好ましい。裏バット層23が基布層21を保護し、フェルト20全体が更に耐久性に優れるからである。裏バット層の材質は、特に限定はなく表バット層と同様に、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、羊毛、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の1種又は2種以上が挙げられる。
また、裏バット層23は基布層21、又は基布層21及び裏バット層23の両方にニードリングにより絡合一体化されたものであることが好ましい。ニードリングにより製紙用プレスフェルトを構成する層全体が強固に一体化され、耐久性に優れるからである。
尚、図1(b)において、符号211は、基布層を構成する糸(断面)を表す。同様に、後述する図1(a)において、符号111は、基布層を構成する糸(断面)を表す。
[2]製紙用プレスフェルトの製造方法
本発明の製紙用プレスフェルトの製造方法は、前記製紙用プレスフェルトの製造方法であって、基布層素材と、少なくとも、上記表バット層の一部をなす基布層側に位置するバット層素材、上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層、及び上記表バット層の他部をなす製紙面側に位置するバット層素材をこの順に供給し、交絡された積層体を得る積層工程と、
上記積層体に含まれる上記熱可塑性樹脂を加熱して溶融し、少なくとも両上記バット層素材内に分散して固化する分散工程と、を備え
上記積層工程において上記熱可塑性樹脂を樹脂フィルムとして供給することを特徴とする。
より具体的には、例えば、基布層素材に上記表バット層の一部をなす基布層側に位置するバット層を形成するために少なくとも1層のバット層素材を積層しニードリングを行い交絡一体化し、
さらに、上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層を形成するために、上記熱可塑性樹脂のみ、もしくは上記熱可塑性樹脂とバット層素材を同時に積層し、ニードリングを行い交絡一体化し、その後、上記表バット層の他部をなす製紙面側に位置するバット素材を積層し、ニードリングを行い交絡一体化し、
さらに、バット層素材を積層せず、ニードリングを行なう交絡された積層体を得る積層工程と、
上記積層体に含まれる上記熱可塑性樹脂を加熱して溶融し、少なくとも両上記バット層素材内に分散して固化する分散工程と、を備えることができる。
ここで、前記の積層工程において裏バット層を形成させるために、基布層裏側にバット素材を供給積層し、ニードリングを行なっても良い。
本発明における上記バット層素材は、熱可塑性樹脂と共に前記表バット層を構成する材料である。また、上記基布層素材は上記基布層を構成する材料である。また、表バット層に含まれる熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂フィルムを用いることができ、この場合、より容易に本発明の製紙用フェルトを製作することが出来る。更に、熱可塑性樹脂フィルムは、フィルム単体で積層させても良いし、積層工程前にあらかじめ熱溶着やニードリング、その他の方法によりプレバットと一体化させ樹脂つきプレバットを製作し、樹脂つきプレバットを積層工程において供給しても良い。またさらに、熱可塑性樹脂フィルムと積層前にあらかじめ一体化されるバット素材は、フィルムの片面に配置されても良いし、フィルムの両面に配置され、一体化されても良い。ここで、プレバットとは、基布にバット素材を積層し交絡一体化する積層工程前にあらかじめバット素材のみをニードリングすることにより製作される、バット素材の単繊維からなるシート状の不織布のことをいう。
熱可塑性樹脂にフィルム以外のものを使用する場合の例としては、たとえば、図1(a)のバット素材12bを基布層に積層しニードリングにより一体化した後、溶融した樹脂をロールコーター法やメルトブロー法により12bの上に配置することが出来る。また溶融した熱可塑性樹脂をロールコーター法やメルトブロー法を用いて、上記プレバットに熱可塑性樹脂を一体化することにより樹脂つきプレバットを製作し、この樹脂つきプレバットを積層工程において供給することでも、製紙用プレスフェルトを製作することが出来る。
(1)積層工程
上記「積層工程」は、基布層素材と、少なくとも、上記表バット層の一部をなす基布層側に位置するバット層素材、上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層、及び上記表バット層の他部をなす製紙面側に位置するバット層素材をこの順に配置し、ニードリングにより交絡一体化された積層体を得る工程である。
即ち、図1(a)に示すように、表バット層12を形成する基布層側に位置するバット層素材12b、熱可塑性樹脂からなる樹脂層15、及び表バット層の他部をなす製紙面側に位置するバット層素材12aをこの順に積層とニードリングを繰り返し行なうことで、交絡された積層体10を得る工程である。
上記「積層」はどのように行ってもよく特に限定されず、目的とする積層順序となるように基布層素材とバット層素材と熱可塑性樹脂とが積層されればよい。
