JP5538531B2 - ホイールベアリングに取り付けられるキャップ、このようなキャップを備えたホイールベアリングモジュール並びにホイールベアリングに取り付けられるキャップを製造する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホイールベアリングに取り付けられるキャップであって、該キャップは主としてプラスチックから成るキャップ本体とセンサとを有しており、キャップはホイールベアリングにおけるプレス嵌めのために形成されている形式のもの、このようなキャップを備えたホイールベアリングモジュール、並びにホイールベアリングに取り付けられるキャップを製造する方法に関する。
US5814984に基づいて公知の、シール構造を備えたベアリングユニットでは、ただ1つのシールリングが、ホイールベアリングと、該ホイールベアリングに差し嵌められるキャップとの間に、つまりプレス嵌め部に発生する2つの漏れ経路をシールする。キャップはセンサ、有利には回転数センサを内蔵している。
発明の開示
本発明によるキャップ、もしくは本発明によるホイールベアリングモジュール、もしくはホイールベアリングに取り付けられるこのようなキャップを製造する方法は、公知のものに比べて次のような利点を有している。すなわち本発明では、プレス嵌めのためにキャップのキャップ本体に少なくとも1つの金属部材が設けられていて、この金属部材は、該金属部材が金属製のホイールベアリングに対して圧力下で押し込まれることによって、ホイールベアリングへの取付け時に金属同士のプレス固定もしくはプレス嵌めを可能にする。さらに、少なくとも1つの金属部材とキャップ本体との間にシール兼補償エレメントが設けられている。シール兼補償エレメントを設けることによって、キャップ本体のプラスチックと金属との間における膨張差が補償され、プラスチック部分と金属との間におけるシールも保証される。このようにシール兼補償エレメントがキャップの内部に位置しているポジションによって、以下に記載の利点が得られる:すなわちシール兼補償エレメントが搬送時に失われることはなくなる。さらにシール兼補償エレメントがホイールベアリングにおける組付け前に損傷することも回避される。従属請求項から分かるように、シール兼補償エレメントの圧着圧は、ホイールベアリングにおけるキャップの組付け時に調節されるのではなく(このような調節はプレス行程によって達成され、極めて不正確になることがある)、圧着圧は本来のセンサ構成時に、つまりキャップの製造時に精密調整される。最適なプレス固定は従って、ホイールベアリングにおける組付けとは無関係である。別の利点としては、金属部材とプラスチック部材との間における異なった熱膨張を内部で補償するということが挙げられる。ホイールベアリングと金属部材との間における別の漏れ経路は、ホイールベアリングにおける金属部材の面プレスによって確実に防止される。本発明では金属同士の結合が使用されるので、温度差は存在せず、従って弾性的な補償エレメントはもはや不要である。
キャップはホイールベアリングへの取付けのために輪郭形成されており、これによってホイールベアリングを外的な影響に対して閉鎖する。キャップは、主としてプラスチックから製造されたキャップ本体を有している。キャップはさらにセンサ、有利には回転数センサを有しており、このセンサはキャップ本体のプラスチックによって例えば包埋成形もしくは射出被覆されている。キャップはホイールベアリングにおけるプレス嵌めのために形成される。本発明によればこのプレス嵌めは、取付け時における金属同士のプレス固定によって実現され、この金属同士のプレス固定は、キャップ本体に設けられた金属部材とホイールベアリングの金属とによって生ぜしめられる。キャップの少なくとも1つの金属部材とキャップ本体とは、上に述べた利点を実現するシール兼補償エレメントを取り囲んでいる。
キャップはここではカバーであり、ホイールベアリングは有利には、自動車のような車両のために使用される。
プレス嵌めというのは、キャップがホイールベアリング内に押し込まれて、プレス嵌めによって固定されることを意味する。
ホイールベアリングモジュールはキャップとホイールベアリングとが組み立てられた状態である。次いで、このホイールベアリングモジュールは全体として車両に取り付けられる。
従属請求項に記載された構成によって、独立請求項記載の対象のさらに有利な改良が可能である。
少なくとも1つの金属部材の有利な構成は、リングであり、このリングはキャップ本体とシール兼補償エレメントとに被せられる。このリングは特に固定リングとも呼ぶことができる。この固定リングは有利には鋼から製造されており、これにより所望の高い圧入力に耐えることができる。
