JP5538731B2 - 積層薄膜、位相板、及び反射型液晶表示装置 - Google Patents

積層薄膜、位相板、及び反射型液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5538731B2
JP5538731B2 JP2009018003A JP2009018003A JP5538731B2 JP 5538731 B2 JP5538731 B2 JP 5538731B2 JP 2009018003 A JP2009018003 A JP 2009018003A JP 2009018003 A JP2009018003 A JP 2009018003A JP 5538731 B2 JP5538731 B2 JP 5538731B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
refractive index
thin film
axis
crystal display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009018003A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010175805A (ja
Inventor
裕 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2009018003A priority Critical patent/JP5538731B2/ja
Priority to US12/696,455 priority patent/US8334938B2/en
Publication of JP2010175805A publication Critical patent/JP2010175805A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5538731B2 publication Critical patent/JP5538731B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1335Structural association of cells with optical devices, e.g. polarisers or reflectors
    • G02F1/13363Birefringent elements, e.g. for optical compensation
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B27/00Optical systems or apparatus not provided for by any of the groups G02B1/00 - G02B26/00, G02B30/00
    • G02B27/28Optical systems or apparatus not provided for by any of the groups G02B1/00 - G02B26/00, G02B30/00 for polarising
    • G02B27/283Optical systems or apparatus not provided for by any of the groups G02B1/00 - G02B26/00, G02B30/00 for polarising used for beam splitting or combining
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3083Birefringent or phase retarding elements
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N9/00Details of colour television systems
    • H04N9/12Picture reproducers
    • H04N9/31Projection devices for colour picture display, e.g. using electronic spatial light modulators [ESLM]
    • H04N9/3141Constructional details thereof
    • H04N9/315Modulator illumination systems
    • H04N9/3167Modulator illumination systems for polarizing the light beam
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K2323/00Functional layers of liquid crystal optical display excluding electroactive liquid crystal layer characterised by chemical composition
    • C09K2323/03Viewing layer characterised by chemical composition

