JP5533595B2 - 車両用計器 - Google Patents

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Description

本発明は、目盛が形成された表示板のエッジ部から照明光を表示板内に導入するエッジライト照明を採用した車両用計器に関するものである。特に、表示板の裏面に窪みからなる立体表示部を形成して、表示板の表記部が、立体的に視認される車両用計器に関するものである。
従来、特許文献1に記載の車両用計器が知られている。図12は、特許文献1の車両用計器を示す正面図、図13は、図12の矢印F13−F13線に沿う一部断面図である。この図12に示した車両用計器は、指針4が表示板1の裏側を回転し、表示板1(目盛ダイヤルとも呼ばれる)の厚み方向に対して、直角方向である矢印Y13方向(図13)から照明光が表示板1内に導入される。このような照明は、エッジライト照明と呼ばれる。
図12の表示板1の端面に対して、一列に、複数の発光ダイオード8(以下、LED8とも言う)が並べられている。そして、複数のLED8から出た照明光は、メータケースの内部表面で反射して、アクリル樹脂製の表示板1内に導光される。また、指針4は、ステップモータ等のムーブメント20に駆動されて、表示板1の裏面に印刷された表記部5を指し示す。
特開2010−85113号公報
このような表示板1に印刷された表記部5は、そのままでは立体的に見えない。ところが、近年、車両用計器の立体的な見栄えを演出したいという要望、及び昼夜の見栄えを変化させたいという要望がある。上記特許文献1においては、表示板1の裏面に表記部5、目盛、及び単位からなる指標を印刷し、表示板1のエッジ部3から照明光を表示板1内に導入していたが、裏面に指標を印刷するため、どうしても表示板1の裏面は全体として平面形状にならざるをえない。
指標を立体的に見せるためには、指標のデザインで陰影を描いて立体的に見えるように工夫するいわゆる陰影法に基づく方法、及び立体的部品を表示板上に追加して、指標を立体的に見せる方法が考えられた。立体的部品を表示板上に追加して、指標を立体的に見せる方法では、コストアップして好ましくない。そこで、表記部5をなす特に数字部の形状に影部分を描いて、イラスト的に立体化する方法が考えられた。この方法では、昼の見栄えには有効であるが、夜間照明時には効果が少ない。
また、表示板1自体を成型するときに、表記部5等の指標を盛り上げて成型し、立体的に見えるようにすることが考えられる。しかし、表示板1の一部を立体的に盛り上げて成型することは、裏面に印刷された指標に、成型時の歪の影響が出たり、成型材料のひけの影響で、不自然な筋が表示板1に形成されたりするため、好ましくなかった。更に、仮に、問題なく立体的に見えたとしても、昼と夜とで見栄えを変えたいという要求を満たすことができない。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、昼と夜とで見栄えを変えることができると共に、表示板に印刷された表記部を含む指標分が、立体的に見える車両用計器を提供することにある。
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、表示板の側方から表示板内に照明光を導入するエッジライト照明式の車両用計器であって、表示板の裏側に設けられ、指標となる表記部と、表記部に並んで表示板の裏側に設けられ、表記部を立体的に表示する立体表示部を有し、立体表示部は、表示板の裏面側から表面側に窪み、表示板の平面方向に対して傾斜した傾斜面を持った断面V字状の窪みから成り、立体表示部は、表記部の表示板に仮想的に光が照射してくる側に対して、平面方向に表記部を挟んで反対側の表記部の影に相当する位置に形成されており、表記部の仮想的に光が照射してくる側の位置には立体表示部が形成されておらず、表示板のエッジ部を通して導入される照明光が傾斜面と表記部とにより反射して表示板の表面側に向かうことを特徴としている。
