以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図1ないし図10を参照して説明する。
図10において、11は電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12の内部に収容された電動送風機13の駆動にて生じる吸気風とともに吸い込んだ塵埃を、図示しない集塵部に捕集するものである。
また、掃除機本体12には、電動送風機13の動作を制御する本体制御手段としての図示しない本体制御回路が収容されているとともに、外部から空気を吸引する本体吸込口14が前部に開口されている。この本体吸込口14には、可撓性を有し湾曲可能な細長略円筒状のホース体15が連通接続されている。このホース体15の先端には、電動送風機13の動作モードなどが選択可能な手元操作部16が設けられている。この手元操作部16には、掃除する際に作業者が把持する把持部17が基端側に向けて突設され、この把持部17には、本体制御回路に所定の信号を送信して掃除機本体12内の電動送風機13などを複数の動作モードに設定する複数の設定ボタン18が設けられている。
さらに、手元操作部16の先端には、伸縮可能な細長略円筒状の延長管19が着脱可能に連通接続されている。すなわち、延長管19は、ホース体15を介して電動送風機13の吸込側に連通接続されている。また、この延長管19の先端には、例えば室内の被掃除面としての走行面である床面F(図7)の絨毯などの上に載置させて、この絨毯上の塵埃を吸い込む吸込口体としての床ブラシ20が着脱可能に連通接続されている。したがって、床ブラシ20は、延長管19、ホース体15および本体吸込口14を介して、電動送風機13の吸込側に連通接続される。なお、電動送風機13および本体制御回路などは、それぞれ商用交流電源、あるいは二次電池などから給電されるように構成されている。
そして、床ブラシ20は、図8ないし図10に示すように、吸込口体本体としてのケース体21と、このケース体21の後部に回動可能に接続された接続管22と、ケース体21の両側部に配置された回転体ユニットとしての走行輪23と、ケース体21の前部に配置された前カバー25とを備えている。
ケース体21は、上側が開放された下ケース26と、この下ケース26上に取り付けられた図示しない中ケースと、下ケース26および中ケースの上部の後側を覆い、下ケース26および中ケースとの間で接続管22を回転可能に挟持する上ケース28と、この上ケース28の前側に取り付けられた前ケース29と、下ケース26と上ケース28および前ケース29との間に挟持される緩衝部材であるバンパ30とを有しており、左右幅方向に長手状、すなわち横長に形成されている。さらに、このケース体21には、図示しない駆動手段としての電動部である駆動源、すなわちモータと、このモータにより回転される回転清掃体としての回転ブラシ32とが取り付けられている。
下ケース26には、前端部に、回転ブラシ32が嵌合する横長四角形状の吸込口35が切り欠き形成されている。
中ケースは、下ケース26の後部に配置され、下ケース26上に一体的に固定されている。
また、前ケース29には、前端部に、横長四角形状の前側吸込口36が切り欠き形成されている。この前側吸込口36は、吸込口35に連続して形成され前カバー25が嵌合するものである。
また、バンパ30は、例えばエラストマ、あるいはゴムなどの弾性部材により形成されており、ケース体21の両側から後部に亘って連続的に配置されている。
また、モータは、正転および逆転が可能であり、図示しない制御回路によってその駆動が制御されている。
また、回転ブラシ32は、取付部材としての略円柱状の回転ブラシ組立37の周囲に、複数の清掃部材38(図8)が取り付けられている。
回転ブラシ組立37は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより形成されている。また、清掃部材38は、例えば拭取部材であるブレード、掻取部材であるブラシ毛、あるいはこれらの組み合わせなどであり、基端側が回転ブラシ組立37の溝部にそれぞれ保持されることにより、回転ブラシ組立37の外周面に取り付けられて径方向に先端側が突出している。
接続管22は、吸込口35と連通しており、ケース体21から後方へと突出した端部が延長管19の先端側へと着脱可能に連通接続される。また、この接続管22は、ケース体21の後部寄りの位置に、上下方向へと回動可能に接続されている。
