JP6162464B2 - 製紙用フェルトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製紙用フェルトの製造方法に関する。更に詳しくは、製紙機のプレスパートに利用できる製紙用フェルトの製造方法に関する。
製紙用フェルトは製紙装置の様々なパートに利用される。例えば、湿紙搬送を行うパートや湿紙の水分除去を行うパート等に利用される。そして、これらのパートでは、湿紙の水分除去を行うためのプレス、製紙用フェルト自体の高圧洗浄、サクションボックスにおける脱水等を受け、それに伴い次第に疲労されて製紙用フェルトは寿命を迎えることとなる。しかしながら、製紙用フェルトの交換には、製紙装置の停止が必要であるなど大掛かりであり、生産性やコストの観点から交換サイクルが長い製紙用フェルト、即ち、耐久性が高い製紙用フェルトが常に求められている。
更に、製紙用フェルトには、耐久性とともに、より高い搾水性も常に求められる。プレスパートにおいて湿紙からより多くの水分を搾水できることで、プレスパートに続くドライヤーパートにおいて、紙を乾燥させるために必要なエネルギー(熱エネルギー及びそれを得るための燃料等)を削減できるからである。
このような製紙用フェルトの耐久性や搾水性を向上させるために、フェルトの樹脂加工技術が利用されることがある。しかし、樹脂加工を行うと、フェルト内の通水性が低下するため、樹脂加工をしない場合に比べて汚れは蓄積し易くなる。汚れの蓄積は、フェルトに要求される通水性の低下を早め、フェルトの寿命を短くしてしまう。このため樹脂加工によるフェルトの耐久性向上や搾水性向上と、樹脂加工による汚れ蓄積防止と、を両立させるには精度の高い樹脂加工技術が必要となる。
このような製紙用フェルトの樹脂加工技術としては、下記特許文献1〜3が知られている。
特開2010−185148号公報 特開昭59−106595号公報 特表2004−514802号公報
上記特許文献1には、特定の流動特性を有する熱可塑性樹脂がバット層内に溶融分散された製紙用プレスフェルトが開示されている。しかし、特許文献1では、バット層内に配置した熱可塑性樹脂を製紙用フェルトの厚さ方向へ分散させる技術について検討されているものの、フェルト内の汚れ蓄積をより少なくするために樹脂の連続性を低下させること、即ち、樹脂を点在して分布させる(樹脂の点在性を向上させる)技術については検討されていない。
上記特許文献2には、基布とバットとバット繊維相互が熱接着用合成樹脂フィルムの小片の溶融冷却後の凝固物によって部分的に接着された製紙用ニードルフェルトが開示されている。しかし、特許文献2は、小片化された熱可塑性樹脂のフィルムをフェルト全体に分散させるものである(2頁下右欄4〜6行、3頁左上欄12〜14行)。このため、樹脂の分布位置の制御は難しく、不要な部位にまで樹脂が分散されてしまうという問題がある。樹脂分布を制御できないと、利用する樹脂量が多く必要となり、汚れの蓄積を促進することとなる。即ち、製紙用フェルトの寿命を縮めてしまうという問題がある。また、樹脂量が多いと製紙用フェルトの剛性が高くなり掛入性が低下してしまう。更に、特許文献2のように、基布層に樹脂が存在するとフェルトの掛入性をより大きく低下させてしまう。なぜなら、一般的に基布を構成する糸はバット繊維よりも太く、その太い糸の動きを樹脂により抑制してしまうことは、フェルトの剛性をより大きくしてしまうからである。
上記特許文献3には、バット層が抗再湿潤堰層として作用する溶融層を有する圧縮布として製紙用フェルトが開示されている。この溶融層は、その時点で積層されているバット層の表面をカレンダーニップで溶融して形成される層であり(特許文献3の段落[0025])、通気度が極めて低い層となる。抗再湿潤堰層は、湿紙から搾った水が湿紙側へ戻らないようにすることを目的としているが、抗再湿潤堰層は通気度の低い層であるために汚れが蓄積し易いという問題がある。このため、汚れの蓄積により湿紙から搾った水を通せなくなると、搾水性が得られなくなってしまうという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、バット層内に樹脂加工を施しつつ、汚れが蓄積し難い製紙用フェルトの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
本発明の製紙用フェルトの製造方法は、製紙面と、その対面である走行面と、を有し、
前記走行面側に配置された基布層と、前記基布層の前記製紙面側に積層された表バット層と、を備え、
前記表バット層は、その内部に、バット繊維同士が熱可塑性の結着樹脂を介して結着された複数の結着部を有し、
前記結着部は、略平面状に点在されて、結着部点在層をなす製紙用フェルトの製造方法であって、
前記基布層の前記製紙面側に、前記表バット層となる表バット層素材が積層されるとともに、前記表バット層素材内に前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂が配置された積層体を得る積層体形成工程と、
前記積層体を、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度下でプレスし、前記表バット層素材内で、溶融された前記熱可塑性樹脂を分散させる分散工程と、
前記分散工程を経た前記積層体を、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して、前記分散工程で分散された前記熱可塑性樹脂を凝集させる樹脂凝集工程と、を備えることを要旨とする。
請求項2に記載の製紙用フェルトの製造方法は、請求項1に記載の製紙用フェルトの製造方法において、前記結着樹在層は、前記バット層内に1層又は2層以上配置されていることを要旨とする。