この発明によれば、立体表示部は、表示板の裏面側から表面側に窪み、表示板の平面方向に対して傾斜した傾斜面を持った断面V字状の窪みから成り、表示板のエッジ部を通して導入される照明光が傾斜面と表記部とにより反射して表示板の表面側に向かうから、立体表示部によって表記部が立体的に視認されると共に、表示板のエッジ部を経由して表示板の内部に導光された照明光が、傾斜面に反射して、立体表示部が夜間において光って視認される。また、エッジライト照明がなされないときは、立体表示部が外来光を飛散させる。これにより、昼と夜とで見栄えを変えることができると共に、表示板に印刷された表記部が立体的に見える車両用計器を提供することができる。また、立体表示部は、仮想的に光が照射してくる側に対して、平面方向に表記部を挟んで反対側の表記部の影に相当する位置に形成されているから、立体表示部により表記部が立体的に見え易い。
請求項に記載の発明では、平面方向の表記部を挟んで前記立体表示部とは反対側の立体表示部が形成されていない位置に、前記表記部の輪郭を示す輪郭線が形成されていることを特徴としている。この発明によれば、平面方向の前記表記部を挟んで前記立体表示部とは反対側に、前記表記部の輪郭を示す輪郭線が形成されているから、表記部の輪郭が輪郭線と立体表示部とによって、一層明確になり、表記部が判読し易くなる。
請求項に記載の発明では、前記表記部は、着色されている中心着色部と、前記中心着色部の周囲を取り囲み、かつ前記中心着色部よりも前記照明光の反射率が高い色調の周囲着色部とからなり、前記立体表示部は、前記周囲着色部の周囲の少なくとも一部に形成されていることを特徴としている。
この発明によれば、表記部は、中心着色部と、この中心着色部の周囲を取り囲む周囲着色部からなり、立体表示部は、周囲着色部の周囲の少なくとも一部に形成されているから、周囲着色部が台に見え、中心着色部が、台の上に乗っているように見えるため、一層、表記部が立体的に見える。
請求項に記載の発明では、立体表示部をなす窪みの平面方向の最大幅が、中心着色部の平面方向の最大幅の25%から75%の幅を有することを特徴としている。この発明によれば、立体表示部は溝状の窪みからなり、溝の最大幅が中心着色部の最大幅の少なくとも25%から75%の幅を有するから、立体表示部により充分に立体的に見せ、かつ傾斜面が充分に反射して、高級感のある表記部の指標としての表示が可能となる。
請求項に記載の発明では、立体表示部の傾斜面は、シボ加工されていることを特徴としている。この発明によれば、傾斜面にシボ加工されているから、傾斜面全体が輝いて立体的に表記部を視認させることができる。
請求項に記載の発明では、立体表示部の傾斜面が表示板の裏面よりも表面粗さが細かい鏡面に形成されていることを特徴としている。この発明によれば、傾斜面に鏡面が形成されているから、傾斜面の輝きが強調され、傾斜面が強く輝いて立体的に表記部を視認させることができる。
請求項に記載の発明では、立体表示部が形成された表示板の平面方向に対する傾斜面の傾斜角は、40度から50度の範囲に形成されていることを特徴としている。この発明によれば、平面方向に対する傾斜面の傾斜角は、40度から50度の範囲に形成されているから、照明光が傾斜面で良好に反射して輝きが増し、見栄えを良くすることができる。
本発明の第1実施形態を示す車両用計器の正面図である。 図1に図示された表記部のうち、特に、「180」、「200」部分の拡大図である。 表示板に導光する照明手段を構成するLEDの配置を模式的に示す図2のF3−F3線に沿う一部断面斜視図である。 図1の表示板上の表記部「20」の寸法関係を説明する正面図である。 図4に示したF5−F5線に沿う断面を示し、特に立体表示部の寸法関係を説明する模式断面図である。 図1の表記部「20」を成型する成型金型の表面形状を示す模式的斜視図である。 本発明の第2実施形態を示す車両用計器の一部正面図である。 図7の表記部の「180」、「200」部分の拡大図である。 本発明の第3実施形態を示す車両用計器の一部正面図である。 図9の領域F10内の表記部における「20」と「40」の一部拡大正面図である。 本発明の、その他の立体表示部の断面形状を示す図5に対応する模式断面図である。 従来の特許文献1の車両用計器を示す正面図である。 図12の矢印F13−F13線に沿う一部断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図6を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態を示す車両用計器の正面図である。透明のアクリル樹脂から成る表示板1は、成型ダイヤルとも呼ばれ、図1紙面裏側に位置する裏面は平面形状である。表示板1の表面は、なだらかな曲面形状に成型されている。なお、表面の曲面形状は、必須のものではない。
