JP5537279B2 - 配管の加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主に円筒形の配管内を流通する流体を加熱するための電気エネルギーを利用する加熱装置に関するものであり、更に詳細には、長手方向にスリットを有する円筒状の面状ヒータが、円筒状の断熱材の内部に脱着可能に備えられた加熱装置に関するものである。
従来から、各種の配管等の外側表面に取付けて、配管内を流通する流体を加熱するための面状ヒータが広く利用されている。このようなヒータの形態としては、例えば、特開平11−74066号公報、特開2004−158271号公報に示すように、配管の外周に螺旋状に巻き付けるテープ状のヒータ、特表2000−505582号公報、特開2002−295783号公報、特開2002−352941号公報に示すように、発熱素子(ヒータ)と断熱材が一体となったジャケットヒータ等が開発されている。
また、前記のような面状ヒータに使用される発熱素子としては、グラフトカーボン、カーボン粉末、金属粉末、あるいは金属酸化物粉末等を含む合成樹脂(導電性樹脂)を用いて、ガラスクロスに含浸させたもの、前記のような導電性樹脂をポリエステル、ポリイミド、マイカ等の絶縁基材シートに塗布または印刷により保持させたもの、金属箔をエッチングして回路としたもの、あるいは金属抵抗線を絶縁基板シートに張り巡らして回路としたもの等が挙げられる。
特開平11−74066号公報 特表2000−505582号公報 特開2002−295783号公報 特開2002−352941号公報 特開2004−158271号公報
ジャケットヒータの中でも、長手方向にスリットを有し、面状ヒータと断熱材が一体に接着された弾力性があるジャケットヒータは、加熱対象の配管に容易に取付けられるという長所がある。しかし、面状ヒータと断熱材が分離できない構成なので、面状ヒータが断線等の不都合を起した場合、断熱材も新規なものと交換しなければならないという短所がある。また、面状ヒータと断熱材が一体に接着されず、面状ヒータが断熱材から脱着可能である加熱装置(ジャケットヒータ)は、前記のような短所はないが、面状ヒータは断熱材と較べて厚みがたいへん薄く、柔軟性があるものを使用すると、折れ曲がった状態で配管に装着されたり、装着後に振動等により配管から脱落することがあった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、長手方向にスリットを有する円筒状の面状ヒータが、円筒状の断熱材の内部に脱着可能に備えられた配管用の加熱装置であって、面状ヒータの折れ曲がり、振動等による配管からの脱落を防止できる加熱装置を提供することである。
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、前記のような加熱装置において、円筒状の面状ヒータの外側表面に、円周方向に対して弾力性を有する金属板及び/または耐熱性樹脂板を、円周方向の縁及び長手方向の縁に沿って取付けることにより、面状ヒータを容易に所望の形状に保持することが可能となり、面状ヒータの折れ曲がり、振動による配管からの脱落を防止できることを見出し、本発明の配管の加熱装置に到達した。
すなわち本発明は、長手方向にスリットを有する円筒状の面状ヒータが、円筒状の断熱材の内部に脱着可能に備えられた配管の加熱装置であって、該円筒状の面状ヒータの外側表面に、円周方向に対して弾力性を有する厚さ0.1〜1.5mmの金属板及び/または耐熱性樹脂板が、円筒状の面状ヒータの円周方向の縁に沿って2〜50mmの幅、かつ円筒状の面状ヒータの長手方向の縁に沿って面状ヒータの円周の長さの1〜30%の幅で、面状ヒータの縁より30mm以内の距離に取付けられてなることを特徴とする配管の加熱装置である。
本発明の配管の加熱装置は、円周方向に対して弾力性を有する金属板及び/または耐熱性樹脂板を面状ヒータの外側表面に、円周方向の縁及び長手方向の縁に沿って装着した構成なので、厚みが比較的に薄い面状ヒータを所望の形状に保持することができる。その結果、面状ヒータと断熱材が一体に接着されない加熱装置の短所である、面状ヒータの折れ曲がり、振動による配管からの脱落を防止することが可能である。
本発明の配管の加熱装置は、長手方向にスリットを有する円筒状の面状ヒータが、円筒状の断熱材の内部に脱着可能に備えられた加熱装置に適用される。
以下、本発明の配管の加熱装置を、図1〜図に基づいて説明するが、本発明がこれにより限定されるものではない。
尚、図1は、本発明の加熱装置における面状ヒータの一例を示す斜視図である。図は、本発明が適用可能な加熱装置の一例を示す斜視図である。図は、本発明の加熱装置の一例を示す断面図である。