そして、各走行輪23は、図1ないし図5に示すように、略円筒状の回転体ユニット回動軸としての軸部51と、床面Fと接触する回転体部としての走行輪部52と、これら軸部51と走行輪部52との間に介在された複数、例えば4つの付勢手段としてのコイルばね53と、軸部51をケース体21に対して抜け止めするための抜止体54と、ケース体21側と反対側、すなわち外側部を覆う透明なカバー55とを備えている。なお、各走行輪23は、床ブラシ20の左右幅方向に互いに対称となっているため、一方の走行輪23についてのみ説明し、他方の走行輪23についての説明を省略する。
軸部51は、ケース体21の側部に形成された軸受部61に対して回転可能に軸支するための部分であり、例えば合成樹脂などにより形成されている。そして、この軸部51は、円筒状の軸部本体63と、この軸部本体63の一端側に円筒部64を介して連続する規制部65と、軸部本体63の他端側の外周全体からフランジ状に突出してケース体21の側部に沿うフランジ部66とを一体に備えている。
ここで、軸受部61は、略円筒状の軸受部本体68と、この軸受部本体68の中心側に同軸状に形成されたねじボス部69とを一体に備えており、ケース体21から水平方向に沿って側方に突出している。また、軸受部61は、図8に示すように、回転ブラシ32と略同軸で、かつ、接続管22の回動軸よりも前方の位置に形成されている。この結果、走行輪23は、中心位置が接続管22の回動軸の中心位置よりも前側に位置している。
また、図1ないし図5に示すように、軸部本体63は、軸受部本体68に内周側が嵌合して回転可能に軸支されており、外周に各コイルばね53の係止用の係止突出部71が形成され、先端側に、中心軸側へと延びる軸部本体面部としての先端面部72が形成され、この先端面部72の中心位置にねじボス部69が挿通される挿通孔73が形成され、かつ、この挿通孔73の内縁部に中心軸側へ延びる抜止面部74が形成されている。
係止突出部71は、先端面部72と前側が略面一な半円柱状に形成されており、周方向に略等間隔に離間されて配置されている。また、各係止突出部71の基端部の周囲には、コイルばね53の一端部を保持するための溝状の凹部76が形成されている。
円筒部64は、軸部本体63の先端面部72の挿通孔73の周囲に一体に基端部が形成されており、この挿通孔73と同軸となっている。また、この円筒部64は、軸部本体63よりも径寸法が小さい。
さらに、規制部65は、円筒部64の先端の外周面全体から径方向へとフランジ状に突出した円環状の規制部本体81と、この規制部本体81から突出した複数の軸部規制部82とを一体に備えている。したがって、この規制部65と軸部本体63の先端面部72の前面との間の円筒部64の外周側には、円環状の嵌合部83が溝状に形成されている。
軸部規制部82は、例えばコイルばね53に対応する複数形成されており、周方向に互いに略等間隔に離間されている。
フランジ部66は、走行輪23のケース体21側を覆っている。
また、走行輪部52は、各コイルばね53によって、軸部51に対して、この軸部51の軸方向に交差(直交)する方向、本実施の形態では前後上下に可動的に支持されているとともに、軸部51に対して周方向に回動しないように略固定されている。そして、この走行輪部52は、円環状(円筒状)の回転体部本体としての走行輪部本体85と、この走行輪部本体85と一体的に成形された被覆部86と、これら走行輪部本体85と被覆部86とに亘って取り付けられた摩擦低減部としての接地部である起毛部87とを備えており、走行輪部本体85と被覆部86とが、例えばダブルモールド(二色成形)により一体的に成形性されている。なお、走行輪部52をケース体21の両側に配置するとは、走行輪52をケース体21の両側近傍に配置した構成も含むものとする。
走行輪部本体85は、例えばダブルモールドの一次側となるもので、例えばABSなどの比較的硬質の部材(合成樹脂)により、軸部51よりも径大に形成され、ケース体21の左右幅方向に沿って軸方向を有している。また、この走行輪部本体85は、図1(b)に示すように、外周面85aの外側、すなわち軸方向の一端側であるケース体21から遠い側寄りの位置に、被覆部86と嵌合する外側嵌合部としての外側凹部85bが段差状に形成されており、外周面85aの内側、すなわち軸方向の他端側であるケース体21に近い側寄りの位置に、被覆部86と嵌合する内側嵌合部としての内側凹部85cが段差状に形成されている。さらに、この走行輪部本体85には、内周縁部から中心軸方向へと、例えばコイルばね53に対応する複数の回転体規制部としての走行輪部規制部89が突出して一体に形成されている。