この表示板1は、特許文献1と同じく、目盛2が形成された表示板1のエッジ部3から照明光を表示板1内に導入するエッジライト照明によって照明される。表示板1上を指針4が回転して指針先端が表記部5をなす特に数字部を指し示すように構成されている。表示板1の裏側には、少なくとも表記部5を含む指標が印刷され、表記部5は、透明の表示板1を透かして表側から視認される。
具体的には、表示板1の裏には、「0」、「20」、「40」から「180」、「200」までの、11箇所の表記部5が形成されている。この表記部5には、立体的に見えるよう影に相当する位置に形成された立体表示部が設けられている。その立体表示部の形状に合わせて、表示板1のアクリル樹脂の裏面にV字状の溝または窪みからなる後述するV字カット5b1(図3)が形成されている。
図2は、図1に図示された表記部5のうち、特に、「180」、「200」部分の拡大図である。「180」、「200」といった表記部5は、表示板1の裏側に印刷され、数字自体を表す数字表記部5aを有する。また、この数字表記部5aの右側に略隣接して表記部5を立体的に見せる立体表示部5bを有している。この立体表示部5bは、表示板1の裏面側から表面側に向かう窪みとして形成されたV字カット5b1(図3)から成る。
なお、表示板1の表側から見れば、立体表示部5bであり、表示板1の裏側から見れば、V字カット5b1であり、立体表示部5bとV字カット5b1とは同じものであるが、便宜上、立体表示部というときには5bの符号を付し、V字カットというときには5b1の符号を付して説明する。
図3は、表示板1に導光する照明手段を構成するLED8の配置を模式的に示す図2のF3−F3線に沿う一部断面斜視図である。表示板1のエッジ部3から矢印Y3等で示された照明光を表示板1の内部に導光し、この導光された照明光が、表示板1の裏面の表記部5等を印刷した印刷部1a、及びV字カット5b1で反射する。
図3は、V字カット5b1での反射のみを示している。反射された照明光は、表示板1の表側から出て、車両の運転者の目に入ることにより、表記部5を立体的に視認可能としている。なお、図3において、表記部5は印刷部1a内に設けられているため、実際には、表記部5は図3のようには見えないが、便宜上、対応関係を示すように模式的に図示している。
V字カット5b1は、表示板1の表側からは立体表示部5bとして見え、立体感を表記部5に持たせている。V字カット5b1は、表示板1の裏側に形成され、後述する傾斜面10(図3、図5)を有する窪みである。この第1実施形態においては、傾斜面10は、印刷処理がされていないが、鏡面に仕上げることで夜間には部分的にキラっと発光し、指標が立体的に見え、非常に高級感も演出できる。
なお、昼間のエッジライト照明がなされていないときは、外来光がV字カット5b1に当たっても、当たる方向によっては戻ってこないため、立体表示部5bは影として見える。夜間は、V字カット5b1が、エッジライト照明の照明光を反射するため昼と夜とで見栄えを変えることができる、
図4は、図1の表示板1上の表記部「20」の寸法関係を説明する正面図である。図5は、図4に示したF5−F5線に沿う断面を示し、特にV字カット5b1の寸法関係を説明する模式断面図である。また、図6は表記部20を成型する成型金型12の表面形状を模式的に示す斜視図である。なお、図5においては、断面を示すハッチングは省略している。