請求項3に記載の製紙用フェルトの製造方法は、請求項1又は2に記載の製紙用フェルトの製造方法において、前記バット繊維及び前記結着樹脂は、ともに熱可塑性樹脂から構成され、
前記結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂の融点は、前記バット繊維を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも低いことを要旨とする。
請求項に記載の製紙用フェルトの製造方法は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の製紙用フェルトの製造方法において、前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂は、前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂を用いた繊維の集積体として、前記表バット層素材内に配置されることを要旨とする。
請求項に記載の製紙用フェルトの製造方法は、請求項乃至のうちのいずれかに記載の製紙用フェルトの製造方法において、前記分散工程における前記プレスは、15〜100kg/cmの線圧で行われることを要旨とする。
請求項に記載の製紙用フェルトの製造方法は、請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の製紙用フェルトの製造方法において、前記樹脂凝集工程における加熱は、前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂の融点よりも30℃以上高い温度で行ことを要旨とする。
請求項に記載の製紙用フェルトの製造方法は、請求項乃至のうちのいずれかに記載の製紙用フェルトの製造方法において、前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂は、1層又は2層以上の前記連続繊維不織布として前記表バット層素材内に配置され、
前記連続繊維不織布の1層の目付は30g/m以下であることを要旨とする。
本発明の製紙用フェルトによれば、バット層内に樹脂加工を施しつつ、汚れが蓄積し難い製紙用フェルトとすることができる。即ち、本発明の製紙用フェルトでは、樹脂加工によって、表バット層内にバット繊維同士を結着している複数の結着部を有することができる。その一方で、この結着部は連続されず、点在されて略平面状に配置されている。このため、汚れが蓄積し難い構造となっている。従って、表バット層内に樹脂加工が施されて、耐久性及び搾水性に優れたフェルト特性を発揮しながら、汚れが蓄積され難いという、通常相反される特性を高度に併せ有した製紙用フェルトとすることができる。
バット繊維及び結着樹脂がともに熱可塑性樹脂から構成され、結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂の融点が、バット繊維を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも低い場合には、バット繊維を構成する熱可塑性樹脂の溶融を防止しつつ、結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂を溶融させて、バット繊維同士を結着することができる。
本発明の製紙用フェルトの製造方法によれば、バット繊維同士が結着樹脂によって結着された結着部が形成される。このため、その樹脂加工により、耐久性及び搾水性に優れたフェルト特性を発揮できる製紙用フェルトが得られる。更に、結着部は、表バット層内において略平面状に点在されて結着部点在層をなすことができる。これにより、汚れが蓄積され難い特性を得ることができる。即ち、通常相反される耐久性及び搾水性に優れたフェルト特性と、汚れが蓄積され難いという特性と、を高度に併せ有した製紙用フェルトを得ることができる。
分散工程を経た積層体を、熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して、分散工程で分散された熱可塑性樹脂を凝集させる樹脂凝集工程を備える場合には、この樹脂凝集工程を備えない場合に比べて、結着樹脂同士の間隔をより大きく広げて、結着点在層内における結着樹脂の点在性を向上させることができる。これにより、バット層内を樹脂加工してフェルト性能を向上させることでき、しかも、汚れが蓄積し難い製紙用フェルトを得ることができる。
結着樹脂が、熱可塑性樹脂を用いた繊維の集積体として、表バット層素材内に配置される場合は、結着樹脂をフィルムの形態で配置する場合に比べて、表バット層内の薄い厚さ範囲に結着部点在層として、効果的に結着部を留め置くことが可能となる。即ち、結着部が表バット層内の厚さ方向での拡がりを効果的に抑制できる。
繊維集積体は、フィルムに比べて多くの間隙を繊維間に有し、ニードリングによる針掛かりが少ない。このため、フィルムに比べて針との接触機会が少なく、分解や小片化(短繊維化など)がなされ難い。従って、ニードリングを行っても繊維集積体から繊維が短繊維化されて切り離され難く、また、バット層の厚さ方向へ分散されることが抑制され、バット層内の薄い厚さ範囲内に繊維集積体を留め置くことができる。
分散工程におけるプレスが、15〜100kg/cmの線圧で行われる場合には、結着樹脂となる熱可塑性樹脂を、結着点在層内でより効果的に圧し広げることができる。