本発明の配管の加熱装置は、図に示すように、長手方向にスリット4を有する円筒状の面状ヒータ1が、円筒状の断熱材2の内部に脱着可能に備えられた配管の加熱装置であって、図1に示すように、該円筒状の面状ヒータ1の外側表面に、円周方向に対して弾力性を有する金属板及び/または耐熱性樹脂板3が取付けられてなる配管の加熱装置である。
尚、本発明の配管の加熱装置において、円周方向に対して弾力性を有する金属板及び/または耐熱性樹脂板は、人の手によって加えられる程度の大きさの外力によって、面状ヒータのスリットが容易に開き、前記の外力を取除くとスリットが元の形状に戻るように設定された金属板及び/または耐熱性樹脂板である。
前記の金属板及び/または耐熱性樹脂板は、通常は、図1に示すように、円筒状の面状ヒータの縁に沿って取付けられる。尚、図1に示すような面状ヒータにおいて、縁に凹凸がある場合、凹凸の大きさによっては適宜凹凸の形状に合せた形状の金属板及び/または耐熱性樹脂板を用いることが好ましい。また、面状ヒータの縁と金属板及び/または耐熱性樹脂板の距離は、通常は30mm以内である。本発明における金属板及び/または耐熱性樹脂板は、前述のような構成なので、面状ヒータの縁の部分の機械的強度を補強する効果のほか、配管への装着、配管からの取外しが容易になる効果がある。
前記の金属板及び/または耐熱性樹脂板の厚さは、通常は0.1〜1.5mm、好ましくは0.3〜1.0mmである。また、前記の金属板及び/または耐熱性樹脂板の幅については、面状ヒータの円周方向に沿って取付けられる場合の幅(図1におけるaの長さ)は、通常は2〜50mm、好ましくは4〜20mmであり、面状ヒータの長手方向に沿って取付けられる場合の幅(図1におけるbの長さ)は、通常は面状ヒータの円周の長さの1〜30%、好ましくは2〜20%である。本発明においては、通常は金属板または耐熱性樹脂板のどちらか一方が用いられるが、両方を用いることもできる。
本発明に使用される金属板の材質としては、鉄、銅、アルミニウム、合金等を例示することができる。また、耐熱性樹脂板の材質としては、その使用温度に耐える材質で、かつ円弧状等本発明における使用形態の形状に湾曲加工できればよく、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエールエーテルケトン、ポリイミド等を例示することができる。金属板及び/または耐熱性樹脂板を面状ヒータに取付ける方法については特に限定されることはないが、例えば接着剤等により接着することができる。
尚、本発明に使用される面状ヒータは、通常は発熱素子の両面を絶縁樹脂シートで被覆した可撓性の面状ヒータである。発熱素子としては、例えば所望のパターンに成形した金属箔抵抗体、金属線抵抗体、または、グラフトカーボン、カーボン粉末、金属粉末、金属酸化物粉末から選ばれる少なくとも1種をシリコーン樹脂等の耐熱性樹脂に混練させた導電性樹脂を、ガラス繊維、セラミック繊維等の基材に含浸させた抵抗体等を用いることができる。このような発熱素子の厚みは、通常は0.01〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.1mmである。厚みが0.01mm未満の場合は強度が弱く、0.5mmを超えると可撓性、柔軟性が失われる場合がある。
また、面状ヒータの絶縁樹脂シートとしては、所定の厚みで電気絶縁性があれば特に制限されることがなく、例えば、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができるが、これらの中ではシリコーン樹脂が好ましい。また、絶縁樹脂シートの厚みは、通常は0.5〜10mm、好ましくは1〜5mmである。厚みが0.5mm未満の場合は電気絶縁性が悪化し、厚みが10mmを超える場合は可撓性が失われる場合がある。
本発明の加熱装置における断熱材は、通常は前述の面状ヒータの外径よりも大きな内径を有する円筒状の断熱材であり、図に示すように、電気配線5と接続する電極6を挿入するための空洞部が適宜設けられる。本発明においては、筒形状を有する1個の成形体からなる断熱材とすることもできるが、図に示すように長手方向に2分割、あるいは3分割、4分割にして、これらをバンド7及び止め具8等の結合手段で結合させて一体化することもできる。断熱材の構成材料としては、ヒータの加熱温度に耐えられ、断熱性を有するものであれば特に制限されることはなく、例えば、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができるが、これらの中ではシリコーン樹脂が好ましい。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