図4において、数字表記部5aは、表示板1の内部に導光された照明光が反射しにくい色調で着色された中心着色部5a1を有する。また、該中心着色部5a1の周囲を取り囲み中心着色部5a1よりも照明光が反射し易い、つまり、反射率の高い色調の周囲着色部5a2を有する。
そして、立体表示部5bは、周囲着色部5a2の周囲の少なくとも一部に形成されている。また、立体表示部5bは、運転者が表示板1を見た左側(図1の下側)から仮想的に進入する光の方向である矢印Y40にて示す仮想光が表記部5に照射される側とは反対側(影相当部位側)に形成されている。更に、周囲着色部5a2の周囲の立体表示部5bが存在しない図4左側の表記部5の輪郭部分に、表記部5の輪郭を示す輪郭線5cが形成されている。また、図3において、LED8は、プリント基板9の上に実装されている。LED8からの照明光は、メータケース6の内壁で反射して、表示板1の中にエッジ部3から導入される。
図4及び図5のBは、立体表示部5bともなるV字カット5b1の最大幅であり、溝の最大幅に相当する。なお、この溝は、断面が三角形状のトンネル状である。また、図4のCは、表記部5aの構成要素である中心着色部5a1の最大幅である。V字カット5b1の最大幅Bは、中心着色部5a1の最大幅Cの25%から75%、好ましくは40%から60%の範囲内に選定されている。
次に、図4の文字「0」、あるいは、図1の表記部5内の文字のうち「4」と「6」と「8」と「9」のように、内部に中心着色部5a1によって閉じられた内周部5d(図4)を有する数字は、中心着色部5a1の内周部5d側に沿って形成され中心着色部5a1よりも照明光の反射率が高い色調の内周側周囲着色部5a21を有する。
そして、内周側周囲着色部5a21の内周部5d側に、内周側立体表示部5b2が形成されている。但し、この内周側立体表示部5b2は、単なるデザイン上の陰影であり、V字カット5b1相当の窪みは形成されていない。また、中心着色部5a1の外周に沿って形成され中心着色部5a1よりも照明光の反射率が高い色調の外周側周囲着色部5a22を有する。
図5のように、表示板1内部には、矢印Y50にて代表するエッジライト照明による照明光が侵入している。表示板1の裏面の印刷部1aが設けられた平面部の平面方向に対して、θ1=44度の傾斜面10を対向して持った断面形状が二等辺三角形のV字カット5b1が形成されている。
傾斜面10は、印刷部1aが設けられた平面部から表示板1の表側に向かう方向に傾斜している。よって、傾斜面10が、照明光に対して反射面として作用し、矢印Y51等のように表示板1の表側から反射光が出て、運転者の目に入る。なお、この第1実施形態では、表示板1の厚さTpは、3〜4mm、V字カット5b1の深さDは、0.3mmである。
このV字カット5b1の深さDは、表示板1の表面の、不規則な意図しない模様の原因となる表示板1成形時のひけ、またはウエルドラインの発生防止を考慮して、表示板1の板厚Tp(Tp=3mm〜4mm)の30%程度までに抑えることが好ましい。従って、V字カット5b1の深さDは、0.3mmから1.0mmの範囲としている。Tjは、表示板1の窪み5b1の直上の板厚である。
また、V字カット5b1の幅Bは0.62mmであり、その半分は0.31mmであるから、この場合の傾斜角をθ1とした場合、Tanθ1=0.3/0.31となり、傾斜角θ1は、44度となる。従って、V字カット5b1のカット角θ2は、92度(180−2×44=92)となる。なお、照明光が良好に反射して、キラっと輝くために傾斜角θ1は、40度から50度の範囲が好ましい。なお、後述するように、傾斜面10にシボを施す場合は、この傾斜角θ1は、30度から60度の範囲内が好ましい。
図6は、表示板1を射出成型するために使用する金型12の表面の、表記部5の「20」に対応する部分を、模式的に示す斜視図である。説明上の都合で、仮想的に表記部5の「20」が、金型12の表面に描かれている。この表記部5の「20」における立体表示部5bをなすV字カット5b1に対応する部分が、山脈状に隆起した隆起部13a、13b、13cとして形成されている。この隆起部13a、13b、13cの高さH13が、V字カット5b1の深さD=0.3mm(図5)に対応している。また、隆起部13a、13b、13cの断面の三角形状の山の先端角θ13(図6)は、V字カット5b1のカット角θ2(図5)に対応している。