例えば、図1(a)に示すように、上記「表バット層素材12」は、基布層素材11の基布層側に配設される第1バット層素材12bと、第1バット層素材12bの製紙面側に配設される第2バット層素材12aとから構成される。そして、第1表バット層素材12b及び第2表バット層素材12aは、これらの層間に熱可塑性樹脂(フィルム)15を配しており、これら第1バット層素材12b、第2バット層素材12a及び熱可塑性樹脂(フィルム)15により製紙用プレスフェルト20の表バット層22が構成される。また、第1バット層素材12bは少なくとも1層以上、望ましくは2〜6層のバット素材から構成できる。また、第2バット層素材12aは少なくとも1層以上、望ましくは1〜3層のバット素材から構成できる。
積層工程では、熱可塑性樹脂15を、表バット層素材12内に配置するために、熱可塑性樹脂フィルムを用いることにより、本発明の製紙用フェルトを容易に製作することができる。さらに、熱可塑性樹脂フィルムは、フィルム単体で積層させても良いし、積層工程前にあらかじめ熱溶着やニードリングによりプレバット(あらかじめバット素材のみをニードリングし、シート状の不織布にしたもの)と一体化させ、その一体化したもの(樹脂つきプレバット)を積層工程において供給しても良い。また更に、熱可塑性樹脂フィルムと積層前にあらかじめ一体化されるバット素材は、フィルムの片面に配置されても良いし、フィルムの両面に配置され、一体化されても良い。
更に、積層工程において熱可塑性樹脂は2層以上に分割し、樹脂層の間にバット素材を挟んだ状態で配置されても良い。例えば、熱可塑性樹脂を2層に分割した場合の例を図1(c)に示す。熱可塑性樹脂15aと15bの2層で供給積層され、各熱可塑性樹脂層の間に第2バット層素材12aが配置されている。即ち、積層工程において図1(c)の様に樹脂が複数の層として配置されても、加熱溶融により樹脂が分散し、仕上がり時には図1(b)に示すような1つの樹脂層を形成させることができる。
図8にニードリング装置50を用いた積層工程におけるニードリング方法の模式図を示す。図中の19は、基布層素材に下部表バット層を形成するバット素材がニードリングにより一体化された第1積層体を示す。この第1積層体19上に、バット素材12aはプレバットとして、熱可塑性樹脂15はフィルムとして供給され、ニードリング装置50にて交絡一体化される。
ここで、図8では熱可塑性樹脂15はバット素材12aからなるプレバットと別々に供給されているが、前記樹脂つきプレバットとして熱可塑性樹脂とバット素材を一体化した状態で供給することも可能である。
また、この積層工程において図1(c)に示すように、熱可塑性樹脂を2層以上に分割し、各熱可塑性樹脂層間にバット素材を挟む形で供給することが出来る。
この方法は、溶融粘度が高く(例えば、前記フェルト熱処理時の樹脂温度における熱可塑性樹脂の粘度が4,000〜7,000Pa・s)、バット層素材に溶融させても浸透し難い熱可塑性樹脂を用いる場合に効果的であり、特に溶融粘度が高い熱可塑性樹脂をより低い樹脂分布密度で含有させる場合に効果的である。これにより、フェルト厚さ方向の樹脂分布範囲を広くでき、溶融粘度が高い熱可塑性樹脂であっても樹脂分布密度を低く抑えて含有させることができる。
一方、溶融粘度が低く(例えば、前記フェルト熱処理時の樹脂温度における熱可塑性樹脂の粘度が500〜4,000Pa・s)である熱可塑性樹脂を用いる場合においても、樹脂密度の低下による樹脂加工の効果の低下や樹脂層の厚さの増大による極端な掛け入れ性の低下を起こさない範囲において、より高い通気性を得る目的において、熱可塑性樹脂フィルムを複数の層に分割してバット層素材内に配置することは効果的である。
また、用いる熱可塑性樹脂の溶融粘度にかかわらず、熱可塑性樹脂フィルムを複数層に分割して配置することで、複数の異なる種類の熱可塑性樹脂を表バット層内に分散させることもできる。例えば、疎水性の樹脂と親水性の樹脂を分割した2つの熱可塑性樹脂フィルム層としてそれぞれ配置することができる。
具体的には、図1(c)に示すように、まず第1積層体19を形成し、その第1積層体19のうちの第1バット層素材12bの表面に疎水性の樹脂フィルム15b及び第2バット層素材12aを順次積層し、更に、その第2バット層素材12aの表面に親水性の樹脂フィルム15a及び第3バット層素材12cを順次積層して、その後、これらの全体をニードリングにより一体化させて積層体を製作することができる。
そして、この2種類の樹脂が混ざらない温度範囲にて加熱を行ない、樹脂を溶融・分散させる。これにより、表バット層内に親水性樹脂のみが分散された親水性層状の領域と、疎水性樹脂のみが分散された疎水性層状の領域を同時に有する表バット層を形成することができる。
また、同一の樹脂を用いた場合においても、一方に樹脂のみにより形成されたフィルムを使用し、他方にフィラーを混合することで親水性を付与した樹脂フィルムを使用することで、親水性度合いの異なる層状の領域を同時に有する表バット層を形成することができる。