外側凹部85bと内側凹部85cとは、それぞれ走行輪部本体85の周方向全体に亘って連続して形成されている。また、これら外側凹部85bと内側凹部85cとは、周方向の所定位置、例えば走行輪部規制部89,89間の各位置で、図1(a)および図5に示す連通部85dを介して互いに連通している。
図1ないし図5に示す走行輪部規制部89は、軸部51の嵌合部83にそれぞれ嵌合することで各軸部規制部82と摺接して軸部51と走行輪部52との軸方向の位置を互いに規制する部分であり、走行輪部本体85の外側の内縁部にそれぞれ形成されている。また、これら走行輪部規制部89は、走行輪部本体85の中心軸方向に向けて徐々に幅寸法が小さくなる略台形状に形成されており、周方向に略等間隔に離間されて配置されている。したがって、これら走行輪部規制部89の間には、コイルばね53がそれぞれ取り付けられる孔部91(図2)が周方向に略等間隔に形成されている。さらに、これら走行輪部規制部89の基端部には、カバー55を取り付けるための取付孔92が走行輪部本体85の内縁部に沿って円弧状に形成されている。そして、これら走行輪部規制部89の先端部間には、軸部51の規制部65の規制部本体81が挿通可能で軸部本体63が挿通不可能な挿通孔部93が形成されている。また、走行輪部規制部89の少なくともいずれかには、走行輪部本体85を成形する際の図示しないゲートが外側面89aに形成されている。
各孔部91は、軸部51の各軸部規制部82よりも幅寸法が大きく形成されている。また、各孔部91には、コイルばね53の他端側を保持するための壁部である保持部95が走行輪部本体85の内縁部から中心軸方向へと突出して、外側へと開口するコ字状に形成されている。
また、被覆部86は、例えばダブルモールドの二次側となるもので、例えばエラストマなどの走行輪部本体85よりも軟質の部材(合成樹脂)により成形されている。さらに、被覆部86は、走行輪部本体85の軸方向外側部の外周側を覆う円環状の外側被覆部97と、走行輪部本体85の軸方向内側部の外周側を覆う円環状の内側被覆部98とを備えており、これら外側被覆部97と内側被覆部98とが、互いに略平行に離間されて、これら被覆部97,98間に起毛部87を取り付ける取付凹部99が形成されている。また、被覆部97,98は、走行輪部本体85の各連通部85dで接続部100を介して互いに接続されている。
外側被覆部97は、走行輪部本体85の外側の端面85eおよび外周面85aの外側の部分を覆っており、外側凹部85bと嵌合している。したがって、外側被覆部97は、走行輪部本体85の外周側における床ブラシ20全体の側面方向の外側、すなわち走行輪部本体85の外周側における接続管22(図9)から遠い側の側部、換言すれば各走行輪23の走行輪部本体85の外周側、互いに他方の走行輪23と反対側の側部を覆っており、外側被覆部97の端面97aは、走行輪23の外側部全体を構成している。また、この外側被覆部97には、図5に示すように、走行輪部本体85の外側の端面85eの周方向の複数箇所、例えば走行輪規制部89の取付孔92の両端の外側の位置にそれぞれ形成された外側切欠部としての外側嵌合切欠部85fに嵌合する被覆部嵌合部(外側被覆部嵌合部)としての面積拡大部である外側嵌合突部97bが一体に形成されている。さらに、図1に示すように、この外側被覆部97の外周面97cは、取付凹部99側へと径方向に徐々に突出するように傾斜している。
図5に示す各外側嵌合突部97bは、外側被覆部97(被覆部86)の厚みを増加させるとともに、この外側被覆部97(被覆部86)と走行輪部本体85との接触面積を増加させるための部分であり、外側被覆部97の端面97aと略面一に形成されており、かつ、外側被覆部97の中心軸側に突出し、走行輪部本体85の内周面と略面一となっている。
また、図1に示す内側被覆部98は、走行輪部本体85の外周面85aの内側の部分を覆っている。また、この内側被覆部98は、端面98aが走行輪部本体85の内側の端面85gと略面一となっており、この端面85gに複数箇所、例えば各保持部95に対応する位置に切り欠き形成された内側切欠部としての内側嵌合切欠部85hに嵌合する内側被覆部嵌合部としての内側嵌合部98bが一体に形成されている。さらに、この内側被覆部98の外周面98cは、取付凹部99側へと径方向に徐々に突出するように傾斜している。