次に、第1実施形態の作用効果について説明する。表示板1の裏側の印刷部1a(図5)に印刷され、数字自体を表す数字表記部5a(図4)を有する表記部5と、該表記部5を立体的に見せる立体表示部5bとを有する。また、立体表示部5bは、表示板1の裏面側から表面側に窪んだV字カット5b1からなる。
立体表示部5bによって、表記部5が立体的に視認されると共に、照明手段をなすLED8によって表示板1のエッジ部3から表示板1の内部に導光された照明光がV字カット5b1の傾斜面10に反射して、立体表示部5bの一部が夜間において光って視認される。従って、昼と夜とで見栄えを変えることができると共に、表示板1に印刷された表記部5を含む指標が、立体的に見える車両用計器を提供することができる。
また、図4のように、数字表記部5aは、中心着色部5a1と、周囲着色部5a2とからなり、立体表示部5bは、周囲着色部5a2の周囲の少なくとも一部に形成されているから、周囲着色部5a2が台に見える。従って、中心着色部5a1が、台の上に乗っているように見えるため、一層、表記部5が立体的に見える。
また、立体表示部5bは、表示板1の左側から進入する仮想光が、表記部5に照射される側とは反対側に形成されているから、立体表示部5bにより表記部5が立体的に見える。また、周囲着色部5a2の周囲の立体表示部5bが存在しない表記部5の輪郭部分に、表記部5の輪郭を示す輪郭線5cが形成されているから、表記部5の輪郭が輪郭線5cと立体表示部5bとによって明確になり、表記部5が判読し易くなる。
また、表記部5の内部に中心着色部5a1によって閉じられた内周部5dを有する「0」、「4」、「6」、「8」、「9」の文字は、中心着色部5a1の内周に沿って形成され、中心着色部5a1よりも表示板1の内部に導光された照明光の反射率が高い色調の内周側周囲着色部5a21を有している。そして、影となる内周側立体表示部5b2が、内周側周囲着色部5a21の更に内側にも形成されているから、より正確に表記部5が立体的に見える。
また、内周側周囲着色部5a21の更に内側の立体表示部5bが存在しない表記部5の輪郭部分に、表記部5の輪郭を示す内側輪郭線5c1(図4)が形成されている。そのため、表記部5の内周部5d側の輪郭が内側輪郭線5c1と内周側立体表示部5b2とによって明確になり、表記部5が立体的に見えて、一層判読し易くなる。
また、図4及び図5のように、V字カット5b1は、溝状の窪みからなり、溝の最大幅、つまり、V字カット5b1の最大幅Bは、中心着色部5aの最大幅Cの25%から75%、好ましくは40%からの60%の範囲内に選定されているから、V字カット5b1の傾斜面10が、充分に反射して、表記部5の高級感のある立体表示部を形成し、立体的な表記部5の表示が可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。図7は、本発明の第2実施形態を示す車両用計器の一部正面図である。
この第2実施形態において、図5と同じV字カット5b1の内部における傾斜面10に、赤色の印刷を行うことで、V字カット5b1が赤色に表示されるようにしたものである。これによっても、昼夜で異なる立体表示が可能になり、特に、夜間は表示板1に導入されるLED8の照明光によってV字カット5b1の傾斜面10が赤く発光するため、緊張感のある表示が可能になる。
図7において、R1、R2、R3の符号が付された部位は、赤く発光する部位を代表する部位であり、R1は表示板1の外周側のアーチ部、R2は、表示板1の裏側から表側に窪んで形成されたV字カット5b1(図5と同等)内に印刷された赤色塗料が、エッジライト照明の照明光を反射して発光している立体表示部5bであり、複数個所に存在する。また、R3は、表示板1の裏側に印刷された目盛内に形成されたカット部分(窪み)内に印刷された赤色塗料の反射による発光部であり、複数個所に存在する。