凝集工程における加熱が、前記溶融樹脂の融点よりも30℃以上高い温度で行われる場合には十分な凝集が引き起こされ、結着樹脂の連続性がより効果的に低下されて、結着樹脂の点在性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂が、1層又は2層以上の前記連続繊維不織布として表バット層素材内に配置され、連続繊維不織布の1層の目付が30g/m以下である場合には、熱可塑性樹脂としてフィルムや連続繊維不織布以外の繊維集積体を用いる場合や、目付が30g/mを超えた連続繊維不織布を用いる場合に比べて、更にニードリングによる針掛かりを減少させることができる。このため、ニードリング後の連続繊維不織布がバット層の厚さ方向へ分散されることが抑制され、連続繊維不織布をバット層内の薄い厚さ範囲内に留めおくことができる。その結果、面内での結着樹脂の量を絞りつつ樹脂加工を達することができるとともに、結着樹脂はより効果的に面内において点在させることができる。
本製紙用フェルトの一例の断面を模式的に示す説明図である。 本製紙用フェルトの他例の断面を模式的に示す説明図である。 本製造方法における積層体形成工程を説明する説明図である。 本製造方法における分散工程を説明する説明図である。 本製造方法における樹脂凝集工程を説明する説明図である。 実施例1による製紙用フェルトの断面を拡大した画像である。 実施例2による製紙用フェルトの断面を拡大した画像である。 実施例3による製紙用フェルトの断面を拡大した画像である。 実施例4による製紙用フェルトの断面を拡大した画像である。
[1]製紙用フェルト
製紙用フェルト10は、製紙面10aと、その対面である走行面10bと、を有する。また、走行面10b側に配置された基布層11と、基布層11の製紙面10a側に積層された表バット層12と、を備える。
表バット層12は、その内部に、バット繊維121同士が熱可塑性の結着樹脂122を介して結着された複数の結着部123を有し、
結着部123は、略平面状に点在されて、結着部点在層124をなしていることを特徴とする(図1及び図2参照)。
本製紙用フェルト10は、製紙面10aと、その対面である走行面10bと、を有する。このうち、製紙面10aとは、湿紙と接することとなる面である。一方、走行面10bは、本製紙用フェルトを製紙用装置内で走行させるためのロール等の機械設備と接することとなる面である。
上記「基布層11」は、その製紙面10a側に表バット層12が積層される層であり、表バット層12に対して走行面10b側に位置される。この基布層11は、表バット層12を支持する基層として機能する。
尚、基布層11の走行面10b側には、他層を備えてもよく、備えなくてもよい。他層を備える場合は、例えば、裏バット層13を備えることができる。一方、基布層11の走行面10b側に他層を備えない場合は、基布層11の走行面10b側の面が、本製紙用フェルトの走行面10bとなる。
基布層11の構成は特に限定されず、例えば、不織布からなってもよく、織布からなってもよい。基布層11が、不織布からなる場合、その構成は限定されないが、例えば、経糸又は緯糸のいずれか一方のみ又はその両方を引き揃えて(隣合う糸同士は接着されてもよく、接着されなくてもよい)形成された不織布等を挙げることができる。
一方、基布層11が、織布からなる場合、その構成は限定されないが、少なくとも経糸111と緯糸112とを用いて製織できる(図1〜図5参照)。
基布層11を構成する経糸及び緯糸の材料は特に限定されないが、例えば、合成繊維(合成樹脂繊維)、半合成繊維、再生繊維及び金属繊維等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうちでは、合成繊維が好ましい。合成繊維を構成する材料は特に限定されず、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、アラミド等)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、熱可塑性樹脂フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、糸の形態も限定されず、モノフィラメント及びマルチフィラメントのうちの1種を用いてもよく併用してもよい。
また、基布層11は、単層織布であってもよく、複層織布であってもよい。複層織布である場合には、経糸及び緯糸以外の接結糸等を用いて各層が接結された構造を有していてもよい。
上記「表バット層12」は、基布層11の製紙面10a側に配置された層であり、バット繊維121の集合体である。バット繊維121は、通常、短繊維(ステープル)である。また、表バット層12は、通常、ニードリングによって基布層11と一体的に交絡されている(図1及び図2参照)。ニードリングによって基布層11と一体的に交絡されていることで、圧縮性や耐久性に優れている。尚、表バット層12は厚さ方向に異なる繊度のバット繊維を使用した複数層の集合体とすることも可能である。
表バット層12を構成するバット繊維121としては、天然繊維(綿、ウール等)、合成繊維(合成樹脂繊維)、半合成繊維、及び再生繊維等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、合成繊維を構成する材料は特に限定されず、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、アラミド等)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、熱可塑性樹脂フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記「結着樹脂122」は、表バット層12の内部で、バット繊維121同士を結着する樹脂である。結着樹脂122によって、複数のバット繊維121同士が部分的に一体化されて結着部123が形成されることで、表バット層12からのバット繊維121の脱落を抑制される。また、これによってフェルトの搾水性が向上される。