Description

本発明は、積層薄膜、位相板、及び反射型液晶素子により表示される画像を投影する表示装置に関するものである。
従来より光源部と、光源からの照明光束を偏光に応じて分離、合成する光学系と、照射された光束を画像光束へ変換する反射型液晶表示素子と、変換された画像光束を結像させる投射光学系とを有する反射型液晶表示装置が知られている。
以下、代表的な構成を示す。光源から照射された白色光は偏光変換素子によりある所定の偏光方向に揃えられ、ダイクロイックミラーで緑色帯域と、青、赤色帯域の光に分離される。青、赤色帯域の光はさらに色選択性位相板により所定の波長帯域の偏光方向が90°変換され、偏光分離素子を介して所定の色の光は所定の色に対応した液晶表示素子を照明する。液晶表示素子は画像信号に応じて照明光を画像光に変換して反射する。画像光は偏光分離素子、合成プリズム等により合成され、投射光学系によりスクリーンに投影される。
ところで、一般的に液晶を表示素子として用いる光学装置では偏光と屈折率異方性を利用する為に、液晶表示素子面に対して角度を持って入射する偏光光線に対しては所望しない位相特性が加わる。このことにより、例えば液晶表示素子が黒表示状態であっても一部の光がスクリーンに投影される光漏れが発生することが知られている。液晶画像表示装置(以下、液晶プロジェクタとも称する)においては、このような光は表示画像のコントラストを著しく低下させる。
液晶表示素子黒表示状態において、液晶分子の光学軸が液晶表示素子面の法線方向を向いているような液晶表示素子を考える(実際には液晶表示素子の光学軸は素子面と垂直方向ではなく、ある角度(プレチルト角)を有しているが、液晶分子のプレチルト角は小さく、その影響は無視して考える)。素子に垂直に入射する偏光光線に対しては、液晶表示素子は複屈折性を示さず、反射する偏光が位相変調を受けることはない。そのため入射した時と同じ状態で偏光分離素子に戻り、漏れ光となる光は発生しない。しかし、面法線に対してある角度(入射角度)を持って入射する偏光光線に対しては、液晶表示素子は角度に応じた複屈折性を示す。そのため偏光光線は位相変調を受ける。このように位相変調を受けた偏光は偏光分離素子による分離が充分に行われず、漏れ光が発生する。
上記原因において発生する漏れ光に対しては、液晶分子の屈折率異方性と反対の屈折率異方性を有する位相板を液晶表示素子近傍に配置することで抑制することが出来ることが知られている。例えば、液晶表示素子中の液晶分子が正の異方性を有する場合を考える。正の異方性を屈折率楕円体で表すと図2のようにz軸方向に大きな(図2においてn>n=nとなる)屈折率を有する楕円体として表現できる。図2のz軸方向が光学軸方向を示している。このような異方性を持つ媒質に対しては、反対に光学軸方向に小さな屈折率異方性を持つ(図2においてn<n=nとなる)、負の異方性の位相板を液晶表示素子近傍に配置する。負の屈折率異方性を有する位相板により、液晶分子で発生する位相の変化を効果的にキャンセルすることができ、漏れ光が低減できる。
このような位相板としては単結晶サファイア、水晶などの異方性結晶や、有機フィルムを延伸、積層したものが広く知られている。また、特許文献1には、高屈折率と低屈折率の薄膜を積層した構造性複屈折体を液晶プロジェクタ内の液晶表示素子と偏光子、検光子の間の少なくとも一方に配置する方法が提案されている。また、特許文献2では、屈折率の異なる薄膜を積層した構造性複屈折体からなる位相板と、面内方向に光の波長以下の周期を持つ1次元周期構造体からなる波長板とを組み合わせた素子による補償方法が提案されている。この方法では液晶表示素子に垂直入射する光線において発生する漏れ光と、射入射光線による漏れ光を1つの素子で補正することが提案されている。
特許文献1、特許文献2は位相板としてどちらも構造複屈折を利用している。光の波長以下の微細な構造では、その構造全体の屈折率を有効屈折率で取り扱うことができる。例えば屈折率n、膜厚L、の薄膜と屈折率n、膜厚Lの薄膜が繰り返された構造においては、その積層薄膜全体における面内方向に偏光した光に対する有効屈折率nTEと面法線方向に偏光した光に対する有効屈折率nTMは以下の式で表されることが知られている。
このとき、屈折率、膜厚のパラメータに依らずnTE>nTMとなり、構造性複屈折体は面法線方向に偏光した光に対して小さな屈折率を有する負の位相板として作用する。
構造性複屈折体を用いた位相板では構造により位相特性が制御できること、無機材料を用いることで熱や紫外線に対し劣化の少ない位相板が得られるメリットがある。
また、偏光分離素子を有する反射型の液晶画像表示装置では、液晶表示素子に起因する漏れ光とは別に偏光分離素子に起因する漏れ光が存在する。この漏れ光を補償する方法として特許文献3では、偏光分離素子と液晶表示素子の間に1/4波長板を配置する方法が提案されている。
特開2004−102200号公報 特開2006−39135号公報 特公平7−38050号公報
位相板としての位相特性は屈折率異方性の大きさΔnと総膜厚dとの積:Δn・dによって決まる。大きな異方性が得られる構造複屈折体であっても総膜厚dは1〜数μm程度必要である場合が多く、所望の位相特性を得る為にはそれだけの層数を積層する必要がある。しかし構造性複屈折体薄膜の位相板では干渉領域を避ける為に膜厚の薄い膜を積層する。例えば特許文献1にはTiOとSiOの薄膜を膜厚15nmで積層する構造性複屈折体の実施例が記載されている。この構造性複屈折体薄膜によりリターダンスΔn・d=250nmの負の位相板を得るには有効屈折率の理論から90層程度の薄膜を積層する必要がある。このように積複屈折体薄膜を用いた位相板は各層の膜厚が薄く積層数が多くなってしまうため、製造コストの点で課題がある。
また、特許文献1、特許文献2の方法では液晶表示素子に起因する漏れ光は補償できるものの、偏光分離素子により生じる漏れ光成分は補償できない。同様に、特許文献3の方法では液晶表示素子に起因する漏れ光を補償できない。
液晶プロジェクタのコントラスト向上を図るには、様々な原因で発生する漏れ光成分全てを総合的に補償する必要がある。しかし従来の位相板では、個々の漏れ光の原因に対しては補償されているものの総合的な位相補償はなされていない。また両者を組み合わせることで総合的な位相補償は可能と考えられるが、構造性複屈折体の位相板は製造コストが高い上に新たに波長板(1/4波長板)を追加することとなり、部品点数が増えるのでコスト上好ましくない。
本発明は、高い位相補償効果を有する光学素子を低い製造コストで実現し、高コントラストを有する液晶表示装置を提供することを目的とする。
本出願にかかる第1の発明の積層薄膜は、基板上に、相対的に高い屈折率の材質から成る層と相対的に低い屈折率の材質から成る層とを1層以上ずつ積層して構成された積層薄膜であって、
前記積層薄膜は使用波長帯域においてP偏光、S偏光ともに95%以上の透過率を有し、
前記相対的に高い屈折率の材質の屈折率をn 、前記相対的に高い屈折率の材質から成る層の平均膜厚をd 、前記相対的に低い屈折率の材質の屈折率n 、前記相対的に低い屈折率の材質から成る層の平均膜厚をd とし、前記積層薄膜の面法線に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)としたときに、
前記使用波長帯域に含まれる特定の波長λの光線について式(1)を満たし、10≦θ≦15°の範囲で常に式(2)と式(3)を満たすことを特徴としている。
本出願にかかる第2の発明の位相板は、基板と、基板面内方向に使用波長帯域内で最も短い波長以下の1次元周期構造を有する周期構造部と、相対的に高い屈折率の材質から成る層と相対的に低い屈折率の材質から成る層とを1層以上ずつ積層して構成された積層薄膜と、を有する位相板であって、前記相対的に高い屈折率の材質の屈折率をn 、前記相対的に高い屈折率の材質から成る層の平均膜厚をd 、前記相対的に低い屈折率の材質の屈折率n 、前記相対的に低い屈折率の材質から成る層の平均膜厚をd とし、前記積層薄膜の面法線に対し角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)としたときに、前記使用波長帯域に含まれる特定の波長λの光線について式(1)を満たし、10≦θ≦15°の範囲で常に式(5)と式(6)を満たすことを特徴としている。
m=d/(d+d)・・・(4)
本出願にかかる第3の発明は第1または第2の発明において、前記積層薄膜は平面上に形成されることを特徴としている。
また、本出願にかかる第3の発明の液晶表示装置は、前述の第2の発明の位相板を備えることを特徴としている。
本発明によれば、薄膜の積層数だけでなく総膜厚の少ない位相板を実現でき、製造コストの低い位相板を得ることが出来る。またこの積層薄膜による位相板と1/4波長板を組み合わせて総合的に位相補償を行うことにより、コントラストの高い液晶プロジェクタを提供できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の積層薄膜、位相板、およびそれを有する液晶プロジェクタの特徴を以下に示す。
図1は波長領域500nm〜580nmで使用される積層薄膜の実施例1の構成を示す概略図である。また図39に実施例1の設計値を示す。図39の斜線部分は繰り返し層22に対応している。
積層薄膜20は、図1のように基板21(BK7:屈折率1.52)上に高屈折率を有するTiO(屈折率n=2.32)薄膜H1と低屈折率を有するSiO(屈折率nL=1.46)薄膜L1が交互に27層積層された構造からなる。このとき各層の平均の膜厚は、
TiOの平均膜厚d=(48×11+38+25)/13=45.5nm