このような親水性層状の領域及び疎水性層状の領域の両方を互いに独立した形で分割配置させた表バット層は、熱可塑性樹脂を媒体に分散含有させた液状樹脂にフェルトを含浸させたり、フェルト表面から塗布したりする方法ではなし得ない形態であり、必要以上にフェルトの掛け入れ性や通気度を低下させることもない。
更に、前記熱可塑性樹脂フィルムとして、非水溶性の熱可塑性樹脂と水溶性の熱可塑性樹脂との両方を含む熱可塑性樹脂フィルムを用いることもできる。このような熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、熱可塑性樹脂を表バット層内に分散させる加熱工程の前後に、表バット層(フェルト全体でもよい)を水洗(水、温水、熱水などを含む)する水洗工程を備えることで、水溶性の熱可塑性樹脂を溶解させて除去することができる。熱可塑性樹脂目付が少なくなるに従い(たとえば30g/m以下)、樹脂を均一に配置することは難しいが、非水溶性樹脂に水溶性の熱可塑性樹脂を混合したものを配置させ、水洗いにより除去することで、樹脂を均一に配置することが容易になる。
ここで、上記「目付」とは、単位面積(m)あたりの質量(g)である。
さらに、水溶性樹脂を除去しなくても製紙用フェルトは使用中水に濡れた状態であるため、使用中に水溶性熱可塑樹脂が除去されるので、水溶性樹脂を除去する水洗いを行なう必要は必ずしも無い。
上記熱可塑性樹脂フィルムは、厚さが薄く且つ軟質材からなる限り、その形状、機能等は特に問わない。例えば、帯状の軟質材とすることができる。フィルム形状であるため、均一な樹脂の層を形成でき、製紙用プレスフェルトの樹脂の分布を制御することが容易となる。
一方、小片形状の樹脂を分散してバット層素材間に挟むと、不均一な樹脂の層を形成してしまうため、小片状態の樹脂を使用してもよいが、積層時には、樹脂の小片同士を分散しにくい状態へ熱処理などにより一体化しフィルムとして用いることが好ましい。
但し、ニードリング時に熱可塑性樹脂がバット層素材の上記製紙面側にまで分散しないことが好ましい。従って、熱可塑性樹脂フィルムがニードリングにより小片化され難く、ニードリング後にもフィルム形状を維持できるものであることが好ましい。特にニードリング後のバット層素材内への分散は、熱可塑性樹脂フィルム全体の20質量%以下に抑えることが好ましい。具体的には、使用する樹脂を、厚さ50μmのフィルムにおいて500%以上の伸度を有する樹脂の中から選ぶことで、このニードリング時の樹脂の分散をフィルム全体の20質量%以下に抑えることは容易に達成できる。
熱可塑性樹脂フィルムを2層に分割して配置する場合の製造工程の一例を図3〜図6を用いて説明する。
図3に示すように、基布層素材11に裏バット層素材13を積層し、ニードリングする。ここでは、1層の裏バット層素材13を供給する例を図示している。通常1〜2層の裏バット層素材を供給することが多いが、まれに裏バット層素材無しや、3層以上供することもある。
尚、裏バット層素材を一体化する工程は、本例のように、第1バット層素材を積層する前であってもよいし、第1バット層素材を積層した後であってもよい。更に、上記第2積層体を積層した後であってもよい。
次いで、図4に示すように、バット層素材を基布層素材の表面(製紙面)側に積層し、ニードリングする。ここでは、2層のバット素材121b、122bからなるバット層素材12bを供給する例を図示している。バット層素材を構成するバット素材の供給総数は、少なくとも1層以上、望ましくは2〜6層が標準であるが、6層以上のバット素材を供給することもあり得る。
ここで、バット層素材のバット繊度に関しては、裏バット層素材13と同じ繊度であってもよいし、異なった繊度でもよい。
また、同一バット層内において、繊度の異なる複数のバット素材を使用することも可能である。その際、基布層素材11側のバット層素材122bに大きい繊度の(太い)バット繊維を使用し、製紙面側のバット素材121bに小さい繊度の(細い)バット繊維を使用することが、好ましい。
その後、図5に示すように、樹脂フィルム152とバット素材からなるプレバット122aを供給しニードリングにより交絡一体化を行ない、さらに樹脂フィルム151とプレバット121aを供給しニードリングにより交絡一体化する。
ここで、樹脂フィルムとバット素材を同時に供給する場合には、図5に示すようにバット素材を上(外)側に配置しニードリングすることが、積層工程の作業性の上で望ましい。また、バット素材121aと121bの繊度は、12bと同じ、もしくは、より小さい繊度のバット素材を使用することが望ましい。
次いで、図6に示すように、第3バット層素材16を第2積層体14上に積層してニードリングする。この第3バット層素材は配置しなくても構わない。ただし、樹脂のフェルト表面への露出割合を小さくするためには、第3表バット層を配置することが好ましい。そのため、第3表バット層を構成するバット素材は、0〜3層配置することが好ましく、1〜2層配置することが更に好ましい。(第3表バット層の数が少ないと、樹脂が溶融分散したときに樹脂が表面に露出しやすく、第3表バット層の数が多いとが断熱層となり、樹脂の温度が上がり難くなる。)
第3バット層素材のバット繊度は、第2バット層素材のバット繊度と同じ、もしくは、小さいことが好ましい。
(2)加熱工程
