JP5538201B2 - 支保装置 - Google Patents
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Description
例えば、図3に示すように、両脇に壁2が連続する柱1を補強する場合、柱1の一面を、その柱1の軸方向に直交する面での断面をL字状にした一対の囲い鋼板3で囲うが、互いに隣接する一方の囲い鋼板3の一方の片3bに、他方の囲い鋼板3の他方の片3cが重ね合わされるようにする。
上記のようにして帯状シートで囲い鋼板3を結束したら、今度は、囲い鋼板3と柱1との間に形成されたスペース6にグラウト材を充填する。このグラウト材を固化させると、柱1の表面に密着したグラウト材と囲い鋼板3とが一体化して、柱1が補強されるというものである。
なお、図中の符号7は上記囲い鋼板3に接着した帯状シートを押さえる板部材である。
ところが、この補強構造では上記囲い鋼板3の端部をスライド可能に重ね合わせて用いているため、外力が作用しない状態では、上記タイバー4によって対向する片3a,3d間の間隔を保っているが、グラウト材を充填し、グラウト材の圧力が作用すると、囲い鋼板3の重ね合わせ部Sが開きやすくなっている。
特に、グラウト材が固化する過程で発生する熱によってグラウト材が膨張し、囲い鋼板3の重ね合わせ部Sを開く方向に変形させると、固化したときに大きな隙間ができてしまうこともある。
また、一部をスライド可能にした一対の囲い鋼板ではなく、突合せにしたり、一体的にしたりした囲い鋼板を用いる場合でも、上記囲い鋼板と柱1との間に充填したグラウト材の圧力や熱膨張によって囲い鋼板が膨らみ、グラウト材が固化して収縮した後に、囲い鋼板とグラウト材とが密着しなかったり、グラウト材内に巣ができてしまったりすることがある。
そのため、従来は、囲い鋼板3の重ね合わせ部Sなどを、後工程で取り除く押さえ部材によって押さえるようにしている。
しかし、パイプなどの押さえ部材を支持するための壁や柱の配置は、現場ごとに異なる。そのため、現状では、補強工事のたびにその現場の状況に合わせた様々な工夫が必要であった。
従って、現場の状況によっては、囲い鋼板3を支持する作業に多くの手間と時間とをとられてしまい、補強工事の作業性が悪いという問題があった。
また、現場の状況や作業員の経験によっては、作業性が悪いだけでなく、上記重ね合わせ部Sを確実に押さえることができないこともあった。
第3の発明は、上記第2押さえ片と上記囲い鋼板の交差面との間に、柱の軸方向に沿った押さえ部材を介在させたことを特徴とする。
従って、粗密なく固化したグラウト材を介して囲い鋼板と柱とを強固に一体化して、柱の強度を高めることができる。
また、この発明の支保装置を用いれば、現場の状況や作業員の経験によらない確実な支保が可能になる。
第3の発明によれば、柱の軸方向においても、囲い鋼板に対する押圧力を均一にできる。そのため、部分的に強度が落ちるようなことがなく、柱全体の強度を上げることができる。
図1は、この実施形態の支保装置を、図3に示した補強構造に用いて上記囲い鋼板3を支持している状態を示している。
この実施形態の支保装置は、一対の支保部材8,9を備え、これら支保部材8,9によって、端部をスライド可能に重ね合わせた一対の囲い鋼板3,3の重ね合わせ部Sと、これに直交する互いに対向する片3a,3dとを同時に押さえるようにしている。なお、上記対向する片3a,3dがこの発明の囲い鋼板の対向面であり、これら対向面間に位置する重ね合わせ部Sが、この発明の対向面に交差する方向の交差面である。
また、この実施形態の支保装置は、柱1の軸方向に所定の間隔を保って複数取り付けて用いるが、各支保装置の構成及び機能は全て同じである。
また、上記第2押さえ片8b,9bであって、図1において第1押さえ片8a,9aより外側には、後で説明するこの発明の締め付け具を取り付ける取り付け部8c,9cを備えている。
これら固定部8d,9dは、上記両支保部材8,9の第2押さえ片8b,9bを柱1の軸方向、すなわち上下に重ね合わせたとき、互いに対向する位置に設けられ、この固定部8d,9d間にターンバックル10を取り付けて両保部材8,9を締結するようにしている。
このターンバックル10は、軸部10a,10bにねじ結合した胴部10cを回転させることによって、この胴部10cが上記軸部10a,10bの軸方向に相対移動するものである。なお、上記山形鋼板で構成される支保部材8,9の重ね合わせ状態を図2に示している。
なお、第1押さえ片8a,9a間の間隔を調整可能にする締結手段としては、上記ターンバックル10に限らず、例えばボルトとナットなどで構成してもよい。
そして、上記ねじ棒11を上記パイプ12,13間に貫通させるとともに、ねじ棒11の他端をパイプ押さえ14から突出させ、この突出側にナット15を取り付ける。
つまり、上記ねじ棒11、ナット15、パイプ12,13及びパイプ押さえ14が、第2押さえ片8b,9bを重ね合わせ部Sに押し付ける力を付与するための、この発明の締め付け具を構成している。