図8は、図7の表記部5の「180」、「200」部分の拡大図である。図7において、「180」、「200」といった表記部5は、表示板1の裏側に印刷され、数字自体を表す数字表記部5aを有する。また、この表記部5aの右側に隣接して表記部5aを立体的に見せる立体表示部5bを有している。この立体表示部5bは、表示板1の裏面側から表面側に窪んだ少なくとも一つの傾斜面10(図5に同じ)を持ったV字カット5b1から成る。
そして、V字カット5b1の傾斜面10には、印刷または塗装により赤色の塗料の層が形成されている。この赤色の塗料の層は、単に立体的に見せるために色をつけただけでなく、V字カット5b1の窪みの中に形成されているから、表示板1に導入されるLED8(図3と同等)照明光によって反射するため、緊張感のある立体感をかもし出す。
なお、赤色だけでなく、その他の色でも良いことは勿論である。また、矢印Y80(図8)にて示す方向は、表示板1を運転者が見たときの左側からの仮想光の進入方向である。陰影法により立体的に見せるために、左方向からの仮想光と反対側の影相当部位に立体表示部5bをなすV字カット5b1を設け、立体感が出せるようにしている。従って、文字板1の表記部5の影相当部位の位置を決定する仮想光の進入方向と、実際に文字板1内に導入されるエッジライト照明による照明光の方向とは相違している。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図9は、本発明の第3実施形態を示す車両用計器の一部正面図である。図10は、図9の領域F10内の表記部5における「20」と「40」の一部拡大正面図である。図10において、表記部5の周りの全周囲をV字カット5b1が、一筆書きのように一周して取り巻いている。
表記部5は、表示板1の裏側に印刷され、数字自体を表す数字表記部5aを有する。また、この数字表記部5aの周囲を取り囲むように表記部5aを立体的に見せる立体表示部5bを有している。この立体表示部5aは、一つの表記部5である例えば「20」に対して1つのループ状のリングから構成されている。
従って、表示板1の裏面側から表面側に切り込まれた少なくとも一つの傾斜面10(図5と同等)を持ったV字カット5b1も1つのループ状のリングから構成されているから、照明光が部分的に反射して、立体感をかもし出すことができる。また、照明光の表示板1内への進入方向が変化すると、反射するリング状のV字カット5b1内の部位も変化するから、例えば、図9の指針4の先端から光が放射されるようにすると、指針4の動きに応じて、表示状態が変化する。なお、この指針先端からの光の放射は必須ではない。
(その他の実施形態)
本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。図11は、その他のV字カットの断面形状を示す図5に対応する模式断面図である。この図11に示すような、その他のV字カット5b1の断面形状を持つものであっても良い。図11の(a)は、不等辺三角形の断面を持つものであり、図11の(b)は、台形状の断面を持つものである。なお、図11においては、断面を示すハッチングを一部省略している。
次に、V字カット5b1内の傾斜面10に鏡面加工を施して鏡面を形成し、この鏡面で照明光を反射させることが望ましいが、単なる成型上のカット面とし、特別な鏡面として表面粗さを細かくしなくても良い。また、V字カット5b1の傾斜面10にシボ加工された部分を形成することで、夜間照明時、シボの全体が光り、全体が浮き出て見えて、また違った立体感を演出できる。
また、V字カット5b1の傾斜面10に、輝きのある印刷膜を形成するように、鏡面印刷してもよい。あるいは、マスキングしていないV字カット5b1の内面に塗膜が付着するように鏡面インキを吹き付けても良い。このように、V字カット5b1の傾斜面10に、輝きのある鏡面印刷や、鏡面インキの吹き付け塗膜を形成することで、傾斜面10の輝きが強調され、一層、立体的に表記部5を視認させることができる。また、照明光は、指標に対して上下左右どちら方向から表記部5に照射されても効果があるため、エッジライト照明と、表示板1の裏側から照明するバックライト照明を組み合わせても良い。