更に、結着部123は、略平面状に点在されて、結着点在層124をなしている。即ち、結着部123が非連続に分布されながら、薄い厚み範囲に分散して配置されている。具体的には、図1に例示されるように、製紙用フェルト10の表バット層12の断面において、結着部点在層124内で点在されている。即ち、結着部123は、結着部点在層124として、略平面状に比較的薄く点在されて、結着部123同士の間に隙間がある状態である。
表バット層12全体から観察した場合に、結着部123が点在して分布されるとともに、その分布範囲である結着部点在層124が薄いことにより、湿紙を搾水する時に、湿紙から水と一緒にフェルト内へ移動する紙原料由来の汚れ(炭酸カルシウム粒子や微細なパルプ繊維など)が、この結着部点在層124に堆積されることを防止できる。
本製紙用フェルト10と異なる製紙用フェルトとして、結着部123が表バット層内において隣同士で連続された状態の製紙用フェルトを考える。このような製紙用フェルトでは、湿紙から搾水された排水が製紙面側へ戻ってしまう再湿潤現象は防止できる。しかしながら、湿紙から搾水時の水に移行された汚れは、走行面側へ抜ける過程で、上記の連続された結着部でトラップされ、堆積されることとなる。連続された結着部に汚れが堆積されると、その連続層の通水性は更に低下し、やがては湿紙から搾られた水が結着部樹脂の連続層を通過できなくなる。即ち、搾水機能を失うことになってしまうこととなる。従って、表バット層内に、連続された結着部が存在すると、製紙用フェルトの使用寿命を縮めてしまうこととなる。
これに対して、本発明の製紙用フェルト10は、結着部123が表バット層内部の厚さ方向の一定の範囲に、結着部点在層124として配置される。このような製紙用フェルト10では、製紙面10a側から進入した汚れは、搾水された水と供に、結着部点在層124の結着部123間を通り、走行面10b側へと容易に通り抜けることができる。即ち、製紙面10a側から走行面10b側へと直線的に繋がる排出経路を確保できるために、スムーズに排水を行うことができる。従って、連続された結着部123を有する製紙用フェルトに比べて、結着部点在層124を有する製紙用フェルトは、表バット層12内での汚れ堆積を顕著に防止できる。
結着部点在層124は、図1に例示されるように、表バット層12内に1層のみを有してもよく、また、図2に例示されるように、表バット層12内に2層を有してもよく、更には、3層以上を有してもよい。このように複数の層に分けて溶融樹脂を配置する場合、同じ量の溶融樹脂を1つの層に配置する場合に比べて樹脂の点在性を向上させることができる。
結着樹脂122を構成する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されないが、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、アラミド等)、ポリウレタン樹脂(ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、熱可塑性樹脂フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、耐圧縮性、耐屈曲性、耐加水分解性等の観点から、ポリアミド系樹脂及びポリウレタン系樹脂(ポリウレタン樹脂のなかでは、特にポリエーテルポリウレタン)が好ましい。
また、結着樹脂122の融点は特に限定されない。表バット層12を構成するバット繊維121や基布層11を構成する糸が合成樹脂からなる場合は、バット繊維121や基布層11を構成する糸をなす合成樹脂の融点よりも、結着樹脂122の融点が60℃以上(好ましくは90〜120℃)低いことが好ましい。結着樹脂122を加工させる際に、バット繊維121や基布層11を構成する糸に影響することなく、結着樹脂122の溶融粘度(以下、単に粘度と省略する。)を十分に下げて加工を促すことができる。更に、具体的には、結着樹脂122の融点は、70℃以上160℃以下であることが好ましく、90℃以上145℃以下であることが好ましい。
尚、結着樹脂122が、融点の明確でないエラストマーなどの場合には、高化式フローテスターなどにより測定される流動開始温度を用いる。
また、表バット層12を構成するバット繊維121が熱可塑性樹脂からなる場合にあっては、バット繊維121や基布層11をなす糸を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも、結着樹脂122の融点(融解温度)は低いことが好ましい。即ち、バット繊維121及び結着樹脂122が、ともに熱可塑性樹脂から構成される場合には、結着樹脂122を構成する熱可塑性樹脂の融点は、バット繊維121を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも低いことが好ましい。具体的には、60℃以上低いことが好ましい。更に、結着樹脂122は、180℃未満の温度で樹脂粘度が100〜5000Pa・sの流動状態を有することができるものであることが好ましい。更には、温度80℃以上170℃以下(特に、後述する分散工程における温度)における粘度が100〜2000Pa・sであることがより好ましい。この様な粘度範囲を持つ熱可塑性樹脂であれば、上記樹脂分散工程や上記樹脂凝集工程を経ることで、樹脂を効果的に点在させることが可能となる。
尚、この粘度は、JIS K7210に準拠した方法により測定される。
結着樹脂122は、実際にバット繊維121同士を結着できる熱可塑性樹脂以外にも、この熱可塑性樹脂と一体的に流動できるフィラーを含むことができる。フィラーにより性状を改質できる。即ち、例えば、結着樹脂122の流動開始温度や、粘度の調節や、耐久性、親水性及び親油性等の各種性状の調整を行うことができる。フィラーとしては、有機フィラー、無機フィラー及び金属フィラー等が挙げられる。このうち、有機フィラーは融解温度が200℃以上の材料を用いることが好ましい。一方、無機フィラーとしてカオリンクレー等を用いる場合は、結着樹脂122に親水性を付与できる。フィラーは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、結着樹脂122がフィラーを含有する場合、フィラーの含有量は特に限定されないが、フィラーを含んだ状態における結着樹脂122の全体を100質量部とした場合に、フィラーは5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