また、上記支保部材8の第1押さえ片8aと第2押さえ片8bとの間、及び支保部材9の第1押さえ片9aと第2押さえ片9bとの間には、それぞれ山形鋼板からなる補強部材19の両端を溶接し、グラウト材による圧力が作用した場合にも、上記第1押さえ片8a,9aと第2押さえ片8b、9bとの角度を保つようにしている。
さらに、一方の支保部材8の第2押さえ片8bであって、他方の支保部材9の第2押さえ片9bと重ね合わされる部分には、一対の長孔8e,8eを形成するとともに、上記支保部材9の第1押さえ片9bであって、上記長孔8e,8eに対応する位置には一対のボルト孔9eを形成している。
このとき、上記第2押さえ片8b,9bをそれぞれを構成する山形鋼板の一方の片をほぼ水平にして上下に重ね(図2参照)、第2押さえ片を構成する山形鋼板の他方の片を囲い鋼板3側に位置させ、その面を柱1の正面に対向させる。第1押さえ片8a,9aも、同様に、山形鋼板の一方の片を囲い鋼板の片3a,3dに平行になるようにして対向させる。
このとき、上記ボルト孔9e及び長孔8eにはボルト20を貫通させて、第2押さえ片8bと9bとのスライド方向をガイドするとともに、ターンバックル10の長さ調整をした後には、上記ボルト20の先端に図示しないナットを締め付けて、第2押さえ片8b,9bを固定することができる。つまり、このボルト20は、重ね合わせた一対の第2押さえ片8b,9bの重ね合わせ部が開かないようにする連結部材としても機能する。
このように軸方向に沿った押さえ板16,17,18を介在させるようにしたので、柱の軸方向において、第1押さえ片8a,9a及び第2押さえ片8b,9bが配置されていない部分においても、囲い鋼板3に対して均等な押圧力を作用させることができる。
但し、軸方向における支保装置の設置間隔を狭くすれば、上記軸方向に沿った押さえ板16〜18は必ずしもなくてよい。
但し、上記パイプ12,13を、上記ねじ棒11を支持するためだけに用いるのであれば、複数の支保装置を連係する長さがなくてもよい。
また、上記取り付け部8c,9cに例えば貫通孔を形成し、この貫通孔に上記ねじ棒11を貫通することで、取り付け部8c,9cとねじ棒11とを連携させることができれば、上記パイプ12,13を省略することもできる。
従って、固化したグラウト材を介して柱1と囲い鋼板3とが確実に一体化し、部分的に強度が不足するようなことがなく、十分な補強効果を得ることができる。
しかも、補強工事現場の状況や作業員の経験にかかわりなく、同様に使用でき、囲い鋼板3を簡単かつ確実に支持することができる。
さらに、上記実施形態では、一対の第2押さえ片8b,9bを上下に重ね合わせているが、上記第2押さえ片8b,9bが山形鋼板でなければ、これらを前後に重ねあわせることもできる。
なお、上記では、実施形態の支保装置を、断面形状をL字状にして一部を重ね合わせた囲い鋼板を用いる柱の補強構造に用いる例を説明したが、この実施形態の支保装置は、一対の囲い鋼板を用いる補強構造以外にも用いることができる。
この実施形態の支保装置は、例えば、断面L字状の一対の囲い鋼板の対向部分に、別の鋼板を重ねて補強面を囲むようにした囲い鋼板や、断面形状をコの字状にして重ね合わせ部がない囲い鋼板、複数の平板からなる囲い鋼板などの、対向面及び交差面を押さえて、柱との間に充填したグラウト材の膨張によって囲い鋼板が膨らんでしなうことを防止することができる。
3 囲い鋼板
3a,3b,3c,3d (囲い鋼板の)片
8,9 支保部材
8a,9a 第1押さえ片
8b、9b 第2押さえ片
8c,9c 取り付け部
10 (締結手段である)ターンバックル
11 (締め付け具を構成する)ねじ棒
12,13 (締め付け具を構成する)パイプ
14 パイプ押さえ
15 (締め付け具を構成する)ナット
16,17,18 押さえ板
20 ナット
21 連結部材
Claims (3)
- 囲い鋼板によって柱の少なくとも一面を囲い、上記囲い鋼板と柱との間にグラウト材を注入する柱の補強構造に用いる支保装置において、上記柱を囲んだ囲い鋼板における一対の対向面のうちいずれか一方を押さえる第1押さえ片と、この第1押さえ片と直角にするとともに、上記囲い鋼板において上記一対の対向面の間で上記対向面と交差する交差面を押さえる第2押さえ片とからなる支保部材を一対備え、これら支保部材の上記一対の第1押さえ片で上記一対の対向面を押さえるとともに、上記一対の第2押さえ片を互いに重ね合わせ、これら支保部材をターンバックル等の締結手段で締結して上記第1押さえ片間の間隔を調整可能にする一方、上記各支保部材には、第2押さえ片を上記交差面の方向に押し付ける力を付与するための締め付け具を取り付ける取り付け部を設けた支保装置。
- 上記一対の支保部材の第2押さえ片を重ね合わせた部分が開かないように一対の第2押さえ片を連結する連結部材を備えた請求項1に記載の支保装置。
- 上記第2押さえ片と上記囲い鋼板の上記交差面との間に、柱の軸方向に沿った押さえ部材を介在させた請求項1または2に記載の支保装置。
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