各内側嵌合部98bは、基端側が内側嵌合切欠部85hの位置で走行輪部本体85の内側の端面85gと略面一に形成されており、先端側が各保持部95に沿って形成され、この先端側が、被覆部86を成形する際の図示しないゲートが形成される部分となっている。
また、取付凹部99は、走行輪部本体85の外周面85aの一部、すなわち連通部85d,85d間の領域を露出させる部分である。
接続部100は、被覆部86を成形する部材を内側被覆部98の内側嵌合部98bに形成されたゲートから外側被覆部97側へと流通させる際に形成された部分である。すなわち、被覆部86は、内側嵌合部98bに形成されたゲートからの部材の注入によって外側被覆部97と内側被覆部98とが一体に形成される。
また、起毛部87は、図6に示すように、床ブラシ20を床面Fに載置した状態でこの床面Fに接触する部分である多数の起毛87aと、これら起毛87aを一体的に配置した被取付部としての被接着部、すなわち摩擦低減部本体である帯状のシート部87bとを備え、被覆部86よりも床面Fに対する摩擦が小さく設定されている。シート部87bは、取付凹部99に図示しない接着剤などを介して接着固定されている。また、シート部87bは、両端部が互いに隣接するように取付凹部99に全周に亘って巻き付けられている。すなわち、起毛部87は、走行輪23の全周に亘って配置されている。さらに、シート部87bの両端部は、例えば走行輪部本体85の外周面85a上に位置している。また、起毛87aは、被覆部86の外周面(外周面97c,98c)に対して径方向へと突出しているとともに、先端側がケース体21(床ブラシ20)の前進時の走行輪23(走行輪部52)の回転方向に沿って、すなわち図5の矢印X方向へと傾斜状に倒れるように湾曲している。そして、この起毛部87は、走行輪23をケース体21の軸受部61に軸支した状態で、起毛87aの先端側の前部がケース体21の前部よりも前方に位置しかつ前カバー25の前端部よりも後方に位置しているとともに、起毛87aの先端側の下部がケース体21の下面よりも下方に位置している。
また、図4および図5に示すように、各コイルばね53は、一端部が各凹部76(図1)に保持され、他端部が各保持部95に保持されて、走行輪23の径方向に沿って放射状に配置されている。そして、これらコイルばね53は、互いに弾性係数が略等しく、外力を加えない状態で軸部51に対して走行輪部52を略同軸の位置となるように支持している。なお、コイルばね53以外でも、例えばゴム、板ばね、あるいはエラストマなどの弾性部材(可撓部材)により形成した任意の付勢手段を凹部76と保持部95との間に配置してもよく、また、走行輪部52を軸部51に対して内方へと、径方向に沿って付勢する引っ張りばねなどでもよい。
図1に示すように、抜止体54は、略円筒状に形成されており、軸部本体63内に嵌合されている。そして、抜止体54は、軸受部61のねじボス部69よりも大径に形成されており、このねじボス部69に対して固定手段であるねじ102を介して固定されている。この結果、軸受部61と抜止体54との間に、軸部51の抜止面部74が位置し、軸部51が軸受部61に対して抜け止めされている。
カバー55は、走行輪部本体85の一側を被覆する略円板状に形成されている。また、このカバー55の周縁部には、複数の爪部104が周方向に略等間隔に配置されている。これら爪部104は、走行輪部52の各取付孔92に挿入され、これら取付孔92の周方向の一側に形成された係止凸部105にそれぞれ係止されることにより、カバー55を走行輪部52に対して抜け止め固定している。さらに、カバー55の中央部には、径方向に沿って長手溝状の回動溝部106が形成されている。この回動溝部106は、カバー55を走行輪部52から取り外す際に、コインなどを挿入することでカバー55を周方向へと回動させるためのものである。
また、前カバー25は、前側吸込口36の両端間に亘って連続した横長状に形成されており、断面視で前方へと突出するように円弧状に湾曲している。さらに、この前カバー25の上端部は、前側吸込口36の上端部に回動可能に軸支されており、かつ、トーションばねなどの図示しない前カバー付勢手段により前方向へと回動するように付勢されている。また、この前カバー25の下端寄りの位置には、突起部25a,25aが前方に向けて突出して形成されており、これら突起部25a,25aは、自然状態(通常状態)で各走行輪23の前端よりも前方に突出している。なお、これら突起部25a,25aは必須の構成ではなく、前カバー25自体の一部が各走行輪23の前端よりも前方に突出している構成でもよい。