また、指針4の先端から指針内部に導光された照明光が放射されるタイプの車両用計器に本発明を採用して、指針先端からの光により、指針4が指し示している表記部5でのV字カット5b1の反射を強調するようにしても良い。また、照明光の色を表示中に変えても良い。
また、V字カット5b1に、反射させるための印刷やシボ加工がされていない場合は、形状によっては、V字カット5b1を介して計器内部構造が見えてしまう。このため、傾斜面10の傾斜角θ1(図5)を、好ましくは、35度〜45度に設定すれば、照明光を全反射させて、内部構造を隠蔽できる効果がある。また、速度計(スピードメータ)のみでなく、エンジン回転計(タコメータ)や燃料計等、その他の計器にも、採用することができる。
また、傾斜面は、テーパ面でなく、なだらかな曲面でも良い。また、表記部として数字部を使用した実施形態を示したが、EやFといった数字ではない表記部を指針が指し示す計器に本発明を使用することもできる。更に、指針は無くても良く、指標の位置を指示する複数の発光ダイオードの点灯位置の推移で指針の代用としても良い。
1 表示板
1a 印刷部
2 目盛
3 エッジ部
4 指針
5 表記部
5a 数字表記部
5a1 中心着色部
5a2 周囲着色部
5a21 内周側周囲着色部
5a22 外周側周囲着色部
5b 立体表示部
5b1 V字カット
5b2 内周側立体表示部
5c 輪郭線
5d 内周部
10 傾斜面
B V字カット5b1の最大幅
C 中心着色部5aの最大幅
θ1 傾斜角
θ2 カット角

Claims (7)

  1. 表示板の側方から前記表示板内に照明光を導入するエッジライト照明式の車両用計器であって、
    前記表示板の裏側に設けられ、指標となる表記部と、
    前記表記部に並んで前記表示板の裏側に設けられ、前記表記部を立体的に表示する立体表示部を有し、
    前記立体表示部は、前記表示板の裏面側から表面側に窪み、前記表示板の平面方向に対して傾斜した傾斜面を持った断面V字状の窪みから成り、
    前記立体表示部は、前記表記部の前記表示板に仮想的に光が照射してくる側に対して、前記平面方向に前記表記部を挟んで反対側の前記表記部の影に相当する位置に形成されており、前記表記部の前記仮想的に光が照射してくる側の位置には前記立体表示部が形成されておらず、
    前記表示板のエッジ部を通して導入される前記照明光が前記傾斜面と前記表記部とにより反射して前記表示板の表面側に向かうことを特徴とする車両用計器。
  2. 前記平面方向の前記表記部を挟んで前記立体表示部とは反対側の前記立体表示部が形成されていない位置に、前記表記部の輪郭を示す輪郭線が形成されていることを特徴とする請求項に記載の車両用計器。
  3. 前記表記部は、着色されている中心着色部と、前記中心着色部の周囲を取り囲み、かつ前記中心着色部よりも前記照明光の反射率が高い色調の周囲着色部とからなり、
    前記立体表示部は、前記周囲着色部の周囲の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用計器。
  4. 前記立体表示部をなす窪みの前記平面方向の最大幅が、前記中心着色部の前記平面方向の最大幅の25%から75%の幅を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の車両用計器。
  5. 前記立体表示部の前記傾斜面は、シボ加工されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の車両用計器。
  6. 前記立体表示部の前記傾斜面が前記表示板の裏面よりも表面粗さが細かい鏡面に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の車両用計器。
  7. 前記立体表示部が形成された前記表示板の前記平面方向に対する前記傾斜面の傾斜角は、40度から50度の範囲に形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の車両用計器。
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