[実施例1]
(面状ヒータの製作)
シリコーン樹脂とガラスクロスのシート状の複合材(縦93mm、横500cmm)の上に、発熱素子として金属抵抗線を蛇行状に配線し、電極端子として銅箔を金属抵抗線の端部に設け、発熱素子側の表面に前記と同様な複合材を重ね合せて発熱素子を挟んだ。これを直径30mm円筒状の金属パイプに巻付け、その上からポリエステルテープを巻付けて加熱圧着し、絶縁被覆して長手方向にスリットを有する円筒形の面状ヒータを作製した。
続いて、ステンレス製の枠状金属板(縦83mm、横490mm、幅5mm、厚さ0.5mm)を、前記の面状ヒータの縁の形状に合うような形態に加工した。この金属板は、外力がないときは外形がスリットを有する円筒形であり、外力を加えるとスリットが開き、外力を取除くと元の形状に戻った。この金属板を前記の面状ヒータの外側表面の縁に沿って接着剤により接着し、図1に示すような形態の面状ヒータ(直径30mm、長さ500mm)を得た。尚、面状ヒータの縁と金属板の距離は5mmであった。
(配管の加熱装置の製作)
次に、長手方向にスリットを有する円筒状の断熱材(内径32mm、長さ500mm、厚さ10mm)を製作した。この円筒状の断熱材は、図4に示すように、2個の半円筒状の断熱材からなり、これらはバンド及び止め具により結合できるような構成にした。さらに一方の半円筒状の断熱材に空洞部を設け、前記の面状ヒータの電極を挿入して、図3に示すような加熱装置を得た。
(加熱装置の配管への装着)
前記のような加熱装置を外径30mmの配管に装着した。装着の際、加熱装置のスリットは、人の手によって容易に開き、手をはなすと元の形状に戻り、配管への装着、配管からの取外しが容易であることが確認できた。また、面状ヒータの縁に装着された金属板により、ヒータの縁の機械的強度が向上し、ヒータの角の折れ、円筒の長手方向の折れが防止でき、発熱素子の断線等の虞がなくなったことが確認できた。さらに振動による配管からの脱落も防止できることが確認できた。
[実施例
実施例1の面状ヒータの製作において、ポリエーテルイミド製の枠状耐熱性樹脂板(縦83mm、横490mm、幅5mm、厚さ1mm)を用いたほかは実施例1と同様にして、図1に示すような形態の面状ヒータ(直径30mm、長さ500mm)を製作した。次に、実施例1と同様の断熱材を用いて加熱装置を得た。
このような加熱装置を外径30mmの配管に装着した結果、加熱装置のスリットは、人の手によって容易に開き、手をはなすと元の形状に戻り、配管への装着、配管からの取外しが容易であることが確認できた。また、面状ヒータの縁に装着された金属板により、ヒータの縁の機械的強度が向上し、ヒータの角の折れ、円筒の長手方向の折れが防止でき、発熱素子の断線等の虞がなくなったことが確認できた。さらに振動による配管からの脱落も防止できることが確認できた。
以上の実施例のように、本発明の配管の加熱装置は、面状ヒータが断熱材に脱着可能に備えられた加熱装置の短所である、面状ヒータの折れ曲がり、振動による配管からの脱落を防止することができる。
本発明の加熱装置における面状ヒータの一例を示す斜視図 本発明が適用可能な加熱装置の一例を示す斜視図 本発明の加熱装置の一例を示す断面図
1 面状ヒータ
2 断熱材
3 金属板または耐熱性樹脂板
4 スリット
5 電気配線
6 電極
7 バンド
8 止め具

Claims (5)

  1. 長手方向にスリットを有する円筒状の面状ヒータが、円筒状の断熱材の内部に脱着可能に備えられた配管の加熱装置であって、該円筒状の面状ヒータの外側表面に、円周方向に対して弾力性を有する厚さ0.1〜1.5mmの金属板及び/または耐熱性樹脂板が、円筒状の面状ヒータの円周方向の縁に沿って2〜50mmの幅、かつ円筒状の面状ヒータの長手方向の縁に沿って面状ヒータの円周の長さの1〜30%の幅で、面状ヒータの縁より30mm以内の距離に取付けられてなることを特徴とする配管の加熱装置。
  2. 円筒状の断熱材が、長手方向に分割された該断熱材を、結合手段により一体化したものである請求項1に記載の配管の加熱装置。
  3. 面状ヒータが、発熱素子の両面を合成樹脂で被覆したものである請求項1に記載の配管の加熱装置。
  4. 面状ヒータの発熱素子が、金属箔抵抗体または金属線抵抗体である請求項1に記載の配管の加熱装置。
  5. 面状ヒータの発熱素子が、グラフトカーボン、カーボン粉末、金属粉末、金属酸化物粉末から選ばれる少なくとも1種を耐熱性樹脂に混練させた抵抗体である請求項1に記載の配管の加熱装置。
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