次に、上記第1の実施の形態の作用を説明する。
まず、各走行輪23の組み立て方法を説明する。
走行輪部52は、走行輪部本体85を射出成形した後、この走行輪部本体85を金型のコア側として被覆部86を射出成形して形成する。
このとき、被覆部86は、内側被覆部98の内側嵌合部98bをゲートとして部材を射出することにより、この部材が走行輪部本体85の連通部85dから外側被覆部97側へと注入され、内側被覆部98と外側被覆部97とが接続部100を介して一体に成形される。
この状態で、被覆部86は、内側嵌合部98bが内側嵌合切欠部85hに嵌合し、外側嵌合突部97bが外側嵌合切欠部85fに嵌合することで、走行輪部本体85との接触面積が拡大される。
そして、図2に示す状態から、図3の想像線に示すように、走行輪部52に対して軸部51を他端側から挿入する。具体的に、各軸部規制部82を各孔部91に嵌合させた状態で規制部本体81を挿通孔部93に他端側から挿入する。
次いで、図3の実線に示すように、各軸部規制部82を各走行輪部規制部89よりも一端側へと位置させた状態で軸部51を走行輪部52に対して相対的に周方向(例えば時計回り方向)へと所定角度、本実施の形態では90°程度回動させることにより、各軸部規制部82が各走行輪部規制部89の端面に摺接するとともに、図1(b)に示すように各走行輪部規制部89が嵌合部83に嵌合する。
この状態で、軸部51の各係止突出部71が走行輪部52の各保持部95に対向する状態となるので、軸部51の中心位置を走行輪部52の中心位置に対して若干偏らせ、1つのコイルばね53の一端部に1つの係止突出部71を挿入させてこのコイルばね53の一端部を1つの凹部76に保持した状態で、このコイルばね53の他端部を1つの保持部95に嵌合保持する。
同様に、他の3つのコイルばね53の一端部にそれぞれ各係止突出部71を挿入させて、各コイルばね53の一端部を各凹部76に保持した状態で、図4に示すように、各コイルばね53の他端部を各保持部95に嵌合保持する。この状態で、各コイルばね53が各孔部91に嵌合して走行輪23の軸方向に露出している。
さらに、取付凹部99に起毛部87のシート部87bを接着固定する。このとき、シート部87bは、一端部が取付凹部99に露出する走行輪部本体85の外周面85aに固定され、取付凹部99に沿って走行輪部本体85の外周を一周した位置で他端部が一端部に隣接して走行輪部本体85の外周面85aに固定される。なお、この起毛部87の取り付けは、走行輪部52を成形した後に行ってもよい。
この後、図1(a)および図1(b)に示すように、別途組み立てたケース体21の側部の各軸受部61に各軸部51の軸部本体63を嵌合させてねじボス部69を挿通孔73に挿通させ、抜止体54を軸部本体63内に嵌合させてねじ102をねじボス部69にねじ止めして、各軸部51をケース体21の軸受部61に回転自在に軸支する。
さらに、カバー55の各爪部104を、走行輪部52の各取付孔92に一端側から挿入し、カバー55を周方向へと所定角度回動させることにより、各爪部104が各取付孔92の係止凸部105にそれぞれ係止され、カバー55が走行輪部52に固定される。
そして、掃除の際には、図10に示すように、接続管22を延長管19の先端部に接続し、把持部17を把持して床ブラシ20を床面F(図7)上に載置する。
このとき、床ブラシ20は、接続管22がケース体21に対して回動可能であることにより、作業者が把持部17を把持している状態では、ケース体21側の重量バランス、例えばモータなどの重量によって、延長管19に接続された接続管22に対してケース体21が相対的に回動する。したがって、この回動に伴い、図7に示すように、床ブラシ20を床面F上に載置しようとする際には、ケース体21の左右幅方向両側のいずれか一方が他方に対して下側へと傾斜し、ケース体21の左右幅方向両側のいずれか一方に位置する走行輪23の外側に位置する被覆部86の外側被覆部97が床面Fに最初に当接し、その後、ケース体21の左右幅方向両側の他方側が床面Fに接触する。したがって、床ブラシ20を床面F上に載置する際には、走行輪部本体85よりも軟質の部材で形成された被覆部86(外側被覆部97)が床面Fに対して緩衝性を確保する。