リングは有利には、少なくとも部分的にシェル形に拡大されており、これによりシール兼補償エレメントを受容するための中空室を、リングとキャップ本体との間に形成することができる。リングはこの場合有利にはキャップ本体における固定のために開放した端部において折り曲げられており、その結果キャップ本体とリングとの間にはもはや解離不能な結合部が形成される。
本発明の別の有利な構成では、シール兼補償エレメントは、キャップ本体のシャフトに装着されているOリングである。そしてOリングを固定するために、金属製のリングは次いでさらに折り曲げられる。
シール兼補償エレメントは軸方向又は半径方向において、少なくとも1つの金属部材つまりリングとキャップ本体との間に形成された漏れ経路をシールすることができる。軸方向及び半径方向のシールを組み合わせることも、原則的に可能である。
少なくとも1つの金属部材つまりリングによって、所定の予負荷がシール兼補償エレメントに加えられる。これによって、上に述べたように、シール兼補償エレメントに対する圧着圧が精密に調整され、この圧着圧はホイールベアリングへのキャップの組付けとは無関係である。
少なくとも1つの金属部材は防食被覆されていると、有利である。被覆は例えばKTL被覆である。これは、防食ラッカを被着させる陰極電着塗装法であり、次いで熱処理(焼なまし又は焼き付け)が行われる。
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
本発明によるホイールベアリングモジュールを組立て前の状態で示す斜視図である。 本発明によるキャップの一部を示す断面図である。 分解された状態における本発明によるキャップの一部を示す断面図である。 組み立てられた状態におけるキャップの一部を示す断面図である。 ホイールベアリングと結合される固定リングを備えたキャップを示す図である。 半径方向におけるシール作用をもつシール部材を備えたキャップを、ホイールベアリングと組み立てられた状態で示す図である。 シール兼補償エレメントによって軸方向においてシールされている状態を示す図である。 キャップの本発明による製造方法を示すフローチャートである。
図1には、本発明によるホイールベアリングモジュールが互いに分解された状態で示されており、つまりキャップ10は、まだホイールベアリング13とプレス嵌め(Presssitz)によって結合されていない。キャップ10は、主としてプラスチック製のキャップ本体を有しており、このキャップ本体では、センサがプラスチックによって包埋成形もしくは射出被覆されていて、センサのために相応なコネクタ12を有している。このようなキャップ10は、さらに固定リング11を有しており、この固定リング11は金属から製造されていて、有利には防食処理されている。少なくとも1つの金属部材のための実施例としてのこの金属リング11によって、ホイールベアリング13内へのキャップ10の導入により、ホイールベアリング13とのプレス嵌め部が形成され、つまり、固定リング11とホイールベアリング13との間における漏れ経路をシールする金属同士のプレス固定部(Metall-Metall-Verpressung)が形成される。この金属同士のプレス固定部は、耐熱性の結合部を可能にし、かつ弾性的なシール兼補償エレメントの使用を回避して、異なった膨張係数を補償することができる。
図2には、キャップ本体20と固定リング24とを備えた本発明によるキャップが断面図で示されており、固定リング24は開放端部において折り曲げられていて(矢印21参照)、かつ部分的に拡大部によって一種のシェル23を形成しており、これによって固定リング24とキャップ本体20との間には中空室が生ぜしめられ、この中空室内にはシール兼補償エレメント22、通常はOリングが挿入されている。固定リング24によって所定の圧着圧がOリング22に加えられ、その結果Oリング22は軸方向及び/又は半径方向において、固定リング24とキャップ本体20との間における漏れ経路をシールする。符号25で、一貫した固定リングが示されている。
図3には、キャップ本体10の一部が、他の部分、つまりシール兼補償エレメント31及び固定リング32と共に、互い分解された状態で示されており、図3において矢印33は組立て方向を示している。
図4では同じ部材が同じ符号で示されており、位置40において開放した端部には、折り曲げによって、固定リング32とキャップ本体30との間における解離不能な結合部が形成され、これによってシールリング31に対して所定の圧着圧を加えることができる。そしてこれにより、この圧着圧の極めて精密な調整が可能である。
図5には、折り曲げられた固定リング32とキャップの内部におけるシール兼補償エレメント31とキャップ本体30とを備えたキャップが、矢印50の方向においてホイールベアリング51内に押し込まれる様子が示されている。