,SiOの平均膜厚dL=(48×11+122+48+22)/14=51.4nmとなり、使用波長帯域内での基準波長λ=550nmとしたとき式(1)を満たしている。
0.25<(n・d+n・d)/λ<0.5 (1)
従来の積層薄膜は構造複屈折を用いたものであり、積層薄膜を構造性複屈折体として取り扱う為には出来るだけ膜厚を薄くする必要がある。それに対し本発明の積層薄膜は、あえて構造複屈折領域よりも各膜厚を厚くして干渉領域を利用することにより位相特性を得るものである。それにより積層薄膜の積層数だけでなく、総膜厚を低減することができる。この効果を得る為の条件式が(1)である。
図3は総膜厚を一定として、TiO膜とSiO膜を等膜厚で繰り返し積層した構成において、入射角度10°で入射した直線偏光の位相特性が単層の膜厚によって変化する様子を示している。ただし横軸は平均膜厚と屈折率から求められる光学膜厚の和をλで割った(n・d+n・d)/λ、縦軸は位相差を示す。また図4は透過率を示すグラフであり、図3と同様に総膜厚一定、TiO膜とSiO膜を等膜厚で積層した場合において(n・d+n・d)/λ=0.38、0.41、0.48となる積層薄膜の分光透過率を示している。
図3において条件式(1)の範囲は横軸が0.25から0.5の範囲である。特に図3の横軸が0.25から0.42の範囲内では膜厚が増加する割合以上に位相差が増加していることがわかる。この領域を使用することにより少ない総膜厚で所望の位相差が得られる。さらに単層の膜厚が増える上に総膜厚も低減するので、大幅に積層数を低減できる。また、横軸0.42以上0.5以下の領域では総膜厚に対して大きな位相差は得られないものの、条件式(1)下限以下の領域と同程度の位相差が少ない積層数で得られる利点がある。このことから、本発明の積層薄膜においては、0.25<(n・d+n・d)/λ<0.5であることが好ましく、0.25<(n・d+n・d)/λ<0.42であることがより好ましい。
条件式(1)の下限以下である横軸0.25以下の領域では各層の膜厚は非常に薄く、位相差は各層の膜厚にほとんど依存しない構造複屈折領域である。この領域では総膜厚低減の効果は期待できず、また位相差を得る為に積層数が増加してしまう。
また図4から、各層の膜厚を増やして(n・d+n・d)を大きくしていくと、低透過率の領域が長波長側にシフトしていく様子がわかる。
また(n・d+n・d)/λ=0.5の付近では波長λにおいて透過率が得られなくなっている。そのため位相特性を効果的に得つつ高い透過率を得る為にはやはり条件式(1)のように膜厚を選択することが望ましい。
図5は実施例1の積層薄膜に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)として、縦軸をΔ、横軸をθとして位相差をプロットした図である。図6は横軸をθ、縦軸をΔ(θ)/Asinθとして特性をプロットした結果を示している。また図7は実施例1における入射角度θが0°と15°でのP、S偏光の分光透過率T0°、Tp、Tsを示している。
条件式(2)のΔ(θ)/Asinθは入射角度に対するsinθカーブからのズレを示す値である(ここで係数A=Δ(10°)/sinθであり、Δ(θ)をsinθでフィッティングしたときのθ=10°での係数を示している)0°<θ≦15°の範囲においては、位相特性の変化は近似的にsinθに従う。入射角度に対して滑らかに位相補償を行うためにはΔ/Asinθの値は1に近い方が望ましく、実際には条件式(2)の範囲に収まることが望ましい。条件式(2)の範囲を外れる場合には、位相特性がsinθカーブから外れてしまい、位相補償に不利な影響を与えるため望ましくない。
また、位相板として位相補償効果を得るためには入射角度10°で規定した位相差|Δ(10°)|の大きさが2°以上であることが望ましい。|Δ(10°)|が小さい場合には、得られる位相補償効果も小さくなるため、位相板として十分な効果を得ることは難しい。
本発明の積層薄膜の透過率はP偏光、S偏光ともに使用波長帯域全域において95%以上の透過率を有することが望ましく、98%以上の透過率を有することがさらに望ましい。透過率が低い場合、またはP偏光、S偏光の透過率の差が大きい場合には透過光量を低下させるばかりでなく、位相差の入射角度特性、分光特性にリップルを生じるなど位相特性にも影響を及ぼす。その結果、位相差の入射角度特性がsinθから外れ、位相補償効果も低減する。
図6の縦軸の上限と下限が条件式(2)の上限と下限であり、実施例1は0°<θ≦15°の全ての範囲で条件式(2)を満たしている。図5から入射角度θ=10°での位相差は|Δ(10°)|=2.4°となり、条件式(3)を満足する。また、図7から実施例1の積層薄膜は使用波長領域(500nm〜580nm)において95%以上の高い透過率が得られている。
設計においては、膜厚を選択する際には条件式(1)の範囲内に平均膜厚を抑えることで位相特性を犠牲にすることなく高い透過率が得られる。さらに積層薄膜と基板との界面、または積層薄膜において基板から最も離れた界面、のうち少なくとも一方に反射防止層を設けることも有効である。また本実施例のように、積層薄膜のうち基板に近接する数層と、基板から最も離れた数層の膜厚を適切に調整することでも積層薄膜の最外面での反射を抑えることができる。このようにすると反射防止層として新たに材質を増やすことなく、さらに高い透過率と滑らかな位相特性を得ることができる。
式(4)で表される膜厚比mは、高屈折率膜と低屈折率膜の平均膜厚の比を表している。図8は、総膜厚、積層数が等しい場合に、膜厚比mによって積層薄膜の位相特性が変化する様子を示している。図8は膜厚比0.5付近に極大を持ち、この領域付近を選択することで大きな位相差が得られることがわかる。ただしダイクロイック膜のように所望の波長帯域で高反射率化することは避ける必要がある。少ない総膜厚で効率的に位相特性を得つつ、かつ高い透過率を維持する為には、条件式(4)を満たす事が好ましい。実施例1の積層薄膜の膜厚比mは0.47であり、条件式(4)を満たしている。
m=d/(d+d)・・・(4)
薄膜を構成する材質としては屈折率差が大きく、かつ無機材料であることが好ましい。実施例1においては高屈折率材料にはTiO、低屈折率材料にはSiOを用いたが、他にも高屈折率材料としてはCeO、ZrO、Ta、SnO、In、Alなどを用いることができる。低屈折率材料としては高屈折率材料の屈折率に応じて、Al、MgF、CaF、などを用いることが出来る。
実施例2の積層薄膜は波長領域400nm〜480nmで使用される積層薄膜である。その構成の概略は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の図1を用いて説明する。また図40に実施例2の設計値を示す。図40の斜線部分は繰り返し層22を示している。
実施例2の積層薄膜は、図1のように基板21(BK7:屈折率1.52)上に高屈折率を有するTiO(屈折率2.43)薄膜H2と低屈折率を有するSiO(屈折率1.47)薄膜L2が交互に35層積層された構造からなる。各材質の平均の膜厚は、
TiOの平均膜厚d=(36×15+32+19)/17=34.8nm,SiOの平均膜厚d=(36×15+89+29+17)/18=37.5nmとなり、使用波長帯域内での波長をλ0=450nmとしたとき条件式(1)を満たしている。また、膜厚比mは0.48となり、条件式(4)を満たしている。
図9は実施例2の積層薄膜に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)として、縦軸をΔ、横軸をθとして位相差をプロットした図である。図10は横軸をθ、縦軸をΔ(θ)/Asinθとして特性をプロットした結果を示している。また図11は実施例2における入射角度θが0°と15°でのP、S偏光の分光透過率T0°、Tp、Tsを示している。
図9から入射角度θ=10°での位相差|Δ(10°)|=3.0°となり、条件式(3)を満足する。図10から、実施例2の積層薄膜は条件式(2)を満たしている。また、図11の分光透過率から、実施例2の積層薄膜は使用波長帯域(400nm〜480nm)において95%以上の高い透過率を示している。
実施例3の積層薄膜は波長領域600nm〜680nmで使用される積層薄膜である。その構成の概略は図1と同様であるため、実施例1と同様の図1を用いて説明する。また図41に実施例3の設計値を示す。図41の斜線部分は繰り返し層22を示している。
実施例3の積層薄膜は、図1のように基板21(BK7:屈折率1.52)上に高屈折率を有するTiO(屈折率2.28)薄膜H2と低屈折率を有するSiO(屈折率1.46)薄膜L2が交互に23層積層された構造からなる。各材質の平均の膜厚は、
TiOの平均膜厚d=(60×9+68+32)/11=58.2nm
SiOの平均膜厚d=(60×9+129+40+76)/12=65.4nmとなり、使用波長帯域内での基準波長をλ=650nmとしたとき条件式(1)を満たしている。また、膜厚比mは0.47となり、条件式(4)を満たしている。
図12は実施例3の積層薄膜に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)として、縦軸をΔ、横軸をθとして位相差をプロットした図である。図13は横軸をθ、縦軸をΔ(θ)/Asinθとして特性をプロットした結果を示している。また図14は実施例3における入射角度θが0°と15°でのP、S偏光の分光透過率T0°、Tp、Tsを示している。
図12から入射角度θ=10°での位相差|Δ(10°)|=2.2°となり、条件式(3)を満足する。図13から、実施例3の積層薄膜は条件式(2)を満たしている。また、図14の分光透過率から、実施例3の積層薄膜は使用波長帯域(600nm〜680nm)において95%以上の高い透過率を示している。