そして、作業者は、図10に示す把持部17の所望の設定ボタン18を操作して電動送風機13を所望の動作モードで動作させた状態で、延長管19を介して床ブラシ20を前後に交互に走行させる。
図1に示すように、床ブラシ20は、走行の際に、各走行輪23の起毛部87の起毛87aが床面Fに接触して回転することにより、良好な走行性を得ることができる。
すなわち、床ブラシ20を前方へと走行させる際には、作業者が把持部17(図10)を介して床ブラシ20を床面Fへと押し付けるように力を加える。このとき、各走行輪23では、起毛部87の起毛87aが床面Fへと押し付けられて抵抗となるものの、起毛87a自体は先端側が前側へと傾斜しているために、床面F上を前方へと走行、すなわち各走行輪23が前方へと回転する際には抵抗となりにくい。この結果、床ブラシ20と床面Fとの間で適度な抵抗が生じ、各走行輪23が床面Fに対して空回りしたり過剰に引っ掛かったりすることなく円滑に前方へと走行可能となる。一方で、床ブラシ20を後方へと走行させる際には、作業者が把持部17(図10)を介して床ブラシ20を床面Fから後方上側へと引くように力を加える。このとき、各走行輪23では、起毛部87の起毛87aが床面Fから離間される方向へと引っ張られ抵抗が低減されるものの、起毛部87の起毛87aの先端側が前側へと傾斜しているので、床面F上を後方へと走行、すなわち各走行輪23が後方へと回転する際に床面Fに対して起毛87aが引っ掛かって適度な抵抗を与える。この結果、床ブラシ20と床面Fとの間で適度な抵抗が生じ、各走行輪23が床面Fに対して空回りしたり過剰に引っ掛かったりすることなく円滑に後方へと走行可能となる。
そして、床ブラシ20では、吸込口35を介して、図10に示す電動送風機13の動作により作用する負圧によって床面F(図7)上の塵埃を空気とともに吸い込んで掃除する。この吸い込まれた空気は吸込風となり、塵埃とともに、図10に示す延長管19、ホース体15および本体吸込口14を介して集塵部へと吸い込まれ、この集塵部で塵埃が捕集された後、電動送風機13へと吸い込まれて排気風となり、掃除機本体12の図示しない排気孔から排気される。
また、図6(a)に示すように、床ブラシ20を前方へと走行させてこの床ブラシ20が壁あるいは家具などの障害物Oに衝突する際には、まず、前カバー25の各突起部25aが障害物Oに接触してこの前カバー25が前カバー付勢手段の付勢に抗して後方へと回動し、次いで、図6(b)に示すように、走行輪23の前部が障害物Oに接触する。
この状態で、さらに床ブラシ20が前方へと走行することにより、図6(c)に示すように、各走行輪23の走行輪部52が障害物Oの位置に固定されることで、軸部51およびケース体21が、コイルばね53の付勢に抗しつつ走行輪部52に対して相対的に前方下側へと移動する。このため、各コイルばね53の伸縮によって衝突時の衝撃が吸収される。また、同時に前カバー25が後方へと回動して下部が開口した前側吸込口36(図6(b))の下部から、回転ブラシ32の清掃部材38の先端側の一部が前方へと突出して障害物Oの近傍に位置するとともに、清掃部材38の先端側の一部が各走行輪23に対して相対的に下方へと突出し、床面Fに接触する。そして、所定の設定ボタン18(図10)の操作により回転ブラシ32が回転することで、回転ブラシ32が障害物Oの近傍の床面F上の塵埃を掻き取り、前側吸込口36(図6(b))から吸い込んで掃除する。
また、床ブラシ20が障害物Oから離間する場合には、コイルばね53が床ブラシ20を障害物Oから離間する方向へと押圧することで床ブラシ20が障害物Oから離間することを補助するため、床ブラシ20の走行操作が容易になり、走行操作を行う作業者の手の負担を軽減できる。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、走行輪部本体85よりも軟質の部材により形成した被覆部86で走行輪部本体85の少なくとも軸方向外側部の外周側を覆うとともに、走行輪部本体85の外周側に、先端側が被覆部86よりも外周側に突出しこの被覆部86よりも床面Fに対する摩擦が小さい起毛部87を配置することで、床ブラシ20を床面Fに載置する際に接続管22を中心として相対的にケース体21が回動しても、このケース体21の両側に位置する走行輪23の被覆部86(外側被覆部97)が床面Fに当接するので、床面Fとの緩衝性を確保でき、床ブラシ20を床面Fに載置する際の騒音を抑制できるとともに、走行時には、起毛部87の起毛87aが床面Fに接触するので、走行性を確保しつつ、この走行時の騒音の発生を抑制できる。