図6には、キャップ本体30と固定リング32とシール兼補償エレメント31とホイールベアリング51とが組み立てられた状態で示されている。漏れ経路61は固定リング32とホイールベアリング51との間における金属同士のプレス固定部によって形成されており、これに対してシール兼補償エレメント31は半径方向60において第2の漏れ経路をシールしている。
図7には、軸方向のシール部材70を備えた択一的な構成が示されており、この図7においても同一エレメントに対しては同一符号が使用されている。
図8には、本発明によるキャップの製造方法が示されている。方法ステップ800において、センサはプラスチックによって包埋成形もしくは射出被覆され、これによってキャップ本体を製造することができる。方法ステップ801において、金属リングつまり固定リングがOリングと共にキャップ本体に装着される。方法ステップ802において、キャップ本体への金属リングの折り曲げが行われ、これによって解離不能な結合部が形成される。Oリングは折り曲げによって、ひいては金属リングの固定によって、規定された圧着圧を加えられ、これにより、前記第2の漏れ経路を確実にシールする。

Claims (9)

  1. ホイールベアリング(51)に取り付けられるキャップであって、該キャップは主としてプラスチックから成るキャップ本体(10)とセンサとを有しており、キャップはホイールベアリング(51)におけるプレス嵌めのために形成されている形式のものにおいて、プレス嵌めのためにキャップ本体(10)に少なくとも1つの金属部材(11)が設けられており、ホイールベアリングへの取付け時に金属同士のプレス固定が可能であり、リングとして形成されている少なくとも1つの金属部材(11)とキャップ本体(10)との間に少なくとも1つのシール兼補償エレメント(22)が設けられ、前記少なくとも1つの金属部材(11)は少なくとも部分的にシェル形に拡大されていて、シール兼補償エレメント(22)を受容するための中空室が、該少なくとも1つの金属部材(11)と前記キャップ本体(10)との間に形成され、かつ、該少なくとも1つの金属部材(11)は該キャップ本体(10)における固定のために折り曲げられていることを特徴とする、ホイールベアリングに取り付けられるキャップ。
  2. 前記キャップ本体(10)は、前記キャップの軸方向及び径方向に開口した環状切欠きを有し、該切欠きと前記少なくとも1つの金属部材(11)とにより形成される中空室に前記シール兼補償エレメントが挿入される、請求項1記載のキャップ。
  3. シール兼補償エレメント(22)は、キャップ本体(10)のシャフトに装着されているOリングである、請求項1又は2記載のキャップ。
  4. シール兼補償エレメント(22)は軸方向及び/又は半径方向において、少なくとも1つの金属部材(11)とキャップ本体(10)との間に形成された漏れ経路をシールする、請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップ。
  5. 少なくとも1つの金属部材(11)によって、所定の予負荷がシール兼補償エレメント(22)に加えられる、請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップ。
  6. 少なくとも1つの金属部材(11)は防食被覆されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップ。
  7. 請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップを備えたホイールベアリングモジュール。
  8. ホイールベアリング(51)に取り付けられるキャップを製造する方法であって、キャップ本体(10)をプラスチックからかつセンサを取り囲むように形成し、キャップをホイールベアリング(51)におけるプレス嵌めのために準備する形式の方法において、プレス嵌めのためにキャップ本体(10)に、リングとして形成され、少なくとも部分的にシェル形に拡大されている少なくとも1つの金属部材(11)を取り付け、該少なくとも1つの金属部材(11)は取付け時に金属同士のプレス固定を可能にし、少なくとも1つの金属部材(11)とキャップ本体(10)との間の中空室に少なくとも1つのシール兼補償エレメント(22)を挿入し、前記少なくとも1つの金属部材(11)を該キャップ本体(10)における固定のために折り曲げることを特徴とする、キャップを製造する方法。
  9. 前記キャップ本体(10)に前記キャップの軸方向及び径方向に開口した環状切欠きを形成し、該切欠きと前記少なくとも1つの金属部材(11)とにより形成される中空室に前記シール兼補償エレメントを挿入する、請求項8記載のキャップを製造する方法。
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