図15は波長領域500nm〜580nmで使用される積層薄膜の実施例4の構成概略図である。また図42に実施例4の設計値を示す。
積層薄膜30は、図15のように基板21上に高屈折率を有するTiO(屈折率2.32)薄膜H2と低屈折率を有するSiO(屈折率1.46)薄膜L2が交互に、かつ膜厚が変化しながら23層積層された構造からなる。本発明の積層薄膜は単層膜厚が均一な層の繰り返しである必要はなく、実施例2のように各層の膜厚が変化していく構造でも効果的に位相特性をもたせることができる。各材質の平均の膜厚は、
TiOの平均膜厚d=46.7nm,SiOの平均膜厚d=55.7nmとなり、使用波長帯域内での基準波長をλ0=550nmとしたとき条件式(1)を満たしている。また、膜厚比mは0.46となり、条件式(4)を満たしている。
図16は実施例4の積層薄膜に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)として、縦軸をΔ、横軸をθとして位相差をプロットした図である。図17は横軸をθ、縦軸をΔ(θ)/Asinθとして特性をプロットした結果を示している。また図18は実施例4における入射角度θが0°と15°でのP、S偏光の分光透過率T0°、Tp、Tsを示している。
図16から入射角度θ=10°での位相差|Δ(10°)|=2.4°となり、条件式(3)を満足する。図17から、実施例4の積層薄膜は条件式(2)を満たしている。また、図18の分光透過率から、使用波長帯域(500nm〜580nm)において95%以上の高い透過率を示している。実施例4の積層薄膜は積層薄膜の膜厚を徐々に変化させながら積層することにより反射膜化を抑えて厚い膜を積層でき、23層という少ない積層数で実施例1とほぼ同等の位相特性が得られている。
図19は波長領域500nm〜580nmで使用される実施例5の構成を示す概略図である。図43に実施例5の設計値を示す。図43の斜線部分は図11の繰り返し層42に対応している。
実施例5の積層薄膜40は、図11のように基板21上に高屈折率を有するTiO(屈折率nH=2.32)薄膜H3と低屈折率を有するSiO(屈折率nL=1.46)薄膜L3と、その中間の屈折率を有するAl薄膜(屈折率nm=1.66)薄膜M3とがTiO−Al−SiO−TiO−Al−の順に図41のように35層積層した構成からなる。
このうち高屈折率材質であるTiO膜と低屈折率材質であるSiO膜の平均膜厚は、
TiOの平均膜厚dH=(42×10+46+23)/12=40.8nm,SiOの平均膜厚dL=(42×10+118+42+85)/13=51.2nmとなり、使用波長帯域内での基準波長550nmとしたときに式(1)を満たす。また、膜厚比mは0.44となり、条件式(4)を満たしている。
図20は実施例5の積層薄膜に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)として、縦軸をΔ、横軸をθとして位相差をプロットした図である。図21は横軸をθ、縦軸をΔ(θ)/Asinθとして特性をプロットした結果を示している。また図22は実施例5において入射角度θが0°と15°でのP、S偏光の分光透過率T0°、Tp、Tsを示している。
図20から入射角度θ=10°での位相差|Δ(10°)|=2.2°となり、条件式(3)を満足する。図21から、実施例5の積層薄膜は条件式(2)を満たしている。また、図22の分光透過率から、使用波長帯域(500nm〜580nm)において95%以上の高い透過率を示している。実施例5では3種の材質の薄膜を35層積層することにより、これまでの実施例と同様の位相特性が得られている。
[比較例]
ここで比較例として、低屈折率材質をSiO、高屈折率材質をTiOとして、それぞれ単層の膜厚を15nmで112層積層した場合において使用波長帯域500nm〜580nm(λ=550nm)としたときの位相差の入射角度特性を図23に示す。また図44は比較例と実施例1及び実施例4及び実施例5の積層薄膜の構成を示している。比較例の膜厚15nmは、使用波長帯域に比べて充分薄く、比較例の積層薄膜は複屈折構造体として扱うことが出来る。比較例における位相差の入射角度特性については、例えば図23と図5の比較により実施例1と同等の位相特性が得られていることがわかる。しかし構成を比較すると、比較例では積層数112層程度、総膜厚1800nm程度であるのに対して、実施例1では積層数27層、総膜厚1311nmで比較例と同等の位相特性が得られている。つまり実施例1は比較例に対して積層数を1/4以下、総膜厚は約30%低減しつつ、比較例と同等の位相補償効果が期待できる。他の実施例においても比較例よりも積層数、総膜厚を大きく低減できる。このように本発明の積層薄膜は従来の構造複屈折を用いた積層薄膜に比べて製造にかかるコストを大きく低減できる。
本発明の積層薄膜を有する素子を液晶プロジェクタに用いる際の実施例を以下に示す。
図24は本発明の積層薄膜を有する素子を用いた実施例6の液晶プロジェクタの構成概略図である。図中1は光源、2は光源からの入射光で2g,2b,2rはそれぞれ緑色、青色、赤色光を示す。3は偏光変換素子、4g,4b,4rは偏光変換された緑色、青色、赤色光を示す。5はダイクロイックミラー、6は偏光板、7は波長選択性位相差板、9a,9bは緑色用、及び青、赤色用偏光分離素子である。11は液晶表示素子、12は1/4波長板、13は本発明の積層薄膜を有する素子、14は本発明の位相板である。18は合成プリズム、20は投射レンズ光学系である。
光源1から照射される光束は、リフレクタによって反射され略平行光束2となって偏光変換素子3に入射する。この図24においては、この白色光2を緑・青・赤色の3原色の光に分解して図示しており、それぞれを緑色光2g、青色光2b、赤色光2rとして図示している。勿論、この緑、青、赤色光それぞれは、図24上では便宜上空間的に分離して記載しているが、この3つの光はこの段階では空間的に分離されている訳ではない。以下、緑色光はG,青色光はB、赤色光はRと省略する。
光源から発せられる各色の光は様々な偏光を含んでおり、偏光変換素子3を透過することにより、一様な偏光方向へ揃えられてG偏光4g、B偏光4b、R偏光4rとなり、ダイクロイックミラー5へ入射する。ダイクロイックミラー5はG帯域のみ反射する特性を有しており、G偏光は反射され、R、B偏光は透過することでG偏光が色分離される。G偏光はそのまま偏光分離素子9aに入射し、1/4波長板12g、積層薄膜13gを透過してG用液晶表示素子11gに照射される。色分離されたRとBの偏光は偏光板6を透過することにより偏光度が向上した後に色選択性位相板7に入射する。色選択性位相板はB偏光のみ偏光方向を90°変換させる特性を有しており、これによりR偏光の偏光状態は維持したまま、B偏光は90°偏光方向が回転した状態で偏光分離素子9bに入射する。偏光分離素子9a、9bはP偏光を透過し、S偏光を反射する素子である。偏光分離素子9bの偏光分離面9b1によりB偏光は反射、R偏光は透過して色分離され、1/4波長板12b、12r、積層薄膜13b、13rを透過して各色に対応する液晶表示素子11b、11rに照射される。液晶表示素子11b、11r、11gに照明された光は画像信号に応じて画素ごとに照明光の偏光方向を90°変換され、反射されることにより画像光となる。BとRの画像光は再び1/4波長板12b、12r積層薄膜13b、13rを透過した後に偏光分離素子9bに再入射する。ここでB偏光の画像光は透過され青色光15bとなり、R偏光の画像光は偏光分離面9b1に反射され赤色光15rとなって偏光分離素子9bを出射することで15b、15rが合成される。G偏光の画像光も1/4波長板12g、積層薄膜13gを透過した後に偏光分離素子9aの偏光分離面9a1により反射され、合成プリズム18に入射する。合成プリズム内のダイクロイック膜19により、Gの画像光は反射され、RとBの光15b、15rは透過することでGとRとBの光が合成されて出射される。色合成された画像光は投射レンズ光学系20によりスクリーンに投影、結像される。
ここで本実施例の液晶プロジェクタにおける偏光分離素子9a,9bは構造複屈折を利用した偏光分離素子が用いられることが好ましい。構造複屈折を用いた偏光分離素子としては、特開2006−133402号公報のように偏光分離面内方向に使用波長帯域内の最短波長以下の周期の1次元格子構造を有する構造が知られている。構造複屈折を用いた偏光分離素子は従来の誘電体多層膜を用いたものと比べて角度特性が良好で光束のFno.を小さくできるため、その分光量を増やす事ができる。その際入射角度が増大することで斜入射による光漏れの影響も増大するが、総合的な位相補償を行うことにより効果的に漏れ光を低減できる。即ち、構造複屈折を利用した偏光分離素子と積層薄膜を組み合わせて最適な位相補償を行うことで、大光量で明るく、かつコントラストの高い液晶プロジェクタが得られる。
図25はG光路における液晶表示素子近傍の素子配置図を示している。図25中の矢印線は入射光線を示している。1/4波長板12gは液晶表示素子11g、偏光分離素子9aの間に配置され、本発明の積層薄膜13gは1/4波長板12gと液晶表示素子11gの間に配置された構成となっている。1/4波長板12gは偏光分離素子9a、積層薄膜13gは主に液晶表示素子11gに起因する漏れ光に対して位相補償を行う。G以外のB,R光路においても、各素子の配置、及びその作用は同様である。以下の説明ではG光路を例にとって各素子の作用を説明する。