上記「加熱工程」は、上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融し、バット層素材の内部に、熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂)を浸透し分散させる工程である。
加熱するための熱源の種類は特に限定されない。また、少なくともバット層素材の内部に熱可塑性樹脂を浸透・分散させればよく、バット層素材の製紙面側から熱可塑性樹脂が露出する場合を除外してはいないが、表バット層の内部に熱可塑性樹脂が留まり、表バット層の製紙面側へ熱可塑性樹脂が露出しないことが好ましい。
上記加熱加工における加熱温度は特に限定されないが、融点が80〜160℃であり、フェルト熱処理時の樹脂温度(80〜170℃)における粘度が500〜7,000Pa・sの樹脂を用いた場合、110〜170℃であることが好ましく、140〜170℃であることが更に好ましく、160〜170℃であることが特に好ましい。
上記加熱は、上記バット層素材の製紙面側から行なうことが好ましい。図2(b)に示すように第2バット層素材12aの製紙面側(表側)に熱源30を配置することで、第2バット層素材12aの方が、第1バット層素材12bより温度が高くなり、樹脂は、上部のバット層素材12aの方へ多く浸透させることができる。また、図2(a)に示すように、第2バット層素材12aの方を、第1バット層素材12bより熱可塑性樹脂の密度の高いものとすることにより毛細管現象により、更に第1バット層素材12aの方へ樹脂を多く浸透させることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]加熱温度の影響(実施例1〜4及び比較例1)
実施例1〜4及び比較例1の製紙用プレスフェルト試験品(以下「試験品」という。)は、表バット層素材12と、表バット層素材12内に配置された熱可塑性樹脂フィルム15と、基布層素材11と、裏バット層素材13と、から構成される。これらの各々の詳細は以下の通りである。
基布層素材11 ;直径0.4mmのナイロンモノフィラメント211により構成さ
れ全体目付560g/mの織布。
表バット層素材12;第1バット層素材12bと第2バット層素材12bと、からなり
、熱可塑性樹脂フィルムを含まない全体目付は600g/m
第1バット層素材12b;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付100g/m
不織布(プレバット)を5層供給され構成される。
第2バット層素材12a;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付100g/m
不織布(プレバット)を1層供給され構成される。
熱可塑性樹脂フィルム;厚さ50μmのフィルムであって、熱可塑性樹脂量
54g/mであり、流動開始温度140〜145℃である。 (フィラーは含んでいない。)
裏バット層素材13;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付100g/m
不織布であるプレバット2層供給され構成される。
(試験品の製作)
まず、基布層素材11の製紙面側に第1バット層素材12bとなるプレバットの供給とニードリングを繰り返し5回繰り返し行なうことにより5層のプレバットを基布層素材に一体化させ、その後、基布層素材11の走行面側に裏バット層素材13となるプレバットの供給を2回繰り返し行なうことにより2層のプレバットを基布層素材に交絡一体化させ第1積層体19を形成した。
次いで、図8に示すように、第1積層体19のうちの第1バット層素材12bの製紙面側に、熱可塑性樹脂フィルム15を1層と、第2バット層素材12aとなる1層のバット素材と、を供給し、これら全体をニードリングにより一体化して積層体10を形成した(積層工程)。
その後、第2バット層素材12aの製紙面側から、表2に示す100℃、140℃、160℃、170℃のいずれかの温度で90秒間加熱して熱処理を行なった(加熱工程)。
尚、表1に、上記各温度における熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂の各温度における粘度を示した。この溶融粘度は、島津フローテスター 定温法 ダイ:1×1、加重294Nの測定条件で測定した数値である。
更に、実施例1〜4では、熱源に最も近い第2バット層素材12aは、100g/mという薄い厚さで加熱時間が十分に長いことから、熱可塑性樹脂の温度は加熱温度と実質同じ温度になっているものと考えられる。比較例1は、実施例1〜4と同一の積層体を形成し、熱処理を行なわなかった例である。
(評価及び評価方法)
実施例1〜4及び比較例1について、樹脂分布密度、樹脂を含まない試験品の通気度を100%としたときの通気度比率、及び曲げ剛性を測定し、表2に示した。尚、各評価は以下の方法により測定した値である。
即ち、樹脂分布密度(g/cm)は、表バット層内に配置した熱可塑性樹脂の目付を電子顕微鏡にて測定した樹脂層の厚さで割ることにより算出した。
通気度比率(%)は、熱可塑性樹脂を配置せず、それ以外は実施例1〜4および比較例1と同じ製造方法で製作したフェルトの通気度を100として、各サンプルの通気度の比率を算出した数値。