すなわち、作業者が把持部17(図10)を把持している状態では、ケース体21側の重量バランス、例えばモータなどの重量によって、延長管19に接続された接続管22(図6)に対してケース体21が相対的に回動し、ケース体21の左右幅方向両側のいずれか一方が他方に対して下側へと傾斜するものの、ケース体21の左右幅方向両側のいずれか一方に位置する走行輪23の外側に位置し走行輪部本体85よりも軟質の部材で形成された被覆部86の外側被覆部97が床面Fに最初に当接することにより、床面Fに対して緩衝性を確保できる。しかも、走行時には、被覆部86ではなく起毛部87の起毛87aが床面Fに接触するので、被覆部86を床面Fに接触させる場合と比較して床ブラシ20を横滑りさせやすくなり、壁側などへと床ブラシ20の側部を近づけやすくなるなど、走行性を確保できる。
また、被覆部86の外周面(外周面97c,98c)側に、起毛部87が取り付けられる取付凹部99を形成することにより、起毛部87のシート部87bの端面が取付凹部99内に位置して外部に露出せず、この取付凹部99によって保護されるので、起毛部87が走行輪部本体85および被覆部86に対してシート部87bの端面などから剥がれにくくなる。
しかも、各走行輪23はケース体21の両側部に位置していることにより、特に起毛部87の起毛87aに床面F上の塵埃が付着した場合目立ちやすくなるものの、起毛部87を幅狭に形成することにより、起毛部87を走行輪23の幅方向全体に亘って形成した場合と比較して、汚れが目立ちにくい。
さらに、起毛部87のシート部87bを、取付凹部99に露出した走行輪部本体85の外周面85aに接着することにより、例えば走行輪部本体85よりも軟質の被覆部86に接着する場合と比較して、接着性が良好となって強固に固定でき、起毛部87がより剥がれにくくなる。特に、シート部87bの両端部を走行輪部本体85の位置に接着することにより、これら端部を走行輪部52に対してより強固に固定でき、起毛部87の剥がれをより効果的に抑制できる。
そして、起毛部87の起毛87aの先端側をケース体21(床ブラシ20)の前進時の各走行輪23の回転方向に沿って倒すことにより、各走行輪23(各走行輪部52)が前方へと回転する(床ブラシ20のケース体21が前方へと移動する)際には起毛87aが床面Fに押し付けられるものの床面Fに対して抵抗になりにくく、各走行輪23(各走行輪部52)が後方へと回転する(床ブラシ20のケース体21が後方へと移動する)際には、床面Fには押し付けられないものの起毛87aが床面Fに引っ掛かって適度な抵抗を与えるので、前後いずれの回転に対しても各走行輪23(各走行輪部52)と床面Fとの間に適度な抵抗を与えて各走行輪23(各走行輪部52)円滑に回転させることができ、良好な走行性を得ることができる。
さらに、被覆部86には、走行輪部本体85の外側部に位置しこの走行輪部本体85と嵌合する外側嵌合突部97bを走行輪部本体85の中心軸方向に向けて周方向に複数形成することにより、これら外側嵌合突部97bによって被覆部86(外側被覆部97)の厚みを増加させて被覆部86での床面Fに対する緩衝性を向上できる。また、外側被覆部97は、床ブラシ20を床面Fに載置する際に床面Fと当接することにより、衝撃が加わりやすい箇所であるため、この衝撃によって走行輪部本体85から剥がれやすくなるおそれがある。したがって、被覆部86の外側被覆部97に外側嵌合突部97bを形成することにより、これら外側嵌合突部97bによって走行輪部本体85と被覆部86との接触面積を増加させ、これら走行輪部本体85と被覆部86とを互いに剥がれにくく強固に一体化できる。さらに、これら外側嵌合突部97bは、走行輪部本体85の内周面と略面一に形成されているため、意匠的に目立ちにくく、見栄えを低下させることがない。
また、ケース体21に回転可能に軸支した軸部51と、この軸部51と走行輪部52との間これら軸部51と走行輪部52とを相対的に付勢するコイルばね53を介在させることにより、これらコイルばね53の弾性によって、床面Fとの緩衝性をより向上でき、床ブラシ20を床面Fに載置する際の騒音をより抑制できるとともに、走行輪部52が障害物Oに衝突すると、コイルばね53により付勢されながら走行輪部52が軸部51およびケース体21に対して移動して衝撃を吸収するので、例えば走行輪部52をより軟質化したり厚みを増加させたりすることなどによって走行性を低下させることなく、緩衝性をより向上できる。