ここで3次元空間をa軸、b軸、c軸で表し、前記反射型液晶表示素子面の法線方向をc軸、前記偏光分離素子の偏光分離面の法線方向とc軸の両方に垂直な方向をb軸、c軸とb軸の両方に垂直な方向をa軸とする。このとき前記1/4波長板12g、積層薄膜13gは面法線がc軸と平行となるように配置される。
図25のように光線がc軸と角度を持って入射する場合を考える。一般的に偏光分離を行う分離面はc軸に対して45°傾いており、この偏光分離面に対するP偏光をブリュースター角により透過し、S偏光を反射する。このような偏光分離素子の特性からc軸に対して角度を持って入射する偏光を分離する場合には、その入射角度、入射方位によってP、S偏光方向が変化するため分離される偏光方向も変化する。図26は偏光分離素子に入射する光線の入射角度、入射方位による透過偏光方向の変化を示す模式図である。図中の0はc軸と平行に入射する場合を表し、それ以外はc軸に角度を持って入射する場合を示す。(1)〜(8)の番号は入射方位角度が異なることを示す。方位角度とは入射光線のab平面への射影がa軸と成す角度とし、(1)を0°として(1)〜(8)まで45°刻みで入射方位が変化している。また、図26中左側は光源側から入射する場合の透過偏光方向を示し、図26中右側は液晶表示素子により反射した後に偏光分離素子に再入射した場合の透過偏光方向を模式的に示している。図26から、(1)(5)以外の方位から入射する光線は偏光分離素子により分離される方向が傾く。さらに光源側から偏光分離素子に入射する場合と、液晶側で反射されて再び入射する場合とで入射光線方向と偏光分離面法線方向の成す角度が異なる。従って(1)(5)方位以外から入射した光は、液晶素子に反射されて偏光分離素子に再入射する際にその全てが偏光分離素子を透過できずに漏れ光が発生する。
ここで偏光分離素子9aと液晶表示素子11gとの間に配置された1/4波長板12gは偏光分離素子9aによって傾いた偏光方向を補償する。1/4波長板12gはその光学軸がa軸またはb軸と、略平行または略垂直な方向となるように配置される。c軸に対して角度を持って偏光分離素子9aに入射し、傾いた方向に偏光した光は1/4波長板12gを往復することにより傾き方向が1/4波長板光学軸に対して対称に反転する。その結果、光源側から偏光分離素子に入射する際の偏光方向と、液晶側から偏光分離素子に入射する際の偏光方向とが揃えられる。その結果入射時と射出時の角度ズレが減少し、偏光分離素子9aに反射される漏れ光成分が低減するためコントラストが改善される。また、1/4波長板12gの光学軸を前記の配置方向から、ab平面内で1°程度の微小角回転させることにより、黒表示状態における液晶分子のプレチルト角の影響をキャンセルでき、さらに高いコントラストが得られる。
次に液晶表示素子11gに起因する漏れ光について述べる。液晶表示素子11gは正の異方性を有し、黒表示状態において液晶分子の光学軸はc軸と略平行となっている。偏光分離素子9aを透過し黒表示状態の液晶表示素子に対して斜入射する直線偏光は、液晶分子の持つ異方性により入射角度に応じて位相変化を受ける。位相変化により直線偏光から楕円偏光となった光は、その全てが偏光分離素子を透過することが出来ず、一部の光が投射レンズ系に到達する。そのため、黒表示状態であっても光漏れが発生し、コントラストが低下する。また、液晶表示素子近傍に配置された1/4波長板12gも異方性を有する素子であり、斜入射光の位相に影響を与える。
ここで液晶表示素子11gと1/4波長板12gとの間に配置された積層膜膜13gは液晶表示素子11gによって受ける位相変化を補償する。同時に、1/4波長板12gより発生する斜入射での所望しない位相変化も補償する。液晶表示素子11gと積層薄膜13gと1/4波長板12gを往復した偏光は位相補償により楕円偏光から直線偏光となって偏光分離素子9aに入射する。その結果、漏れ光成分が低減されてコントラストが改善される。
積層薄膜13gは1/4波長板12gと液晶表示素子11gの両方に作用するため、図25のように1/4波長板12gと液晶表示素子11gとの間に配置される。積層薄膜13gが1/4波長板12gよりも偏光分離素子側に配置された場合には液晶表示素子11gとの間に配置されている1/4波長板12gにより補償関係が変化するため、好ましくない。
図24のように積層薄膜及び1/4波長板が配置された場合の液晶プロジェクタのコントラスト値は、1/4波長板のみが配置された場合(図16において積層薄膜が除かれた場合)と比較して2000:1から4000:1に向上した。
積層薄膜を形成する基板は、液晶表示素子11gの保護ガラス、または1/4波長板12gの液晶表示素子側であっても良い。この場合には、それぞれの素子と積層薄膜が光学的に一体化することで、1枚で位相補償を行うことができる。また界面での反射が低減されてさらに高いコントラストが得られる。
次に、本発明の位相板に関する特徴を以下に示す。
図27は波長帯域500nm〜580nmで使用される本発明の位相板の実施例7の構成を示す概略図である。また図45に実施例7の設計値を示す。図45の斜線部分は図27の繰り返し層54に対応している。
実施例7の位相板は、図27のように基板21上に高屈折率を有するTiO(屈折率2.32)薄膜H4と低屈折率を有するSiO(屈折率1.46)薄膜L4が交互に40積層されてなる積層薄膜55を有する。実施例7における積層薄膜55の各材質の平均膜厚は、
TiOの平均膜厚d=(45×16+42+13+146+35)/20=47.8nm,SiOの平均膜厚d=(45×17+26+57)/19=44.6nmとなり、使用波長帯域内での基準波長550nmとしたとき式(1)を満たしている。また、膜厚比mは0.52となり、条件式(4)を満足する。
また前記積層薄膜55の上面には使用波長帯域における最短波長以下の周期を持つ1次元格子構造部53が形成されており、実施例7では格子周期180nm、格子高さ510nm、格子部51の幅146nmの一次元格子構造部53が形成されている。格子部51はTiOで構成され、格子部52は空気で構成されている。
1次元格子構造部53は、構造複屈折により格子に平行な方向と垂直な方向とで異方性を有する。その大きさは有効屈折率で扱うことができ、
格子に平行な方向の偏光に対する有効屈折率:nTE=1.90
格子に垂直な方向の偏光に対する有効屈折率:nTM=2.17
となる。格子高さ510nmから、
Δn・d=(2.17−1.90)×510nm=136.7nm
となり、実施例7の1次元格子構造部は位相板に垂直入射する基準波長550nmの光線に対してほぼ1/4波長板として作用する。
図28は実施例7の前記位相板に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)として、縦軸をΔ、横軸をθとして位相差プロットした図である。また図29に横軸をθ、縦軸をΔ(θ)/Asinθとして同じ特性をプロットした結果を示している。
条件式(5)の(B−Δ)/Asinθは位相板の位相差入射角度特性に対するsinθカーブからのズレを示す値である。ここで係数A=(B−Δ(10°))/sinθであり、B−Δ(θ)をsinθでフィッティングしたときのθ=10°での係数を示している。Bは位相板のθ=0°の光線に対する位相差でB=Δ(0°)である。本実施例においてはB=Δ(0°)=90°である。0°<θ≦15°の範囲においては、位相特性の変化は近似的にsinθに従う。入射角度に対して滑らかに位相補償を行うためには(B−Δ)/Asinθの値は1に近い方が望ましく、実際には条件式(5)の範囲に収まることが望ましい。条件式(5)の範囲を外れる場合には、位相特性がsinθカーブから外れてしまい、位相補償に不利な影響を与えるため望ましくない。
また、位相板として位相補償効果を得るためには入射角度10°で規定した位相差(B−Δ(10°))の大きさが2°以上であることが望ましい。(B−Δ(10°))がそれより小さい場合には、得られる位相補償効果も小さくなる。その場合1/4波長板としては有用であるものの、斜入射に対して位相補償を行う位相板としては十分な効果を期待できない。
図29の縦軸の上限と下限が条件式(5)の上限と下限であり、実施例1は0°<θ≦15°の全ての範囲で条件式(2)を満たしている。また、入射角度θ=10°での位相差|B−Δ(10°)|=2.9°となり、条件式(6)を満足する。
図30は実施例7の積層薄膜55における入射角度θが0°でのP、S偏光の分光透過率Tp、Tsを示している。積層薄膜部55のうち1次元格子構造部との界面に近接する数層の膜厚を調整することにより使用波長帯域において95%以上の透過率が得られている。1次元格子構造部53の上面については、他の基板と格子面を一体化することで反射を抑えることが出来る。また屈折率の異なる材質の1次元格子を積層することや、格子周期以下の微細な凹凸形状を格子上面に形成することによっても反射を抑えることができる。
実施例8は波長帯域400nm〜480nmで使用される位相板である。その構成の概略は実施例7と同様であるため、実施例7と同様の図27を用いて説明する。また図46に実施例8の設計値を示す。図46の斜線部分は繰り返し層54に対応している。
実施例8の位相板は図27のように基板21上に高屈折率を有するTiO(屈折率2.42)薄膜H4と低屈折率を有するSiO(屈折率1.47)薄膜L4が交互に45層積層されてなる積層薄膜55を有する。実施例8における積層薄膜55の各材質の平均膜厚は、
TiOの平均膜厚dH=(33×19+110+32+19)/22=35.8nm
SiOの平均膜厚dL=(33×19+21+33+19)/22=31.8nm
となり、使用波長帯域内での基準波長450nmとしたとき条件式(1)を満たしている。また、膜厚比mは0.53となり、条件式(4)を満足する。