曲げ剛性(g/cm)は、フェルトを一定の厚さまで折り曲げる際に必要な力をフォースゲージ(日本電産シンポ製)を用いて測定し、サンプルの折り曲げた幅で割ることにより測定した数値。
(試験結果)
比較例1の熱処理無しの試験品の通気度比率は76.9%であった。よって、この比較例1のフェルトでは、樹脂を内部に配置し、樹脂を溶融させない状態においては、樹脂を配置しない場合と比べて通気度が約23%低下することがわかる。ここで、樹脂を溶融させなくても通気度比率76.9%を達成しているのは、ニードリングにより通気性が得られているからである。
そして、このとき使用した樹脂は100℃では溶融しないことから、100℃の熱処理を行なった実施例1においても、その通気度比率は熱処理を行なわない試験品と同じレベルであった。140℃で熱処理を行なった実施例2の通気度比率は89.7%であり、比較例1、及び実施例1に比べ向上している。これは、樹脂の溶融・分散が起こり、樹脂分布密度が低下したためであると考えられる。
しかし、通気度比率は90%を下回っているため、製紙用プレスフェルトとして使用する際には、早い時期に通気度が低下することも懸念される。更に加熱温度を170℃とした実施例4では、通気度比率は95%以上に向上し、使用中早い時期での通気度低下の危険性が少ないレベルとなった。なお、表2において、「通気度比率」とは、樹脂を含有しない試験品(樹脂以外は実施例1〜4と同一条件で製作)の通気度を100%とした場合の通気度の割合(%)である。
一方、曲げ剛性は実施例2の140℃による処理では705g/cmであるが、実施例3の160℃の処理では823g/cm、実施例4の170℃では911g/cmとなった。熱処理温度が高くなるにつれ、曲げ剛性値も上昇するが、いずれの剛性値ともフェルトが掛け入れ作業が困難になるほどの数値ではないといえる。
以上の物性試験結果より、このフェルトに行なわれる加熱温度は、使用場所によっても異なるが、通気度比率及び掛け入れ性の確保を考慮すると、130℃〜180℃であることが好ましく、150〜180℃であることが更に好ましく、155〜165℃であることが特に好ましい。ただし、掛け入れ性よりも通気度比率を重視する場合は、165〜175℃であることが特に好ましい。
[2]樹脂フィルムの層の影響(実施例5及び6)
実施例5及び6の試験品は、表バット層素材12と、表バット層素材12内に配置された熱可塑性樹脂フィルム15と、基布層素材11と、裏バット層素材13と、から構成される。これらの各々の詳細は以下の通りである。
基布層素材11 ;直径0.2mmのナイロンモノフィラメントを4本より合わせた
撚糸211で構成され、全体目付610g/mの織布である。
表バット層素材12;第1バット層素材12bと第2バット層素材12bとからなり、
熱可塑性樹脂フィルムを含まず、全体目付700g/mである。
第1バット層素材12b;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付100g/m
不織布(プレバット)を6層供給され構成される。
第2バット層素材12a;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付100g/m
不織布(プレバット)を1層供給され構成される。
熱可塑性樹脂フィルム;厚さ30μmのフィルムであって、熱可塑性樹脂量33.5g/
であり、流動開始温度105〜108℃である。(フィラー
は含んでいない。)
裏バット層素材13;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付100g/mの不織布で
あるプレバット1層供給され構成される。
(試験品の製作)
実施例5;基布層素材11の製紙面側に第1バット層素材12bとなる6層のバット基層を供給し、基布層素材11の走行面側に裏バット層素材13となる1層のバット素材を供給し、ニードリングにより一体化させて第1積層体19を形成した。
次いで、図9に示すように、第1積層体19のうちの第1バット層素材12bの製紙面側に、熱可塑性樹脂フィルム15を2層と、第2バット層素材12aとなる1層のバット基層と、を供給し、これら全体をニードリングにより一体化して積層体10を形成した(積層工程)。
実施例6;基布層素材11の製紙面側に第1バット層素材12bとなる5層のバット素材を供給し、基布層素材11の走行面側に裏バット層素材13となる1層のバット素材を供給し、ニードリングにより一体化させて第1積層体19を形成した。
次いで、図9に示すように、第1積層体19のうちの第1バット層素材12bの製紙面側に、1層の熱可塑性樹脂フィルム15と、1層のバット素材と、を供給し、これら全体をニードリングにより一体化して第2積層体を形成した。更に、同様にして、第2積層体のうちの第2バット層素材12aの製紙面側に、1層の熱可塑性樹脂フィルム15と、1層のバット素材と、を供給し、これら全体をニードリングにより一体化して積層体10を形成した。
実施例6の積層体が実施例5の積層体と違う点は、熱可塑性樹脂フィルム15の2層の間にバット素材1枚(100g/m)を配置させているという点のみである。