本製紙用フェルトは、つなぎ目のない無端形態であってもよく(即ち、製紙用エンドレスフェルト)、また、つなぎ目を有して使用時に接続され一連に利用される形態(即ち、製紙用シーム付フェルト)であってもよい。また、製紙用フェルトは、ロールプレスにおいて利用してもよく、シュープレスにおいて利用してもよく、これらが併用された機構において利用してもよい。
[2]製紙用フェルトの製造方法
本発明の製紙用フェルトの製造方法は、基布層11の製紙面10a側に、表バット層12となる表バット層素材125が積層されるとともに、表バット層素材125内に結着樹脂122となる熱可塑性樹脂が配置された積層体20を得る積層体形成工程と、
積層体20を、熱可塑性樹脂の融点以上の温度下でプレスし、表バット層素材125内で、溶融された熱可塑性樹脂を分散させる分散工程と、
分散工程を経た積層体を、熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して、分散工程で分散された熱可塑性樹脂を凝集させる樹脂凝集工程と、を備える。
上記「積層体形成工程」は、基布層11の製紙面10a側に、表バット層12となる表バット層素材125が積層されるとともに、その表バット層素材125内に結着樹脂122となる熱可塑性樹脂が配置された積層体20を得る工程である。
この工程における積層方法は限定されない。即ち、例えば、基布層11の製紙面10a側に、必要な層を順番に積層し、その都度、交絡して積層体20を得てもよい。また、予め必要な2以上の部位を交絡した交絡物を形成しておき、その交絡物を基布層11の製紙面10a側に交絡して積層体20を得ることもできる。即ち、例えば、熱可塑性樹脂122を内部に配置した一体的な交絡物を形成し、この交絡物を基布層11の製紙面10a側に交絡して積層体20を得ることができる。更には、その他の方法で積層体20を得てもよい。
本発明において、結着樹脂122となる熱可塑性樹脂122は、どのような形態で積層体20内に配置されてもよい。具体的には、熱可塑性樹脂122を用いた繊維の集積体(即ち、繊維集積体)の形態、フィルムの形態などで配置することが例示される。これらのなかでは、繊維集積体122fを用いることが好ましい。
繊維集積体122fは、フィルムの形態に比べて多くの間隙を繊維間に有し、ニードリングによる針掛かりが少ない。このため、フィルムに比べて針との接触機会が少なく、繊維集積体の分解や小片化(短繊維化)がなされ難い。また、繊維集積体122fは、ニードリングを行っても分解され難く、熱可塑性樹脂122のバット層の厚さ方向へ分散を著しく抑制できる。従って、ニードリングを行っても、繊維集積体122fを、バット層12内の薄い厚さ範囲内に留め置くことができる。このため、分散工程によって、結着樹脂122を結着部点在層124として点在させることができる。即ち、結着樹脂122は、繊維集積体が溶融されてなる樹脂であり、結着部123は、繊維集積体が存在していた領域で点在されることとなる。
繊維集積体122fとしては、連続する繊維(即ち、連続繊維)を不織布化した連続繊維不織布(ウェブ状のものを含む)や、結着樹脂122となる熱可塑性樹脂を鞘に用いた芯鞘繊維を含んだ不織布(ウェブ状のものを含む)等が挙げられる。以下にこれらの不織布について説明する。尚、バット層素材は、短繊維であるバット繊維を構成繊維とするため、連続繊維不織布には含まれない。
連続繊維不織布は、連続する繊維を不織布化した布である。また、連続繊維を構成する熱可塑性樹脂は、通常、製紙用フェルトの製造過程で変質するものではなく、即ち、結着樹脂122となる熱可塑性樹脂に等しい。この結着樹脂については先述の通りである。このような連続繊維不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
連続繊維不織布の1層の目付は特に限定されないが、30g/m以下が好ましい。連続繊維不織布を上記範囲で用いる場合は、特にニードリング時の針掛かりを軽減して、繊維の分断が抑制され、好適な結着樹脂122の点在を得ることができる。この目付は、5〜30g/mがより好ましく、10〜25g/mが特に好ましい。
尚、連続繊維不織布122fを、複数の層に分割して配置する場合(図2参照)、合計の溶融樹脂量が60g/m以下となるように配置することが好ましい。これにより、結着部123が連続することを防止して、結着部123を十分に点在させることができる。
連続繊維不織布122fを構成する連続繊維は、ニードリングによる繊維の分解が少ない反面、単独供給しても、ニードリングにより他層に交絡することが難しい。一方、バット層素材は、短繊維から構成されるため、連続繊維不織布122fに比べてニードリングによる繊維の移動が多く交絡させ易い。このため、連続繊維不織布122fをバット層素材とともに同時に供給しニードルすることで、これらを一体化させ易い。
尚、連続繊維不織布122fとバット層素材を同時に供給する際の形態としては、それぞれが独立している状態でもよいし、連続繊維不織布122fとバット層素材がニードリング等により交絡一体化していても良い。また、連続不織布122fとバット層素材が部分的もしくは、全体的に熱溶着や接着剤などにより一体化されていてもよい。更に、連続不織布122fとバット層素材との一体化に接着剤を用いる場合には、積層体形成工程の後に除去されることが望ましい。このため、例えば、デンプンやPVAなどの水溶性接着剤を用いることができる。
また、表バット層素材125のバット繊維としては、素材や繊度に関して1種の繊維を用いてもよいし、2種以上の繊維を用いてもよい。また、表バット層素材125として、異なる素材や繊度のバット繊維からなる2種以上の表バット層素材を併用するこができる。当然ながら、2種以上の表バット層素材125を用いる場合には、予め一体化して用いることができる。
2種以上の表バット層素材125を用いる場合には、例えば、連続繊維不織布122fよりも製紙面10a側と、連続繊維不織布122fよりも走行面10b側と、で異なる繊度のバット素材を用いることができる。また、表バット層素材125は、湿紙と接触する層を表外層とし、表外層と連続繊維不織布122fとの間に存在する層を表中層とし、連続繊維不織布と基布層の間にある層を表内層とした場合に、表中層と表内層とに同じ繊度のバット繊維を用い、表外層のみ異なる繊度のバット層素材を用いることができる。更に、表外層、表中層及び表内層の全ての層に異なる繊度のバット層素材を用いることもできる。
また、この工程で用いる連続繊維不織布122fは、1種の樹脂のみからなる連続繊維からなってもよいが、複数種の樹脂からなる連続繊維を含んでもよい。即ち、例えば、スパンボンド法において言えば、複数のノズルから押し出される連続繊維のうちの一部のノズルから押し出される樹脂と、他部のノズルから押し出される樹脂と、が異なる不織布を用いることができる。また、多層構造のノズルを利用して形成される芯鞘繊維を用いることもできる。
具体的には、非水溶性の熱可塑性樹脂(残存されて結着樹脂122となる樹脂)からなる連続繊維と、水溶性の熱可塑性樹脂(水溶により除去される樹脂)からなる連続繊維と、を含む不織布を、連続繊維不織布122fとして用いることができる。このような連続繊維不織布122fを用いた場合には、後述する分散工程の前後どちらか、又は前後両方において、水溶性熱可塑樹脂を除去する工程(水溶性熱可塑樹脂除去工程)を行うことができる。水溶性熱可塑樹脂除去工程を行うことで、水溶性熱可塑性樹脂のみを除去することができる。
上記「分散工程」は、分散工程までに得られた積層体20を、この積層体20内に配置された熱可塑性樹脂122の融点以上の温度下でプレスし、表バット層素材125内で、溶融された熱可塑性樹脂122を分散させる工程である。
この工程では、熱可塑性樹脂122の融点以上の温度に達するように加熱する一方、バット繊維をなす材料が溶融又は分解されない温度に制御される。
この分散工程では、熱可塑性樹脂122は、加熱プレス加工されることにより、表バット層12内で押し広げられる。この際、熱可塑性樹脂122は、表バット層内部の厚さ方向に一定の範囲で押し広げられることとなる。
この加熱プレスの圧力によって、熱可塑性樹脂122を押し広げる厚さ方向の範囲を変化させることができる。具体的には、プレス圧力が大きい程、熱可塑性樹脂122は広く押し広げることとなる。そして、熱可塑性樹脂122が押し広げられる範囲が広い程、得られる結着部123を十分に点在させることができる。このような観点から、加熱プレス時の圧力は、線圧15kg/cm以上が好ましく、20kg/cm以上がより好ましく、30kg/cm以上が更に好ましい。また、この圧力は、線圧100kg/cm以下であることが好ましい。
分散工程における加熱温度は特に限定されず、用いる熱可塑性樹脂122と、バット繊維121を構成する材料を勘案して、適宜の温度範囲とすることが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂122として、融点120℃程度のポリエステル系樹脂が用いられ、バット繊維121として融点215℃程度のポリアミド系樹脂が用いられる場合には、上記ポリエステル系樹脂の融点を超え、且つ、上記ポリアミド系樹脂の融点を超えない温度範囲に加熱されることが好ましい。具体的には、例えば、温度130〜160℃に加熱することができる。
更に、本方法では、上記の積層体形成工程、及び、分散工程以外にも他の工程を備えることができる。他の工程としては、樹脂凝集工程が挙げられる。
樹脂凝集工程は、分散工程を経た積層体20を、熱可塑性樹脂122の融点以上の温度に加熱して、分散工程で分散された熱可塑性樹脂122を凝集させる工程である。
本方法では、樹脂凝集工程を備えることにより、結着部点在層124内における結着部123の非連続性を、更に向上させて、より効果的に点在させることができる。
即ち、樹脂凝集工程は、前述のように、熱可塑性樹脂122の融点以上の温度に加熱する一方で、分散工程のように加圧を行わない工程である。
前述のように、分散工程において、積層体20を加熱下で加圧すると、熱可塑性樹脂122は、表バット層素材125内で押し広げられる。この際、加圧下で押し広げることによって、熱可塑性樹脂122が通るバット繊維間の隙間は、非加圧下に比べて狭くなっている。そのため、熱可塑性樹脂122は押し広げられ、延伸された状態となる。その後、圧力解放されると、表バット層素材125の厚みは回復され、厚み回復時のバット繊維の動きに伴い熱可塑性樹脂122が、加圧下とは異なる方向へ動かされることとなる。更に、熱可塑性樹脂122には非延伸状態へ戻ろうとする力が働く。これらの作用により、表バット層素材125間で連続的に延伸されていた熱可塑性樹脂122は、部分的に切断されて結着部123が形成されるとともに、結着部点在層124が形成されると考えられる。そして、分散工程での加圧が終了すると、加熱も終了するため、熱可塑性樹脂122は、表バット層12内で、ある程度、延伸された状態で固化される。
これに対して、樹脂凝集工程は、非圧縮下で熱可塑性樹脂122を加熱溶融させる工程である。非圧縮下で行う工程であるため、熱可塑性樹脂122に、分散工程におけるような熱可塑性樹脂122を延伸させる力が働かない。そして、延伸させる力が働かない非圧力下で再溶融させることで、分散工程後に残存されていた延伸状態を解消しようとする凝集力が働く。更に、非圧縮下で溶融された熱可塑性樹脂122には、表面張力により凝集しようとする力が働く。これらの作用により、結着部123の非連続性が更に向上され、結着部123は更に点在された結着部点在層124になるものと考えられる。
具体的には、樹脂凝集工程を追加して行うことにより、例えば、分散工程で線圧20kg/cm以上の圧力で分散された熱可塑性樹脂122に対しては、その点在性をより顕著にする効果を奏する。また、分散工程で15〜20kg/cm(20kg/cm未満)の比較的低い線圧で分散された熱可塑性樹脂122に対しては、十分な点在性を付与する効果を奏する。
この樹脂凝集工程の加熱温度は、熱可塑性樹脂122の融点を超える温度であればよく特に限定されないが、熱可塑性樹脂122の融点よりも30℃以上高い温度であることが好ましい。この場合には、結着部123を更に効果的に点在させることができる。また特に、樹脂凝集工程の加熱温度は、分散工程の加熱温度よりも高いことが好ましい。具体的には、樹脂凝集工程の加熱温度は、分散工程の加熱温度に比べて10℃以上高いことが好ましい。この場合には、より効果的に結着部123を点在させることができる。例えば、熱可塑性樹脂122として、ポリエステル系樹脂(融点120℃程度)、バット繊維121としてポリアミド系樹脂(融点215℃程度)を用いる場合であって、分散工程における加熱温度が130〜160℃である場合に、樹脂凝集工程の加熱温度は140〜170℃とすることができる。
また、本製紙用フェルトの製造方法では、基布層11内に結着部123が含まれないことは勿論のこと、基布層11と表バット層12との境界にも結着部123が存在しない構成とすることができる。基布層11内、及び、基布層11と表バット層12との境界に、結着部123が存在されない場合には、基布層12を構成する糸の動き(あそび)が妨げられない。このため、このような製紙用フェルトは、基布層11と表バット層12との境界領域に結着部123が存在する製紙用フェルトに比べて、柔軟性であり、取り扱い性(掛け入れ性)に優れる。
以下、実施例により本発明を図1〜9を用いて具体的に説明する。
[1]製紙用フェルトの製造(実施例1〜4)
〔1〕実施例1の製紙用フェルト10(連続繊維不織布の目付20g/m
〈1〉積層体20の構成(図3参照)
(1)表バット層素材125a;融解温度260℃の66ナイロン製短繊維をバット繊維とする目付100g/mの不織布3層からなる層(表バット層12のうちの製紙面10a側をなす)。
(2)連続繊維不織布122f;融解温度が115℃であり、160℃における粘度が650Pa・sであるナイロン製の連続繊維からなる目付20g/mのスパンボンド不織布。
(3)表バット層素材125b;融解温度260℃の66ナイロン製短繊維をバット繊維とする目付100g/mの不織布3層からなる層(表バット層12のうちの走行面10b側をなす)。
(4)基布層11;直径0.2mmの6ナイロンモノフィラメントを6本撚り合わせた撚糸と直径0.2mmの6ナイロンモノフィラメントを6本撚り合わせた撚糸で製織された目付560g/mの織布からなる層。
(5)バット層素材131;融解温度260℃の66ナイロン製短繊維をバット繊維とする目付100g/mの不織布1層からなる層(裏バット層13をなす、即ち、裏バット層素材131である)。
〈2〉積層工程(図3参照)
(1)表バット層素材125bの積層
上記〈1〉(4)の基布層11の製紙面10a側に、上記〈1〉(3)の不織布をニードリングによって一体的に交絡することを3回繰り返して、表バット層素材125bを形成した。
(2)裏バット層素材131の積層
上記〈2〉(1)までに得られた交絡物のうちの基布層11の走行面10b側に、上記〈1〉(5)の不織布1層をニードリングによって一体的に交絡した。
(3)バット層素材125a及び連続繊維不織布層122fの積層
上記〈2〉(2)までに得られた積層体のバット層素材121bの製紙面10a側に、上記〈1〉(2)の連続繊維不織布122fと、上記〈1〉(1)のバット層素材125aと、を供にニードリング装置に供給してニードリングにより一体的に交絡した。その後更に、上記〈1〉(1)のバット層素材125aを単独でニードリング装置に供給しニードリングにより一体的に交絡することを2回繰り返して、更にフェルトの表面と裏面からバット繊維を供給せずにニードリングすることを数回繰り返して、積層体20を得た。
〈3〉分散工程(図4参照)
バット層素材125aの製紙面10a側から、加熱プレスロールにより、温度140℃で加熱しながら、線圧20kg/cmで加圧して、連続繊維不織布122fを溶融させながら、バット層素材125aとバット層素材125bとの間で、圧し広げた後、固化させて結着樹脂122を形成した。
〈4〉樹脂凝集工程(図5参照)
上記〔1〕〈3〉までに得られた積層体20を、バット層素材125aの製紙面10a側から、ヒータにより、温度170℃で加熱して、溶融樹脂122を表バット層内で凝集させた後、放冷した。以上により、実施例1の製紙用フェルト10を得た。
〔2〕実施例2の製紙用フェルト10(連続繊維不織布の目付20g/m
〈1〉積層体20の構成(図3参照)
(1)−(5)は、いずれも実施例1と同じである。
〈2〉積層工程(図3参照)
実施例1と同様にして、積層体20を得た。
〈3〉分散工程(図4参照)
線圧を50kg/cmとした他は実施例1と同様にして、分散工程を行った。
〈4〉樹脂凝集工程(図5参照)
実施例1と同様の樹脂凝集工程を行い、実施例2の製紙用フェルト10を得た。
〔3〕実施例3の製紙用フェルト10(連続繊維不織布の目付30g/m
〈1〉積層体20の構成(図3参照)
下記(2)以外の(1)、(3)−(5)は、いずれも実施例1と同じである。
(2)連続繊維不織布122f;融解温度が115℃であり、160℃における粘度が650Pa・sであるナイロン製の連続繊維からなる目付30g/mのスパンボンド不織布。
〈2〉積層工程(図3参照)
実施例1と同様にして、積層体20を得た。
〈3〉分散工程(図4参照)
実施例1と同様にして、分散工程を行い、実施例3の製紙用フェルト10を得た。
〈4〉樹脂凝集工程(図5参照)
実施例1と同様の樹脂凝集工程を行い、実施例2の製紙用フェルト10を得た。
〔4〕実施例4の製紙用フェルト10(連続繊維不織布の目付30g/m
〈1〉積層体20の構成(図3参照)
(1)−(5)は、いずれも実施例3と同じである。
〈2〉積層工程(図3参照)
実施例1と同様にして、積層体20を得た。
〈3〉分散工程(図4参照)
実施例2と同様にして、分散工程を行った。
〈4〉樹脂凝集工程(図5参照)
実施例1と同様の樹脂凝集工程を行い、実施例2の製紙用フェルト10を得た。
[2]製紙用フェルトの評価
(2)結着樹脂122の点在について
実施例1−4の製紙用フェルト10を切断し、その切断面を電子顕微鏡により24.4倍に拡大した画像を得た。実施例1の製紙用フェルトの断面画像を図6に、実施例2の製紙用フェルト10の断面画像を図7に、実施例3の製紙用フェルト10の断面画像を図8に、実施例4の製紙用フェルト10の断面画像を図9に、示した。
この結果、いずれの結着樹脂122も連続されておらず、互いに離間されながら、結着部点在層124内に点在されていることが分かる。
更に、実施例1と実施例2とを比較すると、樹脂凝集工程を行うことにより、結着樹脂122が互いに更に離間されていることが分かる。同様に、実施例3と実施例4とを比較すると、樹脂凝集工程を行うことにより、結着樹脂122が互いに更に離間されていることが分かる。
本発明の製紙用フェルトは、製紙分野における抄紙に係るプレスパートにおいて広く利用できる。
10;製紙用フェルト、10a;製紙面、10b;走行面、
11;基布層、111;経糸、112;緯糸、
12;表バット層、
121;バット繊維、
122;結着樹脂、122f;連続繊維不織布(繊維集積体)、
123;結着部、
124;結着部点在層、
125;表バット層素材、125a;製紙面側を構成する表バット層素材、125b;走行面側を構成する表バット層素材、
13;裏バット層、131;裏バット層素材、
20;積層体、
50;ヒータ。

Claims (7)

  1. 製紙面と、その対面である走行面と、を有し、
    前記走行面側に配置された基布層と、前記基布層の前記製紙面側に積層された表バット層と、を備え、
    前記表バット層は、その内部に、バット繊維同士が熱可塑性の結着樹脂を介して結着された複数の結着部を有し、
    前記結着部は、略平面状に点在されて、結着部点在層をなす製紙用フェルトの製造方法であって、
    前記基布層の前記製紙面側に、前記表バット層となる表バット層素材が積層されるとともに、前記表バット層素材内に前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂が配置された積層体を得る積層体形成工程と、
    前記積層体を、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度下でプレスし、前記表バット層素材内で、溶融された前記熱可塑性樹脂を分散させる分散工程と、
    前記分散工程を経た前記積層体を、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して、前記分散工程で分散された前記熱可塑性樹脂を凝集させる樹脂凝集工程と、を備えることを特徴とする製紙用フェルトの製造方法。
  2. 前記結着点在層は、前記バット層内に1層又は2層以上配置されている請求項1に記載の製紙用フェルトの製造方法
  3. 前記バット繊維及び前記結着樹脂は、ともに熱可塑性樹脂から構成され、
    前記結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂の融点は、前記バット繊維を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも低い請求項1又は2に記載の製紙用フェルトの製造方法
  4. 前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂は、前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂を用いた繊維の集積体として、前記表バット層素材内に配置される請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の製紙用フェルトの製造方法。
  5. 前記分散工程における前記プレスは、15〜100kg/cmの線圧で行われる請求項乃至のうちのいずれかに記載の製紙用フェルトの製造方法。
  6. 前記樹脂凝集工程における加熱は、前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂の融点よりも30℃以上高い温度で行う請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の製紙用フェルトの製造方法。
  7. 前記結着樹脂となる熱可塑性樹脂は、1層又は2層以上の連続繊維不織布として前記表バット層素材内に配置され、
    前記連続繊維不織布の1層の目付は30g/m以下である請求項乃至のうちのいずれかに記載の製紙用フェルトの製造方法。
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