前記積層薄膜55の上面には使用波長帯域における最短波長以下の周期を持つ1次元格子構造部53が形成されており、実施例8では格子周期145nm、格子高さ406nm、格子部51の幅120nmの一次元格子構造部53が形成されている。格子部51はTiOで構成され、格子部52は空気で構成されている。
1次元格子構造部53は、構造複屈折により格子に平行な方向と垂直な方向とで異方性を有する。その大きさは有効屈折率で扱うことができ、
格子に平行な方向の偏光に対する有効屈折率:nTE=2.00
格子に垂直な方向の偏光に対する有効屈折率:nTM=2.28
となる。格子高さ406nmから、
Δn・d=(2.28−2.00)×406nm=113.7nm
となり、実施例8の1次元格子構造部は位相板に垂直入射する波長450nmの光線に対してほぼ1/4波長板として作用する。
図31は実施例8の前記位相板に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)として、縦軸をΔ、横軸をθとして位相差をプロットした図である。また図32に横軸をθ、縦軸をΔ(θ)/Asinθとして特性をプロットした結果を示している。
図32から、実施例8の位相板は条件式(5)を満足している。また、入射角度θ=10°での位相差|B−Δ(10°)|=2.3°となり、条件式(6)を満足する。
図33は実施例8の図27中の積層薄膜55における入射角度θが0°でのP、S偏光の分光透過率Tp、Tsを示している。積層薄膜部55のうち1次元格子構造部との界面に近接する数層の膜厚を調整することにより、使用波長帯域において95%以上の透過率が得られている。
実施例9は波長帯域600nm〜680nmで使用される位相板である。その構成の概略は実施例7と同様であるため、実施例7と同様の図27を用いて説明する。また図47に実施例9の設計値を示す。図47の斜線部分は繰り返し層54に対応している。
実施例9の位相板は図27のように基板21上に高屈折率を有するTiO(屈折率2.42)薄膜H4と低屈折率を有するSiO(屈折率1.47)薄膜L4が交互に32層積層されてなる積層薄膜55を有する。
実施例9における積層薄膜55の各材質の平均膜厚は、
TiOの平均膜厚dH=(57×12+162+48+42+14)/16=61.5nm,SiOの平均膜厚dL=(57×12+44+57+76)/15=48.1nmとなり、波長650nmとしたとき式(1)を満たしている。また、膜厚比mは0.56となり、条件式(4)を満足する。
また積層薄膜55の上面には使用波長よりも短い周期を持つ1次元格子構造部53が形成されており、実施例9では格子周期230nm、格子高さ637nm、格子部51の幅182nmの一次元格子構造部53が形成されている。格子部51はTiOで構成され、格子部52は空気で構成されている。
1次元格子構造部53は、構造複屈折により格子に平行な方向と垂直な方向とで異方性を有し、その異方性の大きさは、有効屈折率で扱うことができ、
格子に平行な方向の偏光に対する有効屈折率:nTE=1.85
格子に垂直な方向の偏光に対する有効屈折率:nTM=2.11
となる。格子高さ637nmから、
Δn・d=(2.11−1.85)×637=165.6nm
となり、実施例9の1次元格子構造部は位相板に垂直入射する波長650nmの光線に対してほぼ1/4波長板として作用する。
図34は実施例9の前記位相板に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)として、縦軸をΔ、横軸をθとして位相差をプロットした図である。また図35に横軸をθ、縦軸をΔ(θ)/Asinθとして特性をプロットした結果を示している。
図35から、実施例8の位相板は条件式(5)を満足している。また、入射角度θ=10°での位相差|B−Δ(10°)|=3.1°となり、条件式(6)を満足する。
図36は実施例9の図27中の積層薄膜55における入射角度θが0°でのP、S偏光の分光透過率Tp、Tsを示している。積層薄膜部55のうち1次元格子構造部との界面に近接する数層の膜厚を調整することにより、使用波長帯域において95%以上の透過率が得られている。
本発明の位相板を液晶プロジェクタに用いる際の実施例を以下に示す。
図37は本発明の位相板を有する素子を用いた実施例10の液晶プロジェクタの構成概略図である。
図37の液晶プロジェクタの構成は、図24の実施例6の液晶プロジェクタの構成のうち1/4波長板12g、12b、12r、積層薄膜13g、13b、13rを位相板14g、14b、14rに置き換えた構成となっている。その他の構成については、図24の反射型液晶プロジェクタと同様である。
図38は図37の光学系のうち緑色(G)光路における液晶表示素子近傍の素子配置図を示している。液晶表示素子11gと偏光分離素子9aとの間に本発明の位相板14gが配置された構成となっている。
ここで3次元空間をa軸、b軸、c軸で表し、前記反射型液晶表示素子面の法線方向をc軸、前記偏光分離素子の偏光分離面の法線方向とc軸の両方に垂直な方向をb軸、c軸とb軸の両方に垂直な方向をa軸とする。
このとき位相板14gの一次元格子構造部の格子周期方向はc軸と垂直で、a軸またはb軸に対して約1°程度の微小角傾けて配置されることが望ましい。位相板14gは偏光分離素子9aと液晶表示素子11gの双方に対して位相補償を行うが、その位相補償の作用は、図24の1/4波長板12gと積層薄膜13gによる作用をあわせたものと等価であるため、その作用については省略する。位相板14gは、一次元格子部が偏光分離素子9a側となるように、かつ面法線がc軸と平行となるように配置されることが好ましい。また、位相板は各色に対応して各光路に配置されているものの、その配置、作用は各光路で同様である。
ここで実施例6と同様に、本実施例においても液晶プロジェクタ内に配置される偏光分離素子9a,9bは構造複屈折を利用した偏光分離素子が用いられることが好ましい。また、位相板14g、14b、14rは、液晶表示素子11g、11b、11rの保護ガラス上、または偏光分離素子9a、9bを構成するプリズムの液晶表示素子と対向する面上に形成しても良い。
第1の実施例の形態を示す概略構成図である 液晶分子の屈折率楕円体を示す模式図である 積層薄膜における単層膜厚と位相特性の相関を示す図である 積層薄膜における単層膜厚と透過率の相関を示す図である 第1の実施例における位相差の入射角度特性を示す図である 第1の実施例の位相特性と条件式(2)の関係を示す図である 第1の実施例の入射角度0°と15°における分光透過率を示す図である 積層薄膜における膜厚比と位相特性の相関を示す図である 第2の実施例における位相差の入射角度特性を示す図である 第2の実施例の位相特性と条件式(2)の関係を示す図である 第2の実施例の入射角度0°と15°における分光透過率を示す図である 第3の実施例における位相差の入射角度特性を示す図である 第3の実施例の位相特性と条件式(2)の関係を示す図である 第3の実施例の入射角度0°と15°における分光透過率を示す図である 第4の実施例の形態を示す概略構成図である 第4の実施例における位相差の入射角度特性を示す図である 第4の実施例の位相特性と条件式(2)の関係を示す図である 第4の実施例の入射角度0°と15°における分光透過率を示す図である 第5の実施例の形態を示す概略構成図である 第5の実施例における位相差の入射角度特性を示す図である 第5の実施例の位相特性と条件式(2)の関係を示す図である 第5の実施例の入射角度0°と15°における分光透過率を示す図である 比較例における位相差の入射角度特性を示す図である 本発明の積層薄膜を有する反射型液晶画像表示装置概略構成図である 図24における液晶表示素子近傍の素子配置を示す図である 偏光分離素子の透過偏光方向の角度依存性を示す模式図である 第7の実施例の形態を示す概略構成図である 第7の実施例における位相差の入射角度特性を示す図である 第7の実施例の位相特性と条件式(5)の関係を示す図である 第7の実施例における垂直入射での分光透過率を示す図である 第8の実施例における位相差の入射角度特性を示す図である 第8の実施例の位相特性と条件式(5)の関係を示す図である 第8の実施例における垂直入射での分光透過率を示す図である 第9の実施例における位相差の入射角度特性を示す図である 第9の実施例の位相特性と条件式(5)の関係を示す図である 第9の実施例における垂直入射での分光透過率を示す図である 本発明の位相板を有する反射型液晶画像表示装置概略構成図である 図37における液晶表示素子近傍の素子配置を示す図である 実施例1の設計値を示す図である 実施例2の設計値を示す図である 実施例3の設計値を示す図である 実施例4の設計値を示す図である 実施例5の設計値を示す図である 比較例と実施例1、実施例4及び実施例5の積層薄膜の構成を示す図である 実施例7の設計値を示す図である 実施例8の設計値を示す図である 実施例9の設計値を示す図である
1 光源
2 光源からの入射光
2g、2b、2r 緑色光、青色光、赤色光
3 偏光変換素子
4g、4b、4r 偏光変換された緑色光、青色光、赤色光
5 ダイクロイックミラー
6 偏光板
7 波長選択性位相差板
8b、8r 青色光、赤色光
9a、9b 緑色光用、及び青色光、赤色光用偏光分離素子
9a1、9b1 緑色光用、及び青色光、赤色光用偏光分離素子面
11g、11b、11r 緑色光、青色光、赤色光用反射型液晶素子
12g、12b、12r 緑色光、青色光、赤色光用1/4波長板
13g、13b、13r 緑色光、青色光、赤色光用積層薄膜素子
14g、14b、14r 緑色光、青色光、赤色光用位相板
15b、15r 青色画像光、赤色画像光
18 合成プリズム
19 ダイクロイック膜
20 投射レンズ光学系