すなわち、走行輪部52を弾性部材などとしてその厚みを増加させて充分な緩衝性を得ようとする場合などでは、走行輪部52が床面Fに接触した際に、床ブラシ20の自重によって走行輪部52が撓み、床面Fに対する接地面積(グリップ力)が大きくなって走行性が低下するおそれがあるのに対して、上記第1の実施の形態では、走行輪部52の厚みを増加させることなくコイルばね53によって大きな緩衝ストロークを得ることができるので、走行時に走行輪部52が撓んでグリップ力が大きくなることがなく、より良好な走行性を得ることができる。
また、床ブラシ20は、上下方向に回動可能な接続管22を備えているため、作業者が手元操作部16の把持部17を把持した状態で床ブラシ20を床面F上に載置する際に、延長管19を介して手元操作部16側に固定された接続管22に対してケース体21の前側がケース体21の自重によって下方へと回動し(図8の実線)、ケース体21の前側から床面Fへと接地しようとする。このため、走行輪23の中心位置、すなわちケース体21の軸受部61に軸支される走行輪23の軸部51の位置を、接続管22の回動軸の中心位置よりも前側に位置させることにより、図8に示すように床ブラシ20を床面Fに載置する際に、走行輪23の起毛部87がケース体21よりも先に床面Fに接地するので、床ブラシ20を床面F上に載置する際の衝撃を走行輪23の起毛部87によって緩衝できる。
さらに、走行輪23を、ケース体21の両側部にそれぞれ配置することにより、例えば走行輪23をケース体21の中央部1箇所のみに配置する場合などと比較して、走行性をより向上できるとともに、床ブラシ20の前側が障害物Oに衝突する際に、床ブラシ20と障害物Oとの角度に拘らず少なくともいずれかの走行輪23を確実に障害物Oに接触させることができるので、緩衝性を確保できる。しかも、障害物Oの近傍を掃除する際には、作業者が床ブラシ20を障害物Oに対して押し付けるため、この押し付けによって走行輪23,23の軸部51(ケース体21の軸受部61)が走行輪部52,52に対してコイルばね53の付勢に抗して相対的に前方下側へと移動してケース体21が沈み込んで障害物Oの近傍の床面Fに接近するので、吸込口35および前側吸込口36からの塵埃の吸い込み、および、回転ブラシ32による床面Fからの塵埃の掻き出しがそれぞれ向上し、障害物Oの近傍を効率よく掃除できる。
そして、走行輪23の一部をケース体21よりも前側に突出させることにより、掃除の際に床ブラシ20を前後方向に走行させたときに、障害物Oに対して走行輪23がケース体21よりも先に接触するので、床ブラシ20の前側を障害物Oに衝突させた際の衝撃を走行輪23によって緩衝できる。
また、付勢手段としてコイルばね53を用いることにより、走行輪部52を軸部51に対して均一に支持しやすくなるとともに、コイルばね53自体の劣化も少なく、また、緩衝用のストロークを大きく取ることができて充分な緩衝性を得ることができる。
さらに、走行輪23は、走行輪部52が大径に形成されているので、段差などの乗り越えが円滑となり、良好な走行性を得ることができる。そして、走行輪部52の起毛部87を軟質とすることにより、障害物Oへの衝突時に、この障害物Oを傷付けることもない。
なお、上記第1の実施の形態において、走行輪23は、コイルばね53を用いずに、軸部51の外周側と走行輪部52の内周側との間の全周に、図11に示す第2の実施の形態のように、例えばゴム、板ばね、あるいはエラストマなどの弾性部材(可撓部材)により環状に形成された付勢手段108を配置する構成としてもよい。この場合でも、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、走行輪部52をケース体21に対して直接回転可能に軸支してもよい。
さらに、被覆部86は、少なくとも走行輪部本体85の外周側の外側部を覆うように構成すればよい。すなわち、被覆部86としては、例えば上記外側被覆部97のみの構成などでもよい。
また、摩擦低減部としては、被覆部86よりも床面Fに対して摩擦が小さいものであれば、起毛部87に限らず、例えば布などの部材を用いてもよい。
そして、上記各実施の形態において、電気掃除機11の細部は、上記構成に限定されるものではなく、例えばキャニスタ型の電気掃除機11だけでなく、縦長の掃除機本体12の下部に床ブラシ20を接続したアップライト型の電気掃除機など、任意の電気掃除機でも対応させることができる。