その後、第2バット層素材12aの製紙面側から、140℃で60秒間加熱して熱処理を行なった(加熱工程)。
(評価及び評価方法)
上記実施例1〜4と同様にして、樹脂分布密度、及び、樹脂を含まない試験品の通気度を100%としたときの通気度比率を測定し、表3に示した。
(試験結果)
表3より、実施例6は樹脂の間に第2バット層素材を挟んで配置したことで、実施例5に比べ樹脂層が約24%厚くなり、通気度比率が3.7%上昇した。このことから、樹脂を配置する際に樹脂と樹脂の問に第2バット層素材を挟むことにより、層状の領域を厚くし、樹脂分布密度を低下させることで、フェルトの通気性を確保しやすくなることが分かる。なお、表3において、「通気度比率」とは、樹脂を含有しない試験品(樹脂以外は実施例5、6と同一条件で製作)の通気度を100%とした場合の通気度の割合(%)である。
[3]熱可塑性樹脂の形態の影響(実施例7、比較例2及び3)
実施例7の試験品は、表バット層素材12と、表バット層素材12内に配置された熱可塑性樹脂フィルム15と、基布層素材11と、裏バット層素材13と、から構成される。これらの各々の詳細は以下の通りである。
基布層素材11 ;直径0.2mmのナイロンモノフィラメントを4本より合わせた
撚糸211で構成され、全体目付630g/mの織布である。
表バット層素材12;第1バット層素材12bと第2バット層素材12bとからなり、
熱可塑性樹脂フィルムを含まず、全体目付630g/mである。
第1バット層素材12b;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付110g/m
不織布(プレバット)を3層供給され構成される。
第2バット層素材12a;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付100g/m
不織布(プレバット)を3層供給され構成される。
熱可塑性樹脂フィルム;厚さ30μmのフィルムであって、熱可塑性樹脂量33.5g/
であり、流動開始温度105〜108℃である。(フィラー
は含んでいない。)
裏バット層素材13;ナイロン製単繊維を構成繊維とする目付110g/mの不織布で
あるプレバット2層供給され構成される。
(試験品の製作)
実施例7;基布層素材11の製紙面側に第1バット層素材12bとなる3層のバット素材を供給し、基布層素材11の走行面側に裏バット層素材13となる2層のバット素材を供給し、ニードリングにより一体化させて第1積層体19を形成した。
次いで、図8に示すように、第1積層体19のうちの第1バット層素材12bの製紙面側に、熱可塑性樹脂フィルム15を1層と、第2バット層素材12aとなる1層のバット素材と、を供給し、ニードリングを行った。この熱可塑性フィルムと第2バット層素材の供給、ニードリングを3回繰り返したので、熱可塑性フィルムと第2バット層素材は、全部で3層供給された。その後、これら全体をニードリングにより一体化して積層体10を形成した(積層工程)。
その後、第2バット層素材12aの製紙面側から、140℃で60秒間の加熱を3回繰り返して熱処理を行なった(加熱工程)。
また比較例2として、熱可塑性樹脂フィルムを用いないこと以外は実施例7と構造及び材料を同一とする積層体を形成した。更に、比較例3として、水分散型の熱硬化性樹脂により80g/mとなるようにコ−ティングした積層体を形成した。
(評価及び評価方法)
上記実施例1〜4と同様にして、樹脂分布密度、及び、樹脂を含まない試験品の通気度を100%としたときの通気度比率を測定し、表4に示した。更に、実施例7、比較例2及び比較例3については、各々厚さを以下の方法により測定し、表4に併記した。
(試験結果)
実施例7は、樹脂なしの比較例2に比べて曲げ剛性は、約40%増加しているのみであり、柔軟性はそれほど失われておらず、掛け入れ性の低下は小さいといえる。一方、水分散型樹脂を使用した比較例3の曲げ剛性は、比較例2より150%以上増加し、1100g/cmを超えてしまい、使用場所によっては掛け入れ性に大きな影響を与えてしまう可能性が高い。
このように曲げ剛性に大きな差が出た原因は、樹脂層の厚さが大きく違うことである。すなわち、比較例3では樹脂分布の厚さが実施例7に比べ厚く、基布層まで樹脂が分布してしまい、曲げ剛性が大きく増加したと考えられる。
尚、比較例3において、通気度比率が100%を超えているのは、水分散型の熱硬化性樹脂をコーティングすることによりフェルトの厚さが回復したことに起因している。
更に、実施例7、比較例2及び比較例3を用いて初期搾水性の比較試験を行った。この試験は以下の手法により行った。即ち、プレスシミュレータ装置(当社製)を用いて速度1000m/分、加圧20kN/mでフェルトサンプルを走行させ、シャワーによる水の供給流量、サクションボックスやプレスでの脱水量変化を測定する方法である。この結果を図9に示した。この試験によれば、水回収率とプレス回数との相関を観察できる。これまでのシミュレータ試験機の運用結果から、この試験方法の結果と実際の製紙機での搾水性に相関があることが明白となっている。
図9より、水分散型樹脂を使用した比較例3のプレスでの水回収率の増加は樹脂無しの比較例2に比べ早く、比較例3が比較例2に比べ、初期搾水性の良いことを示している。一方、実施例7の水回収率の増加は、比較例3と同等であり、初期搾水性においても、同等の性能を有していることが分かる。このように、実施例7は、本発明に係る製紙用プレスフェルトが、掛け入れ性を損なうことなく初期搾水性に優れていることを示している。
[4]樹脂露出割合の湿紙剥離性への影響(実施例8、9、10及び比較例4)
実施例8、9、10及び比較例4の試験品は、前記各試験品と同様にして形成され、基布層素材とバット層素材610g/mと裏バット層素材200g/m及び流動開始温度140〜145℃の熱可塑性ウレタン樹脂54g/mから構成される。バット層素材610g/mは100g/mずつ5層のプレバットと110g/m1層のプレバットに分割して供給し、裏バット層素材100g/m2層でニードリング時に供給した。また、樹脂は54g/mのフィルム1層で供給した。
(試験品の製作)
実施例8の試験品は、まず、基布層素材の製紙面側に100g/mのプレバットを積層しニードリングを行ない、これを5回繰り返すことで、5層のプレバットを積層し、ニードリングにより一体化して第1積層体を形成した。
次いで、第1バット層素材の表面に、110g/mのプレバットに樹脂フィルムを溶着形成した樹脂つきプレバットを、樹脂フィルム側が接するように積層して、その後、ニードリングによりこれら全体を一体化して積層体を形成した。
実施例9の試験品は、まず、基布層素材の製紙面側に100g/mのプレバットを積層しニードリングを行ない、これを4回繰り返すことで、4層のプレバットを積層し、ニードリングにより一体化して第1積層体を形成した。
次いで、100g/mのプレバットに樹脂フィルムを溶着形成した樹脂つきプレバットを、樹脂フィルム側が接するように積層してニードリングし、その後、110g/mのプレバットを積層しニードリングを行ない、その後さらにニードリングによりこれら全体を一体化して積層体を形成した。
実施例10の試験品は、まず、基布層素材の製紙面側に100g/mのプレバットを積層しニードリングを行ない、これを3回繰り返すことで、3層のプレバットを積層し、ニードリングにより一体化して第1積層体を形成した。
次いで、100g/mのプレバットに樹脂フィルムを溶着形成した樹脂つきプレバットを、樹脂フィルム側が接するように積層してニードリングし、その後、100g/mのプレバットを積層しニードリングを行ない、さらに、110g/mのプレバットを積層しニードリングを行ない、その後さらにニードリングによりこれら全体を一体化して積層体を形成した。
このように製作した実施例8から10の試験品の違いは、表バット層中の樹脂フィルムの配置する位置のみとなる。
比較例4の試験品は、樹脂無しで、基布層素材の製紙面側に6層のプレバットからなるバット層素材を、他面側に2層のプレバットからなる裏バット層素材を積層して、ニードリングにより一体化して積層体を形成した。
実施例8、9、10及び比較例4の積層体を、バット層素材表面側から140℃で60秒間加熱することにより、熱処理を行なってそれぞれの試験品を得た。
図10に示す試験装置は、トップフェルト91とボトムフェルト92、及びプレスロール95、96を備えている。
試験には坪量60g/mの湿紙を使用し、湿紙水分は80%とした。湿紙水分を80%は、フェルトの使用される製紙機のプレスパートにおいて、一番初めのプレス(1番プレス)入り口水分である。
湿紙は、水分が高いほど強度が低く、湿紙剥離性の差が出やすい。また、試験装置のフェルト速度は300m/minとした。そして、実施例8、9、10及び比較例4の試験品の試験品は、試験装置のトップフェルト91として使用して試験を行なった。湿紙70は、アルミ板80上に載置し、プレス入り口にてボトムフェルト92の上に乗せる。そしてプレスロール95、96によってプレス後、フェルトへの紙とられが発生しなければ、湿紙とアルミ板は受台97に収まる。試験は、各試験品について、同一条件で10回行なった。そして湿紙の剥離性の評価は、湿紙のフェルトへの紙とられ発生の有無をビデオカメラと目視により観察することによって、行った。また試験後の湿紙表面の観察も行なった。この結果を表5に、各試験品のフェルト表面樹脂露出割合と、湿紙剥離性試験結果として示した。なお、各試験品のフェルト表面樹脂露出割合は、次の様に測定した。まず試験品をボーケンステイン染色試験にて染色する。この染色によりナイロンは緑系の色に、ウレタン樹脂は赤系の色に染色される。その後、染色したサンプル表面を光学顕微鏡に設置したデジタルカメラにて撮影し、画像解析ソフトにより、赤系の色(ウレタン樹脂)の割合を測定した。
(試験結果)
表中の剥離性評価は、◎(極めて良好)、〇(端部などで不安定な場合があるが、紙とられは全く発生していない)、△(10回の試験中に、1回でも紙とられが発生した)とした。この結果より、フェルト表面の樹脂露出割合が高いと湿紙剥離性に影響を与える可能性が高いことが分かる。よって、フェルト表面の樹脂露出割合を制御することは、製紙機を安定して操業するために重要であり、本発明ではこのフェルト表面樹脂露出割合を制御したフェルトの製作が可能である。
10;積層体、11;基布層素材、12;バット層素材、12a;第2バット層素材、12b;第1バット層素材、13;裏バット層素材、15;熱可塑性樹脂フィルム、19;第1積層体、20;製紙用プレスフェルト、21;基布層、22;表バット層、22a;上部表バット層、22b;下部表バット層、23;裏バット層、28;層状の領域、30;熱源、50;ニードリング装置、70;湿紙、80;アルミ板、91;トップフェルト、92;ボトムフェルト、95及び96;プレスロール、97;受台。

Claims (15)

  1. 製紙面とその対面である走行面とを有すると共に、
    基布層とその製紙面側に配置された表バット層とを備え、
    上記表バット層は、該表バット層の内部に配置され溶融分散して固化された熱可塑性樹脂を含有し、
    上記熱可塑性樹脂は、融点以上180℃未満の範囲の温度において樹脂が流動化したときの樹脂粘度が100〜7,000Pa・sであり、
    上記熱可塑性樹脂は、上記基布層内に存在せず、
    上記熱可塑性樹脂が、樹脂フィルムの形態であることを特徴とする製紙用プレスフェルト。
  2. 上記表バット層の製紙面側の表面の平面積全体に対して、該表バット層の製紙面側の上記熱可塑性樹脂が露出された面積は40%以下(0%を含む)である請求項1に記載の製紙用プレスフェルト。
  3. 上記熱可塑性樹脂は、融点が80〜160℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製紙用プレスフェルト。
  4. 上記熱可塑性樹脂は、上記走行面側に比べて上記製紙面側に多く偏在されている請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。
  5. 上記表バット層は、上記熱可塑性樹脂の分布密度が0.05〜0.40g/cmである層状の領域を有する請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。
  6. 上記表バット層の繊維によって、該繊維の延びる方向に形成される毛細空間が、製紙面側に近づくほど細い請求項1乃至のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。
  7. 上記製紙面側に近づくほど上記表バット層を構成するバット繊維の繊度が小さくなる請求項に記載の製紙用プレスフェルト。
  8. 上記基布層の走行面側に、裏バット層を備える請求項1乃至のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルト。
  9. 上記裏バット層には、上記熱可塑性樹脂が含まれない請求項に記載の製紙用プレスフェルト。
  10. 請求項1乃至のうちのいずれかに記載の製紙用プレスフェルトの製造方法であって、
    基布層素材と、少なくとも、上記表バット層の一部をなす基布層側に位置するバット層素材、上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層、及び上記表バット層の他部をなす製紙面側に位置するバット層素材をこの順に供給し、交絡された積層体を得る積層工程と、
    上記積層体に含まれる上記熱可塑性樹脂を加熱して溶融し、少なくとも両上記バット層素材内に分散して固化する分散工程と、を備え
    上記積層工程において上記熱可塑性樹脂を樹脂フィルムとして供給することを特徴とする製紙用プレスフェルトの製造方法。
  11. 上記樹脂フィルムは、厚さ50μmのフィルムにおいて500%以上の伸度を有する請求項10に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
  12. 上記積層工程前に、上記バット層素材のみを予めニードリングするプレニードリングにより得られるシート状の不織布であるプレバットを作成し、該プレバット上に上記熱可塑性樹脂フィルムを配置後、両者を一体化させた樹脂加工プレバットを製作し、
    上記積層工程において、上記樹脂加工プレバットとして上記樹脂層を供給する請求項10又は11に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
  13. 上記樹脂加工プレバットは、樹脂フィルムを配置した側を走行面側にして積層されたものである請求項12に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
  14. 上記積層体は、3層以上の上記バット層素材と、該バット層素材の層間に配置された2層以上の上記樹脂層と、を備える請求項11に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
  15. 上記バット層素材は、いずれも1層あたりの目付が50〜150g/mであり、且つ、上記樹脂層は、いずれも1層あたりの目付が20〜60g/mの範囲である請求項14に記載の製紙用プレスフェルトの製造方法。
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