Claims (13)

  1. 基板上に、相対的に高い屈折率の材質から成る層と相対的に低い屈折率の材質から成る層とを1層以上ずつ積層して構成された積層薄膜であって、
    前記積層薄膜は使用波長帯域においてP偏光、S偏光ともに95%以上の透過率を有し、
    前記相対的に高い屈折率の材質の屈折率をn 、前記相対的に高い屈折率の材質から成る層の平均膜厚をd 、前記相対的に低い屈折率の材質の屈折率n 、前記相対的に低い屈折率の材質から成る層の平均膜厚をd とし、前記積層薄膜の面法線に対して角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)としたときに、
    前記使用波長帯域に含まれる特定の波長λの光線について式(1)を満たし、10≦θ≦15°の範囲で常に式(2)と式(3)を満たすことを特徴とする積層薄膜。
  2. 式(4)で表される膜厚比mが0.43以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層薄膜。
    m=d/(d+d)・・・(4)
  3. 前記積層薄膜は平面上に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層薄膜。
  4. 前記積層薄膜は無機材料で構成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の積層薄膜。
  5. 基板と、
    基板面内方向に使用波長帯域内で最も短い波長以下の1次元周期構造を有する周期構造部と、相対的に高い屈折率の材質から成る層と相対的に低い屈折率の材質から成る層とを1層以上ずつ積層して構成された積層薄膜と、を有する位相板であって、
    前記相対的に高い屈折率の材質の屈折率をn 、前記相対的に高い屈折率の材質から成る層の平均膜厚をd 、前記相対的に低い屈折率の材質の屈折率n 、前記相対的に低い屈折率の材質から成る層の平均膜厚をd とし、前記積層薄膜の面法線に対し角度θで入射する光線が受ける位相差をΔ(θ)としたときに、
    前記使用波長帯域に含まれる特定の波長λの光線について式(1)を満たし、10≦θ≦15°の範囲で常に式(5)と式(6)を満たすことを特徴とする位相板。
  6. 前記位相板は1/4波長板として作用することを特徴とする請求項5に記載の位相板。
  7. 前記位相板は式(4)で表される膜厚比mが0.43以上であることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の位相板。
    m=d/(d+d)・・・(4)
  8. 前記位相板は平面上に形成されることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の位相板。
  9. 前記位相板は無機材料で構成されていることを特徴とする、請求項5〜請求項8のいずれかに記載の位相板。
  10. 光源と、
    光源から照射される照明光のうちP偏光を透過しS偏光を反射する偏光分離素子と、
    照明光を画像光に変換して反射させる反射型液晶表示素子と、
    前記偏光分離素子と前記反射型液晶表示素子との間に配置される1/4波長板と、
    前記1/4波長板と前記反射型液晶表示素子との間に配置される請求項1〜請求項4のいずれかに記載の積層薄膜と、
    画像光を投影する投影光学系と、
    を有する反射型液晶表示装置であって、
    前記反射型液晶表示素子は正の屈折率異方性を有し、
    前記反射型液晶表示素子面の法線方向をc軸、前記偏光分離素子の偏光分離面の法線方向とc軸の両方に垂直な方向をb軸、c軸とb軸の両方に垂直な方向をa軸として3次元空間を表したときに、
    前記反射型液晶表示素子の黒表示状態での光学軸方向は、c軸に対してプレチルト角を有し、
    前記1/4波長板および前記積層薄膜の面法線方向がc軸と平行となるように配置され、
    かつ前記1/4波長板の光学軸が、a軸またはb軸と0.5°以上5°以下または−0.5°以上−5°以下の角度をなすように配置される
    ことを特徴とする反射型液晶表示装置。
  11. 前記偏光分離素子の偏光分離面は、前記偏光分離面と平行な方向に使用波長帯域内で最も短い波長以下の周期を有する1次元周期構造からなる構造複屈折層を有する
    ことを特徴とする請求項10に記載の反射型液晶表示装置。
  12. 光源と、
    光源から照射される照明光のうちP偏光を透過しS偏光を反射する偏光分離素子と、
    照明光を画像光に変換して反射させる反射型液晶表示素子と、
    前記偏光分離素子と前記反射型液晶表示素子との間に配置される請求項5〜請求項9のいずれかに記載の位相板と、
    画像光を投影する投影光学系と、
    を有する反射型液晶表示装置であって、
    前記反射型液晶表示素子は正の屈折率異方性を有し、
    前記反射型液晶表示素子面の法線方向をc軸、前記偏光分離素子の偏光分離面の法線方向とc軸の両方に垂直な方向をb軸、c軸とb軸の両方に垂直な方向をa軸として3次元空間を表したときに、
    前記反射型液晶表示素子の黒表示状態での光学軸方向は、c軸に対してプレチルト角を有し、
    前記位相板の面法線方向がc軸と平行となるように配置され、
    かつ前記位相板の前記1次元周期構造部の周期方向が、a軸またはb軸と0.5°以上5°以下または−0.5°以上−5°以下の角度をなすように配置される
    ことを特徴とする反射型液晶表示装置。
  13. 前記偏光分離素子の偏光分離面は、前記偏光分離面と平行な方向に使用波長帯域内で最も短い波長以下の周期を有する1次元周期構造からなる構造複屈折層を有する
    ことを特徴とする請求項12に記載の反射型液晶表示装置。
JP2009018003A 2009-01-29 2009-01-29 積層薄膜、位相板、及び反射型液晶表示装置 Expired - Fee Related JP5538731B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009018003A JP5538731B2 (ja) 2009-01-29 2009-01-29 積層薄膜、位相板、及び反射型液晶表示装置
US12/696,455 US8334938B2 (en) 2009-01-29 2010-01-29 Laminated thin film, phase plate, and reflective liquid crystal display apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009018003A JP5538731B2 (ja) 2009-01-29 2009-01-29 積層薄膜、位相板、及び反射型液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010175805A JP2010175805A (ja) 2010-08-12
JP5538731B2 true JP5538731B2 (ja) 2014-07-02

Family

ID=42353908

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009018003A Expired - Fee Related JP5538731B2 (ja) 2009-01-29 2009-01-29 積層薄膜、位相板、及び反射型液晶表示装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8334938B2 (ja)
JP (1) JP5538731B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120069251A1 (en) * 2010-09-21 2012-03-22 Shin-Gwo Shiue Dual panel micro reflective liquid crystal projection device
CN109188700B (zh) * 2018-10-30 2021-05-11 京东方科技集团股份有限公司 光学显示系统及ar/vr显示装置
CN113986037B (zh) * 2021-10-19 2023-08-25 武汉华星光电半导体显示技术有限公司 显示面板和移动终端

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW594115B (en) * 1992-10-09 2004-06-21 Asahi Glass Co Ltd A liquid crystal display device and an illumination device for a direct viewing type display element
JP2856642B2 (ja) 1993-07-16 1999-02-10 株式会社東芝 半導体装置及びその製造方法
US6803972B1 (en) * 1997-11-20 2004-10-12 International Business Machines Corporation Polarization conversion system
WO2000057215A1 (en) * 1999-03-22 2000-09-28 Mems Optical, Inc. Diffractive selectively polarizing beam splitter and beam routing prisms produced thereby
JP2004102200A (ja) 2002-07-19 2004-04-02 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶プロジェクタ
JP2004212468A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Fuji Photo Film Co Ltd 位相差補償素子及び単板式カラー液晶プロジェクタ
JP2005106901A (ja) * 2003-09-29 2005-04-21 Canon Inc 画像投射装置
JP2006039135A (ja) 2004-07-26 2006-02-09 Sony Corp 光学装置及び投影型画像表示装置
JP2006133403A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Canon Inc 偏光分離素子
JP2006133402A (ja) 2004-11-04 2006-05-25 Canon Inc 偏光分離素子及びそれを有する光学系
JP4814002B2 (ja) * 2005-09-30 2011-11-09 株式会社リコー 位相板の製造方法・光学素子および画像投射装置
JP2007304229A (ja) * 2006-05-10 2007-11-22 Sony Corp 光学素子およびプロジェクション装置
JP4586781B2 (ja) * 2006-09-14 2010-11-24 ソニー株式会社 位相差補償板、位相差補償器、液晶表示装置および投射型画像表示装置
JP2008197638A (ja) * 2007-01-18 2008-08-28 Fujifilm Corp 偏光板及び液晶表示装置
JP4450043B2 (ja) * 2007-09-28 2010-04-14 ソニー株式会社 投射型液晶表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010175805A (ja) 2010-08-12
US8334938B2 (en) 2012-12-18
US20100188590A1 (en) 2010-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7562984B2 (en) Polarizing beam splitter and projection apparatus having the same
JP6083997B2 (ja) 投射型表示装置
JP4574439B2 (ja) 偏光分離素子及びそれを有する投影装置
US5453859A (en) Polarization beam splitter and projection display apparatus
JP5767433B2 (ja) 投射型画像表示装置
JP6502021B2 (ja) 位相差補償素子及び投射型画像投影装置
JP4672469B2 (ja) 液晶装置及び投射型表示装置
JP5930600B2 (ja) 偏光分離素子および画像投射装置
JP5793038B2 (ja) 投射型画像表示装置
JP2006171327A (ja) 位相差補償素子並びにこれを用いた液晶表示装置及び液晶プロジェクタ
JP4125114B2 (ja) 光学素子、光学変調素子、画像表示装置
KR100856598B1 (ko) 파장선택성 편광변환소자, 조명광학계, 투사표시광학계 및화상투사장치
JP5538731B2 (ja) 積層薄膜、位相板、及び反射型液晶表示装置
US20120268719A1 (en) Polarizing beam splitter, polarization conversion element using the same, and image projection apparatus
JP2012159784A (ja) 液晶画像表示装置
US20210165151A1 (en) Optical element, production method thereof, and projection image display device
JP2004325670A (ja) カラー液晶素子及び単板式カラー液晶プロジェクタ
JP5606121B2 (ja) 画像投射装置
JP5528171B2 (ja) 画像投射装置
JP2007304229A (ja) 光学素子およびプロジェクション装置
US11550091B2 (en) Phase difference compensation element, liquid crystal display device, and projection image display device
JP7472798B2 (ja) 液晶表示装置
JP2006047904A (ja) 偏光分離素子及びそれを有する投影装置
JP2018060089A (ja) 光学系および画像投射装置
JPH068984B2 (ja) 投写型フルカラー液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20100630

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130604

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131126

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140401

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5538731

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140430

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees